JP6068962B2 - スチレン系樹脂補強用ゴム組成物 - Google Patents
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Description
特許文献3においては、カップリング度が50%以上であるポリブタジエンゴムと少なくとも50重量%の高分子鎖が5本以上結合された星状の形状を有するポリブタジエンとの併用であることを特徴とする耐衝撃性スチレン系樹脂についての提案がなされている。
ところで、前記特許文献1〜3の実施例等で記載されている分岐ジエン系ゴムは、有機溶媒中で有機リチウム触媒の存在下共役ジエン系モノマー等を重合して得られる活性末端を有する共役ジエン系ゴムにハロゲン系カップリング剤を反応させて、分子量を増大せしめた共役ジエン系ゴムであるが、塩素イオン等のハロゲンが含まれていると、スチレン系樹脂組成物の製造において反応装置等の腐食の問題や製造時(反応時)のグラフト性に影響を与えてゴム粒子径の制御がしにくい等の問題がある。
そのため、非ハロゲン系カップリング剤を使用として、分岐ジエン系ゴムを製造する方法として、例えば特許文献4においては、エポキシ系カップリング剤を使用する方法が、特許文献5においてはアルコキシシラン化合物をカップリング剤として使用する方法についての提案がなされている。
前記特許文献2及び3には、分岐ジエン系ゴムと線状ジエン系ゴムからなる組み合わせは記載されておらず、光沢と衝撃強度との望ましいバランスを得るためには改善の余地がある。
さらに、前記特許文献4及び5には、非ハロゲンのジエン系ゴムと線状ジエン系ゴムの組み合わせは記載されておらず、光沢と衝撃強度との望ましいバランスを得るためには更なる改善の余地があり、また、ゲル量やゲル粒子径も更なる改善の余地がある。
以上のとおり、従来のスチレン系樹脂補強用ゴムには、スチレン系樹脂組成物製造時における反応装置等の腐食やゴム粒子径の制御や、光沢と耐衝撃性のバランスの観点から、改善の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、ゴム補強スチレン系樹脂組成物の製造時における反応装置等の腐食の問題を低減し、ゴム粒子径の制御が容易であり、光沢と耐衝撃性のバランスに優れるゴム補強スチレン系樹脂組成物を提供できるスチレン系樹脂補強用ゴム組成物及びそれを用いたゴム補強スチレン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1](a)成分として、ムーニー粘度(ML1+4100℃)と5質量%スチレン溶液粘度(SV)の比(ML1+4100℃/SV)が0.8〜1.8である共役ジエン系ゴムと、(b)成分として、ムーニー粘度(ML1+4100℃)と5質量%スチレン溶液粘度(SV)の比(ML1+4100℃/SV)が0.3〜0.6である共役ジエン系ゴムと、を含有するゴム組成物であって、
前記(a)成分と(b)成分の合計含有量100質量部に対して、前記(a)成分を10〜55質量部、前記(b)成分を90〜45質量部含有し、ハロゲンが10×10-4質量部以下であるスチレン系樹脂補強用ゴム組成物。
[2]前記(a)成分の5質量%スチレン溶液粘度(SV)が、前記(b)成分の5質量%スチレン溶液粘度(SV)よりも小さい、前記[1]に記載のスチレン系樹脂補強用ゴム組成物。
[3]前記(a)成分と前記(b)成分の混合物の5質量%スチレン溶液粘度(SV)が40〜70mPa・sである、前記[1]又は[2]に記載のスチレン系樹脂補強用ゴム組成物。
[4]前記(a)成分が、アルキルリチウム開始剤で重合され、アルコキシシリル化合物を用いてカップリングされた共役ジエン系ゴムである、前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂補強用ゴム組成物。
[5]前記(a)成分の5質量%スチレン溶液粘度(SV)が20〜55mPa・sである、前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂補強用ゴム組成物。
[6]前記(b)成分の5質量%スチレン溶液粘度(SV)が70〜150mPa・sである、前記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂補強用ゴム組成物。
[7]前記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のゴム組成物を用いたゴム補強スチレン系樹脂組成物。
[8]スチレン系重合体からなるマトリックスと、(a)成分として、前記マトリックス中に分散した、ムーニー粘度(ML1+4100℃)と5質量%スチレン溶液粘度(SV)の比(ML1+4100℃/SV)が0.8〜1.8である共役ジエン系ゴムと、(b)成分として、前記マトリックス中に分散した、ムーニー粘度(ML1+4100℃)と5質量%スチレン溶液粘度(SV)の比(ML1+4100℃/SV)が0.3〜0.6である共役ジエン系ゴムと、を含有し、前記(a)成分と(b)成分の合計含有量100質量部に対して、前記(a)成分を10〜55質量部、前記(b)成分を90〜45質量部含有し、ハロゲンが10×10-4質量部以下である、ゴム補強スチレン系樹脂組成物。
[スチレン系樹脂補強用ゴム組成物]
