以下、本実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
最初に第1の実施の形態について説明する。図1は第1の実施の形態における通信システム10の構成例を表わす図である。
通信システム10は、無線基地局装置500、端末装置600、及び品質評価装置200とを備える。
無線基地局装置500と端末装置600は無線通信を行うことができ、無線基地局装置500は端末装置600にコンテンツ画像(例えば画像信号又は画像データ)を無線通信により送信する。
品質評価装置200は、無線基地局装置500と端末装置600との間の無線区間に対する品質を無線基地局装置500から収集する。また、品質評価装置200は、無線基地局装置500と端末装置600との間の無線区間に対する品質を、無線基地局装置500を介して端末装置600から収集する。
品質評価装置200は、知覚品質推定処理部250と品質評価処理部251とを備える。
知覚品質推定処理部250は、収集した無線基地局装置500と端末装置600との間の無線回線に対する品質に基づいて、端末装置600において視聴される画像の品質を推定する。
品質評価処理部251は、知覚品質推定処理部250において推定された画像の品質を評価し、その評価結果を出力する。
このように、品質評価装置200は、無線区間に対する品質に基づいて、端末装置600において視聴される画像の品質を推定し、評価しているため、視聴者が知覚又は体感するであろう画像の品質について人手をかけずに評価することができる。
また、品質評価装置200は、無線基地局装置500と端末装置600との間の無線区間に対する品質に基づいて、視聴者が知覚又は体感するであろう品質を推定し、評価している。従って、品質評価装置200は、無線区間に対する品質を無線基地局装置500や端末装置600からリアルタイムで収集することで、視聴者が知覚又は体感するであろう品質をリアルタイムで評価することができる。
さらに、品質評価装置200は、無線基地局装置500と端末装置600との間の無線区間に対する品質に基づいて、視聴者が知覚又は体感するであろう品質を推定し、評価している。従って、品質評価装置200は、無線基地局装置500や端末装置600における無線通信に関する処理に対してとくに影響を与えることなく、視聴者が知覚又は体感するであろう品質を推定し評価することができる。
[第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、以下の項目、及び順序に従って説明することにする。
<1 通信システムについて>
<1.1 通信システムの全体構成例>
<1.2 通信システムにおける動作例>
<2 各装置の構成例>
<2.1 無線基地局装置の構成例>
<2.2 端末装置の構成例>
<2.3 品質評価サーバの構成例>
<3 知覚・体感品質の推定処理と評価処理>
<3.1 知覚・体感品質の推定処理の具体例>
<3.2 品質評価サーバにおける知覚・体感品質の評価処理の例>
<4 知覚・体感品質を用いたアプリケーションについて>
最初に、本第2の実施の形態における通信システムの全体構成例について、<1.1 通信システムの全体構成例>において説明し、次に、通信システム全体における動作例について、<1.2 通信システムにおける動作例>において説明する。図2は通信システム10の全体構成例を表わし、図3及び図4は、通信システム10全体における動作例をそれぞれ表わすシーケンスチャートの例を表わしている。
次に、通信システム10に含まれる無線基地局装置、端末装置、及び品質評価サーバ200の構成例について、<2 各装置の構成例>において説明する。図5から図8は無線基地局装置、端末装置、及び品質評価サーバ200の各構成例を表わす図である。
そして、品質評価サーバ200において行われる知覚・体感品質の推定処理と評価処理について、<3 知覚・体感品質の推定処理と評価処理>において説明する。ここでは、知覚・体感品質の推定処理の例や、推定処理の具体例、さらに知覚・体感品質の評価処理の例についてそれぞれ説明する。図9から図17は知覚・体感品質の推定処理の動作例、図18から図23は知覚・体感品質の推定処理の具体例をそれぞれ表わしている。
なお、知覚・体感品質とは、例えば、視聴者が配信された画像を視聴するときに感じる品質のことである。例えば、このような知覚・体感品質は、視聴する画像についてコマ飛びや画像の乱れなどが発生した場合、悪化すると考えられる。本第2の実施の形態を含む第2の実施の形態以降においては、例えば、このような知覚・体感品質を品質評価サーバ200において推定し、評価する手法について提供する。
また、無線品質指標とは、例えば、知覚・体感品質を推定し、評価する際の指標となるべきものであって、端末装置と無線基地局装置との間の無線区間に対する品質を示す情報である。無線品質指標の例としては、例えば、受信電力、フレーム損失率、再送回数、ハンドオーバ回数、パケットの遅延時間、再送制御でも救済することができなかったパケット数、などがある。無線品質指標は、端末装置や無線基地局装置で測定されることができる。なお、以下の説明において、無線品質指標を品質指標と称する場合がある。
最後に、知覚・体感品質を用いたアプリケーションの例について、<4 知覚・体感品質を用いたアプリケーションについて>において説明する。ここでは、例えば、評価した知覚・体感品質に基づいて、どのように無線資源の割当てを行うのか、どのように課金に適用するのかなどのアプリケーションに関する例について説明する。図25から図33はこのような知覚・体感品質を用いたアプリケーションの動作例などをそれぞれ表わす図である。
<1 通信システム10について>
<1.1 通信システム10の全体構成例>
最初に本第2の実施の形態における通信システム10の全体構成例について説明する。図2は通信システム10の構成例を表わす図である。
通信システム10は、コンテンツサーバ100、品質評価サーバ200、MME(Mobility Management Entity)400、無線基地局装置(eNB:evolved Node B、以下、「基地局」と称する場合がある)500、及び端末装置(UE:
User Equipment、以下、「端末」と称する場合がある)600を備える。
なお、図2の例では、公衆(移動)通信ネットワークを介して、基地局500、品質評価サーバ200、MME400、及びコンテンツサーバ100が互いに接続されている。また、図2の例では、端末600がハンドオーバする例を表わしており、この場合、端末600はハンドオーバにより接続基地局500を変更しても、継続してコンテンツの提供を受けることができる。
また、第1の実施の形態における品質評価装置200は、例えば、第2の実施の形態における品質評価サーバ200に対応する。さらに、第1の実施の形態における無線基地局装置500と端末装置600は、例えば、第2の実施の形態における基地局500と端末600にそれぞれ対応する。
コンテンツサーバ100は、例えば、公衆通信ネットワーク及び基地局500を介し端末600に対して、コンテンツを配信する。このため、コンテンツサーバ100は、コンテンツを蓄積することができるよう、ハードディスクなどのメモリ装置を備えるようにしてもよい。
なお、配信されるコンテンツとしては画像と音声が含まれても良いが、知覚・体感品質の対象となるコンテンツとしては、例えば、画像である。ただし、知覚・体感品質の対象となる画像は、動画像でもよいし、静止画像でもよい。なお、配信されるコンテンツには、例えば、画像信号(又は映像信号)と音声信号が含まれる。
品質評価サーバ200は、例えば、基地局500や端末600において測定された品質指標を収集して、配信された画像に対して視聴者が知覚又は体感するであろう知覚・体感品質を推定する。そして、品質評価サーバ200は、例えば、推定した知覚・体感品質に対して、視聴履歴などに基づいて、知覚・体感品質を評価する。
基地局500は、端末600と無線通信を行うことができ、例えば、コンテンツサーバ100から配信されたコンテンツを無線信号に変換して端末600に送信したり、端末600から無線信号を受信し、受信した無線信号から品質指標を抽出する。このため、基地局500は、誤り訂正符号化処理部や、誤り訂正符号化処理部、変調処理部、復調処理部、周波数変換処理部、帯域通過フィルタなどを備えるようにしてもよい。また、基地局500は、端末600との間の無線回線において配信されるコンテンツに対して、品質指標を測定することができる。基地局500は、測定した品質指標を品質評価サーバ200に送信することができる。なお、図2の例では、2つの基地局500−1,500−2が表わされているが、例えば、1つでもよいし、3つ以上あってもよい。
端末600は、例えば、携帯電話などのフィーチャーフォンでもよいし、スマートフォンなどでもよい。端末600も、基地局500との間の無線回線において配信されるコンテンツについて品質指標を測定し、基地局500を介して、測定した品質指標を品質評価サーバ200に送信する。端末600においても、無線信号をコンテンツに変換して、モニタなどにコンテンツを表示させたり、測定した品質指標を無線信号に変換することができる。端末600では、このような変換を行うため、誤り訂正符号化処理部や、誤り訂正符号化処理部、変調処理部、復調処理部、周波数変換処理部、帯域通過フィルタなどを備えるようにしてもよい。なお、図2に示すように、端末600はハンドオーバにより接続する基地局500を変更しても、品質指標を測定することができ、変更後の基地局500を介して、測定した品質指標を品質評価サーバ200に送信することができる。
<1.2 通信システム10における動作例>
次に通信システム10における動作例について説明する。本動作例においては、主に、品質指標の測定と、測定された品質指標の収集について説明することにする。収集後において、知覚・体感品質の評価などの処理が行われるが、その処理については<3 知覚・体感品質の推定処理と評価処理>において説明する。
図3及び図4は、通信システム10におけるこのような動作例をそれぞれ表わすフローチャートである。なお、図3は、基地局500で測定された品質指標を束ねて品質評価サーバ200に送信する例であり(S14)、図4は基地局500で測定された品質指標を順次品質評価サーバ200に送信する例である(S17−1〜S17−n)。図3ではバッチ処理として品質指標が送信され、図4ではリアルタイムに品質指標が送信される。
最初に図3を用いて説明する。端末600は、基地局500と無線接続した後、コンテンツ配信要求を送信する(S1)。端末600は、例えば、コンテンツ配信要求に対して、ユーザID(又は加入者ID)と配信を受けたいコンテンツのIDを付加してコンテンツ配信要求を送信する。コンテンツ配信要求は、無線接続した基地局500や公衆通信ネットワークなどを介してコンテンツサーバ100に送信される。
コンテンツサーバ100は、コンテンツ配信要求を受け取ると、配信対象のコンテンツが品質指標の収集が必要な特定のコンテンツか、又は、配信先のユーザが品質指標の収集が必要な特定加入者か否かを判別する(S2)。例えば、コンテンツサーバ100は、コンテンツ配信要求に付加されたコンテンツIDやユーザIDが、特定コンテンツのIDや特定加入者のIDか否かによりそれぞれ判別することができる。
コンテンツサーバ100は、配信対象のコンテンツが品質指標の収集が必要でないコンテンツであったり、配信先のユーザが品質指標の収集が必要でないユーザのとき(S2でNo)、通常のコンテンツ配信を行う(S3)。このようなコンテンツやユーザに対しては、知覚・体感品質の評価が行われなくてもよいからである。
一方、コンテンツサーバ100は、配信対象のコンテンツが品質指標の収集が必要なコンテンツであったり、配信先のユーザが品質指標の収集が必要がユーザのとき(S2でYes)、品質情報収集指示を生成し、品質評価サーバ200に送信する(S4)。
品質評価サーバ200は、品質情報収集指示を受け取ると、MME400に対して、コンテンツの配信先の端末600を収容する基地局500はどの基地局500かを問合せる(S5)。このため、例えば、品質情報収集指示と基地局500への問合せについては、端末600から送信されたユーザIDが付加されてもよい。
MME400は、収容基地局500の問合せを受け取ると、端末600を収容する基地局500はどの基地局500であるかを回答する(S6)。MME400では、例えば、端末600が基地局500と無線接続すると、基地局500からユーザIDと基地局500のIDとを受け取って、位置登録を行うことができる。MME400は位置登録の際に保持したこれらの情報に基づいて、端末600を収容する基地局500はどの基地局500かを回答することができる。
品質評価サーバ200は回答を受け取ると、収容基地局500に対して品質指標のログを収集するよう開始指示を送信する(S7)。基地局500は、この開始指示を受けて、端末600との間の無線区間において、コンテンツに対する品質指標を測定することができる。
そして、品質評価サーバ200は、収容基地局500における品質指標の収集開始をコンテンツサーバ100に通知する(S8)。この通知により、例えば、品質評価サーバ200は、収容基地局500において品質指標の測定準備が整ったことをコンテンツサーバ100に通知することができる。
コンテンツサーバ100は、品質指標の収集開始の通知を受け取ると、コンテンツを配信する(S9)。このとき、コンテンツサーバ100は、品質指標を取得するよう指示する取得指示を、配信するコンテンツとともに送信することができる。この取得指示により、端末600は、基地局500との間の無線区間において品質指標を測定することができる。なお、コンテンツと取得指示は、コンテンツサーバ100から基地局500を介して端末600に送信される。
端末600は、配信されたコンテンツを受信し、ユーザは端末600のモニタなどを介してコンテンツを視聴する(S10)。このとき、端末600は取得指示をコンテンツサーバ100から受け取ることができ、この取得指示に基づいて、配信されたコンテンツについての品質指標を測定する。
そして、コンテンツサーバ100はコンテンツの配信を終了すると、コンテンツ配信終了通知を品質評価サーバ200に送信する(S11)。これにより、例えば、品質評価サーバ200はコンテンツの配信が終了したことを認識することができる。
また、端末600はコンテンツの視聴が終了すると、測定した品質指標を品質評価サーバ200に送信する(S12)。これにより、品質評価サーバ200は、端末600において測定された無線区間における品質指標を収集することができる。
品質評価サーバ200は、端末600において測定された品質指標を取得すると、基地局500に対して、基地局500において取得した品質指標を送信するよう要求する(S13)。
基地局500は、この要求を受けて、基地局500において測定した品質指標を品質評価サーバ200に送信する(S14)。これにより、品質評価サーバ200は、基地局500において測定された品質指標を収集することができる。
そして、品質評価サーバ200は、端末600と基地局500でそれぞれ測定された品質指標に基づいて、知覚・体感品質を推定することができる(S15)。
