図1は、本発明の一実施形態を適用可能な画像形成装置を示している。同図において画像形成装置としてのカラー複写機100は中間転写ベルト10を有するタンデム型の電子写真装置であり、最下部に給紙テーブル2を、その上部に装置本体1を、さらにその上部にスキャナ3及び自動原稿搬送装置(ADF)4を有している。
装置本体1のほぼ中央部には、無端状ベルトである像担持体としての中間転写ベルト10を備えた転写装置20が配設されている。中間転写ベルト10は駆動ローラ9と各従動ローラ15,16とによって張架されており、図示しない駆動手段によって駆動ローラ9が回転駆動されることにより図1において時計回り方向に走行駆動される。従動ローラ15の左方には図示しないクリーニング装置が設けられており、中間転写ベルト10は画像転写後においてその表面に残留するトナーを図示しないクリーニング装置によって除去され、転写装置20による再度の画像形成に備えられる。
駆動ローラ9と従動ローラ15との間に掛け渡された直線状の中間転写ベルト10の上方には、その移動方向に沿ってイエロ、マゼンタ、シアン、ブラックの4つの画像形成部を構成するドラム状の感光体40Y,40M,40C,40Kが並設されている。像担持体である各感光体40はそれぞれ反時計回り方向に回転可能である。図2に示すように各感光体40の周囲にはそれぞれ公知の帯電装置60、現像装置61、1次転写装置62、感光体クリーニング装置63、除電装置64がそれぞれ配置され、各感光体40の上方には露光装置21が配設されている。
一方、中間転写ベルト10の下方には、転写部としての2次転写装置22が配設されている。2次転写装置22は、中間転写ベルト10を介して従動ローラ16に対して接離自在な転写部材としての2次転写ローラ7と、2次転写ローラ7を回転自在に支持するベース部材8(図3参照)とを有している。2次転写装置22は、中間転写ベルト10との間に送り込まれる記録シートとしてのシートに対して、中間転写ベルト10上に形成されたトナー画像を一括転写する。2次転写装置22のシート搬送方向下流側には、無端状の定着ベルト26とこれに圧接する加圧ローラ27とを有しシート上に転写されたトナー画像を定着させる定着装置25が配設されている。2次転写装置22を通過したシートは、一対のローラ23間に掛け渡された無端状の搬送ベルト24によって定着装置25へと送られる。また2次転写装置22の下方には、シートの表裏両面に画像を形成する際にシートを反転搬送させるシート反転装置28が配設されている。
上述した構成のカラー複写機100において画像形成を行う際には、通常はADF4の原稿台30上に原稿をセットする。しかしADF4を使用しない場合には、ADF4を開放してスキャナ3のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、ADF4を閉じて原稿をコンタクトガラス32に押圧させる。
次に図示しないスタートスイッチが押下されると、原稿台30上に原稿をセットした場合には原稿が自動的にコンタクトガラス32上に給送され、ADF4を使用しない場合には直ちにスキャナ3が作動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行を開始する。これにより第1走行体33の光源からの光が原稿に向けて照射され、原稿面からの反射光が第1走行体33のミラーにより第2走行体34の方向に反射される。そしてさらに、第2走行体34の一対のミラーにより反射光は180度方向を変えて結像レンズ35を介して読取センサ36に入射し、原稿の内容が読み取られる。
また、上述したスタートスイッチの押下により、中間転写ベルト10が走行を開始すると同時に各感光体40も回転を開始し、各感光体40上にイエロ、マゼンタ、シアン、ブラックの各単色画像が形成される。形成された各単色画像は、走行する中間転写ベルト10上に重畳転写され、これにより中間転写ベルト10上にフルカラーの合成カラートナー画像が形成される。
一方、給紙テーブル2内の選択された給紙段に対応して設けられた給紙ローラ42が回転し、ペーパバンク43内の選択された給紙カセット44からシートが給送され、分離ローラ45によって1枚に分離されて給紙路46に給送される。給送されたシートは搬送ローラ47により装置本体1の給紙路48に給送され、レジストローラ対49のニップ部に当接して一時停止される。手差し給紙の場合には、手差しトレイ51上にセットされたシートが給紙ローラ50の回転によって給送さレジストローラ対49のニップ部に当接して一時停止される。