本実施形態は、(a)成分として、ムーニー粘度(ML1+4100℃)と5質量%スチレン溶液粘度(SV)の比(ML1+4100℃/SV)が0.8〜1.8である共役ジエン系ゴムと、(b)成分として、ムーニー粘度(ML1+4100℃)と5質量%スチレン溶液粘度(SV)の比(ML1+4100℃/SV)が0.3〜0.6である共役ジエン系ゴムとを含有するゴム組成物であって、前記(a)成分と(b)成分の合計含有量100質量部に対して、前記(a)成分を10〜55質量部、前記(b)成分を90〜45質量部含有し、ハロゲンが10×10-4質量部以下であるスチレン系樹脂補強用ゴム組成物である。
本実施形態において、ムーニー粘度(ML1+4100℃)と5質量%スチレン溶液粘度(SV)の比(ML1+4100℃/SV)を算出する際の、5質量%スチレン溶液粘度(SV)の単位はmPa・sを用いる。
(a)成分及び(b)成分は、いずれも共役ジエン系ゴムである。ここで、共役ジエン系ゴムとは、共役ジエン系モノマー由来の繰り返し単位を含有する重合体をいう。
前記共役ジエン系モノマーは、特に限定されず、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエンが挙げられ、特に好ましいのは1,3−ブタジエンである。
前記1,2−ビニル含量の調整法は、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、共役ジエン系モノマーの重合時、重合系にジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、等のエーテル類;ジメチルアミンなどのアミン類;ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィドなどのチオエーテル類を添加して重合を行うことによって、共役ジエン系ゴム中の1,2−ビニル含量を所望の範囲に調整できる。
1,2−ビニル結合は分子鎖に均一に存在してもよく、あるいは、分子鎖に沿って漸減的に変化するように存在してもよく(特公昭47−875号公報)、さらにはブロック的に結合するように存在してもよい(米国特許第3301840号明細書)。1,2−ビニル結合が分子鎖中に均一になるようにする方法は、特に限定されないが、例えば重合開始温度を30〜90℃とし、できる限り定温重合する方法等が採用され、また、1,2−ビニル結合を分子鎖に沿って漸減的に変化するようにする方法は、特に限定されないが、例えば、重合を昇温下で実施する方法、すなわち、通常重合開始温度を30〜80℃とし、重合終了温度を85〜120℃とする方法、又は重合中に上記1,2ービニル含量調整剤を漸増的に添加する方法等が採用される。
前記共役ジエン系モノマーは、特に限定されず、前記の共役ジエンが挙げられ、特に好ましいのは1,3−ブタジエンである。
前記アニオン重合は、特に限定されず、公知の方法が適用でき、例えば、炭化水素溶媒中で有機リチウム化合物等の開始剤を用いるアニオンリビング重合が挙げられる。
本実施形態のゴム組成物は、ムーニー粘度(ML1+4100℃)と5質量%スチレン溶液粘度(SV)の比(ML1+4100℃/SV)が0.8〜1.8の共役ジエン系ゴムである(a)成分を含有する。
(a)成分のML1+4100℃/SVが0.8以上であることにより、(a)成分の共役ジエン系ゴムのコールドフローの変化率が小さくなり、本実施形態のゴム組成物として用いるときの取り扱い性が良好となり、粉砕時の付着滞留が少なくなり、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.1以上である。一方、(a)成分のML1+4100℃/SVが1.8以下であることにより、本実施形態のゴム組成物をスチレン系樹脂に使用した場合にゲル粒子径サイズの大きい粒子の生成を抑制でき、光沢が良好になり、好ましくは1.7以下、より好ましくは1.6以下である。
RX −Si−(OR)4-X ・・・(1)
(式中、Rは同一又は異なる炭素数1〜10のアルキル基、アリール基を表わす。Xは0又は1の整数である。)
前記炭化水素溶媒は、特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等を挙げることができる。
分子量分布Mw/Mnが1.1〜1.9であればコールドフローが改善され、スチレン系樹脂に使用した場合にゲル粒子径サイズ調整に優れる。
前記失活剤は、特に限定されず、例えば水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール等が挙げられる。
前記中和剤は、特に限定されず、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、バーサチック酸(炭素数9〜11個で、10個を中心とする、分岐の多いカルボン酸混合物)等のカルボン酸;無機酸の水溶液、炭酸ガス等が挙げられる。
さらに、ゲル生成を防止する観点や、加工時の安定性を向上させる観点から、ゴム用安定剤を添加することが好ましい。ゴム用安定剤の添加は、ゴム用安定剤の着色抑制のため、失活剤や中和剤を添加したのちに実施するのが好ましい。
ゴム補強スチレン系樹脂を得る際に、耐衝撃性と光沢のバランスを効果的に図るためには、スチレン系樹脂のゲル粒子の形態と粒子サイズの調整が重要であり、(a)成分のSVが、(b)成分のSVよりも小さいことは、そのような調整を容易にする点から好ましい。
