[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP6058610B2 - 多結晶シリコン破砕物、多結晶シリコン破砕物の製造方法および多結晶シリコン塊破砕装置 - Google Patents

多結晶シリコン破砕物、多結晶シリコン破砕物の製造方法および多結晶シリコン塊破砕装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6058610B2
JP6058610B2 JP2014210124A JP2014210124A JP6058610B2 JP 6058610 B2 JP6058610 B2 JP 6058610B2 JP 2014210124 A JP2014210124 A JP 2014210124A JP 2014210124 A JP2014210124 A JP 2014210124A JP 6058610 B2 JP6058610 B2 JP 6058610B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polycrystalline silicon
crushed material
particle size
crushed
crushing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014210124A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016079053A (ja
JP2016079053A5 (ja
Inventor
一博 川口
一博 川口
藤井 正美
正美 藤井
近藤 学
学 近藤
美文 三戸
美文 三戸
信昭 義松
信昭 義松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2014210124A priority Critical patent/JP6058610B2/ja
Application filed by Tokuyama Corp filed Critical Tokuyama Corp
Priority to SG11201703107QA priority patent/SG11201703107QA/en
Priority to CN201580054867.8A priority patent/CN106794992B/zh
Priority to EP15850909.1A priority patent/EP3208236B1/en
Priority to KR1020177007285A priority patent/KR101817047B1/ko
Priority to MYPI2017000556A priority patent/MY182043A/en
Priority to PCT/JP2015/078723 priority patent/WO2016060076A1/ja
Priority to US15/518,637 priority patent/US10307763B2/en
Priority to TW104133472A priority patent/TWI686352B/zh
Publication of JP2016079053A publication Critical patent/JP2016079053A/ja
Publication of JP2016079053A5 publication Critical patent/JP2016079053A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6058610B2 publication Critical patent/JP6058610B2/ja
Priority to US16/385,816 priority patent/US11590509B2/en
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Crushing And Grinding (AREA)
  • Silicon Compounds (AREA)

