JP6060296B1 - 定電流制御によるスイッチドリラクタンスモータ装置 - Google Patents
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Abstract
Description
バッテリー又はキャパシタから前記モータに定電流を供給する定電流電源と、
各種検出信号や指令信号に基づいて所定のタイミングで前記定電流電源から供給される電流を前記各相のコイルに順次に供給、遮断して転流動作させることによりモータ駆動及び回生させる転流回路と、を備え、
前記転流回路は、前記各相のコイルに電流を供給、遮断するスイッチと、前記各相のコイルの負極側と前記スイッチとの接続点から前記定電流電源の正極端子側に向けて接続された回収ダイオードと、を備え、
前記各相のコイルは、前記定電流電源の正極側端子と負極側端子との間に前記転流回路のスイッチを介して接続され、前記スイッチは前記コイルの負極側にのみ備えられ、
前記転流回路は、モータ駆動時及び回生時に、前記コイルの残留磁気エネルギーを、前記回収ダイオードを通して次に励磁されるコイルに重畳して回収再利用し、かつ、回生時には前記コイルへの供給電流及び速度起電力により増幅された蓄積磁気エネルギーをバッテリー又はキャパシタに充電するように転流動作させる、ことを特徴とする定電流制御によるスイッチドリラクタンスモータ装置である。
本発明の一実施形態に係る、定電流制御によるスイッチドリタクタンスモータ(以下、SRモータという)装置について図面を参照して説明する。図1はSRモータ装置100の回路構成を示す。SRモータ装置100は、定電流電源10と、定電流電源10から電力が供給される転流回路20と、SRモータ30(以下、モータという)とを備える。定電流電源10は、定電流制御系を内蔵し、外部から与えられる指令に応じた値の直流定電流を出力する。本実施形態では、直流電源としてのリチウムイオン電池等のバッテリー10B(又はキャパシタ)が定電流電源10に並列に設けられている。
転流制御回路61は、回転子33の固定子1に対する相対的な角度位置を表す角度位置情報(モータ30に設けられた角度位置検出器により検出される)に基づいて、転流回路20内の各相に対応するスイッチSA、SB、SCをオン、オフさせるための動作信号を出力する。また、転流制御回路61は、駆動指令に代えて回生・制動指令が入力されると、前記動作信号の出力タイミングを、駆動時のタイミングから、回転子33が電気角120度(3相の場合)に対応する角度を回転する時間だけシフトしたタイミングに切り換える。この電気角は、励磁コイルの相数等に応じて適宜設定される。
図2は、一実施形態に係るモータ30の構成を示す。モータ30は、固定子31と回転子33とを備え、固定子31は、積層鋼鈑にて形成され、回転子33を囲むように設けられている。回転子33は、積層鋼鈑にて形成され、不図示の回転軸に固定され、回転軸は回転自在に軸受に支持されている。回転子33が固定子31の外周に対向して設けられた構成であってもよい。回転軸の回転角度位置は、不図示の角度位置検出器により検出される。固定子31は、円周上に等角度間隔にて配列された6n個(nは2以上の整数、本例ではn=2)の磁極311〜322を備えている。それら磁極311〜322の各々にはコイルが巻回されている。コイルは図示を省いている。回転子33は、円周上に等間隔に並ぶ2n個(nは2以上の整数、本例ではn=2)の凸極331〜334を備えている。固定子31の磁極311〜322の先端部と回転子33の凸極331〜334の先端との間には所定の磁気ギャップが形成されている。
