JP6079544B2 - 発光装置および発光装置の製造方法 - Google Patents
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そのため、波長変換時に変換されなかった光エネルギーが熱エネルギーになって蛍光体が発熱するが、蛍光体の温度が上昇して波長変換の効率が低下すると共に、その発熱により発光装置の構成部材が劣化することから、蛍光体の発熱を効率的に放熱することが要求されている。
また、特許文献2および特許文献3の技術では、波長変換部材が樹脂,ガラス,無機物から成る板材であり、波長変換部材の熱伝導率が低い上に、波長変換部材の厚みが大きいため、蛍光体の発熱を効率的に放熱することが困難であるという問題がある。
(1)蛍光体の発熱を効率的に放熱することが可能な発光装置を提供する。
(2)前記(1)の発光装置の簡便な製造方法を提供する。
第1の局面は、
基板の表面上に配設された半導体発光素子と、
半導体発光素子の上面を被覆すると共に、半導体発光素子の側面における上面近傍の部分のみを被覆し、蛍光体を含有する透明な蛍光体層と
を備えた発光装置であって、
蛍光体層において、半導体発光素子の上面を被覆する部分の膜厚は均一である。
そのため、第1の局面によれば、蛍光体層に相当する部材(波長変換層、波長変換部材)が板材である特許文献1〜3の技術に比べて、蛍光体層を薄くすることが可能であり、蛍光体層の発熱を半導体発光素子を介して基板へ効率的に放熱することができる。
その結果、第1の局面によれば、蛍光体層の温度上昇を抑制して波長変換の効率低下を防止すると共に、発光装置の構成部材が蛍光体層の発熱によって劣化するのを防止でき、発光装置の高出力化を図ることができる。
さらに、第1の局面では、蛍光体層が半導体発光素子の側面における上面近傍の部分のみを被覆するため、半導体発光素子の上面から蛍光体層を介して放射される光の色度と、半導体発光素子の側面から蛍光体層を介して放射される光の色度とを略同一にすることが可能になり、蛍光体層が半導体発光素子の側面全体を被覆した場合に比べて、発光装置の光放射面における色度の面内分布を均一にすることができる。
第2の局面は、第1の局面において、蛍光体層は、半導体発光素子の上面を被覆する第1部分と、半導体発光素子の側面を被覆する第2部分とを備え、第1部分の表面と第2部分の表面とが面一になるように形成され、第2部分はその表面側に向かって裾野状に広がる形状である。
第2の局面によれば、蛍光体層の第2部分(半導体発光素子の側面における上面近傍を被覆する部分)の形状が最適化されるため、第1の局面の前記作用・効果を確実に得ることが可能になり、発光装置の光放射面における色度の面内分布を更に均一にすることができる。
第3の局面は、第1の局面または第2の局面において、間隙を空けて配列された複数個の半導体発光素子を備え、個々の半導体発光素子の間には、蛍光体層が形成されていない部分が設けられている。
第3の局面によれば、複数個の半導体発光素子を配列した場合でも、蛍光体層が半導体発光素子の側面における上面近傍の部分のみを被覆することになるため、第1の局面の前記作用・効果を確実に得ることが可能になり、発光装置の光放射面における色度の面内分布を均一にすることができる。
第4の局面は、第1〜第3の局面において、前記蛍光体層が形成されていない部分を充填し、光反射性の微粒子を含有する反射層を備える。
第4の局面によれば、個々の半導体発光素子の側面側から、各半導体発光素子の間にて蛍光体層が形成されていない部分へ放射された光が、その部分に充填されている反射層によって反射されるため、第1の局面の前記作用・効果を確実に得ることができる。
第5の局面は、第1〜第4の局面において、基板の表面上にて半導体発光素子を囲繞するように配設された光反射部材を備える。
第5の局面によれば、半導体発光素子の放射光を光反射部材(リフレクタ)により反射して一方向に照射することが可能であり、自動車の前方側の照度を高める必要があるヘッドライト用として好適な発光装置を実現できる。
第6の局面は、第1〜第5の局面において、蛍光体層を覆うように取付固定された透明な封着板を備える。
第6の局面によれば、蛍光体層および半導体発光素子が封着板によって封止されるため、耐熱性・耐候性・耐光性を向上させることが可能になり、蛍光体層および半導体発光素子の劣化を防止できる。
第7の局面は、第6の局面において、封着板の表面には微細な凹凸が形成されている。
第7の局面によれば、封着板の表面の凹凸により、封着板の表面から放射される光が散乱されるため、発光装置の光放射面における色度の面内分布をより均一化することが可能になり、色度ムラの抑制効果を高めることができる。
