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JP6063626B2 - プロミニン−1ペプチド断片およびその使用 - Google Patents

プロミニン−1ペプチド断片およびその使用 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C.§119(e)の下で、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2008年7月28日に提出された米国特許仮出願第61/084,052号の恩典を主張する。
発明の分野
本発明の分野は、血管新生促進因子の生物学的効果の調整に関する。
発明の背景
血管新生は、新しい血管の形成、発生、および生育である。血管新生の正常な調節は、血管の形成を誘導する因子と、プロセスを停止または阻害する因子とのあいだの微細なバランスによって支配される。このバランスが崩れると、一般的に病的な血管新生が起こる。多数の病態が、過剰な血管新生、または逆に不十分な血管新生から生じる。ゆえに、血管新生(不十分な血管新生の場合)または血管新生抑制(過剰な血管新生の場合)因子による血管新生の調節は、眼科学、腫瘍学、および皮膚学などの多数の医学分野において非常に治療的に重要である。血管新生の調節は、血管疾患、たとえば卒中、冠動脈疾患、慢性閉塞性肺疾患に関連する末梢の筋欠陥、創傷治癒、およびアルツハイマー病が含まれる不良な毛細管形成および/または神経形成を特徴とする疾患の処置に対するアプローチを提供することができる。
本発明の態様は、5回膜貫通糖タンパク質に由来する短いペプチドが血管新生に対して明確な効果を有するという発見に基づいている。本発明者らは、プロミニン-1(prom-1)に由来する短いペプチドが、正常な生育および発生にとって重要であるが、癌および糖尿病性網膜症などの望ましくない異常な血管形成の際にも関係している内因性の血管新生促進因子であるVEGFに結合することを見いだした(表1を参照されたい)。加えて、短いペプチドは、他の細胞タイプに対するVEGF結合を促進し、インビトロで内皮および黒色腫細胞の増殖を促進し、VEGFの存在下で血管新生および細胞遊走を増強した。血管新生促進特性を有するこれらの短いペプチドは、創傷治癒、組織修復、生殖能の処置、心肥大、疾患および外傷後の組織の血管再生(たとえば、卒中、四肢の虚血、血管疾患、骨修復)、組織移植片、および組織工学構築物などにおいて血管新生を促進するために有用である。さらに本明細書において記述されるペプチドおよびペプチド誘導体は、VEGFの効果を強化することから、それらはまた、VEGFによって媒介される他の活性に対するその効果に関しても検討される。たとえば、VEGFは、神経保護特性を示す神経栄養因子である。本明細書において記述されるペプチドおよび誘導体はまた、神経生長の促進、神経保護、血管拡張、血圧の調整、および勃起機能障害の処置にとっても有用である。
1つの態様において、本発明は、血管新生促進活性を有し、およびたとえばインビトロのELISAに基づくVEGF結合アッセイによって測定した場合にVEGF結合活性を有する、プロミニン-1(prom-1)(SEQ ID NO: 36)の単離されたペプチド断片を提供する。
1つの態様において、本発明は、血管新生促進活性を有し、血管新生促進因子に結合する、プロミニンポリペプチドの単離ペプチド断片を提供する。
1つの態様において、本発明は、血管新生促進活性を有し、内皮細胞増殖を刺激するプロミニンポリペプチドの単離ペプチド断片を提供する。
1つの態様において、本発明は、血管新生促進活性を有する、プロミニンポリペプチドの細胞外ドメインの単離ペプチド断片を提供する。
1つの態様において、本発明は、プロミニンポリペプチド相同体の単離ペプチド断片を提供する。prom-1の相同体は、ゼブラフィッシュ、ドブネズミ、ハツカネズミ、ヒト、線虫、およびショウジョウバエにおいて見いだされる。特定の態様において、プロミニンは、ヒトプロミニン-1(Genbankアクセッション番号:NM_006017.1;NP_006008.1;AF027208.1;SEQ ID NO: 36)である。
いくつかの態様において、本明細書において記述されるprom-1の単離ペプチド断片は、SEQ ID NO: 1、2、または3に記載される細胞外ドメインに由来する。
いくつかの態様において、本明細書において記述されるprom-1の単離ペプチド断片は、アミノ酸残基少なくとも6個を含むが、ペプチドには全長のプロミニンポリペプチドは含まれない。
いくつかの態様において、本明細書において記述されるprom-1の単離ペプチド断片は、保存的アミノ酸置換変種である。ペプチドがアミノ酸12個またはそれ未満である場合、そのようなペプチドは、prom-1のペプチド断片と少なくとも60%同一であり、ペプチド変種はVEGFに結合して、本明細書において記述される血管新生アッセイによって測定した場合に血管新生促進活性を有する。さらに、prom-1ペプチドの所定のアミノ酸残基が、たとえば変異誘発または欠失アッセイによって結合にとって極めて重要であるまたは結合に関係していることがわかっている場合、1つの態様において、そのアミノ酸残基は置換されない。しかし、そのような残基でのいくつかの置換は、実際に結合を増強する可能性があると具体的に企図される。このように、当業者は、そのようなアミノ酸を改変する前に注意深く検討すべきである。VEGFに対する結合またはVEGFの生物学的特性を維持または増強するこの種の残基への置換または改変も同様に、prom-1ペプチドを参照して用いられる場合に「変種」および「誘導体」という用語の範囲に包含される。
1つの態様において、血管新生促進活性を有し、およびインビトロでのELISAに基づくVEGF結合アッセイによって測定した場合にVEGF結合活性を有するプロミニンポリペプチドの単離ペプチド断片は、たとえばSEQ ID NO: 1、2、または3からの少なくとも6連続アミノ酸残基を含む。血管新生促進活性を有するprom-1のいかなる断片も企図されるが、最少でアミノ酸6個までのアミノ酸30個またはそれ未満の断片、たとえばアミノ酸残基29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、または6個の断片が特に重要である。好ましくは、単離ペプチドは、
Figure 0006063626
または血管新生促進活性およびVEGF結合活性を実質的に保持するその保存的アミノ酸置換変種からなる群より選択される。これらのペプチドは、インビボで血管新生を劇的に増強して、VEGFの存在下で細胞遊走を増強する。
またはもしくは加えて、本明細書において記述される様々な態様によって包含されるそのようなペプチドまたはその変種もしくは誘導体は、VEGFに結合して、神経保護特性を示すことができる。
1つの態様において、単離ペプチドは、血管新生促進活性を有する、プロミニン-1のペプチド断片のVEGF結合保存的置換変種である。ペプチドは1つまたは複数の保存的アミノ酸置換を有しうる。変種ペプチドは、インビトロのELISAに基づくVEGF結合アッセイによって測定した場合に、当初の非置換親ペプチドの少なくとも50%である血管新生促進活性を保持する。
もう1つの態様において、VEGF結合活性および血管新生促進活性を有する単離ペプチドは、非プロミニン-1タンパク質、または異種ペプチドもしくはタンパク質に融合して、プロミニン-1のペプチド断片を含む融合タンパク質を形成する。
なおもう1つの態様において、単離ペプチドは、VEGF結合活性および血管新生促進活性を有する単離ペプチドのペプチド模倣体である。
なおもう1つの態様において、VEGF結合活性および血管新生促進活性を有する単離ペプチドは、インビボでの血清半減期および薬物動態を改善する目的のために、ポリマーなどの化合物にコンジュゲートされる。もう1つの態様において、VEGF結合活性および血管新生促進活性を有する単離ペプチドは、インビボでの血清半減期および薬物動態を改善する目的で、組み換え型タンパク質の発現および精製を改善する目的で、および/または血管新生活性の効力を増加させる目的で、もう1つのタンパク質またはタンパク質の一部に融合される。VEGF結合活性および血管新生促進活性を有する単離ペプチドは、融合タンパク質の状況で存在する。1つの態様において、ペプチドはPEG化される。
本明細書において記述される単離ペプチド、変種、融合タンパク質、ペプチド模倣体、またはコンジュゲートは、内皮細胞に対するVEGF結合を増強する、細胞増殖を増強する、血管新生促進因子の存在下で血管新生を増強する、および血管新生促進因子の存在下で細胞遊走を増強する。
1つの態様において、本明細書において薬学的に許容される担体と、本明細書において記述される単離ペプチド、変種、融合タンパク質、ペプチド模倣体、またはコンジュゲートとを含む組成物が記述される。
1つの態様において、単離ペプチド、変種、ペプチド模倣体、またはそのコンジュゲートを含む組成物を組織に接触させる段階を含む、それを必要とする組織における細胞増殖を促進するための方法または使用が提供される。
1つの態様において、最初に、たとえば細胞増殖を必要とする組織を同定して、次に、その用語が本明細書において用いられるprom-1のペプチドを組織に接触させる。
1つの態様において、単離ペプチド、変種、融合タンパク質、ペプチド模倣体、またはそのコンジュゲートを含む組成物を組織に接触させる段階を含む、それを必要とする組織における血管新生を促進する方法が提供される。方法は、創傷治癒、組織修復、生殖能の欠陥、心肥大、勃起機能障害、疾患または外傷後の血管再生の促進、組織移植片、または組織工学構築物の状況において適用される。加えて、本明細書において記述される方法は、たとえば勃起機能障害および高血圧症などの血管拡張の低減に関連する障害の状況においてVEGFの血管拡張効果を強化するために投与されうる。
よって、1つの態様において、最初に、個体が、治癒を必要とする創傷、修復を必要とする組織、生殖能の欠陥、心肥大、勃起機能障害、血管再生を必要とする組織、移植片または工学構築物を必要とする組織を有することを診断して、次に本明細書において記述されるprom-1ペプチドを組織に接触させる。
本明細書において記述されるもう1つの局面は、血管新生促進活性およびVEGF結合活性を有する、プロミニンポリペプチドに由来する単離prom-1ペプチドに関する。
同様に、本明細書において、血管新生促進活性を有し、内皮細胞増殖を刺激する、プロミニンポリペプチドの単離prom-1ペプチドが記述される。
同様に、本明細書において、血管新生促進活性を有する、プロミニンポリペプチドの細胞外ドメインに由来する単離prom-1ペプチドが記述される。
この局面および本明細書において記述される他の全ての局面の1つの態様において、プロミニン-1ポリペプチドは、ヒトプロミニン-1である。
この局面および本明細書において記述される他の全ての局面のもう1つの態様において、細胞外ドメインは、SEQ ID NO: 1、2、および3から選択される。
この局面および本明細書において記述される他の全ての局面のもう1つの態様において、ペプチドは、prom-1(SEQ ID NO: 36)の少なくとも6連続アミノ酸残基を含み、ペプチドには全長のプロミニンポリペプチドが含まれない。
本明細書において記述されるもう1つの局面は、先に記述したようにペプチドの保存的アミノ酸置換変種である単離ペプチドに関する。
1つの態様において、先に記述した局面のいずれかのペプチドは、prom-1ペプチドと少なくとも90%同一であり、ペプチドはVEGFに結合して血管新生促進活性を有する。
本明細書において記述されるもう1つの局面は、
Figure 0006063626
または血管新生促進活性およびVEGF結合活性を実質的に保持するその保存的アミノ酸置換変種からなる群より選択されるペプチドからなるかまたは本質的になる、血管新生促進活性およびVEGF結合活性を有する、プロミニンポリペプチドの単離ペプチド断片に関する。
1つの態様において、本明細書において上記で記述される局面のいずれか1つの単離ペプチドは、内皮細胞に対するVEGFの結合を増強する。このように、内皮細胞に対するVEGFの結合を増強するための方法およびペプチド断片の使用が提供される。
もう1つの態様において、本明細書において記述される局面のいずれか1つの単離ペプチドは細胞増殖を増強する。このように、細胞増殖を増強するための方法およびペプチド断片の使用が提供される。
もう1つの態様において、上記の局面のいずれかにおける単離ペプチドは内皮細胞の増殖を増強する。このように、内皮細胞増殖を増強するための方法およびペプチド断片の使用が提供される。
もう1つの態様において、上記の局面のいずれかにおける単離ペプチドは、血管新生促進因子の存在下で血管新生を増強する。このように、血管新生を促進するための方法およびペプチド断片の使用が提供される。
もう1つの態様において、上記の局面のいずれかにおける単離ペプチドは、血管新生促進因子の存在下で細胞遊走を増強する。このように、血管新生促進因子の存在下で細胞遊走を増強するための方法およびペプチド断片の使用が提供される。
もう1つの態様において、上記の局面のいずれかにおける単離ペプチドはポリマーにコンジュゲートされる。
もう1つの態様において、融合タンパク質が全長のプロミニンポリペプチドではない、異種ペプチドまたはポリペプチドに融合された上記の局面のいずれか記載のペプチドを含む融合タンパク質が提供される。
もう1つの態様は、薬学的に許容される担体と、上記の局面のいずれか1つに記載のペプチドまたは融合タンパク質とを含む組成物に関する。
同様に本明細書において、上記の組成物を組織に接触させる段階を含む、それを必要とする組織における細胞増殖を促進するための方法および使用が記述される。
本明細書において記述されるもう1つの局面は、上記の組成物を組織に接触させる段階を含む、それを必要とする組織における血管新生を促進するための方法または使用に関する。
先に述べた局面の1つの態様において、方法は、創傷治癒、ニューロンの生長、保護または修復、組織修復、生殖能の促進、心肥大、勃起機能障害の処置、血圧の調整、疾患または外傷後の血管再生、組織移植片、または組織工学構築物の状況において適用される。
同様に本明細書において、上記の局面のいずれか1つに記載の単離prom-1ペプチドまたは融合タンパク質を、創傷または創傷周辺の組織に接触させる段階を含み、それによって創傷治癒が、ペプチドまたは融合タンパク質の非存在下での創傷治癒と比較して増強される、創傷治癒を促進する方法が記述される。
本明細書において記述されるもう1つの局面は、ペプチドがVEGFに結合して、接触させる段階がニューロン細胞の神経保護を促進する、プロミニンポリペプチドの単離prom-1ペプチドをニューロン細胞に接触させる段階を含む、神経保護を促進する方法に関する。
この局面および本明細書において記述される他の全ての局面の1つの態様において、プロミニンポリペプチドに由来するprom-1ペプチドは、プロミニンポリペプチドの細胞外ドメインにおいて見いだされる配列を含む。
この局面および本明細書において記述される他の全ての局面のもう1つの態様において、プロミニンポリペプチドは、ヒトプロミニン-1である。
この局面および本明細書において記述される他の全ての局面のもう1つの態様において、細胞外ドメインは、SEQ ID NO: 1、2、または3の1つである。
この局面および本明細書において記述される他の全ての局面のもう1つの態様において、prom-1ペプチドは、SEQ ID NO: 1、2、または3の少なくとも6連続アミノ酸残基を含み、ペプチドには全長のプロミニンポリペプチドが含まれない。
この局面および本明細書において記述される他の全ての局面のもう1つの態様において、prom-1ペプチドは、対応する野生型ヒトプロミニン-1ポリペプチド配列と比較して保存的アミノ酸置換を含む。
この局面および本明細書において記述される他の全ての局面のもう1つの態様において、prom-1ペプチドは、SEQ ID NO: 8のペプチドの保存的アミノ酸置換変種である。
この局面および本明細書において記述される他の全ての局面のもう1つの態様において、prom-1ペプチドは、環状ペプチドを含むかまたはそれからなる。
この局面および本明細書において記述される他の全ての局面のもう1つの態様において、prom-1ペプチドは、異種融合ポリペプチドを含むかまたはそれからなる。
この局面および本明細書において記述される他の全ての局面のもう1つの態様において、prom-1ペプチドはポリマーにコンジュゲートされる。1つの態様において、ペプチドはPEG化される。
この局面および本明細書において記述される他の全ての局面のもう1つの態様において、prom-1ペプチドは、本質的にSEQ ID NO: 8のペプチドからなる。
この局面および本明細書において記述される他の全ての局面のもう1つの態様において、prom-1ペプチドはSEQ ID NO: 8からなる。
この局面および本明細書において記述される他の全ての局面のもう1つの態様において、接触させる段階は、prom-1ペプチドと薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物を、神経保護を必要とする個体に投与する段階を含む。1つの態様において、最初に神経保護またはニューロン生長を必要とする個体を診断する。
この局面および本明細書において記述される他の全ての局面のもう1つの態様において、接触させる段階は、接触させる段階の非存在下で起こるニューロン細胞死と比較してニューロン細胞死を予防するかまたは遅らせる。
定義
本明細書において用いられるように、「血管新生促進活性」という用語は、血管新生および/または内皮細胞の増殖の刺激または増強を指す。
本明細書において用いられるように、「prom-1ペプチド」という用語は、プロミニン-1に由来するペプチドを指す。好ましくは、prom-1ペプチドはヒトプロミニン-1(Genbankアクセッション番号NM_006017.1;NP_006008.1;AF027208.1;SEQ ID NO: 36)に由来する。本発明の1つの局面において、prom-1ペプチドは、変種または誘導体ではなく、むしろ内因性の増殖因子の生物効果の1つまたは複数を強化することができるプロミニン-1のペプチドから本質的になる。「prom-1ペプチド」という用語は、血管新生促進、血管調節特性、または神経栄養活性を有するペプチドを包含する。
本明細書において用いられるように、「変種」という用語は、SEQ ID NO: 4〜9の配列からの1つまたは複数の保存的アミノ酸置換を有するprom-1からのペプチド断片を指す。保存的アミノ酸置換は、当業者に周知である。たとえば、アミノ酸セリンをトレオニンの代わりに用いることができ、アミノ酸アスパラギン酸塩をグルタミン酸塩の代わりに用いることができる。「保存的アミノ酸置換変種」、「変種」および「prom-1ペプチド変種」は、本明細書において互換的に用いられる。
1つの局面において、「変種」という用語は、SEQ ID NO: 4〜9の配列から1つまたは複数の保存的アミノ酸置換を有するが、特異的な場合により、当初のペプチドのVEGF結合、血管新生促進、細胞増殖促進、細胞遊走促進、または神経保護活性の1つまたは複数を実質的に保持するprom-1からのVEGF結合ペプチド断片を指す。「実質的に保持する」とは、変種の活性が、類似のアッセイにおいて、類似の条件で当初のペプチドの活性と比較して少なくとも50%であることを意味し、好ましくは活性は、当初のペプチドと比較して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍、またはそれより高い活性である。変種ペプチドのVEGF結合、血管新生促進、細胞増殖促進、細胞遊走促進、または神経保護活性は、当技術分野において周知の方法によっておよび本明細書において記述される方法によって決定される。保存的アミノ酸置換は、当業者に周知である。たとえば、アミノ酸セリンをトレオニンの代わりに用いることができ、アミノ酸アスパラギン酸塩をグルタミン酸塩の代わりに用いてもよい。「保存的アミノ酸置換変種」、「変種」、および「prom-1ペプチド変種」は、本明細書において互換的に用いられる。
本明細書において用いられるように、ペプチドの「誘導体」は、改変に、オリゴマー化、または重合化、アミノ酸残基またはペプチド骨格の改変、クロスリンク、環状化、コンジュゲーション、追加の異種アミノ酸配列との融合、またはペプチドの安定性、溶解度、もしくは他の特性を実質的に変更するが、VEGF結合活性を実質的に保持する他の改変が含まれるがこれらに限定されるわけではない、参照ペプチドと比較して化学的に改変されている所定のペプチドの形である。
本明細書において用いられるように、「保存的アミノ酸置換」という用語は、アミノ酸残基が、類似の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基に交換されている置換である。類似の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基ファミリーが当技術分野において定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(たとえば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(たとえば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(たとえば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(たとえば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β-分枝側鎖(たとえば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(たとえば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。
本明細書において用いられるように、「ペプチド模倣体(peptide mimetic)」または「ペプチド模倣体(peptidomimetic)」という用語は、本明細書において記述されるようにプロミニン-1ペプチドのVEGF結合、血管新生促進、細胞増殖促進、細胞遊走促進、または神経保護活性などのペプチドの機能を生物学的に模倣するprom-1のペプチド断片のペプチド模倣体を指す。「生物学的模倣体」とは、本明細書において記述されるペプチドのペプチド模倣誘導体が、ペプチド自身の血管新生促進、増殖促進、細胞遊走促進、創傷治癒促進、または神経保護活性の少なくとも50%を有することを意味する。1つの態様において、「生物学的模倣体」は、本明細書において記述されるペプチドのペプチド模倣誘導体が、VEGF結合活性の少なくとも50%、および/またはペプチド自身の血管新生促進、増殖促進、細胞遊走促進、もしくは神経保護活性の少なくとも50%を有することを意味する。
「コンジュゲートされた」とは、少なくとも2つの分子の共有結合的連結を意味する。本明細書において記述されるように、prom-1の単離ペプチドは、その血清半減期を増加させるために薬学的に許容されるポリマーにコンジュゲートされる。
「断片」という用語は、そのアミノ酸残基配列が本明細書において記述される全長のポリペプチドの配列より短いアミノ酸残基配列を有する任意のペプチドまたはポリペプチドを指す。prom-1の単離ペプチドは、その親の全長のprom-1と比較して短縮または切断されている。ポリペプチドは、N末端またはC末端切断を有しうる、および/または同様に内部欠失も有しうる。prom-1断片の例には、アミノ酸13〜50位、57〜79位、および245〜260位からなる断片が含まれる。
本明細書において用いられるように、「相同なタンパク質」または「相同体」という用語は、アミノ酸配列のために類似に見えて、異なる種の生物において類似のように作用しうるタンパク質を指す。たとえば、ヒト、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、ブタ、およびニワトリは、トランスフェリンを発現するが、様々な生物からのこれらのトランスフェリンは全て、イオンを輸送するという同じ機能を有する。これらのトランスフェリンのポリペプチドは、およそ同じ分子サイズおよび構造のポリペプチドであり、各ドメインがこの場合もほぼ同じサイズである同数のドメイン(N末端ドメイン1個およびC末端ドメイン1個)、ならびにβ-シートおよびαヘリックスなどの同数の、同タイプの、および同じ位置のタンパク質の二次フォールディングを有する。配列を整列させた場合に、相同なタンパク質は、ポリペプチドにおける特定のアミノ酸位置(すなわち、高度保存領域)で正確に同じアミノ酸残基を有し、ポリペプチドにおける他のアミノ酸位置で類似のアミノ酸残基を有する。
本明細書において用いられるように、「異種発現」は、タンパク質に発現されるトランスジーンまたはコード核酸配列のそれとは異なる生物、組織、または細胞タイプにおけるタンパク質発現を指す。たとえば、コード核酸は、ヒトに由来するが、コードされるタンパク質を発現させるために用いられるコード核酸は、非ヒト生物(たとえば、酵母またはハムスター)または非ヒト細胞である。
本明細書において用いられるように、「異種タンパク質またはペプチド」は、生物または細胞において天然に発現されないタンパク質またはペプチドを指す。「異種タンパク質」は、それをコードするコード核酸が、天然に「異種タンパク質」を発現しない生物に導入される場合に発現されうる。
配列同一性は典型的に、配列分析ソフトウェア(たとえば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, Wis. 53705)を用いて測定される。そのようなソフトウェアは、様々な置換、欠失、置換、および他の改変に相同性の程度を割付することによって、類似の配列をマッチさせる。
「単離された」という用語は、タンパク質がその天然の周囲から除去されることを意味する。しかし、それと共に見いだされる化合物のいくつかは、「単離された」タンパク質と共に存在し続けてもよい。このように、「単離されたタンパク質」は、それが天然において出現するとおりではなく、実質的に100%未満純粋なタンパク質であってもよい。
本明細書において用いられる「ベクター」という用語は、宿主細胞に送達するためまたは異なる宿主細胞に導入するために設計された核酸構築物を指す。本明細書において用いられるように、ベクターは、ウイルス性または非ウイルス性でありうる。
本明細書において用いられるように、「レトロウイルスベクター」は、トランスジーンをコードするヌクレオチド配列を含み、ベクターのパッケージングにとって必要なヌクレオチド配列をさらに含む発現ベクターを指す。好ましくは、レトロウイルス導入ベクターはまた、細胞においてトランスジーンを発現させるために必要な配列を含む。
本明細書において用いられるように、「血管新生促進因子」という用語は、新しい血管の形成(たとえば、新生血管形成)を直接または間接的に促進する因子を指す。
本明細書において用いられるように、「内皮細胞に対するVEGF結合を増強する」という用語は、VEGFを単独で投与した場合の内皮細胞に結合するVEGFの量と比較して、VEGFおよびprom-1ペプチドの双方の存在下で内皮細胞に結合するVEGF結合の少なくとも10%(本明細書において実施例の章に記述されるように、内皮細胞に対するたとえば125I-VEGFの結合を測定することによって査定される)の増加を指す。好ましくは、prom-1ペプチドは、prom-1ペプチドの非存在下でVEGFを投与した場合のVEGF結合と比較して、内皮細胞に対するVEGF結合を少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、またはそれより多く増強する。
本明細書において用いられるように、「血管新生を増加させる」、「血管新生を促進する」、または「血管新生を増強する」という用語は、血管新生の少なくとも1つの測定可能なマーカーが、prom-1ペプチドの存在下で、そのような物質の非存在下でのそのマーカーと比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、またはそれより多く増加することを指す。上記で引用された用語はまた、血管新生マーカーを、同じマーカーに対するVEGF単独の効果と比較することによって、上記の増加が決定される、細胞または被験体をVEGFおよびprom-1ペプチドによって同時処理する段階を包含する。今日まで、アミノ酸121、145、165、183、189、および206個のVEGFイソ型をコードする6個のヒトVEGF mRNA種が、VEGF mRNAの選択的スプライシングによって産生されている。内皮細胞に対するVEGF結合の決定は、血管新生を促進する任意のVEGFイソ型、たとえば少なくともイソ型VEGF165、VEGF121、およびVEGF189によって行われうる。1つの態様において、放射標識VEGF165を用いて内皮細胞に対するVEGF結合を決定する。
内皮細胞の遊走は、たとえばBD BioCoat Angiogenesis Systemなどの市販のキットを用いて多孔性の膜を通しての、またはボイデンチャンバー装置を通しての細胞の遊走を測定することによって査定されうる。このように、本明細書において用いられるように、「細胞の遊走を増強する」という用語は、最低限でも、prom-1ペプチドの存在下で多孔性の膜を通しての内皮細胞の遊走の少なくとも10%の増加を指し;好ましくは増加は、その用語が本明細書において用いられるようにprom-1ペプチドの存在下で少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍であるか、またはそれより多い。
内皮細胞の増殖は、たとえば中でもRnD Systems、およびPromegaが含まれる多様な企業から販売されているMTSアッセイを用いて細胞増殖を測定することによって決定されうる。このように、本明細書において用いられるように、「細胞増殖を増強する」という用語は、prom-1ペプチドの存在下での内皮細胞数の少なくとも10%の増加を指し(たとえばMTSアッセイを用いて査定した場合に);好ましくは増加は、その用語が本明細書において用いられるようにprom-1ペプチドの存在下で少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍であるか、またはそれより多い。
本明細書において用いられる「創傷」という用語は、広く、外部暴力、機械的作因、または感染疾患による組織の分裂または膜(たとえば、皮膚)の破裂を典型的に伴う生物の臓器または組織に対する損傷を指す。「創傷」という用語は、裂傷、擦過傷、剥離、切断、速度による創傷(たとえば、銃創)、貫通創傷、穿刺創傷、打撲傷、血腫、断裂創傷、および/または挫傷が含まれるがこれらに限定されるわけではない損傷を包含する。1つの局面において、「創傷」という用語は、多様な様式(たとえば、長期間の寝たきりによる圧褥瘡、外傷、切断、潰瘍、熱傷等によって引き起こされた創傷)のいずれか1つによって始まり、多様な特徴を有する皮膚および皮下組織に対する損傷を指す。皮膚創傷は典型的に、創傷の深さに応じて4つのグレードの1つに分類される:(i)グレードI:表皮に限定される創傷;(ii)グレードII:真皮の中に広がる創傷;(iii)グレードIII:皮下組織の中に広がる創傷;および(iv)グレードIV(または全層創傷);骨が露出する創傷(たとえば、大転子または仙骨などの骨の圧点)。