何れの場合にもレジストローラ対49は中間転写ベルト10上のカラー画像に合わせたタイミングで回転を開始し、一時停止されていたシートを中間転写ベルト10と2次転写装置22との間に送り込み、2次転写装置22によってシート上にカラー画像を転写する。カラー画像が転写されたシートは搬送ベルト24により定着装置25へと搬送され、加熱及び加圧されて転写画像を定着された後に切替爪55によって排出側に案内され、排出ローラ56によって排紙トレイ57上に排出されてスタックされる。なお、両面画像形成モードが選択されている場合には、表面に画像が形成されたシートは切替爪55によってシート反転装置28側に案内され、反転して再び転写位置へ導かれて裏面に画像を形成された後、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。
また、ブラックの単色画像を中間転写ベルト10上に形成する場合には、駆動ローラ9以外の従動ローラ15,16を移動させてイエロ、マゼンタ、シアンの感光体40Y,40M,40Cを中間転写ベルト10から離間させるように構成されている。なお、図1に示したタンデム型ではなく感光体が1つしかないいわゆる1ドラム型の画像形成装置においては、ファーストプリント速度を早めるために先ずブラックを作像することが一般的である。そして、その後に原稿がカラーの場合にのみ残りの色の作像を行うように構成している。
上述の構成において、レジストローラ対49は通常接地されて用いられることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。例えば直径18mmで表面を厚さ1mmの導電性NBRゴムで被覆した導電性ゴムローラを用いてバイアスを印加する場合、ゴム材の体積抵抗率は109Ωcm程度である。そして、トナーを転写する側であるシート表面側に−800V程度の電圧を印加し、シート裏面側には+200V程度の電圧を印加する。一般的に中間転写方式では紙粉が感光体にまで移動しにくいため紙粉転写を考慮する必要が少なく、アースとなっていても差し支えない。また、印加電圧として一般にDCバイアスが印加されているが、シートをより均一に帯電させるためにDCオフセット成分を持ったAC電圧を印加してもよい。このように、バイアスを印加したレジストローラ対49を通過した後のシート表面は若干マイナス側に帯電している。このため、中間転写ベルト10からシートへの転写ではレジストローラ対49に電圧を印加しなかった場合に比して転写条件が変化している場合があり、転写条件を変更する場合もある。
次に、上述したカラー複写機100を用いた本発明の第1の実施形態を説明する。この第1の実施形態では、2次転写ローラ7として金属製の芯金ローラの周囲に発泡性ゴムを被覆した発泡ローラを用いている。発泡性ゴムの材料としては特に限定するものではないが、本形態ではNBRゴムを用いアスカーC硬度が40度となるように処方調節を行った。
また上述の構成に加え、2次転写装置22を中間転写ベルト10に対して接離させる接離手段としての2次転写接離機構6を設けた。2次転写接離機構6の概略構成は図3に示し、図3(a)は2次転写装置22と中間転写ベルト10とが当接している状態を、図3(b)は両者が離間している状態をそれぞれ示している。ベース部材8は支軸8aによって装置本体1に揺動自在に支持されており、ベース部材8の下方にはベース部材8に接触配置された回転自在なカム11とカム11を回転駆動するステッピングモータ12とを有する2次転写接離機構6が配設されている。2次転写接離機構6は、ステッピングモータ12によってカム11を所定角度回転することにより、2次転写装置22を図3(a)に示す状態と図3(b)に示す状態とに選択的に位置決めする。
さらに上述の構成に加え、トナーパッチを紙間に相当する中間転写ベルト10上に形成し、紙間では2次転写接離機構6により2次転写装置22を中間転写ベルト10から離間させている。そして、次のシートが2次転写装置22に到達する前に2次転写装置22を中間転写ベルト10に当接させる構成としている。なお、上述したトナーパッチは通常のトナー像と同じ原理で紙間に作像され、具体的には、図2に示される感光体40、帯電装置60、現像装置61によってトナー像が作像される。
このトナーパッチを用いたトナー濃度制御について説明する。図4に示すトナー付着量センサ5でトナーパッチの付着量を検知し、その値に基づいて濃度調整制御手段13は図示しないトナー補給モータ、現像バイアス、帯電バイアスの少なくとも1つを制御し、画像濃度の調整を行う。トナー補給モータの制御で調整する場合には、トナー補給の加減によってトナー濃度を調節して画像濃度の調整を行う。現像バイアス及び帯電バイアスの制御で調整する場合には、バイアス値の加減によって画像濃度の調整を行う。なお、図4ではブラック作像部のみを示したが、実際の制御では全ての色に対して行う。
