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JP6082319B2 - 車両のレーンキープ制御装置 - Google Patents

車両のレーンキープ制御装置 Download PDF

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JP6082319B2 JP2013118078A JP2013118078A JP6082319B2 JP 6082319 B2 JP6082319 B2 JP 6082319B2 JP 2013118078 A JP2013118078 A JP 2013118078A JP 2013118078 A JP2013118078 A JP 2013118078A JP 6082319 B2 JP6082319 B2 JP 6082319B2
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Description

本発明は、電動パワーステアリングモータを駆動させて設定した目標コースに沿って走行する車両のレーンキープ制御装置に関する。
近年、交通事故の低減やドライバの負担を軽減することを目的として、設定した目標コースに沿って走行するように操舵を支援補助し制御する様々なレーンキープ制御装置の技術が開発・提案されている。例えば、特開2002−120744号公報(以下、特許文献1)では、白線情報を用いて検出または推定された道路曲率に応じた車両の目標横位置を算出し、白線情報を用いて検出または推定された車両の横位置,横速度,ヨーレート,レーンに対するヨー角,操舵角,操舵角速度等を要素とするベクトルに比例フィードバックゲインを乗じた比例フィードバック電流を演算し、検出された車両横変位と目標横変位との目標偏差の積分値に所定の積分フィードバックゲインを乗じた積分フィードバック電流を演算し、比例フィードバック電流と積分フィードバック電流を加算し、予め設定された指令電流制限値、もしくは、旋回加速度等に応じて算出された指令電流制限値により電流加算値の出力電流制限を行うことにより操舵アクチュエータへの指令電流を得るレーンキープアシスト制御装置において、指令電流が指令電流制限値と等しくなる飽和状態である場合、積分フィードバック部にて指令電流を減少させる方向への積分演算のみを行い、指令電流を増加させるような積分演算を行わずにその時の積分値を保持するレーンキープアシスト制御装置の技術が開示されている。
特開2002−120744号公報
ところで、上述の特許文献1に開示されるような検出された車両横変位と目標横変位との目標偏差を算出してフィードバック制御するレーンキープ制御装置においては、操舵アクチュエータとしてのモータの出力に加え、ドライバの操舵入力がある場合、モータ出力とドライバの操舵入力のバランスによってはドライバに違和感を与えてしまう虞がある。例えば、図8(a)に示すように、左カーブ車線中央からモータの出力により舵力特性がオーバーライドされている際には、舵力特性は横位置偏差に応じて舵角左方向にオフセットされ、モータトルクと逆らう方向への(図8(a)中の点Pからの)カーブ外側への操舵に対してはフリクションが増加し、カーブ内側への操舵に対してはフリクションが減少する特性となっている。このような状態で、ドライバがカーブ外側に操舵を行おうとすると、操舵の切り出しの壁感と戻りのバネ感を感じることになる。また、ドライバがカーブ内側に操舵しようとすると舵力増加の少ないフリクションで操舵が行われてしまう。また、図8(b)に示すように、直進路の車線右寄りを直進している場合にはモータの出力により舵力特性は、横位置偏差に応じて舵角左方向にオフセットされてオーバーライドされ、操舵開始点は舵力特性に対して舵角右方向に偏った特性となっている。このような状態で、ドライバが図8(b)中の点Pから車線の外方向に切り増し操舵する場合、フリクションを乗り越えた後に急に舵角が増加する舵力の抜け感が生じることになり違和感を感じることになる。また、フィードバック制御自体においても、目標コースに沿った走行制御の収束性を優先させるとモータ出力によるオーバーライド時の舵力変動、ハンドルのバネ感が強くなりドライバの操舵に対し、大きな干渉を生じてドライバの違和感が強くなり、逆に、ドライバが違和感無くフィードバック制御を実行させると制御の収束性が悪くなってしまい、これら二律背反の問題を解決する必要もある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ドライバの操舵入力がある場合であってもドライバが違和感を感じること無く自然に操舵することができ、精度良く目標コースに沿って走行するように操舵支援できる車両のレーンキープ制御装置を提供することを目的としている。