Description

本発明は、多結晶シリコン塊を破砕して得られる多結晶シリコン破砕物に関し、さらに詳しくは粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉の含有量が低減され、また微小シリコンダストが少なく、表面金属汚染も低減された多結晶シリコン破砕物に関する。さらに、本発明は、上記の多結晶シリコン破砕物の製造に好適に用いられる多結晶シリコン塊破砕装置に関する。
ポリシリコンとも呼ばれる多結晶シリコンを製造する方法としてシーメンス法が知られている。シーメンス法は、ベルジャー型の反応容器内部に配置されたシリコン芯線を通電によってシリコンの析出温度に加熱し、ここにトリクロロシラン(SiHCl)やモノシラン(SiH)等のシラン化合物のガスと水素を供給し、化学気相析出法によりシリコン芯線上に多結晶シリコンを析出させ、高純度の多結晶シリコンロッドを得る。
得られた多結晶シリコンロッドは、次工程に使用する装置または次工程での製造対象物の製造に適した大きさに破砕、選別され、次工程へと搬送される。具体的には多結晶シリコンロッドを、炭化タングステンなどの硬質金属から構成されるハンマーなどにより砕き原料多結晶シリコン塊を得る。その後、原料多結晶シリコン塊をさらに、硬質ポリマーや硬質金属などから構成される破砕装置により所望の粒子サイズに破砕し、次いで必要に応じ、同様の材質からなる分級装置により所望のサイズに分級し、所望の粒子サイズを有する多結晶シリコン破砕物を得る。
得られる多結晶シリコン破砕物は、そのサイズに応じ、ダスト、粉、チップ、ナゲット、チャンクなどと呼ばれるが、厳密な分類の基準はない。本明細書では、粒子サイズが500μm未満のものを「シリコンダスト」と呼び、粒子サイズ500〜1000μmのものを「多結晶シリコン粉」と呼び、これらシリコンダスト、多結晶シリコン粉および所望サイズの多結晶シリコン破砕片等を含む、多結晶シリコン塊を破砕して得られた破砕片を「多結晶シリコン破砕物」と呼ぶ。
多結晶シリコンロッドの破砕、選別時には、ロッドおよび破砕物が破砕装置や選別装置に接触し、これら装置からの汚染物が表面の表面酸化層に付着する。また、破砕装置内部の摩耗などにより金属微粉が発生し、破砕物の表面酸化層に付着し、汚染することもある。これらを表面金属汚染と呼ぶ。表面金属汚染は、破砕物の粒子サイズが小さくなるほど増大する傾向にあり、特に粒子サイズの小さなシリコンダストや多結晶シリコン粉に汚染物が付着し、表面金属汚染を増大する。
表面金属汚染を低減するため、多結晶シリコンに酸処理などの湿式化学処理を施すことは広く行われている。このような湿式化学処理により、シリコンダストや多結晶シリコン粉の小粒径のものは除去され、また、多結晶シリコン粉の大きめの粒径のものや多結晶シリコン破砕物の表面汚染も除去されるため、多結晶シリコン破砕物に同伴するシリコンダスト量および表面金属汚染はppbwのオーダー以下まで低減できる。したがって、シリコン単結晶の育成原料として極めて高い純度が求められる場合には、湿式化学処理を施し、多結晶シリコン破砕物における不純物レベルを可能な限り低減している。しかし、湿式化学処理にはコストがかかる。
一方、太陽光パネルの製造などの用途に用いられる多結晶シリコンには、上記のような極めて高い純度は要求されない。このため、用途によっては、シリコンダスト量や表面金属汚染が許容値以下であれば、過度に純度を高めずに、コストの低減を優先する場合がある。
比較的低コストで、表面金属汚染を低減しうる方法として、特許文献1(特開2012−46412)には、破砕、分級後の多結晶シリコンに圧縮空気またはドライアイスを吹き付け、シリコンダストを除去する方法が提案されている。
しかし、多結晶シリコン破砕物に圧縮空気を吹き付けると、その風圧によってシリコンダストは除去されるものの、同時にシリコンダストより粒径の大きいシリコン破砕物が飛び跳ねたり、破砕物同士が衝突するため、新たなシリコンダストや多結晶シリコン粉が発生することがある。また、シリコンロッドの破砕時には、破砕物の破断面に酸化膜が形成される。この酸化膜にシリコンダストや多結晶シリコン粉が付着すると、係る表層の酸化膜と破砕物破断面の酸化膜とが一体化し、これらシリコンダストや多結晶シリコン粉の除去が困難になることが予想される。さらに、分級後に多結晶シリコンを積み重ねた状態で圧縮空気を吹き付けても、積み重なる破砕物の隙間に入り込んだシリコンダストや多結晶シリコン粉を十分に除去できない。
さらに、特許文献1では、粒子サイズが400μm未満のシリコンダストを除去対象としている。粒子サイズが500μm(0.5mm)以上の破砕物については、製品として認識され、除去対象とはされていない。しかし、粒子サイズが500μm〜1mm程度の、本発明で「多結晶シリコン粉」と呼ぶ粒子サイズの微粒について本発明者らが検討したところ、以下のような不具合が見い出された。
多結晶シリコン破砕物は単結晶シリコンインゴットを製造するために使用されることがある。単結晶インゴット製造に際しては、溶融容器への多結晶シリコン破砕物の充填を円滑に行う必要がある。しかし、500μm〜1mm程度の多結晶シリコン粉が含まれると、多結晶シリコン破砕物の流動性が損なわれ、溶融容器への円滑な投入が妨げられる場合がある。また、インゴット製造のためには、多結晶シリコン破砕物を溶融容器中で溶融し、引き上げを行う(チョクラルスキー(CZ)法と呼ばれる)。しかし、500μm〜1mm程度の粉体は融解し難いことがあり、結晶生成の核となり、インゴットが多結晶化することがある。このため、単結晶インゴットを製造するためには、多結晶化したインゴットを再溶融し、再度引き上げを行う必要があり、生産性の低下を招く。
また、シリコン破砕物が積み重なった状態では、圧縮空気を吹き付けても、微細なシリコンダストは除去できるものの、500μm〜1mmの多結晶シリコン粉を除去することは困難である。圧縮空気の圧力を過度に強力にすると、前述のようにシリコン破砕物が飛び跳ねたり、破砕物同士が衝突するため、新たなシリコンダストや多結晶シリコン粉が発生する。
特許文献2(特開2009−78961)には、帯電した多結晶シリコンにダストが付着することを防止するために、多結晶シリコンにイオン化した清浄空気を吹き付け、静電気を除去する技術が開示されている。
特許文献3(特許第4351666号)には、超硬質粉砕工具を備えた粉砕機により多結晶シリコンを粉砕し、分級するシリコン粉砕物の製造装置が開示されている。
特開2012−46412 特開2009−78961 特許第4351666号
上述のように特許文献1では、圧縮空気またはドライアイスを吹き付けることで、多結晶シリコンから粒子サイズ400μm未満のシリコンダストを除去する技術が開示されている。特許文献1では、粒子サイズが500μm〜1mm程度の多結晶シリコン粉は製品とみなされ、除去の対象とはしていない。しかし、粒子サイズが500μm〜1mm程度のシリコン微粒は、特に単結晶シリコンインゴット製造の際の操作性、生産性を損なう要因となる。一方、積み重なった多結晶シリコン破砕物の集合に対して、圧縮空気またはドライアイスの吹き付けを行っても、粒子サイズが500μm〜1mm程度のシリコン微粒を効率的に除くことは困難であり、吹き付け量を過度に高めて実施すると、逆に新たなシリコンダストや多結晶シリコン粉を生成することもある。
したがって、本発明は粒子サイズが500μm〜1mm程度の多結晶シリコン粉が除去され、特に単結晶シリコンインゴット製造の際の操作性、生産性の向上に寄与しうる多結晶シリコン破砕物を提供することを目的としている。
また、本発明は上記多結晶シリコン破砕物の製造方法及びその製造に好適な多結晶シリコン塊破砕装置を提供することを目的としている。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、破砕装置内で破砕された多結晶シリコンが、自由落下する過程で、吸引することで500μm〜1mm程度の多結晶シリコン粉を効率的に除去しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記目的を達成する本願発明は、下記の要旨を含む。
すなわち、多結晶シリコン破砕物は、多結晶シリコン塊を破砕して得られる多結晶シリコン破砕物であって、
粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉の含有割合が0.1〜40ppmwである。
また、たとえば、多結晶シリコン破砕物は、粒子サイズ500μm未満のシリコンダストの含有割合が3〜140ppmwであってもよい。
また、多結晶シリコン破砕物は、前記多結晶シリコン破砕物の90質量%以上が2〜90mmの粒子サイズを有してもよい。
また、たとえば、多結晶シリコン破砕物は、前記多結晶シリコン破砕物の90重量%以上が4〜60mmの粒子サイズを有し、粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉の含有割合が1〜30ppmwであり、さらに、粒子サイズ500μm未満のシリコンダストの含有割合が10〜60ppmwであってもよい。