本実施形態のゴム組成物は、ムーニー粘度(ML1+4100℃)と5質量%スチレン溶液粘度(SV)の比(ML1+4100℃/SV)が0.3〜0.6である共役ジエン系ゴムである(b)成分を含有する。(b)成分のML1+4100℃/SVが0.3以上であることにより共役ジエン系ゴムのコールドフローの変化率が小さくなり、本実施形態のゴム組成物としたときの取り扱い性、粉砕時の付着滞留が少なくなる等が良好となり、好ましくは0.35以上、より好ましくは0.45以上である。一方、(b)成分のML1+4100℃/SVが0.6以下であることにより、溶解性や熱安定性(ゲル生成)を改善でき、本実施形態のゴム組成物をスチレン系樹脂に使用した場合に(a)成分と(b)成分を組み合わせることによる効果、すなわちビニル芳香族モノマーへの溶解する際に相溶し、ゲル粒子径サイズの調整がしやすくなり、好ましくは0.55以下、より好ましくは0.5以下である。(b)成分のML1+4100℃/SVを0.3〜0.6に調整する方法としては、共役ジエン系モノマーを炭化水素溶媒中で有機リチウム化合物を用いて共役ジエンを重合し、カップリング反応を行なわないか少量カップリング反応させ、分子量を制御する種々の手段を用いうる。ここで、カップリング反応は、特に限定されないが、例えば前記のような方法を用いることができる。例えば、共役ジエン重合後の反応槽での加熱滞留時間をながくしたり、わずかにカップリングさせると、ML1+4100℃/SVは増加する傾向にあり、共役ジエン重合後の反応槽の滞留時間を短くしたり、反応温度を低くすると、ML1+4100℃/SVは減少する傾向にある。
本実施形態のゴム組成物は、前記(a)成分と(b)成分の合計含有量100質量部に対して、前記(a)成分を10〜55質量部、前記(b)成分を90〜45質量部含有する。
前記(a)成分が10質量部以上、(b)成分が90質量部以下であることにより、ゴム補強スチレン系樹脂組成物としたときに、光沢性に優れ、ゲル粒子径も小さくなる。前記(a)成分が55質量部以下、(b)成分が45質量部以上であることにより、ゴム補強スチレン系樹脂組成物としたときに、耐衝撃特性が良好となり、ゲル量も多い。前記(a)成分を20〜50質量部、前記(b)成分を80〜50質量部含有することが好ましく、前記(a)成分を30〜45質量部、前記(b)成分を70〜55質量部含有することがより好ましい。
本実施形態のゴム組成物は、前記(a)成分と(b)成分の合計含有量100質量部に対するハロゲン含有量が以下である。ハロゲンが10×10-4質量部以下であることにより、スチレン系樹脂組成物の製造時における反応装置等の腐食を防止し、製造時(反応時)のグラフト性に影響を与えてゴムの粒子径を制御することができる。好ましくは、7×10-4質量部以下であり、より好ましくは5×10-4質量部以下である。
本実施形態のゴム組成物は、ゴム製造段階等でハロゲンを実質含まないことにより、ハロゲンを10×10-4質量部以下にすることができる。ハロゲンを実質含まないとは、共役ジエン系ゴムの重合において、使用するモノマー、溶媒、触媒、カップリング剤、その他の添加剤等含めて原材料にハロゲンを用いない、ということである。
本実施形態のゴム組成物は、ゲル生成を防止する観点や、加工時の安定性を向上させる観点から、ゴム用安定剤を含有することが好ましい。
ゴム用安定剤は、特に限定されず、公知のものを用いることができるが、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3´,5´−ジ−tert−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系化合物;トリス−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト等の有機フォスファイト系化合物;2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−O−クレゾール等の含イオウフェノール系化合物;あるいはn−オクタデシル−3−(3´,5´−ジ−tert−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等とトリス−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト等のフェノール系と有機フォスファイト系の組み合わせ等の種々の公知の安定剤を使用できる。
また(a)成分、(b)成分以外のゴム成分を含んでいてもかまわない。(a)成分、(b)成分以外のゴムとしては、例えば、(a)成分、(b)成分以外の共役ジエン系ゴム、ランダムブタジエン−スチレン共重合体、ブロックブタジエン−スチレン共重合体、天然ゴム、等が挙げられる。
本実施形態のゴム補強スチレン系樹脂組成物は、前記のゴム組成物を用いたゴム補強スチレン系樹脂組成物である。本実施形態のゴム組成物を用いているため、光沢性と耐衝撃特性のバランスに優れる。
本実施形態のゴム補強スチレン系樹脂組成物は、スチレン系重合体からなるマトリックスと、(a)成分として、前記マトリックス中に分散した、ムーニー粘度(ML1+4100℃)と5質量%スチレン溶液粘度(SV)の比(ML1+4100℃/SV)が0.8〜1.8である共役ジエン系ゴムと、(b)成分として、前記マトリックス中に分散した、ムーニー粘度(ML1+4100℃)と5質量%スチレン溶液粘度(SV)の比(ML1+4100℃/SV)が0.3〜0.6である共役ジエン系ゴムと、を含有し、前記(a)成分と(b)成分の合計含有量100質量部に対して、前記(a)成分を10〜55質量部、前記(b)成分を90〜45質量部含有し、ハロゲンが10×10-4質量部以下である、ゴム補強スチレン系樹脂組成物を包含する。
ゴム補強スチレン系樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、連続バルク重合及び溶液重合がある。重合は、熱重合あるいは開始剤の存在下に行なわれる。