図5は、本発明の第1の実施形態における紙間での2次転写装置22の状態を示している。2次転写装置22は、後述のa〜dの順序で用紙間における2次転写接離機構6による接離動作を行う。
a.用紙後端が2次転写装置22と中間転写ベルト10との接触部を抜けた後に2次転写接離機構6により2次転写ローラ7を中間転写ベルト10から離間させ始める。
b.トナーパッチが上記接触部に到達する前に離間を完了する。
c.トナーパッチが上記接触部を抜けた後に2次転写接離機構6により2次転写ローラ7を中間転写ベルト10に当接させ始める。
d.次の用紙の先端が上記接触部に到達する前に2次転写ローラ7の中間転写ベルト10に対する当接を完了する。
上述の構成において、ショックジター(用紙が転写部に進入したときに中間転写ベルト10の走行を阻害または振動が伝わることで書込ユニットが揺れることにより発生する横帯状の画像不良)の評価結果を図6に示す。評価は5段階の目視ランク評価で行い、ランク5はジターがない最もよい評価でランク1が最も悪く、許容可能なランクは4以上である。評価試験に使用した用紙は坪量300g/m2の厚紙であり、用紙突入時の1次転写、現像、書込への影響も評価するため、評価用紙を10枚通紙したときに発生した最も悪いジターを評価した。また、2次転写ローラ7としては、第1の実施形態に用いられるアスカーC硬度40度の発泡ローラ以外に、比較としてアスカーC硬度70度、60度、50度、30度の発泡ローラと80度のソリッドゴムローラも用いた。
図6に示すように、2次転写ローラ7の硬度が低いほどジターが発生しにくく、アスカーC硬度が60度以下であれば許容範囲内となり、アスカーC硬度が40度以下であればジターは目視では見えない状態にまで改善することが判明した。ただし、ローラ硬度が低くなるほど繰り返し圧力が加えられることでローラが変形し易くなるため、必要以上にローラ硬度を下げることは好ましくない。
上述のように、2次転写ローラ7の材質として軟らかい発泡ローラを用いることにより、厚紙が2次転写装置22に突入して2次転写ローラ7に衝突したときの振動を抑制することができる。これにより振動が1次転写装置62、現像装置61、露光装置21へ伝播することを防止でき、ショックジターの発生を防止することができる。また、このような発泡ローラはトナーが付着するとクリーニングが困難であるため、用紙間では2次転写ローラ7が中間転写ベルト10に接触しないように2次転写接離機構6の作動を制御している。これにより、中間転写ベルト10表面のトナーが2次転写ローラ7に移って用紙裏面を汚すといった不具合の発生を防止することができる。
また、発泡ローラはクリーニングブレード等のクリーニング部材による常時清掃が困難であるため、縁なし画像形成を行うと用紙からはみ出したトナーによって2次転写ローラ7の表面が汚れ、1回転後に用紙の裏面またはコバ面を汚してしまう。しかし、縁なし画像形成を後端のみに限定することにより、画像形成時に用紙からはみ出したトナーを用紙間で清掃できれば用紙裏面汚れとコバ面汚れとの発生を防止することができる。
次に、縁あり画像形成、縁なし画像形成、後端縁なし画像形成について説明する。図7(a)は縁あり画像形成を、図7(b)は縁なし画像形成を、図7(c)は後端縁なし画像形成をそれぞれ示している。縁あり画像形成時には、トナー画像は用紙内に全て収まり用紙の上下左右に余白(上余白、下余白、左余白、右余白)が存在する。縁なし画像形成時には、トナー画像が用紙の縁まで存在して上記の余白が全てない状態である。
後端縁なし画像形成時には、トナー画像が用紙の下端まで存在して下余白のみがなく、上余白、左余白、右余白は存在する状態である。図7(c)において符号70は無余白画像領域を示しており、用紙後端の縁から起算して長さLの領域を示している。この無余白画像領域70は本来余白となるはずの後端領域であり、後端縁なし画像形成時にトナー画像が形成されうる領域である。本発明の第1の実施形態では、無余白画像領域70のうちトナー画像が形成される幅W、すなわち該領域に形成されたトナー画像の、用紙搬送方向と直交する方向における幅Wの長さにより、両面画像形成を許可するか否かを選択する制御を行う。この制御は、CPU等の制御部99により行われる。この制御のフローチャートを図8に示す。
図8において、カラー複写機100の図示しないスタートスイッチが押下されると、画像形成動作が開始されて(ST01)表面画像の作像が開始され(ST02)、両面画像形成であるか否かが判断される(ST03)。ステップST03において両面画像形成ではないと判断された場合には、片面画像形成動作が行われて(ST04)終了する。