また、たとえば、多結晶シリコン破砕物は、前記多結晶シリコン破砕物の90重量%以上が2〜40mmの粒子サイズを有し、粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉の含有割合が2〜40ppmwであり、さらに、粒子サイズ500μm未満のシリコンダストの含有割合が20〜140ppmwであってもよい。
また、たとえば、多結晶シリコン破砕物は、前記多結晶シリコン破砕物の90重量%以上が20〜90mmの粒子サイズを有し、粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉の含有割合が0.5〜25ppmwであり、さらに、粒子サイズ500μm未満のシリコンダストの含有割合が5〜50ppmwであってもよい。
また、たとえば、多結晶シリコン破砕物は、金属による表面汚染が0.5〜50ppbwであってもよく、表面汚染の金属が、Na、Cr、Fe、Ni、Cu、Zn、CoおよびWからなる群を包含してもよい。
本発明に係る多結晶シリコン塊破砕装置は、
原料投入口から投入された原料多結晶シリコン塊を、外力負荷部材の可動により機械的に破砕して、粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉を含む多結晶シリコン破砕物を生成し、これを排出口から出す破砕部と、
前記破砕部の下方に続いており、前記排出口から出た前記多結晶シリコン破砕物を重力に従って落下移動させる落下移動部と、
前記落下移動部の下方に位置し、前記落下移動部を前記落下移動した後の前記多結晶シリコン破砕物を受けとめる受け部と、を有し、
前記落下移動部は、前記多結晶シリコン破砕物に同伴する前記多結晶シリコン粉の少なくとも一部を、前記落下移動の方向とは異なる方向に吸引して除去する吸引除去部を、有することを特徴とする。
また、たとえば、前記外力負荷部材は、可動する可動歯と、固定された固定歯とを有し、前記破砕部は、上方の前記原料投入口から投入された前記原料多結晶シリコン塊を、前記可動歯と前記固定歯との間に挟んで破砕し、これを下方の前記排出口から出す構造であってもよい。
また、たとえば、多結晶シリコン塊破砕装置は、前記外力負荷部材の可動に伴い摺動する摺動部から生じる摺動塵埃を吸引する摺動塵埃吸引部を有してもよい。
また、たとえば、本発明に係る多結晶シリコン破砕物の製造方法は、上記の多結晶シリコン塊破砕装置を用いてもよい。
また、たとえば、多結晶シリコン破砕物の製造方法は、前記受け部で受けとめられた前記多結晶シリコン破砕物に、エアーを吹き付けるエアブロー工程を有してもよい。
また、たとえば、本発明に係る多結晶シリコン破砕物は、上記の多結晶シリコン破砕物の製造方法により得られる。
本発明によれば、多結晶シリコンロッドの粗破砕物である原料多結晶シリコン塊を破砕し、多結晶シリコン破砕物を得る際に、破砕された多結晶シリコン破砕物が破砕装置内を自由落下する間に、その落下方向とは異なる方向に吸引するため、微細なシリコンダストだけでなく、比較的粒子サイズの大き目の多結晶シリコン粉までを効率的に除去できる。これは、多結晶シリコン破砕物が積み重なり、比較的大きい破砕物の間隙に多結晶シリコン粉やシリコンダストが入り込む前の状態であって、破砕物が落下空間に拡散し、上記多結晶シリコン粉やシリコンダストもほとんどが破砕物に散在する状態で吸引するため、上記多結晶シリコン粉も効率的に除去できるものであると考えられる。さらに、吸引時において、多結晶シリコン破砕物は破砕直後であり、破断面に酸化膜は形成されておらず、該表層の酸化膜に多結晶シリコン粉やシリコンダストが一体化して付着することがないことも影響しているのではないかと考えられる。
得られる多結晶シリコン破砕物は、粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉の含有量が大幅に低下するため、特に単結晶シリコンインゴットを製造する際の操作性、生産性の向上に寄与しうる。
図1は、本発明の一実施形態に係る多結晶シリコン塊破砕装置の概略斜視図である。 図2は、図1に示す多結晶シリコン塊破砕装置の断面構造を表す概念図である。
以下、本発明についてさらに具体的に説明する。
本発明に係る多結晶シリコン破砕物は、粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉を含有する。多結晶シリコン破砕物は、原料多結晶シリコン塊を所望の粒子サイズに破砕して得られる。原料多結晶シリコン塊は、如何なる方法により得たものであっても良いが、一般的にはシーメンス法により得られる多結晶シリコンロッドを、炭化タングステンなどの硬質金属から構成されるハンマーなどにより砕いて得られる。原料多結晶シリコン塊を、後述のような多結晶シリコン塊破砕装置により破砕することで多結晶シリコン破砕物が得られ、破砕時にはシリコンダストの他、粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉が生成する。
本発明の多結晶シリコン破砕物は、粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉の割合が0.1〜40ppmw、好ましくは3〜35ppmwにまで低減されている。
本明細書において、多結晶シリコン粉の粒子サイズとは、1000μmのメッシュフィルターを通過し、500μmのメッシュフィルター上に捕集される粉状態を意味し、その含有量は、500μmのメッシュフィルターから回収された微粉の質量から算出される。具体的には後述の実施例で説明した方法により測定される。
また、本明細書においてppmwとは、重量基準での百万分率を意味し、ppbwは重量基準での十億分率を意味する。
本発明の多結晶シリコン破砕物は、粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉量が低減されているため、特に単結晶シリコンインゴット製造の際の操作性、生産性の向上に寄与しうる。粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉量を0.1ppmw未満とすることは高コストの湿式化学処理以外の手段では困難であり、またシリコンインゴット製造の際の操作性、生産性のさらなる向上も期待できず、経済的意義も低い。粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉量が40ppmwを超えると、その流動性が損なわれ、さらに、これを用いて得られる単結晶シリコンインゴットが多結晶化することがある。
多結晶シリコン破砕物は、制御された粒度分布を有することが好ましい。多結晶シリコン破砕物は、シリコン単結晶の育成原料等として好ましく用いられ、溶融容器に充填され、融解、引き上げ等が行われる。制御された粒度分布を有する多結晶シリコン破砕物は、溶融容器への充填時に、流動性が一定し、安定した供給が可能になる。
多結晶シリコン破砕物は、そのサイズに応じ、ダスト、粉、チップ、ナゲット、チャンクなどと呼ばれるが、厳密な分類の基準はない。本発明の多結晶シリコン破砕物は、一般にはチップ、チャンクと呼ばれるが、ナゲットも含む。
多結晶シリコン破砕物は、溶融容器への供給装置に適した粒子サイズを有することが好ましく、供給装置の仕様等により適宜に設定される。また多結晶シリコン破砕物は、その用途に応じた粒子サイズを有することが好ましい。多結晶シリコン破砕物は、破砕後に、所望の粒子サイズ、粒度分布を有するように選別、分級してもよい。ただし、分級後のシリコン破砕物にも、微量の多結晶シリコン粉が含まれる。
多結晶シリコン破砕物の粒度分布は特に制限される物ではなく、通常、2〜120mmの広い範囲から採択される。本明細書で開示した粒度分布の範囲は、範囲自体を開示するだけでなく、範囲の境界も含めて、その範囲に包含されるいかなる範囲をも開示するものである。例えば、2〜40mmの範囲の開示には、2〜40mmの範囲だけでなく、3mmも4mmも5mmも6mmも7mmも34mmも35mmもその他この範囲の中に含まれる他の数値も含まれる。また、例えば、2〜40mmの範囲の開示には、2〜5mm、2〜35mmも、その他その範囲の中に含まれる他の部分範囲と同様に含まれるし、また、ここで開示した範囲と等価な範囲も同様に含まれる。
なお、本明細書において、多結晶シリコン破砕物の粒子サイズとは、破砕物の長径を意味し、その粒度分布は、ノギスなどの計測器具により5kg分の破砕物を測定することにより求められる。
さらに、本発明の多結晶シリコン破砕物は、前記粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉の含有割合が少ないだけでなく、粒子サイズ500μm未満のシリコンダストの含有割合も少ない物が好ましく、その含有割合が3〜140ppmwであるのが特に好ましい。シリコンダストの含有割合が少ないことにより、表面金属汚染が低減し易くなり好ましい。また、シリコンダストを上記下限値以下に減少させることは純度と経済性のバランスの観点から効率的でない。
なお、本明細書において、シリコンダストの粒子サイズとは、500μmのメッシュフィルターを通過する微小粒径の粉状態を意味し、その含有量は1μmメッシュの濾紙にて捕集した微粉の捕集前後の濾紙質量差より測定される。具体的には後述の実施例で説明した方法により測定される。