第8の局面は、第6の局面または第7の局面において、封着板は光散乱性を有する。
第8の局面によれば、封着板の表面から放射される光が散乱されるため、発光装置の光放射面における色度の面内分布をより均一化することが可能になり、色度ムラの抑制効果を高めることができる。
第9の局面は、第1〜第8の局面の発光装置の製造方法であって、
基板の表面上に半導体発光素子を配設する第1工程と、
半導体発光素子の上面のみに蛍光体層の液状の形成材料を塗布する第2工程と、
蛍光体層の液状の形成材料に平板材を押し当てた状態で蛍光体層を硬化させる第3工程とを備える。
第10の局面は、第9の局面において、第3工程において、第2工程を終えた基板を裏返した状態で、平板材に押し当てる。
第10の局面では、蛍光体層の液状形成材料の表面張力により、第1〜第8の局面の蛍光体層に要求される前記形状を確実に形成できる。
第11の局面は、第9の局面または第10の局面において、平板材は、第6〜第8の局面の封着板である。
第11の局面によれば、封着板を平板材に流用可能であるため、封着板を設けても製造方法が複雑化することがなく、製造コストの増大を抑制できる。
また、第11の局面では、第3工程にて蛍光体層を硬化させた際に、硬化した蛍光体層が接着剤として機能し、半導体発光素子と封着板とが蛍光体層を介して接着固定されるため、封着板を蛍光体層に隙間無く密着させた状態で容易に取付固定することが可能になるため、第6の局面の前記作用・効果が確実に得られる。
第12の局面は、第9の局面または第10の局面において、平板材は製造用治具であり、第3工程にて蛍光体層を硬化させた後に、平板材を蛍光体層から取り外す。
第12の局面では、第3工程に最適な平板材を選択することにより、第1〜第8の局面の発光装置を容易に製造できる。
また、各図面では、説明を分かり易くするために、各実施形態の構成部材の寸法形状および配置箇所を誇張して模式的に図示してあり、各構成部材の寸法形状および配置箇所が実物とは異なっている。
図1および図2(A)に示すように、第1実施形態の発光装置10は、絶縁基板11、LED(Light Emitting Diode)チップ12、蛍光体層13、枠体14、封着板15、反射層16、光放射面10a、蛍光体層13が形成されていない部分Sを備える。
各LEDチップ12の下面側は、絶縁基板11の表面上に形成されている配線層(図示略)に対して、各種接合方法(例えば、ハンダ付け、スタッドバンプ接合、金属微粒子接合、表面活性化接合など)を用い、電気的に接続されると共に取付固定されている。
尚、蛍光体層13の基材は、合成樹脂材料(例えば、シリコーン樹脂など)や、ゾルゲルガラスなどによって形成されている。
そして、蛍光体層13の膜厚は、含有する蛍光体粒子が重なり合わないような膜厚にすることが望ましく、例えば、蛍光体粒子の粒径が20〜30μmの場合には、蛍光体層13の膜厚は40μm以下に設定すればよい。
尚、枠体14は、光反射性の高い材料(例えば、酸化チタン、酸化アルミニウムなど)の微粒子を含有する白色の合成樹脂材料(例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)、光反射性のセラミックス材料(例えば、酸化アルミニウムなど)、光反射性の金属材料(例えば、アルミニウム合金など)などによって形成されている。
尚、封着板15は、透明な合成樹脂材料(例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)やガラスによって形成されている。
そして、封着板15の表面が発光装置10の光放射面(光放射領域、発光領域、発光部)10aになる。
尚、反射層16は、光反射性の高い材料(例えば、酸化チタン、酸化アルミニウムなど)の微粒子を含有する白色の合成樹脂材料(例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)などによって形成されている。
第1工程(図3(A)参照):絶縁基板11の表面上に形成されている配線層(図示略)に対して各LEDチップ12を接合する。
すると、各LEDチップ12の上面に塗布された蛍光体層13の液状の形成材料は、表面張力により半球面状に形成され、各LEDチップ12の上面における中央部分の膜厚が厚く、各LEDチップ12の上面における周縁部分に近づくに連れて膜厚が薄くなる。
また、蛍光体層13の基材がゾルゲルガラスの場合には、静電塗布法を用い、ゾルゲルガラスの液状の形成材料(例えば、テトラエトキシシランなどの金属アルコキシドなど)を各LEDチップ12の上面のみに塗布する。