本発明の車両のレーンキープ制御装置の一態様は、制御入力値を算出する制御入力値算出手段と、上記制御入力値に応じた制御出力値を算出する制御出力値算出手段とを備え、上記制御出力値に基づいて電動パワーステアリングモータを駆動させて設定した目標コースに沿って走行するように制御する車両のレーンキープ制御装置において、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、走行路形状を認識する走行路形状認識手段と、上記走行路形状に基づいてフィードフォワード制御により上記目標コースに沿って走行するのに必要な上記電動パワーステアリングモータのフィードフォワード制御量を算出するフィードフォワード制御手段と、上記車両の走行状態に基づいてフィードバック制御により上記目標コースに沿って走行するのに必要な上記電動パワーステアリングモータのフィードバック制御量を算出する第1のフィードバック制御手段と、上記走行路形状に基づいてフィードバック制御により上記目標コースに沿って走行するのに必要な上記電動パワーステアリングモータのフィードバック制御量を算出する第2のフィードバック制御手段と、ドライバによる操舵意思に応じて上記第1のフィードバック制御手段によるフィードバック制御量と上記第2のフィードバック制御手段によるフィードバック制御量の選択を行うフィードバック制御量選択手段と、上記制御入力値と上記制御出力値の少なくとも一方を上記フィードフォワード制御量と上記フィードバック制御量選択手段で選択したフィードバック制御量を用いて算出して上記電動パワーステアリングモータを駆動制御するモータ制御手段とを備える。
本発明による車両のレーンキープ制御装置によれば、ドライバの操舵入力がある場合であってもドライバが違和感を感じること無く自然に操舵することができ、精度良く目標コースに沿って走行するように操舵支援することが可能となる。
本発明の実施の一形態に係る車両の操舵系の構成説明図である。 本発明の実施の一形態に係る操舵制御部の機能ブロック図である。 本発明の実施の一形態に係るレーンキープ制御プログラムのフローチャートである。 本発明の実施の一形態に係る座標系及び白線、目標コースの曲率の説明図である。 本発明の実施の一形態に係る曲率に基づくフィードバック演算項の説明図である。 本発明の実施の一形態に係るヨー角に基づくフィードバック演算項の説明図である。 本発明の実施の一形態に係る電動パワーステアリングモータの入力トルク−モータ電流値の特性の一例を示す説明図である。 操舵角−舵力特性の制御によるオーバーライドの説明図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1において、符号1は操舵角をドライバ入力と独立して設定自在な電動パワーステアリング装置を示し、この電動パワーステアリング装置1は、ステアリング軸2が、図示しない車体フレームにステアリングコラム3を介して回動自在に支持されており、その一端が運転席側へ延出され、他端がエンジンルーム側へ延出されている。ステアリング軸2の運転席側端部には、ステアリングホイール4が固設され、また、エンジンルーム側へ延出する端部には、ピニオン軸5が連設されている。
エンジンルームには、車幅方向へ延出するステアリングギヤボックス6が配設されており、このステアリングギヤボックス6にラック軸7が往復移動自在に挿通支持されている。このラック軸7に形成されたラック(図示せず)に、ピニオン軸5に形成されたピニオンが噛合されて、ラックアンドピニオン式のステアリングギヤ機構が形成されている。
また、ラック軸7の左右両端はステアリングギヤボックス6の端部から各々突出されており、その端部に、タイロッド8を介してフロントナックル9が連設されている。このフロントナックル9は、操舵輪としての左右輪10L,10Rを回動自在に支持すると共に、車体フレームに転舵自在に支持されている。従って、ステアリングホイール4を操作し、ステアリング軸2、ピニオン軸5を回転させると、このピニオン軸5の回転によりラック軸7が左右方向へ移動し、その移動によりフロントナックル9がキングピン軸(図示せず)を中心に回動して、左右輪10L,10Rが左右方向へ転舵される。