本発明の好ましい多結晶シリコン破砕物は、その90重量%以上が2〜90mmの粒子サイズを有し、粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉の含有割合が0.1〜40ppmw、特に好ましくは3〜35ppmwであり、さらに、粒子サイズ500μm未満のシリコンダストの含有割合が3〜140ppmw、特に好ましくは10〜120ppmwである。上記の粒度分布を有することで、多結晶シリコンの流動性が一定し、溶融容器への安定した供給が可能になる。
本発明の他の好ましい多結晶シリコン破砕物は、その90重量%以上が4〜60mmの粒子サイズを有し、粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉の含有割合が1〜30ppmw、特に好ましくは5〜25ppmwであり、さらに、粒子サイズ500μm未満のシリコンダストの含有割合が10〜60ppmw、特に好ましくは15〜50ppmwであることが好ましい。
本発明の他の好ましい多結晶シリコン破砕物は、その90重量%以上が2〜40mmの粒子サイズを有し、粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉の含有割合が2〜40ppmw、特に好ましくは5〜35ppmwであり、さらに、粒子サイズ500μm未満のシリコンダストの含有割合が20〜140ppmw、特に好ましくは30〜120ppmwであることが好ましい。
本発明の他の好ましい多結晶シリコン破砕物は、その90重量%以上が20〜90mmの粒子サイズを有し、粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉の含有割合が0.5〜25ppmw、特に好ましくは3〜20ppmwであり、さらに、粒子サイズ500μm未満のシリコンダストの含有割合が5〜50ppmw、特に好ましくは10〜40ppmwであることが好ましい。
また、本発明の好ましい多結晶シリコン破砕物は、表面酸化層の金属汚染が低減されている。すなわち、金属による表面汚染が、0.5〜50ppbw、さらに好ましくは2〜40ppbwである。上述したように、多結晶シリコンから多結晶シリコン粉、さらにはシリコンダストを除去することで、表面金属汚染も低減される。特に、粒子サイズ500μm未満のシリコンダストには装置由来の金属が付着しやすいため、これを低減することで、表面金属汚染も大きく低減される。しかし、湿式化学処理を施して低減できる程に低い値とすることは通常困難である。太陽光パネルの製造など、多結晶シリコンの用途によっては、表面金属汚染が許容量以下であれば、過度に純度を高めずに、コストの低下を優先する場合がある。このため、表面金属汚染の下限値は、前記範囲であれば、こうした用途に有用に使用できる。
本発明の多結晶シリコンの表面汚染の金属は、好ましくはNa、Cr、Fe、Ni、Cu、Zn、CoおよびWからなる群を包含する。表面金属汚染は後述する実施例に記載の方法によって測定する。
また、シーメンス法による多結晶シリコンでは、ホウ素、燐、炭素及び全ての金属のバルク不純物は、極めて低い濃度に抑制される。ここでバルク不純物は、表面金属汚染とは異なり、ロッドやシリコン塊、シリコン破砕物の内部に、製造条件に依存して不可避的に含まれる不純物を意味する。
ここで、多結晶シリコン破砕物の金属による表面汚染は、破砕物の90重量%以上が2〜90mmの粒子サイズを有する場合は、前記0.5〜50ppbw、特に好適には2〜40ppbwであるのが好ましい。また、破砕物の90重量%以上が4〜60mmの粒子サイズを有する場合は、2〜30ppbw、特に好適には3〜15ppbwであるのが好ましい。また、破砕物の90重量%以上が2〜40mmの粒子サイズを有する場合は、10〜50ppbw、特に好適には15〜30ppbwであるのが好ましい。また、破砕物の90重量%以上が20〜90mmの粒子サイズを有する場合は、1〜10ppbw、特に好適には2〜8ppbwであるのが好ましい。
本発明の多結晶シリコン破砕物は、必要に応じ、粒子サイズに基づいて選別してもよく、また選別機や分級装置を用いて所望の粒子サイズ、粒度分布を達成してもよい。さらに、多結晶シリコン破砕物には、任意的な処理として、磁力やエアブローを用いた不純物除去処理を施してもよい。
他方、酸を用いた湿式化学洗浄を施すことなく、前記多結晶シリコン粉の含有量や、さらには好適とするシリコンダストの含有量を達成しているのが、コスト的な面から好ましい。湿式化学洗浄を施さない場合、多結晶シリコン破砕物の表面金属汚染は前記下限値程度を超えて低減させ難くなるが、太陽光パネルの製造などの用途には良好に使用できる。
本発明の多結晶シリコン破砕物を得る方法は、特に限定はされないが、以下に説明するような多結晶シリコン塊破砕装置を用いる方法により実施するのが好ましい。すなわち、原料投入口から投入された原料多結晶シリコン塊を、外力負荷部材の可動により機械的に破砕して、粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉を含む多結晶シリコン破砕物を生成し、これを排出口から出す破砕部と、
前記破砕部の下方に続いており、前記排出口から出た前記多結晶シリコン破砕物を重力に従って落下移動させる落下移動部と、
前記落下移動部の下方に位置し、前記落下移動部を落下移動した後の前記多結晶シリコン破砕物を受けとめる受け部と、を有し、
前記落下移動部は、前記多結晶シリコン破砕物に含まれる前記多結晶シリコン粉の少なくとも一部を、前記落下移動方向とは異なる方向に吸引して除去する吸引除去部を、有することを特徴とする多結晶シリコン塊破砕装置を用いる方法である。
この多結晶シリコン塊破砕装置において、上記破砕部は、上方の投入口から投入された原料多結晶シリコン塊を、可動する可動歯と固定された固定歯とを有する前記外力負荷部材により、前記可動歯と前記固定歯の間に挟んで破砕して、生成した破砕物を下方の排出口から出す構造をした、所謂、ジョークラッシャーと呼ばれる破砕装置の破砕部構造であるのが、破砕の効率性が高く好ましい。この他、多結晶シリコン塊破砕装置の破砕部は、原料多結晶シリコン塊を、前記外力負荷部材である、互いに逆方向に回転する2本のロール間を通して破壊する構造である、所謂、ロールクラッシャーと呼ばれる破砕装置の破砕部構造や、さらに、原料多結晶シリコン塊を、前記外力負荷部材である、揺動するハンマーの頭部で打撃して破壊する構造である、所謂、ハンマークラッシャーと呼ばれる破砕装置の破砕部構造等であっても良い。
以下、本発明の多結晶シリコン破砕物を得るのに使用される多結晶シリコン塊破砕装置について、上記破砕部が、前記ジョークラッシャーの破砕部構造である場合を例に説明する。図1は、こうした構造のジョークラッシャー10の外観図であり、図2は、ジョークラッシャー10の内部構造を示す模式断面図である。図2に示すように、ジョークラッシャー10は、原料多結晶シリコン塊83を破砕する破砕部30と、破砕部30で製造された多結晶シリコン破砕物93が落下移動する落下移動部32と、落下移動部32を落下移動した後の多結晶シリコン破砕物85を受けとめる受け部34とを有する。
破砕部30では、破砕部30上方の投入口30aから破砕部30に投入された原料多結晶シリコン塊83を、可動する可動歯24と固定された固定歯14との間に挟んで破砕して、落下移動部32を通過する前の多結晶シリコン破砕物93を生成する。この多結晶シリコン破砕物93には、多結晶シリコン粉91aとシリコンダスト91bが、後述する多結晶シリコン破砕物85より多く含有されている。
固定歯14は、フロントフレーム12に固定されている。これに対して、可動歯24は、ジョークラッシャー10中央部に設けられたスイングジョー22に固定されている。可動歯24が固定されたスイングジョー22の上部は、偏心軸20に取り付けられており、スイングジョー22及びこれに固定された可動歯24は、偏心軸20の偏心回転に併せて揺動する。偏心軸20の両側(図2の紙面奥行き方向の両側)は、偏心していない回転軸(不図示)を介して駆動用プーリ60に接続されている。駆動用プーリ60は、不図示の駆動用電動モータからの駆動力を受けて回転する。揺動するスイングジョー22及び可動歯24は両側から軸受けにて支持する。
スイングジョー22の下部先端部には、トグルプレート50及びテンションロッド54が接続されている。トグルプレート50は、スイングジョー22の先端下部とリアフレームに固定されたプレート受け52とを、相対移動可能に接続している。テンションロッド54には、スイングジョー22の下部先端部を、固定歯14に対して遠ざかる方向に付勢するテンションスプリング56が取り付けられている。
破砕部30で生成された多結晶シリコン破砕物93は、破砕部30下方の排出口30bから排出される。落下移動部32は、排出口30bの下方に続いており、排出口30bから出た多結晶シリコン破砕物93は、落下移動部32内を、重力に従って落下移動する。本実施形態では、落下移動部32は、排出口30bを覆う排出口カバー28で構成される。落下移動部32は、多結晶シリコン破砕物93の落下移動経路の途中に位置する吸引除去部40を有する。吸引除去部40の吸引方向は、多結晶シリコン破砕物93の落下移動方向とは異なる方向である。吸引除去部40の吸引方向は特に限定されないが、図2に示すように、落下方向が略鉛直方向であって、吸引除去部40の吸引方向が、矢印92で示すように略水平方向であることが好ましい。