本明細書において用いられるように、「創傷治癒」という用語は、それによって創傷を受けた生物の体が創傷部位(たとえば、皮膚)で組織の修復を開始するプロセスを指す。創傷治癒プロセスは、部分的に創傷組織の血管新生および血管再生を必要とする。創傷治癒は、当業者に公知であるように、または本明細書において「創傷治癒アッセイ」と題する章において記述されるように、攣縮、創傷面積、閉鎖率(%)、閉鎖速度(%)、および/または血管の浸潤などのパラメータを査定することによって測定されうる。
本明細書において用いられるように、「処置する」または「処置」という用語は、過剰な、望ましくない、および/または異常な血管新生に関連する医学的状態に関連する少なくとも1つの有害な効果または症状を低減または緩和することを指す。
本明細書において用いられるように、「神経保護を促進する」という用語は、ニューロン細胞死(壊死、アポトーシス、またはその他)が、本出願において記述されるペプチドなどの物質の存在下で、その物質の非存在下と比較して、少なくとも20%、および好ましくは少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%またはそれより多くまで、およびたとえば少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍またはそれより多くまでが含まれる割合で予防されるかまたは減少する状態を指す。この用語はまた、ニューロン細胞生長、軸索の伸長、ニューロンの増殖または機能的組織化が、物質の存在下で、その物質の非存在下と比較して少なくとも20%増加する、好ましくは少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%またはそれより多くまで、およびたとえば少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍またはそれより多くまでが含まれる割合で増加する状態を指す。
本明細書において用いられるように、「ニューロンの生長を刺激する」という用語は、ニューロン細胞生長(たとえば、軸索の生長、栄養)が、本出願において記載されるペプチドなどの物質の存在下で、その物質の非存在下と比較して、たとえば少なくとも20%増加する、および好ましくは少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%またはそれより多くまで、およびたとえば少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、もしくは少なくとも20倍、またはそれより多くまでが含まれる割合で増加する状態を指す。
本明細書において用いられるように、「CNSニューロンに接触させる」という用語は、ペプチドがニューロンにおいてその薬理学的効果を示すことができる細胞または生物全体にペプチドを送達または「投与」する任意の様式を指す。「CNSニューロンに接触させる」とは、本発明の物質をニューロンに近づけるインビボおよびインビトロ法の双方が含まれると意図される。適した投与様式は、当業者によって決定されることができ、そのような投与様式はペプチド間で多様であってもよい。たとえば、CNSニューロンの軸索生長が、エクスビボで刺激される場合、ペプチドは、たとえばトランスフェクション、リポフェクション、電気穿孔、ウイルスベクター感染、または増殖培地への添加によって投与されうる。ニューロンの生長経路を活性化する物質をニューロンに接触させるインビボ手段には、たとえば水晶体の損傷が含まれるがこれらに限定されるわけではない。水晶体の損傷によって、マクロファージの活性化が起こり、マクロファージから分泌された因子がRGCを刺激してその軸索を再生させる(Yin et al, 2003)。
本明細書において用いられるように、「薬学的組成物」という用語は、製薬産業において一般的に用いられる化学物質および化合物の薬学的に許容される担体と併用された活性物質を指す。「薬学的に許容される担体」という用語は、組織培養培地を除外する。
本明細書において用いられる「含む(comprising)」または「含む(comprises)」という用語は、本発明にとって必須であるが、なおも必須であるか否かによらず、明記されない要素を含めることを受け入れる、組成物、方法、および各々のその成分を参照して用いられる。
本明細書において用いられるように、「本質的にからなる」という用語は、所定の態様に関して必要な要素を指す。この用語は、本発明のその態様の基礎的特徴、および新規のまたは機能的特徴に著しく影響を及ぼさない要素の存在を容認する。
「からなる」という用語は、態様のその説明において引用されていないいかなる成分も除外する、本明細書において記述される組成物、方法、および各々の成分を指す。
特に説明している場合を除き、本明細書において用いられる全ての科学技術用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。細胞生物学および分子生物学における一般的な用語の定義は、"The Merck Manual of Diagnosis and Therapy", 18th Edition, published by Merck Research Laboratories, 2006 (ISBN 0-911910-18-2);Robert S. Porter et al. (eds.), The Encyclopedia of Molecular Biology, published by Blackwell Science Ltd., 1994 (ISBN 0-632-02182-9);およびRobert A. Meyers (ed.), Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference, published by VCH Publishers, Inc., 1995 (ISBN 1-56081-569-8);The ELISA guidebook (Methods in molecular biology 149) by Crowther J. R. (2000);Fundamentals of RIA and Other Ligand Assays by Jeffrey Travis, 1979, Scientific Newsletters;Immunology by Werner Luttmann, published by Elsevier, 2006において見いだされうる。分子生物学における一般的な用語の定義はまた、Benjamin Lewin, Genes IX, published by Jones & Bartlett Publishing, 2007 (ISBN- 13: 9780763740634);Kendrew et al. (eds.), The Encyclopedia of Molecular Biology, published by Blackwell Science Ltd., 1994 (ISBN 0-632- 02182-9);およびRobert A. Meyers (ed.), Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference, published by VCH Publishers, Inc., 1995 (ISBN 1-56081-569-8)、およびCurrent Protocols in Protein Sciences 2009, Wiley Intersciences, Coligan et al., eds.においても見いだされる。
特に述べている場合を除き、本発明は、たとえばその全内容が全て参照により本明細書に組み入れられる、Methods in Enzymology, Volume 289: Solid-Phase Peptide Synthesis, J. N. Abelson, M. I. Simon, G. B. Fields (Editors), Academic Press; 1st edition (1997) (ISBN-13: 978-0121821906);米国特許第4,965,343号および第5,849,954号;Maniatis et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N. Y., USA (1982);Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2 ed.), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., USA (1989);Davis et al., Basic Methods in Molecular Biology, Elsevier Science Publishing, Inc., New York, USA (1986);またはMethods in Enzymology: Guide to Molecular Cloning Techniques Vol.152, S. L. Berger and A. R. Kimmerl Eds., Academic Press Inc., San Diego, USA (1987);Current Protocols in Protein Science (CPPS) (John E. Coligan, et. al., ed., John Wiley and Sons, Inc.), Current Protocols in Cell Biology (CPCB) (Juan S. Bonifacino et. al. ed., John Wiley and Sons, Inc.)、および Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique by R. Ian Freshney, Publisher: Wiley-Liss; 5th edition (2005), Animal Cell Culture Methods (Methods in Cell Biology, Vol. 57, Jennie P. Mather and David Barnes editors, Academic Press, 1st edition, 1998)において記述されるように標準的な技法を用いて行われた。
操作例以外に、または特に示している場合を除き、本明細書において用いられる成分または反応条件の量を表す数値は全て、全ての例において「約」という用語によって修飾されると理解すべきである。百分率と共に用いられる場合の「約」という用語は、±1%を意味する可能性がある。
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その」には、本文が明らかにそれ以外であることを明記している場合を除き、複数形が含まれる。同様に、「または」という用語には、本文が明らかにそれ以外であることを示している場合を除き、「および」が含まれると意図される。さらに、核酸またはポリペプチドに対して与えられる全ての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、および全ての分子重量または分子質量の値は、概算であり、説明のために提供されると理解されるべきである。本明細書における記述と類似または同等の方法および材料を本開示の実践または試験において用いることができるが、適した方法および材料を以下に記述する。省略語「たとえば」は、ラテン語のたとえばに由来して、本明細書において非制限的な例を示すために用いられる。このように、省略語「たとえば」は、用語「たとえば」と同義である。
同定された特許および他の刊行物は全て、本発明に関連して用いられる可能性があるそのような刊行物において記述される方法論を記述および開示する目的のために参照により明白に本明細書に組み入れられる。これらの刊行物は、その開示が単に本出願の提出日より前になされたために提供される。この点において、先行発明に基づいてまたは他の任意の理由からそのような開示がなされた日付を早める権利がないと、本発明者らが自認したと解釈されるべきではない。日付に関する全ての声明またはこれらの文書の内容に関する表現は、出願人に入手可能な情報に基づいており、これらの文書の日付または内容の正確さに関するいかなる容認も構成しない。
プロミニンファミリーのいくつかの相同なメンバーの例示的なタンパク質配列アラインメントを示す。出現順にそれぞれ、SEQ ID NO: 20〜26を開示する。 図2Aは、プロミニン-1断片がVEGFに結合することを示す。バックグラウンドより上である黒色のドットをVEGF結合ペプチドの候補体として選んだ。図2Bは、VEGFに結合するプロミニン-1の細胞外ドメインに由来するペプチド配列を示す。図2Bは、出現順にそれぞれ、SEQ ID NO: 4〜9を開示する。 ペプチド#237が内皮細胞および黒色腫細胞に対するVEGF結合を増加させたことを示す。細胞10000個を、20 mM Hepes、0.1%BSAおよびI125-VEGF(12 ng/ml)を含有する結合緩衝液において氷中で3時間インキュベートした。図3Aは、ペプチド#237が内皮細胞に対するVEGFの結合を増加させたことを示す。図3Bは、ペプチド#237が黒色腫細胞に対するVEGFの結合を増加させたことを示す。 #237断片、#237Aおよび#237Cを用いた場合にVEGF結合の増強が消失する。Prom-1ペプチド#237Bは、対照と比較してVEGF結合を部分的に増加させる。 図5Aは、プロミニン-1細胞外断片がヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)増殖を増加させることを示す。図5Bは、プロミニン-1細胞外断片がヒトB16-F10黒色腫細胞増殖を増加させることを示す。 マウス角膜に移植されたVEGF(160 ng/ペレット)またはVEGF+#237(1.3μg/ペレット)を含有するHydronペレットの効果を示す。5日目での辺縁部からの活発な血管の内殖が陽性の応答として記録された。 Prom-1ペプチド#237が内皮細胞の遊走を劇的に増加させることを示す。処置したマウスの2群からのmatrigel放出細胞のFACS分析のデータを示す。 図8Aは、5日後のヌードマウスの耳創傷(2.25 mmの環状の創傷サイズ)におけるmatrigel単独による創傷治癒を示す。Matrigel溶液は新生血管形成に対して最少の効果を有した。図8Bは、5日後のヌードマウスの耳創傷(2.25 mmの環状の創傷サイズ)におけるProm-1ペプチド#237(180μg)を含有するmatrigelによる創傷治癒を示す。Prom-1ペプチド#237 matrigel溶液は、耳創傷部位(X4)周囲で新生血管形成を有意に増加させた。 内皮細胞に対するVEGF結合に及ぼすペプチド#237に由来するペプチドの効果が配列依存的であることを示す実験の結果を示す棒グラフである。図9は、出現順にそれぞれ、SEQ ID NO: 8、8、8、8および27〜35を開示する。 ペプチド#237がマウス耳穿孔モデルにおいて14日後に創傷治癒を促進することを示す実験結果を示す棒グラフである。 ペプチド#237が一次皮質ニューロン細胞における神経突起の伸展を促進することを示す実験結果を示す一連の顕微鏡写真である。
発明の詳細な説明
本明細書において記述される方法および組成物は、5回膜貫通糖タンパク質の細胞外部分に由来する短いペプチドが血管新生に対して明確な効果を有するという発見に部分的に基づいている。本発明者らは、プロミニン-1(prom-1)の短いペプチドが、正常な生育および発生にとって重要であるが、癌および糖尿病性網膜症などの望ましくない異常な血管形成の際にも重要である内因性の血管新生促進因子であるVEGFに結合することを見いだした(表1を参照されたい)。ペプチドのいくつかは、他の細胞タイプに対するVEGFの結合を促進して、インビトロで内皮細胞および黒色腫細胞の増殖を促進し、ならびにVEGFの存在下で血管新生および細胞遊走を増強した。血管新生促進特性を有するこれらのペプチドは、創傷治癒および組織修復などの血管新生を促進するために有用である。
本明細書において記述されるペプチドは、VEGF165、VEGF121、およびVEGF145などのVEGFに対する結合能に基づいて同定された。ペプチドは、血管新生、細胞遊走、血管拡張、および細胞増殖が含まれるプロセスにおいてVEGFの活性を強化する。VEGFの様々な活性に対するこれらの効果を考慮すると、本明細書において記述されるペプチド、ならびにVEGFに結合する変種および誘導体は、たとえば神経栄養および神経保護効果、細胞遊走、細胞増殖、および血管新生が含まれるVEGFの他の効果に影響を及ぼしうると考えられる。1つの態様において、本明細書において記述されるペプチドは、高血圧症および/または勃起機能障害の処置または調節のためにVEGFの血管拡張効果を強化するために投与される。
ヒトプロミニン-1(aka AC133、CD133、MSTP061、PROML1、RP41、プロミニン1、hプロミニン、プロミニン (マウス)-様1、造血幹細胞抗原;Genbankアクセッション番号:NM_006017.1;NP_006008.1;AF027208.1)は、主に内皮細胞の頂端膜における幹細胞において発現される5回膜貫通糖タンパク質(5-TMD)であり、造血幹細胞のマーカーである。これは、5回膜貫通ドメイン(TMD)タンパク質であるpfamプロミニンの分子ファミリーに属する。この「ファミリー」には、ヒト、マウス、ラット、ハエ、ゼブラフィッシュ、および線虫が含まれるいくつかの異なる種からのメンバーが含まれる。5-TMD構造には、細胞外N末端、2つの短い細胞内ループ、2つの大きい細胞外ループ、および細胞内C末端が含まれる。Prom-1は当初、始原造血幹細胞および前駆細胞ならびに網膜芽腫細胞において発現されることが示された。しかし、prom-1は、血管芽細胞および神経幹細胞のみならず発生中の上皮において発現されることが示されている。ヒト骨髄、臍帯血、および末梢血のprom-1陽性分画は、異種移植モデルにおいて効率的に定着して、顆粒球/マクロファージ前駆体、NOD/SCID再増殖細胞およびCD34+樹状細胞前駆体を多数含有する。表現型上、血液および骨髄におけるprom-1陽性細胞はCD34 brightであり、CD34 dim CD71 bright細胞はprom-1発現に関して陰性である。Prom-1はまた、体液中の細胞外膜粒子において見いだされる。prom-1に関する天然のリガンドはまだ同定されておらず、造血組織におけるその特異的機能は不明である(Corbeil, D., et. al, Blood. 1998, 91:2625-6;Miraglia S, et. al., Blood. 1997, 90:5013-21;Weigmann A, et. al, Proc Natl. Acad. Sci. U S A. 1997, 94:12425-30)。プロミニンの正確な機能は不明であるが、プロミニンをコードする遺伝子PROM1を欠損するヒトでは、網膜変性を引き起こす。
Prom-1発現はまた、癌に関連する;多くの白血病がprom-1のみならずCD34を発現する。結腸癌は、少数の未分化の腫瘍形成性prom-1+細胞によって開始および繁殖すると考えられている。Prom-1 mRNA発現は、転移性疾患、特に骨転移を有する癌患者において増加している。加えて、prom-1 mRNA発現は、全体的な生存に関する独立した予後因子であるように思われる。
prom-1が癌および/または転移を促進できる理由の1つは、無傷の全長のprom-1がVEGFの血管新生特性を増強して、ゆえに血管新生促進性である点である。prom-1のこの特徴は、癌および転移に関連する病的な血管新生を確かに支持しうるであろう。prom-1タンパク質およびその発現を特異的に標的とする処置の選択肢は、現在試験中であり、これには抗prom-1抗体による遮断活性およびsiRNAによる発現の阻害が含まれる。
本明細書において、血管新生促進活性を有するプロミニンポリペプチドに由来するペプチドが提供される。
よって、本発明の態様は、血管新生促進活性のみならず、インビトロのELISAに基づくVEGF結合アッセイによって測定した場合にVEGF結合活性を有する、プロミニン-1(prom-1)に由来する単離されたペプチド断片を提供する。血管新生促進活性には:たとえば内皮細胞および黒色腫細胞が含まれる他の細胞タイプに対するVEGF結合の促進;インビトロで内皮細胞のみならず黒色腫細胞の細胞増殖の促進;角膜マイクロポケットアッセイによってアッセイした場合にVEGFの存在下での血管新生の増強;VEGFの存在下でインビボでの内皮細胞遊走の増強;および本明細書において記述される耳の創傷治癒アッセイにおいてアッセイした場合に増殖因子の存在下でインビボでの新生血管形成の促進が含まれる。
1つの態様において、血管新生促進活性を有する単離ペプチドは、全長のヒトprom-1(Genbankアクセッション番号NM_006017.1;NP_006008.1;AF027208.1)に由来する。しかし、いかなる状況においても「prom-1ペプチド」という用語は、全長のペプチドを包含しない。むしろ、「prom-1ペプチド」は、prom-1の切断型ペプチドを指す。他の態様において、血管新生促進活性を有する単離ペプチドは、プロミニンタンパク質ファミリー(pfam05478:プロミニン)の相同なタンパク質メンバーに由来する。プロミニンタンパク質ファミリーの相同なタンパク質メンバーには、公知のおよび同定されたタンパク質のみならず、ゲノム試験から予測されるタンパク質が含まれる。プロミニンファミリーの全てのメンバーは、N末端ドメインが細胞外間隙に露出した後、小さい細胞質ループおよび大きい細胞外ループが4回交互に続き、ならびに細胞質C末端ドメインが続く、5回膜貫通ドメインを含有すると予想される。これらのタンパク質は、ヒトprom-1の相同体である。プロミニンファミリーメンバーのいくつかのタンパク質配列アラインメントの例を、図1に示す。prom-1相同体の例は:ゼブラダニオ(Danio rerio)(ゼブラフィッシュ)プロミン-様2タンパク質、swissprot Q90WI3、Genbankアクセッション番号GI:82177379;ドブネズミ(Rattus norvegicus)(ドブネズミ)テストステロン調節プロミニン関連タンパク質、swissprot Q8R4B6、Genbankアクセッション番号GI:81866961;ヒト(Homo sapiens)(ヒト)プロミニン様タンパク質2、swissprot Q8N271、Genbankアクセッション番号GI:74728673;ハツカネズミ(Mus musculus)(ハツカネズミ)プロミン様タンパク質1、swissprot O54990、Genbankアクセッション番号GI:13124464;セノラブディティスエレガンス(Caenorhabditis elegans)の仮説上のタンパク質F08B12.1、swissprot Q19188、Genbankアクセッション番号GI:74963586;およびキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)(ショウジョウバエ)プロミン様タンパク質、swissprot P82295、Genbankアクセッション番号GI:13124468である。
1つの態様において、血管新生促進活性を有する単離ペプチドは、少なくとも6連続アミノ酸残基を含む。アミノ酸残基6個は連続しており、無傷の全長のprom-1ポリペプチドにおいてコードおよび発現される残基を反映している。もう1つの態様において、血管新生促進活性を有する単離ペプチドは、prom-1の50個以下のアミノ酸を含む。なおもう1つの態様において、血管新生促進活性を有する単離ペプチドは、prom-1の少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30連続アミノ酸残基を有する。もう1つの態様において、単離ペプチドは、30個以下の連続アミノ酸残基を有する。なおもう1つの態様において、単離ペプチドはprom-1の29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、または7つ以下の連続アミノ酸残基を有する。もう1つの態様において、ペプチドは50個またはそれより少ない連続アミノ酸を有し、これには、prom-1の49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、および30連続アミノ酸を有するペプチドが含まれる。
1つの局面において、血管新生促進活性を有する単離ペプチドは、
Figure 0006063626
またはその保存的置換変種からなる群より選択されるペプチドから本質的になる、またはそれらからなる。
本明細書において記述されるインビトロELISAに基づくVEGF結合アッセイによって測定した場合に、血管新生促進活性を有するペプチドのVEGF結合性保存的置換変種である単離ペプチドが本明細書において包含される。保存的アミノ酸残基置換は当技術分野において周知である。保存的アミノ酸置換は、1つのアミノ酸を類似の化学構造のもう1つのアミノ酸に交換する。そのような置換の例は、アラニンの代わりにグリシン、バリンの代わりにロイシン、トレオニンの代わりにセリン、およびグルタミン酸塩の代わりにアスパラギン酸塩である。たとえば、SEQ ID NO: 4を、ペプチドVCGNSFSGGQPS (SEQ ID NO: 39), LCANSFSGGQPS (SEQ ID NO: 40),またはLCGNSFSAGQPS (SEQ ID NO: 41),もしくはLCGNSFSGAQPS (SEQ ID NO: 42)に変更することができる。1つの態様において、1つのみのアミノ酸が保存的置換によって置換される。もう1つの態様において、2つの置換を作成することができる。保存的置換には典型的に、以下の群内での置換が含まれる:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リジン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。保存的アミノ酸置換は、ペプチドの全体的な構造も、または結合パートナーとファンデルワールス結合を形成するために利用可能なアミノ酸側鎖のタイプも変化させない。保存的アミノ酸置換は、合成プロセスにおいて適当な配列で望ましい置換アミノ酸を付加することによって、ペプチドの化学合成の際に達成されうる。または、分子生物学的方法を用いることができる。本明細書において記述されるペプチドのコード配列は、互いに相補的である2つの一本鎖核酸をアニールすることによって作成されうる。核酸の配列はペプチドをコードする。たとえば、prom-1ペプチド
Figure 0006063626
のセンス核酸は、
Figure 0006063626
であり、相補的アンチセンス核酸は、
Figure 0006063626
である。置換アミノ酸を決定した後、その置換アミノ酸のトリプレットコドンを決定して、置換アミノ酸のコドンを置換されるアミノ酸のコドンに交換して、2つの相補的一本鎖核酸配列の設計に組み入れる。たとえば、LCGNSFSGGQPS(SEQ. ID. No. 4)の5'位でのセリンのセリンからトレオニン置換に関して、セリンのトリプレットコドンAGCは、SEQ ID NO: 10においてトレオニンのトリプレットコドンACGに交換される。次に、2つの鎖をアニールするためにアンチセンスSEQ ID NO: 11の設計において相補的変化を作成する。または、本明細書において記述されるペプチドにおける保存的アミノ酸置換のために部位特異的変異誘発を用いることができる。
1つの態様において、本明細書において記述される血管新生促進活性を有する単離ペプチドおよびそのVEGF結合性保存的アミノ酸置換変種は、内皮細胞に対するVEGF結合を増強する。もう1つの態様において、本明細書において記述される血管新生促進活性を有するペプチドは、内皮細胞および黒色腫細胞における細胞増殖を増強する。もう1つの態様において、本明細書において記述される血管新生促進活性を有するペプチドは、血管新生促進因子の存在下で血管新生を増強する。いくつかの局面において、本明細書において記述される血管新生促進活性を有するペプチドは、血管新生促進因子の存在下で内皮細胞などの細胞の遊走を増強する。もう1つの局面において、本明細書において記述される血管新生促進活性を有するペプチドは、増殖因子の存在下でインビボで新生血管形成を促進する。そのような増殖因子には、VEGF、EGF、bFGF、NGF、PDGF、IGF-1、およびTGF-βが含まれるがこれらに限定されるわけではない。
1つの態様において、prom-1ペプチドまたはその保存的アミノ酸置換変種を含む融合ポリペプチドが本明細書において企図される。融合ポリペプチドは、本明細書において記述されるペプチドともう1つの異種タンパク質またはその一部との融合によって形成される。異種タンパク質は、プロミニンファミリーのメンバーではない任意のタンパク質である。融合は、prom-1キメラポリペプチドを生じる。そのような融合prom-1ペプチドは、インビボでprom-1ペプチドの血清半減期を増強するように作用しうる。例には、アルブミン、トランスフェリン、トランスチレチン、およびIgGのFcとの融合が含まれる(G. M. Subramanian, 2007, Nature Biotechnology 25, 1411-141を参照されたい)。他の融合体、たとえばチオレドキシン、グルタチオンS-トランスフェラーゼ、アビジンおよび6ヒスチジンのタグ(SEQ ID NO: 19)は、タンパク質の発現、発現の際の溶解度、および精製を容易にすることができる。もう1つの態様において、血管新生促進活性を有する本明細書において記述されるペプチドまたは保存的アミノ酸置換変種を、血管新生能を増強するために他の血管新生促進因子、たとえばVEGF、FGF、およびIGFと融合させることができる。
ペプチドの改変
本明細書において記述されるペプチドの改変型が本発明に包含されると理解される。保存的置換は、本明細書において先に考察されている。非保存的置換は、それらがそれらのペプチドの活性を実質的に保持する程度に包含される。prom-1ペプチドに対する改変は、その各々の全内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第20080090760号および米国特許出願公開第20060286636号において記述されるように行うことができる。以下は、本発明の範囲内に包含される様々な他のペプチド改変の非制限的な考察を提供する。
