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JP6060033B2 - 乗用車用空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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本発明は、乗用車用空気入りラジアルタイヤに関する。
西暦1960年頃までの車両は、車両の重量が軽く、車両に要求される巡航速度も遅かったため、タイヤへの負担が軽く、タイヤの断面幅が狭いバイアスタイヤが用いられていたが、現在、車両の重量化、高速化に伴いタイヤのラジアル化、幅広化が進められている(例えば、特許文献1)。
しかし、タイヤの幅広化は、車両スペースを圧迫し、居住性を低下させる。また、空気抵抗が増大するため、燃費が悪くなるという問題がある。
近年、環境問題への関心の高まりにより、低燃費性への要求が厳しくなってきている。斯かる低燃費性は、転がり抵抗(RR)によって評価することができ、低転がり抵抗であるほど、低燃費となることが知られている。また、タイヤにおける各種部材を構成する加硫ゴムの損失正接tanδの大小がこれらの指標となることが知られている。
ここで、低燃費性を向上させるためにタイヤの転がり抵抗値を低減するには、タイヤを大径化、幅広化することが有効であることが知られているが、タイヤを大径化、幅広化すると、タイヤ重量および空気抵抗が増大するため、車両抵抗が増大し、また、タイヤの負荷能力も過剰となってしまうという問題がある。
この問題に対して、本出願人は、タイヤの断面幅(SW)とタイヤの外径(OD)とが、特定の関係を満たす、幅狭(狭いタイヤ幅)、大径(大きなタイヤ外径)の乗用車用空気入りラジアルタイヤに係る技術を提案している(特許文献2)。
特開平7−40706号公報 国際公開第2012/176476号
斯かる幅狭、大径のラジアルタイヤにおいては、タイヤの外径に占めるビードフィラーの高さが在来のタイヤに比べて低くなるため、ビードコアまわりに配されるゴムチェーファーに比較的大きな歪が生じ易くなり、ここでのヒステリシスロスの増加をまねき、ひいてはRRを増加することになる。したがって、この種のタイヤにおいて、RRを低くするには、ヒステリシスロスの低いゴムチェーファーを配置する必要がある。
さらに、ゴムチェーファーでの歪が大きくなることに加えて、タイヤの使用内圧が高いためにゴムチェーファーがリム側に強く押し付けられる結果、早期に摩耗に至ることが問題となる。
このため、斯かる幅狭、大径のラジアルタイヤにおいて、低RR性と、ゴムチェーファーの耐摩耗性とを両立することが重要となる。
本発明は、斯かる幅狭、大径のラジアルタイヤにおいて、低RR性と、ゴムチェーファーの耐摩耗性とを両立するための方途について提案することを目的とする。
本発明に係る乗用車用空気入りラジアルタイヤは、一対のビード部間でトロイダル状に跨るラジアル配列コードのカーカスプライからなるカーカスと、前記ビード部の少なくともリムとの接触部分に配するゴムチェーファーとを備えた、乗用車用空気入りラジアルタイヤであって、前記タイヤをリムに組み込み、内圧を250kPa以上とした際に、前記タイヤの断面幅SWが165(mm)未満である場合は、前記タイヤの断面幅SWと外径OD(mm)との比SW/ODが0.26以下であり、前記タイヤの断面幅SWが165(mm)以上である場合は、前記タイヤの断面幅SWおよび外径OD(mm)が、関係式、2.135×SW+282.3≦ODを満たし、前記ゴムチェーファーの100%モジュラスが、2.0MPa以上であり、粘弾性特性が、6.0MPa≦動的貯蔵弾性率E’、かつ、損失正接tanδ≦0.25であることを特徴とする。
ゴムチェーファーが、上記特定の特性を有することにより、幅狭、大径のラジアルタイヤにおいて、低RR性と、ゴムチェーファーの耐摩耗性とを両立させることができる。
本発明において、タイヤの断面幅SWおよび外径ODは、それぞれ、タイヤをリムに装着し、内圧を250kPa以上とした場合におけるJIS D 4202−1994に規定の断面幅、外径をいう。
本発明において、100%モジュラスとは、JIS 3号ダンベル型試験片を用い、JIS K 6251:2004に従って測定した100%伸長時の引張応力(MPa)をいう。
本発明において、動的貯蔵弾性率E’(MPa)および損失正接tanδ(損失弾性率と貯蔵弾性率との比)とは、加硫ゴムに関し、厚さ:2mm、幅:5mm、長さ:20mmの試験片に初期荷重:160gを与え、初期歪み:1%、振動数50Hz、温度30℃の条件で測定した値をいう。
本発明において、「サイドウォール部を形成するゴム組成物」は、別段の記載のない限り、「ゴムチェーファーを形成するゴム組成物」を含まないものを意味する。