吸引除去部40は、多結晶シリコン破砕物93に含まれる多結晶シリコン粉91aおよびシリコンダスト91bの少なくとも一部を、残りの多結晶シリコン破砕物93の落下方向とは異なる方向に吸引して除去する。これにより、多結晶シリコン破砕物93に含まれる多結晶シリコン粉91aおよびシリコンダスト91bが減少し、多結晶シリコン破砕物93に含まれる微細な粒子および不純物の量を低減できる。さらに、重要な点は、この吸引除去部40からの吸引により、シリコンダスト91bだけでなく、多結晶シリコン破砕物93が落下し積み重なった後では除去し難い多結晶シリコン粉91aも高度に除去できることである。特に、破砕直後に落下中の多結晶シリコン破砕物93においては、多結晶シリコン破砕物93の表面酸化膜がほとんど形成されていないため、他の多結晶シリコン破砕物93とシリコンダスト91bや多結晶シリコン粉91aとが結合していないか、又は他の多結晶シリコン破砕物93とこれらとの結合力は非常に小さいと考えられ、これによりその除去性が高まるものと推定される。そのため、吸引除去部40は、破砕直後に落下中の多結晶シリコン破砕物93を吸引することにより、シリコンダスト91bはもちろん、多結晶シリコン粉91aも効果的に除去し、落下移動部32を通過した後の多結晶シリコン破砕物85に含まれる不純物量を低減できる。
上記吸引除去部40からの吸引効果を良好に発揮させるためには、落下移動部32を落下する多結晶シリコン破砕物93の落下密度が適度であり、さらに、この落下密度で落下する多結晶シリコン破砕物93にかかる吸引力が十分な強さであることが求められる。この観点から、落下移動部32に対する、多結晶シリコン破砕物93の供給量は、落下移動部32の単位断面積(cm)当たり20〜160g/分であるのが好ましく、30〜130g/分であるのがより好ましい。さらに、吸引除去部40の口径は、その断面積が落下移動部32における該吸引除去部40が設けられた部分の断面積の2〜40%であるのが好ましく、3〜30%であるのがより好ましく、この口径の吸引除去部40から1〜20m/分、より好適には、2〜15m/分の吸引量で吸気するのが好ましい。
また、落下移動部32は、20〜80cmの長さ、より好適には30〜70cmの長さで設けるのが好ましい。なお、吸引除去部40は、落下移動部32の周方向および長さ方向に2箇所以上に設けても良い。
吸引除去部40は、吸引力を発生又は伝達し、多結晶シリコン粉91aを吸引可能なものであれば特に限定されず、例えば不図示の負圧形成ポンプに接続された吸引管等を、吸引除去部40として採用できる。
落下移動部32を落下移動した後の多結晶シリコン破砕物85は、落下移動部32の下方に位置する受け部34によって受けとめられる。受け部34は、図2に示すように、多結晶シリコン破砕物85を搬送可能なベルトコンベアで構成されていても良いが、多結晶シリコン破砕物85を収納する収納箱等であっても構わない。
以上により、粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉の含有割合が0.1〜40ppmwである、本発明の多結晶シリコン破砕物85が製造できる。後述するように、受け部34に受けとめられた多結晶シリコン破砕物85は、分級工程等に搬送される。
また、図1及び図2に示すように、ジョークラッシャー10は、可動歯24の可動に伴い摺動する摺動部から生じる摺動塵埃を吸引する摺動塵埃吸引部42、44、46を有するのが好ましい。摺動塵埃吸引部42は、中央カバー26に接続された吸引管によって構成されている。中央カバー26は、ジョークラッシャー10の中央上部に設けられており、スイングジョー22、偏心軸20及び回転軸等を覆っており、摺動塵埃吸引部42は、スイングジョー22、偏心軸20及び回転軸から発生する摺動塵埃を吸引する。
摺動塵埃吸引部44は、駆動用プーリ60を覆うサイドカバー62に接続された吸引管によって構成されており、駆動用プーリ60から発生する摺動塵埃を吸引する。また、摺動塵埃吸引部46は、トグルプレート50及びテンションロッド54等を覆うリアカバー58に接続された吸引管によって構成されており、トグルプレート50及びテンションロッド54、又はこれらとスイングジョー22及びリアフレーム等の接続部分から発生する摺動塵埃を吸引する。
このような摺動塵埃吸引部42、44、46を備えるジョークラッシャー10は、生成される多結晶シリコン破砕物85に含まれる不純物量を低減することが可能であり、特に摺動塵埃に含まれる金属による多結晶シリコン破砕物93、85の表面汚染を効果的に防止できる。また、吸引除去部40がジョークラッシャー10内部で発生した摺動塵埃を吸引することにより、摺動塵埃と多結晶シリコン破砕物93、85との接触機会が増加する問題を防止できる。
摺動塵埃吸引部42、44、46からの摺動塵埃の吸引効果を十分に高めるためには、摺動塵埃吸引部42については、1〜15m/分、より好適には、1〜10m/分の吸引量で吸気するのが好ましい。また、摺動塵埃吸引部44については、0.5〜5m/分、より好適には、1〜3m/分の吸引量で吸気するのが好ましい。また、摺動塵埃吸引部46については、1〜20m/分、より好適には、2〜15m/分の吸引量で吸気するのが好ましい。さらに、投入口吸引部48については、0.5〜5m/分、より好適には、1〜3m/分の吸引量で吸気するのが好ましい。
さらに、ジョークラッシャー10は、投入口30aを覆う投入口カバー16に接続された吸引管によって構成されており、破砕部30での破砕時に舞い上がる粉塵等を吸引する投入口吸引部48を有している。なお、上述した吸引除去部40、摺動塵埃吸引部42、44、46及び投入口吸引部48の一部又は全部は、共通の負圧形成ポンプに接続されていてもよく、異なる負圧形成ポンプに接続されていてもよい。
上記ジョークラッシャー10に供給する原料多結晶シリコン塊83は、シーメンス法等で製造された多結晶シリコンロッドを、硬質金属のハンマー等を用いてジョークラッシャー10に投入可能な大きさまで粗割りして製造すれば良い。その大きさはジョークラッシャー10に投入可能なサイズまで粗割りを行えばよく、特に限定されないが、長径が10〜30cm程度、より好適には、15〜25cm程度であるのが好ましい。
前記の如くに本発明の多結晶シリコン塊破砕装置により製造された多結晶シリコン破砕物は、次いで、分級工程、エアブロー工程としての清浄化工程等に送られ処理されるのが好ましい。これら次工程への多結晶シリコン破砕物の搬送は、搬送用ベルトコンベヤ等により行われる。分級工程では、多結晶シリコン破砕物は、所望の粒子サイズに分級される。分級工程で用いられる分級装置は、特に限定されないが、例えば振動篩別機やローラー式分級機等が用いられる。
所望の粒子サイズに分級された多結晶シリコン破砕物は、搬送用ベルトコンベヤへの載置や搬送、さらには分級工程での各種分級機への投入、分級処理を受ける過程で、破砕物同士が衝突し合い、粒径の大きめの多結晶シリコン粉が生じるほどではないが、微細なシリコンダストについては若干量が再び生成する。従って、このシリコンダストの清浄化(除去)処理するのが好ましい。この清浄化工程では、多結晶シリコン破砕物にエアブローして含有されるシリコンダストを吹き飛ばすのが好ましい。具体的には、多結晶シリコン破砕物をベルトコンベアで搬送しつつ、上方若しくはベルトコンベアが網目状である場合は下方に設けた吹飛用気流噴射器を用いて、ベルトコンベア上の多結晶シリコン破砕物にエアーを吹き付けることにより、多結晶シリコン破砕物に含有されるシリコンダストを除去し、清浄化を行う。なお、こうしてベルトコンベア上に密集または積み重なった多結晶シリコン破砕物に対するエアブローでは、各破砕物に付着して含有される、粒径の大きめの多結晶シリコン粉を効果的に除去することが困難であることは前述のとおりである。
エアブロー処理において、吹飛用気流噴射器から噴射される気流は、噴射口単位面積(mm)当たりの8〜82L/分の噴出量であるのが好ましく、16〜60L/分であるのがより好ましい。噴射される気流の温度は、20〜25℃であるのが一般的である。多結晶シリコン破砕物を載置するベルトコンベアの走行速度は、1〜15m/分であるのが好ましく、2〜9m/分であるのがより好ましい。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
(実施例1)
シーメンス法により得たシリコンロッドを炭化タングステン製のハンマーにより砕いて、原料多結晶シリコン塊を得た。
図示する多結晶シリコン塊破砕装置としてのジョークラッシャー10の投入口に原料多結晶シリコン塊を投入し、多結晶シリコン破砕物の90質量%以上が4〜60mmの粒子サイズとなるように破砕した。図示した構成の装置において、吸引の有無により、下記の4態様での試験を行った。
A:吸引なし(比較例)
B:落下移動部の吸引のみ行った。
C:落下移動部およびトグルプレート周りの摺動部の吸引を行った。
D:落下移動部、トグルプレート周りおよび偏心回転軸周りの摺動部、およびプーリーカバー部の吸引を行った。