一般的には、まず本実施形態の共役ジエン系ゴムをビニル芳香族モノマーに溶解し、必要に応じてトルエン、エチルベン等の溶媒、流動パラフィン、ミネラルオイル、有機ポリシロキサン等の内部潤滑剤、酸化防止剤、メルカプタン類やα−メチルスチレン二量体等を加え、無触媒の熱重合の場合は、通常95〜200℃の温度において加熱重合し、またラジカル開始剤存在下の開始剤重合においては、通常より低温、例えば60〜180℃の温度でスチレンの重合操作が継続される。
なお、共役ジエン系ゴム及びゴム組成物の分析は下記に示す方法により行なった。
(1)分子量分布(Mw/Mn)
ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(東ソー社製
「HLC−8320」)を使用して、クロマトグラムを測定し、標準ポリスチレン(Shodex STANDARD KIT「SM−105」)を使用した検量線に基づいて重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
カラムは、ガードカラム:東ソー社製 TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−Hとカラム:東ソー社製 TSKgel G6000H、G5000H、G4000Hの3本直列に接続し構成したものを使用した。
オーブン温度35℃、THF流量1.0mL/分の条件で、HLC−8320GPC付属のRI検出器を用いた。
測定試料5mgを5mLのTHFに溶解して測定溶液として、測定溶液50μLをGPC測定装置に注入して測定した。
(2)1,2−ビニル含量
測定用の試料0.1gを10mLの二硫化炭素で完全に溶解後、0.5mmセルを使用して赤外分光光度計(パーキンエルマー社製、「Spectrum 100」)を使用してスペクトルを測定した。
次いで、得られたスペクトルをMorero法(LA Chimica Industria 41,758(1959))にてビニル量を求めた。
(3)5質量%スチレン溶液粘度(5wt%SV)
共役ジエン系ゴム2.385gをスチレン50mLに溶解させ、キャノンフェンスケ型粘度計を用いて25℃で測定した。
(4)ムーニー粘度
ムーニー粘度計(島津製作所製、「SMV−202」)を用い、JIS K6300(ISO289−1)に準拠し、ムーニー粘度を測定した。測定温度は100℃とした。
まず、試料を1分間予熱した後、2rpmでローターを回転させ、4分後のトルクを測定してムーニー粘度(ML1+4100)とした。
(5)コールドフロー
コールドフロー測定は、40mm×40mm×厚み(H0)50mmの試料に、25℃で1kgの荷重を掛けて60分間放置後の厚み(H100)から、前記厚みの変化率(%)を測定した。以下の式で厚みの変化率を評価した。この値が大きいほど、共役ジエン系ゴムは変形しやすいと判断した。
厚みの変化率(%)=(H0−H100)×100/H0
(6)ハロゲン含有量
サンプルをイオンクロマトグラフ用前処理装置(三菱アナリテック社製自動燃焼装置、「AQF−100型」)にて燃焼させて発生したガスを炭酸水素ナトリウム・炭酸ナトリウムの混合溶液に溶解吸収させる。この溶解液をイオンクロマトグラフ(Dionex社製、「ICS−1500」)を用いてピークを測定し、検量線からハロゲン濃度を算出する。
(7)ゲル量、Swelling Index
ゴム補強スチレン系樹脂組成物(サンプル)をトルエンに溶解させたのち、遠心分離機で溶解分と未溶解分(ゲル)に分離して、溶解液を除いて未溶解分の量を測定した(WetGel)。さらに未溶解分を真空乾燥にて未溶解分に取り込まれたトルエンを除去して真空乾燥後の未溶解分を測定した(DryGel)。
ゲル量とSwelling Indexは、測定した未溶解分の量(WetGel、DryGel)より、下記式により算出した。
ゲル量(%)=(DryGel/サンプル量)×100
Swelling Index=(WetGel/DryGel)
(8)ゲル粒子径
ゴム補強スチレン系樹脂組成物をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解後、溶解液の入ったサンプル瓶を超音波洗浄器にて2時間かけて、ゲル粒子を分散させた後、レーザー方式粒度分布測定器(HORIBA製、「LA−920」)を用いて、DMFの入ったバッチセルにゲル粒子を分散させた溶解液を滴下して測定し、平均粒子径を求めた。
(9)メルトフローレート(MFR)
JIS−K−7210の試験方法に従って、試験温度200℃、荷重5kgにて測定した。
(10)アイゾット衝撃強度(Izod)
射出成型した厚さ3.2mmの試験片(ノッチあり)を用いて、JIS−K−7110に従って測定した。
(11)光沢
射出成型した試験片を用いて、ASTMD−523に従ってゲート部とエンドゲート部の光沢度(入射角60°)を測定し平均した。
量は特に断りのない限り質量部又は質量%で示す。
容積10Lの撹拌装置及びジャケット付きのオートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、予め精製した1,3−ブタジエン700gとシクロヘキサン5000gを加え、次いで1,2−ビニル含量の調整剤としてテトラヒドロフランをシクロヘキサンに対して150ppm添加し、更に有機リチウム化合物開始剤として1,3−ブタジエン100質量部当り0.12質量部のn−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液を加えて、65℃にて重合を開始した。1,3−ブタジエンを完全に重合させて活性リチウム末端を有する共役ジエン系ゴムを得た後、この活性リチウム末端を有する共役ジエン系ゴムに有機リチウム化合物1モルに対して0.15モルのテトラエトキシシランを添加し、30分間カップリング反応させた後、得られた共役ジエン系ゴム溶液に共役ジエン系ゴム(ポリマー)100質量部当りの10質量部の水を添加し、更に二酸化炭素を添加した。二酸化炭素は、0.3MPa(ゲージ圧)の圧力下、有機リチウム化合物1モルに対して1モル添加し、二酸化炭素と水と重合体溶液を混合接触させた。