ステップST03において両面画像形成であると判断されると、無余白画像領域70に形成されるトナー画像の幅Wが所定値A未満であるか否かが判断され(ST05)、所定値A未満の場合には両面画像形成動作を継続する(ST06)。ステップST05において幅Wが所定値A以上であると判断された場合には片面画像形成動作が行われ(ST07)、裏面画像を2枚目として片面画像形成動作が継続されて(ST08)終了する。幅Wは用紙搬送方向とは直交する方向において連続する画素の最大値とし、これは画像読取時または画像入力時に本体内に設けられた図示しないコントローラが判断する。図16は、無余白画像領域70に形成されるトナー画像の例を示しており、図16(a)ではトナー画像の幅はW1、図16(b)ではトナー画像の幅はW2である。
用紙の先端にトナー像が存在すると、定着部でトナーが溶融した際に定着部材とトナーとの間に付着力が生じ、用紙が定着部材に巻き付き易くなりジャムの原因となる。この巻き付きは用紙先端のトナー画像面積が大きいほど用紙と定着部材との付着力が強くなるために生じ易い。また逆に、トナー画像面積がある程度以下であれば、たとえ先端余白がなくとも巻き付きを生じさせることなく用紙を定着部材から分離することができる。
この第1の実施形態では、後端余白がない無余白画像領域70に形成されるトナー画像の幅Wが所定値A未満である場合には両面画像形成を許可し、幅Wが所定値A以上である場合には両面画像形成を禁止している。これにより、両面画像形成時において用紙の端部が定着部材に巻き付いてジャムが発生することを防止でき、良好な両面画像形成を継続的に行うことができる。第1の実施形態における所定値Aとしては、トナー画像の面積、用紙の種類や厚さ、トナーの種類や環境条件等によって変化する。しかし、トナー画像面積を100%のベタ画像と仮定した場合に、幅Wは用紙搬送方向と直交する方向における用紙の幅の20%程度であることが望ましい。
次に、図9に示すフローチャートを用いて本発明の第2の実施形態を説明する。この第2の実施形態では、無余白画像領域70の画素面積に応じて無余白画像領域70に形成されるトナー画像の幅Wの長さを許容する所定値を大きくする制御としている。
図9において、カラー複写機100の図示しないスタートスイッチが押下されると、画像形成動作が開始されて(ST11)表面画像の作像が開始され(ST12)、両面画像形成であるか否かが判断される(ST13)。ステップST13において両面画像形成ではないと判断された場合には、片面画像形成動作が行われて(ST14)終了する。
ステップST13において両面画像形成であると判断されると、無余白画像領域70の画素面積が100%未満であるか否かが判断される(ST15)。そして、画素面積が100%であると判断されると第1の実施形態と同様に無余白画像領域70に形成されるトナー画像の幅Wが所定値A未満であるか否かが判断され(ST16)、所定値A未満の場合には両面画像形成動作を継続する(ST17)。ステップST16において幅Wが所定値以上であると判断された場合には片面画像形成動作が行われ(ST18)、裏面画像を2枚目として片面画像形成動作が継続されて(ST19)終了する。無余白画像領域70の画素面積は図7(c)に示す無余白画像領域70内に存在する画素の和とし、これは画像読取時または画像入力時に本体内に設けられた図示しないコントローラが判定する。
ステップST15において無余白画像領域70の画素面積が100%未満であると判定されると、判定された画素面積に基づいて無余白画像領域70に形成されるトナー画像の幅Wの上限を決定する所定値Bが決定される(ST20)。画素面積であるトナー画像面積が100%のときに所定値Aが用紙搬送方向と直交する方向における用紙の幅の20%程度となるように幅Wを規定している。このことから所定値Bは、例えば画素面積が80%の場合には用紙搬送方向と直交する方向における用紙の幅の25%程度となるように、画素面積が70%の場合には用紙搬送方向と直交する方向における用紙の幅の28.6%程度となるように幅Wを規定する。
そして、次に無余白画像領域70に形成されるトナー画像の幅WがステップST20で決定された所定値B未満であるか否かが判断され(ST21)、所定値B未満の場合には両面画像形成動作を継続する(ST17)。ステップST21において幅Wが所定値B以上であると判断された場合には片面画像形成動作が行われ(ST18)、裏面画像を2枚目として片面画像形成動作が継続されて(ST19)終了する。
