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JP6052755B1 - ヘッドマウントディスプレイ - Google Patents

ヘッドマウントディスプレイ Download PDF

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JP6052755B1
JP6052755B1 JP2016136145A JP2016136145A JP6052755B1 JP 6052755 B1 JP6052755 B1 JP 6052755B1 JP 2016136145 A JP2016136145 A JP 2016136145A JP 2016136145 A JP2016136145 A JP 2016136145A JP 6052755 B1 JP6052755 B1 JP 6052755B1
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太一 田端
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Abstract

【課題】装着性および取り外し性を向上させたヘッドマウントディスプレイを提供する。【解決手段】ヘッドマウントディスプレイ100は、映像を表示可能なディスプレイ部10と、ディスプレイ部10に取り付けられ、観察者の頭部を側面から挟み込み、ディスプレイ部10を観察者の頭部に固定するように支持するための少なくとも二つの頭部支持部材20とを備える。二つの頭部支持部材20の各々は、ディスプレイ部10に取り付けられた第1端32および第1端32とは逆側に位置した第2端34を有し、観察者の頭部の側面を押圧する方向への付勢力を有する主支持部材30と、主支持部材30の第2端34に回動可能に取り付けられた可動支持部材40とを備える。主支持部材30の長手方向の長さが、可動支持部材40の長手方向の長さより大きく、二つの主支持部材30の第1端32の間隔が、二つの主支持部材30の第2端34の間隔より大きい。【選択図】図1

Description

本開示は、ヘッドマウントディスプレイに関する。
近年、仮想現実(VR;virtual reality)の映像技術が進歩しており、この分野について市場が拡大しつつある。そして、仮想現実において映像を表示するため、観察者が頭部に装着するヘッドマウントディスプレイ(HMD;head mount display)について、種々の技術が提案されている。特許文献1、2は、特に頭部への適切な装着を可能とするヘッドマウントディスプレイの構成について提案している。
特許文献1は、前面からの着脱が容易で、後頭部に干渉部のない支持機構を有する頭部装着型ディスプレイ装置(ヘッドマウントディスプレイ)を提案している。この頭部装着型ディスプレイ装置は、映像表示装置本体部と、映像表示装置本体部より延在配置され観察者の頭部による保持を行う頭部保持装置とを有する。そして、頭部保持装置が、映像表示装置本体部とほぼ対抗する部分を一部切除した四方包囲形状のフレ−ム部と、該包囲形状の内側に向かって保持力を生ずるようにフレ−ム部の内側に設けた押圧支持部と、押圧支持部に生ずる保持力の大きさを可変とするよう保持力の大きさの調節を行う保持力調節手段とを有する。
特許文献2は、観察者の頭部の所要保持位置に対して、ディスプレイ本体部を簡単且つ容易な操作により、常に正しく装着し得るようにする構成を提案している。頭部支持手段が、ディスプレイ本体部の少なくとも一部に結合、又は一体化され、観察者の頭部側を内径方向にして弯曲、又は屈曲された形状を有する基体フレーム部材と、基体フレーム部材の少なくとも一部に連接されると共に、該連接部を支点にして基体フレーム部材、及びディスプレイ本体部を観察者の頭部へ保持、又は解放させる方向に向け、選択的に作動可能にされた可動フレーム部材とによって構成する。
特開平7−84210号公報 特開平7−333547号公報
特許文献1、2等で提案されている従来のヘッドマウントディスプレイは、頭部への装着に所定の時間を要するものであり、速やかな装着が可能に適したものとは言い難い。また、頭部からの取り外しにも時間がかかるものであるため、観察者が何かに衝突したときの様に、仮想現実への没入状態から現実世界にすぐに戻る必要が生じた場合であっても、速やかな対応が困難な場合がある。