本明細書において記述されるペプチドに包含されるのは、それらがそれらのペプチドの活性を実質的に保持している限り、そのアミノ酸残基配列が本明細書において記述されるprom-1ペプチドの化学誘導体である。「化学誘導体」は、本明細書において記述されるペプチド誘導体のサブセットであり、機能的側鎖の反応によって化学的に誘導体化される1つまたは複数の残基を有する本発明のポリペプチドを指す。側鎖の誘導体化に加えて、化学誘導体は、N-メチル、N-エチル、N-プロピル等などのα-アミノ置換、およびチオエステル、チオアミド、グアニジノ等などのα-カルボニル置換が含まれる1つまたは複数の骨格改変を有しうる。そのような誘導体化分子には、たとえば、アミン塩酸塩、p-トルエンスルホニル基、カルボベンゾイル基、t-ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基、またはホルミル基を形成するように誘導体化されている分子が含まれる。遊離のカルボキシル基は、塩、メチルおよびエチルエステルまたは他のタイプのエステルもしくはヒドラジドを形成するように誘導体化されてもよい。遊離のヒドロキシル基は、O-アシルまたはO-アルキル誘導体を形成するように誘導体化されてもよい。ヒスチジンのイミダゾール窒素は、N-イム-ベンジルヒスチジンを形成するように誘導体化されてもよい。同様に、標準的なアミノ酸20個の1つまたは複数の天然に存在するアミノ酸誘導体を含有するペプチドが化学誘導体として含まれる。同様に、1つまたは複数の非制限的な非天然のアミノ酸を含有するペプチドが化学誘導体として含まれ、例には、販売元(たとえば、Bachemカタログ、2004 pp. 1-276)からペプチド合成のために入手可能な例が含まれる。たとえば、4-ヒドロキシプロリンをプロリンの代わりに用いてもよく;5-ヒドロキシリジンをリジンの代わりに用いてもよく;3-メチルヒスチジンをヒスチジンの代わりに用いてもよく;ホモセリンをセリンの代わりに用いてもよく;オルニチンをリジンの代わりに用いてもよく;β-アラニンをアラニンの代わりに用いてもよく;ノルロイシンをロイシンの代わりに用いてもよく;フェニルグリシンをフェニルアラニンの代わりに用いてもよく;およびL-1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸またはH-β-(3-ベンゾチエニル)-Ala-OHをトリプトファンの代わりに用いてもよい。
特定の態様において、ペプチドに対する化学改変には、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アミノジアルキル、ハロゲン、ヘテロ原子、炭素環、カルボシクリル、カルボシクロ、炭素環式、アリール、アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキル、複素環、ヘテロシクリル、複素環式、ヘテロアリール、および/または脂肪族基を含めることが含まれるがこれらに限定されるわけではない。
単独でまたはより大きい部分の一部として用いられる「アルキル」、「アルコキシ」、「ヒドロキシアルキル」、「アルコキシアルキル」、および「アルコキシカルボニル」という用語には、炭素原子1個〜12個を含有する直鎖および分枝鎖の双方が含まれる。単独でまたはより大きい部分の一部として用いられる「アルケニル」および「アルキニル」という用語には、炭素原子2個〜12個を含有する直鎖および分枝鎖の双方が含まれるであろう。単独でまたはより大きい部分の一部として用いられる「シクロアルキル」という用語には、完全に飽和されている、または1つもしくは複数の不飽和単位を含有するが芳香族ではない環状のC3-C12炭化水素が含まれるであろう。低級アルキルは、炭素1〜6個を含有するアルキル基を指す。
「アミノ」という用語は、NH2基を指す。
「アルキルアミノ」または「アミノアルキル」という用語は、水素原子の1つがアルキル基に交換されているアミノ基を指す。
「ジアルキルアミノ」または「アミノジアルキル」という用語は、同じまたは異なっていてもよいアルキル基によって、水素原子が交換されているアミノ基を指す。
「ハロゲン」という用語は、F、Cl、Br、またはIを意味する。
「ヘテロ原子」という用語は、炭素環構造を有する窒素、酸素、またはイオウを意味し、これには窒素およびイオウの任意の酸化型ならびに任意の塩基性窒素の四級型が含まれる。「窒素」という用語にはまた、複素環の置換可能な窒素が含まれる。例として、酸素、イオウ、または窒素から選択されるヘテロ原子0〜3個を有する飽和または部分的に不飽和の環において、窒素はN(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルの場合のように)、NH(ピロリジニルの場合のように)、またはNR+(N-置換ピロリジニルの場合のように)であってもよい。
本明細書において用いられる「炭素環」、「カルボシクリル」、「カルボシクロ」または「炭素環式」という用語は、3員環〜14員環を有する脂肪族環系を意味する。「炭素環」、「カルボシクリル」、「カルボシクロ」または「炭素環式」という用語はまた、飽和であるか部分的不飽和であるかによらず、置換されてもよい環を指す。「炭素環」、「カルボシクリル」、「カルボシクロ」または「炭素環式」という用語には、ラジカルまたは付着点が脂肪族環上に存在するか否かによらず、デカヒドロナフチルまたはテトラヒドロナフチルなどの場合のように1つまたは複数の芳香環または非芳香環に縮合される脂肪族の環が含まれる。
単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」、もしくは「アリールオキシアルキル」の場合のようにより大きい部分の一部として用いられる「アリール」という用語は、フェニル、ベンジル、フェネチル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントラシルおよび2-アントラシルなどの6〜14員環を有する芳香環基を指す。「アリール」という用語はまた、置換されてもよい環も指す。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と互換的に用いられてもよい。「アリール」にはまた、芳香環が1つまたは複数の環に縮合される縮合多環式芳香環系が含まれる。例には、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントラシル、および2-アントラシルが含まれる。同様に、芳香環が、ラジカルまたは付着点が芳香環上に存在するインダニル、フェナンスリジニル、またはテトラヒドロナフチルなどの1つまたは複数の非芳香環に縮合される基も、本明細書において用いられる「アリール」という用語の範囲内に含まれる。
本明細書において用いられる「複素環」、「ヘテロシクリル」、または「複素環式」という用語には、1つまたは複数の環炭素、好ましくは1〜4個が各々ヘテロ原子に交換されている4〜14員環、好ましくは5〜10員環を有する非芳香環系が含まれる。複素環の例には、3-1H-ベンズイミダゾル-2-オン、(1-置換)-2-オキソ-ベンズイミダゾル-3-イル、2-テトラヒドロ-フラニル、3-テトラヒドロフラニル、2-テトラヒドロピラニル、3-テトラヒドロピラニル、4-テトラ-ヒドロピラニル、[1,3]-ジオキサラニル、[1,3]-ジチオラニル、[1,3]-ジオキサニル、2-テトラ-ヒドロ-チオフェニル、3-テトラヒドロチオフェニル、2-モルフォリニル、3-モルフォリニル、4-モルフォリニル、2-チオモルフォリニル、3-チオモルフォリニル、4-チオモルフォリニル、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニル、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-ピペリジニル、4-チアゾリジニル、ジアゾロニル、N-置換ジアゾロニル、1-フタルイミジニル、ベンゾキサニル、ベンゾピロリジニル、ベンゾピペリジニル、ベンゾキソラニル、ベンゾチオラニル、およびベンゾチアニルが含まれる。同様に、本明細書において用いられる「ヘテロシクリル」または「複素環式」という用語の範囲には、ラジカルまたは付着点が非芳香族ヘテロ原子含有環上に存在する、インドリニル、クロマニル、フェナンスリジニル、またはテトラヒドロキノリニルなどの、非芳香族ヘテロ原子含有環が1つまたは複数の芳香環または非芳香環に縮合される基が含まれる。「複素環」、「ヘテロシクリル」、または「複素環式」という用語はまた、飽和であるか部分的不飽和であるかによらず、置換されてもよい環も指す。
単独で、または「ヘテロアラルキル」もしくは「ヘテロアリールアルコキシ」におけるようなより大きい部分の一部として用いられる「ヘテロアリール」という用語は、5〜14員環を有するヘテロ芳香環基を指す。ヘテロアリール環の例には、2-フラニル、3-フラニル、3-フラザニル、N-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル、3-イソキサゾリル、4-イソキサゾリル、5-イソキサゾリル、2-オキサジアゾリル、5-オキサジアゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、1-ピラゾリル、2-ピラゾリル、3-ピラゾリル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ピリミジル、3-ピリダジニル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、5-テトラゾリル、2-トリアゾリル、5-トリアゾリル、2-チエニル、3-チエニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、キノリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、イソキノリニル、インダゾリル、イソインドリル、アクリジニル、およびベンゾイソキサゾリルが含まれる。同様に、ヘテロ原子環が、ラジカルまたは付着点がヘテロ芳香環上に存在する1つまたは複数の芳香環または非芳香環に縮合される基も、本明細書において用いられる「ヘテロアリール」という用語の範囲に含まれる。例には、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノ-リニル、およびピリド[3,4-d]ピリミジニルが含まれる。「ヘテロアリール」という用語はまた、置換されてもよい環を指す。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」という用語または「ヘテロ芳香族」という用語と互換的に用いられてもよい。
アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキル等が含まれる)またはヘテロアリール(ヘテロアラルキルおよびへテロアリールアルコキシ等が含まれる)基は、1つまたは複数の置換基を含有してもよい。アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアラルキル基の任意の不飽和炭素原子上の適した置換基の例には、ハロゲン、-R0、-OR0、-SR0、1,2-メチレン-ジオキシ、1,2- エチレンジオキシ、保護されたOH(アシルオキシなどの)、フェニル(Ph)、置換Ph、- O(Ph)、置換-O(Ph)、-CH2(Ph)、置換-CH2(Ph)、CH2CH2(Ph)、置換-CH2CH2(Ph)、-NO2、-CN、-N(R0)2、-NR0C(O)R0、NR0C(O)N(R0)2、NR0CO2R0、-NR0NR0C(O)R0、-NR0NR0C(O)N(R0)2、-NR0NR0C2R0、C(O)C(O)R0、C(O)CH2C(O)R0、-CO2R0、-C(O)R0、-C(O)N(R0)2、-OC(O)N(R0)2、S(O)2R0、-SO2N(R0)2、-S(O)R0、-NR0SO2N(R0)2、-NR0SO2R0、-C(=S)N(R0)2、C(=NH)N(R0)2、(CH2)yNHC(O)R0、および-(CH2)yNHC(O)CH(V-R0)(R0)が含まれ、各々のR0は独立して水素、置換もしくは非置換脂肪族基、非置換ヘテロアリールもしくは複素環、フェニル(Ph)、置換Ph、O(Ph)、置換-O(Ph)、-CH2(Ph)、または置換-CH2(Ph)から選択される;yは0〜6であり;およびVはリンカー基である。R0の脂肪族基またはフェニル環上の置換基の例には、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノカルボニル、ハロゲン、アルキル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルオキシ、ジアルキルアミノカルボニルオキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ハロアルコキシ、およびハロアルキルが含まれる。
脂肪族または非芳香族複素環または縮合アリールまたはヘテロアリール環は、1つまたは複数の置換基を含有してもよい。脂肪族基のまたは非芳香族複素環または縮合アリールまたはヘテロアリール環の任意の飽和炭素上の適した置換基の例には、アリールまたはヘテロアリール基の不飽和炭素に関して先に記述された置換基および以下:=O、=S、=NNHR*、=NN(R*)2、=N-、=NNHC(O)R*、=NNHCO2(アルキル)、=NNHSO2 (アルキル)、または=NR*が含まれ、式中各々のR*は、水素、非置換脂肪族基または置換脂肪族基から独立して選択される。脂肪族基上の置換基の例には、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノカルボニル、ハロゲン、アルキル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルオキシ、ジアルキルアミノカルボニルオキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ハロアルコキシ、およびハロアルキルが含まれる。
非芳香族複素環の窒素上の適した置換基には、R+、-N(R+)2、-C(O)R+、-CO2R+、-C(O)C(O)R+、-C(O)CH2C(O)R+、-SO2R+、-SO2N(R+)2、C(=S)N(R+)2、-C(=NH)-N(R+)2、および-NR+SO2R+が含まれ、式中、各々のR+は、水素、脂肪族基、置換脂肪族基、フェニル(Ph)、置換Ph、- O(Ph)、置換-O(Ph)、-CH2(Ph)、置換-CH2(Ph)、または非置換ヘテロアリールもしくは複素環から独立して選択される。脂肪族基またはフェニル環上の置換基の例には、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノカルボニル、ハロゲン、アルキル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルオキシ、ジアルキルアミノカルボニルオキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ハロアルコキシ、およびハロアルキルが含まれる。
特定の態様において、本明細書において記述されるペプチドモノマーは、少なくとも1つのリンカー部分との共有結合的付着によって、二量体化または多量体化される。リンカー部分は、好ましくは、しかし必ずしもその必要はないが、1つまたは2つの-NH-連結を末端として、1つまたは複数の利用可能な炭素原子で低級アルキル置換基によって置換されてもよいC1-12連結部分である。好ましくは、リンカーは、-NH-R-NH-を含み、式中Rは、カルボキシル基またはアミノ基などの、もう1つの分子部分(たとえば、ペプチド合成の際に固相支持体表面に存在してもよく、またはPEGなどの薬物動態改変物質)との結合を可能にする官能基によって置換される低級(C1-6)アルキレンである。特定の態様において、リンカーは、リジン残基である。特定の他の態様において、リンカーは、各モノマーのC末端アミノ酸に同時に付着することによって、2つのペプチドモノマーのC末端を架橋する。他の態様において、リンカーは、C末端ではなくてアミノ酸の側鎖に付着することによってペプチドを架橋する。リンカーがペプチドのC末端ではなくてアミノ酸の側鎖に付着する場合、側鎖は好ましくは、リジンにおいて見いだされるアミンなどのアミンを含有し、リンカーは、ペプチドとアミド結合を形成することができる2つまたはそれより多いカルボキシ基を含有する。
本発明のペプチドモノマーは、ビオチン/ストレプトアビジン系を用いてオリゴマー化されてもよい。オリゴマー化は、本明細書において記述されるペプチドの1つまたは複数の活性を増強することができる。ペプチドモノマーのビオチニル化類似体は、当業者に公知の標準的な技術によって合成されてもよい。たとえば、ペプチドモノマーは、C末端ビオチニル化されてもよい。次に、これらのビオチニル化モノマーは、ストレプトアビジンと共にインキュベートすることによってオリゴマー化される(たとえば、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)またはHEPES緩衝RPMI培地(Invitrogen)において室温で4:1のモル比で1時間)。このプロセスの変法において、ビオチニル化ペプチドモノマーは、市販の多数の抗ビオチン抗体[たとえば、Kirkegaard & Perry Laboratories, Inc. (Washington, D.C.)のヤギ抗ビオチンIgG]のいずれか1つと共にインキュベートすることによってオリゴマー化されてもよい。
いくつかの局面において、本明細書において記述されるペプチドを物理的に縦列に連結させて、prom-1ペプチドのポリマーを形成することができる。そのようなポリマーを構成するペプチドは、ペプチドリンカーによって互いに空間的に離れうる。「ペプチドリンカー」は、prom-1または変種配列の一部ではないアミノ酸の短い(たとえば、アミノ酸約1〜40個、たとえば1〜20個の)配列である。リンカーペプチドは、1つのポリペプチドまたはポリペプチドドメインにそのアミノ末端端部で、およびもう1つのポリペプチドまたはポリペプチドドメインのそのカルボキシル末端端部で付着する。有用なリンカーペプチドの例には、グリシン-セリンおよびグリシン-アラニンポリマー(たとえば、n=1〜8、好ましくはn=3、4、5、または6である(Gly4Ser)nリピート(SEQ ID NO: 18))が含まれるグリシンポリマー((G)n)が含まれるがこれらに限定されるわけではない。本明細書において記述されるprom-1ペプチドはまた、ジスルフィド結合または化学架橋による連結などの化学結合連結によって接合させることができる。当業者に周知の分子生物学技術を用いて、prom-1ペプチドのポリマーを作成することができる。1つの態様において、prom-1ペプチドおよび変種ペプチドの組み合わせはポリマーにおいて見いだされる。本発明のペプチド配列はまた、非ペプチドクロスリンク剤(Pierce 2003-2004 Applications Handbook and Catalog, Chapter 6)またはHPMA、ポリデキストラン、多糖類、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、糖、および糖アルコール(たとえば、ソルビトール、マンニトール)などの他の足場を用いて、共に連結させることができる。
任意の態様において、ポリエチレングリコール(PEG)は、2つのペプチドモノマーを二量体化するリンカーとして作用する可能性がある:たとえば2つの反応性官能基を含有する1つのPEG部分を、ペプチドダイマーの双方のペプチド鎖のN末端に同時に付着させてもよい。これらのペプチドは、本明細書において「PEG化ペプチド」と呼ばれる。
なおもう1つの態様において、リンカー部分は、2つのカルボン酸を含有して、任意で1つまたは複数の利用可能な原子で、1つまたは複数のPEG分子に結合されうるアミンなどの追加の官能基によって置換されてもよい分子を含んでもよい。そのような分子は、-CO-(CH2)n-uX-(CH2)m-CO-として描写されることができ、式中nはゼロ〜10の整数であり、mは1〜10の整数であり、Xは、O、S、N(CH2)pNR1、NCO(CH2)pNR1、およびCHNR1から選択され、R1は、H、Boc(tert-ブチルオキシカルボニル)、Cbzから選択され、ならびにpは1〜10の整数である。特定の態様において、ペプチドの各々の1つのアミノ基は、リンカーとアミド結合を形成する。特定の他の態様において、リンカーに結合したペプチドのアミノ基は、リジン残基のεアミンまたはN末端残基のαアミン、または任意のスペーサー分子のアミノ基である。1つの態様において、リンカーはペプチドを環状化するために用いられる。もう1つの態様において、望ましければ部分を分離するためのリンカー分子の他に、スペーサーを用いることができる。特に好ましい態様において、nおよびmはいずれも1であり、XはNCO(CH2)pNR1であり、pは2であり、およびR1はBocである。任意で、Boc基を除去して、mPEG-SPA-NHSまたはmPEG-NPC(Nektar Therapeutics, San Carlos Calif.)などのふさわしく活性化されたPEG種と共有結合を形成することができる反応性のアミン基を遊離させることができる。任意で、リンカーは、ふさわしく活性化されたPEG種によって誘導体化されうる1つより多い反応性のアミンを含有する。任意で、リンカーは、脂肪酸、ホーミングペプチド、輸送物質、細胞浸透剤、臓器標的化物質またはキレート剤などのふさわしく活性化された薬物動態(PK)改変物質によって誘導体化されうる1つまたは複数の反応性のアミンを含有する。
本明細書において記述されるペプチドモノマー、ダイマー、マルチマーまたはオリゴマーは、1つまたは複数のリンカーおよび/またはスペーサー部分をさらに含んでもよい。1つの態様において、リンカー部分は、任意で-NH-連結またはカルボキシル(-COOH)基を末端として、1つまたは複数の利用可能な炭素原子で低級アルキル置換基によって置換されてもよいC1-12連結部分である。1つの態様において、リンカーは、R-COOHであり、式中Rは、もう1つの分子部分との結合を可能にするカルボキシル基またはアミノ基などの官能基によって置換されてもよい低級(C1-6)アルキルである。たとえば、リンカーは、グリシン(G)残基または6-アミノヘキサン酸などのアミノヘキサン酸(Ahx)であってもよい。他の態様において、リンカーは、-NH-R-NH-であり、式中Rは、もう1つの分子部分との結合を可能にするカルボキシル基またはアミノ基などの官能基によって置換される低級(C1-6)アルキルである。たとえば、リンカーは、リジン(K)残基またはリジンアミド(K-NH2、カルボキシル基がアミド部分-CONH2に変換されているリジン残基)であってもよい。
いくつかの態様において、リンカー部分は以下の構造:-NH-(CH2)α-[O-(CH2)β]γ-Oδ-(CH2)ε-Y-を有し、式中α、β、γ、δ、およびεはその値が独立して選択される各整数である。いくつかの態様において、α、β、およびεは、その値が1〜約6から独立して選択される各整数であり、δはゼロまたは1であり、γはゼロ〜約10から選択される整数であり、但しγが1より大きく、βが2であり、およびYがNHまたはCOから選択される場合を除く。いくつかの態様において、α、β、およびεは各々が2に等しく、γおよびδはいずれも1に等しく、およびYはNHである。もう1つの態様において、γおよびδはゼロであり、αおよびεは共に5に等しく、ならびにYはCOである。
本発明のペプチドモノマー、ダイマー、またはマルチマーはさらに、1つまたは複数の水溶性ポリマー部分を含んでもよい。好ましくは、これらのポリマーは、本発明のペプチド化合物に共有結合的に付着される、好ましくは最終産物調製物の治療的使用に関して、ポリマーは薬学的に許容される。当業者は、ポリマー-ペプチドコンジュゲートが治療的に用いられるか否か、および用いられる場合、望ましい用量、循環時間、タンパク質分解に対する抵抗性、およびその他の検討のような検討に基づいて望ましいポリマーを選択することができるであろう。水溶性ポリマーは、たとえばポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、ポリ(n-ビニル-ピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキサイド/エチレンオキサイドコポリマー、およびポリオキシエチレン化ポリオールであってもよい。好ましい水溶性ポリマーはPEGである。
ポリマーは、任意の分子量のポリマーであってもよく、分枝または非分枝であってもよい。本発明において用いるために好ましいPEGは、分子量約5キロダルトン(kDa)〜約60 kDa(「約」という用語は、PEGの調製物において、記載の分子量よりいくつかの分子がより重く、いくつかの分子がより軽いことを示している)を有する直線状の非分枝PEGである。より好ましくは、PEGは、分子量約10 kDa〜約40 kDaを有し、さらにより好ましくはPEGは分子量20〜30 kDaを有する。望ましい治療プロファイル(たとえば、望ましい徐放期間;もしあれば生物活性に及ぼす効果;取り扱いの容易さ;抗原性の程度または欠如;および当業者に公知の治療ペプチドに対するPEGの他の効果)に応じて他のサイズを用いてもよい。
付着されるポリマー分子の数は、多様であってもよく;たとえば1個、2個、3個、またはそれより多くの水溶性ポリマーを本発明のペプチドに付着させてもよい。多数の付着したポリマーは、同じまたは異なる化学部分(たとえば、異なる分子量のPEG)であってもよい。
特定の態様において、PEGを、ペプチドモノマーまたはダイマーの少なくとも1つの末端(N末端またはC末端)に付着させてもよい。他の態様において、PEGを、ペプチドモノマーまたはダイマーのリンカー部分に付着させてもよい。好ましい態様において、PEGはペプチドダイマーのリンカー部分に付着する。任意で、リンカーは、ふさわしく活性化されたPEG種によって誘導体化されうる1つより多い反応性アミンを含有する。
当技術分野において公知のペプチドを安定化させる方法を本明細書において記述される方法および組成物と共に用いてもよい。たとえば、D-アミノ酸を用いること、ペプチド骨格のために低減されたアミド結合を用いること、ならびにピロリノンおよび糖模倣体が含まれるがこれらに限定されるわけではない側鎖に連結させるために非ペプチド結合を用いることは、各々、安定化を提供することができる。糖足場ペプチド模倣体の設計および合成は、Hirschmann et al.(J. Med. Chem., 1996, 36, 2441-2448、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる)によって記述される。さらに、ピロリドンに基づくペプチド模倣体は、改善された生物学的利用率特徴を有する安定なバックグラウンド上でペプチドファーマコフォアを提示する(たとえば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、Smith et al., J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 11037- 11038を参照されたい)。
本明細書において記述されるペプチドのコンジュゲートまたは保存的アミノ酸置換変種もしくはその誘導体のコンジュゲートが、本明細書において包含される。これらのペプチドを、ポリエチレングリコール(PEG)の他に、他のポリマーにコンジュゲートさせることができる。ポリマーは、自身の生物活性を有してもよく有しなくてもよい。ポリマーコンジュゲーションのさらなる例には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアミノ酸、無水マレイン酸ジビニルエーテル、N-(2-ヒドロキシプロピル)-メタクリルアミド、デキストラン、硫酸デキストランが含まれるデキストラン誘導体、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化ポリオール、ヘパリン、ヘパリン断片、多糖類、セルロースならびにメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースが含まれるセルロース誘導体、デンプンおよびデンプン誘導体、ポリアルキレングリコールおよびその誘導体、ポリアルキレングリコールとその誘導体とのコポリマー、ポリビニルエチルエーテル、ならびにα、β-ポリ[(2-ヒドロキシエチル)-DL-アスパルタミド]等、またはその混合物が含まれるがこれらに限定されるわけではない。ポリマーに対するコンジュゲーションは、他の効果の中でも血清半減期を改善することができる。多様なキレート剤を用いて、本明細書において記述されるペプチドをコンジュゲートすることができる。これらのキレート剤には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレングリコール-0-0'-ビス(2-アミノエチル)-N,N,N',N'-四酢酸(EGTA)、N,N'-ビス(ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン-N,N'-二酢酸(HBED)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、1,4,7,10-テトラ-アザシクロデカン-N,N',N”,N'”-四酢酸(DOTA)、1,4,7,10-テトラアザシクロトリデカン-1,4,7,10-四酢酸(TITRA)、1,4,8,11-トテラアザシクロテトラデカン-N,N',N”,N'”-四酢酸(TETA)、および1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン(TETRA)が含まれるがこれらに限定されるわけではない。コンジュゲーション法は当技術分野において、たとえば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、P. E. Thorpe, et. al, 1978, Nature 271, 752-755;Harokopakis E., et. al., 1995, Journal of Immunological Methods, 185:31-42;S. F. Atkinson, et. al., 2001, J. Biol. Chem., 276:27930-27935;および米国特許第5,601,825号、第5,180,816号、第6,423,685号、第6,706,252号、第6,884,780号、および第7,022,673号において周知である。
1つの態様において、prom-1ペプチドのペプチド、融合タンパク質またはコンジュゲートには、末端-NH2アシル化、たとえばアセチル化、トリグリコール酸アミド化、末端カルボキシルアミド化、たとえばアンモニア、メチルアミン、および類似の末端改変による改変などの、配列内での改変が含まれる。
本明細書において記述されるペプチドのアミノおよび/またはカルボキシ末端を改変することができる。末端の改変は、プロテナーゼ消化による感受性を低減させるために有用であり、ゆえに、プロテアーゼが存在する可能性がある溶液、特に生物学的液体におけるポリペプチドの半減期を延長するために役立ちうる。アミノ末端改変には、メチル化(たとえば、-NHCH3または-N(CH3)2)、アセチル化(たとえば、酢酸またはα-クロロ酢酸、α-ブロモ酢酸、またはα-ヨード酢酸などのそのハロゲン化誘導体)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)基の付加、またはRCOO-によって定義されるカルボキシレート官能基もしくはR-SO2-によって定義されるスルホニル官能基を含有する任意のブロッキング基によるアミノ末端のブロッキングが含まれ、式中Rはアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール等および類似の基からなる群より選択される。同様に、プロテアーゼに対する感受性を減少させるために、またはペプチド化合物のコンフォメーションを拘束するためにN末端でデスアミノ酸を組み入れることができる(N末端アミノ基が存在しないように)。特定の態様において、N末端は、酢酸または無水酢酸によってアセチル化される。