用紙先端のトナー付着量が多いほどトナーと定着部材との付着力が強くなり、結果として用紙と定着部材との付着力も強くなるため用紙が定着部材に巻き付き易くなる。トナー画像面積が少なくても単位面積当たりのトナー付着量が多ければ付着力が強くなって巻き付きが発生し易くなり、逆にトナー画像面積が多くても単位面積当たりのトナー付着量が少なければ巻き付きは発生しにくくなる。
この第2の実施形態では、後端余白がない無余白画像領域70の画素面積が100%未満である場合には画素面積に応じて幅Wの所定値Bを所定値Aよりも大きく設定している。そして、幅Wが所定値B以上である場合には両面画像形成を禁止することにより、第1の実施形態よりも多くのトナー画像において両面画像形成時に用紙の端部が定着部材に巻き付いてジャムが発生することを防止できる。これにより、良好な両面画像形成を継続的に行うことができる。
次に、図10に示すフローチャートを用いて本発明の第3の実施形態を説明する。この第3の実施形態では、記録紙の厚みに応じて無余白画像領域70に形成されるトナー画像の幅Wの長さを許容する所定値を大きくする制御を行っている。
図10において、カラー複写機100の図示しないスタートスイッチが押下されると、画像形成動作が開始されて(ST41)表面画像の作像が開始され(ST42)、両面画像形成であるか否かが判断される(ST43)。両面画像形成ではないと判断されると片面画像形成動作が行われて(ST44)終了する。
ステップST43において両面画像形成であると判断されると、記録紙の厚みが両面画像形成可能な厚みであるか否かが判断される(ST45)。そして、両面画像形成可能な厚みではないと判断されるとステップST44に進み片面画像形成動作が行われて終了する。ここで、記録紙の厚みがある基準値以上であると、記録紙の剛性によって両面画像形成のための搬送経路への進入が困難となって記録紙搬送ジャムの原因となる。このため、基準値以上の厚みの記録紙については両面画像形成を許可しないことが一般的である。
ステップST45において記録紙の厚みが両面画像形成可能な厚みであると判断されると、記録紙の厚みが所定の厚み以上であるか否かが判断される(ST46)。そして、所定の厚み未満であると判断されると第1の実施形態と同様に無余白画像領域70に形成されるトナー画像の幅Wが所定値A未満であるか否かが判断され(ST47)、所定値A未満の場合には両面画像形成動作を継続する(ST48)。ステップST47において幅Wが所定値以上であると判断されると片面画像形成動作が行われ(ST49)、裏面画像を2枚目として片面画像形成動作が継続されて(ST50)終了する。無余白画像領域70の画素面積は図7(c)に示す無余白画像領域70内に存在する画素の和とし、これは画像読取時または画像入力時に本体内に設けられた図示しないコントローラが判定する。
ステップST46において記録紙の厚みが所定の厚み以上であると判断されると、記録紙の厚みに基づいて無余白画像領域70に形成されるトナー画像の幅Wの上限を決定する所定値Cが決定される(ST51)。記録紙の厚みが例えば120g/m2未満のときに、所定値Aは記録紙搬送方向と直交する方向における用紙の幅の20%程度となるように幅Wを規定する。これに対し、所定値Cは例えば180g/m2の場合に記録紙搬送方向と直交する方向における用紙の幅の45%程度となるように、240g/m2の場合には記録紙搬送方向と直交する方向における用紙の幅の60%程度となるように幅Wを規定する。
次に、無余白画像領域70に形成されるトナー画像の幅WがステップST51で決定された所定値C未満であるか否かが判断され(ST52)、所定値C未満の場合にはステップST48に進んで両面画像形成動作を継続する。ステップST52において幅Wが所定値C以上であると判断された場合には、ステップST49に進んで片面画像形成動作が行われ、さらにステップST50に進んで裏面画像を2枚目として片面画像形成動作が継続されて終了する。
上述したように、記録紙先端のトナー付着量が多いほどトナーと定着部材との付着力が強くなり、結果として記録紙と定着部材との付着力も強くなる。このため、記録紙が定着部材に巻き付き易くなるが、記録紙の厚みが厚いほど記録紙の剛性によって定着部材から剥離する方向に力が働くため、同じトナー付着量であっても巻き付きにくくなる。このため、記録紙の厚みが厚いほど両面画像形成許可を行うための所定値Cは大きくてよい。
この第3の実施形態では、記録紙の厚みが所定の厚み以上である場合にはこの厚みに応じて幅Lの所定値Cを所定値Aよりも大きく設定し、幅Wが所定値C以上である場合には両面画像形成動作を禁止している。これにより、第1の実施形態よりも多くのトナー画像においてジャムの発生を防止できる共に、良好な両面画像形成動作を継続的に行うことができる。