なお、多結晶シリコン塊破砕装置10は、可動歯24と固定歯14の材質は炭化タングステンであり、落下移動部32は、50cmの長さであった。多結晶シリコン塊破砕装置10の運転に際して、落下移動部32に対する、多結晶シリコン破砕物93の供給量は落下移動部32の単位断面積(cm)当たり80g/分であった。また、吸引除去部40の口径は、その断面積が落下移動部32における該吸引除去部40が設けられた部分の断面積の15%であり、吸引除去部40から5m/分の吸引量で吸気して破砕を実施した。
他方、摺動塵埃吸引部42については3m/分の吸引量で吸気し、摺動塵埃吸引部44については2m/分の吸引量で吸気し、摺動塵埃吸引部46については5m/分の吸引量で吸気した。投入口吸引部48については1m/分の吸引量で吸気した。
得られた多結晶シリコン破砕物について、粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉の含有量、および500μm未満のシリコンダスト量を測定した。また、表面金属汚染について、Na、Cr、Fe、Ni、Cu、Zn、CoおよびWの含有量を測定した。結果を表1に示す。
なお、多結晶シリコン粉の量、シリコンダスト量、および表面金属汚染は以下のように測定した。
(1)多結晶シリコン粉、およびシリコンダストの各含有量
約1kgの多結晶シリコン破砕物を2Lビーカーに入れ、該多結晶シリコン破砕物が完全に浸かるように超純水1Lを入れた。ビーカーを左右にゆっくり揺らし、多結晶シリコン破砕物の表面が完全に超純水と接触し、表面上の微粉を超純水中に浮遊させた。得られた微粉の浮遊液を1000μmメッシュフィルターに通液した後に、500μmメッシュフィルターに通液し、その後、1μmメッシュの濾紙にて微粉を捕集した。
捕集された500μmメッシュフィルター、および1μmメッシュの濾紙は110℃の乾燥庫にて12時間以上乾燥させ、500μmメッシュフィルターから回収された微粉の質量、および微粉の捕集前後の濾紙質量差にて500μm未満の微粉の質量を算出し、本分析にて使用された多結晶シリコンの質量を用いて多結晶シリコン粉およびシリコンダスト含有量を算出した。
この操作を再度実施し、新たに算出された多結晶シリコン粉およびシリコンダストの各含有量をそれぞれ、先に算出した値に加算し、さらに、該操作を、この加算による各々の増加量が、各加算前の含有量に対して5%以内に小さくなる一定値に達するまで繰り返し、これを最終値として多結晶シリコン粉の含有量およびシリコンダストの含有量を確定した。
(2)表面金属汚染
表面金属汚染は、多結晶シリコン破砕物の表面酸化層をフッ硝酸混合溶液により分解除去し、サンプル中の各金属元素を誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)にて分析し、定量した。
Figure 0006058610
(実施例2)
実施例1において、多結晶シリコン塊破砕装置10による原料多結晶シリコン塊の破砕を、多結晶シリコン破砕物の粒子サイズが、90質量%以上が2〜40mmとなるように破砕する以外、実施例1と同様に実施した。その結果を表2に示した。
Figure 0006058610
(実施例3)
実施例1において、多結晶シリコン塊破砕装置10による原料多結晶シリコン塊の破砕を、多結晶シリコン破砕物の粒子サイズが、90質量%以上が20〜90mmとなるように破砕する以外、実施例1と同様に実施した。その結果を表3に示した。
Figure 0006058610
10…ジョークラッシャー(多結晶シリコン塊破砕装置)
14…固定歯
24…可動歯
30…破砕部
30a…投入口
30b…排出口
32…落下移動部
34…受け部
40…吸引除去部
42、44、46…摺動塵埃吸引部