なお、図3の例において、S13の処理はS12の後となっているが、品質評価サーバ200は例えばコンテンツ配信終了通知(S11)を受けると、端末600で測定された品質指標の受信(S12)を待つことなく、基地局500で測定された品質指標を送信するよう要求(S13)してもよい。
図4は、図3と同様に、通信システム10における動作例を表わしているが、品質指標を測定するとリアルタイムで品質評価サーバ200に送信する(S17−1〜S17−n(nは2以上の整数))例である。図3の例でも図4の例でも、品質評価サーバ200は基地局500で測定された品質指標を収集することは同じである。
図4においては、品質評価サーバ200は品質指標を基地局500から取得し(S17−1〜17−n)、コンテンツサーバ100からコンテンツ配信終了通知を受け取ると(S11)、基地局500に対して品質指標の測定を終了するよう指示する(S18)。基地局500ではリアルタイムで測定した品質指標を品質評価サーバ200に送信しているため、品質評価サーバ200から品質指標の測定終了を指示することで、品質指標の測定を終了することができる。
なお、基地局500における品質指標の取得期間は、例えば、図3と同様に、品質評価サーバ200から開始指示を受けた(S7)後、コンテンツ配信される(S9)前から開始することができる。
このように、例えば、図3または図4などの処理により、品質評価サーバ200は測定された品質指標を端末600や基地局500から取得することができる。
<2 各装置の構成例>
次に、通信システム10に含まれる品質評価サーバ200、基地局500、及び端末600の各構成例について説明する。なお、コンテンツサーバ100とMME400は、例えば公知のコンテンツサーバ100やMME400でもよく、そのため、これらの構成例については説明を割愛する。説明の順番として、最初に基地局500、次に端末600、最後に品質評価サーバ200の各構成例について説明することにする。
<2.1 無線基地局装置の構成例>
図5は端末600と基地局500の各構成例、図6は基地局500の構成例をそれぞれ表わす図である。
図5及び図6に示すように、基地局500は、アンテナ511、無線部510、ベースバンド部520、制御機能部530、及び外部インターフェース540を備える。制御機能部530は、品質指標検出部531、要求受付部532、対象加入者品質指標抽出部533、品質指標記憶部534、品質指標送信処理部535、及び無線回線制御部536を備える。
無線部510は、アンテナ511で受信した無線信号に対して周波数変換(ダウンコンバート)などの処理を行うことで、ベースバンド信号に変換し、変換したベースバンド信号をベースバンド部520に出力する。また、無線部510は、ベースバンド部520から出力されたベースバンド信号を周波数変換(アップコンバード)して無線信号に変換し、アンテナを介して端末600に無線信号を送信する。無線部510は、このような周波数変換を行うために、例えば周波数変換回路などを備えるようにしてもよい。なお、無線部510は、ベースバンド部520を介して、無線回線制御部536からの指示に基づいて、アンテナから送信される無線信号の送信電力を上下することもできる。
ベースバンド部520は、無線部510から出力されたベースバンド信号に対して、誤り訂正復号化処理や復調処理などを行い、ユーザデータなどを抽出する。ベースバンド部520は、抽出したユーザデータなどを外部インターフェース540に出力する。また、ベースバンド部520は、外部インターフェース540を介して入力したユーザデータなどに対して、誤り訂正符号化処理や変調処理などを行いベースバンド信号に変換して無線部510に出力する。
品質指標検出部531は、無線部510とベースバンド部520の出力に基づいて品質指標を測定する。例えば、品質指標検出部531は、無線部510から出力された無線信号の電力レベルを測定することで、品質指標として、基地局500において受信した無線信号の受信電力レベルを測定することができる。また、品質指標検出部531は、ベースバンド部520から出力された受信パケットに基づいて、品質指標として、基地局500において受信した受信パケットのパケット損失率を検出することができる。この場合、例えば、ベースバンド部520では受信パケットの番号を受信パケットから取得できるため、品質指標検出部531ではこの番号をベースバンド部520から受け取って、パケットの損失数からパケット損失率を検出できる。また、無線回線制御部536において、端末600に対する再送制御やハンドオーバなどの制御が行われるため、品質指標検出部531は無線回線制御部536から再送回数やハンドオーバ回数などを受け取ることができ、これを品質指標として検出することもできる。品質指標検出部531は、検出した品質指標を対象加入者品質指標抽出部533に出力する。
なお、品質指標検出部531は、ある特定の品質指標(例えば受信電力レベル)を検出することもできるし、複数の品質指標(例えば受信電力レベルとパケット損失率)、或いは測定可能な全ての品質指標を検出することもできる。従って、品質指標検出部531は、無線部510、ベースバンド部520、及び無線回線制御部536の各出力のうち、いずれかの出力、又はこれらの出力の組み合わせ、或いは全ての出力に基づいて品質指標を検出できる。
また、品質指標検出部531が検出する品質指標については、例えば、端末600と基地局500との間の無線区間の品質を示す情報であればよく、受信電力レベルやパケット損失率、再送回数、ハンドオーバ回数はその一例である。
要求受付部532は、品質評価サーバ200から品質指標の取得開始指示(例えば図3のS7)とともに品質指標を取得する対象となる対象加入者の情報(例えばユーザIDや加入者ID)を受信する。そして、要求受付部532は、対象加入者品質指標抽出処理部に対して、対象加入者に対する品質指標の抽出処理の開始を指示する。
対象加入者品質指標抽出部533は、要求受付部532から品質指標の抽出処理の開始指示を受け取ると、品質指標検出部531で検出された品質指標に対して、要求受付部532から指示された対象加入者に該当する品質指標を抽出する。例えば、要求受付部532から出力された品質指標の抽出処理の開始指示には対象加入者の情報が含まれる。また、品質指標で検出された品質指標にも、どの加入者に関する品質指標であるかの情報も含まれる。対象加入者品質指標抽出部533は、両者が一致する品質指標を抽出し、抽出した品質指標を品質指標記憶部534に出力する。
品質指標記憶部534は、対象加入者の品質指標を記憶する。また、品質指標記憶部534は、要求受付部532から送信要求(例えば図3のS13)を受け取ると、記憶した品質指標を品質指標送信処理部535に出力する。なお、基地局500がリアルタイムで品質指標を品質評価サーバ200に送信する場合(例えば図4)、要求受付部532からの送信要求はなく、品質指標記憶部534は記憶した品質指標を順次品質指標送信処理部535に出力する。
品質指標送信処理部535は、品質指標記憶部534から受け取った品質指標を、外部インターフェース540を介して品質評価サーバ200に送信する。
無線回線制御部536は、端末600との間の無線回線に関する制御を行い、例えば、送信電力制御や再送制御、ハンドオーバに関する制御などを行う。また、無線回線制御部536は、端末600(又はユーザ)に対してどの無線リソースを用いるかについてのスケジューリングなどを行うこともできる。さらに、無線回線制御部536は、例えば、ベースバンド部520や無線部510に対して、ユーザデータを端末600に送信する際の送信電力を上下させたり、ユーザデータの再送指示、スケジューリング結果の送信などを指示することができる。
なお、無線回線制御部536は、例えば、送信電力制御などを行う際に受信電力レベルなどに基づいて行われるため、品質指標検出部531において測定された受信電力レベルなどの品質指標を品質指標検出部531から受け取ることもできる。
外部インターフェース540は、品質評価サーバ200や公衆通信ネットワークと本基地局500との間で送受信されるデータなどを、品質評価サーバ200や公衆通信ネットワークに送信できるデータ形式に変換する。また、外部インターフェース540は、品質評価サーバ200や公衆通信ネットワークから受信したデータなどを基地局500で処理可能な形式に変換する。
このように、基地局500は、品質評価サーバ200からの開始指示(例えば図3のS7)を要求受付部532において受け取り、対象加入者品質指標抽出部533において対象加入者の品質指標を抽出することができる。そして、基地局500は、品質評価サーバ200からの取得指示(例えば図3のS13)を要求受付部532で受け取るなどして、品質指標記憶部534に記憶した品質指標を品質評価サーバ200に送信することができる。
<2.2 端末装置の構成例>
次に、端末600の構成例について説明する。図5及び図7は端末600の構成例を表わす図である。端末600は、無線部610、アンテナ611、ベースバンド部620、制御機能部630、表示部640、及び音声入出力部650を備える。また、制御機能部630は、品質指標検出部631、動画再生アプリケーション632、要求受付部633、品質指標記憶部634、品質指標送信処理部635、及び無線回線制御部636を備える。
無線部610は、アンテナで受信した無線信号に対して、周波数変換処理(ダウンコンバード)などを施してベースバンド信号に変換し、変換したベースバンド信号をベースバンド部620に出力する。また、無線部610は、ベースバンド部620から出力されたベースバンド信号に対して周波数変換処理(アップコンバート)など施して無線信号に変換し、アンテナを介して基地局500に無線信号を送信する。無線部610ではこのような変換処理を行うことができるよう周波数変換回路などを備えてもよい。
ベースバンド部620は、無線部610から出力されたベースバンド信号に対して、復調処理や誤り訂正復号化処理などを施して、基地局500から送信されたユーザデータなどを抽出する。ベースバンド部620は、抽出したユーザデータなどのうち、動画像データを動画再生アプリケーション632や表示部640、音声データを音声入出力部650にそれぞれ出力することができる。また、ベースバンド部620は、動画再生アプリケーション632、音声入出力部650、表示部640などから出力された動画像データや音声データなどのユーザデータに対して、誤り訂正符号化処理や変調処理などを施して、ベースバンド信号として無線部610に出力する。ベースバンド部620は、品質指標送信処理部635から出力された品質指標に対しても誤り訂正符号化処理などを施してベースバンド信号として無線部610に出力することができる。
品質指標検出部631は、無線部610とベースバンド部620からの出力に基づいて品質指標を検出する。例えば、品質指標検出部631は、無線部610から出力された無線信号の電力レベルを測定することで、端末600において受信した無線信号の受信電力レベルを測定することができる。また、品質指標検出部631は、ベースバンド部620から出力された受信パケットに基づいて、端末600において受信した受信パケットのパケット損失率などを検出することができる。この場合、例えば、ベースバンド部620では受信パケットの番号を受信パケットから取得できるため、品質指標検出部631ではこの番号をベースバンド部620から受け取って、パケットの損失数からパケット損失率を検出できる。品質指標検出部631は、検出した品質指標を品質指標記憶部634に出力する。
なお、品質指標検出部631は、ある特定の品質指標(例えば受信電力レベル)を検出することもできるし、複数の品質指標(受信電力レベルとパケット損失率など)、或いは測定可能な全ての品質指標を検出することもできる。そのため、品質指標検出部631は、無線部610とベースバンド部620の各出力のうち、一方を用いることもできるし、双方の出力を用いることもできる。
動画再生アプリケーション632は、ベースバンド部620から出力された動画像データを再生する。これにより、端末600は、例えばコンテンツサーバ100から配信されたコンテンツを再生することができる。動画再生アプリケーション632は、例えば、動画像データが圧縮符号化されているときは伸長処理などを施すことで動画像を再生することができる。
なお、動画再生アプリケーション632は、動画像データにコンテンツサーバ100から送信された品質指標の取得指示(例えば図3のS9)が含まれているとき、当該取得指示を抽出し、抽出した取得指示を要求受付部633に出力する。また、動画再生アプリケーション632は、動画像データの再生を終了すると、その旨を要求受付部633に通知する。
要求受付部633は、動画再生アプリケーション632から品質指標の取得指示を受け取ると、品質指標記憶部634に対して、品質指標検出部631で検出された品質指標を記憶するように品質指標の取得開始を要求する。これにより、例えば、端末600はコンテンツサーバ100からの品質指標の取得指示に対して、コンテンツに対する品質指標を取得することができる。また、要求受付部633は、動画再生アプリケーション632から動画像データの再生終了の通知を受け取ると、品質指標記憶部634に対して、記憶した品質指標を品質指標送信処理部635に出力するよう指示する。
品質指標記憶部634は、要求受付部633から品質指標の取得開始を受け取ると、品質指標検出部631で検出された品質指標を記憶する。また、品質指標記憶部634は、要求受付部633から動画像データの再生終了の通知を受け取ると、記憶した品質指標を品質指標送信処理部635に出力する。
品質指標送信処理部635は、品質指標記憶部634から品質指標を受け取ると、ベースバンド部620、無線部610などを介して、基地局500に品質指標を送信する。品質指標は、適宜無線信号に変換されて、基地局500に送信される。
無線回線制御部636は、端末600と基地局500との間の無線回線に関する制御を行う。例えば、無線回線制御部636は、品質指標検出部631で検出された受信電力レベルに基づいて、端末600から送信する無線信号の送信電力レベルを上下させるようベースバンド部620や無線部610に指示することができる。
表示部640は、例えば、液晶方式や有機EL(Electro-Luminescence
)方式などによる表示部640であって、ベースバンド部620や動画再生アプリケーション632から出力されたテキストや動画像などを表示することができる。
音声入出力部650は、ベースバンド部620から出力された音声データに対応する音声を出力したり、ユーザによる音声を入力し、音声データとしてベースバンド部620に出力する。
このように、例えば、端末600においても、コンテンツサーバ100からの品質指標取得指示(例えば図3のS9)を、動画再生アプリケーション632を介して要求受付部633で受信することができ、これによりコンテンツに対する品質指標を検出又は測定することができる。また、端末600はコンテンツの再生が終了すると、品質指標記憶部634に記憶した品質指標を基地局500に送信することができる(例えば図3のS12)。