カルボキシ末端改変には、カルボキサミド基による遊離の酸の交換、または構造上の拘束を導入するためのカルボキシ末端での環状ラクタムの形成が含まれる。同様に、プロテアーゼに対する感受性を減少させるために、またはペプチドのコンフォメーションを拘束するために、末端のアミノ基またはカルボキシル基が存在しないように、本明細書において記述されるペプチドを環状化することができ、またはペプチドの末端でデスアミノもしくはデスカルボキシ残基を組み入れることができる。環状ペプチド合成法は、たとえば米国特許出願公開第20090035814号;Muralidharan and Muir, 2006, Nat Methods, 3:429-38;およびLockless and Muir, 2009, Proc Natl Acad Sci U S A. Jun 18, Epubにおいて当技術分野において公知である。本明細書において記述されるペプチドのC末端官能基には、アミド、アミド低級アルキル、アミドジ(低級アルキル)、低級アルコキシ、ヒドロキシ、およびカルボキシ、ならびにその低級エステル誘導体およびその薬学的に許容される塩が含まれる。
遺伝的にコードされるアミノ酸(または立体異性体Dアミノ酸)の天然に存在する側鎖を、他の側鎖、たとえばアルキル、低級(C1-6)アルキル、環状の4-、5-、6-、または7-員環アルキル、アミド、アミド低級アルキルアミドジ(低級アルキル)、低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、およびその低級エステル誘導体、ならびに4-、5-、6-、7-員環までの複素環などの基に交換することができる。特に、プロリン残基の環サイズが5員環から4、6、または7員環に変化しているプロリン類似体を使用することができる。環状基は飽和または不飽和でありえて、不飽和の場合、芳香族または非芳香族でありうる。複素環基は、好ましくは1つまたは複数の窒素、酸素、および/またはイオウヘテロ原子を含有する。そのような基の例には、フラザニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、モルフォリニル(たとえば、モルフォリノ)、オキサゾリル、ピペラジニル(たとえば、1-ピペラジニル)、ピペリジル(たとえば、1-ピペリジル、ピペリジノ)、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル(たとえば、1-ピロリジニル)、ピロリニル、ピロリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、チオモルフォリニル(たとえば、チオモルフォリノ)、およびトリアゾリル基が含まれる。これらの複素環基は、置換または非置換でありうる。基が置換される場合、置換基は、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、酸素、または置換もしくは非置換フェニルでありうる。
同様に、リン酸化および他の方法[たとえば、Hruby, et al. (1990) Biochem J. 268:249-262において記述されるように]によってペプチドを容易に改変することができる。
本明細書において記述されるペプチド化合物はまた、類似の生物活性を有する非ペプチド化合物の構造モデルとして役立ちうる。当業者は、prom-1ペプチドと同じまたは類似の望ましい生物活性を有するが、溶解度、安定性、ならびに加水分解およびタンパク質分解に対する感受性に関してprom-1ペプチドより都合がよい活性を有する化合物を構築するために、多数の技術を利用できることを認識する[Morgan and Gainor (1989) Ann. Rep. Med. Chem. 24:243-252を参照されたい]。これらの技術には、ペプチド骨格を、ホスホネート、アミデート、カーバメート、スルホンアミド、二級アミン、およびN-メチルアミノ酸からなる骨格に交換することが含まれるがこれらに限定されるわけではない。さらに、たとえばSEQ ID NO: 4〜9のペプチド模倣体が含まれる、本明細書において記述されるprom-1のペプチド断片のペプチド模倣体が包含される。そのようなペプチド模倣体は、それが模倣するペプチドとは異なるアミノ酸を有してもよいが、それが模倣するペプチドのVEGF結合、血管新生促進、細胞増殖促進、細胞遊走促進、抗血管新生、抗細胞増殖、細胞遊走促進、創傷治癒促進、または神経保護活性を実質的に保持する。
疾患の処置におけるprom-1ペプチド
1つの態様において、本明細書において、薬学的に許容される担体とprom-1細胞外ドメインのペプチド断片とを含む組成物が提供される。なおもう1つの態様において、本明細書において、薬学的に許容される担体と、本明細書において記述されるペプチドを含む融合タンパク質または本明細書において記述されるペプチドのコンジュゲートとを含む組成物が提供される。同様に、本明細書において記述されるペプチドまたは本明細書において記述されるペプチドのポリマーを含む融合タンパク質に関するコード核酸を有するベクターを含む組成物が包含される。
1つの態様において、本明細書において、その保存的アミノ酸置換変種またはそのコンジュゲートもしくは他の誘導体を有するprom-1細胞外ドメインのペプチド断片を含む組成物を組織に接触させる段階を含む、それを必要とする組織における細胞増殖を促進する方法が記述される。
1つの態様において、本明細書において、prom-1細胞外ドメインのペプチドまたはその変種もしくは誘導体を含む組成物を組織に接触させる段階を含む、それを必要とする組織における血管新生を促進する方法が提供される。
1つの態様において、それを必要とする組織における血管新生を促進する方法には、疾患または外傷後の血管再生を必要とする組織が含まれるがこれらに限定されるわけではない。血管再生は、疾患および物理的外傷(たとえば、心筋梗塞、閉塞性末梢血管疾患)によって引き起こされた傷害後の心臓、肝臓、および肺などの重要な臓器の機能回復にとって必要である。血液循環を停止、遮断、または低減させる疾患には、卒中、心臓発作、心筋虚血、四肢虚血、糖尿病、末梢血管疾患(PVD)などの血管疾患、頚動脈疾患、アテローム性動脈硬化症、および腎動脈疾患が含まれるがこれらに限定されるわけではない。交通事故などによる外傷およびショックによって、治癒プロセスの際に循環の増加を必要とする領域への血液循環の減少が起こりうる。加えて、本明細書において記述されるペプチドによる被験体の処置は、創傷治癒の欠陥、ニューロパシー、性的不能、勃起機能障害、糖尿病性ニューロパシー、脊髄損傷、神経損傷、ならびに鎌状赤血球症および卒中などの他の血管閉塞障害に罹患する患者における創傷治癒、側副冠動脈、末梢動脈、および頚動脈循環の改善に応用可能である。prom-1ペプチドのいくつかは、血管に対するVEGFの効果を増強しうることから、ペプチドはまた、被験体における高血圧症を調節するための血管拡張剤として用いることも本明細書において企図される。
1つの態様において、血管新生を促進する方法は、血管障害によって引き起こされうる勃起機能障害に適用される。本明細書において記述されるプロミニン-1ペプチドを用いることは、陰茎血管ネットワークの修復を助長することによって性的不能を処置することができる。
1つの態様において、細胞増殖を促進および/または血管新生を促進する方法は、創傷治癒、組織修復、生殖能、勃起機能障害、心肥大、組織移植片、および/または組織工学構築物の状況において適用される。血管新生を必要とする構築される組織を含む多様な組織または臓器には、組織に栄養を送るために血管が必要である皮膚、筋肉、腸管、結合組織、関節、骨、および類似のタイプの組織が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
1つの態様において、細胞増殖を促進するおよび/または血管新生を促進する方法はさらに、追加の血管新生促進因子および/または増殖促進因子、たとえばVEGF、FGF、PDGF、およびIGFを組織に接触させる段階を含む。
1つの局面において、血管新生の促進は、重度に肥大した心臓を虚血損傷から保護することができる。心筋の肥大は、進行性の収縮機能障害、虚血-再灌流損傷に対する易損性の増加に関連し、ゆえに心臓手術の危険因子である。肥大が進行すると、毛細管の数と単位面積あたりの心筋細胞(心筋細胞)とのあいだにミスマッチが生じて、このことは拡散距離の増加ならびに酸素および栄養の供給が限られる可能性を示している。肥大した心臓をVEGFによって処置すると、微小血管密度の増加、組織灌流の改善、およびグルコース送達が得られた(I. Friehs, et. al., 2004, The Annals of Thoracic Surgery, 77: 2004-2010)。理論に拘束されたくはないが、細胞増殖を促進するためおよび/または血管新生を促進するために本明細書において記述される方法は、心筋細胞に対する栄養の供給を改善するために毛細管の増加に関するVEGFの効果を強化することによって、このミスマッチに対処することができる。
もう1つの局面において、血管新生の促進は、骨修復および骨代謝回転を刺激することができる。いくつかの増殖因子が、骨折の修復の際に時間的および空間的パターンで発現されることが知られている。外から加えられたVEGFは、血管形成、骨化、および新しい骨成熟を増強する(Street, J. et. al., 2002, PNAS, 99:9656-61)。よって、本明細書において記述されるプロミニン-1ペプチドによって細胞増殖を促進するためのおよび/または血管新生を促進するための方法は、骨修復のための治療でありうる。
いくつかの局面において、本明細書において記述される細胞増殖を促進するおよび/または血管新生を促進するための方法は、創傷の処置、特に糖尿病性潰瘍などの永続的な創傷を処置するために応用可能である。創傷、特に治癒が難しい永続的な創傷は、創傷に栄養を送り、治癒プロセスを媒介し、瘢痕形成を最少にすることができる血液供給を必要とする。永続的な創傷を処置するために一般的に用いられる治療は、創傷が自身の血液供給を提供するように補助せず、ゆえに治癒プロセスは遅いままである。永続的な創傷は、損傷がたとえば糖尿病、強皮症等などの循環不良による酸素の欠乏に起因する虚血性創傷でありうる。強皮症は、コラーゲンの過剰産生を生じて、最終的に皮膚(および罹患臓器)の腫脹および硬化が起こる組織再形成の不均衡を伴う疾患である。糖尿病性創傷は、不適切な血液供給がしばしば、末梢血管疾患およびニューロパシーなどの他の医学状態を合併することから特に処置が難しい。
本明細書において記述されるペプチドなどの物質を用いて創傷治癒を促進することができる。創傷治癒のために用いられるプロミニン-1ペプチドは、prom-1ペプチドによって処置されない類似の創傷と比較して、所定の時間でより迅速な創傷閉鎖および/またはより大きい血管新生を促進するであろう。創傷治癒アッセイは、本明細書において記述されるペプチドを含む薬学的組成物の創傷治癒活性を試験するために、本明細書において提供される(「創傷治癒アッセイ」と題する章を参照されたい)。
1つの態様において、本明細書において記述される組成物は、創傷治癒を促進するために局所適用投与される。1つの態様において、本明細書において記述されるペプチドは、創傷の処置において用いるためにハイドロゲルまたは包帯等に組み入れられる。またはprom-1ペプチド組成物は全身投与されうる。
もう1つの態様において、本明細書において記述される組成物は、ニューロンの生長(たとえば、神経突起の形成、軸索の生長、軸索の分枝、および神経向性)を刺激するために中枢神経系に投与される。
いくつかの局面において、本明細書において記述される細胞増殖を促進するおよび/または血管新生を促進する方法は、ペプチドによってコーティングされたまたはペプチド断片をコードする核酸を発現する細胞を含有するように工学操作された、生物学的分解性のポリマー足場の三次元足場構築物において血管新生を促進することができる。これは、他の足場材料(ヒドロキシアパタイトおよび金属などの)にも等しく当てはまる。組織工学(TE)分野の出現によって、疾患または外傷により失われた臓器および組織を交換する必要性に応じることを主なねらいとした様々な学際的な戦略が開発されている。本質的に、主なTEアプローチは、生物学的分解性の足場(ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)およびアパタイトなどの有機および無機)に、ドナー細胞および任意で適当な増殖因子を播種した後、新しい機能的な組織の生育を誘導および指示するために足場を培養して埋め込むことに集中している。足場材料は、最終的に生物学的分解を通して消失して特異的組織に交換される。この足場誘導TEアプローチは、皮膚、軟骨、骨、肝臓、心臓、乳腺等などの組織を作成することをねらいとしている。
小さい(薄い)組織工学構築物では成功したが、足場誘導TEにおけるおそらく最大の障害は、大きい組織体積を工学操作することである。この難題は、大きい三次元(3-D)足場構築物では急速な血管形成が欠如しているために生じる。よって、血管新生は、大きい組織体積の足場誘導TEにとって予め必要である。本明細書において、その用語が本明細書において定義されるprom-1ペプチドを含む組成物を組織構築物に接触させる段階を含む、組織工学構築物における細胞増殖を促進するおよび/または血管新生を促進する方法が記述される。
組織における血管新生を誘導または促進する多数の生物学的分子が同定されている。これらの最も顕著なものは、血管内皮増殖因子(VEGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、およびトランスフォーミング増殖因子(TGF)などの増殖因子;ならびに酸化窒素(NO)である。ゆえに、1つの態様において、組織工学構築物において細胞増殖を促進するおよび/または血管新生を促進する方法は、VEGF、FGF、EGF、PDGF、TGFなどの追加の増殖因子、NO、およびその組み合わせの投与をさらに含む。
本明細書において記述される様々な態様に従って処置される患者は望ましくはヒト患者であるが、本発明の原理は、本発明が全ての哺乳動物に関して有効であることを示すと理解され、それらは「患者」という用語に含まれると意図される。この状況において、哺乳動物には、血管新生に関連する疾患の処置が望ましい任意の哺乳動物種、特に農業的および家畜哺乳動物種が含まれると理解される。
本明細書において記述される処置の方法において、prom-1ペプチドの投与は、「予防」または「治療」目的のいずれかのためでありうる。予防的に提供される場合、prom-1ペプチド、変種、融合タンパク質、ペプチドのポリマー、コンジュゲート、模倣体、および/またはコード核酸は、いずれかの症状の前に提供される。prom-1ペプチドおよび/またはコード核酸の予防的投与は、血管新生疾患または障害、すなわち癌を予防または阻害するために役立つ。prom-1ペプチド、変種、融合タンパク質、ペプチドのポリマー、コンジュゲート、模倣体および/またはコード核酸の予防的投与は、たとえば家族に癌の既往を有する患者に与えられうる。または、prom-1ペプチド、変種、融合タンパク質、ペプチドのポリマー、コンジュゲート、模倣体、および/またはコード核酸の投与は、癌マーカータンパク質レベルが上昇している患者に与えられうる。そのようなマーカーには、たとえばPSAの上昇、サイモシンβ-15、サイモシンβ-16、カルシトニン、マトリクスメタロプロテナーゼ(MMP)、および黒色腫M-タンパク質が含まれる。
治療的に提供される場合、本明細書において記述されるprom-1ペプチドおよび/またはそのコード核酸は、症状の開始時(または後)または不十分な血管新生が示された際(または後)に提供される。このように、prom-1ペプチドおよび/またはコード核酸は、その部位で予想される血管新生の前に、または血管新生がその部位で始まった後に提供されうる。
血管新生アッセイ
血管新生をアッセイする様々な方法が本明細書において記述されており、以下に参照される。これらの参照の完全な内容は参照により本明細書に組み入れられる。一般的に、物質、たとえば本明細書において記述されるプロミニン-1ペプチドの血管新生促進活性を測定するために、ペプチド組成物の存在下および非存在下で所定のアッセイを行うであろう。さらに、本明細書において記述されるprom-1ペプチドがVEGFと相互作用する場合、アッセイには、ベースラインまたは対照アッセイとしてのみならずプロミニン-1含有アッセイにおいてVEGF(または別の血管新生促進因子)を含めることが好ましい。
ペプチド、変種、融合タンパク質、ペプチド模倣体、ペプチドコンジュゲート、もしくはペプチドのポリマーまたは本明細書において記述される他の誘導体の血管新生促進活性を試験または確認するために用いることができる十分に記述された血管新生アッセイの例には、インビトロ内皮細胞アッセイ、ラット大動脈輪血管新生アッセイ、角膜マイクロポケットアッセイ(角膜新生血管形成アッセイ)およびニワトリ胚漿尿膜アッセイ(Erwin, A. et al. (2001) Seminars in Oncology 28(6):570-576)が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
インビトロ内皮細胞アッセイのいくつかの例には、内皮細胞増殖、細胞遊走、または管形成をモニターするための方法が含まれる。本明細書において記述されるプロミニン-1ペプチドは、これらの内皮細胞プロセスの各々に影響を及ぼすであろうと予想される。細胞増殖アッセイは、細胞計数、BRdU取り込み、チミジン取り込み、または染色技術を用いることができる(Montesano, R. (1992) Eur J Clin Invest 22:504-515;Montesano, R. (1986) Proc Natl. Acad. Sci USA 83:7297-7301;Holmgren L. et al. (1995) Nature Med 1:149-153)。
細胞増殖アッセイの1つの例として、ヒト臍帯静脈内皮細胞が、10%ウシ胎児血清(Gibco BRL)、50 U/mlペニシリン、50 ng/mlストレプトマイシン、2 mM L-グルタミンおよび1 ng/ml塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を追加した培地199(Gibco BRL)中でT75組織培養フラスコ(Nunclon)において5%CO2中で37℃で培養される。細胞をトリプシン処理して(0.025%トリプシン、0.265 mM EDTA、Gibco BRL)、96ウェルプレート(Nunclon)に細胞3000個/ウェル/200μlの密度で播種して、3日間培養する。細胞を1%血清において24時間飢えさせた後、血管新生促進物質の存在下または非存在下で1 ng/ml bFGFを含有する1%血清によってさらに48時間処置する。インキュベーション終了の2時間前に、CELLTITER 96(登録商標)Aqueous One Solution Reagent(Promega Inc.)20μlを各ウェルに添加する。湿潤5%CO2大気中での37℃でのインキュベーションの終了後、ウェルの490 nmでの吸光度(「OD490」)をプレートリーダー(Bio-Tek)を用いて記録する。490 nm吸光度の量によって測定したフォルマザン産物の量は、培養中の生存細胞数に正比例する。
または、血管新生促進因子との細胞のインキュベーション期間を、7日まで進行させることができる。細胞をコールターカウンターにおいてたとえば1、3、5および7日目に計数する。残っている細胞にこれらの日に培地交換によって栄養を与える。データをプロットして、回帰分析を用いて倍加時間を計算する(対数増殖期の細胞)。細胞の倍加時間を、細胞増殖活性の指標としてモニターする。
細胞遊走アッセイにおいて、内皮細胞をmatrigel上に平板培養して、化学誘引物質を添加することによって遊走をモニターする(Homgren, L. et al. (1995) Nature Med 1:149-153;Albini, A. et al. (1987) Cancer Res. 47:3239-3245;Hu, G. et al. (1994) Proc Natl Acad Sci USA 6:12096-12100;Alessandri, G. et al. (1983) Cancer Res. 43:1790-1797)。
もう1つの遊走アッセイは、ウシ大動脈内皮細胞の遊走をモニターする。アッセイにおいて、ウシ大動脈内皮(BAE)細胞を、10%ウシ胎児血清(GibcoBRL)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、GibcoBRL)において12ウェルプレート(Nunclon)においてコンフルエンスになるまで生育させる。次に、使い捨てピペットの先端で皿を横切るように削ることによって、単層に「創傷を与える」。ダルベッコPBS+カルシウム(0.1 g/L)(GIBCO(商標)、Invitrogen Corporation)によって洗浄後、創傷を受けた単層を、血管新生促進物質の存在下または非存在下で新鮮な1%血清においてさらに48時間培養する。
創傷を受けた単層における細胞の移動の程度を、最初の創傷時および創傷後48時間で顕微鏡写真を撮影することによって決定する。顕微鏡写真を倍率20倍で、たとえばOlympus CK2倒立顕微鏡において撮影して、幅15 cm深さ10 cmの標準サイズに焼き付けする。1.5 cm離れた線とベースラインに対して平行な長さ10 cmの線のグリッドを写真上に置く。細胞が最初に削られている「創傷線」の上にベースラインを置く。線の各々が横切っている細胞数を記録する。これによって、写真上でベースラインから1.5、3.0、4.5、6.0、7.5、または9.0 cm離れて移動した細胞数が査定される。
内皮細胞の管形成アッセイは、血管形成をモニターする(Kohn, EC. et al. (1995)Proc Natl Acad Sci USA 92:1307-1311;Schnaper, HW. et al. (1995) J Cell Physiol 165:107-118)。
ラット大動脈輪アッセイは、血管新生薬の評価のために用いられて成功している(Zhu, WH. et al. (2000) Lab Invest 80:545-555;Kruger, EA. et al. (2000) Invasion Metastas 18:209-218;Kruger, EA. et al. (2000) Biochem Biophys Res Commun 268:183-191;Bauer, KS. et al. (1998) Biochem Pharmacol 55:1827-1834;Bauer, KS. et al. (2000) J Pharmacol Exp Ther 292:31-37;Berger, AC. et al. (2000) Microvasc Res 60:70-80)。簡単に説明すると、アッセイは、三次元マトリクスにおける外植ラット大動脈輪培養物のエクスビボモデルである。微小血管の伸展の有無を視覚的に観察することができる。別のエクスビボアッセイであるヒト伏在静脈血管新生アッセイも同様に、用いることができる(Kruger, EA. et al. (2000) Biochem Biophys Res Commun 268:183-191)。
別の一般的な血管新生アッセイは、角膜マイクロポケットアッセイである(Gimbrone, MA. et al. (1974) J Natl Cane Inst. 52:413-427;Kenyon, BM. et al. (1996) Invest Opthalmol Vis Sci 37:1625-1632;Kenyon, BM. et al. (1997) Exp Eye Res 64:971-978;Proia, AD. et al. (1993) Exp Eye Res 57:693-698)。簡単に説明すると、無血管空間への新生血管形成をインビボでモニターする。このアッセイは、ウサギ、ラット、またはマウスにおいて一般的に行われる。
ニワトリ胚漿尿膜アッセイはしばしば、腫瘍の血管新生、血管新生因子、および抗血管新生化合物を調べるために用いられている(Knighton, D. et al. (1977) Br J Cancer 35:347-356;Auerbach, R. et al. (1974) Dev Biol 41:391-394;Ausprunk, DH. et al. (1974) Dev Biol 38:237-248;Nguyen, M. et al. (1994) Microvasc Res 47:31-40)。このアッセイは、受精卵を用いて、胚外膜である尿膜において形成する始原血管の形成をモニターする。このアッセイは、インビボ内皮細胞増殖アッセイとして機能する。
他のインビボ血管新生アッセイは、米国特許第5,382,514号において記述され、方向性のインビボ血管新生アッセイ(DIVAA.TM)がTrevigen, Inc.によって作成されている。これらのアッセイにおいて、血管新生促進因子は、Matrigel(GibcoBDL)などの組織適合性のマトリクスもしくはハイドロゲル材料に組み入れられ、またはアンジオリアクターCultrex(登録商標)DIV AA(商標)において、マトリクス材料またはアンジオリアクターがヌードマウスの皮下に埋め込まれる。時間が経つにつれて、通常数日経つと、微小血管がマトリクス材料またはアンジオリアクターに侵入する。マトリクス材料またはアンジオリアクターを宿主マウスから摘出して調べる。
創傷治癒アッセイ
本明細書において記述されるプロミニン-1ペプチドは、創傷治癒を容易にする、増強する、または加速するために用いられうる。創傷治癒または創傷修復は、皮膚(またはいくつかの他の臓器)が損傷後に自身を修復する複雑なプロセスである。古典的な創傷治癒モデルは4つの連続した、しかし重なり合う相に分類される:(1)止血、(2)炎症、(3)増殖、および(4)リモデリング。血管新生は創傷治癒の増殖相のあいだに起こり、創傷の攣縮(すなわち創傷サイズの減少)を促進する。傷害を受けた組織への微小血管の内植は、正常な治癒プロセスの必須の成分である。実際に、創傷の治療はしばしば新生血管形成を促進することをねらいとしている。
このように、創傷治癒アッセイは、本明細書に記述の所定のprom-1ペプチド、変種、または誘導体の効果を査定するために血管新生アッセイとして用いられうる。そのような創傷治癒アッセイには、耳穿孔アッセイおよび全層背部皮膚アッセイが含まれるがこれらに限定されるわけではない。創傷治癒アッセイは、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、"Composition and method for treating occlusive vascular diseases, nerve regeneration and wound healing,"と題する米国特許出願公開第20060147415号において記述されるように行われうる。「全層」という用語は、本明細書において表皮層と真皮層の少なくとも一部が含まれる創傷を記述するために用いられる。「全層」という用語はまた、表皮、真皮、皮下、および筋層を除去する、皮筋層のレベルまでの深い創傷を包含する。
全層背部皮膚創傷アッセイは、たとえばその全内容が参照により本明細書に組み入れられる、Luckett-Chastain, LR and Galluci, RM, Br J Dermatol. (2009) Apr 29;Shaterian, A et al., Burns (2009) May 5;Lee, WR, et al., Wound Repair Regen (2009) Jun 12;およびSafer, JD, et al., Endocrinology (2005) 146(10):4425-30において記述されるように行われうる。背部皮膚創傷アッセイは、ラットまたはマウスモデルを用いて行われうる。
耳穿孔創傷アッセイは、本明細書において記述される創傷治癒データを生成するために用いられるが、本明細書において記述される他の創傷治癒アッセイのいずれも、記述されるようにprom-1ペプチドによって類似のまたは優れた結果を提供するであろうと予想される。1つの態様において、全層創傷は、麻酔した動物の背部表面(たとえば、背中)からのたとえば外科的切除によって皮膚片(たとえば、直径1.5 mm)を除去することによって行われる。それが望ましければ、創傷を受けた皮膚の部分を、たとえば皮下注射による創傷の誘導前に候補血管新生促進因子によって前処置することができる。または創傷を、当業者に公知の方法を用いて創傷と同時にまたは創傷の直後に候補血管新生促進因子を用いて処置することができる。創傷のサイズ、面積、治癒速度、攣縮、および組織学は、当業者に公知の方法によって異なる時点で査定される。動物の創傷サイズは、当初の創傷面積と比較して、閉鎖していない創傷面積を測定することによって査定される。創傷治癒は、創傷閉鎖率(%)または創傷閉鎖速度(%)のいずれかとして表記されうる。創傷は、動物を麻酔して、望ましければ組織学分析のために創傷部位を取り巻く組織の一部を除去することによって異なる時点で収集されうる。
候補血管新生促進因子が皮膚創傷の治癒プロセスを誘導または加速できることは、傷害を受けた皮膚または皮膚創傷領域に定着する皮膚細胞に候補血管新生促進因子を投与する段階、およびたとえば血管新生および/または表皮閉鎖および/または創傷攣縮に関して、処置された傷害を受けた皮膚または創傷を評価する段階によって決定されうる。当業者に公知であるように、異なる投与法(たとえば、注射または局所適用投与)を用いて皮膚創傷を処置することができ、候補血管新生促進因子の異なる濃度を試験することができる。無処置対照に対して、血管形成の発生率および/または表皮閉鎖および/または創傷攣縮が統計学的に有意に増加すれば、試験した候補血管新生促進因子が傷害を受けた皮膚または皮膚創傷の治癒プロセスを誘導または加速できることを示している。陽性の結果は、同じ時点での無処置またはビヒクル処置マウスの創傷面積と比較して、候補血管新生促進因子によって処置したマウスの創傷面積率(%)の低減が少なくとも5%であることによって示され;好ましくは創傷面積率(%)の低減は、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはさらに100%(すなわち創傷は完全に閉鎖される)である。
耳穿孔モデルはまた、全層背部皮膚アッセイと類似の設計で、血管新生または創傷治癒率を査定するためにも用いられうる。モデルは、標準サイズ(たとえば、2.25 mm)の環状穿孔器を用いて動物の耳に創傷を作成することからなる。創傷を、matrigelビヒクルまたは候補血管新生促進因子を含有するmatrigelのいずれかによって毎日処置する。このアッセイは本明細書においてさらに実施例の章で記述される。
神経変性疾患
VEGFは、神経栄養および神経保護効果を有する。本明細書において記述されるprom-1ペプチドのVEGF媒介血管新生に及ぼす効果がVEGFの血管新生促進活性と神経栄養活性のあいだで類似であることを考慮すると、本明細書において記述されるprom-1ペプチドは、VEGFの神経栄養または神経保護効果を強化または増強することができると予想される。prom-1ペプチドは、たとえばその全内容が参照により本明細書に組み入れられる、"Composition and method for treating occlusive vascular diseases, nerve regeneration and wound healing,"と題する米国特許第出願公開第20060147415号において記述されるように神経保護疾患を処置するために用いられうる。さらに、本明細書において記述されるprom-1ペプチドは、神経の生長、軸索の伸長、軸索の分枝、および神経突起形成を刺激するために用いられうる。
