JP6074765B2 - 移植用神経束及びその製造方法 - Google Patents
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Description
かかる観点で、これまでの移植片よりもさらに優れたものが求められていた。
かかる方法で作製された移植用神経束は、十分な柔軟性及び強度を有し、内部の細胞に十分な栄養を供給できる構造であるとともに、高い細胞密度を維持できるので、移植時の取扱が容易で、患部において効率よく神経組織を再生することが可能である。
また、それぞれのマイクロファイバに異なる細胞を封入することや、異なる細胞を含むマイクロファイバを所望の位置に配置することも容易であることから、神経束の構造の自由度が高くなり、生体の神経束に近い構成を実現できる。
〔1〕神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞を含むマイクロファイバが2本以上バンドル化された移植用神経束であって、
前記マイクロファイバは、神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞を含むマイクロゲルファイバが高強度ハイドロゲルで被覆されたものであり、
前記2本以上のマイクロゲルファイバは、生体適合性ゲル又はポリイオンコンプレックスでコーティングすることによってバンドル化されている、移植用神経束;
〔2〕前記コーティングが、ポリイオンコンプレックスを2層以上含む、上記〔1〕に記載の移植用神経束;
〔3〕前記ポリイオンコンプレックスの各層が、アルギン酸又はその塩とキトサンとを含む、上記〔2〕に記載の移植用神経束;
〔4〕神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞以外の少なくとも1種の細胞を含むマイクロファイバ、及び/又は細胞以外の物質を含むマイクロファイバをさらに含む、上記〔1〕から〔3〕のいずれか1項に記載の移植用神経束;
〔5〕束の中心部のマイクロファイバが神経細胞を含み、周囲のマイクロファイバが神経細胞以外の細胞、及び/又は細胞以外の物質を含む、上記〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載の移植用神経束;
〔6〕マイクロファイバを合計で3本から200本含む、上記〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載の移植用神経束;
〔7〕少なくとも1本の前記マイクロファイバの少なくとも一方の端部から、神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞が突出している、上記〔1〕から〔6〕のいずれか1項に記載の移植用神経束;
〔8〕生体適合性ゲル又はポリイオンコンプレックスでコーティングされた、神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞を含むマイクロファイバであって、
前記マイクロファイバは、神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞を含むマイクロゲルファイバが高強度ハイドロゲルで被覆されたものである、マイクロファイバ;
〔9〕前記コーティングが、ポリイオンコンプレックスを2層以上含む、上記〔8〕に記載の移植用神経束;
〔10〕前記ポリイオンコンプレックスの各層が、アルギン酸又はその塩とキトサンとを含む、上記〔9〕に記載の移植用神経束;
〔11〕移植用神経束の製造方法であって、
神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞を含むマイクロゲルファイバが高強度ハイドロゲルで被覆されたマイクロファイバを、2本以上作製する工程と、
前記2本以上のマイクロファイバを束にして、生体適合性ゲル又はポリイオンコンプレックスでコーティングする工程と、
を含む方法;
〔12〕前記マイクロファイバを2本以上作製する工程の後、マイクロファイバを束にする前に、
マイクロファイバ内の神経幹細胞を所定の段階まで分化させる工程をさらに含む、上記〔11〕に記載の方法;
〔13〕前記神経幹細胞を分化させる工程において、少なくとも一部のマイクロファイバ内の神経幹細胞を神経細胞に分化させ、別の少なくとも一部のマイクロファイバ内の神経幹細胞をグリア細胞に分化させる、上記〔12〕に記載の方法;
〔14〕前記2本以上のマイクロファイバを束にする工程において、神経細胞を含むマイクロファイバを束の中心部に配置し、グリア細胞を含むマイクロファイバをその周囲に配置する、上記〔13〕に記載の方法;
〔15〕前記2本以上のマイクロファイバを束にする工程において、神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞以外の少なくとも1種の細胞を含むマイクロファイバ、及び/又は細胞以外の物質を含むマイクロファイバを作製し、神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞を含むマイクロファイバと共に束にする、上記〔11〕から〔14〕のいずれか1項に記載の方法;