こうして得られた共役ジエン系ゴム溶液に安定剤として、n−オクタデシル−3−(3´,5´−ジ−tert−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−O−クレゾールをポリマー100質量部当りそれぞれ0.3質量部及び0.1質量部添加し、スチームストリッピングすることにより溶媒を除去し、脱水後、引き続き熱ロール(110℃)により乾燥させ、表1に示す5%スチレン溶液粘度(SV)が44mPa・s、ムーニー粘度(ML1+4100℃)が37、ML1+4100℃/SVが0.84の共役ジエン系ゴムである重合体Aを得た。
容積10Lの撹拌装置及びジャケット付きのオートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、予め精製した1,3−ブタジエン700gとシクロヘキサン5000gを加え、次いで1,2−ビニル含量の調整剤としてテトラヒドロフランをシクロヘキサンに対して150ppm添加し、更に有機リチウム化合物開始剤として1,3−ブタジエン100質量部当り0.16質量部のn−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液を加えて、65℃にて重合を開始した。1,3−ブタジエンを完全に重合させて活性リチウム末端を有する共役ジエン系ゴムを得た後、この活性リチウム末端を有する共役ジエン系ゴムに有機リチウム化合物1モルに対して0.32モルのテトラメトキシシランを添加し、10分間カップリング反応させた。更に共役ジエン系ゴム溶液に共役ジエン系ゴム(ポリマー)100質量部当りの10質量部の水を添加し、更に二酸化炭素を添加した。二酸化炭素は、0.3MPa(ゲージ圧)の圧力下、有機リチウム化合物1モルに対して1モル添加し、二酸化炭素と水と共役ジエン系ゴム溶液を混合接触させた。
こうして得られた共役ジエン系ゴム溶液に安定剤として、n−オクタデシル−3−(3´,5´−ジ−tert−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−O−クレゾールをポリマー100質量部当りそれぞれ0.3質量部及び0.1質量部添加し、スチームストリッピングすることにより溶媒を除去し、脱水後、引き続き熱ロール(110℃)により乾燥させ、表1に示す5%スチレン溶液粘度(SV)が28mPa・s、ムーニー粘度(ML粘度1+4100℃)が42、ML1+4100℃/SVが1.50の共役ジエン系ゴムである重合体Aを得た。
内容積11Lで、内部の高さと直径の比(L/D)が4であり、底部に入口、頂部に出口を有し、撹拌機及び温度調整用のジャケットを有するオートクレーブ(撹拌機付きの槽型反応器)を2基直列に連結し、1基目を重合反応器として、2基目をカップリング反応器とした。
予め、水分等の不純物を除去した、1,3−ブタジエンを42.2g/分、1,2−ブタジエンを0.008g/分、n−ヘキサンを198.8g/分の条件で混合し、温度を15℃に調整しながら1基目反応器の底部に連続的に供給した。更に、有機リチウム化合物開始剤としてn−ブチルリチウムを1.2mmol/分の速度で、1基目反応器の底部へ供給し、反応器出口の内温を100℃となるように重合反応を継続させた。
2基目の反応器の温度を100℃に保ち、1基目頂部から流出する共役ジエン系ゴム溶液を連続的に底部から供給し、更にカップリング剤としてテトラメトキシシランを0.32mmol/分の速度で2基目反応器の底部から添加し、カップリング反応を実施した。2基目反応器の頂部から流出した共役ジエン系ゴム溶液に、水を共役ジエン系ゴム100質量部あたり10.0質量部添加し、その後、炭酸ガスを、添加したn−ブチルリチウムに対しモル比で1:1.5となる条件で連続的に添加し、更にステアリン酸、n−オクタデシル−3−(3´,5´−ジ−tert−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−O−クレゾールを、共役ジエン系ゴム100質量部あたりそれぞれ0.035g、0.1g、0.1gとなるように連続的に添加し、カップリング反応を終了させた。得られた共役ジエン系ゴム溶液をスチームストリッピングすることにより溶媒を除去し、脱水後、引き続き熱ロール(110℃)により乾燥させ、表1に示す5%スチレン溶液粘度(SV)が33mPa・s、ムーニー粘度(ML1+4100℃)が40、ML1+4100℃/SVが1.21の共役ジエン系ゴムである重合体Cを得た。
内容積11Lで、内部の高さと直径の比(L/D)が4であり、底部に入口、頂部に出口を有し、撹拌機及び温度調整用のジャケットを有するオートクレーブ(撹拌機付きの槽型反応器)を2基直列に連結し、1基目を重合反応器として、2基目をカップリング反応器とした。