また、ピニオン軸5にアシスト伝達機構11を介して、電動パワーステアリングモータ(電動モータ)12が連設されており、この電動モータ12にてステアリングホイール4に加える操舵トルクのアシスト、及び、設定された操舵角(目標操舵角)となるような操舵トルクの付加が行われる。電動モータ12は、後述する操舵制御部20から制御出力値としての目標電流Icmdがモータ駆動部21に出力されてモータ駆動部21により駆動される。尚、操舵制御部20は、操舵トルクのアシスト機能も備えているが、本実施の形態では、操舵トルクのアシスト機能については説明を省略する。
操舵制御部20には、走行路の形状として前方の左右白線を認識して白線位置情報を取得する走行路形状を認識する走行路形状認識手段としての前方認識装置31が接続され、また、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段として、車速Vを検出する車速センサ32、操舵角θpを検出する操舵角センサ33、操舵トルクTdを検出する操舵トルクセンサ34が接続されている。
前方認識装置31は、例えば、車室内の天井前方に一定の間隔をもって取り付けられ、車外の対象を異なる視点からステレオ撮像する1組のCCDカメラと、このCCDカメラからの画像データを処理するステレオ画像処理装置とから構成されている。
前方認識装置31のステレオ画像処理装置における、CCDカメラからの画像データの処理は、例えば以下のように行われる。まず、CCDカメラで撮像した自車両の進行方向の1組のステレオ画像対に対し、対応する位置のずれ量から距離情報を求め、距離画像を生成する。
白線データの認識では、白線は道路面と比較して高輝度であるという知得に基づき、道路の幅方向の輝度変化を評価して、画像平面における左右の白線の位置を画像平面上で特定する。この白線の実空間上の位置(x,y,z)は、画像平面上の位置(i,j)とこの位置に関して算出された視差とに基づいて、すなわち、距離情報に基づいて、周知の座標変換式より算出される。自車両の位置を基準に設定された実空間の座標系は、本実施の形態では、例えば、図4に示すように、ステレオカメラの中央真下の道路面を原点として、車幅方向をx軸、車高方向をy軸、車長方向(距離方向)をz軸とする。このとき、x−z平面(y=0)は、道路が平坦な場合、道路面と一致する。道路モデルは、道路上の自車両の走行レーンを距離方向に複数区間に分割し、各区間における左右の白線を所定に近似して連結することによって表現される。尚、本実施の形態では、走行路の形状を1組のCCDカメラからの画像を基に認識する例で説明したが、他に、単眼カメラ、カラーカメラからの画像情報を基に求めるものであっても良い。
そして、操舵制御部20は、上述の各入力信号を基に、走行路形状に基づいてフィードフォワード制御により目標コース(本実施の形態においては左白線と右白線の中間)に沿って走行するのに必要な電動モータ12のフィードフォワード制御量Iff、Tffを算出し、車両の走行状態に基づいてフィードバック制御により目標コースに沿って走行するのに必要な電動モータ12のフィードバック制御量(第1のフィードバック制御量)Ifb1、Tfb1を算出し、走行路形状に基づいてフィードバック制御により目標コースに沿って走行するのに必要な電動モータ12のフィードバック制御量(第2のフィードバック制御量)Ifb2、Tfb2を算出し、ドライバの操舵意思としての操舵トルクTdに応じて第1のフィードバック制御量Ifb1、Tfb1と第2のフィードバック制御量Ifb2、Tfb2の選択を行い、制御入力値としての入力トルクTinと制御出力値としての電動モータ電流値Icmdの少なくとも一方をフィードフォワード制御量と選択したフィードバック制御量(Ifb1、Tfb1とIfb2、Tfb2のどちらか)を用いて算出し、モータ駆動部21に出力して電動モータ12を駆動制御する。
このため、操舵制御部20は、図2に示すように、フィードフォワード制御部20a、第1のフィードバック制御部20b、第2のフィードバック制御部20c、制御選択部20d、入力トルク算出部20e、電動パワーステアリングモータ基本値設定部20f、電動パワーステアリングモータ電流値算出部20gから主要に構成されている。
フィードフォワード制御部20aは、前方認識装置31から認識された画像情報が入力される。そして、例えば、以下の(1)式により、目標コースに沿って走行するのに必要な電動モータ12のフィードフォワード制御量(電流値)Iffを算出し、以下の(2)式により、フィードフォワード制御量(トルク値)Tffを算出する。