〔16〕前記2本以上のマイクロファイバを束にする工程において、神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞を含むマイクロファイバを束の中心部に配置し、神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞以外の少なくとも1種の細胞を含むマイクロファイバ、及び/又は細胞以外の物質を含むマイクロファイバをその周囲に配置する、上記〔15〕に記載の方法;
〔17〕前記マイクロファイバを束にして、生体適合性ゲル材料でコーティングする工程は、
前記束を、ポリイオンコンプレックスを形成するカチオン性ポリマー溶液とアニオン性ポリマー溶液で順次コーティングする工程を1回以上繰り返す工程を含む、上記〔11〕から〔16〕のいずれか1項に記載の方法;
〔18〕コーティングする工程の後、移植部位の長さに併せて切断する工程と、
切断後、マイクロファイバの端部から細胞が突出するまで培養する工程と、をさらに含む、上記〔11〕から〔17〕のいずれか1項に記載の方法;
〔19〕 細胞を含むマイクロファイバが2本以上バンドル化された移植片であって、
前記マイクロファイバは、細胞を含むマイクロゲルファイバが高強度ハイドロゲルで被覆されたものであり、
前記2本以上のマイクロゲルファイバは、ポリイオンコンプレックスでコーティングすることによってバンドル化されている、移植片;
〔20〕前記コーティングが、ポリイオンコンプレックスを2層以上含む、上記〔19〕に記載の移植片;及び
〔21〕前記ポリイオンコンプレックスの各層が、アルギン酸又はその塩とキトサンとを含む、上記〔21〕に記載の移植片、
に関する。
また、本発明に係る移植用神経束は、各マイクロファイバに封入する細胞を自由に選択し、所望の位置に配置することができるので、神経束の構造の自由度が高く、神経組織の再生に好適な構造を実現することができる。
さらに、本発明に係る移植用神経束は、その側面から細胞が漏出することがなく、端部のみから細胞が外に延びていくため、断裂した神経と効率よく相互作用し、神経の損傷部を再生させることが可能である。
本発明に係る移植用神経束は、神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞を含むマイクロファイバを2本以上含む。マイクロファイバは、神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞を含むマイクロゲルファイバが高強度ハイドロゲルで被覆されたものであり、2本以上のマイクロゲルファイバは、生体適合性ゲル又はポリイオンコンプレックスでコーティングすることによってバンドル化されている。
神経幹細胞は、まず神経前駆細胞またはグリア前駆細胞に分化し、神経前駆細胞が神経細胞(ニューロン)に、グリア前駆細胞がグリア細胞(神経系を構成する神経細胞以外の細胞の総称。アストロサイト、オリゴデンドロサイト、及びシュワン細胞を含む。)に分化する。
以下、「神経幹細胞」と、「神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞」とを、併せて「神経幹細胞等」という。
マイクロゲルファイバは、ハイドロゲル層に比較して強度の弱いゲルで形成される。マイクロゲルファイバに用いられるゲルは、内包する細胞の増殖や分化に悪影響を与えない限り特に限定されないが、例えば、キトサンゲル、コラーゲンゲル、ゼラチン、ペプチドゲル、フィブリン、またはこれらの2種以上含む混合物を用いることができる。市販のゲル(例えば、マトリゲル(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社))を用いてもよい。
その他、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドンなどの水溶性ポリマーに紫外線等を照射して形成したハイドロゲル;
親水−疎水性ドメインを有する両親媒性ポリマー、例えばポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体、両親媒性ポリアミノ酸、架橋ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリオキシエチレンビニルエーテル系共重合体などを相転移温度以上にして形成したハイドロゲル;
(メタ)アクリル基や桂皮酸などを修飾した光硬化性基を有する水溶性ポリマーに紫外線を照射して形成したハイドロゲル;
チオール基を有する水溶性ポリマーを混合し、分子内及び分子間ジスルフィド結合を形成することにより形成されるハイドロゲル;
2液混合により結合を形成する官能基を有する水溶性ポリマーを混合することにより形成されるハイドロゲル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミドエステルとアミン、チオールとエン、アルキンとアジドおよびこれらの複合体からなるハイドロゲル、