本明細書において、「phr」は、ゴム成分100質量部に対する各種成分の配合量(質量部)をいう。
本発明に係る乗用車用空気入りラジアルタイヤは、前記粘弾性特性が、9.0MPa≦E’、かつ、tanδ≦0.20であることが好ましい。
本発明に係る乗用車用空気入りラジアルタイヤは、前記ゴムチェーファーが、タイヤ表面から厚み方向に1〜20%に二層化しており、前記二層化したゴムチェーファーにおいて、厚み方向外側のゴムの粘弾性特性が、15.0MPa≦E’、かつ、0.20≦tanδ≦0.30であり、厚み方向内側のゴムの粘弾性特性が、6.0MPa≦E’≦16.0MPa、かつ、tanδ≦0.20であることが好ましい。
本発明によれば、幅狭、大径のラジアルタイヤにおいて、低RR性と、ゴムチェーファーの耐摩耗性とを両立させた乗用車用空気入りラジアルタイヤを提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る乗用車用空気入りラジアルタイヤのタイヤ幅方向左半断面を示す模式図である。
以下に、図面を参照しながら本発明に係る乗用車用空気入りラジアルタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある)を詳細に例示説明する。なお、以下の記載および図面は、本発明に係るタイヤを説明するための一例であり、本発明は記載および図示された形態に何ら限定されない。
本発明に係るタイヤは、例えば、図1のタイヤ幅方向左断面図に示すように、一対のビード部3間でトロイダル状に跨るラジアル配列コードのカーカスプライからなるカーカス4と、前記ビード部3の少なくともリムとの接触部分に配するゴムチェーファー6とを備えている。
より具体的には、トレッド部1と、トレッド部1の側部に連続して半径方向内側に延びる一対のサイドウォール部2と、各サイドウォール部2の半径方向の内端に連続するビード部3とを備えるとともに、一方のビード部3から他方のビード部までトロイダル状に延びて上記各部を補強する1枚以上のカーカスプライからなるカーカス4を備えている。ビード部3にはビードコア5が埋設されている。そしてさらに、上記ビード部3の補強部材として、ビード部3の少なくともリムとの接触部分に配されたゴムチェーファー6を備えている。また、カーカス4のクラウン部に1枚以上のベルトプライからなるベルト7を備えている。また、カーカス4のクラウン部のタイヤ半径方向外側にはトレッドゴム8が設けられている。ゴムチェーファー6は、ビード部3のリムとの接触部分を補強し得るよう、ビードコア5のタイヤ幅方向内側からサイドウォール部2へ向けて延びるよう配置されるのが望ましい。
本発明のタイヤは、当該タイヤをリムに組み込み、内圧を250kPa以上とした際に、前記タイヤの断面幅SWが165(mm)未満である場合は、前記タイヤの断面幅SWと外径OD(mm)との比SW/ODが0.26以下であり、前記タイヤの断面幅SWが165(mm)以上である場合は、前記タイヤの断面幅SWおよび外径OD(mm)が、関係式、2.135×SW+282.3≦ODを満たす。斯かる断面幅SWと外径ODとの関係であることにより、タイヤの転がり抵抗値を低減し、かつ、タイヤを軽量化することができる。
本発明において、タイヤの内圧は、250kPa以上であることが好ましく、250〜350kPaであることがより好ましい。
本発明において、タイヤの転がり抵抗値を低減し、かつ、タイヤを軽量化する観点から、タイヤの内圧が、250kPa以上の場合に、タイヤの断面幅SWと外径ODは、−0.0187×SW+9.15×SW−380≦ODであることが好ましい。
本発明に係るタイヤのゴムチェーファーおよびサイドウォール部は、それぞれ、従来公知のゴム成分に加えて、任意に充填剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、プロセス油、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸等を含むゴム組成物を、常法に従い混練、加硫することによって形成することができる。
混練の条件としては、特に制限はなく、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー等を用いて、配合処方、混練装置への投入体積等に応じて、適宜、ローターの回転速度、ラム圧、混練温度、混練時間を調節すればよい。
また、ゴム組成物を加硫する際の条件としては、特に制限はなく、加硫温度は、例えば、100〜190℃とすることができる。加硫時間は、例えば、5〜80分とすることができる。
<ゴム成分>