1つの態様において、本明細書において記述されるprom-1ペプチド組成物は、神経変性または神経傷害に関連する疾患を予防および/または処置するための神経保護物質として用いられる。神経変性または神経傷害は、たとえば卒中、心ストレス、頭部および脊髄外傷、脳に起こる出血、最終的に1つまたは複数のニューロンの死を引き起こす圧迫によって起こりうる;しばしばニューロンの死は、患者がいかなる症状も経験するずっと前から始まっている。
神経変性はまた、ニューロンの変質によって引き起こされる神経変性疾患の結果でもありえ、時間と共に身体症状が起こる。中枢神経系の神経変性疾患には、たとえば脳内出血(ICH)、アルツハイマー病、パーキンソン病、および脳幹神経節の他の変性疾患などの神経変性疾患;ダウン症候群、クロイツフェルト-ヤコブ病、プリオン病、脳虚血および卒中が含まれる記憶喪失または欠陥の他の神経学的原因;多発性硬化症;筋萎縮性側索硬化症などの運動ニューロン疾患;神経ウイルス疾患;術後の神経機能障害;ハンチントン病;遺伝性痙性片麻痺、原発性側索硬化症;脊髄筋萎縮;ケネディ病;シャイ-ドレーガー症候群;進行性核上麻痺;レヴィー小体病;ニューロン障害;痴呆;前頭側頭葉痴呆;虚血障害(たとえば、脳または脊髄梗塞および虚血、慢性虚血性脳疾患、および卒中);カウマ(kaumas)(たとえば、物理的損傷または手術によって引き起こされる、および圧迫損傷);感情障害(たとえば、ストレス、うつ、および外傷後うつ);神経精神障害(たとえば、統合失調症、多発性硬化症、およびてんかん);学習および記憶障害;ならびに眼のニューロン障害;三叉神経痛;舌咽神経痛;ベル麻痺;重症筋無力症;進行性筋萎縮;進行性延髄遺伝性筋萎縮;ヘルニア破裂(herniated, ruptured)および椎間板脱出症候群;頚椎症;叢障害;胸郭口破壊症候群;末梢ニューロパシー;プロフィリア(prophyria);筋萎縮;ポリグルタミン反復疾患;ならびに海綿状脳症が含まれる。眼のニューロン障害もまた、本明細書において記述されるペプチドによって処置されることができ、これには網膜または視神経障害;レーバー遺伝性視神経ニューロパシー、常染色体優性視神経萎縮、視神経炎などの視神経傷害および眼のニューロパシー;視神経または視路の障害;毒素性ニューロパシーおよび毒素性網膜症;視神経萎縮;緑内障;色素性網膜炎、黄斑変性、糖尿病性網膜症などの網膜変性が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
本明細書において記述されるペプチド組成物の神経保護効果は、たとえばニューロンの生存、ニューロンの生長、神経突起産生、再神経支配、行動学的症状の改善を査定するインビボまたはインビトロアッセイを用いて測定されうる。1つの例として、神経突起伸展のインビトロアッセイを用いて本明細書において記述されるペプチド組成物の神経保護効果を評価またはモニターすることができる。神経突起生長のインビトロアッセイは当技術分野において周知であり、たとえば、参照により本明細書に組み入れられる、Jin and Strittmatter, J Neurosci 17:6256-6263 (1997);Fournier et al., Methods Enzymol. 325:473-482 (2000);Zheng et al., Neuron 38:213-224 (2003);Wang et al., Nature 417:941-944 (2002)、およびNeumann et al., Neuron 34:885-893 (2002)において記述される。神経突起伸展を測定および定量するためのキットは、たとえばChemicon(Billerica, MA)、Millipore(Billerica, MA)、およびThermo Scientific Pierce Protein Research Products(Rockford, IL)から販売されている。このように、たとえばCHEMICON's Neurite Outgrowth Assay Kit(カタログ番号NS200)は、神経突起形成および反発に影響を及ぼす化合物の定量的試験のために微孔性フィルター技術を用いる。このシステムによって、生物学的および薬理学的物質を同時に分析することが可能であり、神経突起伸長および反発の原因である接着および誘導受容体機能を直接評価することが可能であるのみならず、トランスフェクト細胞における遺伝子機能の分析を行うことが可能である。微孔性フィルターは、タンパク質発現、シグナル伝達プロセスの詳細な分子分析および神経突起伸展または退縮プロセスを調節する薬物標的の同定のために、神経突起および細胞体の生化学的分離および精製を可能にする。
1つの態様において、インビトロ神経突起細胞に基づくアッセイは、候補神経保護物質(たとえば、本明細書において記述されるペプチド組成物)の存在下および非存在下でニューロン細胞を培養する段階、および神経突起の長さの変化を決定する段階を伴う。神経突起の長さが、候補物質の存在下で無処置細胞における神経突起の長さより長い場合、物質は神経保護的であると同定または確認される。アッセイは一般的に、VEGFの存在下プラスおよびマイナスprom-1ペプチド組成物で行われるであろう。そのような細胞に基づくアッセイにおいて、ニューロン細胞は、一次ニューロンでありうるか、またはたとえば幹細胞、たとえば胚幹(ES)細胞が含まれる細胞もしくは細胞株に由来しうる。他の態様において、ニューロンは、たとえば小脳顆粒ニューロン、後根神経節ニューロン、および皮質ニューロンからなる群より選択されうる。典型的なプロトコールにおいて、齧歯類の神経組織から単離された一次ニューロン(小脳顆粒ニューロン、後根神経節ニューロン、および皮質ニューロンが含まれる)を、固定された全ミエリンまたはミエリン関連タンパク質(たとえば、Nogo66、MAG、および/またはOMgp)によってコーティングされた96ウェル組織培養皿において培養する。既定の時間、典型的に24〜48時間培養後、ニューロンを4%パラホルムアルデヒドによって固定して、ニューロンマーカー(抗クラスIII b-チューブリン、Covance)によって染色する。ImageXpress自動イメージングシステム(Molecular Devices)を用いて画像の獲得および分析を行う。データを、ニューロンあたりの最大または全神経突起の長さの変化に関して分析する。本明細書において記述されるprom-1ペプチドの存在下で神経突起生長応答が増強されたことは、所定のprom-1ペプチドの神経栄養および/または神経保護効果を確認する。
インビボアッセイは当業者に公知であり、これには脊髄損傷モデル、視覚皮質可塑性モデル、および当技術分野において公知の他のモデルなどの様々な神経変性疾患の動物モデルが含まれる。このように、再生および可塑性を、一側性の錐体路切断後の可塑性モデルおよび外傷性脳損傷モデルにおいて調べることができる。他の神経変性モデルには、実験性自己免疫性脳炎(EAE)などのマウス多発性硬化症モデル、SODI変異体マウスなどの筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデル、アルツハイマー病トランスジェニック動物モデル、およびパーキンソン病動物モデルが含まれる。prom-1ペプチド投与の有益な効果は、これらのアッセイのいずれかにおいて、たとえばVEGF単独またはVEGFと本明細書において記述されるprom-1ペプチドとを投与することによって評価または確認されうる。または、prom-1ペプチドは、外から加えられたVEGFまたは他の血管新生促進もしくは神経栄養物質がなくともそのようなアッセイにおいて作用しうると企図される。
1つの態様において、神経の再生は、視神経挫滅モデルにおいて軸索の再生を測定することによって査定される(Fischer D, et al., J. Neurosci. 18, 1646 (2004))。典型的なプロトコールにおいて、成体マウス視神経を眼球の後部で露出して挫滅させる。成体マウスにおける損傷直後に、本明細書において記述されるペプチドまたはビヒクル対照を含有する溶液に浸したゼルフォームを神経の挫滅部位に入れて、最初の6日間3日毎に交換する。動物を、損傷後2週間で屠殺して、4%パラホルムアルデヒドによって頭蓋内灌流を行う。視神経を10μmの凍結切片にして、再生軸索を検出するために抗GAP43抗体(Chemicon)によって染色する。
他のインビボアッセイには、神経変性疾患のペプチド処置および無処置動物モデルにおける行動の変化を査定する段階が含まれる。たとえば、運動不能は、全ての四肢を動かすための動物の秒での潜時に注目することによって測定される。典型的なプロトコールにおいて、各々の動物を最初に、マウスにおける運動不能を測定するために用いられる木製の上昇した台(40 cm×40 cm×30 cm)上で5分間馴化される。ストップウオッチを用いて、動物が全ての四肢を動かすために要する時間(秒)を記録した。一般的に、潜時が180秒に達すると測定を停止する。もう1つの行動学的測定は、カタレプシーであり、これは外部から押しつけられた姿勢を動物が矯正することができないことを指す。1つの態様において、カタレプシーは、双方の後肢を正方形の木製のブロック(高さ3 cm)上に載せて平らな水平面に動物を置くことによって測定され、ブロックから地面まで後肢を動かす潜時を、秒で測定する。水泳試験も同様に、動物モデルにおける神経変性の程度を測定するために用いられる。水泳試験は、動物をペプチドによって処置した後に行われ、水槽(40 cm×25 cm×16 cm)において行われる。典型的なプロトコールにおいて、水深は約12 cmであり、温度はおよそ27℃で維持される。動物を以下の尺度に従って水泳試験に関して採点する:0、頭部は浮いているが後肢部分は沈んでいる;1、片面が浮いた状態で後肢を用いて時折泳ぐ;2、時折浮く/泳ぐのみ;3、連続的に泳ぐ(Haobam et al. (2005) Behav. Brain Res. 163, 159-167を参照されたい)。本明細書において記述されるprom-1ペプチドの有益な神経保護または神経栄養効果は、これらのアッセイによってモニターされる行動学のいずれかにおける統計学的に有意な改善によって確認されるであろう。
臨床的に、本明細書において記述されるペプチドの有効量または有効な養生法は、特定のニューロンまたは神経変性疾患、たとえばパーキンソン病統一スケール(United Parkinson's Disease Rating Scale)(UPDRS)によって、または代用マーカーを用いることによって査定されるパーキンソン病に関連する症状の改善を提供する用量および投与の組み合わせである。たとえば、パーキンソン病患者の運動能力は改善する可能性があり、運動症状には運動の変動、ジスキネジー、オフピリオドジストニア、硬直、および転倒が含まれてもよい。または、改善は、撮像することによって、たとえばドーパミン取り込みのモニタリングまたは線条体ニューロン機能によって査定されてもよい。パーキンソン病の進行および治療に対する応答を追跡するための標準的なツールは、パーキンソン病統一スケール(UPDRS)である。UPDRSは、認識および気分の局面、運動局面、および日常生活活動(ADL)が含まれる3つのスケールに細分される。より低いスコアは、より高いスコアより良好な状態を示している。UPDRSは容易に入手可能であり、たとえばFahn S, Elton R, Members of the UPDRS Development Committee. In: Fahn S, Marsden C D, Caine D B, Goldstein M, eds. Recent Developments in Parkinson's Disease, Vol 2. Florham Park, NJ. Macmillan Health Care Information 1987, pp 15 3-163, 293-304を参照されたい。
神経保護を査定するためのさらなる臨床試験は、医学の当業者によって臨床での状況において用いられうる。脳損傷の結果としての神経変性の処置は、多様な神経学的測定を使用することによってモニターされうる。たとえば、治療応答は、たとえば被験体において改善が存在するか否かを決定することによってモニターされうる:a)毎日の最大グラスゴー昏睡尺度;b)昏睡期間;3)毎日の頭蓋内圧(ICP)−治療強度レベル(therapeutic intensity level);4)連続CTスキャンにおいて測定された脳浮腫/圧迫所見(mass effect)の程度;および5)人工呼吸器補助の期間。これらの測定の各々に関する簡潔な記述を以下に提供する。
グラスゴー昏睡尺度(GCS指標)は、意識欠陥の深さの反映であり、最初の蘇生(酸素付加、再水和、および血圧の支持)後であるが鎮静剤、神経筋遮断剤、または挿管を用いる前に最もよく得られる。
重度の脳損傷を有する患者のICPはしばしば、頭蓋内圧装置によってモニターされる。ICPのモニタリングは、脳浮腫の測定を提供しうる。しかし、治療介入による固有の変動および分析の複雑さが存在する。これらの介入を調節するために、治療強度スケールが開発された。この尺度は治療強度レベル(TIL)として知られ、上昇したICPに関する処置の攻撃性を測定する(Allolio et al. (1995)European Journal of Endocrinology 133(6): 696-700;Adashi et al. (1996) Reproductive endocrinology, surgery, and technology Philadelphia: Lippincott-Raven;およびBeers et al. eds. (1999) The Merck Manual of Diagnosis and Therapy. 17th ed., Merck Sharp & Dohme Research Laboratories, Rahway, NJ.)。
脳浮腫の程度および圧迫所見は、CTスキャンによって決定されうる。たとえば、巣状病変の体積を測定することができる。高密度または混合密度の異常のいずれかである腫瘤性病変(mass lesion)は、関心対象領域としての異常領域を測定する段階、面積にスライスの厚さを乗じる段階、および同じ病変を示す隣接するスライスに関するこれらの体積を合計する段階によって評価される。各々の病変を3回測定して、平均体積を入力する。この技術は信頼できることが示されている(Garcia-Estrada et al. (1993) Brain Res 628(1-2): 271-8)。脳内病変はさらに、位置(前頭、側頭、頭頂、後頭、脳幹神経節、または任意の組み合わせ)によって特徴付けされうる。
先に考察した神経学的測定に加えて、部分的治療応答はまた、様々な機能的および神経心理学的転帰を通してアッセイされうる。神経心理学的および機能的性能に関するいくつかの標準化された測定が公知である。例として、被験体は、グラスゴー転帰尺度(GOS)/グラスゴー転帰尺度拡張部分(GOSE)および/または障害評価尺度(DRS)において改善を示す可能性がある。グラスゴー転帰尺度は、世界において脳損傷回復に関して最も一般的に用いられる測定の1つである(Garcia-Estrada et al. (1999) Int J Dev Neurosci 17(2): p. 145-51)。患者は5つのカテゴリーの1つに分類される:脂肪、遷延性植物状態、重度の障害、中等度の障害、および良好な回復。これは管理および採点が容易であり、高い程度の信頼度および妥当性を有する。障害評価尺度(DRS)は中等度の脳損傷の転帰を測定する場合にGOSにより高い精度を提供する(Goodman et al. (1996) J Neurochem 66(5):1836-44)。DRSは、覚醒および意識、日常生活活動、身体依存性、および被雇用性に関する8項目の評価からなる(Vedder et al. (1999) J Neurochem 72(6):2531-8)。DRS全体に関する評価者間の信頼度は高い(0.97〜0.98)。
機能的自立度評価表(FIM)を用いて、身体的および認識障害を査定することができる。これは以下の領域において18項目を含有する:セルフケア、括約筋の制御、可動性、移動性、伝達、および社会認識(Baulieu (1997) Mult Scler 3(2):105-12)。FIMは、中等度および重度TBI後の転帰測定として信頼度および妥当性を証明した(Jung-Testas et al. (1994) J Steroid Biochem Mol Biol 48(1): 145-54)。
疾病影響プロファイル(Sickness Impact Profile)は、自覚される健康状態を測定するための1つの方法である(Schumacher et al. (1995) Ciba Found Symp 191: p. 90-112およびKoenig et al. (1995) Science 268(5216): 1500-3)。これは、12のカテゴリーに分けられる136個の質問からなる:睡眠および休息、食事、働く、家の管理、レクリエーションおよび娯楽、歩行、可動、身体のケアおよび運動、社会的相互作用、覚醒、行動、情動行動、および伝達。これは、多様な疾患および頭部損傷が含まれる損傷に対して広く用いられている(Thomas et al. (1999) Spine 24:2134-8)。ベースラインSIPスコアは、損傷前の健康状態を反映するが、追跡調査スコアは損傷後の機能を調べるであろう。
血管新生促進因子
血管新生促進因子は、新しい血管形成を直接または間接的に促進する因子である。これらの因子は、正常細胞および腫瘍細胞によって発現および分泌されうる。記述のprom-1に由来する血管新生促進因子は、EGF、E-カドヘリン、VEGF(特にVEGFイソ型:VEGF 121、145、および165)、アンジオゲニン、アンジオポエチン-1、線維芽細胞増殖因子:酸性(aFGF)および塩基性(bFGF)、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、ヘパラナーゼ、肝細胞増殖因子(HGF)、インスリン様増殖因子-1(IGF-1)、IGF、BP-3、PDGF、VEGF-A、VEGF-C、色素上皮由来因子(PEDF)、ビトロネクチン、レプチン、トレフォイルペプチド(TFFs)、CYR61(CCN1)およびNOV(CCN3)、レプチン、ミッドカイン、胎盤増殖因子血小板由来内皮細胞増殖因子(PD-ECGF)、血小板由来増殖因子-BB(PDGF-BB)、プレイオトロフィン(PTN)、プログラヌリン, プロリフェリン、トランスフォーミング増殖因子-α(TGF-α)、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、c-Myc、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、間質由来因子1(SDF-1)、散乱因子(SF)、オステオポンチン、幹細胞因子(SCF)、マトリクスメタロプロテナーゼ(MMPs)、トロンボスポンジン-1(TSP-1)、ならびに血管新生および血管分布増加の誘導物質である炎症性サイトカインおよびケモカイン、たとえばCCL2(MCP-1)、インターロイキン-8(IL-8)およびCCL5(RANTES)が含まれるがこれらに限定されるわけではない他の血管新生促進因子と併用して投与されうる。
ペプチドの合成
その変種および誘導体が含まれるprom-1ペプチドは、"Peptide synthesis and applications" in Methods in molecular biology Vol. 298, Ed. by John Howl and "Chemistry of Peptide Synthesis" by N. Leo Benoiton, 2005, CRC Press, (ISBN-13: 978-1574444544) and "Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins" by P. Lloyd-Williams, et. al., 1997, CRC-Press, (ISBN-13: 978-0849391422), Methods in Enzymology, Volume 289: Solid-Phase Peptide Synthesis, J. N. Abelson, M. I. Simon, G. B. Fields (Editors), Academic Press; 1st edition (1997) (ISBN-13: 978-0121821906);米国特許第4,965,343号;および第5,849,954号において記述されるt-Boc(tert-ブチルオキシカルボニル)またはFMOC(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)保護基を用いる固相ペプチド合成などの当技術分野において周知である生化学法によって化学合成および精製されることができ、これらは全て、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる。
R. B. Merrifield, 1963, J. Am. Chem. Soc. 85 (14): 2149-2154によって開発された固相ペプチド合成は、ペプチドおよび低分子タンパク質の化学合成を可能にする大きい前進であった。不溶性のポリマー支持体(樹脂)を用いて、各々の追加のα-アミノ酸が付着するペプチド鎖を固定する。このポリマー支持体は、固相ペプチド合成において用いられる試薬および溶媒に対して化学的に不活性である直径20〜50μmの粒子で構築される。これらの粒子は溶媒中で大量に膨張して、リンカーアームをより近づきやすくする。
ポリマー支持体に付着した有機リンカーは、樹脂部位を活性化して、α-アミノ酸とポリマー支持体とのあいだの結合を強化する。最初に開発されたクロロメチルリンカーは、段階の収率が減少するためにより長いペプチドに関して満足できないことが見いだされている。PAM(フェニルアセタミドメチル)樹脂は、フェニレン環上の酸性アミド基の電子吸引力のために、古典的な樹脂よりかなり安定な結合を提供する。典型的なペプチド合成条件下でのペプチドに関するもう1つの代わりの樹脂は、Wang樹脂である。この樹脂は一般的にFMOC不安定保護基と共に用いられる。
不安定基は、アミノ酸のα-アミノ基を保護する。この基は次のα-アミノ保護アミノ酸が付加されるように各々のカップリング反応後に容易に除去される。典型的な不安定保護基には、t-Boc(tert-ブチルオキシカルボニル)およびFMOCが含まれる。t-Bocは、室温で安定で、トリフルオロ酢酸(TFA)およびジクロロメタンの希釈液によって容易に除去される非常に満足できる不安定基である。FMOCはアミンの濃厚溶液(通常、20〜55%ピペリジンのN-メチルピロリジン溶液)によって容易に除去される塩基不安定性の保護基である。FMOCα-アミノ酸を用いる場合、エーテル樹脂などの酸不安定性(または塩基安定性)樹脂が望ましい。
安定なブロッキング基は、アミノ酸の反応性の官能基を保護して、複雑な二級鎖の形成を防止する。このブロッキング基は、合成を通して付着したままでなければならず、合成の完了後に除去されてもよい。安定なブロッキング基を選ぶ場合、用いられる不安定な保護基および切断技法を考慮すべきである。
樹脂結合合成ペプチドの生成後、安定なブロッキング基を除去して、ペプチドを樹脂から切断して、「遊離の」ペプチドを産生する。一般的に、安定なブロッキング基および有機リンカーはTFAなどの強酸に対して不安定である。ペプチドを樹脂から切断した後、樹脂を洗浄して除去し、ペプチドをエーテルによって抽出して、切断反応において用いられた洗浄剤などの望ましくない材料を除去する。次にペプチドを凍結融解して、固体ペプチドを産生する。次に、これを一般的に使用前にHPLCおよびMALDIによって特徴付けする。加えて、ペプチドは使用前にHPLCによって高い純度まで精製されるべきである。
市販のペプチド合成機器が固相ペプチド合成のために利用可能である。たとえば、Advanced Chemtech Model 396 Multiple Peptide SynthesizerおよびApplied Biosystems Model 432A Peptide synthesizerが適している。注文の合成ペプチドを注文できる企業、たとえばAbbiotec、Abgent、AnaSpec Global Peptide Services、LLC、Invitrogen and rPeptide、LLCが存在する。
prom-1ペプチドおよびその誘導体はまた、当技術分野において周知である分子法によって合成および精製されうる。たとえば、組み換え型タンパク質を、細菌、哺乳動物、昆虫、酵母、または植物細胞において発現させてもよい。
従来のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)クローニング技術を用いて、PCRクローニングのための鋳型として無傷の全長prom-1のmRNAを用いてprom-1ペプチドをコードする核酸をクローニングすることができる。または、コード核酸のセンスおよびアンチセンス鎖を合成によって作成した後、それらを共にアニールさせて二本鎖コード核酸を形成することができる。理想的には、クローニングベクターまたは他のベクターへのライゲーションを容易にするために、制限酵素消化認識部位をセンスおよびアンチセンス鎖の端部で設計すべきである。または、当技術分野において周知であるTA-クローニングの目的のために、3'Aオーバーハングを含めることができる。3'Aオーバーハングを有するそのようなコード核酸は、pCR(登録商標)-TOPO、pCR(登録商標)-Blunt II-TOPO、pENTR/D-TOPO(登録商標)、およびpENTR/SD/D-TOPO(登録商標)などのInvitrogenトポイソメラーゼ補助TAベクターに容易にライゲーションされうる。コード核酸を、pUC19、pBR322、pBluescriptベクター(Stratagene Inc.)、またはInvitrogen Inc.のpCR TOPO(登録商標)などの汎用クローニングベクターにクローニングすることができる。次に、prom-1ペプチドをコードする核酸を有する得られた組み換え型ベクターを、変種prom-1ペプチドに関する部位特異的変異誘発などのさらなる分子生物学的操作のために、および/もしくはペプチドの免疫原性特性を低減させるために、もしくは異種発現系におけるタンパク質発現を改善するために用いることができ、または哺乳動物細胞株、昆虫細胞株、酵母、細菌、および植物細胞からなる群より選択される宿主細胞を用いる多様なタンパク質発現系においてprom-1ペプチドおよびタンパク質合成を含む融合タンパク質を合成するために、タンパク質発現ベクターもしくはウイルスベクターにサブクローニングすることができる。
1つの態様において、本発明は、本発明のペプチドをコードする核酸を発現するように工学操作された細胞を提供する。好ましくは、細胞は真核細胞である。核酸を任意でプロモーターに連結させる。発現構築物はさらに、細胞培養培地からのペプチドの精製を補助するために分泌配列を含みうる。
1つの態様において、
Figure 0006063626
をコードするセンス核酸は、
Figure 0006063626
であり、相補的アンチセンス核酸は、
Figure 0006063626
である。
PCR増幅コード核酸または3'Aオーバーハングを有するアニールされたセンスおよびアンチセンス核酸を、pCR(登録商標)-TOPO、pCR(登録商標)-Blunt II-TOPO、pENTR/D- TOPO(登録商標)、およびpENTR/SD/D-TOPO(登録商標)などのInvitrogenトポイソメラーゼ補助TAベクターにおいてTOPO(登録商標)クローニング法を用いてベクターに容易にクローニングすることができる。pENTR/D-TOPO(登録商標)、およびpENTR/SD/D-TOPO(登録商標)は、Gateway(登録商標)発現ベクターに5'→3'方向にDNA配列をクローニングさせる方向性のTOPOエントリーベクターである。5'→3'方向の方向性クローニングは、プロモーターが核酸の5' ATG開始コドンの上流に存在するように、タンパク質発現ベクターへのDNA配列の非方向性の挿入を容易にして、このようにプロモーターによって駆動されるタンパク質発現が可能となる。prom-1ペプチドコード核酸を有する組み換え型ベクターを、XL1Blue、SURE(Stratagene)およびTOP-10細胞(Invitrogen)などの全般的クローニング大腸菌細胞にトランスフェクトさせて繁殖させることができる。
prom-1ペプチドのポリマーが発現されうるように、prom-1ペプチドをコードする核酸の多数のコピーが縦列でライゲーションされうると想像される。望ましければポリマーのprom-1ペプチドから各々のprom-1ペプチドの放出を促進するために、プロテアーゼ切断部位を設計して核酸のあいだに含めることができる。プロテアーゼ切断部位の例には、エンテロキナーゼ、キモトリプシン、およびトロンビンが含まれるがこれらに限定されるわけではない。
保存的アミノ酸置換を作成する方法も同様に当業者に周知であり、これには、オリゴヌクレオチドプライマーを用いる部位特異的変異誘発およびポリメラーゼ連鎖反応が含まれるがこれらに限定されるわけではない。本明細書において記述されるアミノ酸12個またはそれより少ないprom-1ペプチドの保存的置換変種(非制限的な実施例として、#237 prom-1ペプチド)は、1〜4個の保存的アミノ酸置換を有しうるが、全てのprom-1ペプチド変種または誘導体と同様に、VEGF結合活性を実質的に保持している。1つの態様において、1〜4個の置換は、#237ペプチドの6個のC末端アミノ酸内に位置していない。もう1つの態様において、置換は、#237ペプチドのC末端のアラニンおよびバリンアミノ酸を変化させない。各々のprom-1ペプチドに対して特異的なこれらの活性がアミノ酸置換によって消失しないことを確認するために、変種prom-1ペプチドを発現させて、当技術分野において公知のおよび/または本明細書において記述される方法によって、VEGF結合活性、血管新生促進活性、細胞増殖活性の促進、および/または細胞遊走活性の促進に関してアッセイすることができる。変種prom-1ペプチドは、当初の親prom-1ペプチドのVEGF結合活性、血管新生促進活性、細胞増殖活性の促進、細胞遊走の促進、または神経栄養/神経保護活性の少なくとも50%を有する。本明細書において記述されるprom-1ペプチドの保存的アミノ酸置換変種は、親prom-1ペプチドと比較して増強された活性または優れた安定性を有しうると企図される。
特定のサイレントまたは中性ミスセンス変異もまた、コードされるアミノ酸配列を、またはコードされるprom-1ペプチドの血管新生促進もしくは抗血管新生活性を変化させない変異によって、prom-1ペプチドをコードする核酸に作成することができる。これらのタイプの変異は、組み換え型タンパク質発現および産生を改善するコドン使用を最適化するために有用である。