などを用いてもよい。
また、モノマー分子が自己集合した非共有結合性の超分子ハイドロゲル(例えば、Dojin News, 118, pp.1-17, 2006)を用いることもできる。
マイクロファイバの材料は、生体に悪影響を及ぼさない限り、生体分解性・生体吸収性であっても非分解性・非吸収性であってもよい。
その他、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドンなどの水溶性ポリマーに紫外線等を照射して形成したハイドロゲル;
親水−疎水性ドメインを有する両親媒性ポリマー、例えばポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体、両親媒性ポリアミノ酸、架橋ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリオキシエチレンビニルエーテル系共重合体などを相転移温度以上にして形成したハイドロゲル;
(メタ)アクリル基や桂皮酸などを修飾した光硬化性基を有する水溶性ポリマーに紫外線を照射して形成したハイドロゲル;
チオール基を有する水溶性ポリマーを混合し、分子内及び分子間ジスルフィド結合を形成することにより形成されるハイドロゲル;
2液混合により結合を形成する官能基を有する水溶性ポリマーを混合することにより形成されるハイドロゲル、例えばN−ヒドロキシスクシンイミドエステルとアミン、チオールとエン、アルキンとアジドおよびこれらの複合体からなるハイドロゲル;
カルシウムイオンなどの金属イオン存在下でゲル化する性質を有するアルギン酸ゲル、カラギーナンゲル、ジェランガムゲル、ペクチンゲル、
などであって、マイクロゲルファイバに用いるものより高強度としたものを用いてもよい。
また、高強度ハイドロゲルは、生体に悪影響を及ぼさない限り、生体分解性・生体吸収性であっても非分解性・非吸収性であってもよい。
マイクロファイバの外径も特に限定されないが、例えば10μm〜1mmとすることができる。内径(細胞が存在する領域)が100μm程度の場合、外径が200μm程度であるとよい。
マイクロファイバの長さは最終的な移植用神経束のサイズや、細胞への栄養の供給を考慮して、任意に決定することができる。
本明細書において、「バンドル化」とは、複数本のマイクロファイバを束ね、移植片として十分な柔軟性と強度を有する1本の移植用神経束を形成することを意味する。また、本明細書において「コーティング」とは、マイクロファイバがバンドル化されるように、マイクロファイバの束の少なくとも一部を生体適合性ゲル又はポリイオンコンプレックスで覆うことを意味する。
生体適合性ゲルとしては、例えば、コラーゲン、アガロース、ヒアルロン酸、キトサン、キチン、ゼラチン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリジオキサン、アルブミン、フィブリン、フィブロネクチン、ラミニン、デキストリン、デキストラン、アルギン酸、セルロース、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ポリアミノ酸、デンプン、及びこれらの誘導体又は塩からなる群より選択される少なくとも1つとすることができる。上述したマイクロゲルファイバ又は高強度ハイドロゲルに用いられる各種のゲルを使用してもよい。異なる種類の生体適合性ゲルを、層状に重ねてコーティングしてもよい。
誘導体としては、例えば、水酸基を酢酸、硝酸、硫酸、リン酸などと反応させたものや、カルボキシル基の一部をエチレングリコールやプロピレングリコールでエステル化したものなどが挙げられ、塩としては、ナトリウム塩などのアルカリ金属塩が挙げられる)。
それぞれの材料は、当業者が周知技術を用いて適当な柔軟性及び強度を有するゲルとすることが可能である。
ポリカチオン類及びポリアニオン類は、水の存在下で混合することによってポリイオンコンプレックスを形成するものであれば特に限定されず、当業者が適宜選択することができる。
ポリカチオン類としては、例えば、キトサン、アミノ化多糖類(セルロース、デキストラン、プルラン、カードラン、グルコマンナンなどの中性多糖類をアミノ化したもの)、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリアミン、ポリリジン、ポリアルギニン、リジン−アルギニン共重合体、及びこれらの誘導体又は塩からなる群より選択される1種以上を用いることができる。誘導体としては、アセチル化物など、塩としては、塩酸塩、酢酸塩などが挙げられる。
ポリアニオン類としては、例えば、アルギン酸、ペクチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン硫酸、カルボキシメチル化又はサクシニル化した多糖類(セルロース、デキストラン、デンプン、キトサンなどをカルボキシメチル化又はサクシニル化したもの)、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸、無機ポリリン酸、ポリホスマー、ポリスルフェート、及びこれらの誘導体又は塩からなる群より選択される1種以上を用いることができる。誘導体としては、例えば、水酸基を酢酸、硝酸、硫酸、リン酸などと反応させたものや、カルボキシル基の一部をエチレングリコールやプロピレングリコールでエステル化したものなどが挙げられ、塩としては、ナトリウム塩などのアルカリ金属塩が挙げられる)。