Iff=Giff・κ …(1)
Tff=Gtff・Iff …(2)
ここで、κは、例えば、以下の(3)式で示すような、車線曲率を示す。
κ=(κl+κr)/2 …(3)
ここで、κlは左白線による曲率成分であり、κrは右白線による曲率成分である。これら、左右白線の曲率成分κl,κrは、具体的には、図4に示すような、左右白線のそれぞれを構成する点に関して、二次の最小自乗法によって計算された二次項の係数を用いることによって定められる。例えば、x=A・z+B・z+Cの二次式で白線を近似した場合、2・Aの値が曲率成分として用いられる。尚、これら白線の曲率成分κl、κrは、それぞれの白線の曲率そのものでも良い。
また、(1)式におけるGiffは、予め設定するフィードフォワードゲインを示し、(2)式におけるGtffは、予め設定するトルク換算係数である。
このように、フィードフォワード制御部20aで算出されたフィードフォワード制御量(トルク値)Tffは入力トルク算出部20eに出力され、フィードフォワード制御量(電流値)Iffは電動パワーステアリングモータ電流値算出部20gに出力される。すなわち、フィードフォワード制御部20aはフィードフォワード制御手段として設けられている。
第1のフィードバック制御部20bは、前方認識装置31から認識された画像情報が入力され、車速センサ32から車速Vが入力され、操舵角センサ33から操舵角θpが入力される。そして、例えば、以下の(4)式により、目標コースに沿って走行するのに必要な電動モータ12のフィードバック制御量(第1のフィードバック制御量:電流値)Ifb1を算出し、以下の(5)式により、フィードバック制御量(第1のフィードバック制御量:トルク値)Tfb1を算出する。
Ifb1=Gifb1d・Δx1+Gfb1s・Δθ …(4)
Tfb1=Gtfb1・Ifb1 …(5)
ここで、(4)式における第1演算項「Gifb1d・Δx1」のGifb1dは車線幅方向のフィードバックゲインを示し、Δx1は、以下の(6)により算出される。
Δx1=(xl+xr)/2−xv …(6)
この(6)式において、xvは車両の前方注視点のz座標におけるx座標である。この前方注視点とは、本実施の形態においては、例えば、図5に示すように、予め設定しておいた予見時間T(例えば、1.2秒)経過後に自車両が存在すると予測される点である。この前方注視点におけるz座標zvは、例えば、zv=T・Vで算出される。尚、単純に、前方の予め設定する距離の点としても良い。
従って、前方注視点のx座標xvは、車両の走行状態に基づいて車両の諸元や車両固有のスタビリティファクタAs等を用いる場合には、例えば、以下の(7)式で算出することができる。
xv=(1/2)・(1/(1+As・V))・(θp/Lw)・(V・T)
…(7)
ここで、Lwはホイールベースである。
また、(6)式における、xlは前方注視点のz座標における左白線のx座標であり、xrは前方注視点のz座標における右白線のx座標である。従って、(4)式の第1演算項は、図5に示すように、前方注視点と左右白線の中心点(目標コース)とのx座標偏差の演算項となっている。
また、(4)式の第2演算項「Gfb1s・Δθ」のGfb1sは、ヨー角フィードバックゲインを示し、Δθは、以下の(8)式により算出される。
Δθ=(θtl+θtr)/2−θ …(8)
すなわち、図6に示すように、θtlは前方認識装置31からの画像情報による左白線に対する自車両の傾き、θtrは前方認識装置31からの画像情報による右白線に対する自車両の傾きである。尚、これら、θtl、θtrは、例えば、画像情報で得られる白線の各点に対して、二次の最小二乗法によって計算された、一次項の係数(すなわち、白線を、x=A・z+B・z+cの式で近似した際のBの値)を用いる。
従って、(4)式の第2演算項は、図6に示すように、前方認識装置31で認識した白線に対する自車両の走行姿勢(ヨー角θ)の演算項となっている。
また、前述の(5)式のGtfb1は、予め設定するトルク換算係数である。
このように、第1のフィードバック制御部20bで算出される第1のフィードバック制御量Ifb1、Tfb1は、そのときの車両の走行状態に基づいて速やかに目標コースへと収束させる制御性に優れたものとなる一方、ドライバの操舵入力に対し、舵力変動、バネ感が強くなる制御となりがちな制御となっている。
