JP6069250B2 - ロータ製造装置およびロータ製造方法 - Google Patents
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Description
ここで、樹脂材料は、熱硬化性樹脂材料と熱可塑性樹脂材料とに大別されるが、一般に熱硬化性樹脂材料のほうが熱可塑性樹脂材料よりも粘性が低い。したがって、IPMロータの磁石の固定には、粘性が低く、スロットの内壁と磁石の外面との間に浸透しやすい熱硬化性樹脂材料が広く採用されている。
しかしながら、熱硬化性樹脂材料を固化させるためには、スロットに樹脂材料を充填した後、ロータを例えば恒温槽等の加熱器に投入して、所定温度になるまで所定時間加熱する必要がある。したがって、製造工程の時間の短縮という点で改善の余地があった。
このように、従来技術にあっては、ロータコアの変形を防止しつつ、形状の異なるスロットの内壁と磁石の外面との間に熱可塑性樹脂材料を充填するという点で改善の余地がある。
また、充填工程により、流入抵抗の小さい第二スロットの第二磁石を、流入抵抗の大きい第一スロットの第一磁石よりも第一金型側に寄せるとともに、ロータコアおよび第二磁石を第一金型に当接させた状態で熱可塑性樹脂材料を充填することができる。これにより、第二磁石と第一金型との間に形成される熱可塑性樹脂材料の流路断面積を小さくして、第二スロット側における熱可塑性樹脂材料の流入抵抗と、第一スロット側における熱可塑性樹脂材料の流入抵抗とが均衡するように調節できる。
したがって、ロータコアの積層誤差を吸収しつつ、形状の異なるスロットの内壁と磁石の外面との間に熱可塑性樹脂材料を充填することができる
図1は、モータユニット1の概略断面図である。
図1に示すように、モータユニット1は、モータ4と、モータ4を収容するハウジング5と、を備えている。なお、以下の説明では、モータ4の中心軸Oに沿う方向を軸方向といい、中心軸Oと直交する方向を径方向といい、中心軸O周りに周回する方向を周方向という。
ステータ2は、電磁鋼板が軸方向に沿って複数積層されることにより形成されたステータコア20を有している。ステータコア20は、径方向の内側に向かって延びるティース21を備えている。ティース21には、インシュレータ22を介してコイル23が巻装されている。
図2に示すように、ロータ3は、電磁鋼板が軸方向に沿って複数積層されることにより形成されたロータコア30を有している。
ロータコア30の中央部には、貫通孔30aが形成されている。ロータコア30の中央部には、貫通孔30aにシャフト6(図1参照)が挿入されて圧入固定される。また、ロータコア30は、貫通孔30aの周囲に複数の肉抜き部30bを有している。
スロット群35は、第一スロット31、第二スロット32および第三スロット33により構成されている。第一スロット31、第二スロット32および第三スロット33には、それぞれ第一磁石36A、第二磁石36B、第三磁石36Cが挿入される。本実施形態では、第一磁石36A、第二磁石36Bおよび第三磁石36Cは、同一形状となっている。
図3に示すように、スロット群35は、第一スロット31と、第一スロット31を挟んで周方向の両側に形成された第二スロット32および第三スロット33と、により形成されている。
第一スロット31は、平面視で等脚台形状をしており、長手方向が径方向と直交するように設けられている。
第一スロット31の径方向の外側における内壁(以下、「外側壁31a」という。)には、長手方向の中間部において径方向の外側に窪むとともに、軸方向に沿うように充填溝31Aが形成されている。充填溝31Aに対応する位置には、後述のロータ3の製造工程において第一スロット31に熱可塑性樹脂材料を充填するときに、充填用金型53の充填孔53a(図6参照)が配置される。
第一磁石36Aの径方向に沿う厚さは、第一スロット31の径方向に沿う幅よりも薄くなっている。第一磁石36Aは、第一スロット31の径方向における内側の内壁(以下、「内側壁31b」という。)に当接した状態で配されている。これにより、第一磁石36Aの径方向の外側面と第一スロット31の外側壁31aとの間には、間隙31cが形成される。
図4に示すように、本実施形態の第一磁石36Aの軸方向の長さは、ロータコア30の軸方向の長さよりもわずかに短くなっている。第一磁石36Aは、軸方向における他方側(図4における下側)の端面が、ロータコア30の軸方向における他方側の端面と略面一となるように配置されている。