層の数は、移植用神経束に必要とされる柔軟性、強度や径に応じて、適宜決定すればよく、例えば、2層〜15層、3層〜9層とすることができる。
また、ポリイオンコンプレックスによるコーティングと生体適合性ゲルによるコーティングを重ねてもよいし、その逆であってもよい。
最初のコーティングに生体適合性ゲルを用い、次のコーティングにポリイオンコンプレックスを用いてもよいし、その逆であってもよい。
具体例として、以下が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
中心部に神経幹細胞等を含むマイクロファイバを配置し、その周囲に神経幹細胞等を機械的にサポートする細胞・物質を含むマイクロファイバを配置したもの;
中心部に神経幹細胞等を含むマイクロファイバを配置し、その周囲に神経幹細胞等に栄養を供給するための細胞・物質を含むマイクロファイバを配置したもの;
中心部に神経細胞を含むマイクロファイバを配置し、その周囲にグリア細胞(アストロサイト、オリゴデンドロサイト、又はシュワン細胞)を含むマイクロファイバを配置したもの。
このように、複数種類のマイクロファイバを用いることにより、天然の神経束(図1右上参照)に似た構造を実現することが可能である。
なお、本発明に係る移植用神経束は、当然のことながら、移植のみならずin vitroの研究に使用されることもある。
本発明は、生体適合性ゲル又はポリイオンコンプレックスでコーティングされた、神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞を含むマイクロファイバであって、
前記マイクロファイバは、神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞を含むマイクロゲルファイバが高強度ハイドロゲルで被覆されたものである、マイクロファイバも包含する。
1本のマイクロファイバであっても、生体適合性ゲル又はポリイオンコンプレックスでコーティングすることによって、柔軟性及び強度が向上し、移植用又は研究用に好適に用いることができる。
コーティングされたマイクロファイバを説明するために用いられる用語のうち、上述した本発明に係る移植用神経束にも用いられた用語は、ここでも同義で用いられる。
本発明に係る移植用神経束の製造方法は、神経幹細胞等を含むマイクロゲルファイバが高強度ハイドロゲルで被覆されたマイクロファイバを、2本以上作製する工程と、前記2本以上のマイクロファイバを束にして、生体適合性ゲル又はポリイオンコンプレックスでコーティングする工程と、を含む。
マイクロファイバを作製する際、内部には神経幹細胞を入れてもよいし、所定の段階まで分化した神経幹細胞を入れてもよい。神経幹細胞を用いれば、マイクロファイバ内で効率よく増殖させることができ、細胞密度の高いマイクロファイバを作製することができる。神経幹細胞の増殖させる工程は、マイクロファイバごと公知の増殖培地やそれに順ずる培地(例えば、線維芽細胞増殖因子(FGF)や上皮細胞増殖因子(EGF)などの増殖因子を含む培地)に浸し、神経幹細胞が増殖できる条件で培養することによって行うことができる。
培養は、例えば、1日から15日とすることができる。
例えば、神経幹細胞を増殖させる間は、線維芽細胞増殖因子(FGF)や上皮細胞増殖因子(EGF)などの増殖因子を含む培地を用い、これらの増殖因子を培地から除いて、ウシ胎児血清を加えることによって、神経幹細胞を分化させることが可能である。
2以上のマイクロファイバのうち、少なくとも一部のマイクロファイバ内の神経幹細胞を他のマイクロファイバ内の細胞とは異なる細胞に分化させてもよい。例えば一部を神経細胞に、一部をグリア細胞に分化させることができる。
神経幹細胞以外の幹細胞を含むマイクロファイバを用いる場合、同様に公知の方法に従って所定の細胞に分化させることができる。
まず、神経幹細胞を含む2本の長いマイクロファイバを作製し、1本の神経幹細胞を神経細胞に、もう1本の神経幹細胞をグリア細胞に分化させる。
その後上記のとおりそれぞれのマイクロファイバから適当な束を作り、神経細胞を含むマイクロファイバの束の周りを、グリア細胞を含むマイクロファイバの束が囲むように配置する。
このように、本発明に係る移植用神経束の製造方法によれば、神経細胞等に加え、任意の種類の細胞や細胞以外の物質を含むマイクロファイバを、任意の位置に配して束にすることが可能である。
マイクロファイバの束をポリカチオン溶液又はポリアニオン溶液に浸漬するのではなく、マイクロファイバの束の両端を保持して、ピペットなどで溶液を上から注いでコーティングしてもよい。