ゴム成分としては、例えば、変性または未変性の、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、イソブチレンイソプレンゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム(SIR)、クロロプレンゴム(CR)等の合成ゴム、および天然ゴム等が挙げられる。変性ゴムとしては、例えば、Sn変性BR、エポキシ化天然ゴム等が挙げられる。変性ゴムの中でも、Sn変性BRが好ましい。
SBR、BR、などの共役ジエン重合体を変性する方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、特開2008−174585号公報および特開昭63−179949号公報等に記載の、炭化水素溶媒中で有機リチウム触媒を用いてスチレンとブタジエンとの共重合体を得た後、該共重合体の活性末端をスズ含有化合物と反応させる方法等を用いることができる。
上述したゴム成分を1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明のタイヤでは、ゴムチェーファーの上記特定の粘弾性特性を得るために、天然ゴムと合成ゴムとを併用することが好ましい。
<充填剤>
充填剤としては、例えば、従来公知のカーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレイ等が挙げられる。好ましいカーボンブラックのグレードは、例えば、ISAF、HAF、FF,FEFおよびGPFが挙げられる。
充填剤としてシリカを用いる場合は、シリカをシランカップリング剤で処理してもよい。
上記カーボンブラック等の充填剤の配合量は、35〜100phrが好ましい。この範囲とすることにより、ゴムの補強性が高まる。
<老化防止剤>
ゴムチェーファーを形成するゴム組成物は、老化防止剤を含むことが好ましい。一般に、幅狭、大径のラジアルタイヤでは、静的な歪が厳しいため、耐オゾン性、耐クラック性が低くなりやすいが、ゴムチェーファーを形成するゴム組成物に老化防止剤を配合することで、サイドウォール部に老化防止剤を供給することができ、耐オゾン性、耐クラック性を改良することができる。
老化防止剤の好ましい配合量は、1〜5phrである。1phr以上とすることで老化防止剤の効果を発揮しやすくなり、5phr以下とすることで、加硫系への影響を少なくし、ヤケや使用中の変色を防止することができる。
本発明のタイヤにおいて、ゴムチェーファーの100%モジュラスは、ゴムチェーファーの歪の大小の指標である。そして、当該100%モジュラスを、2.0MPa以上とすることにより、ゴムチェーファーの歪を低減することができる。当該100%モジュラスは、好ましくは、4.0〜10.0MPaである。
ゴムチェーファーの100%モジュラスを、2.0MPa以上とするためには、例えば、HAFグレードのカーボンブラックを60phr以上配合すればよい。
本発明のタイヤにおいて、ゴムチェーファーの粘弾性特性である動的貯蔵弾性率E’と損失正接tanδは、ヒステリシスロスおよび転がり抵抗に関する指標である。そして、当該粘弾性特性について、6.0MPa≦E’、かつ、tanδ≦0.25とすることにより、ヒステリシスロスを低減し、それにより転がり抵抗を低減することができる。
前記粘弾性特性について、6.0MPa≦E’、かつ、tanδ≦0.25とするためには、例えば、GPFグレードのカーボンブラックを60phr以上配合すればよい。
本発明のタイヤにおいて、前記ゴムチェーファーは、前記粘弾性特性が、9.0MPa≦E’、かつ、tanδ≦0.20であることが好ましい。これにより、ビード部周辺の耐久性を確保することができる。
本発明のタイヤは、前記ゴムチェーファーが、タイヤ表面から厚み方向に1〜20%に二層化しており、前記二層化したゴムチェーファーにおいて、厚み方向外側のゴムの粘弾性特性が、15.0MPa≦E’、かつ、0.20≦tanδ≦0.30であり、厚み方向内側のゴムの粘弾性特性が、6.0MPa≦E’≦16.0MPa、かつ、tanδ≦0.20であることが好ましい。
このようにゴムチェーファーが、タイヤ表面から厚み方向に1〜20%に二層化することにより、転がり抵抗に影響なくリム部との接触による耐摩耗性を上げることができる。さらに、その二層化したゴムチェーファーの厚み方向外側のゴムにおいて、15.0MPa≦E’、かつ、0.20≦tanδ≦0.30とすることにより、転がり抵抗に影響なく耐久性を保つことができる。
前記ゴムチェーファーを、タイヤ表面から厚み方向に1〜20%に二層化するためには、例えば、当該ゴムチェーファーを二種のゴムで作製すればよい。
前記厚み方向外側のゴムの粘弾性特性について、15.0MPa≦E’、かつ、0.20≦tanδ≦0.30とするためには、例えば、HAFグレードのカーボンブラックを60phr以上配合すればよい。
(サイドウォール部)