<2.3 品質評価サーバ200の構成例>
次に、品質評価サーバ200の構成例について説明する。図8は品質評価サーバ200の構成例を表わす図である。品質評価サーバ200では、基地局500や端末600で取得した品質指標を収集し、収集した品質指標に対して品質指標の特徴を分析し、その分析結果に対して知覚・体感品質を推定し、更に評価することができる。
品質評価サーバ200は、コンテンツサーバインターフェース201、コンテンツ情報受信部202、コンテンツ情報記憶部203、MMEインターフェース205、品質指標収集処理部206、基地局/端末インターフェース207、品質指標受信部208、品質指標記憶部209、運用者インターフェース211、運用条件受信部212、運用条件記憶部213を備える。品質評価サーバ200は、更に、知覚品質推定処理部220、知覚・体感品質評価処理部240、評価結果通知処理部260を備える。
なお、第1の実施の形態における知覚品質推定処理部250は、例えば、第2の実施の形態における知覚品質推定処理部220に対応する。また、第1の実施の形態における品質評価処理部251は、例えば、第2の実施の形態における知覚・体感品質評価処理部240に対応する。
コンテンツサーバインターフェース201は、コンテンツサーバ100から送信されたコンテンツ情報や品質情報収集指示(例えば図3のS4)を受信し、品質評価サーバ200で処理可能な形式に変換する。コンテンツサーバインターフェース201は、変換後のコンテンツ情報をコンテンツ情報受信部202に、変換後の品質指標収集指示を品質指標収集処理部206にそれぞれ出力する。また、コンテンツサーバインターフェース201は、評価結果通知処理部260から出力された評価結果をコンテンツサーバ100に送信できる形式に変換してコンテンツサーバ100に送信する。
なお、コンテンツ情報は、例えば、登録加入者の過去のコンテンツ視聴履歴に関する情報であり、登録加入者がどのような場所でどのような時間帯でどのようなコンテンツを視聴したのかについての情報が含まれる。更に、コンテンツ情報には、例えば、知覚・体感品質の評価結果を表わす評価値が含まれてもよい。評価値については、<3.2 品質評価サーバ200における知覚・体感品質の評価処理の例>において説明する。コンテンツ情報は、例えば、コンテンツサーバ100から定期的に送信されてもよいし、品質評価サーバ200の要求によりコンテンツサーバ100から送信されてもよい。
コンテンツ情報受信部202は、コンテンツサーバインターフェース201を介してコンテンツサーバ100から送信されたコンテンツ情報を受信し、コンテンツ情報記憶部203に記憶する。
コンテンツ情報記憶部203は、コンテンツ情報を記憶する。記憶されたコンテンツ情報は、知覚・体感品質評価処理部240により適宜読み出される。
MMEインターフェース205は、品質指標収集処理部206から出力された収容基地局500の問合せ(例えば図3のS5)をMME400に送信できる形式に変換してMME400に送信する。また、MMEインターフェース205は、収容基地局500の問合せに対する回答(例えば図3のS6)をMME400から受信すると、品質評価サーバ200において処理できる形式に変換し品質指標収集処理部206に出力する。
品質指標収集処理部206は、コンテンツサーバ100から品質指標収集指示を受けて(例えば図3のS4)、MME400に対して、品質指標の収集対象となる端末600(又はユーザ)を収容する基地局500を問合せる(例えば図3のS5)。そして、品質指標収集処理部206は、MME400から問合せに対する回答を受けると、当該基地局500に対して、対象加入者の品質指標の収集開始を指示する(例えば図3のS7)。更に、品質指標収集処理部206は、コンテンツサーバ100からコンテンツ配信終了通知を受けて(例えば図3のS11)、当該基地局500に対して品質指標の送信を要求する(例えば図3のS13)。これにより、品質評価サーバ200は基地局500で検出された品質指標を受け取ることができる(例えば図3のS14)。また、品質指標収集処理部206は、コンテンツサーバ100からコンテンツ配信終了通知を受けると(例えば図4のS11)、基地局500に対して品質指標の収集終了を要求することもできる(例えば図4のS18)。このように、品質指標収集処理部206は、基地局/端末インターフェース207を介して、端末600や基地局500における品質指標の収集を指示することができる。収集した品質指標は、基地局/端末インターフェース207を介して、品質指標受信部208において受信する。
基地局/端末インターフェース207は、品質指標収集処理部206から品質指標の開始指示(例えば図3のS7)や品質指標の送信要求(例えば図3のS13)などを受け取り、これらの指示を基地局500に送信可能な形式に変換して基地局500に送信する。また、基地局/端末インターフェース207は、基地局500や基地局500を介して端末600から送信された品質指標(例えば図3のS12とS14)を品質評価サーバ200内において処理可能な形式に変換して品質指標受信部208に出力する。さらに、基地局/端末インターフェース207は、評価結果通知処理部260から評価結果を受け取り、基地局500に送信可能な形式に変換し基地局500に送信することもできる。
品質指標受信部208は、基地局500や端末600から送信された基地局500と端末600の各品質指標を受信し、品質指標記憶部209に記憶する。品質指標記憶部209に記憶された品質指標は、知覚品質推定処理部220により品質指標記憶部209から適宜読み出される。また、品質指標受信部208は、運用条件記憶部213から運用条件を読み出して、運用条件に合致した(又は運用条件を満たす)品質指標を抽出する。さらに、品質指標受信部208は、抽出した品質指標について品質指標の変位を抽出し、変位値を品質指標記憶部209に記憶する。
運用者インターフェース211は、例えば、運用者(又は通信事業者)の品質評価サーバ200に対する操作、或いは運用者が使用するサーバなどから入力された運用条件を運用条件受信部212に出力する。運用条件としては、運用者(又は通信事業者)から提供を受けた種々の条件とすることができる。そのような条件としては、例えば、地域、時間帯、登録加入者の属性、基地局500の運用実態(例えば休止中、障害発生など)、又は評価の基準となる閾値条件などがある。運用条件が指定されることで、運用者が指定する運用条件に合致した、或いは運用条件を満たす品質指標を評価対象の品質指標としたりすることができる。このような評価対象の品質指標の抽出は、上述したように例えば品質指標受信部208で行われる。
運用条件受信部212は、運用者インターフェース211を介して入力された運用条件を受信し、運用条件記憶部213に記憶する。運用条件は、品質指標受信部208により、運用条件記憶部213から適宜読み出される。
知覚品質推定処理部220は、品質指標記憶部209に記憶された品質指標の変位値に対して、品質指標の変位の特徴を分析することで、知覚・体感品質を推定する。知覚品質推定処理部220は、品質指標の変位の特徴を分析する際に、人間の心理的要因を加味した分析を行うこともできる。品質指標の変位の特徴を分析する手法は、<3.1 知覚・体感品質の推定処理の具体例>においてその詳細を説明する。知覚品質推定処理部220は、推定した知覚・体感品質を推定知覚品質値として、知覚・体感品質評価処理部240に出力する。
知覚・体感品質評価処理部240は、推定知覚品質値に対して、人間の心理的要因を反映するための処理などを行い、知覚・体感品質を評価する。そして、知覚・体感品質評価処理部240は、評価した結果を、知覚・体感品質評価値として、評価結果通知処理部260に出力する。また、知覚・体感品質評価処理部240は、コンテンツ情報として視聴者(登録利用者)の過去の視聴履歴と知覚・体感品質評価値とを比較して、比較結果によっては、知覚・体感品質評価値を補正することもできる。知覚・体感品質の評価処理の詳細は、<3.2 品質評価サーバ200における知覚・体感品質の評価処理の例>において説明する。
評価結果通知処理部260は、知覚・体感品質評価値を、コンテンツサーバ100や基地局500などに送信したり、運用者に通知する。コンテンツサーバ100や基地局500などでは、受信した知覚・体感品質評価値に応じた無線資源の割当てや課金などを行うことができる。これにより、例えば、動画像配信サービスの改善などに資することができる。知覚・体感品質評価値を利用したこのようなアプリケーションの例については、<4 知覚・体感品質を用いたアプリケーションについて>において説明する。
<3 知覚・体感品質の推定処理と評価処理>
次に知覚・体感品質の推定処理と評価処理について説明する。例えば、知覚・体感品質の推定処理は、知覚・体感品質推定処理部220で行われ、知覚・体感品質の評価処理は知覚・体感品質評価処理部240で行われる。
図9は品質評価サーバ200における全体処理のフローを表わす図である。図9では、図8における品質評価サーバ200の構成例を含み、品質情報受信部の詳細や各種DBなども記載されている。
図9に記載された品質評価サーバ200の構成と図8に記載された品質評価サーバ200の構成との対応関係については、品質指標受信部208は、無線品質情報受付処理部2081と無線品質情報抽出処理部2082、判定条件抽出処理部2083、抽出情報DB2084、判定条件DB2085、及び無線品質変位判定処理部2086を含む。また、図8に示す運用条件記憶部213は、例えば、図9に示す運用条件DBに対応し、図8に示す品質指標記憶部209は、例えば、図9に示す品質情報DB2091と品質変位値DB2092に対応する。また、図8に示すコンテンツ情報記憶部203は、図9に示すコンテンツ視聴履歴DB2031に対応する。なお、推定知覚品質値DB230、知覚・体感品質評価値DB245、通知ログなどは、例えば、品質評価サーバ200内のメモリなどに対応する。図9において新たに追加された構成などは、図9における処理のフローを説明する中で順次説明することにする。
また、図10から図17は、図9に示す品質評価サーバ200内の各部において行われる処理の例をそれぞれ表わすフローチャートである。これらのフローチャートなどは、図9について説明するときに適宜説明する。
最初に図9を用いて全体処理について説明し、知覚・体感品質の推定処理や評価処理は<3.1 知覚・体感品質の推定処理の具体例>以降において説明する。
最初に、無線品質情報受付処理部2081は、基地局500から送信された品質指標を受け取り(S101)、受け取った品質指標を品質情報DB2091に格納する(S101)。品質指標には基地局500で測定された品質指標と端末600で測定された品質指標も含まれる。
図10は無線品質情報受付処理部2081における動作例を表わすフローチャートである。図10の処理の一部は図9に示す処理と重複している部分もある。
無線品質情報受付処理部2081は、処理を開始すると(S20)、測定データを収集する(又は受け取る)(S20又はS100)。ここで測定データは、例えば、基地局500から送信された品質指標である。次いで、無線品質情報受付処理部2081は、収集した品質指標を品質情報DB2091に格納する(S23又はS101)。そして、無線品質情報受付処理部2081は一連の処理を終了する(S24)。
図9に戻り、運用条件受信部212は、運用条件を受信し(S102)、受信した運用条件を運用条件DBに格納する(S103)。運用条件については、上述したように、例えば、運用者(又は通信事業者)によって提供を受けた種々の条件であり、例えば、登録加入者の属性、基地局500の運用実態(例えば休止中、障害発生など)、評価の基準となる閾値条件などとすることができる。
図11は運用条件受信部212における動作例を表わすフローチャートである。図11に示す処理の一部は図9に示す処理と重複している部分もある。
運用条件受信部212は処理を開始すると(S30)、運用条件を受信し(S31又はS102)、受信した運用条件を運用条件DBに格納し(S32又はS103)、一連の処理を終了する(S33)。
なお、図9において、品質指標の入力処理(S100,S101,S104)と運用条件の入力処理(S102,S203,及びS105)は、その順序は逆でもよく、先に運用条件の入力処理が行われ、次いで、品質指標の入力処理が行われてもよい。
図9において、無線品質情報抽出処理部2082は、品質情報DB2091に記憶された品質指標と運用条件DBに格納された運用条件とをそれぞれ読み出し(S104,S105)、運用条件に基づき、読み出した品質指標の中から所要の品質指標を抽出する。
品質情報DB2091には、知覚・体感品質の評価に用いる種々の品質指標(例えば、受信電力レベル、パケット損失率など)が記憶される。無線品質情報抽出処理部2082は、このような品質指標の中から、運用条件に合致した、或いは運用条件を満たす品質指標を抽出する。
例えば、運用条件としては、基地局500や端末600の受信電力レベルが一定以上の品質指標とするとき、無線品質情報抽出処理部2082は、品質情報DB2091に記憶された品質指標の中から、このような条件に合致した品質指標を抽出することができる。
そして、無線品質情報抽出部処理部は、抽出した品質指標を抽出情報DB2084に格納する(S107)。
図12(A)は、無線品質情報抽出処理部2082における動作例を表わすフローチャートである。図12(A)に示す処理の一部は図9に示す処理と重複している部分もある。
無線品質情報抽出処理部2082は、処理を開始すると(S40)、品質情報DB2091から品質指標を読み出し、運用条件DBから運用条件を読み出して、運用条件に合致した(或いは運用条件を満たす)所要の品質情報を抽出する(S41)。無線品質情報抽出処理部2082は、抽出した品質指標を抽出情報DB2084に格納し(S42又はS107)、一連の処理を終了する(S43)。
なお、図12(B)は品質情報DB2091に記憶された品質情報の例を表わしている。図12(B)は、無線品質情報抽出処理部2082により、品質情報DB2091に記憶された品質指標の中から、運用条件に合致した(或いは運用条件を満たす)、1又は複数の品質指標が抽出される様子を表わしている。
図9に戻り、判定条件抽出処理部2083は、運用条件DBから運用条件を読み出し(S105)、読み出した運用条件から無線品質の品質変位判定に関わる判定条件を抽出する。判定条件としては、運用条件の中から抽出されるため、例えば、利用者属性、地域、閾値などの条件となる。例えば、運用条件に判定条件となり得るものに対してフラグが付与されており、判定条件抽出処理部2083は、運用条件DBに記憶された運用条件の中から、フラグが付与された運用条件を読み出すことで判定条件を抽出することができる。フラグは、例えば、運用者による入力操作などにより付与され、運用者インターフェース211において運用条件が入力される際に、運用条件ごとにフラグが付与されているものとする。