図4に示すように、第二磁石36Bは、軸方向における一方側(図4における上側)の端面が、ロータコア30の軸方向における一方側の端面と略面一となるように配置されている。
図5に示すように、第二スロット32内に熱可塑性樹脂材料が充填されて形成された第二モールド部38Bには、軸方向の他方側の端面に、凹部39が形成されている。凹部39は、平面視で円形状をしている。凹部39からは、第二磁石36Bが露出している。凹部39が形成される過程については、後述のロータ3の製造方法で説明する。
モータハウジング5Aには、ステータ2のステータコア20が例えば不図示のボルト等により固定されている。
センサハウジングには、ロータ3の回転角度を検出可能な例えばレゾルバ等の不図示の回転センサが、ロータ3と同軸となるように取り付けられている。また、センサハウジングには、ロータ3のシャフト6の一端を回転自在に支持する不図示のベアリングが設けられている。なお、ロータ3のシャフト6の他端は、不図示のミッションハウジング等に設けられたベアリングにより回転自在に支持されている。これにより、ロータ3は、ステータ2の内側において回転可能となっている。
図6は、ロータ製造装置50の側面断面図であって、ロータコア30、第一磁石36Aおよび第二磁石36Bをセットした状態を図示している。なお、図6は、ロータコア30の中心軸O、第一スロット31および第二スロット32を含む側面断面図となっている。また、図6における上下方向は、重力上下方向と一致している。また、本実施形態において、上側が軸方向の一方側に相当し、下側が軸方向の他方側に相当する。
図6に示すように、本実施形態のロータ製造装置50は、主に、充填用金型53(請求項の「第一金型」に相当。)と、ベース60と、下型56(請求項の「第二金型」に相当。)と、支持部材66と、により構成されている。以下に各構成部品の詳細について説明をする。
充填用金型53は、熱可塑性樹脂材料を第一スロット31から第三スロット33(図3参照)に対して射出可能な充填孔53aを有している。充填用金型53の充填孔53aは、複数形成されており、それぞれ第一スロット31から第三スロット33(図3参照)の各充填溝31A,31B,31C(図3参照)に対応する位置に形成されている。
インジェクションノズルは、熱可塑性樹脂材料を射出してロータコア30の第一スロット31から第三スロット33(図3参照)の各スロットに充填するためのものである。インジェクションノズルは、熱可塑性樹脂材料の充填時において、先端の射出口が充填用金型53の接続孔53bに挿入配置される。インジェクションノズルから射出された熱可塑性樹脂材料は、通流路53cおよび充填孔53aを通じて、ロータコア30の第一スロット31から第三スロット33(図3参照)の各スロットに射出される。
また、ベース60の上面60aには、第一凹部62よりも径方向の外側であって、ロータ製造装置50に設置されるロータコア30の第二スロット32に対応した位置に、第二凹部63が形成されている。第二凹部63には、後述の支持部材66を付勢する第二弾性部材72の下端部が配置される。第二弾性部材72は、例えばコイルバネが好適である。
また、下型56には、第三凹部57よりも径方向の外側であって、ロータ製造装置50に設置されるロータコア30の第二スロット32に対応した位置に、貫通孔58が形成されている。貫通孔58は、後述の支持部材66が挿通される。
下型56は、第一弾性部材71を介してベース60と所定間隔を空けるとともに上方に向かって付勢された状態で、ベース60の上方に配設される。
支持部材66の下端部は、大径に形成された受部66aとなっている。受部66aには、第二弾性部材72の上端部が当接する。これにより、支持部材66は、第二弾性部材72を介してベース60の第二凹部63における底部と所定間隔を空けるとともに上方に向かって付勢された状態で、ベース60から上方に向かって突設される。
支持部材66の長さは、後述の型締め工程S12(図7参照)において、充填用金型53を型締めしたときに、第二磁石36Bの一方側(図6における上側)の端面が充填用金型53に対して当接可能なように設定されている。
図7は、ロータ3の製造工程S10のフローチャートである。
続いて、上述のロータ製造装置50を用いて行われるロータ3の製造工程について説明する。