こうして、第1のフィードバック制御部20bで算出された第1のフィードバック制御量(トルク値)Tfb1は入力トルク算出部20eに出力され、第1のフィードバック制御量(電流値)Ifb1は電動パワーステアリングモータ電流値算出部20gに出力される。すなわち、第1のフィードバック制御部20bは第1のフィードバック制御手段として設けられている。
第2のフィードバック制御部20cは、前方認識装置31から認識された画像情報が入力され、車速センサ32から車速Vが入力される。そして、例えば、以下の(9)式により、目標コースに沿って走行するのに必要な電動モータ12のフィードバック制御量(第2のフィードバック制御量:電流値)Ifb2を算出し、以下の(10)式により、フィードバック制御量(第2のフィードバック制御量:トルク値)Tfb2を算出する。
Ifb2=Gifb2d・Δx2+Gfb2s・Δθ …(9)
Tfb2=Gtfb2・Ifb2 …(10)
ここで、(9)式における第1演算項「Gifb1d・Δx2」のGifb2dは車線幅方向のフィードバックゲインを示し、Δx2は、以下の(11)により算出される。
Δx2=(xl+xr)/2−xv2 …(11)
この第2のフィードバック制御部20cで用いられるxv2は、例えば、以下の(12)式で算出される。
xv2=(1/2)・κ・(V・T) …(12)
ここで、κは前述の(3)式で算出されるものである。すなわち、第1のフィードバック制御部20bで算出されるxvは、ドライバの操舵角θp等の車両の走行状態に基づいて算出されるのに対し、第2のフィードバック制御部20cで算出されるxv2は、走行路形状に基づいたものとなっている。
また、(9)式の第2演算項「Gfb2s・Δθ」のGfb2sは、ヨー角フィードバックゲインを示し、(10)式のGtfb2は、予め設定するトルク換算係数である。
このため、第2のフィードバック制御部20cで算出される第2のフィードバック制御量Ifb2、Tfb2は、車線横位置偏差に応じた自然でスムーズなハンドル反力特性が実現できる一方、目標コースへの収束性が犠牲となる制御となっている。
こうして、第2のフィードバック制御部20cで算出された第2のフィードバック制御量(トルク値)Tfb2は入力トルク算出部20eに出力され、第2のフィードバック制御量(電流値)Ifb2は電動パワーステアリングモータ電流値算出部20gに出力される。すなわち、第2のフィードバック制御部20cは第2のフィードバック制御手段として設けられている。
制御選択部20dは、操舵トルクセンサ34から操舵トルクTdが入力される。そして、ドライバによる操舵トルクTdに対し所定の遅れ処理等を行った後、操舵トルクの絶対値|Td|と予め設定しておいた閾値Ktdとを比較して、|Td|<Ktdであり、ドライバの操舵意思が低いと考えられる場合には、切り換えフラグFを0とし、入力トルク算出部20e、電動パワーステアリングモータ電流値算出部20gに出力する。逆に、|Td|≧Ktdであり、ドライバの操舵意思が高い〜中程度の場合は、切り換えフラグFを1とし、入力トルク算出部20e、電動パワーステアリングモータ電流値算出部20gに出力する。こうして、入力トルク算出部20e、電動パワーステアリングモータ電流値算出部20gは、切り換えフラグFが入力されると、この切り換えフラグFにより、後述の如く、第1のフィードバック制御量(Ifb1、Tfb1)と第2のフィードバック制御量(Ifb2、Tfb2)のどちらかを切り換えて採用し、それぞれ入力トルクTin、及び、電動モータ電流値Icmdを算出する。このように、制御選択部20dはフィードバック制御量選択手段として設けられている。
入力トルク算出部20eは、操舵トルクセンサ34から操舵トルクTdが入力され、フィードフォワード制御部20aからフィードフォワード制御量Tffが入力され、第1のフィードバック制御部20bから第1のフィードバック制御量Tfb1が入力され、第2のフィードバック制御部20cから第2のフィードバック制御量Tfb2が入力され、制御選択部20dから切り換えフラグFが入力される。そして、切り換えフラグFの値によって、以下の(13)式と、(14)式のいずれかの式により入力トルクTinを算出し、電動パワーステアリングモータ基本値設定部20fに出力する。
・F=0の場合(ドライバの操舵意思が低いと考えられる場合)
Tin=Td+G0・(Tff+Tfb1) …(13)
・F=1の場合(ドライバの操舵意思が中・高いと考えられる場合)
Tin=Td+G1・Tfb2 …(14)
ここで、G0、G1は予め設定しておいたゲインである。