図13は判定条件抽出処理部2083における動作例を表わすフローチャートである。判定条件抽出処理部2083は、処理を開始すると(S50)、運用条件DBから運用条件を読み出し(S105)、判定条件を抽出する(S51)。判定条件抽出処理部2083は、例えば、フラグが付与された運用条件を読み出すことで判定条件を抽出する。判定条件抽出処理部2083は、抽出した判定条件を判定条件DB2085に格納し(S52又は図9のS108)、一連の処理を終了する(S53)。
図9に戻り、無線品質変位判定処理部2086は、抽出情報DB2084から読み出した品質指標と、判定条件DB2085から読み出した判定条件とに基づいて、知覚・体感品質の推定に影響を与えるような品質指標の変位を抽出する。例えば、無線品質変位判定処理部2086は、品質指標の最大値と最小値の幅や品質指標の時系列変化が判定条件である閾値以上であるか否かなどを判定し、閾値以上であれば当該品質指標の変位値を出力する。
すなわち、無線品質変位判定処理部2086は、品質指標の変位が推定処理や評価処理を行うのに十分な変位がある(又は判定条件を満たす)品質指標を抽出し、十分な変位がない(又は判定条件を満たさない)品質指標を処理対象から外すようにしている。これにより、以降の処理において対象となる品質指標の絞り込みが行われ、品質評価サーバ200全体の処理の効率化を図ることができる。
図14は無線品質変位判定処理部2086における動作例を表わすフローチャートである。図14に示す処理の一部は図9と重複している部分もある。
無線品質変位判定処理部2086は、処理を開始すると(S60)、抽出情報DB2084から品質指標を読み出し、判定条件DB2085から判定条件を読み出す(S109,S110)。そして、無線品質変位判定処理部2086は、推定及び評価処理が行われるのに十分な変位がある(又は判定条件を満たす)品質指標を抽出する(S61)。そして、無線品質変位判定処理部2086は、抽出した品質指標の変位値を品質変位値DB2092に格納し(S62又はS111)、一連の処理を終了する(S63)。
図9に戻り、知覚品質推定処理部220は、品質変位値DB2092から品質指標の変位値を読み出して(S112)、品質指標の変位の特徴を分析することで、知覚・体感品質を推定し、分析結果を推定知覚品質値として推定知覚品質値DB230に記憶する(S118)。
品質指標の変位に対する特徴の分析手法としては、分布状態処理(S113)、バラツキ度処理(S114)、偏り度処理(S115)、第1の推移確率処理(S116)、及び非対称離散処理(S117)などがある。これらの分析手法のうち、どれが用いられるか、或いはどのような組み合わせが用いられるかについては任意とする。これらの分析手法の詳細は、 <3.1 知覚・体感品質の推定処理の具体例>において説明する。
図15は、知覚品質推定処理部220で行われる動作例を表わすフローチャートである。図15に示す処理の一部は図9に示す処理と重複している部分もある。
知覚品質推定処理部220は、処理を開始すると(S70)、品質変位値DB2092から対象となる品質指標の変位値を読み出し(S112)、当該品質指標の変位の特徴を分析する(S71)。そして、知覚品質推定処理部220は、分析結果を推定知覚品質値として推定知覚品質値DB230に格納し(S72又はS113)、一連の処理を終了する(S73)。
図9に戻り、知覚・体感品質評価処理部240は、知覚品質推定処理部220で得られた分析結果(推定知覚品質値)に対して、知覚・体感品質を評価する。推定の際に、人間の心理的要因を加味した分析が行われるが、そのような分析の手法としては、第2の推移確率処理(S120)や相対的評価処理(S121)などがある。詳細は、<3.2 品質評価サーバ200における知覚・体感品質の評価処理の例>において説明する。
知覚・体感品質評価処理部240は、推定知覚品質値に対して、このような分析を行うことにより、知覚・体感品質を評価し、その分析結果(または評価結果)を知覚・体感品質評価値として出力する。知覚・体感品質評価処理部240は、知覚・体感品質評価値を知覚・体感品質評価値DB245に格納する(S126)。
また、知覚・体感品質評価処理部240は、期待品質/視聴履歴比較処理(S125)を行うこともできる。知覚・体感品質評価処理部240は、コンテンツ情報として視聴者(登録利用者)の過去の視聴履歴と知覚・体感品質評価値とを比較し、知覚・体感品質について視聴履歴の反映が必要な場合、知覚・体感品質評価値を補正する。
例えば、推定した知覚・体感品質評価値が過去の視聴履歴から逸脱しているような値のとき、知覚・体感品質評価処理部240は、視聴履歴の反映が必要と判別し、推定した知覚・体感品質評価値を補正する。詳細は、<3.2 品質評価サーバ200における知覚・体感品質の評価処理の例>において説明する。
図16は知覚・体感品質評価処理部240で行われる動作例を表わすフローチャートである。図16の示す処理の一部は図9に示す処理と重複している部分もある。
知覚・体感品質評価処理部240は、処理を開始すると(S80)、推定知覚品質値DB230から推定知覚品質値を読み出して、推定知覚品質値に人間の心理的要因を加味した処理を行う(S81)。本処理は、例えば、図9に示す第2の推移確率処理(S120)や相対的評価処理(S121)に対応する。
そして、知覚・体感品質評価処理部240は、S81の処理結果(又は知覚・体感品質評価値)に対して、視聴履歴の反映が必要か否かを判別する(S82)。例えば、推定した知覚・体感品質が過去の視聴履歴から逸脱している否か、或いは推定した知覚・体感品質が過去の視聴履歴の範囲内か否かにより判別することができる。例えば、大多数の視聴者は過去の経験側などに引きずられるとの心理的要素を考慮したものである。
知覚・体感品質評価処理部240は、視聴履歴の反映が必要と判別したとき(S82でYes)、コンテンツ視聴履歴DB2031から読み出した過去の視聴履歴に基づいて、推定した知覚・体感品質評価値を補正する(S83)。本処理における「補正」とは、例えば、推定した知覚・体感品質が過去の視聴履歴から逸脱しているとき(又は過去の視聴履歴の範囲内にないとき)、推定した知覚・体感品質を「より悪く」(例えば1ランク落とす)するようにすることをいう。このような補正により、推定した知覚・体感品質が人間の心理的要素を考慮したものにすることができる。本処理は、例えば、図9における期待品質/視聴履歴比較処理(S125)に対応する。
そして、知覚・体感品質評価処理部240は、一連の処理を終了する(S84)。なお、補正後の知覚・体感品質評価値についても知覚・体感品質評価値DB245に記憶される。
一方、知覚・体感品質評価処理部240は、視聴履歴の反映が必要でないと判別したとき(S82でNo)、知覚・体感品質評価値に対してとくに補正することなく、一連の処理を終了する(S84)。
図9に戻り、評価結果通知処理部260は、知覚・体感品質評価値DB245に記憶された知覚・体感品質評価値を適宜読み出して(S127)、各インターフェース201,207,211を介して基地局500やコンテンツサーバ100などに通知する(S128)。また、評価結果通知処理部260は、知覚・体感品質評価値を通知ログとしてメモリに記憶することもできる(S129)。
一方、過去の視聴履歴のコンテンツ視聴履歴DB2031への登録については以下のような処理が行われる。すなわち、コンテンツ情報受信部202は、コンテンツサーバIF201を介してコンテンツサーバ100からコンテンツ情報を受信し、コンテンツ視聴履歴DB2031に記憶する。図9に示すコンテンツ視聴履歴DB2031は、例えば、図8に示すコンテンツ情報記憶部203に対応する。コンテンツ情報としては、例えば、視聴者が過去において視聴した場所、時間、コンテンツの種類、更に、過去に評価された知覚・体感品質値が含まれる。知覚・体感品質評価処理部240は、コンテンツ視聴履歴DB2031から読み出したコンテンツ情報と、第2の推移確率処理(S120)などにより評価した知覚・体感品質値とを比較して処理(例えば図16のS82など)を行うことができる。
図17はコンテンツ情報受信部202における動作例を表わすフローチャートである。図17に示す処理の一部は図9に示す処理と重複している部分もある。
コンテンツ情報受信部202は、処理を開始すると(S90)、コンテンツ情報を受信することで、視聴者の過去の視聴履歴を受け付け(S91又はS122)、コンテンツ情報をコンテンツ視聴履歴DB2031に格納し(S92又はS123)、一連の処理を終了する(S93)。
なお、本実施の形態において視聴者とは、有料のコンテンツを視聴することのできる、有料サービス登録者のことである。このような視聴者は、例えば、コンテンツサーバ100を管理する情報提供業者などに対して、サービスの提供を受けるために料金を支払っており、本通信システム10により推定及び評価した知覚・体感品質に基づいて何らかの便益を受けたい人なのである。
<3.1 知覚・体感品質の推定処理の具体例>
次に知覚品質推定処理部220で行われる知覚・体感品質の推定処理の具体例について説明する。知覚・体感品質の推定処理の具体例としては、図9に示すように、分布状態処理(S113)、バラツキ度処理(S114)、偏り度処理(S115)、第1の推移確率処理(S116)、及び非対称離散処理(S117)などがある。
知覚品質推定処理部220では、このような処理を行うことで、品質指標の変位値に対する特徴分析を行い、これにより、視聴者が視聴している画像(又は端末600で再生されている画像)の知覚・体感品質を推定する。
本項目では、これらの処理の具体例について順に説明する。
<3.1.1 分布状態処理>
最初に分布状態処理(S113)について説明する。品質指標として、例えば、基地局500において送信電力制御が行われる場合の送信電力の変位を例にして説明する。
基地局500では端末600に対して送信電力制御と呼ばれる処理が行われる場合がある。送信電力制御が行われる際、基地局500は、端末600との間の無線区間の品質が基準値を下回るとき端末600に対して送信電力の増加を要求し、無線区間の品質が基準値を超えるとき送信電力の低下を要求する。基地局500は、このような送信電力制御を行うことで、端末600に対して継続したサービスの提供を行うことが可能となる。
送信電力制御が行われる際、送信電力の増加を「+」、送信電力の低下を「−」とし、時系列に連続してプロットすると図18に示すグラフを得ることができる。このような送信電力の変位を、例えば電力制御変位と称する場合がある。電力制御変位は時系列に連続する無線回線品質の変位を表わしており、従って、電力制御変位を品質指標として用いることができる。
なお、図18において横軸は時間、縦軸は電力制御変位を示している。また、「f0」や「f1」などは、単位時間を表わしており、単位時間としては例えば1無線フレーム期間や1画像フレーム期間とすることができる。
例えば、このような電力制御変位は基地局500から送信され(例えば図3のS14や図4のS17−1〜S17−n)、無線品質情報抽出処理部2082(図9)や無線品質変位判定処理部2086(図9)により、電力制御変位が抽出されて、品質変位値DB2092に記憶される(例えば図9のS111)。これにより、例えば、知覚品質推定処理部220は判定条件に合致した(又は満たす)、図18で示すような電力制御変位を得ることができる。この例の場合、判定条件に合致した電力制御変位の値(例えば、図18の縦軸に示される値)が品質変位値DB2092に記憶される。
図19(A)は所定期間「fn」における電力制御変位の例を表わすグラフである。分布状態処理(S113)において、知覚品質推定処理部220は、所定区間における電力制御変位のうち、最大値(f(n)MAX)、最小値(f(n)MIN)、又は平均値(f(n)AVE)を抽出又は算出し、これを正規化する。正規化した値をPQS(n)とする。各所定期間の正規化値PQS(n)(例えば0≦n≦k)の分布は、所定の品質基準値を中心とした正規分布となる。
図19(B)はかかる正規分布の例を表わすグラフである。図19(B)において横軸は正規化した電力制御変位、縦軸は正規化したPQSの分布(以下、個数と略す)を示す。例えば、図19(B)において品質基準値を中心に右側は無線品質が良好であり、左側は無線品質が劣化していることを表わしている。
このように、分布状態処理(S113)においては、知覚品質推定処理部220は、例えば、品質変位値DB2092に記憶された送信電力制御変位を所定期間ごとに正規化し、各区間で正規化した送信電力制御変位の個数を正規化した送信電力制御変位の値ごとに積算することで送信電力制御変位の分布状態を得ることができる。このような送信電力制御変位の分布状態から、無線区間におけるデータトラフィックの品質傾向を把握でき、データトラフィックが視聴者に与えた知覚・体感品質の傾向が推定できる。
品質指標としては、送信電力制御変位以外にも、受信電力レベルやパケット損失率などでもよい。その場合でも、知覚品質推定処理部220は、例えば、品質変位値DB2092から品質指標を読み出し、読み出した品質指標を所定期間ごとに正規化し、正規化した品質指標の個数を正規化した品質指標の値ごとに積算することで、品質指標の分布状態を得ることができる。
知覚品質推定処理部220は、分布状態処理(S113)により、例えば、正規化した品質指標の値PQS(n)と各値PQS(n)の個数とを、推定した知覚・体感品質として推定知覚品質値DB230に格納する(図9のS118)。推定知覚品質値DB230に記憶された品質指標の値PQS(n)と各値PQS(n)の個数は、後段の知覚・体感品質評価処理部240において評価されることになる。
<3.1.2 バラツキ度処理>
次に、知覚・体感品質の推定処理の具体例として、バラツキ度処理(S114)について説明する。
上述した分布状態処理(S113)においては、品質指標の正規化値PQS(n)を抽出又は算出した。バラツキ度処理(S114)においては、知覚品質推定処理部220は、品質指標の正規化値PQS(n)に対して、分散値PQSDISRIBUTION或いは標準偏差PQSSTANDARD
DEVIATIONを計算する。知覚品質推定処理部220は、分散値PQSDISRIBUTION又は標準偏差PQSSTANDARD DEVIATIONをバラツキ度とすることができる。このバラツキ度を、例えば、推定した知覚・体感品質とすることができる。
知覚品質推定処理部220は、例えば、以下の式を用いて分散値PQSDISRIBUTIONと標準偏差PQSSTANDARD
DEVIATIONを計算する。
PQSDISRIBUTION={(PQS(0)−PQSAVE)2+(PQS(1)−PQSAVE)2+…+(PQS(n)−PQSAVE)2}/2 ・・・(1)
PQSSTANDARD DEVIATION=√PQSDISRIBUTION ・・・(2)
知覚品質推定処理部220は、品質変位値DB2092から読み出した品質指標の変位値に対して正規化処理を施し、正規化値PQS(n)に対して式(1)又は式(2)を計算し、その計算結果を推定した知覚・体感品質として推定知覚品質値DB230に格納する。
このようなバラツキ度によっても、例えば、所定の品質基準値に対して品質指標がどれ程散らばっているのかを把握することができるため、無線区間におけるデータトラフィックの品質傾向が把握でき、データトラフィックが視聴者に与えた知覚・体感品質の傾向が推定できる。バラツキ度についても、後段の知覚・体感品質評価処理部240において評価されることになる。