本開示は、頭部への装着および取り外しの操作性を向上させたヘッドマウントディスプレイに関する。
本開示のヘッドマウントディスプレイは、映像を表示可能なディスプレイ部と、前記ディスプレイ部に取り付けられ、観察者の頭部を側面から挟み込み、前記ディスプレイ部を観察者の頭部に固定するように支持するための少なくとも二つの頭部支持部材と、を備え、 前記二つの頭部支持部材の各々は、前記ディスプレイ部に取り付けられた第1端および当該第1端とは逆側に位置した第2端を有し、観察者の頭部の側面を押圧する方向への付勢力を有する主支持部材と、前記主支持部材の前記第2端に回動可能に取り付けられた可動支持部材と、を備え、前記主支持部材の長手方向の長さが、前記可動支持部材の長手方向の長さより大きく、二つの主支持部材の前記第1端の間隔が、二つの主支持部材の前記第2端の間隔より大きい。
本開示のヘッドマウントディスプレイによれば、装着性および取り外し性を向上させることができる。
図1は、実施形態のヘッドマウントディスプレイの斜視図である。 図2は、ヘッドマウントディスプレイを観察者の頭部に装着する際の側面図である。 図3は、ヘッドマウントディスプレイを観察者の頭部に装着した状態の側面図である。 図4は、観察者の頭部へ装着していない状態のヘッドマウントディスプレイの平面図である。 図5は、観察者の頭部へ装着した状態のヘッドマウントディスプレイの平面図である。 図6は、図1のP部分の内部を示す拡大図であって、主支持部材と可動支持部材の連結部分の構造を示す斜視図である。 図7は、連結部分等を含む分解斜視図である。 図8は、図6のX−X線に沿った断面図である。 図9は、ヘッドマウントディスプレイの装着前の状態を示す図であり、図9(a)は上から見た平面図、図9(b)は横から見た連結部分の内部を示す側面図である。 図10は、ヘッドマウントディスプレイの装着時の動作を示す図であり、図10(a)は上から見た平面図、図10(b)は横から見た連結部分の内部を示す側面図である。 図11は、図10の状態においてリリースボタンを押した際のヘッドマウントディスプレイの動作を示す図であり、図11(a)は上から見た平面図、図11(b)は横から見た連結部分の内部を示す側面図である。 図12は、図10の状態において可動支持部材に過度な力が作用した際のヘッドマウントディスプレイの動作を示す図であり、図12(a)は上から見た平面図、図12(b)は横から見た連結部分の内部を示す側面図である。
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係るヘッドマウントディスプレイを具体的に開示した実施形態(以下、「本実施形態」という)を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
以下、本開示を実施するための好適な本実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(全体構成)
図1は、本開示の一実施形態に係るヘッドマウントディスプレイ(HMD;head mount display)の斜視図である。ヘッドマウントディスプレイは観察者の頭部に装着され、仮想現実(VR;virtual reality)の映像(静止画及び動画を含む)を表示することにより、観察者に仮想現実の体験を提供する装置であり、頭部装着型である仮想現実映像の表示装置ということができる。本実施形態のヘッドマウントディスプレイ100はいわゆる没入型と呼ばれるものであり、ヘッドマウントディスプレイ100を頭部に装着した観察者が、専ら仮想現実の映像のみを視認するタイプのものである。しかしながら本発明は、没入型のヘッドマウントディスプレイには限定されず、例えば、現実世界に仮想現実の映像を重ね合わせて表示するタイプのヘッドマウントディスプレイにも適用可能である。