神経幹細胞(NCSs)を含むマイクロファイバを作製し、マイクロファイバ内の神経幹細胞をグリア細胞に分化させたものと、神経細胞に分化させたものと用意する。
神経細胞を含むマイクロファイバを中心に、グリア細胞を含むマイクロファイバを周囲に配置することにより、右上に示されるような生体内の神経束と同様の構成の神経束を得ることができる。
本発明は、細胞を含むマイクロファイバが2本以上バンドル化された移植片も包含する。ここで、マイクロファイバは、細胞を含むマイクロゲルファイバが高強度ハイドロゲルで被覆されたものを意味し、2本以上のマイクロゲルファイバは、ポリイオンコンプレックスでコーティングすることによってバンドル化されている。
本発明に係る移植片を説明するために用いられる用語のうち、上述した本発明に係る移植用神経束にも用いられた用語は、ここでも同義で用いられる。
本発明に移植片に含まれる細胞はあらゆる細胞とすることができる。例えば、ES細胞、iPS細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、肝幹細胞、生殖幹細胞等の各種幹細胞や、骨格筋細胞、心筋細胞などの筋細胞、大脳皮質細胞などの神経細胞、線維芽細胞、上皮細胞、肝細胞、膵β細胞、皮膚細胞等の各種の分化した細胞が挙げられるが、これらに限定されない。1種以上の細胞を組み合わせてもよい。
本発明に係る移植片は、本発明に係る移植用神経束のうち、ポリイオンコンプレックスでコーティングしたものと同様の方法で作製することができる。
[材料]
塩化カルシウム、DMSO、塩化カリウム、及びグルコースはKanto Chemicals社から、水酸化ナトリウム、HEPES、塩化ナトリウム、及びアルギン酸ナトリウム(Na−alginate、80−120cP)はWako Pure Chemical Industries社から、スクロースはNacalai tesque社から、ポリエチレンイミン及びDulbeccoのリン酸緩衝生理食塩水(PBS(−)、D1408)はSigma-Aldrich Japan社から、それぞれ購入し、精製せずに使用した。水はミリポア精製システムにより、18MΩまで脱イオン化した。
細胞培養実験に用いた市販の材料は以下のとおりである。Neurobasal-A(10888、GIBCO)、B27 neuronal supplement(12587010、GIBCO)、及びTrypLE Select(12563)はInvitrogen社から、ウシ胎児血清(FBS、S1650)と、ペニシリン−ストレプトマイシン溶液(antibiotics, AB, P4333又はP4458)は、それぞれJapan Bioserum社とSigma-Aldrich Japan社から購入した。塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF、AF-100-18B)とヒト上皮細胞増殖因子(hEGF)は、Peprotech社から購入した。
二重同軸マイクロ流体装置(図11参照)によるマイクロファイバの作製は、Onoeらの方法(22nd IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems (MEMS), 2010, pp.248-251.;Fourteenth International Conference on Miniaturized Systems for Chemistry and Life Science (microTAS), 2010, pp.629-631.)に従った。
内側のマイクロチャネル用に、ガラスキャピラリチューブ(外径1mm、内径0.6mm、G-1、Narishige社)を、puller(PC-10、Narishige社)で引き伸ばし、直径約230μmとして用いた。外側の流路用に、長方形のガラスチューブ(外径1.4mm、内径1mm、Vitrocom社)を使用した。これらのガラスキャピラリチューブは、ステレオリソグラフィー法で作製されたコネクター(Perfactory、envisionTEC、Marl社)で取り付けた。注入口と流出口は、テフロン(登録商標)チューブ(内径0.5mm)を用いてガスタイトシリンジに接続した。
解剖顕微鏡下で、ICRマウス(Sankyo Labo Service Corporation社)の脳から線条体組織を切り出した(胎生期14.5日目)。Raynoldsらの方法(J. Neurosci., vol. 12, pp.4565-4574, 1992)に従って、線条体組織から、神経幹細胞のシングルセルの懸濁液を調製した。血球計とトリパンブルーを使用して、全細胞数と生存率を測定した。細胞懸濁液は、増殖培地(Neurobasal-A/B27/bFGF/hEGF)で適当な濃度に調節し、37℃の水蒸気飽和5%CO2環境で培養した。実験には、第二〜三代の継代培養の神経幹細胞を用いた。
コア・シェル構造のマイクロファイバを作製するために、以下の3種類の溶液を調製した(図11参照)。
(1) アテロコラーゲンに神経幹細胞を1-2×108 cells/ml懸濁した溶液(core stream用)