<3.1.3 偏り度処理>
次に、知覚・体感品質の推定処理の具体例として、偏り度処理(S115)について説明する。
偏り度処理(S115)においても、正規化値PQS(n)が用いられる。例えば、図18において連続した複数の単位区間「f0」,「f1」,・・・を1つにまとめ、1ブロックとする。知覚品質推定処理部220は、1ブロックにおける品質指標の正規化値PQS(n)の平均値PQS(bn)AVEを求め、品質基準値PQS(b)STANDARDに対して、以下の式により偏り度PQSDEVIATIONを演算する。
PQSDEVIATION={(PQS(b1)AVE−PQS(b)STANDARD)2+(PQS(b2)AVE−PQS(b)STANDARD)2+・・・}/PQS(b)STANDARD ・・・(3)
偏り度処理(S115)においては、各ブロックにおいて品質指標の偏りがないものと仮定し、式(3)で算出された値により、各ブロックにおける偏り度が判定される。偏り度は、例えば、1ブロックにおける品質指標の正規化値PQS(n)の平均値PQS(bn)AVEが、品質基準値PQS(b)STANDARDに対してどれだけ偏っているかを表わしている。
知覚品質推定処理部220は、複数の連続する所定期間又は単位区間をまとめて1つのブロックとし、各ブロックにおける品質指標の変位値に対して正規化処理を施し、各ブロック単位の正規化値の平均値PQS(bn)AVEを求める。そして、知覚品質推定処理部220は、メモリなどに保持した品質基準値PQS(b)STANDARDと、正規化値の平均値PQS(bn)AVEとを式(3)に代入するなどして偏り度PQSDEVIATIONを算出する。
偏り度についても、式(3)から明らかなように、基準値に対する品質指標の偏りが求められ、このような偏りから、無線区間におけるデータトラフィックの品質傾向が把握でき、当該トラフィックが視聴者に与えた知覚・体感品質を推定することができる。
式(3)で得られた偏り度PQSDEVIATIONについても、後段の知覚・体感品質評価処理部240において評価されることになる。
<3.1.4 第1の推移確率処理>
次に、知覚・体感品質の推定処理の具体例として、第1の推移確率処理(S116)について説明する。本項目では、品質指標として、動画像の画質q(n)(nは例えばn番目の画像フレームを表わす)を例にして説明する。知覚品質推定処理部220は、品質指標DBから動画像の画質q(n)の変位値を得て、画質q(n)に対して正規化処理を施す。画質q(n)の正規化値をPQS(n)とする。知覚品質推定処理部220は、この正規化値PQS(n)に対して、人間の心理的要因を加味した処理を行う。
図20は、Asymmetric Tracking Model(非対称追跡モデル)と呼ばれるモデルを表わすグラフの例を示している。Asymmetric Tracking Modelは、例えば、品質の向上と低下とでは、低下する方が向上するよりも強く評価される(又は印象に残る)傾向にあるという人間の心理的要因を表わすモデルである。図20の横軸は画質に関する正規化値PQS(n)、縦軸は推定される知覚・体感品質値をそれぞれ表わす。
知覚品質推定処理部220は、このようなAsymmetric Tracking Modelに合致するように正規化値に対して重み付けをすることで知覚・体感品質の推定値PQを得ることができる。
例えば、正規化値PQS(n)が「−10」から「+10」までの値の範囲で推移するときを考える。この場合、例えば、知覚品質推定処理部220は、「−10」から「−1」までの正規化値PQS(n)に対する重み付けする値の絶対値は、「+1」から「+10」までに対する重み付けする値の絶対値よりも高いものとすることができる。
或いは、知覚品質推定処理部220は、上述した分布状態処理(S113)やバラツキ度処理(S114)、又は偏り度処理(S115)においても、Asymmetric Tracking Modelに合致させるよう正規化値PQS(n)に対して重み付けしてもよい。
なお、図20において、例えば、推定値PQがポジティブは良好、ネガティブは悪化を意味している。
第1の推移確率処理(S116)においては、知覚品質推定処理部220は、さらに、知覚・体感品質の推定値PQに対して時間的な変位に基づいて、推移確率Qn,Pnを演算する。
図21は各時刻t1,t2,・・・における推定値PQを横軸にプロットした場合の例を表わす図である。例えば、ある時刻t1において式(4)により得た推定値PQをA1、時刻t2により得た推定値PQをA2などとする。図21において[2]や[3]などが推定値PQの例を表わしている。図21において、例えば、時刻t1から時刻t6までを単位時間Tとするとき、単位時間T内においては極小点PQn−1と、極小点PQn−1に次ぐ極小点PQn、及び極大点PQn+1が存在する。図21の例では、時刻t6時点で“最適打切り”と見なして終了し、その時の極小点PQn−1=A6=2、極小点(PQn−1)に次ぐ極小点PQn=A4=3、極大点PQn+1=A5=8となる。なお、図21の例では時刻t6の時点で“最適打切り”とみなして処理は終了したが、どの時点をもって終了するかは任意とすることができる。
そして、知覚品質推定処理部220は、極小点PQn−1と、極小点PQn−1に次ぐ極小点PQn、及び極大点PQn+1を用いて、以下の式(5)と式(6)により、推移確率QnとPnをそれぞれ算出する。
Qn=[PQn+1−PQn]/[PQn+1−PQn−1] ・・・(5)
Pn=[PQn−PQn−1]/[PQn+1−PQn−1] ・・・(6)
図21の例における推移確率Qn,Pnは、Q6=5/6、P6=1/6となる。知覚品質推定処理部220は、この推移確率Qn,Pnを推定した知覚・体感品質として、推定知覚品質値DB230に格納する。
ここで、推移確率Qnは品質悪化方向への推移確率、推移確率Pnは品質向上方向への推移確率とするとき、後段の知覚・体感品質評価処理部240においては2つの推移確率を比較することで、知覚・体感品質の挙動などは良好でない割合が高いなどと評価することができる。詳細は後述する。
<3.1.5 非対称離散値処理>
次に、知覚・体感品質の推定処理の具体例として、非対称離散処理(S117)について説明する。
非対称離散値処理においては、知覚品質推定処理部220では、品質指標の変位値に対して、その変動幅に対して非対称な重み付けを行い、重み付けされた変動値を推定した知覚・体感品質として、推定知覚品質値DB230に出力する。品質指標の変動幅は、例えば、品質指標がどの様に変化するかにより知覚・体感品質に影響を与える場合もある。
図22(A)は、ある観測期間における品質指標の変動幅の例を表す図である。観測期間における最大値f(n) max. と最小値f(n) min. に対して、変動幅Δf(n) max.-min. は、
Δf(n) max.-min. =|f(n) min. −f(n−1) max. | ・・・(7)
により得ることができる。
ここで、品質指標について、その値が高ければ高いほど、無線品質は良好であるとするとき、変動幅Δf(n)<0のとき、知覚・体感品質は悪化しており、変動幅Δf(n)>0のとき、良化している(例えば、図22(B)及び図22(C))。
そして、知覚品質推定処理部220では、Asymmetric Tracking Modelを用いた非対称離散処理(S117)を行うことで、品質指標の変動幅Δf(n)に対して、人間の心理的要因を加味した処理を行うことができる。
図23は本処理において行われる重み付けの例を表わす図である。「−5」や「−4」などの数値は“重み付け”を表わしており、説明を容易にするため正整数で表わされている。図23に示すように、知覚品質推定処理部220では、変動幅Δf(n)が負値となるときの方が正値となるときよりも重み付けする値の絶対値が大きくなるように変動値Δf(n)に対して重み付けを行う。このような重み付けにより、知覚品質推定処理部220では、Asymmetric Tracking Modelに合致した処理を行うことができる。知覚品質推定処理部220は、重み付けした変動値Δf(n)を推定した知覚・体感品質値として推定知覚品質値DB230に記憶する。
非対称離散値処理においても、知覚品質推定処理部220は、品質指標が悪化する方向に推移するとき、良化する方向に推移する場合よりも、より大きな値で重み付けすることで、品質指標の変位に対して、人間の心理的要因を加味した処理を行うことができる。
<3.1.6 その他の推定処理の具体例>
その他の推定処理としては、例えば、フーリエ変換処理が用いられるようにすることもできる。知覚品質推定処理部220は、品質変位値DB2092から読み出した品質変位値に対して、フーリエ変換を施すことで、変位の激しさを測定する。そして、知覚品質推定処理部220は、フーリエ変換後の品質変位値を入力として、分布状態処理(S113)、バラツキ度処理(S114)、偏り度処理(S115)、第1の推移確率処理(S116)、及び非対称離散値処理などの各処理を行うこともできる。
また、知覚・体感品質の推定処理における他の例としては、例えば、フレーム損失率やパケットロス、再送回数などを用いることもできる。基地局500においては、例えば、RLP(Radio Link Protocol)などによる再送制御が行われる場合もあり、品質指標として、RLPフレームの損失度、再送回数などを観測することができる。品質評価サーバ200では、基地局500からRLPフレームの損失度や再送回数などを受け取り、その変位値を推定した知覚・体感品質とすることもできるし、変位値を非対称離散値処理などにより重み付けしたり、第1の推移確率処理(S116)などにより推移確率を算出することも可能である。知覚品質推定処理部220では、基地局500から受け取った品質指標に対して、分布状態処理(S113)から非対称離散値処理までの任意の処理を行うこともできるし、複数の処理を組み合わせることもできる。
以上説明したように、知覚品質推定処理部220では、品質指標の変位に対して、分布状態処理(S113)などの特徴分析を行うことで、知覚・体感品質を推定し、推定値を推定知覚品質値DB230に格納する。そして、知覚・体感品質評価処理部240では、推定した知覚・体感品質を評価する処理を行う。次の項目ではこの評価処理について説明する。
<3.2 品質評価サーバ200における知覚・体感品質の評価処理の例>
次に、知覚・体感品質評価処理部240で行われる知覚・体感品質の評価処理について説明する。図9などに示されるように、知覚・体感品質評価処理部240が推定知覚品質部DBに記憶された推定知覚品質値を読み出して本処理を開始することができる。
本評価処理においては、例えば、前述したAsymmetric Tracking Modelを用いた処理が行われる。知覚・体感品質の評価処理において、このようなAsymmetric Tracking Modelが用いられることで、推定した知覚・体感品質が低下する方が向上するよりも強く評価される(又は印象に残る)という人間の心理的要因に合致した評価が行われる。図9に示すように、知覚・体感品質評価処理部240が行う心理的要因処理は、例えば、このようなAsymmetric Tracking Modelを用いた処理のことである。
心理的要因処理は、第2の推移確率処理(S120)と相対的評価処理(S121)を含む。第2の推移確率処理(S120)と相対的評価処理(S121)において、Asymmetric Tracking Modelの考え方を踏襲した処理が行われる。
これら2つの処理についは、例えば、知覚・体感品質評価処理部240では、推定知覚品質値と閾値とを比較する処理が行われる。知覚・体感品質評価処理部240は、例えば、推定知覚品質値が閾値よりも低いと、閾値より高い場合と比較してより品質が悪い方向への評価結果(例えば、「品質劣悪」など)を得るようにしている。これにより、知覚・体感品質評価処理部240は、Asymmetric Tracking Modelの考え方に合致した処理を行うことができる。
または、知覚・体感品質評価処理部240は、推定された画像の品質が閾値よりも低いときの第1の評価結果は、第2の評価結果よりも、品質が悪い評価結果を出力するようにしてもよい。
以下においては、心理的要因処理として、第2の推移確率処理(S120)と相対的評価処理(S121)の詳細について説明する。
なお、本評価処理においては、期待品質/視聴履歴比較処理(S125)も行われる。推定した知覚・体感品質について、大多数の視聴者は過去の履歴或いは経験側に引きずられるとの心理的要素が働くものであり、期待品質/視聴履歴比較処理(S125)では、このような心理的要素を考慮した処理が行われる。期待品質/視聴履歴比較処理(S125)の詳細も後述する。
<3.2.1 第2の推移確率処理>
第2の推移確率処理(S120)では、例えば、知覚品質推定処理部220で得られた推定知覚品質値に基づいて、知覚・体感品質の推移の傾向を確立論から推定することで知覚・体感品質の評価を行うようにした処理である。その際に、知覚・体感品質評価処理部240は、Asymmetric Tracking Modelに合致した処理を行う。
具体的には、知覚・体感品質評価処理部240は、例えば、第1の推移確率処理(S116)で得られた2つの推移確率Qn,Pnを推定知覚品質値DB230から読み出して、2つの推移確率Qn,Pnを比較することで、知覚・体感品質を評価する。
図21の例においては、式(5)及び式(6)からQ6=5/6、P6=1/6が得られた。例えば、推移確率Qnは、極小点PQn−1への推移に関する推移確率であるため品質悪化方向への推移確率とすることができる。また、推移確率Pnは、極大点PQn+1への推移に関する推移確率であるため品質向上方向への推移確率とすることができる。このように、推移確率Qnは品質悪化方向への推移確率、推移確率Pnは品質向上方向への推移確率とするとき、知覚・体感品質評価処理部240は、推移確率Q6(=5/6)の方が、推移確率P6(=1/6)よりも数値が高いため、視聴者が視聴している画像の知覚・体感品質は良好でない割合が良好である割合よりも高いと推論することができる。逆に、知覚・体感品質評価処理部240は、推移確率Pnの方が推移確率Qnよりも数値が高いとき、視聴者が視聴している画像の知覚・体感品質は良好である割合が良好でない割合よりも高いと推論することもできる。
知覚・体感品質評価処理部240は、2つの推移確率Qn,Pnを比較して、知覚・体感品質は良好である割合が良好でない割合よりも高いとか、知覚・体感品質は良好でない割合が良好である割合よりも高いなどの評価結果を知覚・体感品質評価値DB245に記憶する。この場合、例えば、知覚・体感品質評価処理部240は、前者の場合に「1」(又は知覚・体感品質は良好である)、後者の場合「0」(又は知覚・体感品質は良好でない)などと、評価結果に対応する値で数値化し、これを評価結果として知覚・体感品質評価値DB245に記憶することができる。知覚・体感品質評価処理部240は、推定した知覚・体感品質、この例では2つの推移確率Pn,Qnも評価結果とともに知覚・体感品質値DBに記憶してもよい。