ヘッドマウントディスプレイ100はディスプレイ部10と、少なくとも二つの(1組の)頭部支持部材20とを備える。ディスプレイ部10は、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス装置等の映像を表示する装置を含んでおり、ヘッドマウントディスプレイ100を装着する観察者に対し、高精細な映像を表示するための装置である。ディスプレイ部10の形状や映像表示方式などの具体的な態様は特に限定されない。
少なくとも二つの頭部支持部材20は、ディスプレイ部10の略両端部に取り付けられている。図2に示すように、ヘッドマウントディスプレイ100を観察者の頭部Hに向かうように装着方向Aに移動させることにより、観察者の頭部Hが二つの頭部支持部材20の間に画定される空間S(図1参照)に位置する。このとき、二つの頭部支持部材20は、観察者の頭部Hを両側面から挟み込み、図3に示すように、ディスプレイ部10を観察者の頭部H、特に頭部Hの前面に固定するように支持する。
二つの頭部支持部材20の各々は、主支持部材30と、可動支持部材40とを備えている。主支持部材30は、ディスプレイ部10に取り付けられた第1端32および第1端32とは逆側に位置した第2端34を有し、観察者の頭部Hの側面を押圧する方向への付勢力を有している。主支持部材30は、長尺状に延びたフレーム状の形状を有し、例えば樹脂製の板ばねより構成されているが、主支持部材30を構成する材料は特に限定されない。
また、頭部支持部材20の主支持部材30は、その第1端32がヒンジ部14を介して、ディスプレイ部10の略両端において、上下方向B(図3)に回動可能に取り付けられている。このように、主支持部材30を含めた頭部支持部材20が上下方向に可動なため、人の違いによる耳の高さの違いといった個人差や、各人の左右の耳の高さの違いを吸収することができる。
可動支持部材40は、主支持部材30の第2端34にヒンジ軸36(図4等参照)を中心として回動可能に取り付けられた第1端33および第1端33とは逆側に位置した第2端35を有している。図から明らかなように、主支持部材30の長手方向の長さは、可動支持部材40の長手方向の長さより大きい。主支持部材30の長手方向の長さが、可動支持部材40の長手方向の長さより大きいため、二つの主支持部材30により、観察者の頭部Hを側面から確実に挟み込むことができる。
図4は観察者の頭部Hへの装着前および後のように、観察者の頭部へ装着していない状態のヘッドマウントディスプレイ100を上から見た平面図であり、ヒンジ軸36を中心として可動支持部材40が回動方向(開き方向及び閉じ方向)Cに回動する。図4の状態では、可動支持部材40は外側に回動し、互いに離間した状態である。本図から明らかなように、二つの主支持部材30の第1端32の間隔K1は、二つの主支持部材30の第2端34の間隔K2より大きい。すなわち、ヘッドマウントディスプレイ100の前方から後方にかけて、二つの頭部支持部材20(二つの主支持部材30)の間隔が狭くなっており、主支持部材30の観察者の頭部Hの側面を押圧する方向への付勢力が有効に機能して、ヘッドマウントディスプレイ100を確実に頭部Hに固定することができる。
また、二つの可動支持部材40が互いに離間する様に回動した状態において、二つの可動支持部材40の第1端33の間隔K3に対して、二つの可動支持部材40の第2端35の間隔K4の方が大きくなる。このような構成により、装着時においてヘッドマウントディスプレイ100を装着方向Aに移動させても、頭部Hと可動支持部材40の第2端35との干渉を抑えることが可能となる。また、主支持部材30の付勢力に逆らい、主支持部材30の第2端34の間隔K2を少し広げることで、さらに、スムーズな装着が可能となる。よって、一般の眼鏡の様にヘッドマウントディスプレイ100を観察者の頭部Hの正面から装着することができ、髪型の崩れも防止できるため、装着性が向上する。
図5は観察者の頭部Hに装着した状態のヘッドマウントディスプレイ100を上から見た平面図である。可動支持部材40は内側に回動し、互いに接近した状態である。この状態で、二つの可動支持部材40はロック状態になるとともに、観察者の頭部Hの後面を支持する。また、ディスプレイ部10には、観察者の頭部H、特に頭部Hの前面に当接する弾性部材12を備えている。弾性部材12はスポンジ、ゴムなどの弾性を有する部材により構成され、観察者の目の周りを覆うフェイスパッドとして機能するとともに、観察者の頭部Hの前面を押圧可能である。すなわち、弾性部材12によって、ヘッドマウントディスプレイ100のずれを防止するとともに、目の周囲から漏光を防ぐことが可能である。