サイドウォール部を形成するゴム組成物では、耐オゾン性および耐亀裂進展性の観点から、NRとBRの併用が好ましく、NR/BRの比率は、80/20〜20/80が好ましく、50/50〜20/80がより好ましい。NRの比率を20phr以上とすることで耐カット性が高まり、50phr以下とすることで、耐オゾン性と耐亀裂進展性が高まる。
サイドウォール部を形成するゴム組成物では、NRのラテックス状態のときにカーボンブラックを分散させることで当該カーボンブラックが均一に分散し、耐亀裂進展性の高いゴムを得ることができる。この場合、NRの配合量を100phrとしても十分な耐カット性および耐亀裂進展性を確保することができる。
サイドウォール部を形成するゴム組成物では、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を配合することが、サイドウォール部のゴムの耐オゾン性を向上させる観点から好ましい。従来は、EPDMを配合したゴム組成物から形成したサイドウォール部は、耐亀裂進展性が悪化することがあったが、本発明のタイヤは、走行時歪が小さく、耐亀裂進展性が有利なことから、EPDMを配合することができる。EPDMの好ましい配合量は、10〜40phrであり、10〜30phrがより好ましい。10phr以上とすることで、耐オゾン性の効果を得やすく、40phr以下とすることで、耐亀裂進展性を確保しやすい。
サイドウォール部を形成するゴム組成物では、NR、BR以外にも変性NRや変性BR,SBR、変性SBR等を用いることができる。変性NRの中ではエポキシ化NRを用いることが、耐カット性および耐亀裂進展性の観点から好ましい。
サイドウォール部は、耐カット性の要求が厳しいため、サイドウォール部を形成するゴム組成物にSBR系のゴム成分を用いることが、耐カット性を高める観点から好ましい。この場合の好ましい配合量は、5〜85phrであり、10〜85phrがより好ましい。5phr以上とすることで、耐カット性向上の効果を得やすく、85phr以下とすることで、低ロスへの影響を抑制しやすい。
サイドウォール部は、静的な歪が厳しいため、サイドウォール部を形成するゴム組成物にワックスおよび/または老化防止剤を配合することが好ましい。
ワックスの配合量は、1〜3phrが好ましく、1〜2.5phrがより好ましい。1phr以上とすることで効果を得やすく、3phr以下とすることで、サイドウォール部のゴムの変色を抑制しやすい。
老化防止剤の配合量は、1〜6phrが好ましく、3〜5phrがより好ましい。1phr以上とすることで効果を得やすく、6phr以下とすることで、サイドウォール部のゴムの変色を抑制しやすい。
本発明に係るタイヤでは、高内圧による径成長後のクリープを防止する観点から、ベルト7を形成するゴム組成物に耐熱架橋剤を配合することが好ましい。
好ましい耐熱架橋剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 0006060033
上記化合物は、耐老化性を大幅に向上させ、クリープを抑制し、耐亀裂進展性も向上させることができる。上記化合物の配合量は、耐亀裂進展性の観点から、0.1〜5phrが好ましい。0.1phr以上とすることで、効果を得やすく、5phr以下とすることで、加硫系への影響を少なくし、ヤケ等の作業性の低下を抑制することができ、ゴム−コード接着への影響を抑制することができる。
本発明に係るタイヤでは、ベルトのタイヤ幅方向端部に設けられるゴムとして、いわゆるベルトエンドゴムを採用してもよい。ベルトエンドゴムは、耐クリープ性を向上させる観点から、上記耐熱架橋剤を0.5〜5phr含むことが好ましい。0.5phr以上とすることで、効果を得やすく、5phr以下とすることで、ゴム−コード接着への影響を抑制することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1〜9および比較例1〜11
表1に示す配合処方のゴム組成物からなるゴムチェーファーの100%モジュラス、動的貯蔵弾性率E’および損失正接tanδにつき下記の方法にて評価した。表1に合わせてこれらの評価結果を示す。
また、前記チェーファーを備えるタイヤを作製した。各タイヤの内圧を表2に示す。その内圧における、幅狭、大径のラジアルタイヤ(表2中、「本発明形状1」という)のサイズは、断面幅SWを155mm、外径ODを653.1mmとし、本発明形状2のサイズは、断面幅SWを165mm、外径ODを697.1mmとした。従来のラジアルタイヤ(表2中、「従来形状」という)のサイズは、断面幅SWを195mm、外径ODを634.5mmとした。
また、タイヤの転がり抵抗およびゴムチェーファーの耐摩耗性を下記の方法にて評価した。
なお、実施例5〜7および比較例5〜7では、ゴムチェーファーにおいて、表2に示すタイヤ表面から厚み方向(すなわち、タイヤ厚み方向外側から)の割合(%)にゴムEを配置し、そのタイヤ方向内側にゴムCを配置した二層化ゴムチェーファーを用いた。