そして、絶縁基板11の裏面側に荷重をかけ、各LEDチップ12の上面に塗布された蛍光体層13の液状の形成材料を、封着板15に押し当て、その状態で加熱することにより蛍光体層13を硬化させる。
それと同時に、蛍光体層13の液状形成材料の表面張力により、各LEDチップ12の側面から封着板15へかけて蛍光体層13が裾野状に広がった形状になる。
そして、硬化した蛍光体層13が接着剤として機能し、各LEDチップ12と封着板15とが蛍光体層13を介して接着固定される。
また、蛍光体層13の基材がゾルゲルガラスの場合には、ゾルゲルガラスの液状の形成材料を加水分解させた後に縮重合させてゾルとし、続いて、そのゾルから水分を除去して生じたゲルを焼結させてガラス化させることにより、ゾルゲルガラスを形成すればよい。
そして、絶縁基板11の表面上に枠体14を配置形成する。
このとき、枠体14が合成樹脂材料の場合には、スクリーン印刷法などを用いて形成すればよい。
また、枠体14がセラミックス材料や金属材料の場合には、別個に成形した枠体14を絶縁基板11に取付固定すればよい。
すると、硬化した反射層16が接着剤として機能し、封着板15と枠体14と絶縁基板11とが反射層16を介して接着固定される。
また、各LEDチップ12間にて蛍光体層13が形成されていない部分S内に硬化した反射層16が充填される。
第1実施形態の発光装置10によれば、以下の作用・効果を得ることができる。
そのため、発光装置10では、蛍光体層13に相当する部材(波長変換層、波長変換部材)が板材である特許文献1〜3の技術に比べて、蛍光体層13を薄くすることが可能であり、蛍光体層13の発熱を各LEDチップ12を介して絶縁基板11へ効率的に放熱することができる。
尚、蛍光体層13の屈折率を、LEDチップ12の屈折率に近い値にすれば、発光装置10の光取り出し効率を高めることができる。
従って、蛍光体層の第2部分13b(各LEDチップ12の側面における上面近傍を被覆する部分)の形状が最適化されるため、前記[1]の作用・効果を確実に得ることが可能になり、発光装置10の光放射面10aにおける色度の面内分布を更に均一にすることができる。
そのため、1個だけでなく3個のLEDチップ12を配列した場合でも、蛍光体層13が各LEDチップ12の側面における上面近傍の部分12aのみを被覆することになるため、前記[1]の作用・効果を確実に得ることが可能になり、発光装置10の光放射面10aにおける色度の面内分布を均一にすることができる。
そのため、各LEDチップ12の側面側から部分Sへ放射された光が、その部分Sに充填されている反射層16によって反射されるため、前記[1]の作用・効果を確実に得ることができる。
そのため、各LEDチップ12の放射光を、枠体14および反射層16により反射して一方向に照射することができる。
よって、発光装置10は、特に、自動車の前方側の照度を高める必要があるヘッドライト用として好適である。
そのため、封着板15を蛍光体層13に隙間無く密着させた状態で容易に取付固定することが可能になるため、前記[6]の作用・効果が確実に得られる。
従って、図3(B)(C)に示すように、各LEDチップ12の上面に形成されている蛍光体層13が半球面状の場合には、発光装置10の光放射面10aにおける色度の面内分布が均一にならない。
第2実施形態の発光装置10の構成は、第1実施形態の発光装置10と同じであり、第2実施形態において第1実施形態と異なるのは製造方法だけである。
第2工程(図3(B)参照):第1実施形態の第2工程と同じである。
そして、封着板15の表面側に荷重をかけ、各LEDチップ12の上面に塗布された蛍光体層13の液状の形成材料に、封着板15を押し当て、その状態で加熱することにより蛍光体層13を硬化させる。
第5工程(図1参照):第1実施形態の第5工程と同じである。
従って、第2実施形態では、蛍光体層13の液状の形成材料の粘度を最適化して、蛍光体層13に要求される前記形状(第1実施形態の前記[7]を参照)を実現することにより、第1実施形態の前記[1]〜[9]と同様の作用・効果が得られる。
第3実施形態の発光装置10の構成は、第1実施形態の発光装置10と同じであり、第3実施形態において第1実施形態と異なるのは製造方法だけである。
第2工程(図3(B)参照):第1実施形態の第2工程と同じである。
そして、絶縁基板11の裏面側に荷重をかけ、各LEDチップ12の上面に塗布された蛍光体層13の液状の形成材料を、治具板FBに押し当て、その状態で加熱することにより蛍光体層13を硬化させる。
それと同時に、蛍光体層13の液状形成材料の表面張力により、各LEDチップ12の側面から治具板FBへかけて蛍光体層13が裾野状に広がった形状になる。