ベクターにおけるprom-1ペプチドをコードする核酸の特異的部位特異的変異誘発を用いて、特異的アミノ酸変異および置換を作成することができる。部位特異的変異誘発は、たとえばStratagene(登録商標)からのQuikChange(登録商標)部位特異的変異誘発キットを用いて、製造元の説明書に従って、または当技術分野において公知である任意の方法によって行われうる。
異種タンパク質発現系から産生された組み換え型タンパク質を発現および精製するために、本明細書において記述されるprom-1ペプチドまたは誘導体をコードする核酸を含む異なる発現ベクターを作成することができる。たとえば哺乳動物、昆虫、酵母、細菌、または植物細胞から選択される宿主細胞を用いる異種タンパク質発現系は、当業者に周知である。発現ベクターは、そのそれぞれの宿主細胞における効率的な遺伝子転写および翻訳のために、プロモーター配列、リボソーム認識および結合TATAボックス、ならびに3' UTR AAUAAA転写終止配列などの必要な5'上流および3'下流の調節エレメントを有するべきである。発現ベクターは、発現された組み換え型prom-1ペプチドに組み入れられる、6×ヒスチジン(SEQ ID NO: 19)、V5、チオレドキシン、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、c-Myc、VSV-G、HSV、FLAG、マルトース結合ペプチド、金属結合ペプチド、HA、および「分泌」シグナル(ミツバチのメリチン、α-因子、PHO、Bip)などの追加の配列を有してもよい。加えて、これらの配列が必要でなくなった後に追加の配列の酵素的除去を容易にするために、これらの配列の後に酵素消化部位を組み入れることができる。これらの追加の配列は、prom-1ペプチド発現を検出するために、アフィニティクロマトグラフィーによるタンパク質精製のために、宿主細胞質における組み換え型タンパク質の溶解度を増強するために、特に低分子ペプチドに関してよりよいタンパク質発現のために、および/または発現された組み換え型タンパク質を培養培地、原核細菌のペリプラスムに、もしくは酵母細胞のスフェロプラストに分泌させるために有用である。組み換え型prom-1ペプチドの発現は、選ばれる宿主およびベクター系に応じて、宿主細胞において構成的でありうるか、またはたとえば硫酸銅、ガラクトースなどの糖、メタノール、メチルアミン、チアミン、テトラサイクリン、バキュロウイルス感染、および乳糖の安定な合成類似体である(イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド)IPTGによって誘導されうる。
組み換え型prom-1ペプチドは、多様な発現宿主細胞において、たとえば大腸菌などの細菌、酵母、哺乳動物、昆虫、およびクラミドモナス(Chlamydomonas)などの植物細胞において、または無細胞発現系において発現させることができる。クローニングベクターから、核酸を、哺乳動物、昆虫、酵母、細菌、もしくは植物細胞、またはウサギ網状赤血球発現系などの無細胞発現系におけるprom-1ペプチドの発現にとって適した組み換え型発現ベクターにサブクローニングすることができる。サブクローニングは、PCRクローニング、制限消化後のライゲーション、またはGateway(登録商標)LRおよびBP Clonase(商標)酵素混合物を用いるλ-ファージに基づく部位特異的組み換えの反応などの組み換え反応によって達成されうる。サブクローニングは、核酸の5' ATG開始コドンが発現ベクターにおいてプロモーターの下流であるように非方向性であるべきである。または、コード核酸がpENTR/D-TOPO(登録商標)、pENTR/SD/D-TOPO(登録商標)(方向性のエントリーベクター)、またはInvitrogenのGateway(登録商標)Technology pENTR(エントリー)ベクターにクローニングされる場合、コード核酸はそれぞれ、1回の組み換え反応で哺乳動物細胞、大腸菌、昆虫、および酵母においてタンパク質を発現させるために、様々なGateway(登録商標)発現ベクター(デスティネーション)に移入されうる。Gateway(登録商標)デスティネーションベクターのいくつかは、バキュロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、およびレンチウイルスを構築するために設計され、これはそのそれぞれの宿主細胞に感染すると、宿主細胞においてprom-1ペプチドの異種発現を許容する。遺伝子をデスティネーションベクターに移入することは、製造元の説明書に従ってちょうど2段階で成就される。大腸菌、昆虫細胞、哺乳動物細胞、および酵母におけるタンパク質発現のためのGateway(登録商標)発現ベクターが存在する。形質転換および大腸菌における選択後、発現ベクターは、適当な宿主における発現のために用いる準備ができている。
他の発現ベクターおよび宿主細胞の例は、BL21、BL21(DE3)およびAD494(DE3)pLysS、Rosetta(DE3)、およびOrigami(DE3)(Novagen)などの大腸菌宿主細胞におけるタンパク質発現のためのpETベクター(Novagen)、pGEXベクター(Amersham Pharmacia)、およびpMALベクター(New England labs. Inc.);CHO、COS、HEK-293、Jurkat、およびMCF-7などの哺乳動物細胞株における発現のための強いCMVプロモーターに基づくpcDNA3.1(Invitrogen)およびpCIneoベクター(Promega);哺乳動物細胞におけるアデノウイルス媒介遺伝子移入および発現のための、複製インコンピテントアデノウイルスベクターpAdeno X、pAd5F35、pLP-Adeno-X-CMV (Clontech)、pAd/CMV/V5-DEST、pAd-DESTベクター(Invitrogen);哺乳動物細胞におけるレトロウイルス媒介遺伝子移入および発現のためのClontech社のRetro-X(商標)システムと共に用いるためのpLNCX2、pLXSN、およびpLAPSNレトロウイルスベクター;哺乳動物細胞におけるレンチウイルス媒介遺伝子移入および発現のためのpLenti4/V5-DEST(商標)、pLenti6/V5-DEST(商標)、およびpLenti6.2/V5- GW/lacZ(Invitrogen);哺乳動物細胞におけるアデノ随伴ウイルス媒介遺伝子移入および発現のためのpAAV-MCS、pAAV-IRES-hrGFP、およびpAAV-RCベクター(Stratagene)などのアデノウイルス随伴ウイルス発現ベクター;スポドプテラ・フルギペルダ(Spodopera frugiperda)9(Sf9)およびSf11昆虫細胞株における発現のための BACpak6バキュロウイルス(Clontech)およびpFastBac(商標)HT(Invitrogen);ドロソフィラ・シュナイダー(Drosophila Schneider)S2 細胞における発現のためのpMT/BiP/V5-His (Invitrogen);ピキア・パストリス(Pichia pastoris)における発現のためのピキア(Pichia)発現ベクターpPICZα、pPICZ、pFLDα、およびpFLD (Invitrogen);ならびにメチロトローフ酵母(P. methanolica)における発現のためのベクターpMETαおよびpMET;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)における発現のためのpYES2/GSおよびpYD1(Invitrogen)ベクターである。コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)における異種タンパク質の大規模発現における最近の進歩は、Griesbeck C. et. al. 2006 Mol. Biotechnol. 34:213-33およびFuhrmann M. 2004, Methods Mol Med. 94:191-5において記述されている。外来異種コード配列は、相同組み換えによって核、葉緑体、およびミトコンドリアのゲノムに挿入される。スペクチノマイシンまたはストレプトマイシンに対する抵抗性を付与する用途の広い葉緑体選択可能マーカーアミノグリコシドアデニルトランスフェラーゼ(aadA)を有する葉緑体発現ベクターp64は、葉緑体において外来タンパク質を発現させるために用いられうる。バイオリスティック遺伝子銃法を用いて藻類にベクターを導入することができる。葉緑体にそれが入ると、外来DNAが、遺伝子銃粒子から放出されて、相同組み換えを通して葉緑体ゲノムの中に組み入れられる。
異なる宿主細胞における組み換え型タンパク質発現は、構成的であるか、または硫酸銅、ガラクトースなどの糖、メタノール、メチルアミン、チアミン、テトラサイクリン、もしくはIPTGなどの誘導物質によって誘導型でありうる。タンパク質が宿主細胞において発現された後、宿主細胞を、精製するために溶解して発現タンパク質を遊離させる。様々な宿主細胞を溶解する方法は、"Sample Preparation-Tools for Protein Research" EMD Bioscienceおよびthe Current Protocols in Protein Sciences (CPPS)において特集されている。好ましい精製法は、ヒスチジンタグprom-1ペプチドのためにニッケル、コバルト、または亜鉛アフィニティ樹脂を用いるイオン-金属アフィニティクロマトグラフなどのアフィニティクロマトグラフィーである。ヒスチジンタグ組み換え型タンパク質を精製する方法は、Clontechによって同社のTalon(登録商標)コバルト樹脂を用いて、およびNovagenによって同社のpETシステムマニュアル第10版において記述される。もう1つの好ましい精製戦略は、イムノアフィニティクロマトグラフィーによって行われ、たとえば抗Myc抗体コンジュゲート樹脂を用いて、Myc-タグprom-1ペプチドをアフィニティ精製することができる。トロンビンおよびエンテロキナーゼなどのセリンプロテアーゼによる酵素消化は、ヒスチジンまたはMycタグからprom-1ペプチドを切断して放出し、アフィニティ樹脂から組み換え型prom-1ペプチドを放出するが、ヒスチジンタグおよびMycタグはアフィニティ樹脂に付着したままである。
無細胞発現系もまた企図される。無細胞発現系は、タンパク質のフォールディングにとって都合がよいように反応条件を容易に改変できること、産物毒性に対する感度の減少、ならびに反応容積および処理時間が低減されるために迅速な発現スクリーニングまたは大量のタンパク質産生などのハイスループット戦略にとって適していることが含まれる、従来の無細胞発現法に対していくつかの長所を提供する。無細胞発現系は、プラスミドまたは直線状DNAを用いることができる。その上、翻訳効率の改善によって、反応ミクス1ミリリットルあたりタンパク質1ミリグラムを超える収率が得られている。高い収率でタンパク質を産生することができる無細胞翻訳系の例が、Spirin AS. et. al., Science 242:1162 (1988)によって記述されている。方法は、反応混合物全体にアミノ酸、アデノシン三リン酸(ATP)、およびグアノシン三リン酸(GTP)を含有する供給緩衝液の連続流の設計および翻訳されたポリペプチド産物の連続的な除去を用いる。系は、無細胞の連続的な供給緩衝液を提供するために、大腸菌溶解物を用いる。この連続流の系は、原核細胞および真核細胞発現ベクターの双方と適合性である。例として、膜貫通タンパク質EmrE多剤輸送体の大規模無細胞産生が、Chang G. el. al., Science 310:1950-3 (2005)によって記述されている。
他の市販の無細胞発現系には、試験管反応フォーマットにおいて活性な組み換え型タンパク質のミリグラム量までを産生するために効率的な転写翻訳をカップリングさせた反応のために大腸菌に基づくインビトロ系を利用するExpressway(商標)Cell-Free Expression Systems(Invitrogen);同様に大腸菌インビトロ系を用いるRapid Translation System(RTS)(Roche Applied Science);およびウサギ網状赤血球に基づくインビトロ系を用いるTNT Coupled Reticulocyte Lysate Systems(Promega)が含まれる。
ペプチド模倣体の設計
ペプチド模倣体を設計して、機能的ペプチド模倣体をスクリーニングする方法は、当業者に周知である。公知のタンパク質またはペプチドを模倣する分子を設計する1つの基本的な方法は、最初に公知のタンパク質の活性領域(たとえば、抗体-抗原相互作用の場合、抗原に対する結合を許容する抗体の領域を同定する)を同定して、次に活性領域に匹敵する模倣体に関して検索する。例として、prom-1ペプチド
Figure 0006063626
の活性領域はTTTVVA(SEQ ID NO: 12)である。公知のタンパク質の活性領域は比較的小さいが、模倣体はタンパク質より小さく(たとえば、分子量において)、それに対応して合成がより容易でより安価で、安定性または他の都合のよい薬物動態局面に関して恩恵を有すると予想される。そのような模倣体は、タンパク質の従来の置換体として、または標的分子との相互作用のための物質として用いられうるであろう。
たとえば、Reineke et al. (1999, Nature Biotechnology, 17;271-275)は、そのそれぞれがインターロイキン10の短い部分に対応する短い合成ペプチドの大きいライブラリを用いてインターロイキン-10タンパク質の結合部位を模倣する模倣体分子を設計した。これらのペプチドの各々の標的(この場合、インターロイキン-10に対する抗体)に対する結合をアッセイ技術によって個々に試験して、関連する可能性があるペプチドを同定した。ペプチドのファージディスプレイライブラリおよびアラニン走査法を用いることができる。
特定のペプチドまたはタンパク質に対するペプチド模倣体を設計するための他の方法には、欧州特許EP1206494において記述される方法、Andrean Goede et. al. 2006 BMC Bioinformatics, 7:11によるSuperMimicプログラム;およびW. Campbell et. al.,2002, Microbiology and Immunology 46:211-215によるMIMETICプログラムが含まれる。SuperMimicプログラムは、模倣体を挿入するために適したタンパク質の一部またはタンパク質の位置を模倣する化合物を同定するために設計される。本出願は、一方にペプチド模倣体構築ブロックを含有し、他方にタンパク質構造を含有するライブラリを提供する。所定のペプチドに関して有望なペプチド模倣体リンカーの検索は、模倣体のいくつかの型にペプチドを重ね合わせることに基づく。新しい合成エレメントまたはタンパク質が取り入れられて、探索のために用いられうる。標的ペプチド配列との相互作用に関して一連のペプチドを生成するMIMETICコンピュータープログラムは、W.Campbell et. al., 2002によって教示される。この話題を掘り下げた考察は、"Peptide Mimetic Design with the Aid of Computational Chemistry" by James R. Damewood Jr. in Reviews in Computational Chemistry Reviews in Computational Chemistry, Jan 2007, Volume 9 Book Series: Reviews in Computational Chemistry, Editor(s): Kenny B. Lipkowitz, Donald B. BoydPrint ISBN: 9780471186397 ISBN: 9780470125861 Published by John Wiley &Sons, Inc.;およびT. Tselios, et. al., Amino Acids, 14: 333-341, 1998において論評されている。
多様なペプチド、ペプトイド、およびペプチド模倣体集団を含有するライブラリを調製するための方法は、当技術分野において周知であり、様々なライブラリが市販されている(たとえば、その各々が参照により本明細書に組み入れられる、Ecker and Crooke, Biotechnology 13:351-360 (1995)、およびBlondelle et al., Trends Anal. Chem. 14:83-92 (1995)、およびそこで引用されている参考文献を参照されたい;同様にその各々が参照により本明細書に組み入れられる、Goodman and Ro, Peptidomimetics for Drug Design, in "Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery" Vol. 1 (ed. M. E. Wolff; John Wiley & Sons 1995), pages 803-861、およびGordon et al., J. Med. Chem. 37:1385-1401 (1994)を参照されたい)。当業者は、ペプチドがインビトロで直接産生されうること、またはインビトロで産生されうる核酸から発現されうることを理解する。合成ペプチドおよび核酸化学の方法は、当技術分野において周知である。
ペプチド分子のライブラリはまた、たとえば関心対象組織から収集されたmRNAからcDNA発現ライブラリを構築することによっても産生されうる。そのようなライブラリを産生する方法は、当技術分野において周知である(たとえば、参照により本明細書に組み入れられる、Sambrook et. al., Molecular Cloning: A laboratory manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989)を参照されたい)。好ましくは、cDNAによってコードされるペプチドは、cDNAを含有する細胞またはウイルスの表面上に発現される。
治療的/予防的投与
本発明の薬学的組成物は、たとえば組織に局所適用されうる。組成物は、薬学的担体との混合物において、局所適用薬学的組成物の剤形で治療的有効量として適用されうる。そのような組成物には、液剤、懸濁剤、ローション、ゲル、クリーム、軟膏、エマルション、皮膚パッチ等が含まれる。これらの剤形は全て、その調製法と共に、薬学および化粧品産業において公知である。Harry's Cosmeticology (Chemical Publishing, 7th ed. 1982);Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co., 18th ed. 1990)。典型的に、そのような局所適用製剤は、薬学的に許容される担体との混合物において活性成分を0.1〜100 mg/mlの濃度範囲で含有する。本明細書において用いられるように、組成物、担体、希釈剤、および試薬を指す場合の「薬学的に許容される」、「生理的に認容される」およびその文法上の変化形は、互換的に用いられ、悪心、めまい、胃の不調等などの望ましくない生理的効果を生じることなく、材料を哺乳動物に投与することができることを表す。薬学的に許容される担体は、それが望ましい場合を除き、それが混合されるprom-1ペプチドに対する免疫応答の発生を促進しないであろう。その中に溶解または分散される活性成分を含有する薬理学的組成物の調製は、当技術分野において十分に理解されており、製剤に基づいて制限される必要はない。ウイルス発現を用いる遺伝子治療に関して、薬学的組成物は、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、またはレンチウイルスの形でありうる。遺伝子治療の用量範囲は、適用あたり粒子1×106〜1014個でありうる。そのような調製物において用いるための他の望ましい成分には、保存剤、共溶媒、増粘剤、担体等が含まれる。担体自身または担体に溶解される成分が、湿潤、洗浄、または抗炎症/抗痒特性が含まれる、それ自身の待機的または治療的特性を有してもよい。浸透増強剤は、たとえば表面活性剤;ジメチルスルホキシドおよび他のスルホキシド、ジメチルアセトアミド、およびピロリドンなどの特定の有機溶媒;複素環アミンの特定のアミド、グリコール(たとえば、プロピレングリコール);炭酸プロピレン;オレイン酸;アルキルアミンおよび誘導体;様々な陽イオン、陰イオン、非イオン性、および両性表面活性剤等であってもよい。
薬理学的有効量の局所適用投与は、当技術分野において周知の経皮送達系を利用することができる。例は、皮膚パッチである。または、バイオリスティック遺伝子銃による送達法を用いてもよい。遺伝子銃は、当初、植物形質転換のために設計された、細胞に遺伝情報を注射するための装置である。弾頭は、プラスミドDNAによってコーティングされた重金属の元素粒子である。この技術はしばしば単純にバイオリスティックと呼ばれる。バイオリスティック技術を用いるもう1つの機器は、PDS-1000/He粒子送達系である。単離prom-1ペプチド発現ベクター、および/または遺伝子治療ウイルス発現ベクターを微細な金粒子上にコーティングすることができ、これらのコーティング粒子を、生物組織に高圧下で「打ち込む」。遺伝子銃に基づく方法の例は、Loehr B. I. et. al. J. Virol. 2000, 74:6077-86によってウシのDNAに基づくワクチン接種に関して記述されている。
1つの態様において、本明細書において記述される薬学的組成物は、たとえば臓器、筋肉、または組織などの罹患組織に、または創傷に注射することによって直接投与されうる。好ましい製剤は、滅菌生理食塩液または乳酸リンゲル液である。乳酸リンゲル液は、血液と等張であり、静脈内投与のために企図される溶液である。
もう1つの態様において、被験体の神経系に接触する物質などのペプチド組成物が投与される。1つの態様において、活性物質は、被験体の脳脊髄液に導入することによって投与される。特定の局面において、ペプチド組成物は、脳室、腰椎領域、または大槽に導入される。もう1つの局面において、ペプチド組成物は、神経もしくは脊髄損傷部位、疼痛もしくは神経変性部位などの局所に、または神経網膜細胞に接触するように眼内に導入される。1つの態様において、本明細書において記述されるペプチド組成物は、たとえばCNSに対する損傷時から、損傷が起こった後約100時間までの期間、たとえば損傷時から24、12、または6時間以内に被験体に投与される。
本発明のもう1つの態様において、ペプチド組成物は、被験体の髄腔内に投与される。本明細書において用いられるように、「髄腔内投与」という用語は、バードリルの穴、槽または腰椎穿刺等を通しての側脳室内注射が含まれる技術によって被験体の脳脊髄液に直接ペプチド組成物を送達することが含まれると意図される(その内容が参照により本明細書に組み入れられる、Lazorthes et al., 1991、およびOmmaya A. K., 1984において記述される)。「腰椎領域」という用語には、第三腰椎と第四腰椎(下位背部)のあいだの領域が含まれると意図される。「大槽」という用語には、頭蓋が終わって、後頭部で脊髄が始まる領域が含まれると意図される。「脳室」という用語は、中心管に連続している脳における腔が含まれると意図される。前述のいずれかの部位への活性化合物の投与は、活性化合物製剤の直接注射によって、または注入ポンプを用いることによって達成されうる。埋め込み可能な、または外部ポンプおよびカテーテルを用いてもよい。
頭蓋内組織に投与するための追加の手段は、嗅覚上皮に本発明の化合物を適用して、その後これを嗅球に伝達して、脳のより近位部分に輸送する段階を伴う。そのような投与は、霧状またはエアロゾル化調製物によって行われうる。さらなる態様において、眼科用ペプチド組成物は、網膜および視神経乳頭組織に対する傷害を予防または低減するためのみならず、眼組織への傷害後の機能的回復を増強するために用いられる。処置される可能性がある眼科状態には、網膜症(糖尿病性網膜症および水晶体後線維増殖が含まれる)、黄斑変性、眼の虚血、および緑内障が含まれるがこれらに限定されるわけではない。本明細書において記述される方法によって処置される他の状態には、虚血再灌流損傷、光化学的損傷、および眼の手術に関連する損傷、特に光または外科用機器に対する曝露による網膜または視神経乳頭に対する損傷などの、眼組織に対する損傷に関連する傷害が含まれる。眼科用組成物はまた、眼の手術後の硝子体または結膜下注射などによって、眼の手術の補助として用いられてもよい。ペプチド組成物は、一時的な状態の急性の処置のために用いられてもよく、または特に変性疾患の場合には慢性的に投与されてもよい。眼科用ペプチド組成物はまた、特に眼の手術、非侵襲性の眼科技法、または他のタイプの手術の前に予防的に用いられてもよい。
1つの態様において、活性化合物は、最適な軸索の伸展を生じるために十分に長い期間被験体に投与される。ペプチド組成物との持続的な接触は、たとえばペプチド組成物を、1週間、数週間、1ヶ月、またはそれより長くなどの一定期間に繰り返し投与することによって達成されうる。より好ましくは、活性化合物を投与するために用いられる薬学的に許容される製剤は、被験体に対して活性化合物の「徐々に放出」などの持続的送達を提供する。たとえば、製剤は、薬学的に許容される製剤が被験体に投与された後、少なくとも1週間、2週間、3週間、または4週間活性ペプチド組成物を送達してもよい。好ましくは、本明細書において記述される方法に従って処置される被験体は、活性ペプチド組成物によって少なくとも30日間処置される(繰り返し投与によって、持続的送達系を用いることによって、またはその双方によって)。
本明細書において用いられるように、「持続的送達」という用語は、投与後一定期間にわたって、好ましくは少なくとも数日間、1週間、数週間、1ヶ月間またはそれより長く、インビボでの活性ペプチド組成物の連続的な送達が含まれると意図される。活性化合物の持続的な送達は、たとえばペプチド組成物の経時的に連続的な治療効果によって証明されうる(物質の持続的な送達が、被験体におけるCNSニューロンの連続的な軸索生長によって証明されうるように)。または、ペプチド組成物の持続的な送達は、経時的にインビボでペプチド組成物の存在を検出することによって証明されてもよい。
持続的送達に関する好ましいアプローチには、ポリマーカプセル、製剤を送達するためのミニポンプ、生物学的分解性のインプラント、または埋め込まれたトランスジェニック自己細胞を用いることが含まれる(米国特許第6,214,622号において記述されるように)。埋め込み可能な注入ポンプ系(Infusaidなどの;Zierski, J. et al, 1988;Kanoff, R.B., 1994などを参照されたい)、および浸透圧ポンプ(Alza Corporationによって販売されるポンプ)が、当技術分野において利用可能である。もう1つの投与様式は、埋め込み可能な外部プログラム可能な注入ポンプによる。適した注入ポンプ系およびリザーバー系はまた、Blomquistによる米国特許第5,368,562号において、およびPharmacia Deltec Inc. によって開発された、Doanによる米国特許第4,731,058号において記述される。
局所適用治療のほかに、本明細書において記述される薬学的組成物はまた薬学的製剤で全身投与されうると企図される。全身経路には、経口、非経口、鼻腔内吸入、気管内、髄腔内、頭蓋内、および直腸内が含まれるがこれらに限定されるわけではない。薬学的製剤は、好ましくは滅菌生理食塩液または乳酸リンゲル液である。治療応用に関して、本明細書において記述される調製物は、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、動脈内、滑液包内、髄腔内、経口、または吸入経路によって、ボーラスとしてまたは一定期間での連続的注入によってヒトに静脈内投与されてもよい剤形が含まれる薬学的に許容される剤形で、哺乳動物、好ましくはヒトに投与される。これらの使用に関して、錠剤、顆粒剤、粉剤、カプセル剤およびスプレーなどの追加の従来の薬学的調製物が優先的に必要であるかも知れない。そのような製剤において、結合剤、湿潤剤、噴射剤、潤滑剤、および安定化剤などのさらなる従来の添加剤も同様に必要である可能性がある。ベクターDNAおよび/またはウイルスは、膜融合性脂質ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、低レベル(5〜10モル%)陽イオン脂質を含有する「安定化プラスミド-脂質粒子」(SPLP)に捕捉されて、ポリエチレングリコール(PEG)コーティングによって安定化されうる(Zhang Y. P. et. al. Gene Ther. 1999, 6:1438-47)。発現ベクターおよびウイルスを治療物質として製剤化するための他の技術は、参照により本明細書に組み入れられる、"DNA- Pharmaceuticals: Formulation and Delivery in Gene Therapy, DNA Vaccination and Immunotherapy" by Martin Schleef (Editor) December 2005, Wiley Publisher、および"Plasmids for Therapy and Vaccination" by Martin Schleef (Editor) May 2001において見いだされる。1つの態様において、ウイルスベクターの用量は、ウイルスベクター粒子1×106〜1014個/適用/患者である。
組成物は、徐放性組成物として製剤化されうる。たとえば、徐放手段または送達装置は当技術分野において公知であり、これにはprom-1ペプチド、発現ベクター、および/またはウイルスベクターを含む、成形された製品の形、たとえばフィルムの形またはマイクロカプセルの形での生物学的分解性のマトリクスまたは半透過性のポリマーマトリクスなどの徐放性マトリクスが含まれるがこれらに限定されるわけではない。
本明細書において用いられる徐放性マトリクスは、酵素および/または酸/塩基加水分解または溶解によって分解可能である物質、通常ポリマーで作成されるマトリクスである。体内に挿入されると、マトリクスは酵素および体液の作用を受ける。徐放性マトリクスは、望ましくはリポソーム、ポリラクチド(ポリ乳酸)、ポリグリコリド(グリコール酸のポリマー)、ポリラクチドコ-グリコリド(乳酸とグリコール酸のコポリマー)、ポリ酸無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリタンパク質、ヒアルロン酸、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、カルボン酸、脂肪酸、リン脂質、多糖類、核酸、ポリアミノ酸、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシンなどのアミノ酸、ポリヌクレオチド、ポリビニルプロピレン、ポリビニルピロリドン、およびシリコンなどの生物学的適合性の材料から選ばれる。好ましい生物学的分解可能なマトリクスは、ポリラクチド、ポリグリコリド、またはポリラクチド-コ-グリコリド(乳酸とグリコール酸のコポリマー)のいずれか1つのマトリクスである。