この評価結果については、推移確率Q(例えば品質悪化方向への推移確率)の方が推移確率Pよりも高いとき、知覚・体感品質評価処理部240は「品質劣悪」と判別し、そうでないときは「品質は通常」などと評価することもできる。知覚・体感品質評価処理部240は、品質悪化(又は品質低下)方向については、品質が良化する(又は品質向上)方向よりも強く評価することで、前述のAsymmetric Tracking Modelの考え方に合致した処理を行うことができる。或いは、知覚・体感品質評価処理部240は、品質悪化の場合については、品質が良化する場合よりも強く評価するようにしてもよい。
或いは、知覚・体感品質評価処理部240は、推移確率Q(例えば品質悪化方向への推移確率)の方が推移確率Pよりも閾値以上高いとき、「品質劣悪」、推移確率Qの方が推移確率Pよりも高いが閾値以下のときは「品質やや悪」などと評価することもできる。この場合でも、知覚・体感品質評価処理部240は、品質悪化方向については、品質が良化する方向よりも強く評価することで、前述のAsymmetric Tracking Modelの考え方に合致した処理となる。
<3.2.2 相対的評価処理>
次に相対的評価処理(S121)について説明する。相対的評価処理(S121)では、例えば、知覚・体感品質評価処理部240において、相対的評価指標により推定知覚品質値を評価するようにした処理である。その際に、知覚・体感品質評価処理部240は、Asymmetric Tracking Modelに合致した処理を行う。
図24は相対的評価処理(S121)を説明するために用いる図である。例えば、推定知覚品質値として、第1の推移確率処理(S116)で得られた推移確率Qnの場合、相対的評価指標として3つの閾値α、β、γが定義される。例えば、相対的評価指標としてはこの3つの閾値とすることができる。
この際に、知覚・体感品質評価処理部240は、品質悪化方向については、品質が良化する方向よりも強く評価するようにする。例えば、知覚・体感品質評価処理部240は、推移確率Qnが閾値α以下のとき「最悪」、閾値α以上β以下のとき「劣悪」、閾値β以上γ以下のとき「やや悪い」、閾値γを「普通」などとすることで、推移確率Qnを評価する。推移確率Pnについても、知覚・体感品質評価処理部240は、定義された3つの閾値α、β、γと推移確率Pnとを比較して、閾値の範囲内にあるか否かにより、「良好」や「優」などと評価することができる。
このような評価により、知覚・体感品質評価処理部240では、例えば品質悪化方向へは良化方向に対してより強く評価するというAsymmetric Tracking Modelに合致した処理を行うことができる。
知覚・体感品質評価処理部240は、評価結果を知覚・体感品質評価値DB245に記憶するが、例えば、評価結果を評価結果に対応する値で数値化し、この数値化された値を記憶するようにしてもよい。図24の例では、「最悪」の評価結果の場合は「1」、「劣悪」の場合は「2」などが記憶されてもよい。
図24に示す例は、例えば、知覚・体感品質評価処理部240は、相対的評価指標として3つの閾値を用いたが、1つの閾値を用いて評価してもよいし、2つの閾値や、4つ以上の閾値を用いて評価してもよい。このような閾値は、知覚・体感品質評価処理部240内、或いは品質評価サーバ200内のメモリに記憶されているものとする。
このような相対的評価指標による評価は、第1の推移確率処理(S116)で得られた推定知覚品質値だけでなく、分布状態処理(S113)やバラツキ度処理(S114)、偏り度処理(S115)、非対称離散処理(S117)などにより得られた推定知覚品質値が用いられてもよい。
例えば、分布状態処理(S113)により得られた推定知覚品質値の場合、推定知覚品質値は、品質指標(例えば受信電力レベルなど)に対して正規化された値PQS(n)と各値PQS(n)の個数である。知覚・体感品質評価処理部240は、正規化値PQS(n)と各値PQS(n)の個数とに基づいて相対的評価処理(S121)を行う。
例えば、知覚・体感品質評価処理部240は、最も個数の多い正規化値PQS(n)と閾値(1つでもよいし、複数でもよい)とを比較する。閾値としては、例えば、図19(B)に示す「品質基準値」とする場合、最も個数の多い正規化値PQS(n)が閾値より高いとき(図19(B)で右側)、視聴者が視聴している画像の知覚・体感品質は「良好」と評価し、閾値以下のとき「劣化」と評価することができる。複数の閾値により、更に詳細な評価結果としてもよい。
また、バラツキ度処理(S114)によって得られた推定知覚品質値の場合、推定知覚品質値は、分散値PQSDISRIBUTION又は標準偏差PQSSTANDARD
DEVIATIONとなる。この場合、知覚・体感品質評価処理部240は、この分散値又は標準偏差と、1又は複数の閾値とを比較することで、知覚・体感品質を評価する。
例えば、分散値PQSDISRIBUTIONが閾値α以上でβ以下のとき「劣悪」、分散値PQSDISRIBUTIONが閾値β以上のとき「やや悪」などとすることができる。知覚・体感品質評価処理部240は、分散値PQSDISRIBUTION又は標準偏差PQSSTANDARD
DEVIATIONのいずれかを用いても良いし、双方を用いて評価してもよい。
さらに、偏り度処理(S115)によって得られた推定知覚品質値の場合、推定知覚品質値は、式(3)により得られた偏り度PQSDEVIATIONである。この場合、知覚・体感品質評価処理部240は、偏り度PQSDEVIATIONと、1又は複数の閾値とを比較することで、例えば閾値α以上のときは「優」などと、知覚・体感品質を評価する。
さらに、非対称離散処理(S117)により得られた推定知覚品質値は、非対称な離散値で重み付けされた変動幅Δf(n)である。観測期間における品質指標の最大値f(n)MAXと最小値f(n)MINの変動幅Δf(n)に対して、1又は複数の閾値と比較することで、変動幅Δf(n)に対して評価を行うことができる。例えば、閾値α=0として、知覚・体感品質評価処理部240は、変動幅Δf(n)が閾値以下のとき「劣化」、閾値α以上のとき「良好」などと評価することができる。このような相対的評価処理(S121)は、例えば、図22(B)や図22(C)に示すような品質指標に対する評価結果とも合致する。
知覚・体感品質評価処理部240は、分布状態処理(S113)やバラツキ度処理(S114)、偏り度処理(S115)、非対称離散処理(S117)などによる場合でも、例えば、評価結果に対応する数値で評価結果を表わすこともでき、その数値を知覚・体感品質評価値DB245に記憶することもできる。それぞれの場合においても、評価結果については、品質悪化方向へは良化方向に対してより強く評価することによって、例えば、Asymmetric Tracking Modelに合致した処理が行われる。
このように、相対的評価処理(S121)においては、知覚品質推定処理部220で推定した知覚・体感品質に対して、閾値による評価を行うことで評価結果を得るようにしている。
なお、この閾値については、予め定義された値に対して、条件などによって変化させることもできる。例えば、視聴者が視聴している時間や地域、コンテンツの種類などにより変化させることも可能である。
例えば、視聴者が昼間にコンテンツを視聴しているときは閾値を下げて、視聴者がコンテンツの視聴を許容できる範囲をそれまでよりも多くしたり、逆に夜は閾値を上げて視聴者がコンテンツの視聴を許容できる範囲をそれまでよりも小さくすることもできる。また、視聴者が視聴している場所が都市部では閾値を上げ、都市部以外では閾値を下げるなどとすることもできる。
閾値の変化により評価結果が異なるようになるが、視聴者が視聴している時間や場所、コンテンツの種類などに応じた評価結果を得ることができる。そして、このような閾値の変化により、例えば、昼間なので夜間と比較してコンテンツを視聴する視聴者は多くなり、多少品質が悪くても良い、或いは夜なので品質は昼間と比較して良い、など人間の心理に合致した評価を行うことが可能となる。したがって、相対的評価処理(S121)は、人間の心理的要因を考慮した処理と考えることもできる。
なお、このような時間や場所、コンテンツの種類については、知覚・体感品質評価処理部240はコンテンツ視聴履歴DB2031から得ることができ、これを用いて閾値を上下させることができる。過去の履歴だけでなく、現在視聴しているコンテンツの種類、時間、視聴者が視聴している場所などの情報がコンテンツサーバ100から送信されて、コンテンツ視聴履歴DB2031に記憶されるからである。
以上、相対的評価処理(S121)の詳細について説明した。知覚・体感品質評価処理部240は、相対的評価処理(S121)や第2の推移確率処理(S120)により得られた評価結果をそのまま知覚・体感品質評価値DB245に記憶してもよいが、評価結果と過去の視聴履歴と比較して、更に知覚・体感品質を評価することもできる。このような処理は、例えば、期待品質/視聴履歴比較処理において行われる。次の項目では、期待品質/視聴履歴比較処理について説明する。
<3.2.3 期待品質/視聴履歴比較処理>
次に、期待品質/視聴履歴比較処理について説明する。期待品質/視聴履歴比較処理では、知覚・体感品質評価処理部240が第2の推移確率処理(S120)又は相対的評価処理(S121)により得た知覚・体感品質評価値に対して、過去の視聴履歴と比較して、更に、知覚・体感品質を評価する。
例えば、図24に示すように、知覚・体感品質評価処理部240は、第2の推移確率処理(S120)又は相対的評価処理(S121)で得た知覚・体感品質値(本項目においては、「現在の知覚・体感品質値」と称する場合がある)と、過去の視聴履歴に含まれる過去の知覚・体感品質値(過去の評価値「x」)とを比較して、どれだけ差があるか(又は離れているかなど)などを測定する。品質評価サーバ200は、例えば、このような差を基地局500にフィードバックすることで、基地局500はこれまでよりも送信電力を上げたり、コンテンツサーバ100にフィードバックすることで視聴料金に反映させるなどの対処を行うことができる。
例えば、現在の知覚・体感品質値が過去の知覚・体感品質値よりも高いとき、視聴者は過去と比較して現在「良好」な品質でコンテンツを視聴していると推定されることができ、このような場合、情報提供業者は視聴の料金をこれまでよりも高くするなどとすることできる。
あるいは、知覚・体感品質評価処理部240は、そのような差が所定の範囲内にあるか範囲外にあるかを検出してもよい。例えば、品質評価サーバ200は範囲内にあるか否かを基地局500やコンテンツサーバ100などにフィードバックすることで、基地局500やコンテンツサーバ100では端末600に送信するコンテンツに対して何らかの改善を施したり、何もしないなどの処理を施すことが可能となる。
この場合、知覚・体感品質評価処理部240は、過去の知覚・体感品質値と現在の知覚・体感品質値とを比較して、その差が所定範囲内にあるか否かにより、視聴者がコンテンツの視聴を許容する許容範囲内か、許容範囲内ではないのかを評価することもできる。
前述したように、過去の履歴として過去の知覚・体感品質値が得られるとき、視聴者が過去においてどのような品質によりコンテンツを視聴していたかを品質評価サーバ200は把握することができる。知覚・体感品質評価処理部240は、現在の知覚・品質評価値と過去の知覚・品質評価値との差がある範囲内にあれば、現在も視聴者が視聴する品質の範囲で視聴していると評価し、許容範囲内と評価することができる。或いは、知覚・体感品質評価処理部240は、差がある範囲内になければ、過去から逸脱した品質で現在視聴していると判断でき、許容範囲内ではないと評価することもできる。このように、知覚・体感品質評価処理部240は、過去の知覚・体感品質値を用いて、現在の知覚・体感品質を評価することもできる。
この場合、知覚・体感品質評価部は、現在の知覚・体感品質がどの方向にずれているかについても知覚・体感品質評価値DB245に記憶することができる。例えば、知覚・体感品質が「劣化」する方向にあるときと(例えば、現在の知覚・体感品質値が「1」や「2」などの他と比較して低い値)、「良好」な方向にあるとき(例えば、現在の知覚・体感品質値が「4」や「5」など他と比較して高い値)で処理が異なる場合もあるからである。
例えば、知覚・体感品質評価値のフィードバックを受けた基地局500やコンテンツサーバ100などでは、その知覚・体感品質評価値が「劣化」している方向にあるときは、これまでよりも、送信電力を上げたり、料金を低くしたりすることができる。一方、基地局500やコンテンツサーバ100などでは、知覚・体感品質評価値が「良好」な方向にあるときは、これまでよりも、送信電力を下げたり、料金を高くすることができる。
このようにどの方向にずれているかによって、基地局500やコンテンツサーバ100などでは、対処の方法を変えることができ、そのため、知覚・体感品質評価処理部240は、ずれている方向についても知覚・体感品質評価値DB245に記憶することができる。
なお、上述した知覚・体感品質評価処理において行われる処理(例えば図16)において、視聴履歴の反映が必要か否かについて説明した(S82)。例えば、知覚・体感品質評価処理部240は2つの知覚・体感品質値の差がある閾値以上のとき反映が必要と判断することができる(S82でYes)。この場合、知覚・体感品質評価処理部240は、知覚・体感品質を補正する(S83)。例えば、知覚・体感品質評価処理部240は、推定した知覚・体感品質値を「より悪く」するように補正し、補正後の知覚・体感品質値を知覚・体感品質評価値DB245に記憶する。
このように知覚・体感品質評価処理部240は、推定知覚品質値を評価することで、視聴者が視聴している画像の知覚・体感品質を評価し、その評価結果を知覚・体感品質評価値として、知覚・体感品質評価値DB245に記憶する。知覚・体感品質評価値としては、閾値との比較により得た「良好」や「劣化」などの評価結果や、評価結果に対応する数値とすることができる。あるいは、知覚・体感品質評価値は、過去の知覚・体感品質評価値と現在の知覚・体感品質評価値との差分や、ずれている方向(例えば「劣化」する方向か「良好」な方向か)であってもよい。
知覚・体感品質評価値は、評価結果通知処理により適宜読み出されて、通知ログとして記憶されたり、基地局500やコンテンツサーバ100に送信される。基地局500やコンテンツサーバ100などでは、知覚・体感品質評価値を受信すると、当該評価値に対応したさまざまな処理を行うことができる。このような対処処理は、本実施の形態では「知覚・体感品質を用いたアプリケーション」と称する場合がある。基地局500が送信電力を上げたり、情報提供事業者により料金が安く設定されたりすることなどはこのようなアプリケーションの1つである。
<4 知覚・体感品質を用いたアプリケーションについて>
次に知覚・体感品質を用いたアプリケーションについて説明する。具体的なアプリケーションについて説明する前に、品質評価サーバ200において知覚・体感品質評価値に基づいて対処方法を決定することができるが、最初にこの品質評価サーバ200で行われる対処方法の決定処理について説明し、次に、アプリケーションの例について説明することにする。