(2) アルギン酸ナトリウム溶液(shell stream用)
(3) 塩化カルシウム溶液(sheath stream用)
(1)のアテロコラーゲンは、0.2%のウシ皮膚ペプシン可溶化I型アテロコラーゲン(AtelCell(商標)、DME-02、アテロコラーゲン、KOKEN社)を用いた。
組み立てた二重同軸マイクロ流体装置は、流速を精確に制御するためにシリンジポンプ(KDS210、KD Scientific社)に接続した。作られたマイクロファイバが絡まるのを防ぐため、装置を垂直な壁に取り付け、流れの方向が重力方向となるように設定した。装置は、汚染を防ぐためクリーンフード内に置いた。殺菌のため、装置に溶液をローディングする前に、装置とすべてのチューブを70%エタノールで満たした。
作られたコア・シェル構造のマイクロファイバは、直ちに培養液で満たした培養ディッシュに移した。37℃で15分以上インキュベートし、アテロコラーゲンゾルをゲル化した。得られたマイクロファイバ(以下、「NSCマイクロファイバ」と呼ぶ)は、37℃の水蒸気飽和5%CO2環境で培養した。
神経幹細胞が増殖し、マイクロファイバ中の空間が満たされるまで、3−10日培養した。
神経幹細胞が十分に増殖した後、NSCマイクロファイバを、bFGF、hEGF及びB27を含まない増殖培地に15分浸してリンスした。
続いて、NSCマイクロファイバを、分化培地に浸漬し、37℃の水蒸気飽和5%CO2環境で培養して、神経幹細胞を神経細胞とグリア細胞に分化させた。神経細胞への分化には(Neurobasal A/B27(+)、1%FBS(+)、bFGF(-)、及びhEGF(-))培地を、グリア細胞への分化には(Neurobasal A/10%FBS(+)、bFGF(-)、及びhEGF(-))培地を用いた。
NSCマイクロファイバを、4%のパラホルムアルデヒド(Muto Pure Chemicals社)で1時間固定し、PBS(-)中の0.1%のTriton-X(A16046、Alfa Aesar社)で細胞膜を透過性にした後、非特異的結合を除くために、PBS(-)中の1%のウシ血清アルブミン(BSA、A7906、Sigma-Aldrich社)で90分ブロッキングした。この段階では、NSCマイクロファイバのアルギン酸シェルは、アルギン酸カルシウムとPBS(-)間のイオン交換により完全に溶解した。
続いて、NSCマイクロファイバを、β−tubulin(神経細胞マーカー、1:500、T8578、Sigma-Aldrich社)、又はnestin(神経幹細胞マーカー、1:200、mab353、Millipore社)に対するマウスモノクローナル抗体と、グリア細胞繊維性酸性タンパク質(GFAP、グリア細胞マーカー)に対するウサギモノクローナル抗体と、4℃で一晩反応させた。
PBS(-)で2回リンスした後、NSCマイクロファイバを、抗マウスIgG−AlexaFluor488(A11001、Invitrogen社)と、抗ウサギIgG−AlexaFluor568(A11011、Invitrogen社)と共に4℃で一晩処理した。
続いて、DPBS(-)で2回リンスし、Hoechst 33342(1:1000、H3570、Invitrogen社)で処理して核を染色した。その後、NSCマイクロファイバを蛍光顕微鏡(Axio Observer、Zeiss社)と共焦点レーザ走査顕微鏡(LSM710、Zeiss社)で観察した。
マイクロファイバを、図2(a)に示すようにターンテーブル上に2本のピラー(杭)を立てたディッシュを置き、ターンテーブルを回転させて2本のピラー(杭)に巻きつけるようにして束にした。
種類の違うマイクロファイバを、ピラー上の異なる位置に巻きつけることにより、束におけるそれぞれのマイクロファイバの位置を任意に制御することができる(図2(b))。
得られた束をコラーゲンでコーティングしてバンドル化した。バンドル化の方法は、束にしたマイクロファイバをシャーレ上に移動し、アテロコラーゲン(0.2%のウシ皮膚ペプシン可溶化I型アテロコラーゲン(AtelCell(商標)、DME-02、アテロコラーゲン、KOKEN社))で、ピペットなどを用いて束全体を覆うように滴下した。37度CO2インキュベータで3〜5分ほど保温し、その後培地を加え培養した。
ポリカチオン溶液として、2%酢酸0.3%キトサンを、ポリアニオン溶液として、生理食塩水中の0.3%アルギン酸を用意した。
マイクロファイバを培地中に浸し、ガラス管を用いて一点をすくい上げて2本の束にし、2本の束の一点をすくいあげて4本の束にし…という作業を繰り返し、2〜48本程度の束を作った。
得られたマイクロファイバの束の両端をガラス管2本で保持し、ピペットマンでファイバ上にポリカチオン溶液→生理食塩水→ポリアニオン溶液→生理食塩水を注いで1ターン(1層)とし、3〜9層のコーティングを行ってバンドル化した。
また、12本程度の束を作製してバンドル化した後、バンドル化された神経束を複数本含む束をさらに作製し、キトサンとアルギン酸でコーティングし、より本数の多いバンドルも作製した。
[マイクロファイバのバンドル化]