予め、水分等の不純物を除去した、1,3−ブタジエンを42.2g/分、1,2−ブタジエンを0.008g/分、n−ヘキサンを198.8g/分の条件で混合し、温度を15℃に調整しながら1基目反応器の底部に連続的に供給した。更に、有機リチウム化合物開始剤としてn−ブチルリチウムを1.2mmol/分の速度で、1基目反応器の底部へ供給し、反応器出口の内温を100℃となるように重合反応を継続させた。
2基目の反応器の温度を100℃に保ち、1基目頂部から流出する共役ジエン系ゴム溶液を連続的に底部から供給し、更にカップリング剤として四塩化珪素を0.24mmol/分の速度で2基目反応器の底部から添加し、カップリング反応を実施した。2基目反応器の頂部から流出した共役ジエン系ゴム溶液に、水を共役ジエン系ゴム100質量部あたり10.0質量部添加し、その後、炭酸ガスを、添加したn−ブチルリチウムに対しモル比で1:1.5となる条件で連続的に添加し、更にステアリン酸、n−オクタデシル−3−(3´,5´−ジ−tert−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−O−クレゾールを、共役ジエン系ゴム100質量部あたりそれぞれ0.035質量部、0.1質量部、0.1質量部となるように連続的に添加し、カップリング反応を終了させた。得られた共役ジエン系ゴム溶液をスチームストリッピングすることにより溶媒を除去し、脱水後、引き続き熱ロール(110℃)により乾燥させ、表1に示す5%スチレン溶液粘度(SV)が37mPa・s、ムーニー粘度(ML粘度1+4100℃)が45、ML1+4100℃/SVが1.22の共役ジエン系ゴムである重合体Dを得た。
内容積11Lで、内部の高さと直径の比(L/D)が4であり、底部に入口、頂部に出口を有し、撹拌機及び温度調整用のジャケットを有するオートクレーブ(撹拌機付きの槽型反応器)を2基直列に連結し、1基目を重合反応器として、2基はカップリング反応させずに重合反応器とした。
予め、水分等の不純物を除去した、1,3−ブタジエンを42.2g/分、1,2−ブタジエンを0.008g/分、n−ヘキサンを198.8g/分の条件で混合し、温度を15℃に調整しながら1基目反応器の底部に連続的に供給した。更に、有機リチウム化合物開始剤としてn−ブチルリチウムを0.389mmol/分の速度で、1基目反応器の底部へ供給し、反応器出口の内温を100℃となるように重合反応を継続させた。
2基目の反応器の温度を100℃に保ち、1基目頂部から流出する共役ジエン系ゴム溶液を連続的に底部から供給し、そのまま2基目反応器の頂部から流出した共役ジエン系ゴム溶液に、水を共役ジエン系ゴム100gあたり10.0g添加し、その後、炭酸ガスを、添加したn−ブチルリチウムに対しモル比で1:1.5となる条件で連続的に添加し、更にステアリン酸、n−オクタデシル−3−(3´,5´−ジ−tert−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−O−クレゾールを、共役ジエン系ゴム100gあたりそれぞれ0.035g、0.1g、0.1gとなるように連続的に添加し、カップリング反応を終了させた。得られたジエン系ゴム溶液をスチームストリッピングにより溶媒を除去し、脱水後、引き続き熱ロール(110℃)により乾燥させ、表1に示す5%スチレン溶液粘度(SV)が120mPa・s、ムーニー粘度(ML1+4100℃)が42、ML1+4100℃/SVが0.35の共役ジエン系ゴムである重合体Eを得た。
内容積11Lで、内部の高さと直径の比(L/D)が4であり、底部に入口、頂部に出口を有し、撹拌機及び温度調整用のジャケットを有するオートクレーブ(撹拌機付きの槽型反応器)を2基直列に連結し、1基目を重合反応器として、2基はカップリング反応させずに重合反応器とした。
予め、水分等の不純物を除去した、1,3−ブタジエンを42.2g/分、1,2−ブタジエンを0.008g/分、n−ヘキサンを198.8g/分の条件で混合し、温度を15℃に調整しながら1基目反応器の底部に連続的に供給した。更に、有機リチウム化合物開始剤としてn−ブチルリチウムを0.480mmol/分の速度で、1基目反応器の底部へ供給し、反応器出口の内温を100℃となるように重合反応を継続させた。
2基目の反応器の温度を100℃に保ち、1基目頂部から流出する共役ジエン系ゴム溶液を連続的に底部から供給し、そのまま2基目反応器の頂部から流出した共役ジエン系ゴム溶液に、水を共役ジエン系ゴム100gあたり10.0g添加し、その後、炭酸ガスを、添加したn−ブチルリチウムに対しモル比で1:1.5となる条件で連続的に添加し、更にステアリン酸、n−オクタデシル−3−(3´,5´−ジ−tert−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−O−クレゾールを、共役ジエン系ゴム100gあたりそれぞれ0.035g、0.1g、0.1gとなるように連続的に添加し、カップリング反応を終了させた。得られたジエン系ゴム溶液をスチームストリッピングにより溶媒を除去し、脱水後、引き続き熱ロール(110℃)により乾燥させ、表1に示す5%スチレン溶液粘度(SV)が60mPa・s、ムーニー粘度(ML1+4100℃)が28、ML1+4100℃/SVが0.47の共役ジエン系ゴムである重合体Fを得た。
5%スチレン溶液粘度が70mPa・s未満である共役ジエン系重合体Fはコールドフローの変化率が50%を越えておりベール成形後に形状変化することが予想される。
以下に示す塊状重合法によりゴム補強ポリスチレン樹脂を製造した。