また、弾性部材12には凹凸面やラビリンス構造の穴を設けることも可能であり、このような構成により、漏光を防ぐとともに蒸れを防ぐことができる。弾性部材12をディスプレイ部10から取外し可能な構成にしてもよく、異なる観察者の間でディスプレイ部10を共用しつつ、観察者ごとに弾性部材12を取り換えて使用することができるため、清潔性を確保することができる。
すなわち、弾性部材12が観察者の頭部Hの前面を押圧力E1で押圧可能であり、互いに接近する様に、閉じ方向に回動した二つの可動支持部材40が頭部Hの後面を押圧力E2で押圧可能であるため、ヘッドマウントディスプレイ100は前後方向Eにおいて安定的に頭部Hに固定される。また、既に述べた通り、主支持部材30は、観察者の頭部Hの側面を押圧する方向への付勢力D1、D2を有しており、ヘッドマウントディスプレイ100は左右方向Dにおいて安定的に頭部Hに固定される。よって、ヘッドマウントディスプレイ100の頭部Hへの良好なフィッティング性を得ることができる。尚、二つの可動支持部材40は任意の位置でロック状態になるため、頭部Hの大きさに合わせて可動支持部材40を所定の位置に固定することができる。
さらにヘッドマウントディスプレイ100は、可動支持部材40のロック状態を解除可能な解除部材としてのリリースボタン38を備えている。リリースボタン38を押さえることにより、図5の状態の可動支持部材40は、開き方向に回動して離間し(図11参照)、ヘッドマウントディスプレイ100を容易に観察者の頭部Hから取外すことが可能となるため、取り外し性が向上する。また、ヘッドマウントディスプレイ100に過度な力が加わった場合も、リリースボタン38を押さえることなくロック状態が解除されて開き方向に回動する。以下、可動支持部材40の動作機構について詳述する。
(連結部分の構成)
図6は、図1のP部分の内部を示す拡大図であって、主支持部材30と可動支持部材40の連結部分50の構造を示す斜視図である。上述した様に、可動支持部材40は、主支持部材30の第2端34に、連結部分50のヒンジ軸36を中心として回動方向Cに回動可能に取り付けられている。
図7は、連結部分50等を含む分解斜視図である。連結部分50において、上から順に蓋51、位置決め部材52、固定部材53、第1のコイルばね(第1の付勢部材)54、第1の規制カム55、移動カム56、第2の規制カム57、第2のコイルばね(第2の付勢部材)58、ねじりコイルばね(第3の付勢部材)59が配列されている。ヒンジ軸36が蓋51からねじりコイルばね59までの全ての部材の中央の貫通穴と、主支持部材30の第2端34の収納空間34a、可動支持部材40の本体42の収納空間42aをも貫通している。また、第2の規制カム57の一端には、解除部材としてのリリースボタン38が取り付けられており、ヒンジ軸36から離れた位置である、主支持部材30の第2端34に配置されている。
図8は、図6のX−X線に沿った断面図であり、見る方向の関係からリリースボタン38は頂部のみが示されており、位置決め部材52は示されていない。蓋51、位置決め部材52、固定部材53、第1のコイルばね54は、可動支持部材40の本体42の収納空間42aに収納されている。移動カム56、第2の規制カム57、第2のコイルばね58、ねじりコイルばね59は、主支持部材30の第2端34の収納空間34aに収納されている。第1の規制カム55は、収納空間42aと収納空間34aの両方に跨るように収納されている。
蓋51は、収納空間42aの上面を塞ぐ部材である。位置決め部材52は、リリースボタン38を所定の位置に保持し、その位置を決める部材である。固定部材53は、各部材の中央の貫通穴を貫通したヒンジ軸36の端部を、その貫通穴で保持するとともに、可動支持部材40の本体42に固定する部材である。よって、ヒンジ軸36が回転することにより、追随して固定部材53、可動支持部材40の本体42も必ず回転(回動)する。