第5工程(図8参照):硬化した蛍光体層13の平坦な表面上に接着剤(図示略)を塗布した後に、その接着剤層の表面上に封着板15を押し当て、蛍光体層13と封着板15を接着剤層を介して接着固定させる。
第6工程(図5(B)参照):第1実施形態の第4工程と同じである。
第7工程(図1参照):第1実施形態の第5工程と同じである。
従って、第3実施形態によれば、第1実施形態の前記[1]〜[8]と同様の作用・効果が得られる。
また、第3実施形態では、第3工程に最適な平板材を選択することにより、発光装置10を容易に製造できる。
尚、第3実施形態でも、第2実施形態と同様に、第3工程において、第2工程を終えた絶縁基板11を裏返すことなく、蛍光体層13の液状の形成材料に治具板FBを押し当てるようにしてもよい。
本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、前記各実施形態と同等もしくはそれ以上の作用・効果を得ることができる。
その場合、枠体14の形状は、LEDチップ12の配置に合わせて適宜変更すればよい。
その場合には、封着板15の表面の微細な凹凸により、封着板15の表面から放射される光が散乱されるため、発光装置10の光放射面10aにおける色度の面内分布をより均一化することが可能になり、色度ムラの抑制効果を高めることができる。
尚、封着板15の表面に微細な凹凸を形成するには、各種粗面加工法(例えば、プレス加工、サンドブラスト加工、エッチング加工など)を用いればよい。
ちなみに、ゾルゲルガラスなどの焼結ガラスは、内部の結晶界面により光散乱性を有する。そのため、封着板15を焼結ガラスによって形成すれば、封着板15が光散乱性を有するようになるため、前記[E]と同様の作用・効果が得られる。
10a…光放射面
11…絶縁基板
12…LEDチップ(半導体発光素子)
12a…LEDチップの側面における上面近傍の部分
13…蛍光体層
13a…蛍光体層13の第1部分
13b…蛍光体層13の第2部分
14…枠体(光反射部材)
15…封着板(平板材)
16…反射層(光反射部材)
FB…治具板(平板材)
Claims (9)
- 基板の表面上に配設された半導体発光素子と、
前記半導体発光素子の上面を被覆すると共に、前記半導体発光素子の側面における前記上面近傍の部分のみを被覆し、蛍光体を含有する透明な蛍光体層と
を備えた発光装置であって、
前記蛍光体層において、前記半導体発光素子の上面を被覆する部分の膜厚は均一である発光装置の製造方法であって、
前記基板の表面上に前記半導体発光素子を配設する第1工程と、
前記半導体発光素子の上面のみに前記蛍光体層の液状の形成材料を塗布する第2工程と、
前記蛍光体層の液状の形成材料に平板材を押し当てた状態で前記蛍光体層を硬化させる第3工程と
を備え、
前記平板材は製造用治具であり、前記第3工程にて前記蛍光体層を硬化させた後に、前記平板材を前記蛍光体層から取り外す、
発光装置の製造方法。 - 前記第3工程において、前記第2工程を終えた前記基板を裏返した状態で、前記平板材に押し当てる、
請求項1に記載の発光装置の製造方法。 - 前記平板材は、前記蛍光体層を覆うように取付固定された透明な封着板である、
請求項1または請求項2に記載の発光装置の製造方法。 - 前記封着板の表面には微細な凹凸が形成されている、
請求項3に記載の発光装置の製造方法。 - 前記封着板は光散乱性を有する、
請求項3または請求項4に記載の発光装置の製造方法。 - 前記蛍光体層は、前記半導体発光素子の上面を被覆する第1部分と、前記半導体発光素子の側面を被覆する第2部分とを備え、
前記第1部分の表面と前記第2部分の表面とが面一になるように形成され、前記第2部分はその表面側に向かって裾野状に広がる形状である、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。 - 間隙を空けて配列された複数個の前記半導体発光素子を備え、
個々の前記半導体発光素子の間には、前記蛍光体層が形成されていない部分が設けられている、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。 - 前記蛍光体層が形成されていない部分を充填し、光反射性の微粒子を含有する反射層を備えた、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。 - 前記基板の表面上にて前記半導体発光素子を囲繞するように配設された光反射部材を備えた、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
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