4.275質量部の重合体A及び5.225質量部の「ジエン35AE」(商品名、旭化成ケミカルズ製、5%スチレン溶液粘度(SV)が85mPa・s、ムーニー粘度(ML1+4100℃)が33、ML1+4100℃/SVが0.39であるポリブタジエンゴム)をスチレン90.5質量部とエチルベンゼン5質量部に溶解し、120℃で6時間撹拌下に重合を行った。その後、撹拌はせずに、135℃、150℃、170℃で各2時間重合を行なった。更に220℃で30分間加熱処理を行い、冷却後5mmφメッシュサイズの粉砕機で粉砕し、80℃で3時間減圧乾燥し、ゴム補強ポリスチレン樹脂を得た。この粉砕品を射出成形(金型温度60℃、ノズル先端温度220℃)して試験片を作成し、物性を測定した。その結果を表2に示す。
2.4質量部の重合体A及び5.6質量部の「ジエン35AE」(商品名、旭化成ケミカルズ製、5%スチレン溶液粘度(SV)が85mPa・s、ムーニー粘度(ML1+4100℃)が33、ML1+4100℃/SVが0.39であるポリブタジエンゴム)をスチレン92質量部とエチルベンゼン5質量部に溶解し、120℃で6時間撹拌下に重合を行った。その後、撹拌はせずに、135℃、150℃、170℃で各2時間重合を行なった。更に220℃で30分間加熱処理を行い、冷却後5mmφメッシュサイズの粉砕機で粉砕し、80℃で3時間減圧乾燥し、ゴム補強ポリスチレン樹脂を得た。この粉砕品を射出成形(金型温度60℃、ノズル先端温度220℃)して試験片を作成し、物性を測定した。その結果を表2に示す。
4.0質量部の重合体B及び4.0質量部の「ジエン35AE」(商品名、旭化成ケミカルズ製、5%スチレン溶液粘度(SV)が85mPa・s、ムーニー粘度(ML1+4100℃)が33、ML1+4100℃/SVが0.39であるポリブタジエンゴム)をスチレン92質量部とエチルベンゼン5質量部に溶解し、更にミネラルオイル0.5質量部を添加して、120℃で6時間撹拌下に重合を行った。その後、撹拌はせずに、135℃、150℃、170℃で各2時間重合を行なった。更に220℃で30分間加熱処理を行い、冷却後5mmφメッシュサイズの粉砕機で粉砕し、80℃で3時間減圧乾燥し、ゴム補強ポリスチレン樹脂を得た。この粉砕品を射出成形(金型温度60℃、ノズル先端温度220℃)して試験片を作成し、物性を測定した。その結果を表2に示す。
2.4質量部の重合体C及び5.6質量部の「ジエン35AE」(商品名、旭化成ケミカルズ製、5%スチレン溶液粘度(SV)が85mPa・s、ムーニー粘度(ML1+4100℃)が33、ML1+4100℃/SVが0.39であるポリブタジエンゴム)をスチレン92質量部とエチルベンゼン5質量部に溶解し、120℃で6時間撹拌下に重合を行った。その後、撹拌はせずに、135℃、150℃、170℃で各2時間重合を行なった。更に220℃で30分間加熱処理を行い、冷却後5mmφメッシュサイズの粉砕機で粉砕し、80℃で3時間減圧乾燥し、ゴム補強ポリスチレン樹脂を得た。この粉砕品を射出成形(金型温度60℃、ノズル先端温度220℃)して試験片を作成し、物性を測定した。その結果を表2に示す。
0.9質量部の重合体C及び5.1質量部の「ジエン35AE」(商品名、旭化成ケミカルズ製、5%スチレン溶液粘度(SV)が85mPa・s、ムーニー粘度(ML1+4100℃)が33、ML1+4100℃/SVが0.39であるポリブタジエンゴム)をスチレン94質量部とエチルベンゼン5質量部に溶解し、120℃で6時間撹拌下に重合を行った。その後、撹拌はせずに、135℃、150℃、170℃で各2時間重合を行なった。更に220℃で30分間加熱処理を行い、冷却後5mmφメッシュサイズの粉砕機で粉砕し、80℃で3時間減圧乾燥し、ゴム補強ポリスチレン樹脂を得た。この粉砕品を射出成形(金型温度60℃、ノズル先端温度220℃)して試験片を作成し、物性を測定した。その結果を表2に示す。
4.0質量部の重合体C及び4.0質量部の重合体Eをスチレン92質量部とエチルベンゼン5質量部に溶解し、120℃で6時間撹拌下に重合を行った。その後、撹拌はせずに、135℃、150℃、170℃で各2時間重合を行なった。更に220℃で30分間加熱処理を行い、冷却後5mmφメッシュサイズの粉砕機で粉砕し、80℃で3時間減圧乾燥し、ゴム補強ポリスチレン樹脂を得た。この粉砕品を射出成形(金型温度60℃、ノズル先端温度220℃)して試験片を作成し、物性を測定した。その結果を表2に示す。
2.4質量部の重合体C及び5.6質量部の重合体Fをスチレン92質量部とエチルベンゼン5質量部に溶解し、120℃で6時間撹拌下に重合を行った。その後、撹拌はせずに、135℃、150℃、170℃で各2時間重合を行なった。更に220℃で30分間加熱処理を行い、冷却後5mmφメッシュサイズの粉砕機で粉砕し、80℃で3時間減圧乾燥し、ゴム補強ポリスチレン樹脂を得た。この粉砕品を射出成形(金型温度60℃、ノズル先端温度220℃)して試験片を作成し、物性を測定した。その結果を表2に示す。
実施例2及び実施例4と同様に、「ジエン35AE」の代わりに共役ジエン系重合体Fの比率を70wt%としたが、共役ジエン系重合体Fの5%SVが60mPa・sであると、ゲル量が低下傾向にあり、Izodも低めとなる。したがって、(b)のSVが≧70であるとよりゲル量とIzodが改良され、好ましい。
8.0質量部の重合体Cをスチレン92質量部とエチルベンゼン5質量部に溶解し、120℃で6時間撹拌下に重合を行った。その後、撹拌はせずに、135℃、150℃、170℃で各2時間重合を行なった。更に220℃で30分間加熱処理を行い、冷却後5mmφメッシュサイズの粉砕機で粉砕し、80℃で3時間減圧乾燥し、ゴム補強ポリスチレン樹脂を得た。この粉砕品を射出成形(金型温度60℃、ノズル先端温度220℃)して試験片を作成し、物性を測定した。その結果を表2に示す。