ピラーに巻きつける方法で、2種類のマイクロファイバの配置を変えて束にし、コラーゲンゲルでバンドル化した移植用神経束を図2(c)に示す。
図2(c)上段の例では、それぞれ複数本の第1のファイバと第2のファイバを、平行に隣接するように配置した。得られた神経束の蛍光画像の結果を図3左に示す。2種類のマイクロファイバを示す蛍光強度から、それぞれ複数本の第1のファイバと第2のファイバが、隣接するようにバンドル化されたことが確認された。
図2(c)中段の例では、複数本の第1のファイバの周囲を、より数の多い第2のファイバが囲むように配置した。得られた神経束の蛍光画像の結果を図3右に示す。2種類のマイクロファイバを示す蛍光強度から、第1のファイバが中心に配置され、第2のファイバがその周囲を囲むように配置されていることが確認された。
神経幹細胞を含むマイクロファイバを、bFGF及びhEGFを含む増殖培地で培養した結果を図4に示す。
図4(a)及び(b)に示されるとおり、6日間の培養で、生きた神経幹細胞によってファイバ内が満たされた。図4(c)に、このようなマイクロファイバで作製した神経束を示す。細胞密度が十分に高いこと確認された。
図4(d)右には、左に示すA−B線に沿った断面における蛍光強度の変化を示す。
マイクロファイバ内で、神経幹細胞を神経細胞又はグリア細胞に分化させた8日目の共焦点レーザ走査顕微鏡による位相差像を図5(a)、(b)に、免疫細胞化学染色像を(c)、(d)に示す。
それぞれ神経細胞とグリア細胞細胞に分化していることが確認された。
マイクロファイバ内の神経幹細胞を、神経細胞とグリア細胞に分化させ、神経細胞を含むマイクロファイバを中心に配置し、グリア細胞を含むマイクロファイバをその周囲に配置してバンドル化した例を図6に示す。
図6(a)、(b)は顕微鏡による位相差画像、(c)はCell Tracker(商標)による、解析結果を示す。神経細胞を含むマイクロファイバが、表面を、グリア細胞を含むマイクロファイバに覆われているのが確認された。
図7〜9に、コーティング方法を変えて作製した移植用神経束を観察した結果を示す。
図7左は、12本のマイクロファイバを、アルギン酸とキトサンの層3層でコーティングしたもの、右は、左のバンドルを4本束ねてさらにアルギン酸とキトサンの層3層でコーティングしたものである(計48本のマイクロファイバ)。
図8左は、12本のマイクロファイバを、アルギン酸とキトサンの層6層でコーティングしたもの、右は、左のバンドルを4本束ねてさらにアルギン酸とキトサンの層6層でコーティングしたものである(計48本のマイクロファイバ)。
図9左は、12本のマイクロファイバを、アルギン酸とキトサンの層9層でコーティングしたもの、右は、左のバンドルを4本束ねてさらにアルギン酸とキトサンの層9層でコーティングしたものである(計48本のマイクロファイバ)。
いずれも移植に適した柔軟性と強度を有するバンドルが得られた。
各図の下2つは、コーティング後3日目に観察した様子である。いずれもマイクロファイバが平行に並んでバンドル化されており、好適な柔軟性と強度を有していた。このうち上段は、コーティング後0日にバンドルの一部をピンセットで把持したものである。ピンセットで把持したときに内部の細胞に若干のダメージを受けるものも見られたが、特に12本のマイクロファイバを9層コーティングしたものはほとんど細胞へのダメージがなかった。
図10に、バンドル化後の培養による細胞増殖を示す。
12本のNSCマイクロファイバをアルギン酸とキトサンの層3層でコーティングし、さらにこのバンドルを4本まとめてアルギン酸とキトサンの層3層でコーティングし、計48本のマイクロファイバをバンドル化した(上段)。
バンドル化後、培地にEGFとFGFを添加して培養した。1日後の様子を下段に示す。増殖した神経幹細胞が増殖し、マイクロファイバの端部から出てきているのが観察された。神経幹細胞がバンドル側面から漏出せず、端部からのみ延びていくことで、移植部の断裂した神経と効率よく相互作用し、神経の再生を促すものと考えられる。
Claims (21)
- 神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞を含むマイクロファイバが2本以上バンドル化された移植用神経束であって、
前記マイクロファイバは、神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞を含むマイクロゲルファイバが高強度ハイドロゲルで被覆されたものであり、
前記2本以上のマイクロゲルファイバは、生体適合性ゲル又はポリイオンコンプレックスでコーティングすることによってバンドル化されている、移植用神経束。 - 前記コーティングが、ポリイオンコンプレックスを2層以上含む、請求項1に記載の移植用神経束。
- 前記ポリイオンコンプレックスの各層が、アルギン酸又はその塩とキトサンとを含む、請求項2に記載の移植用神経束。
- 神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞以外の少なくとも1種の細胞を含むマイクロファイバ、及び/又は細胞以外の物質を含むマイクロファイバをさらに含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の移植用神経束。