図7に示すように、本実施形態のロータ3の製造工程S10は、主に、磁石挿入配置工程S11と、型締め工程S12と、充填工程S13と、固化工程S15と、を含む。以下に、各工程の詳細について、図面を用いて説明をする。なお、以下で述べる工程では、ロータコア30の第一スロット31から第三スロット33の各スロットに対して、それぞれ同様に同一のタイミングで行われる。また、第二スロット32に対して第二磁石36Bを挿入して固定する工程と、第三スロット33に対して第三磁石36Cを挿入して固定する工程とは同一である。したがって、以下では、ロータコア30の第一スロット31および第二スロット32に対してそれぞれ第一磁石36Aおよび第二磁石36Bを挿入して固定する工程について説明をし、第三スロット33に対して第三磁石36Cを挿入して固定する工程については説明を省略する。また、以下の説明において、各部品の符号については、必要に応じて図1から図6を参照されたい。
図8は、磁石挿入配置工程S11の説明図であって、ロータコア30の側面断面模式図である。なお、図8では、第一スロット31に挿入後の第一磁石36Aを二点鎖線で図示している。
図8に示すように、ロータ3の製造工程S10では、まず磁石挿入配置工程S11を行う。
これにより、第一磁石36Aは、一方側(図8における上側)の端面がロータコア30の一方側の端面よりも一段下がった位置に配置されるとともに、他方側(図8における下側)の端面が下型56に当接する(図8における二点鎖線参照)。
ここで、図9から図11に示すように、磁石挿入配置工程S11後におけるロータコア30と第二磁石36Bとの位置関係は、ロータコア30の積層誤差に対応して、以下に示す3つの状態のうちいずれかの状態となる。
また、図10に示すように、ロータコア30の寸法公差がプラス側に振れた場合には、第二磁石36Bは、一方側(図10における上側)の端面がロータコア30の一方側の端面よりも一段下がった位置に配置されるとともに、他方側(図10における下側)の端面が支持部材66に当接する。
また、図11に示すように、ロータコア30の寸法公差がマイナス側に振れた場合には、第二磁石36Bは、一方側(図11における上側)の端面がロータコア30の一方側の端面から突出した位置に配置されるとともに、他方側(図11における下側)の端面が支持部材66に当接する。
第一磁石36Aおよび第二磁石36Bをそれぞれ第一スロット31および第二スロット32に配置した時点で、磁石挿入配置工程S11が終了する。
L2<L1<L3
の関係を満足している。すなわち、ロータコア30の寸法公差がプラス側に振れるほど充填用金型53によるロータコア30の押込み量が大きくなるため、ベース60の上面60aと下型56との離間距離が小さくなる(図10および図13参照)。また、ロータコア30の寸法公差がマイナス側に振れるほど充填用金型53によるロータコア30の押込み量が小さくなるため、ベース60の上面60aと下型56との離間距離が大きくなる(図11および図14参照)。
具体的には、第一弾性部材71の付勢力をK1とし、各スロット31〜33に付与される射出圧をそれぞれP1〜P3とし、各スロット31〜33の軸方向に直交する断面積をそれぞれD1〜D3とし、各スロット31〜33の個数をそれぞれn1〜n3としたとき、
K1>P1×D1×n1+P2×D2×n2+P3×D3×n3
の関係を満足している。
また、第二弾性部材72の付勢力をK2とし、第二磁石36Bの軸方向に直交する断面積をM2としたとき、
K2>P2×M2
の関係を満足している。
ロータコア30の積層誤差に対応して、図12から図14のいずれかの状態でロータコア30が所定の押圧力により型締めされ、保持された時点で、型締め工程S12が終了する。
充填工程S13では、不図示のインジェクションノズルの先端の射出口を充填用金型53の接続孔53bに挿入し、熱可塑性樹脂材料を射出して、第一スロット31および第二スロット32に充填する。
ここで、ロータコア30の第一スロット31に形成された充填溝31Aおよび第二スロット32に形成された充填溝32Aに対応した位置には、充填用金型53の充填孔53aが配置される。したがって、第一スロット31内に配置された第一磁石36Aおよび第二スロット32内に配置された第二磁石36Bは、充填された熱可塑性樹脂材料の内部圧力により径方向の内側に押圧されて、それぞれ第一スロット31の内側壁31bおよび第二スロット32の内側壁32bに当接する。
これに対して、図12から図14に示すように、充填工程S13では、支持部材66と第二磁石36Bの他方側(各図における下側)の端面とが当接しており、第二弾性部材72を介して他方側から一方側(各図における下側から上側)に向かって付勢している。このため、第二磁石36Bは、第一磁石36Aよりも充填用金型53に寄るとともに、第二磁石36Bの一方側の端面が充填用金型53に当接した状態で配置される。