5wt%SVが33mPa・sとSVが低い共役ジエン系ゴム(重合体C)のみ使用しているため、ゲル粒子径は小さく高光沢が得られるが、SVが高い共役ジエン系ゴムをも含有する実施例4〜7に比べて、形成されるゲル粒子の形態がポリスチレンの内包が少ないゴム成分が密な粒子となり、ゲル量も12.3wt%と低く、耐衝撃強度であるIzodが低い。
5.6質量部の重合体C及び2.4質量部の「ジエン35AE」(商品名、旭化成ケミカルズ製、5%スチレン溶液粘度(SV)が85mPa・s、ムーニー粘度(ML1+4100℃)が33、ML1+4100℃/SVが0.39)をスチレン92質量部とエチルベンゼン5質量部に溶解し、120℃で6時間撹拌下に重合を行った。その後、撹拌はせずに、135℃、150℃、170℃で各2時間重合を行なった。更に220℃で30分間加熱処理を行い、冷却後5mmφメッシュサイズの粉砕機で粉砕し、80℃で3時間減圧乾燥し、ゴム補強ポリスチレン樹脂を得た。この粉砕品を射出成形(金型温度60℃、ノズル先端温度220℃)して試験片を作成し、物性を測定した。その結果を表2に示す。
比較例2は、70質量%の共役ジエン系重合体Cと30質量%の「ジエン35AE」とのブレンドであるため、比較例1よりは少し改善されたものの、重合体Cの比率が高いために、ゲル量は15.8wt%と低く、Izodが低い。
2.4質量部の重合体D及び5.6質量部の「ジエン35AE」(商品名、旭化成ケミカルズ製、5%スチレン溶液粘度(SV)が85mPa・s、ムーニー粘度(ML1+4100℃)が33、ML1+4100℃/SVが0.39)をスチレン92質量部とエチルベンゼン5質量部に溶解し、120℃で6時間撹拌下に重合を行った。その後、撹拌はせずに、135℃、150℃、170℃で各2時間重合を行なった。更に220℃で30分間加熱処理を行い、冷却後5mmφメッシュサイズの粉砕機で粉砕し、80℃で3時間減圧乾燥し、ゴム補強ポリスチレン樹脂を得た。この粉砕品を射出成形(金型温度60℃、ノズル先端温度220℃)して試験片を作成し、物性を測定した。その結果を表2に示す。
重合体Dはハロゲンを含む共役ジエン系ゴムであり、ハロゲンを含まない共役ジエン系ゴムを使用した実施例2及び実施例4と比較して、ゲル粒子径が大きくなり、光沢が劣る。
8.0質量部の「ジエン35AE」(商品名、旭化成ケミカルズ製、5%スチレン溶液粘度(SV)が85mPa・s、ムーニー粘度(ML1+4100℃)が33、ML1+4100℃/SVが0.39)をスチレン92質量部とエチルベンゼン5質量部に溶解し、120℃で6時間撹拌下に重合を行った。その後、撹拌はせずに、135℃、150℃、170℃で各2時間重合を行なった。更に220℃で30分間加熱処理を行い、冷却後5mmφメッシュサイズの粉砕機で粉砕し、80℃で3時間減圧乾燥し、ゴム補強ポリスチレン樹脂を得た。この粉砕品を射出成形(金型温度60℃、ノズル先端温度220℃)して試験片を作成し、物性を測定した。その結果を表2に示す。
5%SVが85mPa・sの共役ジエン系ゴムである「ジエン35AE」のみでは、実施例と同じ塊状重合条件下でのゲル粒子径が2.2μmとなり、光沢が劣る。
Claims (5)
- (a)成分として、5質量%スチレン溶液粘度(SV)が20〜55mPa・sで、かつムーニー粘度(ML1+4100℃)と5質量%スチレン溶液粘度(SV)の比(ML1+4100℃/SV)が0.8〜1.8である共役ジエン系ゴムと、
(b)成分として、5質量%スチレン溶液粘度(SV)が70〜150mPa・sで、かつムーニー粘度(ML1+4100℃)と5質量%スチレン溶液粘度(SV)の比(ML1+4100℃/SV)が0.3〜0.6である共役ジエン系ゴムと、
を含有するゴム組成物であって、
前記(a)成分と(b)成分の合計含有量100質量部に対して、前記(a)成分を10〜55質量部、前記(b)成分を90〜45質量部含有し、ハロゲンが10×10-4質量部以下であるスチレン系樹脂補強用ゴム組成物。 - 前記(a)成分と前記(b)成分の混合物の5質量%スチレン溶液粘度(SV)が40〜70mPa・sである、請求項1に記載のスチレン系樹脂補強用ゴム組成物。
- 前記(a)成分が、アルキルリチウム開始剤で重合され、アルコキシシリル化合物を用いてカップリングされた共役ジエン系ゴムである、請求項1又は2に記載のスチレン系樹脂補強用ゴム組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴム組成物を用いたゴム補強スチレン系樹脂組成物。
- スチレン系重合体からなるマトリックスと、
(a)成分として、前記マトリックス中に分散した、5質量%スチレン溶液粘度(SV)が20〜55mPa・sで、かつムーニー粘度(ML1+4100℃)と5質量%スチレン溶液粘度(SV)の比(ML1+4100℃/SV)が0.8〜1.8である共役ジエン系ゴムと、
(b)成分として、前記マトリックス中に分散した、5質量%スチレン溶液粘度(SV)が70〜150mPa・sで、かつムーニー粘度(ML1+4100℃)と5質量%スチレン溶液粘度(SV)の比(ML1+4100℃/SV)が0.3〜0.6である共役ジエン系ゴムと、
を含有し、前記(a)成分と(b)成分の合計含有量100質量部に対して、前記(a)成分を10〜55質量部、前記(b)成分を90〜45質量部含有し、ハロゲンが10×10-4質量部以下である、ゴム補強スチレン系樹脂組成物。
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