次に、図11に示すフローチャートを用いて本発明の第4の実施形態を説明する。この第4の実施形態では、無余白画像領域70の画素面積と記録紙の厚みの両方に応じて、無余白画像領域70に形成されるトナー画像の幅Wの長さを許容する所定値を大きくする制御としている。
図11において、カラー複写機100の図示しないスタートスイッチが押下されると、画像形成動作が開始されて(ST61)表面画像の作像が開始され(ST62)、両面画像形成であるか否かが判断される(ST63)。両面画像形成ではないと判断されると、片面画像形成動作が行われて終了する(ST64)。
ステップST63において両面画像形成であると判断されると、記録紙の厚みが両面画像形成可能な厚みであるか否かが判断され(ST65)、両面画像形成可能な厚みではないと判断されるとステップST64に進んで終了する。ここで、記録紙の厚みがある基準値以上であると、記録紙の剛性によって両面画像形成のための搬送経路への進入が困難となって記録紙搬送ジャムの原因となる。このため、基準値以上の厚みの記録紙については両面画像形成を許可しないことが一般的である。
ステップST65において記録紙の厚みが両面画像形成可能な厚みであると判断されると、無余白画像領域70の画素面積が100%未満または記録紙の厚みが所定の厚み以上であるか否かが判断される(ST66)。そして、何れの条件も満たさない(画素面積100%かつ記録紙の厚みが所定の厚み未満)と判断されると無余白画像領域70に形成されるトナー画像の幅Wが所定値A未満であるか否かが判断される(ST67)。所定値A未満の場合には両面画像形成動作を継続し(ST68)、所定値A以上の場合には片面画像形成動作が行われ(ST69)、裏面画像を2枚目として片面画像形成動作が継続されて終了する(ST70)。無余白画像領域70の画素面積は図7(c)に示す無余白画像領域70内に存在する画素の和とし、これは画像読取時または画像入力時に本体内に設けられた図示しないコントローラが判定する。
ステップST66において、無余白画像領域70の画素面積が100%未満または記録紙の厚みが所定の厚み以上であると判断されると、次に記録紙の厚みが所定の厚み以上であるか否かが判断される(ST71)。そして、所定の厚み未満の場合には、判定された画素面積に基づいて無余白画像領域70に形成されるトナー画像の幅Wの上限を決定する所定値Bが決定される(ST72)。
次に、無余白画像領域70に形成されるトナー画像の幅WがステップST72で決定された所定値B未満であるか否かが判断され(ST73)、所定値B未満の場合にはステップST68に進み両面画像形成動作を継続する。所定値B以上である場合にはステップST69に進んで片面画像形成動作が行われ、さらにステップST70に進み裏面画像を2枚目として片面画像形成動作が継続されて終了する。
ステップST71において記録紙の厚みが所定の厚み以上であると判定されると、次に無余白画像領域70の画素面積が100%未満であるか否かが判断される(ST74)。そして画素面積が100%であると判断されると、判定された記録紙の厚みに基づいて無余白画像領域70に形成されるトナー画像の幅Wの上限を決定する所定値Cが決定される(ST75)。
次に、無余白画像領域70に形成されるトナー画像の幅WがステップST75で決定された所定値C未満であるか否かが判断され(ST76)、所定値C未満の場合にはステップST68に進んで両面画像形成動作を継続する。所定値C以上であると判断された場合にはステップST69に進んで片面画像形成動作が行われ、さらにステップST70に進み裏面画像を2枚目として片面画像形成動作が継続されて終了する。
ステップST74において無余白画像領域70の画素面積が100%未満であると判定されると、判定された画素面積と記録紙の厚みとに基づいて無余白画像領域70に形成されるトナー画像の幅Wの上限を決定する所定値Dが決定される(ST77)。次に無余白画像領域70に形成されるトナー画像の幅Wが所定値D未満であるか否かが判断され(ST78)、所定値D未満の場合にはステップST68に進み両面画像形成動作を継続する。所定値D以上であると判断された場合にはステップST69に進んで片面画像形成動作が行われ、さらにステップST70に進み裏面画像を2枚目として片面画像形成動作が継続されて終了する。
上述した第4の実施形態では、両面画像形成を許可するか禁止するかを判断するため、無余白画像領域70に形成されるトナー画像の幅Wの上限を決定する所定値をA,B,C,Dと複数有しており、これ等を決定するためのテーブルを図12に示す。図12より、各所定値A,B,C,Dは以下のように決定される。