徐放性マトリクスには、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号、EP 58,481)、L-グルタミン酸とγ-エチル-L-グルタメートのコポリマー(U. Sidman el al., Biopolymers 22:547-556 (1983))、ポリ(メタクリル酸2-ヒドロキシエチル)(R. Langer et al., J. Biomed Mater. Res. 15:167-277 (1981)、およびR. Langer, Chem. Tech. 12:98-105 (1982))、エチレン酢酸ビニル(R. Langer et al., 同書)、またはポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸(EP 133,988)が含まれる。徐放性組成物にはまた、リポソームに捕捉されたprom-1ペプチド、発現ベクター、および核酸構築物が含まれる。そのようなリポソームは、それ自体公知である方法によって調製されうる:DE 3,218,121;Epstein, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688-3692 (1985);Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4030-4034 (1980);EP 52,322;EP 36,676;EP 88,046;EP 143,949;EP 142,641;日本国特許出願第83-118008号;米国特許第4,485,045号および第4,544,545号;ならびにEP 102,324。通常、リポソームは、選択される比率が最適な治療に関して調節される、その中の脂質含有量が約30モル%コレステロールより大きい、小さい(約200〜800オングストローム)ユニラメラ型のリポソームである。他の生物学的分解性のポリマーおよびその使用は、たとえばBrem et al. (1991, J. Neurosurg. 74:441-446)において詳細に記述されている。
患者に投与するためのリポソームおよびミクロスフェアを調製するための方法は、当業者に公知である。その内容が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,789,734号は、リポソームに生物材料を封入するための方法を記述する。公知の方法の論評は、G. Gregoriadis, Chapter 14, "Liposomes," Drug Carriers in Biology and Medicine, pp. 287-341 (Academic Press, 1979)によって提供される。
ポリマーまたはタンパク質から形成されるミクロスフェアは、当業者に周知であり、消化管を通過して血流に直接入るように調製されうる。または、化合物を組み入れて、ミクロスフェアまたはミクロスフェアの複合体を、数日から数ヶ月間にわたって徐々に放出するように埋め込むことができる。たとえばその内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第4,906,474号、第4,925,673号、および第3,625,214号、ならびにJein, TIPS 19:155-157 (1998)を参照されたい。
好ましい微粒子は、ポリグリコリド、ポリラクチドおよびそのコポリマーなどの生物学的分解性のポリマーから調節される微粒子である。当業者は、薬物放出の望ましい速度および望ましい用量が含まれる様々な要因に応じて適当な担体系を容易に決定することができる。
1つの態様において、浸透圧ミニポンプを用いて、カニューレを通して関心対象部位、たとえば血管新生を必要とする部位の組織に直接、本明細書において記述される薬学的組成物の制御された持続的送達を提供することができる、ポンプは外科的に埋め込まれうる;たとえば腹腔内に埋め込まれた浸透圧ポンプによる抗血管新生剤であるエンドスタチンの連続的投与は、Cancer Res. 2001 Oct 15;61(20):7669-74において記述される。prom-1ペプチドの治療量はまた、静脈針に取り付けた外部ポンプによって連続的に投与されうる。
1つの態様において、製剤は、カテーテルによって直接、血管の内部に投与される。投与は、たとえばカテーテルの穴を通して起こりうる。活性化合物が比較的長い半減期(1日から1週間またはそれより長いオーダーで)を有するこれらの態様において、製剤は、Hubbell et al.に対する米国特許第5,410,016号において開示されるハイドロゲルなどの生物学的分解性のポリマーハイドロゲルに含められうる。これらのポリマーハイドロゲルは、組織内腔に送達されることができ、ポリマーが分解すると活性化合物が経時的に放出される。望ましければ、ポリマーハイドロゲルは、その中に分散された活性化合物が含まれる微粒子またはリポソームを有することができ、それによって活性化合物の制御された放出のためのもう1つの機序を提供する。
腸内投与に関して、組成物は、各々が既定量の活性化合物を含有するカプセル、カシェ、錠剤、もしくはロゼンジなどの個別の単位で;粉剤もしくは顆粒剤として;または水溶性液体もしくは非水溶性液体、たとえばシロップ、エリキシル剤、エマルション、もしくは1回分液体における懸濁剤もしくは液剤として、不活性担体に組み入れられうる。適した担体は、デンプンまたは糖であってもよく、これには潤滑剤、着香料、結合剤、および同じ性質の他の材料が含まれてもよい。
錠剤は、任意で1つまたは複数の補助成分と共に圧縮または成形によって作成されうる。圧縮錠は、適した機械において、自由に流動する型、たとえば粉末、もしくは顆粒の活性化合物を、任意で補助成分、たとえば結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、表面活性または分散剤と共に混合して圧縮することによって調製されうる。成型錠は、適した機械において、任意の適した担体と粉末活性化合物との混合物を成型することによって作成されうる。
シロップまたは懸濁剤は、活性化合物を、それに対して同様に任意の補助成分を添加することができる濃厚な糖の水溶液、たとえば蔗糖水溶液に添加することによって作成されうる。そのような補助成分には、着香料、糖の結晶化を遅らせる物質、または他の任意の成分の溶解度を増加させる物質、たとえば多価アルコール、たとえばグリセロールまたはソルビトールが含まれてもよい。
経口投与のための製剤は、増強剤と共に提示されうる。経口で許容される吸収増強剤には、ラウリル硫酸ナトリウム、パルミトイルカルニチン、Laureth-9、ホスファチジルコリン、シクロデキストリンおよびその誘導体などの界面活性剤;デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、およびフシジン酸ナトリウムなどの胆汁酸塩;EDTA、クエン酸、およびサリチル酸塩が含まれるキレート剤;ならびに脂肪酸(たとえば、オレイン酸、ラウリン酸、アシルカルニチン、モノおよびジグリセリド)が含まれる。他の経口吸収増強剤には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、CHAPS(3-(3-コラミドプロピル)-ジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホネート)、Big-CHAPS(N,N-ビス(3-D-グルコンアミドプロピル)-コラミド)、クロロブタノール、オクトキシノール-9、ベンジルアルコール、フェノール、クレゾール、およびアルキルアルコールが含まれる。本発明にとって特に好ましい経口吸収増強剤は、ラウリル硫酸ナトリウムである。
直腸内投与のための製剤は、従来の担体、たとえば坐剤基剤としてのカカオバターまたはWitepsol S55(Dynamite Nobel Chemical, Germanyの商標)と共に坐剤として提示されうる。
投与経路、剤形、および有効量は、prom-1ペプチドの効力、発現ベクターおよびウイルスベクター、その物理化学的特徴、ならびに処置の位置に応じて多様となる。適当な用量の選択は、当業者である医師の範囲内である。局所適用製剤は、1日4回まで投与されうる。
1つの態様において、剤形には、本来非毒性で非治療的である薬学的に許容される担体が含まれる。そのような担体の例には、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウムなどの緩衝物質、飽和植物性脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩、または硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、トリケイ酸マグネシウムなどの電解質、ポリビニルピロリドン、セルロースに基づく物質、およびポリエチレングリコールが含まれる。組成物の局所適用またはゲルに基づく剤形の担体には、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはメチルセルロースなどの多糖類、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および木ロウアルコールが含まれる。全ての投与に関して、従来のデポー剤形がふさわしく用いられる。そのような剤形には、たとえば、マイクロカプセル、ナノカプセル、リポソーム、硬膏、吸入形、鼻スプレー、舌下錠、徐放性調製物が含まれる。たとえば、徐放性組成物の例に関しては、米国特許第3,773,919号、EP 58,481A、米国特許第3,887,699号、EP 158,277A、カナダ国特許第1176565号、U. Sidman et al., Biopolymers 22:547 (1983)、およびR. Langer et al., Chem. Tech. 12:98 (1982)を参照されたい。prom-1ペプチドは通常、約0.1 mg/ml〜100 mg/mlの濃度でそのようなビヒクルにおいて製剤化され、ウイルスベクターは、ウイルスベクター粒子1×106〜1014個/適用/患者の範囲であるべきである。
1つの態様において、抗酸化剤、たとえばアスコルビン酸;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、たとえばポリアルギニンまたはトリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、またはアルギニンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、およびセルロースもしくはその誘導体、グルコース、マンノースまたはデキストリンが含まれる他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;ならびにマンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコールが含まれる他の成分を薬学的製剤に添加してもよい。
1つの態様において、治療的投与のために用いられる薬学的製剤は無菌的である。無菌性は、濾過滅菌メンブレン(たとえば、0.2ミクロンメンブレン)を通して濾過することによって容易に成就される。prom-1ペプチド組成物は凍結乾燥剤形として保存されうるが、または熱および酸化的変性に対して非常に安定性である場合、水溶液として保存されうる。prom-1ペプチド組成物のpHは典型的に約6〜8でありうる。
治療応用に関して、組成物の適切な用量は、prom-1ペプチドの血管新生、神経保護、または他の有益な効果を必要とする組織のタイプ、処置される関連する医学的状態、医学的状態の重症度および経過、組成物が予防目的または治療目的で投与されるか、これまでの治療、患者の臨床での既往および組成物に対する応答、ならびに主治医の指示に依存するであろう。加えて、最適な用量範囲を同定するために役立つように、インビトロまたはインビボアッセイを任意で使用することができる。使用される正確な用量はまた、投与経路、処置される状態の重症度に依存して、たとえば公表された臨床試験を考慮して医師の判断および各々の被験体の状況に従って決定されるべきである。本明細書において記述されるペプチド組成物を局所適用投与するための適した有効量は、約4時間毎に適用または投与される約10マイクログラム〜約5グラムの範囲であるが、それらは典型的に、4時間毎に約500 mgまたはそれ未満である。1つの態様において、局所適用投与のための有効量は、約0.01 mg、0.5 mg、約1 mg、約50 mg、約100 mg、約200 mg、約300 mg、約400 mg、約500 mg、約600 mg、約700 mg、約800 mg、約900 mg、約1 g、約1.2 g、約1.4 g、約1.6 g、約1.8 g、約2.0 g、約2.2 g、約2.4 g、約2.6 g、約2.8 g、約3.0 g、約3.2 g、約3.4 g、約3.6 g、約3.8 g、約4.0 g、約4.2 g、約4.4 g、約4.6 g、約4.8 g、または約5.0 gを4時間毎である。同等の用量を、約2時間毎、約6時間毎、約8時間毎、約12時間毎、約24時間毎、約36時間毎、約48時間毎、約72時間毎、約1週間毎、約2週間毎、約3週間毎、約1ヶ月毎、および約2ヶ月毎が含まれるがこれらに限定されるわけではない様々な期間で投与してもよい。本明細書において記述される有効量は投与される全量を指す。
全身投与の場合、用量範囲は典型的に、0.001 mg/kg体重〜5 g/kg体重である。いくつかの態様において、用量範囲は、0.001 mg/kg体重〜1 g/kg体重、0.001 mg/kg体重〜0.5 g/kg体重、0.001 mg/kg体重〜0.1 g/kg体重、0.001 mg/kg体重〜50 mg/kg体重、0.001 mg/kg体重〜25 mg/kg体重、0.001 mg/kg体重〜10 mg/kg体重、0.001 mg/kg体重〜5 mg/kg体重、0.001 mg/kg体重〜1 mg/kg体重、0.001 mg/kg体重〜0.1 mg/kg体重、0.001 mg/kg体重〜0.005 mg/kg体重である。または、いくつかの態様において、用量範囲は、0.1 g/kg体重〜5 g/kg体重、0.5 g/kg体重〜5 g/kg体重、1 g/kg体重〜5 g/kg体重、1.5 g/kg体重〜5 g/kg体重、2 g/kg体重〜5 g/kg体重、2.5 g/kg体重〜5 g/kg体重、3 g/kg体重〜5 g/kg体重、3.5 g/kg体重〜5 g/kg体重、4 g/kg体重〜5 g/kg体重、4.5 g/kg体重〜5 g/kg体重、4.8 g/kg体重〜5 g/kg体重である。1つの態様において、用量範囲は、5μg/kg体重〜30μ/kg体重である。または、用量範囲は、5μg/mL〜30μg/mLのあいだの血清レベルを維持するように滴定されるであろう。
prom-1ペプチド、発現ベクター、および/またはウイルスベクターを含む組成物は、ふさわしくは1回でまたは一連の処置のあいだに患者に投与される。本明細書の目的に関して、prom-1ペプチド、prom-1ペプチド変種、prom-1ペプチドを含む融合タンパク質、発現ベクター、および/またはウイルスベクターを含む組成物の「治療的有効量」は、処置される状態の1つもしくは複数の症状またはその指標を予防、可能性を低減、悪化を弱める、緩和する、または治癒するために有効である量である。
先に引用された用量の投与は、限定された期間繰り返されうる。いくつかの態様において、用量は1日1回与えられ、またはたとえば1日3回に限定されない1日に複数回与えられる。好ましい態様において、先に引用された用量は、数週間または数ヶ月間毎日投与される。処置の期間は、被験体の臨床進行および治療に対する応答性に依存する。最初により高い治療用量の後に、連続的な比較的低い維持用量が企図される。
少なくとも1つの物質を含有する治療組成物は、従来、単位用量で投与されうる。治療組成物を参照して用いる場合の「単位用量」という用語は、各々の単位が、必要な生理的に許容される希釈剤、すなわち担体またはビヒクルに関連して望ましい治療効果を生じるように計算された活性材料の既定量を含有する、被験体に対する単位用量として適した物理的に個別の単位を指す。
組成物は、投与製剤に適合性の様式で、治療的有効量で投与される。投与される量および時期は、処置される被験体、被験体の系が活性成分を利用できるか否か、および望ましい治療効果の程度に依存する。物質は、たとえば抗体または標的化リポソーム技術などの標的化部分によって標的化されうる。いくつかの態様において、本明細書において記述されるペプチドは、たとえば抗リガンド抗体(Ab)と特異的標的に対するAbとを化学的に連結することによって産生される二重特異性抗体を用いることによって組織または腫瘍特異的標的に標的化されうる。化学的コンジュゲートの限界を回避するために、細胞表面分子でリガンドおよび/またはキメラ阻害剤に対する組み換え型二重特異性一本鎖Abを産生するために、抗体の分子コンジュゲートを用いることができる。抗体をprom-1ペプチドに付加すると、付着した物質を望ましい標的部位で相加的に蓄積させることができる。抗体に基づくまたは抗体に基づかない標的化部分は、標的部位にリガンドまたは阻害剤を送達するために使用されうる。好ましくは、調節されないまたは疾患関連抗原に関する天然の結合物質をこの目的のために用いる。
ペプチドをコードする核酸を用いる遺伝子治療
遺伝子治療の原理は、その全てが参照により本明細書に組み入れられる、Oldham, R. K. (In: Principles of Biotherapy, Raven Press, N.Y., 1987)、および類似のテキストによって開示される。遺伝子治療のための方法および使用の開示は、その全ての参考文献が参照により本明細書に組み入れられる、Boggs, S. S. (Int. J. Cell Clon. 8:80-96 (1990));Karson, E. M. (Biol. Reprod. 42:39-49 (1990));Ledley, F. D., In: Biotechnology, A Comprehensive Treatise, volume 7B, Gene Technology, VCH Publishers, Inc. NY, pp 399-458 (1989)によって提供される。
1つの態様において、ペプチドは、当業者に公知のいくつかの遺伝子治療技術のいずれか1つによって患者に投与されうる。一般的に、遺伝子治療は、哺乳動物被験体内での標的細胞の直接形質転換(インビボ遺伝子治療)、またはインビトロでの細胞の形質転換の後、哺乳動物被験体への形質転換細胞の埋め込み(エクスビボ遺伝子治療)のいずれかによって成就されうる。
本発明の1つの態様において、ペプチド組成物に応答する疾患または状態の処置を提供するために、ペプチドをコードするDNAを動物(特にヒトが含まれる哺乳動物)の体細胞に導入することができる。最も好ましくは、ウイルスまたはレトロウイルスベクターがこの目的のために使用される。
レトロウイルスベクターは一般的な送達様式であり、この状況においてしばしば、ベクターに感染した細胞においてウイルス複製が起こらないようにウイルス遺伝子が除去または変更されているレトロウイルスである。ウイルス複製機能は、核酸のパッケージングにとって必要であるウイルスタンパク質を産生するが、感染性ウイルスを産生しないレトロウイルス「パッケージング」細胞を用いることによって提供される。
パッケージング細胞へのレトロウイルスベクターDNAの導入によって、ベクターRNAを有するビリオンの産生が起こり、感染後にさらなるウイルスの播種が起こらないように標的細胞に感染することができる。このプロセスを、ウイルスが複製および播種し続ける天然のウイルス感染と区別するために、感染よりむしろ形質導入という用語がしばしば用いられる。
1つの態様において、本発明は、分裂するまたは分裂しない哺乳動物細胞のいずれかにおけるペプチドの送達および発現のために組み換え型レンチウイルスを提供する。HIV-1に基づくレンチウイルスは、モロニー白血病ウイルス(MoMLV)に基づくレトロウイルス系より広い宿主範囲に有効に形質導入することができる。組み換え型レンチウイルスの調製は、Invitrogen社のViraPower(商標)Lentiviral Expression系と共にpLenti4/V5-DEST(商標)、pLenti6/V5-DEST(商標)、またはpLentiベクター(商標)を用いて達成されうる。
たとえば、遺伝障害および様々なタイプの癌に関する遺伝子治療のためのレンチウイルスベクターの使用例は以下の参考文献において記述され、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる(Klein, C. and Baum, C. (2004). Hematol. J., 5, 103-111;Zufferey, R et. al. (1997). Nat. Biotechnol., 15, 871-875;Morizono, K. et. al. (2005). Nat. Med., 11, 346-352;Di Domenico, C. et. al. (2005), Gene therapy for amucopolysaccharidosis type I murine model with lentiviral-IDUA vector. Hum.Gene Ther., 16, 81-90;Kim, E. Y., Hong, Y. B., Lai, Z., Kim, H. J., Cho, Y.-H., Brady, R. O. and Jung, S.-C. (2004). Biochem. Biophys. Res. Comm., 318, 381-390)。
非レトロウイルスベクターもまた、遺伝子治療において用いられている。そのような1つの代用物は、アデノウイルス(Rosenfeld, M. A., et al., Cell 68:143155 (1992);Jaffe, H. A. et al., Nature Genetics 1:372-378 (1992);Lemarchand, P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6482-6486 (1992))である。アデノウイルスベクターの主要な長所は、それらがDNAの大きいセグメント(36 Kbのゲノム)を有することができること、非常に高い力価(粒子1011個/ml)、非複製細胞に感染できること、およびインサイチューで組織、特に肺の組織の感染に適していることである。これまで、このベクターが最も顕著に使用されるのは、コトンラットにおける気道上皮への気管内点滴注入によるヒト嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)遺伝子の送達である(Rosenfeld, M. A., et al., Cell 63:143-155 (1992))。同様に、ヘルペスウイルスも同様に、ヒト遺伝子治療にとって貴重である可能性がある(Wolfe, J. H. et al., Nature Genetics 1:379-384 (1992))。当然、いかなる適した他のウイルスベクターも、本明細書において記述されるprom-1ペプチドの送達に関する遺伝子治療のために用いることができる。
遺伝子治療のために用いられるビリオンは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、およびレンチウイルスに由来するものが含まれるがこれらに限定されるわけではない当技術分野において公知の任意のビリオンでありうる。組み換え型ウイルスは、遺伝子発現試験および治療応用のための用途の広い系を提供する。
関心対象DNAが含まれる上記の組み換え型AAVビリオンは、当業者に公知である標準的な方法論を用いて産生されうる。方法は、一般的に以下の段階:(1)AAVベクターを宿主細胞に導入する段階;(2)AAVベクターから欠失しているAAVヘルパー機能を補うために宿主細胞において発現されうるAAVコード領域が含まれるAAVヘルパー構築物を宿主細胞に導入する段階;(3)宿主細胞における効率的な組み換え型AAV(「rAAV」)ビリオン産生を支持することができる補助機能を提供する1つまたは複数のヘルパーウイルスおよび/または補助機能ベクターを宿主細胞に導入する段階;ならびに(4)rAAVビリオンを産生するために宿主細胞を培養する段階、を伴う。AAVベクター、AAVヘルパー構築物およびヘルパーウイルスまたは補助機能ベクターは、標準的なトランスフェクション技術を用いて同時または連続的に宿主細胞に導入されうる。
組み換え型アデノウイルスを生成するための単純化された方法は、He TC. et. al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:2509-2514, 1998によって提示される。関心対象遺伝子を最初にシャトルベクター、たとえばpAdTrack-CMVにクローニングする。得られたプラスミドを制限エンドヌクレアーゼPme Iによって消化することによって直線状にした後、アデノウイルス骨格プラスミド、たとえばStratagene's AdEasy(商標)Adenoviral Vector SystemのpAdEasy-1によって大腸菌BJ5183細胞に同時形質転換する。組み換え型アデノウイルスベクターを、カナマイシン抵抗性に関して選択して、組み換えを制限エンドヌクレアーゼ分析によって確認する。最後に、直線状の組み換え型プラスミドをアデノウイルスパッケージング細胞株、たとえばHEK 293細胞(E1-形質転換ヒト胚腎細胞)または911(E1形質転換ヒト胚網膜細胞)にトランスフェクトする(Human Gene Therapy 7:215-222, 1996)。組み換え型アデノウイルスは、HEK 293細胞内で生成される。
1つの態様において、本発明は、ペプチド、またはたとえば本明細書において記述されるペプチドが含まれる融合タンパク質を発現させるために組み換え型アデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを提供する。rAAVベクターを用いて、遺伝子を、多くの異なるヒトおよび非ヒト細胞株または組織が含まれる広範囲の宿主細胞に送達することができる。AAVは非病原性であり、免疫応答を誘発しないことから、多数の前臨床試験が優れた安全性プロファイルを報告している。rAAVは広範囲の細胞タイプに形質導入することができ、形質導入は活性な宿主細胞分裂に依存しない。高い力価であるウイルス粒子>108個/mlが上清において容易に得られ、さらなる濃縮によってウイルス粒子1011〜1012個/mlを得ることができる。トランスジーンは、宿主ゲノムに組み入れられ、そのため発現は長期間であり安定である。
AAV-2以外の代わりのAAV血清型を用いること(Davidson et al (2000), PNAS 97(7)3428-32;Passini et al (2003), J. Virol 77(12):7034-40)は、異なる細胞向性および増加した形質導入能を証明している。たとえば脳癌に関して、脳への新規注射技術、特に対流増加送達(CED;Bobo et al (1994), PNAS 91(6):2076-80;Nguyen et al (2001), Neuroreport 12(9):1961-4)の開発により、脳の大きい領域をAAVベクターによって形質導入する能力が有意に増強された。
AAVベクターの大規模調製は、パッケージング細胞株の3つのプラスミド:ペプチドのDNAコード配列を有するAAVベクター、AAV repおよびcap遺伝子を含有するAAV RCベクター、ならびにアデノウイルスヘルパープラスミドpDF6の、サブコンフルエント293細胞の50×150 mmプレートへの同時トランスフェクションによって行われる。細胞をトランスフェクションの3日後に採収して、ウイルスを3回の凍結融解サイクルまたは超音波処理によって放出する。
AAVベクターは、ベクターの血清型に応じて2つの異なる方法によって精製される。AAV2ベクターは、ヘパリンに対するその親和性に基づいて1段階重力流カラム精製法によって精製される(Auricchio, A., et. al., 2001, Human Gene therapy 12;71-6;Summerford, C. and R. Samulski, 1998, J. Virol. 72:1438-45;Summerford, C. and R. Samulski, 1999, Nat. Med. 5: 587-88)。AAV2/1およびAAV2/5ベクターは、現在3連続CsCl勾配によって精製される。
局所投与は最も好ましい可能性があるが、本明細書において記述される方法において用いられるprom-1ペプチドは、インビボ遺伝子治療によって全身に送達されうる。全身処置は、関心対象DNA、すなわちprom-1ペプチドをコードするDNAを標的細胞にトランスフェクトする段階、その細胞においてコードされるペプチド/タンパク質を発現させる段階、および製造されたペプチド/タンパク質を形質転換細胞が血流中に分泌させることができることを伴う。
インビボ形質転換を成就するために、機械的手段(たとえば、標的細胞への核酸の直接注射または粒子衝突)、組み換え型ウイルス、リポソーム、および受容体媒介エンドサイトーシス(RME)が含まれる多様な方法が開発されている(総説に関しては、Chang et al. 1994 Gastroenterol. 106:1076-84;Morsy et al. 1993 JAMA 270:2338-45;およびLedley 1992 J. Pediatr. Gastroenterol. Nutr. 14:328-37を参照されたい)。
ヒトにおいて用いるためのもう1つの遺伝子移入法は、インサイチューでリポソーム中のプラスミドDNAをヒト細胞に直接移入することである(Nabel, E. G., et al., Science 249:1285-1288 (1990))。プラスミドDNAは、レトロウイルスベクターとは異なり、均一になるまで精製されうることから、ヒト遺伝子治療における使用に関して容易に認定されるはずである。リポソーム媒介DNA移入に加えて、プラスミドDNAをタンパク質にコンジュゲートすることによる細胞上の受容体へのDNAの標的化などのいくつかの他の物理的DNA移入法は、ヒト遺伝子治療において有望であることが示されている(Wu, G. Y., et al., J. Biol. Chem. 266:14338-14342 (1991);Curiel, D. T., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:8850-8854 (1991))。
本発明のいくつかの態様は、以下の番号をつけた段落のいずれかとして定義されうる:
1.VEGF結合活性を有する、プロミニン-1に由来する単離prom-1ペプチド。
2.血管新生促進活性を有する、プロミニン-1の単離prom-1ペプチド。
3.創傷治癒を促進する。プロミニン-1の単離prom-1ペプチド。
4.血管新生促進活性を有する、プロミニン-1の細胞外ドメインに由来する単離prom-1ペプチド。
5.プロミニン-1がヒトプロミニン-1である、段落1〜4のいずれか1つに記載の単離prom-1ペプチド。
6.細胞外ドメインがSEQ ID NO: 1、2、または3の1つである、段落4または5のいずれか記載の単離prom-1ペプチド。
7.SEQ ID NO: 1、2、または3の少なくとも6連続アミノ酸残基を含み、かつ全長のプロミニン-1を含まない、段落1〜6のいずれか1つに記載の単離prom-1ペプチド。
8.段落1〜7のいずれか1つに記載のペプチドの保存的アミノ酸置換変種である、単離ペプチド。
9.血管新生促進活性を有する、段落1〜8のいずれか1つ記載のペプチドと少なくとも90%同一であるペプチド。
10.