第1のコイルばね54および第2のコイルばね58は、図8の状態で圧縮されており、ヒンジ軸36に取り付けられた第1の規制カム55、移動カム56、第2の規制カム57を下方向へ又は上方向へ付勢力により付勢して押し付ける役割を果たす。第1のコイルばね54はその付勢力により、第1の規制カム55、移動カム56、第2の規制カム57を下方向へ付勢して押し下げる。一方、第2のコイルばね58はその付勢力により、第1の規制カム55、移動カム56、第2の規制カム57を上方向へ付勢して押し上げる。本実施形態では、第1のコイルばね54の付勢力は、第2のコイルばね58の付勢力より大きくなるように設定されている(第1のコイルばね54の付勢力>第2のコイルばね58の付勢力)。
第1の規制カム55は、移動カム56と係合した状態では移動カム56の動きを規制するとともに、移動カム56との係合を解除した非係合状態をとることも可能であり、移動カム56に対し相対的に回転することも可能である。第1の規制カム55の動作については後に詳細に説明する。
移動カム56は、第1の規制カム55または第2の規制カム57と係合状態または非係合状態をとるように、第1の規制カム55または第2の規制カム57に対し相対的に移動し、可動支持部材40の回動が可能な回動可能状態、または可動支持部材40の回動をロックし、可動支持部材40を所定の位置に固定するロック状態を実現する。移動カム56の動作については後に詳細に説明する。
第2の規制カム57は、移動カム56と係合した状態では移動カム56の動きを規制するとともに、移動カム56との係合を解除した非係合状態をとることも可能であり、移動カム56に対し相対的に回転することも可能である。また、図7に示すように、第2の規制カム57の一端にはリリースボタン38が取り付けられており、リリースボタン38をもって第2の規制カム57を押し下げる解除動作を実現する。第2の規制カム57の動作については後に詳細に説明する。
ねじりコイルばね59は、一端が可動支持部材40の本体42に形成された係合溝42b(図7参照)に係合しているとともに、主支持部材30の第2端34の収納空間34aの定位置に固定されている(図8参照)。このため、図4から図5のように可動支持部材40が閉じた状態では、ねじりコイルばね59にトルク(ねじりモーメント)が作用する。そして、リリースボタン38による解除動作の際に、このトルクが解放されて発生する付勢力によって図4のように可動支持部材40が開いた状態を実現する。ねじりコイルばね59の動作についても後に詳細に説明する。
図9は、ヘッドマウントディスプレイ100の装着前の状態を示す図であり、図9(a)は上から見た平面図、図9(b)は横から見た連結部分50の内部を示す側面図である。
この状態では、第1のコイルばね54の付勢力α1および第2のコイルばね58の付勢力β1の双方が有効に作用し、三つのカムが密着し、係合している。すなわち、上方からの下向きの付勢力α1と、下方からの上向きの付勢力β1により、第1の規制カム55、移動カム56、第2の規制カム57が第1のコイルばね54と第2のコイルばね58の間に挟み込まれ、密着した状態になり係合している。また、ねじりコイルばね59にはある程度のトルクは作用しているが、さらに可動支持部材40を開くほどの付勢力は発生していない。
図10は、ヘッドマウントディスプレイ100の装着する際の動作を示す図であり、図10(a)は上から見た平面図、図10(b)は横から見た連結部分50の内部を示す側面図である。観察者の頭部Hが空間Sに配置された状態で、可動支持部材40を閉じる回動方向C1(閉じ方向)に回動させる力を加える。このとき、ヒンジ軸36とともに、可動支持部材40の本体42に固定された固定部材53、第1のコイルばね54の強い付勢力α1によって押し下げられている第1の規制カム55、移動カム56も回動方向C1に移動する。この状態は実質的に図5の状態と同じであるが、図5の状態に比べて、さらに閉じた状態、すなわち二つの可動支持部材40が図5の状態に比べてさらに接近した状態を示している。