所定値A:画素面積が100%で記録紙厚みが所定値(120g/m2)未満の場合には所定値Aで判断する。値は、例えば20%とする。
所定値B:画素面積が100%未満で記録紙厚みが所定値(120g/m2)未満の場合には所定値Bで判断する。所定値Bの値は画素面積に基づいて決定され、例えば画素面積100%未満60%以上の場合にはB1(例えば25%)、画素面積60%未満30%以上の場合にはB2(例えば30%)、画素面積30%未満の場合にはB3(例えば35%)とする。
所定値C:画素面積が100%で記録紙厚みが所定値(120g/m2)以上の場合には所定値Cで判断する。所定値Cの値は記録紙の厚みに基づいて決定され、例えば120g/m2以上200g/m2未満の場合にはC1(例えば40%)、200g/m2以上260g/m2未満の場合にはC2(例えば60%)とする。なお、260g/m2以上の場合には両面画像形成を許可しないこととしている。
所定値D:画素面積が100%未満で記録紙厚みが所定値(120g/m2)以上の場合には所定値Dで判断する。所定値Dの値は画素面積と記録紙厚みとの両方に基づいて決定され、例えば図12に示す判断基準でD1〜D6を決定する。ここでは、D1=45%、D2=50%、D3=55%、D4=65%、D5=70%、D6=75%とした。なお、ここでは決められたテーブルに従って画素面積と記録紙厚みとの範囲から所定値の値を決定する例を示したが、面積値と厚み数値とから所定値を計算で求めてもよい。
第4の実施形態では、無余白画像領域70の画素面積が100%未満で記録紙厚みが所定の厚み以上である場合には、画素面積と記録紙厚みとの両方に応じて幅Wの上限値の所定値Dを所定値Aよりも大きく設定している。そして幅Wが所定値D以上である場合には両面画像形成を禁止することにより、第1〜第3の実施形態よりも多くのトナー画像において、ジャムの発生を防止すると共に良好な両面画像形成を継続的に行うことができる。
次に、図13に示すフローチャートを用いて本発明の第5の実施形態を説明する。この第5の実施形態では、後端縁なし画像形成を行う場合に、用紙間の距離を通常の画像形成時に比して2次転写ローラ7の1回転分以上長くする構成としており、本形態では1.2回転分長くしている。
先ず、用紙後端が2次転写装置22を通過した後(ST31)、後端縁なし画像形成の有無に関わりなく一定の間隔だけ待機した後に2次転写接離機構6を作動させて2次転写ローラ7を中間転写ベルト10から離間させる。そして、2次転写バイアスを画像形成時とは逆極性のプラスバイアスに切り替える(ST32)。用紙後端直後に2次転写ローラ7の離間動作を行うと、用紙搬送タイミングのばらつきによっては用紙がまだ2次転写装置22に存在する状態で2次転写ローラ7が離間することとなる場合がある。この場合には画像不良が発生する虞があるため、本実施形態では一定の距離だけ間隔をあける構成としている。
そして、画像間に形成されたトナーパターン(トナーパッチ)が2次転写装置22を通過して一定の時間が経過すると(ST33)後端縁なし画像形成が選択されているか否かが判断される(ST34)。後端縁なし画像形成が選択されている場合には、2次転写接離機構6を作動させて中間転写ベルト10に対する2次転写ローラ7の当接動作を開始させる(ST35)。そして、当接動作開始後に2次転写ローラ7の1.2回転分相当だけ作像部の作像部の動作を継続させ(ST36)、その後2次転写バイアスを画像形成用のマイナスバイアスに切り替えて(ST37)動作を終了する。ステップST34において後端縁なし画像形成が選択されていない場合には、中間転写ベルト10に対する2次転写ローラ7の当接動作を開始して(ST38)ステップST37に移行する。
上述した第5の実施形態において、後端縁なし画像形成が選択されていない場合の用紙間における2次転写バイアスの切り替えを図14に、後端縁なし画像形成が選択されている場合の用紙間における2次転写バイアスの切り替えを図15にそれぞれ示す。
図14に示す後端縁なし画像形成が選択されていない場合では、2次転写装置22における2次転写バイアスの切り替えを次のa〜dの順序で行う。
a.用紙後端が2次転写ローラ7と中間転写ベルト10との接触部を抜けた後に2次転写バイアスをマイナスからプラスに切り替える。
b.トナーパッチが上記接触部に進入する際には2次転写バイアスがプラスとなっているように切り替えを完了する。
c.トナーパッチが上記接触部を抜けた後に2次転写バイアスをプラスからマイナスに切り替える。
d.次の用紙の先端が上記接触部に入力される前に2次転写バイアスが通常出力となっているようにする。
また、図15に示す後端縁なし画像形成が選択されている場合では、2次転写装置22における2次転写バイアスの切り替えを次のa〜eの順序で行う。