<4.1 品質評価サーバ200における対処決定処理>
本項目では、品質評価サーバ200における対処決定処理について説明する。図25は通信システム10の構成例、図26は品質評価サーバ200における構成例及び動作例をそれぞれ表わす図である。図25は、例えば、本対処決定処理が行われる通信システム10の構成例であり、このような通信システム10が構成されるときに、図26で示す品質評価サーバ200における対処決定処理を行うことができる。
図25に示す通信システム10は、更に、サービス事業者が管理するサービス利用登録者サーバ150を備える。サービス利用登録者サーバ150は、例えば、利用者情報が記憶される。利用者情報としては、例えば、コンテンツの配信を受ける利用者の属性に関する情報、利用履歴、過去において評価された知覚・体感品質値などが含まれる。
利用者の属性情報としては、利用者の名前、ユーザID、生年月日などとすることができる。利用者の属性情報は、利用者の登録が行われる際に、サービス利用登録者サーバ150に記憶されることができる。
また、利用履歴としては、過去において視聴したコンテンツの種類、視聴場所、視聴時間、視聴した視聴者のIDなどが含まれる。利用履歴については、例えば、配信の要求を受ける(例えば図3のS1)ごとにサービス利用登録者サーバ150がコンテンツサーバ100から利用履歴を受け取ることができる。
さらに、過去の知覚・体感品質評価値は品質評価サーバ200から適宜受信することができる。
サービス利用登録者サーバ150は、メモリなどに記憶した利用者の属性情報、利用履歴、及び過去の知覚・体感品質評価値を利用者情報として適宜、品質評価サーバ200に送信することができる。
なお、本項目において、前述した「視聴者」を「利用者」と称する場合がある。
図26は品質評価サーバ200の構成例及び対処決定処理の動作例を表わす図である。例えば、図9に示す品質評価サーバ200に対して知覚・体感品質評価値DB245と評価結果通知処理部260、各IF処理部、及び通信ログ以外の構成が新たに追加されている。これらの各構成については動作例を説明する際に順次説明することとする。
図26に示す対処決定処理では、例えば、利用者の属性と現在視聴しているコンテンツの配信情報とに基づいて、コンテンツの特徴を抽出して、その特徴が所定の基準範囲内であるか否かを解析し、その解析結果に応じて対処方法を決定している。言い換えると、対処決定処理では、解析結果に応じて、例えば、コンテンツ提供業者に対しては視聴コンテンツ提供における実態の(統計)情報など対処方針を決定し、サービス提供業者に対しては視聴者に提供するサービス選択となる情報などの対処方針を決定する。
品質評価サーバ200は、例えば、基準範囲内との解析結果を得たときは何もしない、などの対処方法を決定し、基準範囲外との解析結果を得たときは、利用者の便益になるような対処方法を決定する。対処方法としては、前述のように、送信電力の上下や料金を高くしたり安くしたりするなどの対処方法がある。
図26を用いて対処決定処理の動作例について説明する。
最初に、サービス事業者IF処理部270は、サービス利用登録者サーバ150から利用者情報を受信すると利用者情報受付処理部271に利用者情報を出力し(S201)、利用者情報受付処理部271は受け取った利用者情報を利用者情報DB272に記憶する(S202)。利用者情報DB272を含め、図26に示す各DBは例えば品質評価サーバ200内のメモリに対応する。
また、情報提供業者IF処理部201は、コンテンツサーバ100から配信情報を受信すると配信情報受付処理部273に配信情報を出力し(S203)、配信情報受付処理部273は受け取った配信情報を配信情報DB274に記憶する(S204)。
配信情報としては、例えば、利用者が現在視聴しているコンテンツそのもの、コンテンツの種類、著作権者、年齢指定などの情報である。尚、配信情報には、配信を受けている利用者のID、配信している時間、視聴場所などの情報が含まれてもよい。配信情報に含まれるこれらの情報を、例えば、配信情報の属性を示す情報と称することにする。例えば、コンテンツサーバ100などでは、利用者の要求に応じて(例えば図3のS1)、コンテンツサーバ100において記憶している配信情報を品質評価サーバ200に送信することができる。
利用履歴抽出処理部275は、配信情報DB274から配信情報の属性を示す情報を読み出し(S205)、当該視聴者の利用者情報を利用者情報DB272から読み出す(S206)。利用履歴抽出処理部275では、例えば、コンテンツの配信を受けている利用者の利用履歴を抽出するようにしている。利用履歴抽出処理部275は、抽出した過去の利用履歴と現在視聴している(コンテンツの)配信情報の属性を示す情報を利用履歴DB276に記憶する(S207)。
配信情報抽出処理部277は、利用履歴DB276から利用者のIDを読み出し(S208)、当該利用者に対応する配信情報を配信情報DB274から読み出す(S209)。配信情報抽出処理部277は、利用者が視聴しているコンテンツに関する配信情報を抽出しており、抽出した配信情報から視聴コンテンツそのものとコンテンツ自体に付属する属性を示す情報(以下、「視聴コンテンツ」と略す)を視聴コンテンツDB278に記憶する(S210)。なお、コンテンツ自体に付属する属性を示す情報とは、例えば、コンテンツ内部に組み込まれた情報であり、映像シーン単位に指定された解像度などの情報などである。
コンテンツ属性抽出処理部279は、現在利用者が視聴しているコンテンツの特徴を抽出し、その特徴を抽出結果保存DB280に記憶する。例えば、コンテンツ属性抽出処理部279は、利用履歴DB276から読み出した当該利用者の利用履歴(S211)と、視聴コンテンツDB278から読み出した当該利用者が視聴している視聴コンテンツ(S212)とに基づいて、視聴コンテンツの特徴又は傾向を抽出する。抽出の仕方としては、例えば、利用履歴のコンテンツ種類と配信情報のコンテンツの種類とが比較されて、両者を含めたものの中で、最も利用履歴の多いコンテンツの種類・属性が抽出される。視聴時間や視聴場所においても同様に抽出されてもよい。コンテンツ属性抽出処理部279は、抽出した特徴又は傾向、例えば最も利用履歴の多いコンテンツの種類・属性や、視聴時間、視聴場所などを抽出結果として抽出結果一時保存DBに記憶する(S213)。
類似性抽出処理部281は、抽出結果一時保存DBに記憶された抽出結果を読み出して(S214)、抽出した過去の特徴又は傾向が、現在視聴しているコンテンツにおいてもその特徴又は傾向を示しているときその要素を抽出する。抽出する要素としては、例えば、コンテンツの種類や視聴時間、視聴場所などとすることができる。
例えば、特徴又は傾向として、コンテンツ属性抽出処理部279によりある視聴時間が抽出されたとき、現在視聴しているコンテンツの視聴時間が過去の視聴時間の範囲内であれば、類似性抽出処理部281は、抽出要素として視聴時間を類似性要素の一つとして抽出する。この場合、類似性抽出処理部281は、配信情報に含まれる視聴時間又は利用履歴に含まれる視聴時間、或いはその両方を抽出し抽出属性DB282に記憶する。
類似性抽出処理部281は、例えば、各要素について過去の特徴又は傾向と現在視聴しているコンテンツの要素とを比較することで、その要素を抽出し抽出属性DB282に記憶する(S215)。
抽出属性DB282に記憶される要素は、例えば、類似性抽出処理部281において抽出した特徴又は傾向が、視聴しているコンテンツにおいてもその特徴又は傾向を示しているコンテンツの種類や、視聴時間、視聴場所、或いはこれらの組み合わせなどである。以降において、抽出属性DB282に記憶される要素を「コンテンツの属性」と称する場合がある。
抽出属性解析処理部283は、抽出属性DB282から読み出したコンテンツの属性(S216)と、知覚・体感品質評価値DB245から読み出した現在視聴者が知覚・体感している品質(以下、知覚・体感品質評価値と称する)(S217)とに基づいて、コンテンツの属性についての特徴又は傾向を抽出する。
例えば、抽出属性解析処理部283は、コンテンツの属性に含まれる、情報提供業者(コンテンツ業者)が当該コンテンツの提供に際して期待する特徴、又は傾向などと、実際に視聴者がコンテンツ視聴で感じている知覚・体感品質評価値と比較する。そして、抽出属性解析処理部283は、例えば、情報提供業者が期待する特徴又は傾向と、知覚・体感品質評価値とが一致する又はある一定の範囲内にある要素を解析対象の要素として抽出する。
或いは、抽出属性解析部283は、コンテンツの属性に含まれる、コンテンツに対して規定された品質(例えば情報提供業者により規定された、コンテンツの提供に際して期待される品質)と、知覚・体感品質評価値とを比較する。抽出属性解析部283は、規定された品質が知覚・体感品質評価値の範囲内又は一致するときの、規定された品質に対応するコンテンツの属性に含まれる要素を解析対象の要素として抽出する。
そして、抽出属性解析処理部283は、その判別結果を知覚・体感品質評価値とともに解析DB284に記憶する。また、抽出属性解析処理部283は、コンテンツの属性に含まれる要素(例えば、視聴時間やコンテンツの種類など)について過去の現在の要素と比較して、一定の範囲内にあるとか、一定の範囲内にない、などの解析結果を解析DB284に記憶することができる。
抽出属性解析処理部283は、抽出した特徴又は傾向を解析結果として解析DB284に記憶する(S218)。解析DB284に記憶されるのは、例えば、コンテンツの属性に含まれる要素の中から解析対象となる要素(例えば、過去と現在の知覚・体感品質評価値やコンテンツ事業者が指定した、もしくは期待した品質条件など)である。
解析結果評価処理部285は、解析DB284から解析対象となる要素を読み出して、解析結果の評価を行う。評価の手法としては、例えば、抽出された評価対象としたコンテンツの属性が、当該属性の特徴の分析の範囲内か、又は当該属性により定められた基準値の範囲内か否かとすることができる。
例えば、視聴時間が夜間であるという特徴又は傾向が抽出属性解析処理部283(又は類似性抽出処理部281)において抽出されたとき、解析結果評価処理部285は、その視聴時間がある一定の範囲内(例えば、夜の10時から12までなど)に集中しているなどを判別することで視聴者のコンテンツ視聴の特徴や傾向を見出す。
解析結果評価処理部285は、コンテンツの属性と評価結果を評価DB286に記憶する(S220)。
コンテンツ品質指標抽出処理部287は、視聴コンテンツDB278に記憶されたコンテンツから、コンテンツの視聴シーンごとに付与された期待品質とコンテンツのインデックス番号とを抽出し(S221)、抽出した期待品質とインデックス番号とをコンテンツ品質指標DB288に記憶する(S222)。
期待品質とは、例えば、サッカーのゴールシーンの期待品質は「3」、それ以外は「1」など、情報提供業者により付与されたコンテンツに対して視聴者に提供する、もしくは保証したい品質である。また、インデックス番号は、例えば、コンテンツに付与されている時系列指標であって、タイムコードや画像フレーム番号などである。インデックス番号と期待品質により、コンテンツのあるシーンや場面において情報提供業者が期待する品質が指定されることができる。コンテンツにはこのような期待品質とインデックス番号とが含まれており、コンテンツ品質指標抽出処理部287は、視聴コンテンツDB278からこれらを抽出し、コンテンツ品質指標DB288に記憶する。
視聴品質評価処理部290は、コンテンツ品質指標から期待品質とインデックス番号などを読み出し(S223)、知覚・体感品質評価値DB245から知覚・体感品質評価値を読み出し(S224)、期待品質と知覚・体感品質評価値とを比較することで評価を行う。評価としては、例えば、視聴品質評価処理部290は、期待品質と知覚・体感品質評価値との差が一定の範囲内にあるか否かにより評価を行うことができる。
例えば、情報提供業者はコンテンツのあるシーンや場面において、期待品質を指定したとき、知覚・体感品質評価値が期待品質の範囲内か否か、或いは、期待品質が知覚・体感品質評価値の範囲内にあるか否か、により視聴者の満足の範囲に収まるかが判別されることができる。視聴品質評価処理部290は、2つの品質を比較することで、知覚・体感品質が一定の範囲内にあるか否かなどを判別し、この判別結果を評価DB286に記憶することができる(S225)。
対処決定処理部291は、解析結果評価処理部285と視聴品質評価処理部290で評価した評価結果に基づき、視聴者等に対してどのような対処を提供するかを決定し、決定した便益を対処DB292に記憶する(S227)。対処方法としては、例えば、料金の反映であったり、送信電力の上下などがある。
例えば、解析結果評価処理部285において、視聴時間がある一定の範囲内にあるとの評価結果を得て(例えば夜の10時から12時)、視聴品質評価処理部290において、知覚・体感品質評価値が期待品質よりも低いとの評価結果を得た場合を考える。このような場合、対処決定処理部291は、視聴者が視聴しているコンテンツの品質が良くないと判別して、料金をこれまでよりも低くしたり、品質を向上させるべく、送信電力をこれまでよりも上げる、などの対処を決定することができる。
あるいは、視聴時間がある基準範囲内にあって、知覚・体感品質評価値が期待品質よりも高いとの評価結果が得られた場合は、例えば、以下のようになる。すなわち、対処決定処理部291は、視聴者が当該コンテンツを良好な品質で視聴していると判別して、料金クラスを一時的にこれまでよりも高くするなどの対処方法を決定することができる。
対処決定処理部291は、このように決定した対処方法を対処DB292に記憶する(S227)。
評価結果通知処理部260は、対処DB292に記憶した対処方法を適宜読み出して、各IF処理部を介して、基地局500やコンテンツサーバ100、又はサービス利用登録者サーバ150に送信する(S230)。また、評価結果通知処理部260は、対処方法を送信したとき、送信した対処方法を通知ログとしてメモリに記憶することもできる(S229)。
以上、知覚・体感品質評価処理部240における評価処理について説明した。知覚・体感品質評価処理部240では、例えば、知覚品質推定処理部220で得られた分析結果(或いは知覚・体感品質の推定結果)に対して、知覚・体感品質を判断し、その結果を視聴者や事業者にどのような便益を提供するのかを決定している。このような決定処理も例えば評価処理の一部と考えることもできる。
例えば、知覚品質推定処理部220における知覚・体感品質推定処理では、端末600や基地局500で測定した品質指標に基づいて、分布状態処理(S113)などにより分析することで、視聴者が視聴している画像について体感しているであろう品質を推定することができる。そして、推定した知覚・体感品質について、知覚・体感品質評価処理部240では知覚・体感品質を評価し、提供する便益を決定することができる。