ここで、先に説明したように、第1のコイルばね54の付勢力α1は、第2のコイルばね58の付勢力β1より大きい(第1のコイルばね54の付勢力α1>第2のコイルばね58の付勢力β1)。よって、第1のコイルばね54の付勢力によって、第1の規制カム55を介して下向きに付勢された移動カム56が、第2のコイルばね58の上向きの付勢力に抗して、第2の規制カム57を下側に押し下げつつ、第2の規制カム57との係合を解除し、第2の規制カム57とは独立して回動方向C1に回転する。すなわち、図10(b)に示すように、移動カム56の下面に形成された鋸刃状の係合歯56aが、第2の規制カム57の上面に形成された鋸刃状の係合歯57aとの係合を解除し、係合歯57aを乗り越えることにより、第2の規制カム57との係合が解除された移動カム56は回動方向C1に回転する。
移動カム56の下面に形成された鋸刃状の係合歯56aは、移動カム56の本体に対して大きく傾斜するように形成された傾斜面56a1と、移動カム56の本体に対して傾斜が実質的にない垂直に起立した垂直面56a2とを含む。一方、第2の規制カム57の上面に形成された鋸刃状の係合歯57aも、第2の規制カム57の本体に対して大きく傾斜した傾斜面57a1と、第2の規制カム57の本体に対して傾斜が実質的にない垂直に起立した垂直面57a2とを含む(図8参照)。回動方向C1は、図9の状態で密着した垂直面56a2と垂直面57a2とを引き離す方向であるため、係合歯56aは、係合歯57aを容易に乗り越えることができる。
可動支持部材40に対し、回動方向C1に回動させる力を加えるのをやめた位置で、第1のコイルばね54と第2のコイルばね58が、図9と同じ状態になり、第1の規制カム55、移動カム56、第2の規制カム57も図9における位置と同じ位置になり、移動カム56と第2の規制カム57が再び係合する。このとき係合歯56aが係合歯57aと再び係合する。このとき、回動方向C1と逆方向の回動方向C2(図8、図11参照)、すなわち二つの可動支持部材40を開く方向に多少の力(過度の力ではない所定の値より小さい力)がかかっても、可動支持部材40が開くことはない。回動方向C2は、垂直面56a2と垂直面57a2とをさらに押し付け合う方向となるため、係合歯56aが係合歯57aを容易に乗り越えることができないからである。よって、観察者がヘッドマウントディスプレイ100を頭部Hに装着した状態で、不用意に可動支持部材40を開く力が働いても容易に可動支持部材40が開くことはないため、容易に装着がずれてしまうのを防止することができる。
また、図9の状態では、移動カム56の上面に形成された凹凸状の凹凸状係合部56bと、第1の規制カム55の下面に形成された凹凸状の凹凸状係合部55b(図7参照)が、互いに係合している。第1のコイルばね54によって第1の規制カム55は、移動カム56の側に付勢されており、この係合は図10の動作においても解除されない。
また図10では、ねじりコイルばね59に、回動方向C1(閉じ方向)のねじり力が加えられてトルク(ねじりモーメント)が作用し、ねじり状態となったねじりコイルばね59はこのトルクを保持している。
図11は、図10の状態からリリースボタン38を押した際のヘッドマウントディスプレイ100の動作を示す図であり、図11(a)は上から見た平面図、図11(b)は横から見た連結部分50の内部を示す側面図である。リリースボタン38を押圧方向Fに押すと、リリースボタン38に接続した第2の規制カム57もヒンジ軸36の軸方向に沿って押し下げられ、第2の規制カム57と移動カム56の係合が解除する。そして、図10の閉じ状態でねじりコイルばね59に発生したトルクが解放され、このトルクと反対方向に働く付勢力をもって、可動支持部材40が回動方向C2(開き方向)に回動し、開き状態が実現される。すなわち、可動支持部材40が開き、観察者の頭部Hからヘッドマウントディスプレイ100を容易に取外すことができるようになり、取り外し性が向上する。
図12は、図11のような正常な取り外しとは異なり、図10の閉じ状態から可動支持部材40を無理に開いた時の様に、可動支持部材40に対し、開き方向に過度な力が作用した際のヘッドマウントディスプレイ100の動作を示す図であり、図12(a)は上から見た平面図、図12(b)は横から見た連結部分50の内部を示す側面図である。図10の状態では、第1の規制カム55の下面に形成された凹凸状係合部55bが、移動カム56の上面に形成された凹凸状係合部56bと係合している。