次に、図5(a)(b)を参照して、SRモータ装置100のモータ駆動時の動作と電流の流れを説明する。モータ駆動時は、固定子31のA相の磁極(1A,2A,3A,4A)、B相の磁極(1B,2B,3B,4B)、C相の磁極(1C,2C,3C,4C)の各々に巻回されたコイル32(各コイル32は各相において直列接続)に定電流制御により順次、適宜のタイミングで通電することにより、A相→B相→C相(1相→2相→3相)の回転磁界が形成され、回転子33は順次、吸引され回転する。詳細には、代表してA相励磁について説明すると、図5(a)に「励磁開始」として指し示す位置は、回転子凸極(1,2,3,4)の回転方向先端が、固定子磁極(1A−4A)の上流側端点に近接した位置である。この時は、C相コイルの励磁状態からA相側への転流が完了した状態であり、スイッチSAはオン、スイッチSB,SCはオフである。次に、回転子凸極の回転方向先端が、固定子の同磁極の下流側端点に近接した位置に来たときは、B相側への転流を開始し、回転子凸極の回転方向先端が、固定子の次の磁極の上流側端点に近接した位置に来たときは、B相側への転流が完了した状態であり、スイッチSBはオン、スイッチSC,SAはオフである。以下、同様である。A相コイルからB相コイルへの転流の切換により、固定子31の1極ピッチ分だけ回転子33は矢印方向に回転する。なお、磁極1Aのコイル32の他は、図示を省いている。
次に、図6(a)(b)を参照して、SRモータ装置100のモータ回生時の動作と電流の流れを説明する。回生(発電)時は、回転子33は外力で回っている。回転子33の凸極(1,2,3,4)は、固定子31の磁極(1A−4A,1B−4B,1C−4C)のコイル32への定電流制御による通電励磁により回転方向と逆に引っ張られる。代表してA相励磁時に、図6(a)に「励磁開始」として指し示すように、回転子33の凸極(1,2,3,4)の回転方向先端が、固定子31の磁極(1A−4A)の下流側端点に近接した位置(励磁開始位置)に来た時に、スイッチSAをオンさせると、C相コイルの残留磁気エネルギーはダイオードD3に流れ、さらにA相コイルに流れる。回生(発電)時の励磁は、駆動時の電気角を120度位相シフトさせたものとする。定電流制御では電流の流れる方向が一定のため、A相励磁時は、供給励磁電流と共に速度起電力により増幅された蓄積磁気エネルギーがA相コイルを通り、定電流電源10内の回生スイッチKS、ダイオードD4を通って、バッテリー10Bに充電される。他の相の励磁時についても同様である。このような動作が得られるのは、SRモータ装置100が、転流回路10による回生動作時には発電機として動作し、残留磁気エネルギーを増幅していることに起因する。
モータ30が駆動している状態では、モータ30には正の起電力Eaが発生しており、Ea+×Iの電力(ワット)と、A相又はB相又はC相の励磁コイル(抵抗R)を通る電流IによってI2×Rの電力(ワット)が定電流電源10から供給される。この場合、Ea+×Iの電力(ワット)が機械的な出力となり、I2Rの電力(ワット)が損失分となる。モータ30の回生制動時には、モータ30において負の起電力Eaが発生し、機械的動力が、Ea−×Iの電力(ワット)及びI2Rの電力に変換され、I2Rの電力(ワット)が損失分となる。Ea−×Iの電力(ワット)が定電流電源10に回収される(回生)。モータ30が駆動停止状態で、慣性運転状態にあるときには、起電力Eaの発生はなく、A相又はB相又はC相の励磁コイルでの損失分であるI2Rの電力(ワット)、すなわち、コイルの内部損失分の電流が、電流センサ7で検出したコイル電流に応じて転流回路20の制御によって定電流電源10から供給される。
上述した本実施形態によるSRモータ装置100は、定電流制御でのローサイド切り式であるので、コイル電流を制御するスイッチがコイルの正極側及び負極側に設けられた両切り式に較べて、コイルのインダクタンスによる電流が流せない現象を回避できる。そのため、転流時のコイルの残留磁気エネルギーを次の相の励磁コイルに回収再利用でき、増幅作用により大きな駆動電流が得られ、電源からの供給電流は少なくて済み、電力の回路損失を少なくして効率改善が図れる。ちなみに、両切り式の構成では、コイルのインダクタンスによる立ち上がりに時間がかかり、電流を流せない現象が生じる。