従って、本評価サーバ200は、端末600や基地局500で測定した品質指標に基づいて、知覚・体感品質を推定し、さらに評価しているため、例えば、人手をかけずに視聴者が視聴している画像の品質を評価することができる。
また、本評価サーバ200は、測定された品質指標をリアルタイムで端末600や基地局500から収集することができれば、知覚・体感品質をリアルタイムで推定し、評価することが可能となる。
さらに、基地局500や端末600においては品質指標の測定は例えば無線通信処理の中で行われ、本評価サーバ200はこのような品質指標を基地局500や端末600から収集するだけであり、基地局500や端末600などで行われる無線通信に対する処理について影響を及ぼさずに品質を評価することができる。
<4.2 知覚・体感品質を用いたアプリケーションについて>
次に、評価サーバ200で評価した知覚・体感品質(例えば図9)や決定した対処方法(例えば図26)に基づいて、どのようなアプリケーションが行われるかについて説明する。
図27は、コンテンツ提供業者のサーバ(例えばコンテンツサーバ100)を含む通信システム10の構成例を表わす図である。評価サーバ200は、視聴者が視聴しているコンテンツの知覚・体感品質の評価結果を得ることができ、この評価結果に基づいて、種々の便益を提供することができる。
例えば、評価結果が恒常的に知覚・体感品質が悪い状態が継続している場合(又は、評価結果がある一定期間連続して「品質が悪い」という評価結果が得られた場合)、評価サーバ200は、コンテンツサーバ100に対して、画像の解像度をこれまでよりも低下させるよう要求することができる。もしくは、評価サーバ200からの結果に基づきコンテンツサーバ100が自ら低い低解像度のコンテンツの提供に切り換えるなどを行う。このような状況は、例えば、端末600が新幹線などで高速に移動している場合などで発生する。
あるいは、評価サーバ200は、評価結果とともに、視聴者の閲覧環境(時間や場所など)などの情報を付加してコンテンツサーバ100(又はコンテンツ提供業者)に送信することもできる。評価結果だけでなく、視聴者の閲覧情報などがコンテンツサーバ100に送信されることで、コンテンツ提供業者は、視聴者の継続的な満足度調査(品質は劣悪などを含む)などを行うこともできる。評価サーバ100は、例えば、MMEインターフェース205(例えば図8)を介して端末600(又は視聴者)の位置情報などを得ることができる。よって、知覚・体感品質評価処理部240ではこの位置情報を視聴者の閲覧環境の情報として、評価結果に付加することで、評価サーバ200から視聴者の閲覧環境の情報を送信することができる。
さらに、評価サーバ200は、評価結果や視聴者の閲覧環境に加えて、基地局500が休止中などのその他の情報も付加して、コンテンツサーバ100に送信することもできる。例えば、評価サーバ200は、図26のサービス事業者IF処理部270を介して、休止している基地局500に関する情報を得て、コンテンツサーバIF201を介して送信することができる。コンテンツ事業者は、コンテンツ視聴地域が休止中の基地局500の近傍に存在するとき、当該地域における評価結果を正常な地域における評価結果と比較して相対的に低下することを考慮した、満足度調査などを行うことができる。
コンテンツ事業者などは、視聴者の知覚・体感品質に基づいて、コンテンツ配信の改善などを行うことができ、評価サーバ200による評価が行われない場合と比較して、サービス品質の向上を図ることが可能となる。
アプリケーションの他の例について説明する。図28は、基地局500における送信電力制御に関する部分の構成例を表わす図である。基地局500は、品質評価サーバ200から、知覚・体感品質を受信し、知覚・体感品質に基づいて、サービス品質の改善を行うようにした例である。
例えば、基地局500は、利用者の知覚・体感品質の劣化が推定されるという評価結果を得た場合、QoSランクをこれまでよりも一時的に上げて、提供するコンテンツサービスの品質の改善を図ることができる。または、基地局500は、利用者の知覚・体感品質が継続的に良好であるという評価結果を得た場合、許容される範囲内でQoSランクを下げて、基地局500における無線資源の有効活用化を図ることもできる。
言い換えると、基地局500は、知覚・体感品質の評価結果に基づいて、高品質を要求した利用者にはその品質レベルを維持し、品質をそれほど気にしない利用者にはそれなりの品質レベルでコンテンツを送信することができる。知覚・体感品質の評価結果について、基地局500は、利用者毎にその評価結果を得ることで、利用者ごとに異なるサービスの提供を図ることも可能である。
図28は、知覚・体感品質を無線区間に於ける品質位置を図る、例えば、送信電力制御に応用するための基本的な構成を示している。図28の例では、基地局500の合成部521において、知覚・体感品質の評価値と目標SIR生成部517で生成された目標SIR(Signal to Interference Ratio)とが合成され、QoS制御部522とTPC制御信号生成部523に出力される。QoS制御部522は、例えば、知覚・体感品質評価値が劣化を表わす評価結果のとき、QoSランクを上げるようにするため、送信電力を上げるようTPC制御信号生成部523に指示する。一方、QoS制御部522は、例えば、知覚・体感品質評価値が良好を表わす評価結果のとき、QoSランクを許容範囲で下げるようにするため、送信電力を下げるようTPC制御信号生成部523に指示する。TPC制御信号生成部523は、QoS制御部522の指示に基づいて、TPC制御信号を生成して端末600に送信する。端末600は、TPC制御信号に従って、送信電力を上げたり、下げたりすることで基地局500との間の無線通信品質を一定に保つことができる。例えば、端末600は、知覚・体感品質が良好なとき、送信電力をこれまでよりも下げ、知覚・体感品質が劣化しているとき、送信電力をこれまでよりも上げることができる。これにより、利用者ごとの知覚・体感品質に応じた送信電力制御を行うことができる。
アプリケーションに関する例としては、例えば、以下のようなものもある。すなわち、有料サービスを利用する利用者のうち、例えば一定以上のクラスに属する利用者(以下、「優先加入者」と称する場合がある)とそうでないクラスに属する利用者(以下、「非優先加入者」と称する場合がある)とで知覚・体感品質に応じて、無線資源の割当てを異ならせるようにすることもできる。
図29(A)はこのようなアプリケーションが行われる場合の基地局500における動作例を表わすフローチャート、図29(B)と図29(C)は無線資源の割当てが変更された例をそれぞれ表わす図である。
例えば、図29(B)に示すように、優先加入者のコンテンツ視聴に対する品質などの要求レベルは非優先加入者の要求レベルより高いとする。基地局500は、優先加入者に対する知覚・体感品質が低下している評価結果を得た場合(S100,S101)、非優先加入者の無線資源をα分削減し、削減したαを優先加入者に追加する(S102〜S104、図29(C))。例えば、このような制御は基地局500の無線回線制御部536(例えば図6)などで行われ、無線回線制御部536は外部インターフェース540を介して品質評価サーバ200から知覚・体感品質評価値を得ることで、図29(A)に示す処理を行うことができる。
<5 その他の例>
次にその他の例について説明する。上述した例は、知覚・体感品質の推定や評価は品質評価サーバ200で行われる例について説明した。例えば、知覚・体感品質の推定や評価が基地局500で行われてもよい。本例では、基地局500において知覚・体感品質の推定や評価が行われる例について説明する。図30及び図31は本例における基地局500の構成例をそれぞれ表わす図である。例えば、図30は、本発明を基地局500での実施例の基本構成を示しており、図31は、同形態におけるCDMA方式による実施機能ブロックを示している。
基地局500では送信電力制御が行われる場合がある。例えば、端末600との間の無線通信品質に基づいて、端末600の送信電力を制御する送信電力制御を行うことで、端末600と間の無線通信品質を一定レベルで保持することができる。本例においては、基地局500は、この送信電力制御に関して、知覚・体感品質に基づいてその処理を間引くなどの処理を行う。これにより、本例では、利用者の知覚・体感品質に沿った無線品質を維持することができ、また、送信電力制御の効率化を図ることが可能となる。
図30の例では、受信/干渉電力測定部5311は、受信アンテナ511−1で受信した無線信号に対して、受信電力と干渉電力を測定し、SIR値測定部5312に出力する。SIR値測定部5312は、受信電力と干渉電力、及び送受信電力測定部512から受け取った送受信電力から、SIR値を測定し、送信電力制御部5361に出力する。送信電力制御部5361は、例えば、SIR値測定部5312で測定されたSIR値と、目標SIR値との比較により、端末600に対する送信電力の上下を制御する。
このような処理が行われる場合において、基地局500は、品質評価サーバ200における知覚・体感品質評価処理部240などの処理ブロック550を更に備える。処理ブロック550の詳細は、例えば、図31に示される。処理ブロック550は、品質評価サーバ200の各処理ブロックを有している。図31に示す例では、処理ブロック550は、基地局IF207、品質品質情報抽出処理部2082、運用者IF211、無線品質変位判定処理部2086、知覚品質推定処理部220、情報提供業者IF272、知覚・体感品質評価処理部240、評価結果反映処理部551、及び回路IF552を備える。なお、図28と同一の処理ブロックには同一の符号が付されている。
処理ブロック550において、評価結果反映処理部551と回路IF552以外のブロックは図6などにより説明したため、本例におけるこれらのブロックの説明は割愛する。
評価結果反映処理部551は、知覚・体感品質評価処理部240から受け取った知覚・体感品質評価値に応じて、送信電力制御の実行間隔をこれまでのものから広げたり(間欠的な実行間隔)、狭めたり(高速な実行間隔)するなど、送信電力制御の実行間隔を変更する。変更後の実行間隔は、回路IF293と合成部521を経由して、TPC制御信号生成部523に出力される。TPC制御信号生成部523は、評価結果反映処理部551から通知された実行間隔に従って、TPC制御信号を送信アンテナ511−2に出力する。
例えば、評価結果反映処理部551は、知覚・体感品質評価値が一定の基準値と比較して高いもしくは低い値を表わしているとき、その状態に応じて、送信電力制御の実行間隔を変更することができる。
TPC制御信号生成部523は、例えば、評価結果反映処理部551などを介して、知覚・体感品質評価処理部240から知覚・体感品質評価値を受け取ることで、利用者の知覚・体感品質に合致した送信電力制御を行うことができる。例えば、<4.2 知覚・体感品質を用いたアプリケーションについて>で説明したように、知覚・体感品質評価値に応じて、端末600の送信電力を上下させることもできる。
また、本例の場合、基地局500で行われる送信電力制御の実行間隔が知覚・体感品質に応じて変更されるため、知覚・体感品質に応じて送信電力制御が行われる機会も変化するため、送信電力制御の処理の効率化を図ることもできる。
上記した例は、知覚・体感品質の推定や評価が基地局500で行われる例について説明した。例えば、コアネットワークに接続されたME400などでも知覚・体感品質の推定や評価を行うこともできる。例えば、MME400には、図31に示す処理ブロック550を備えるようにすれば実施することができる。
[第3の実施の形態]
次に第3の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、基地局500、端末600、及び品質評価サーバ200の構成例として、例えば、図6〜図8に示す構成例によりそれぞれ実施できる例について説明した。例えば、基地局500、端末600、及び品質評価サーバ200は、図32から図34に示す構成例によっても実施することができる。
基地局500は、更に、CPU(Central
Processing Unit)561、ROM(Read Only Memory)562、RAM(Random Access Memory)563、及びメモリ564を備える。
CPU561は、例えば、第2の実施の形態における品質指標検出部531、要求受付部532、対象加入者品質指標抽出部533、品質指標送信処理部535、及び無線回線制御部536に対応する。CPU561は、ROM562に記憶されたプログラムを読み出して、RAM563にロードし、プログラムを実行することで、品質指標検出部531などにおける処理を実行することができる。
なお、メモリ564は、例えば、第2の実施の形態における品質指標記憶部534に対応する。
端末600は、更に、CPU661、ROM662、RAM663、及びメモリ664を備える。
CPU661は、例えば、第2の実施の形態における品質指標検出部631、動作再生アプリケーション632、要求受付部633、品質指標送信処理部635、及び無線回線制御部636に対応する。CPU661も、ROM662に記憶されたプログラムを読み出してRAM663にロードし、プログラムを実行することで、品質指標検出部631などにおける処理を実行することができる。
なお、メモリ664は、例えば、第2の実施の形態における品質指標記憶部634に対応する。
品質指標サーバ200は、更に、CPU295、ROM296、RAM297、及びメモリ298を備える。
CPU295は、例えば、第2の実施の形態における、コンテンツ情報受信部202、品質指標収集処理部206、品質指標受信部208、運用条件受信部212、知覚品質推定処理部220、知覚・体感品質評価処理部240、評価結果通知処理部260に対応する。
また、CPU295は、例えば、第2の実施の形態における利用者情報受付処理部271、配信情報受付処理部273、利用履歴抽出処理部275、配信情報抽出処理部277、コンテンツ属性抽出処理部279、類似性抽出処理部281、抽出属性解析処理部283、解析結果評価処理部285、コンテンツ品質指標抽出処理部287、視聴品質評価処理部290、及び対処決定処理部291に対応する。
CPU295は、ROM296に記憶されたプログラムを読み出して、RAM297にロードし、プログラムを実行することで、コンテンツ情報受信部202などにおける処理を実行することができる。
なお、メモリ298は、第2の実施の形態における、コンテンツ情報記憶部203、品質指標記憶部209、運用条件記憶部213に対応する。また、メモリ298は、例えば、第2の実施の形態における、品質指標変位値DB2092、推定知覚品質値230、知覚・体感品質評価値DB245、通知ログ246を記憶する。さらに、メモリ298は、例えば、第2の実施の形態における。利用者情報DB272、配信情報DB274、利用履歴DB276、視聴コンテンツDB278、抽出結果保存DB280、抽出属性DB282、解析DB284、評価DB286、コンテンツ品質指標DB288、及び対処DB292を記憶する。
例えば、CPU295は、第2の実施の形態で説明した知覚・体感品質の推定や評価などの処理を行うことができる。