- 束の中心部のマイクロファイバが神経細胞を含み、周囲のマイクロファイバが神経細胞以外の細胞、及び/又は細胞以外の物質を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の移植用神経束。
- マイクロファイバを合計で3本から200本含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の移植用神経束。
- 少なくとも1本の前記マイクロファイバの少なくとも一方の端部から、神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞が突出している、請求項1から6のいずれか1項に記載の移植用神経束。
- 生体適合性ゲル又はポリイオンコンプレックスでコーティングされた、神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞を含むマイクロファイバであって、
前記マイクロファイバは、神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞を含むマイクロゲルファイバが高強度ハイドロゲルで被覆されたものである、マイクロファイバ。 - 前記コーティングが、ポリイオンコンプレックスを2層以上含む、請求項8に記載のマイクロファイバ。
- 前記ポリイオンコンプレックスの各層が、アルギン酸又はその塩とキトサンとを含む、請求項9に記載のマイクロファイバ。
- 移植用神経束の製造方法であって、
神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞を含むマイクロゲルファイバが高強度ハイドロゲルで被覆されたマイクロファイバを、2本以上作製する工程と、
前記2本以上のマイクロファイバを束にして、生体適合性ゲル又はポリイオンコンプレックスでコーティングする工程と、
を含む方法。 - 前記マイクロファイバを2本以上作製する工程の後、マイクロファイバを束にする前に、
マイクロファイバ内の神経幹細胞を所定の段階まで分化させる工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。 - 前記神経幹細胞を分化させる工程において、少なくとも一部のマイクロファイバ内の神経幹細胞を神経細胞に分化させ、別の少なくとも一部のマイクロファイバ内の神経幹細胞をグリア細胞に分化させる、請求項12に記載の方法。
- 前記2本以上のマイクロファイバを束にする工程において、神経細胞を含むマイクロファイバを束の中心部に配置し、グリア細胞を含むマイクロファイバをその周囲に配置する、請求項13に記載の方法。
- 前記2本以上のマイクロファイバを束にする工程において、神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞以外の少なくとも1種の細胞を含むマイクロファイバ、及び/又は細胞以外の物質を含むマイクロファイバを作製し、神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞を含むマイクロファイバと共に束にする、請求項11から14のいずれか1項に記載の方法。
- 前記2本以上のマイクロファイバを束にする工程において、神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞を含むマイクロファイバを束の中心部に配置し、神経幹細胞又は神経幹細胞を所定の段階まで分化させた細胞以外の少なくとも1種の細胞を含むマイクロファイバ、及び/又は細胞以外の物質を含むマイクロファイバをその周囲に配置する、請求項15に記載の方法。
- 前記マイクロファイバを束にして、生体適合性ゲル材料でコーティングする工程は、
前記束を、ポリイオンコンプレックスを形成するカチオン性ポリマー溶液とアニオン性ポリマー溶液で順次コーティングする工程を1回以上繰り返す工程を含む、請求項11から16のいずれか1項に記載の方法。 - コーティングする工程の後、移植部位の長さに併せて切断する工程と、
切断後、マイクロファイバの端部から細胞が突出するまで培養する工程と、をさらに含む、請求項11から17のいずれか1項に記載の方法。 - 細胞を含むマイクロファイバが2本以上バンドル化された移植片であって、
前記マイクロファイバは、細胞を含むマイクロゲルファイバが高強度ハイドロゲルで被覆されたものであり、
前記2本以上のマイクロゲルファイバは、ポリイオンコンプレックスでコーティングすることによってバンドル化されている、移植片。 - 前記コーティングが、ポリイオンコンプレックスを2層以上含む、請求項19に記載の移植片。
- 前記ポリイオンコンプレックスの各層が、アルギン酸又はその塩とキトサンとを含む、請求項20に記載の移植片。
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