すなわち、前述したように、第1のフィードバック制御量Tfb1は、そのときの車両の走行状態に基づいて速やかに目標コースへと収束させる制御性に優れたものとなる一方、ドライバの操舵入力に対し、舵力変動、バネ感が強くなる制御となりがちな制御量であるため、ドライバの操舵意思が低いと考えられる場合に採用することとし、ドライバの操舵意思が中・高いと考えられる場合には、車線横位置偏差に応じた自然でスムーズなハンドル反力特性が実現できる第2のフィードバック制御量Tfb2を採用するようになっている。このように、入力トルク算出部20eは制御入力値算出手段として設けられている。
電動パワーステアリングモータ基本値設定部20fは、車速センサ32から車速Vが入力され、入力トルク算出部20eから入力トルクTinが入力される。そして、例えば、予め設定しておいた図7に示すような、入力トルクTin−電動モータ基本電流値Ipsbの特性マップを参照して電動モータ基本電流値Ipsbを設定し、電動パワーステアリングモータ電流値算出部20gに出力する。
電動パワーステアリングモータ電流値算出部20gは、フィードフォワード制御部20aからフィードフォワード制御量Iffが入力され、第1のフィードバック制御部20bから第1のフィードバック制御量Ifb1が入力され、第2のフィードバック制御部20cから第2のフィードバック制御量Ifb2が入力され、制御選択部20dから切り換えフラグFが入力され、電動パワーステアリングモータ基本値設定部20fから電動モータ基本電流値Ipsbが入力される。そして、切り換えフラグFの値によって、以下の(15)式と、(16)式のいずれかの式により電動モータ電流値Icmdを算出し、モータ駆動部21に出力する。
・F=0の場合(ドライバの操舵意思が低いと考えられる場合)
Icmd=Ipsb+Iff+Ifb1 …(15)
・F=1の場合(ドライバの操舵意思が中・高いと考えられる場合)
Icmd=Ipsb+Iff+Ifb2 …(16)
すなわち、前述したように、第1のフィードバック制御量Ifb1は、そのときの車両の走行状態に基づいて速やかに目標コースへと収束させる制御性に優れたものとなる一方、ドライバの操舵入力に対し、舵力変動、バネ感が強くなる制御となりがちな制御量であるため、ドライバの操舵意思が低いと考えられる場合に採用することとし、ドライバの操舵意思が中・高いと考えられる場合には、車線横位置偏差に応じた自然でスムーズなハンドル反力特性が実現できる第2のフィードバック制御量Ifb2を採用するようになっている。このように、電動パワーステアリングモータ電流値算出部20gは制御出力値算出手段として設けられ、入力トルク算出部20e、電動パワーステアリングモータ基本値設定部20f、電動パワーステアリングモータ電流値算出部20gでモータ制御手段を構成している。
次に、上述の操舵制御部20で実行されるレーンキープ制御について、図3のフローチャートで説明する。
まず、ステップ(以下、「S」と略称)101で、必要パラメータ、すなわち、走行路形状、車速V、操舵角θp、操舵トルクTd等を読み込む。
次に、S102に進み、フィードフォワード制御部20aで、前述の(1)式により、フィードフォワード制御量(電流値)Iffを算出する。
次いで、S103に進み、フィードフォワード制御部20aで、前述の(2)式により、フィードフォワード制御量(トルク値)Tffを算出する。
次に、S104に進み、第1のフィードバック制御部20bで、前述の(4)式により、第1のフィードバック制御量(電流値)Ifb1を算出する。
次いで、S105に進み、第1のフィードバック制御部20bで、前述の(5)式により、第1のフィードバック制御量(トルク値)Tfb1を算出する。
次に、S106に進み、第2のフィードバック制御部20cで、前述の(9)式により、第2のフィードバック制御量(電流値)Ifb2を算出する。
次いで、S107に進み、第2のフィードバック制御部20cで、前述の(10)式により、第2のフィードバック制御量(トルク値)Tfb2を算出する。
次に、S108に進み、制御選択部20dで設定した切り換えフラグFは、F=0(ドライバの操舵意思が低い)か、否か(F=1:ドライバの操舵意思が中、高い)か判定する。
そして、S108の判定の結果、F=0(ドライバの操舵意思が低い)の場合は、S109に進み、電動パワーステアリングモータ電流値算出部20gは、前述の(15)式の(Iff+Ifb1)を付加電流として設定する。