(Sn変性BRの調製)
実施例で用いたSn変性BRは、以下のように調製した。
乾燥し、窒素置換された内容積900mLの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン283g、1,3−ブタジエン50g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.0057mmolおよびヘキサメチレンイミン0.513mmolをそれぞれシクロヘキサン溶液として注入し、これに0.57mmolのn−ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、撹拌装置を備えた50℃の温水浴中で4.5時間重合を行った。重合添加率はほぼ100%であった。この重合系に四塩化スズ0.100mmolをシクロヘキサン溶液として加え50℃で30分撹拌した。その後さらに、2,6−ジ−t−ブチルパラクレゾール(BHT)のイソプロパノール5%溶液0.5mLを加えて反応を停止させ、さらに,常法に従い乾燥してSn変性ブタジエンゴムを得た。
・引張応力(100%モジュラス)
JIS 3号ダンベル型試験片を用い、JIS K 6251:2004に従って100%伸長時の引張応力(100%モジュラス)を測定した。
・動的貯蔵弾性率E’および損失正接tanδ
E’およびtanδは、株式会社東洋精機製作所製のスペクトロメータを用いて、厚さ:2mm、幅:5mm、長さ:20mmの試験片に初期荷重:160gを与え、初期歪み:1%、振動数50Hz、温度30℃の条件で測定した。
Figure 0006060033
(転がり抵抗)
上記各タイヤをタイヤのビード幅に対応した幅のリムに装着して、タイヤを装着する車両毎に規定される最大荷重を負荷し、ドラム回転速度100km/hの条件にて転がり抵抗を測定し、比較例1の転がり抵抗を100として指数表示した。指数値が小さい程、転がり抵抗が小さく、結果が良好であることを示す。
(ゴムチェーファーの耐摩耗性)
ドラム試験にて、規定荷重の120%の荷重下、64.5km/hの速度でタイヤを走行させ、リムと接触するゴムチェーファーが破壊に至るまでの時間を測定し、比較例1の逆数を100とした指数で表した。指数値が小さいほど、ゴムチェーファーの耐摩耗性が優れることを示す。
Figure 0006060033
本発明に係るタイヤでは、低RR性と、ゴムチェーファーの高い耐摩耗性とを両立することができた。
比較例1に対して、実施例5〜7のようにゴムチェーファーを二層化することにより、転がり抵抗を低減することができた。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカスプライ
5 ビードコア
6 ゴムチェーファー
7 ベルト
8 トレッドゴム

Claims (3)

  1. 一対のビード部間でトロイダル状に跨るラジアル配列コードのカーカスプライからなるカーカスと、前記ビード部の少なくともリムとの接触部分に配するゴムチェーファーとを備えた、乗用車用空気入りラジアルタイヤであって、
    前記タイヤをリムに組み込み、内圧を250kPa以上とした際に、
    前記タイヤの断面幅SWが165(mm)未満である場合は、前記タイヤの断面幅SWと外径OD(mm)との比SW/ODが0.26以下であり、
    前記タイヤの断面幅SWが165(mm)以上である場合は、前記タイヤの断面幅SWおよび外径OD(mm)が、関係式、
    2.135×SW+282.3≦OD
    を満たし、
    前記ゴムチェーファーの100%モジュラスが、2.0MPa以上であり、粘弾性特性が、6.0MPa≦動的貯蔵弾性率E’、かつ、損失正接tanδ≦0.25であることを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記粘弾性特性が、9.0MPa≦E’、かつ、tanδ≦0.20であることを特徴とする、請求項1に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記ゴムチェーファーが、タイヤ表面から厚み方向に1〜20%に二層化しており、
    前記二層化したゴムチェーファーにおいて、
    厚み方向外側のゴムの粘弾性特性が、15.0MPa≦E’、かつ、0.20≦tanδ≦0.30であり、
    厚み方向内側のゴムの粘弾性特性が、6.0MPa≦E’≦16.0MPa、かつ、tanδ≦0.20であることを特徴とする、請求項1に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
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