a.用紙後端が2次転写ローラ7と中間転写ベルト10との接触部を抜けた後に2次転写バイアスをマイナスからプラスに切り替える。
b.トナーパッチが上記接触部に進入する際には2次転写バイアスがプラスとなっているように切り替えを完了する。
c.トナーパッチが上記接触部を抜けた後に2次転写接離機構6の作動を制御して中間転写ベルト10に対する2次転写ローラ7の当接動作を開始させる。
d.2次転写ローラ7の当接動作を開始した後、2次転写ローラ7の1.2回転分の走行時間だけ待機した後に2次転写バイアスをプラスからマイナスに切り替える。
e.次の用紙の先端が上記接触部に入力される前に2次転写バイアスが通常出力となっているようにする。
上述の構成では、トナーパッチ通過後の2次転写バイアスの切り替えを通常の画像形成時に比して2次転写ローラ7の1.2回転分遅らせている。これにより、図15に示すように2次転写ローラ7が中間転写ベルト10に当接してかつ2次転写バイアスがプラスである状態が2次転写ローラ7の1回転分継続している。この結果、2次転写ローラ7の表面に付着したトナーの中間転写ベルト10への再転写によるクリーニングを2次転写ローラ7の全周にわたって行うことができる。用紙間をどの程度広げれば2次転写ローラ7全周のクリーニングを行うことができるかは2次転写装置22の切替時間に依存するが、少なくとも2次転写ローラ7の1回転分以上広げる必要がある。
後端縁なし画像形成時に用紙からはみ出したトナーによって2次転写ローラ7の表面が汚れた場合に、用紙通過直後に2次転写ローラ7を中間転写ベルト10から離間させると、2次転写ローラ7表面の汚れが残ったままとなってしまう。そこで、後端縁なし画像形成を行う場合には、通常の画像形成時に比して用紙間の距離を長くする。これにより、2次転写ローラ7を中間転写ベルト10に当接させた状態で2次転写ローラ7の表面に付着したトナーを中間転写ベルト10に再転写させる時間を設けることができる。この結果、縁なし画像形成によるトナー汚れ及び用紙間トナーパターンによるトナー汚れの発生を同時に防止することができる。
上記構成では、用紙間にトナー付着量検知用パターンを作成してこれを検知することにより、トナー濃度を安定に保つことができる。また、このような構成において用紙間で2次転写装置22を離間させることにより、用紙間に形成されたトナーパターンが2次転写ローラ7に付着することを防止でき、用紙の裏汚れの発生を防止することができる。
さらに上記構成において、用紙間にトナー吐き出しパターンを作成することにより劣化トナーを新しいトナーに入れ替えて画像品質を良好に保つことができる。さらに、このような構成において用紙間で2次転写装置22を離間させることにより、用紙間に形成されたトナーパターンが2次転写ローラ7に付着することを防止でき、用紙の裏汚れの発生を防止することができる。
上記構成において、用紙間にブレードめくれ防止パターンを作成することによりブレードめくれによる装置停止を防止することができる。また、このような構成において用紙間で2次転写装置22を離間させることにより、用紙間に形成されるトナーパターンが2次転写ローラ7に付着することを防止でき、用紙の裏汚れの発生を防止することができる。ブレードめくれはクリーニング対象物とブレードとの間の摩擦力が増大すると発生し易くなるため、トナー入力量が少ない条件下では摩擦力が増大し易いために発生し易い。このような場合でも定期的に用紙間でトナーパターンをブレードに入力させることで、摩擦力の増大を防止してブレードめくれの発生を防止することができる。
さらに上述の構成において、用紙間に色ずれ検知パターンを作成して色ずれを検知し、画像形成位置を調整することにより色ずれを補正できる。また、このような構成において用紙間で2次転写装置22を離間させることにより、用紙間に形成されたトナーパターンが2次転写ローラ7に付着することを防止でき、用紙の裏汚れの発生を防止することができる。なお、この際の色ずれの検知と補正とは、一般的な技術によって行う。
上記各実施形態では画像形成装置としてカラー複写機100を示したが、本発明が適用可能な画像形成装置はこれに限られず、感光体を1つだけ有する単色複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ、これ等の複合機等の画像形成装置にも本発明は適用可能である。また、上記各実施形態では転写部として中間転写ベルト10上のトナー像を用紙に転写させる2次転写装置22を示したが、本発明が適用可能な転写部はこれに限られず、1つまたは複数の像担持体上のトナー像を直接用紙に転写させる転写装置にも適用可能である。