Figure 0006063626
または血管新生促進活性を実質的に保持するその保存的アミノ酸置換変種からなる群より選択されるペプチドから本質的になる、血管新生促進活性を有するプロミニン-1の単離されたペプチド断片。
11.内皮細胞に対するVEGFの結合を増強する、段落1〜10のいずれか1つに記載の単離ペプチド。
12.細胞増殖を増強する、段落1〜11のいずれか1つに記載の単離ペプチド。
13.内皮細胞の増殖を増強する、段落1〜12のいずれか1つに記載の単離ペプチド。
14.血管新生促進因子の存在下で血管新生を増強する、段落1〜13のいずれか1つに記載の単離ペプチド。
15.血管新生促進因子の存在下で細胞遊走を増強する、段落1〜14のいずれか1つに記載の単離ペプチド。
16.環状ペプチドを含む、段落1〜15のいずれか1つに記載の単離prom-1ペプチド。
17.ポリマーにコンジュゲートされている、段落1〜15のいずれか記載の単離ペプチド。
18.異種ペプチドまたはポリペプチドに融合された、全長のプロミニン-1ではない、段落1〜17のいずれか1つに記載のペプチドを含む融合タンパク質。
19.薬学的に許容される担体と段落1〜18のいずれか1つに記載の単離prom-1ペプチドとを含む組成物。
20.段落19の組成物を組織に接触させる段階を含む、それを必要とする組織における細胞増殖を促進する方法。
21.段落19記載の組成物を組織に接触させる段階を含む、それを必要とする組織における血管新生を促進する方法。
22.創傷治癒促進、ニューロン生長、保護もしくは修復、組織修復、生殖能促進、心肥大、勃起機能障害の処置、血圧の調整、疾患もしくは外傷後の血管再生、組織移植片、または組織工学構築物の状況において適用される、段落20または21記載の方法。
23.創傷に段落1〜19のいずれか1つに記載の単離prom-1ペプチド、環状ペプチド、または融合タンパク質を接触させる段階を含む、創傷治癒を促進する方法であって、それによって創傷治癒がペプチドまたは融合タンパク質の非存在下での創傷治癒と比較して増強される、方法。
24.プロミニン-1の単離prom-1ペプチドをニューロン細胞に接触させる段階を含む、神経保護または神経再生を促進する方法。
25.プロミニン-1のprom-1ペプチドが該プロミニン-1の細胞外ドメインにおいて見いだされる配列を含む、段落22記載の方法。
26.プロミニン-1がヒトプロミニン-1である、段落22または段落23記載の方法。
27.細胞外ドメインがSEQ ID NO: 1、2、または3の1つである、段落23または段落24記載の方法。
28.prom-1ペプチドが、全長のprom-1の少なくとも6連続アミノ酸残基を含み、かつ全長のプロミニン-1を含まない、段落22〜25のいずれか1つに記載の方法。
29.prom-1ペプチドが対応する野生型ヒトプロミニン-1配列と比較して保存的アミノ酸置換を含む、段落22〜26のいずれか1つに記載の方法。
30.prom-1ペプチドがSEQ ID NO: 8のペプチドの保存的アミノ酸置換変種である、段落22〜27のいずれか1つに記載の方法。
31.prom-1ペプチドが環状ペプチドを含む、段落22〜28のいずれか1つに記載の方法。
32.prom-1ペプチドが異種融合ポリペプチドを含む、段落22〜29のいずれか1つに記載の方法。
33.prom-1ペプチドがポリマーにコンジュゲートされている、段落22〜30のいずれか1つに記載の方法。
34.prom-1ペプチドがSEQ ID NO: 8のペプチドから本質的になる、段落22〜31のいずれか1つに記載の方法。
35.prom-1ペプチドがSEQ ID NO: 8からなる、段落22〜32のいずれか1つに記載の方法。
36.接触させる段階が、神経保護を必要とする個体に、prom-1ペプチドと薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物を投与する段階を含む、段落22〜33のいずれか1つに記載の方法。
37.接触させる段階が、接触させる段階の非存在下で起こるニューロン細胞死と比較してニューロン細胞死を予防するかまたは遅らせる、段落22〜34のいずれか1つに記載の方法。
38.接触させる段階が神経再生を促進する、段落22〜35のいずれか1つに記載の方法。
39.XまたはZが各々独立して0〜20個のアミノ酸である、式
Figure 0006063626
を含むプロミニン-1の環状ペプチド。
40.
Figure 0006063626
からなる群より選択される配列を含む、段落39記載の環状ペプチド。
41.内皮細胞に対するVEGFの結合を増強する、段落37または38記載の環状ペプチド。
42.細胞増殖を増強する、段落37〜39のいずれか1つに記載の環状ペプチド。
43.内皮細胞の増殖を増強する、段落37〜40のいずれか1つに記載の環状ペプチド。
44.血管新生促進因子の存在下で血管新生を増強する、段落37〜41のいずれか1つに記載の環状ペプチド。
45.血管新生促進因子の存在下で細胞遊走を増強する、段落37〜42のいずれか1つに記載の環状ペプチド。
46.創傷治癒を促進する、段落37〜43のいずれか1つに記載の環状ペプチド。
47.プロミニン-1がヒトプロミニン-1である、段落37〜43のいずれか1つに記載の環状ペプチド。
48.ニューロンの生長を刺激する、請求項1〜19または40〜47のいずれか一項記載の単離prom-1ペプチド。
49.ニューロン生長刺激活性を有する、プロミニン-1の単離prom-1ペプチド。
50.請求項1〜19または40〜49のいずれか一項記載のペプチドをニューロンに接触させる段階を含む、ニューロンの生長を刺激するための方法。
本発明は、制限的であると解釈されるべきではない以下の実施例によってさらに説明される。
実施例1:プロミニン-1配列に由来する7つの12量体ペプチドはVEGFに結合する。
最少エピトープ割付は、MIT Biopolymers Facilityで調製されたABIMEDスポットペプチドアレイの免疫染色に基づいた(図2)。各々のスポットは、12量体の接触ペプチドを含み、関心対象抗原における残基数に応じて、3残基のオフセットを用いて全抗原配列をカバーした。3残基オフセットに関して、スポット1は配列1〜12を含有し、スポット2は配列3〜15を含有し、スポット3は配列6〜18を含有する等である。セルロース結合ペプチドメンブレンをT-TBSブロッキング緩衝液(ブロッキング試薬の存在下でTBS、pH 8.0/0.05%Tween 20:Roche Diagnostics化学発光検出キット1500694)と共にプレインキュベートした。次に、ペプチドアレイをhVEGFと共に最終濃度1.0μg/mlでT-TBSブロッキング緩衝液において2時間インキュベートした。T-TBSによって10分間3回洗浄した後、抗hVEGF抗体(Quantum Biotechnologies, Montreal)をT-TBSブロッキング緩衝液において最終濃度1μg/mlで1時間添加した後、T-TBSによって10分間3回洗浄した。最後に、アレイを、T-TBSブロッキング緩衝液において濃度1μg/mlで適用される二次抗マウスIgGペルオキシダーゼ標識抗体(カタログ番号A5906、Sigma)と共に1時間インキュベートして、その後T-TBSによって10分間3回洗浄した。ペプチド結合VEGF抗体複合体の分析は、化学発光基質を用いて行われた。ペプチドに対する検出抗体の結合は、抗マウスIgGペルオキシダーゼ標識抗体単独との対照インキュベーションによって除外された(データは示していない)。非常に反応性のペプチド7個を商業的に合成して(Genescript Co., NJ)(表1)、ELISAおよびドットブロットによってVEGF-Aに対する結合に関して確認した(データは示していない)。
実施例2.プロミニンの細胞外ドメインに由来するペプチド#237は内皮細胞およびB16-F10黒色腫細胞に対するVEGF結合を劇的に増加させる。
内皮細胞および黒色腫細胞に対するVEGF結合に及ぼすペプチドの効果を特徴付けするために、細胞を、I125-VEGF(12 ng/ml)の存在下で様々なペプチド(720μg/ml)と共にインキュベートした(図3)。ペプチド#237は内皮細胞のみならず黒色腫細胞に対するVEGF結合を増加させた。細胞10000個を、20 mM Hepes、0.1%BSA、およびI125-VEGF(12 ng/ml)を含有する結合緩衝液において氷中で3時間インキュベートした。3回洗浄後、放射活性レベルをγカウンターによって決定した。ペプチド#237を双方の種類の細胞に添加したところ、I125-VEGF結合の25倍より大きい増加が観察された。他のペプチドは全て、VEGF結合に対して効果を有しなかった。
実施例3.ペプチド#237におけるVEGF結合に関して必須のアミノ酸の決定。
#237ペプチド内でどれが細胞に対するVEGF結合を加速するために非常に重要な必須アミノ酸であるかを特徴付けするために、より短い3つのペプチドを表2において提示されるように設計した。細胞を、図3の記述と同じようにより小さいペプチドによって処置した。細胞10000個を、20 mM Hepes、0.1%BSA、I125-VEGF(12 ng/ml)、および各ペプチド100μg/mlを含有する結合緩衝液において氷中で3時間インキュベートした。結合緩衝液によって3回洗浄後、放射活性レベルをγカウンターを用いて決定した。第一の6量体ペプチド(#237A)は細胞に対するVEGF結合を増強するために非常に重要ではないが、第二の6量体(#237B)は、内皮細胞に対するVEGF結合の部分的増加を示し、黒色腫細胞に対してよりよい結合を示すと結論される。加えて、ペプチドのC末端に位置するアミノ酸バリンおよびアラニンは、VEGF結合プロセスにおいて非常に重要であることが見いだされた。#237Cによって提示されるように、これらのアミノ酸を当初のペプチドから除去すると、VEGF結合は本質的に消失した。
(表2)#237ペプチド断片
Figure 0006063626
加えて、ペプチド#237に由来する一連のペプチドを設計して、内皮細胞に対するVEGF結合を増強するためにペプチドの配列依存性を試験した。ペプチドをN末端またはC末端のいずれかでアミノ酸を連続的に欠失させて、プロミニン-1配列における次のアミノ酸を反対側の末端に付加することによって合成した。本質的に、ペプチド配列は、プロミニン-1配列における1つのアミノ酸によっていずれかの方向に一度にシフトする。これらのペプチドの各々を内皮細胞に対するVEGF結合に関して試験して、様々な希釈のペプチド#237と比較した。結果を本明細書において図9に示す。
実施例4.プロミニン-1の細胞外断片は内皮および黒色腫細胞増殖に影響を及ぼす。
細胞増殖を、細胞ミトコンドリアデヒドロゲナーゼによるテトラゾリウム塩WST-1のフォルマザンへの切断に基づくアッセイを用いて査定した。微小血管内皮細胞(図5A)またはF10-B16黒色腫細胞(図5B)50,000個のアリコートを、10%ウシ胎児血清を含有するEGM培地中で96ウェルプレートの各ウェルに添加した。細胞が96ウェルトレイに付着した後、細胞を洗浄して、高血清培地を枯渇培地に終夜交換した。ウェルを全てリン酸緩衝生理食塩液によって洗浄した。陰性対照ウェルに枯渇培地を添加して、陽性対照ウェルには、完全な培地を添加した。細胞を異なるペプチド(100μg/ml)によって処置して、細胞増殖に及ぼすその効果を決定した。細胞を各々のペプチドの存在下で24時間インキュベートさせた。この時点で、細胞増殖を測定するためにWST-1試薬を4時間適用した。プレートをOD=450 nmで読み取って、データを陰性対照増殖の百分率として表し、p<0.05は有意であった。生存細胞数の拡大によって、ウェルにおけるミトコンドリアデヒドロゲナーゼの全体的な活性の増加が起こる。図5において示されるように、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)およびB16-F10黒色腫細胞の増殖は、プロミニン-1の細胞断片と共にインキュベートすることによって有意に増加した(p<0.05)。
実施例5.角膜マイクロポケットアッセイの際にVEGFペレットに添加した場合、プロミニン断片(#237)はインビボで血管新生を劇的に増加させる。
血管新生プロセスに及ぼすペプチド#237のモジュレート効果を評価するために、角膜マイクロポケットアッセイを行った。いずれも無担体の組み換え型ヒトVEGF 165(R&D Systems, Minneapolis, MN)160 ngを含有する2種類のペレットを作成し、その1つは#237ペプチド1.3μgを含有する。ペレットを、麻酔したマウス(n=4)の2群の角膜に作成したマイクロポケットの中に埋め込んだ。標準化された徐放性ペレットを用いることにより、予測可能な血管新生応答が5日間のあいだに生成され、これを定量する。新生血管形成領域を血管領域として計算して、これは、辺縁部から測定された血管の長さと、角膜周囲を30度を1として分割した値(clock hours around the cornea)との積として、以下の等式を用いて計算される:血管面積(mm2)=[30度分割の値(clock hours)×血管の長さ(mm)×0.2 mm]。処置された眼(ペプチド#237を有するペレット)対対照(ペプチド#237を有しないペレット)において、血管密度の53%の増加が観察された(図6)。インビボ実験は、ペプチドが細胞増殖を刺激して、ゆえに血管新生を誘導するために良好な候補物質であることを確認する。
実施例6.プロミニン断片(#237)は、Matrigelアッセイにおいて試験した場合VEGFとの併用の際、インビボでの内皮細胞遊走を増加させる。
8週齢のC57blマウス2群を麻酔して、VEGF 500 ng(0.5μg/ml)を追加した氷冷MatrigelまたはVEGFとプロミニン断片#237(180 μg)とを含有するMatrigelのいずれか0.5 mlを皮下注射した。6日目に、動物を屠殺して、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)分析を用いてmatrigel放出細胞を決定した。内皮細胞を造血細胞と区別するために、細胞を、内皮細胞および造血細胞に対してそれぞれ特異的である2つの抗体、CD31-PEおよびCD45-APCと共にインキュベートした。左上のパネルは、血管を構成する細胞である内皮細胞数を反映する。図7において示されるように、#237ペプチド180μgをVEGFに添加すると、6倍多くの内皮細胞(0.42%対0.07%)(左上のパネル)が観察された。この観察は、#237がVEGFによって誘導された内皮細胞遊走に対して相乗効果を有する強力な血管新生因子であることを確認する。
実施例7.プロミニン断片(#237)は創傷治癒モデルにおいて新生血管形成を増加させる。
傷害を受けた組織への微小血管の内植は、正常な治癒プロセスの必須の成分である。実際に、創傷の治療はしばしば、新生血管形成を促進することをねらいとしている。モデルは、ヌードマウスの耳の背側面に創傷を与えることからなる。環状穿孔器を用いてヌードマウスの耳に標準化された創傷を作成した。一定の直径の創傷が穿孔器のサイズによって与えられ(2.25 mm)、耳をmatrigel単独(図8A)またはペプチド#237(180μg)を含有するmatrigel(図8B)によって5日間毎日処置した。Matrigel溶液は、新生血管形成に対してほとんど効果を有しなかったが、対照的にペプチド#237を含有するmatrigelは耳創傷部位周囲の新生血管形成を有意に増加させた(×4)。創傷の新生血管形成を評価するために、マウスを麻酔した直後に、マウスに内皮細胞を特異的に標識するデキストラン-FITCを接種した。耳/創傷を観察したところ、図8に示されるように、処置マウス(#237ペプチド)における環状の創傷周囲の血管新生は無処置マウスより大きかった。
実施例8.プロミニン-1の環状ペプチド
本明細書において記述される方法および組成物と共に用いられることが企図されるプロミニン-1の例示的な環状ペプチドを、本明細書において提供する。ジスルフィド架橋形成を許容するためにシステイン残基の前にアミノ酸GGを付加する。
ペプチド#237の環状ペプチドに関する例示的な配列には、
Figure 0006063626
が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
たとえばペプチド#237に関するさらなる環状ペプチドを、以下の例示的な構造列を用いて設計することができる。これらの構造列は、2つのシステインのあいだのジスルフィド結合の形成によってペプチドを環状ペプチドに変換させる。ペプチド#237の環状ペプチドを設計するための例示的な構造列を以下に示す:
Figure 0006063626
式中、XまたはZは、スペーサーとして用いられる各々独立したアミノ酸0〜20個である。先に示されたペプチド237の特異的な例(SEQ ID NO: 15;SEQ ID NO: 16;SEQ ID NO: 17)において、これらのスペーサーアミノ酸はGである。
237に基づかない配列に関して、2つのシステインのあいだのジスルフィド結合の形成によって環状ペプチドにすることができる他の活性な直線状のペプチド配列に基づく構造列の例を以下に示す:
CX(活性な直線状ペプチド配列)ZC、
A CX(活性な直線状ペプチド配列)ZC、
CX(活性な直線状ペプチド配列)ZCA、
式中、XまたはZは各々、スペーサーとして用いられる独立したアミノ酸0〜20個である。
実施例9:ペプチド#237は創傷治癒を促進する
血管新生の増加に加えて、ペプチド#237はまた創傷治癒を加速する。創傷治癒に及ぼすペプチドの効果を評価するために、マウス5匹の耳に、1 mmの創傷を作成する環状穿孔器を用いて創傷を与えた。創傷を受けたマウスの耳をmatrigelまたは#237ペプチドを含有するmatrigelのいずれかによって14日間毎日処置した。図10において示されるように、処置したマウスの創傷領域は、14日目で無処置マウスより有意に小さく、#237がマウスモデルにおいて創傷治癒を促進することを示している。
実施例10:ペプチド#237は神経突起の伸展を促進する
一次皮質ニューロン細胞(2×104個/ウェル)をポリ-L-リジンコーティング24ウェル皿に平板培養して、スクランブル#237またはペプチド#237(0.25μg/μL)のいずれかによって処置した。細胞を2日間培養した。
神経突起の伸展は、同数の細胞および同じ領域から伸長した神経突起の数を計数することによって評価された。図11において示されるように、ペプチド#237はスクランブルペプチドによって処置した細胞と比較して分岐したより長い神経突起を劇的に誘導する。理論に拘束されたくはないが、これらのデータは、ペプチド#237がニューロンの生長および再生を刺激することを示している。
ペプチド237は、最終分化皮質ニューロンにおける神経突起の伸展を増加させる。これらの分裂後細胞における神経突起の分枝数を、光学顕微鏡を用いて、およそ同数の細胞を含有する所定の視野における突起数を手動で計数することによって推定した。神経突起伸展の定量はまた、ニューロン特異的マーカー(すなわち、ニューロフィラメント)による蛍光染色の後に自動のコンピューター分析(データは示していない)によって行われた(データは示していない)。
(表1)
Figure 0006063626
(1)=黒色腫VEGF結合アッセイにおける結合に関するデータ。内皮VEGF結合アッセイに関するデータはない。
(2)=内皮および黒色腫VEGF結合アッセイにおける双方の結合に関するデータ
+/+=黒色腫および内皮細胞増殖の双方に関するデータ
+=黒色腫増殖のみに関するデータ
配列表
Figure 0006063626
Figure 0006063626

Claims (13)

  1. (i)LCGNSFSGGQPS (SEQ. ID. NO. 4); PNIIPVLDEIKS (SEQ. ID. No. 5); LCGVCGYDRHAT (SEQ. ID. No. 6); DRVQRQTTTVVA (SEQ. ID. No. 8)およびCSFAYDLEAKANSLPPGNLRN (SEQ. ID. No.9)からなる群より選択されるアミノ酸配列;または(ii)DRVQRQTTTVVA (SEQ. ID. No. 8)のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、長さ50アミノ酸以下のprom-1の断片からなり内皮細胞および/または黒色腫細胞の増殖を促進する、単離prom-1ペプチド。
  2. 環状ペプチドである、請求項1に記載の単離prom-1ペプチド。
  3. CX(DRVQRQTTTVVA)ZC (SEQ ID NO: 37)ACX(DRVQRQTTTVVA)ZC (SEQ ID NO: 38)、CX(活性な直線状ペプチド配列)ZC、ACX(活性な直線状ペプチド配列)ZCまたはCX(活性な直線状ペプチド配列)ZCA、
    式中、XおよびZは、各々独立して0〜20個のアミノ酸であり、活性な直線状ペプチド配列は、LCGNSFSGGQPS (SEQ. ID. NO. 4)、PNIIPVLDEIKS (SEQ. ID. No. 5)、LCGVCGYDRHAT (SEQ. ID. No. 6)およびCSFAYDLEAKANSLPPGNLRN (SEQ. ID. No.9)からなる群より選択される、
    を含む、内皮細胞および/または黒色腫細胞の増殖を促進する環状ペプチド。
  4. Figure 0006063626
    からなる群より選択される、内皮細胞および/または黒色腫細胞の増殖を促進する環状ペプチド。
  5. ポリマーにコンジュゲートされている、請求項1に記載の単離prom-1ペプチド。
  6. 異種ペプチドまたはポリペプチドに融合された、全長のプロミニン-1ではない、請求項1に記載のペプチドを含み、内皮細胞および/または黒色腫細胞の増殖を促進する融合タンパク質。
  7. 薬学的に許容される担体と請求項1〜5のいずれか一項に記載のペプチドまたは請求項に記載の融合タンパク質とを含む組成物。
  8. 組織に接触させて、それを必要とする組織における血管新生を促進するための組成物であって、ペプチドがSEQ ID NO: 8のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項に記載の組成物。
  9. 創傷治癒促進、ニューロン生長、保護もしくは修復、組織修復、生殖能促進、心肥大、勃起機能障害の処置、血圧の調整、疾患もしくは外傷後の血管再生、組織移植片、または組織工学構築物の状況において適用される、請求項に記載の組成物。
  10. 創傷に接触させて、創傷治癒を促進する組成物であって、それによって創傷治癒がペプチドまたは融合タンパク質の非存在下での創傷治癒と比較して増強される、請求項に記載の組成物。
  11. ニューロン細胞に接触させて、神経保護を必要とする個体に神経保護または神経再生を促進するための組成物であって、接触が、接触の非存在下で起こるニューロン細胞死と比較してニューロン細胞死を予防するかもしくは遅らせるか、またはニューロン生長を刺激することにより神経再生を促進する、請求項に記載の組成物。
  12. プチドがSEQ ID NO: 8のアミノ酸配列を含む、請求項7〜11のいずれか一項に記載の組成物。
  13. ペプチドがSEQ ID NO: 8のアミノ酸配列からなる、請求項7〜11のいずれか一項に記載の組成物。
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