次いで、S110に進み、入力トルク算出部20eは、前述の(13)式により、入力トルクTinを算出する。
一方、S108の判定の結果、F=1(ドライバの操舵意思が中、高い)の場合は、S111に進み、電動パワーステアリングモータ電流値算出部20gは、前述の(16)式の(Iff+Ifb2)を付加電流として設定する。
次いで、S112に進み、入力トルク算出部20eは、前述の(14)式により、入力トルクTinを算出する。
S110、或いは、S112で入力トルクTinを算出した後は、S113に進み、電動パワーステアリングモータ基本値設定部20fで、入力トルクTinを基に、例えば、予め設定しておいた図7に示すような、入力トルクTin−電動モータ基本電流値Ipsbの特性マップを参照して電動モータ基本電流値Ipsbを設定する。
次いで、S114に進み、電動パワーステアリングモータ電流値算出部20gで、S108において、F=0の場合(ドライバの操舵意思が低いと考えられる場合)で、S109で付加電流(Iff+Ifb1)が算出されている場合、前述の(15)式により、電動モータ電流値Icmdを算出し、モータ駆動部21に出力してルーチンを抜ける。
逆に、S108において、F=1の場合(ドライバの操舵意思が中・高いと考えられる場合)で、S111で付加電流(Iff+Ifb2)が算出されている場合、前述の(16)式により、電動モータ電流値Icmdを算出し、モータ駆動部21に出力してルーチンを抜ける。
すなわち、前述したように、第1のフィードバック制御量Ifb1、Tfb1は、そのときの車両の走行状態に基づいて速やかに目標コースへと収束させる制御性に優れたものとなる一方、ドライバの操舵入力に対し、舵力変動、バネ感が強くなる制御となりがちな制御量であるため、ドライバの操舵意思が低いと考えられる場合に採用することとし、ドライバの操舵意思が中・高いと考えられる場合には、車線横位置偏差に応じた自然でスムーズなハンドル反力特性が実現できる第2のフィードバック制御量Ifb2、Tfb2を採用するようになっている。このため、ドライバの操舵入力がある場合であってもレーンキープ制御によりオーバーライドされた操舵特性とドライバ入力とが干渉することなく、ドライバが違和感を感じること無く自然に操舵することができ、精度良く目標コースに沿って走行するように操舵支援することが可能となっている。
また、本実施の形態では、モータ駆動部21に出力される電動モータ電流値Icmdだけでなく、電動モータ基本電流値Ipsbを求める際の入力トルクTinに対しても上述の操舵感を考慮したトルク付加を行っている。
例えば、図8(a)に示すように、左カーブ車線中央からモータの出力により舵力特性がオーバーライドされている際には、舵力特性は横位置偏差に応じて舵角左方向にオフセットされ、モータトルクと逆らう方向への(図8(a)中の点Pからの)カーブ外側への操舵に対してはフリクションが増加し、カーブ内側への操舵に対してはフリクションが減少する特性となっている。このような状態で、ドライバがカーブ外側に操舵を行おうとすると、操舵の切り出しの壁感と戻りのバネ感を感じることになる。また、ドライバがカーブ内側に操舵しようとすると舵力増加の少ないフリクションで操舵が行われてしまう。このような場合には、カーブ曲率に基づくフィードフォワード制御Iff、Tffと逆方向にトルクを付加し、カーブ曲率に基づくフィードフォワード制御に対するアシストを進めることにより、操舵の切り出しの壁感と戻りのバネ感が改善される。また、カーブ内側に対しては舵力勾配を増加させる。
また、例えば、図8(b)に示すように、直進路の車線右寄りを直進している場合にはモータの出力により舵力特性は、横位置偏差に応じて舵角左方向にオフセットされてオーバーライドされ、操舵開始点は舵力特性に対して舵角右方向に偏った特性となっている。このような状態で、ドライバが図8(b)中の点Pから車線の外方向に切り増し操舵する場合、フリクションを乗り越えた後に急に舵角が増加する舵力の抜け感が生じることになり違和感を感じることになる。このような場合には、横位置フィードバック制御(特に、Δxに対するフィードバック制御)と同符号にトルクを付加することにより、横位置フィードバック制御と反対側のアシストを遅らせて舵力の抜け感を改善できるようになっている。尚、本実施の形態では、電動モータ基本電流値Ipsbに対する電流付加のみならず、電動モータ基本電流値Ipsbを求める際の入力トルクTinに対しても上述のトルク付加を行って、操舵感の改善を図るようになっているが、電動モータ基本電流値Ipsbに対する電流付加のみで操舵感を改善するようにしても良く、或いは、電動モータ基本電流値Ipsbを求める際の入力トルクTinに対して上述の如くトルク付加を行うことのみで操舵感の改善を図るようにしても良い。