(1)定電流であること。なお、定電圧では転流毎に電圧が上昇していくので、スイッチ素子の耐圧が問題になる。
(2)定電圧方式のハーフブリッジは、1相毎に(直列関係の)スイッチが2つあるのに対して、本発明の定電流方式のローサイド切り式では、1相毎にスイッチが1つであるので、大きい電流レベルに保つことができる。
(3)モータ駆動時に定電流が固定子コイルに流れると、固定子に回転子が吸引され、回転子が固定子を通過する度に、順次、他の相に励磁電流が切り換る。転流毎に、定電流方形波がコイルに印加され、出力電流が上昇してゆき、大きい電流レベルに保たれる。このことが、急駿なパルス電流を強制的にコイルに流すことなく、転流動作させることで自動的に達成できる。
1,2,3,4 回転子の凸極
1A−4A 固定子のA相磁極
1B−4B 固定子のB相磁極
1C−4C 固定子のC相磁極
7 電流センサ
10 定電流電源
10B バッテリー
20 転流回路
30 モータ
31 固定子
32 コイル(A相、B相、C相)
33 回転子
61 転流制御回路
SA,SB,SC スイッチ
KS 回生スイッチ
D1〜D3 回収ダイオード
D4 充電用ダイオード
Claims (4)
- 磁性体から成る回転子、及び前記回転子に周方向に対向して設けられた励磁用の各相のコイルが巻かれた固定子を有したモータと、
バッテリー又はキャパシタから前記モータに定電流を供給する定電流電源と、
各種検出信号や指令信号に基づいて所定のタイミングで前記定電流電源から供給される電流を前記各相のコイルに順次に供給、遮断して転流動作させることによりモータ駆動及び回生させる転流回路と、を備え、
前記転流回路は、前記各相のコイルに電流を供給、遮断するスイッチと、前記各相のコイルの負極側と前記スイッチとの接続点から前記定電流電源の正極端子側に向けて接続された回収ダイオードと、を備え、
前記各相のコイルは、前記定電流電源の正極側端子と負極側端子との間に前記転流回路のスイッチを介して接続され、前記スイッチは前記コイルの負極側にのみ備えられ、
前記転流回路は、モータ駆動時及び回生時に、前記コイルの残留磁気エネルギーを、前記回収ダイオードを通して次に励磁されるコイルに重畳して回収再利用し、かつ、回生時には前記コイルへの供給電流及び速度起電力により増幅された蓄積磁気エネルギーをバッテリー又はキャパシタに充電するように転流動作させる、ことを特徴とする定電流制御によるスイッチドリラクタンスモータ装置。 - 前記定電流電源は、回生時に前記コイルへの供給電流及び残留磁気エネルギーによる電流をバッテリー又はキャパシタに充電する方向に流す充電用ダイオードを備える、請求項1に記載の定電流制御によるスイッチドリラクタンスモータ装置。
- 前記コイルに流れる電流を検出する電流センサをさらに備え、
前記転流回路は、少なくともモータ駆動停止時に、前記電流センサにより検出したコイル電流に応じて前記定電流電源より前記コイルの内部損失分の電流を流すことにより慣性運転する、請求項2に記載の定電流制御によるスイッチドリラクタンスモータ装置。 - 前記モータは、第1相、第2相、及び第3相から成る3相構成であり、
前記転流回路は、前記回転子の電気角120度幅で前記各相のコイルに順次供給されるように前記スイッチを制御し、駆動時と回生時とで直流定電流方形波の電気角を120度シフトさせ、さらに、駆動時と回生時のいずれにおいても前記スイッチの開閉動作を第1相、第2相、第3相の順とする、請求項3に記載の定電流制御によるスイッチドリラクタンスモータ装置。
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