第一スロット31および第二スロット32内に熱可塑性樹脂材料を充填した時点で、充填工程S13が終了する。
このとき、図5に示すように、第二スロット32および第三スロット33に充填された熱可塑性樹脂材料が固化することにより形成された第二モールド部38Bおよび第三モールド部38Cには、軸方向の他方側の端面における支持部材66(図6参照)に対応した位置に、凹部39が形成される。
熱可塑性樹脂材料が固化した時点で固化工程S15が終了するとともに、ロータ3の製造工程S10が終了する。
また、充填工程S13により、流入抵抗の小さい第二スロット32の第二磁石36Bを、流入抵抗の大きい第一スロット31の第一磁石36Aよりも充填用金型53側に寄せるとともに、ロータコア30および第二磁石36Bを充填用金型53に当接させた状態で熱可塑性樹脂材料を充填することができる。これにより、第二磁石36Bと充填用金型53との間に形成される熱可塑性樹脂材料の流路断面積を小さくして、第二スロット32側における熱可塑性樹脂材料の流入抵抗と、第一スロット31側における熱可塑性樹脂材料の流入抵抗とが均衡するように調節できる。
したがって、ロータコア30の積層誤差を吸収しつつ、形状の異なる第一スロット31から第三スロット33の各スロットの内壁と第一磁石36Aから第三磁石36Cの各磁石の外面との間に熱可塑性樹脂材料を充填することができる
30 ロータコア
31 第一スロット
32 第二スロット
36A 第一磁石
36B 第二磁石
50 ロータ製造装置
53 充填用金型(第一金型)
53a 充填孔
56 下型(第二金型)
66 支持部材
S11 磁石挿入配置工程
S12 型締め工程
S13 充填工程
Claims (4)
- 第一磁石が挿入されて熱可塑性樹脂材料により固定される第一スロットと、第二磁石が挿入されて前記熱可塑性樹脂材料により固定される第二スロットと、を少なくとも備え、前記第一スロットの内壁と前記第一磁石の外面との間に前記熱可塑性樹脂材料が流入する際の流入抵抗が、前記第二スロットの内壁と前記第二磁石の外面との間に前記熱可塑性樹脂材料が流入する際の流入抵抗よりも大きいロータコアを有するロータを製造するためのロータ製造装置であって、
前記ロータコアよりも前記ロータコアの軸方向における一方側に配置されるとともに前記軸方向に沿って移動可能とされ、前記熱可塑性樹脂材料を前記第一スロットおよび前記第二スロットに対して射出可能な充填孔を有する第一金型と、
前記ロータコアに前記軸方向の他方側から当接して前記ロータコアを支持するとともに、前記軸方向に沿って移動可能な第二金型と、
前記第二磁石に前記軸方向の前記他方側から当接して前記第二磁石を前記軸方向の所定位置に支持するとともに、前記軸方向に沿って移動可能な支持部材と、
を備え、
前記第二金型および前記支持部材は、前記軸方向の前記他方側から前記一方側に向かって付勢され、
前記第一金型は、前記熱可塑性樹脂材料の充填時において、前記第二金型および前記支持部材の付勢力に抗して、前記ロータコアおよび前記第二磁石を押圧可能に構成されていることを特徴とするロータ製造装置。 - 請求項1に記載のロータ製造装置であって、
前記支持部材は、前記軸方向から見たときに、前記第二磁石の外形よりも小さい外形を有することを特徴とするロータ製造装置。 - 請求項1または2に記載のロータ製造装置を用いたロータ製造方法であって、
前記第一スロットおよび前記第二スロットに、それぞれ前記第一磁石および前記第二磁石を挿入する磁石挿入配置工程と、
前記第一金型により、前記第二金型および前記支持部材の付勢力に抗して前記ロータコアおよび前記第二磁石を押圧する型締め工程と、
所定の射出圧力により前記第一金型の前記充填孔から前記熱可塑性樹脂材料を射出し、前記第一スロットの内壁と前記第一磁石の外面との間、および前記第二スロットの内壁と前記第二磁石の外面との間に充填する充填工程と、
を含み、
前記充填工程では、前記第二磁石を前記第一磁石よりも前記第一金型側に寄せるとともに、前記ロータコアおよび前記第二磁石を前記第一金型に当接させた状態で行うことを特徴とするロータ製造方法。 - 請求項3に記載のロータ製造方法であって、
前記充填工程で充填される前記熱可塑性樹脂材料は、液晶ポリマーであることを特徴とするロータ製造方法。
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