1 電動パワーステアリング装置
2 ステアリング軸
4 ステアリングホイール
5 ピニオン軸
10L、10R 車輪
12 電動モータ
20 操舵制御部
20a フィードフォワード制御部(フィードフォワード制御手段)
20b 第1のフィードバック制御部(第1のフィードバック制御手段)
20c 第2のフィードバック制御部(第2のフィードバック制御手段)
20d 制御選択部(フィードバック制御量選択手段)
20e 入力トルク算出部(制御入力値算出手段、モータ制御手段)
20f 電動パワーステアリングモータ基本値設定部(モータ制御手段)
20g 電動パワーステアリングモータ電流値算出部(制御出力値算出手段、モータ制御手段)
21 モータ駆動部
31 前方認識装置(走行路形状認識手段)
32 車速センサ(走行状態検出手段)
33 操舵角センサ(走行状態検出手段)
34 操舵トルクセンサ(走行状態検出手段)

Claims (5)

  1. 制御入力値を算出する制御入力値算出手段と、上記制御入力値に応じた制御出力値を算出する制御出力値算出手段とを備え、上記制御出力値に基づいて電動パワーステアリングモータを駆動させて設定した目標コースに沿って走行するように制御する車両のレーンキープ制御装置において、
    車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
    走行路形状を認識する走行路形状認識手段と、
    上記走行路形状に基づいてフィードフォワード制御により上記目標コースに沿って走行するのに必要な上記電動パワーステアリングモータのフィードフォワード制御量を算出するフィードフォワード制御手段と、
    上記車両の走行状態に基づいてフィードバック制御により上記目標コースに沿って走行するのに必要な上記電動パワーステアリングモータのフィードバック制御量を算出する第1のフィードバック制御手段と、
    上記走行路形状に基づいてフィードバック制御により上記目標コースに沿って走行するのに必要な上記電動パワーステアリングモータのフィードバック制御量を算出する第2のフィードバック制御手段と、
    ドライバによる操舵意思に応じて上記第1のフィードバック制御手段によるフィードバック制御量と上記第2のフィードバック制御手段によるフィードバック制御量の選択を行うフィードバック制御量選択手段と、
    上記制御入力値と上記制御出力値の少なくとも一方を上記フィードフォワード制御量と上記フィードバック制御量選択手段で選択したフィードバック制御量を用いて算出して上記電動パワーステアリングモータを駆動制御するモータ制御手段と、
    を備えたことを特徴とする車両のレーンキープ制御装置。
  2. 上記フィードバック制御量選択手段は、上記ドライバによる操舵意思としてのドライバによる操舵トルクが予め設定した閾値より低い場合は上記第1のフィードバック制御手段によるフィードバック制御量を選択する一方、上記ドライバによる操舵トルクが上記予め設定した閾値を越える場合は上記第2のフィードバック制御手段によるフィードバック制御量を選択することを特徴とする請求項1記載の車両のレーンキープ制御装置。
  3. 上記制御入力値は操舵トルクであって、上記制御出力値は操舵トルクに応じた上記電動パワーステアリングモータの駆動電流であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両のレーンキープ制御装置。
  4. 上記第1のフィードバック制御手段は、現在のドライバによる操舵角に基づいて今後の制御によるカーブ曲率を算出し、少なくとも該カーブ曲率を基にフィードバック制御量を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の車両のレーンキープ制御装置。
  5. 上記第2のフィードバック制御手段は、上記認識した走行路形状に基づいて今後の制御によるカーブ曲率を算出し、少なくとも該カーブ曲率を基にフィードバック制御量を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の車両のレーンキープ制御装置。
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