Claims (13)

  1. 多結晶シリコン塊を破砕して得られる多結晶シリコン破砕物であって、
    粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉の含有割合が0.1〜40ppmwである多結晶シリコン破砕物。
  2. 粒子サイズ500μm未満のシリコンダストの含有割合が3〜140ppmwである請求項1に記載の多結晶シリコン破砕物。
  3. 前記多結晶シリコン破砕物の90質量%以上が2〜90mmの粒子サイズである請求項1または請求項2に記載の多結晶シリコン破砕物。
  4. 前記多結晶シリコン破砕物の90重量%以上が4〜60mmの粒子サイズを有し、粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉の含有割合が1〜30ppmwであり、さらに、粒子サイズ500μm未満のシリコンダストの含有割合が10〜60ppmwである請求項1に記載の多結晶シリコン破砕物。
  5. 前記多結晶シリコン破砕物の90重量%以上が2〜40mmの粒子サイズを有し、粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉の含有割合が2〜40ppmwであり、さらに、粒子サイズ500μm未満のシリコンダストの含有割合が20〜140ppmwである請求項1に記載の多結晶シリコン破砕物。
  6. 前記多結晶シリコン破砕物の90重量%以上が20〜90mmの粒子サイズを有し、粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉の含有割合が0.5〜25ppmwであり、さらに、粒子サイズ500μm未満のシリコンダストの含有割合が5〜50ppmwである請求項1に記載の多結晶シリコン破砕物。
  7. 金属による表面汚染が0.5〜50ppbwである請求項1〜6の何れかに記載の多結晶シリコン破砕物。
  8. 表面汚染の金属が、Na、Cr、Fe、Ni、Cu、Zn、CoおよびWからなる群を包含する請求項7に記載の多結晶シリコン破砕物。
  9. 原料投入口から投入された原料多結晶シリコン塊を、外力負荷部材の可動により機械的に破砕して、粒子サイズ500〜1000μmの多結晶シリコン粉を含む多結晶シリコン破砕物を生成し、これを排出口から出す破砕部と、
    前記破砕部の下方に続いており、前記排出口から出た前記多結晶シリコン破砕物を重力に従って落下移動させる落下移動部と、
    前記落下移動部の下方に位置し、前記落下移動部を前記落下移動した後の前記多結晶シリコン破砕物を受けとめる受け部と、を有し、
    前記落下移動部は、前記多結晶シリコン破砕物に含まれる前記多結晶シリコン粉の少なくとも一部を、前記落下移動の方向とは異なる方向に吸引して除去する吸引除去部を、有し、
    前記吸引除去部は、1〜20m /分の吸引量で吸気することを特徴とする多結晶シリコン塊破砕装置。
  10. 前記外力負荷部材は、可動する可動歯と、固定された固定歯とを有し、前記破砕部は、上方の前記原料投入口から投入された前記原料多結晶シリコン塊を、前記可動歯と前記固定歯との間に挟んで破砕し、これを下方の前記排出口から出す構造である請求項9記載の多結晶シリコン塊破砕装置。
  11. 前記外力負荷部材の可動に伴い摺動する摺動部から生じる摺動塵埃を吸引する摺動塵埃吸引部を有することを特徴とする、請求項9または請求項10に記載の多結晶シリコン塊破砕装置。
  12. 請求項9〜11の何れかに記載の多結晶シリコン塊破砕装置を用いる多結晶シリコン破砕物の製造方法。
  13. 前記受け部で受けとめられた前記多結晶シリコン破砕物に、エアーを吹き付けるエアブロー工程を有することを特徴とする請求項12に記載の多結晶シリコン破砕物の製造方法。
JP2014210124A 2014-10-14 2014-10-14 多結晶シリコン破砕物、多結晶シリコン破砕物の製造方法および多結晶シリコン塊破砕装置 Active JP6058610B2 (ja)

Priority Applications (10)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014210124A JP6058610B2 (ja) 2014-10-14 2014-10-14 多結晶シリコン破砕物、多結晶シリコン破砕物の製造方法および多結晶シリコン塊破砕装置
US15/518,637 US10307763B2 (en) 2014-10-14 2015-10-09 Polycrystalline silicon fragment, method for manufacturing polycrystalline silicon fragment, and polycrystalline silicon block fracture device
EP15850909.1A EP3208236B1 (en) 2014-10-14 2015-10-09 Polycrystalline silicon fragment, method for manufacturing polycrystalline silicon fragment, and polycrystalline silicon block fracture device
KR1020177007285A KR101817047B1 (ko) 2014-10-14 2015-10-09 다결정 실리콘 파쇄물, 다결정 실리콘 파쇄물의 제조 방법 및 다결정 실리콘 덩어리 파쇄 장치
MYPI2017000556A MY182043A (en) 2014-10-14 2015-10-09 Polycrystalline silicon fragment, method for manufacturing polycrystalline silicon fragment, and polycrystalline silicon block fracture device
PCT/JP2015/078723 WO2016060076A1 (ja) 2014-10-14 2015-10-09 多結晶シリコン破砕物、多結晶シリコン破砕物の製造方法および多結晶シリコン塊破砕装置
SG11201703107QA SG11201703107QA (en) 2014-10-14 2015-10-09 Polycrystalline silicon fragment, method for manufacturing polycrystalline silicon fragment, and polycrystalline silicon block fracture device
CN201580054867.8A CN106794992B (zh) 2014-10-14 2015-10-09 多晶硅破碎物、其制造方法及多晶硅块破碎装置
TW104133472A TWI686352B (zh) 2014-10-14 2015-10-13 多結晶矽破碎物、多結晶矽破碎物的製造方法及多結晶矽塊破碎裝置
US16/385,816 US11590509B2 (en) 2014-10-14 2019-04-16 Method for manufacturing polycrystalline silicon fragment and polycrystalline silicon block fracture device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014210124A JP6058610B2 (ja) 2014-10-14 2014-10-14 多結晶シリコン破砕物、多結晶シリコン破砕物の製造方法および多結晶シリコン塊破砕装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2016079053A JP2016079053A (ja) 2016-05-16
JP2016079053A5 JP2016079053A5 (ja) 2016-12-08
JP6058610B2 true JP6058610B2 (ja) 2017-01-11

Family

ID=55955968

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014210124A Active JP6058610B2 (ja) 2014-10-14 2014-10-14 多結晶シリコン破砕物、多結晶シリコン破砕物の製造方法および多結晶シリコン塊破砕装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6058610B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024171843A1 (ja) * 2023-02-14 2024-08-22 株式会社トクヤマ 多結晶シリコン破砕混合物の風力選別装置、及び該装置を用いた多結晶シリコン破砕混合物からのチャンク状物、チップ状物、又は粉状物の製造方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06144822A (ja) * 1992-10-30 1994-05-24 Tonen Chem Corp 高純度微細シリコン粒子の製造方法及び高純度微細シリコン粒子を用いた高純度多結晶シリコンの製造方法
JP4658453B2 (ja) * 2002-11-14 2011-03-23 ヘムロック・セミコンダクター・コーポレーション 流動性チップ、それを製造する方法及び使用する方法並びにその方法の実施に用いる装置
US7291222B2 (en) * 2004-06-18 2007-11-06 Memc Electronic Materials, Inc. Systems and methods for measuring and reducing dust in granular material
DE102004048948A1 (de) * 2004-10-07 2006-04-20 Wacker Chemie Ag Vorrichtung und Verfahren zum kontaminationsarmen, automatischen Brechen von Siliciumbruch
DE102010039752A1 (de) * 2010-08-25 2012-03-01 Wacker Chemie Ag Polykristallines Silicium und Verfahren zu dessen Herstellung

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016079053A (ja) 2016-05-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2016060076A1 (ja) 多結晶シリコン破砕物、多結晶シリコン破砕物の製造方法および多結晶シリコン塊破砕装置
JP5675531B2 (ja) 多結晶シリコン及びその製造方法
JP6420777B2 (ja) 清浄化された多結晶シリコン塊破砕物の製造装置、及び該製造装置を用いた、清浄化された多結晶シリコン塊破砕物の製造方法
JP5714646B2 (ja) 多結晶シリコン
JP6290423B2 (ja) ポリシリコンの分級
TW201418111A (zh) 多晶矽之包裝
JP5885957B2 (ja) 粒子分級装置
JP6058610B2 (ja) 多結晶シリコン破砕物、多結晶シリコン破砕物の製造方法および多結晶シリコン塊破砕装置
JP7005627B2 (ja) ポリシリコンのための分離装置
CN205587117U (zh) 一种电熔镁砂破碎分离系统
JP6420640B2 (ja) 多結晶シリコン塊破砕装置、多結晶シリコン破砕物の製造方法及び多結晶シリコン破砕物
WO2024171843A1 (ja) 多結晶シリコン破砕混合物の風力選別装置、及び該装置を用いた多結晶シリコン破砕混合物からのチャンク状物、チップ状物、又は粉状物の製造方法
CN105903533B (zh) 一种电熔镁砂破碎分离方法
JP2014015346A (ja) マグネシウム基水素化物の粉体の製造方法及び製造装置
CN104973601A (zh) 一种超纯超细金属硅粉的生产方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161021

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161021

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20161021

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20161124

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161129

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161207

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6058610

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150