上述したように、可動支持部材40を開く回動方向C2に(過度の力ではない、所定値より小さい)多少の力を加えても、係合歯56aが係合歯57aを容易に乗り越えることができないため、移動カム56と第2の規制カム57との係合が解除されず、可動支持部材40は動かない。しかしながら、無理に開いた時の様に過度の開く力(所定値以上の力)が加えられた場合でもこのような係合を維持し続けると、各部材に破損が発生する恐れがある。また、観察者等の安全が損なわれる恐れもある。
そこで本実施形態では、図12(b)に示すように、過度の開く力に対応して、第1の規制カム55が、第1のコイルばね54の強い付勢力α1(図9参照)に抗して、より強い押上げ力α2をもって第1のコイルばね54を圧縮しつつ、上方に移動する。そして凹凸状係合部55bが、凹凸状係合部56bを乗り越えることにより、凹凸状係合部55bと凹凸状係合部56bの係合が解除される(図7参照)。そして、第1の規制カム55と移動カム56との係合が解除する。この結果、第1の規制カム55は、移動カム56とは独立して、回動方向C2(開き方向)に回転し、可動支持部材40も回動方向C2に回動する。
移動カム56の上面に形成された凹凸状係合部56bは、移動カム56の本体に対し大きく傾斜した傾斜面56b1と、移動カム56の本体に対し傾斜が実質的にない垂直に起立した垂直面56b2とを含む(図7参照)。一方、第1の規制カム55の下面に形成された凹凸状係合部55bも、第1の規制カム55の本体に対し大きく傾斜した傾斜面55b1と、第1の規制カム55の本体に対し傾斜が実質的にない垂直に起立した垂直面55b2とを含む(図7参照)。回動方向C2は、図10の状態で密着した垂直面56b2と垂直面55b2とを引き離す方向であるため、凹凸状係合部55bは、凹凸状係合部56bを容易に乗り越えることができる。この結果、可動支持部材40のロック状態が解除されて回動が可能となり、破壊を防止するとともに、不意の衝突などの過度の力を逃がすことができ、安全性を確保することができる。
尚、ヘッドマウントディスプレイ100は、上述したものには限らす、種々の改変が可能である。例えばリリースボタン38の位置は任意であり、実施形態の様にヒンジ軸36の近傍に配置してもよいし、ディスプレイ部10や主支持部材30内であって、観察者の目の近傍に配置してもよい。また、頭部Hの上部(頭頂部)を支持するようなアームの様な部材を追加してもよい。
また、頭部支持部材20をディスプレイ部10から取外し可能な構成にしてもよいし、頭部支持部材20の一部を破壊しやすい構造にしてもよい。ヘッドマウントディスプレイ100の装着中に過度な力がかかった場合に、ヘッドマウントディスプレイ100が容易に外れるようになり、より安全性を確保することができる。
また、別途カメラなどを取り付け、何かの物体に衝突した際に、ディスプレイ部10が映像を仮想現実から現実世界の映像に切り替えるように構成することも可能である。また、ヘッドマウントディスプレイ100にストラップ等を取り付け、観察者の首にかけることにより、図11や図12の状態においてヘッドマウントディスプレイ100が落下するのを防止することも可能である。
以上、図面を参照して本開示に係るヘッドマウントディスプレイの実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
本開示のヘッドマウントディスプレイは、装着および取り外しが容易であり、不用意な破壊を抑制し、安全性も確保されているため、快適な仮想現実の映像を楽しむために有用である。
10 ディスプレイ部
12 弾性部材
14 ヒンジ部
20 頭部支持部材
30 主支持部材
32、33 第1端
34、35 第2端
36 ヒンジ軸
38 リリースボタン(解除部材)
40 可動支持部材
50 連結部分
51 蓋
52 位置決め部材
53 固定部材
54 第1のコイルばね(第1の付勢部材)
55 第1の規制カム
56 移動カム
57 第2の規制カム
58 第2のコイルばね(第2の付勢部材)
59 ねじりコイルばね(第3の付勢部材)
100 ヘッドマウントディスプレイ
H 観察者の頭部

Claims (7)

  1. 映像を表示可能なディスプレイ部と、
    前記ディスプレイ部に取り付けられ、観察者の頭部を側面から挟み込み、前記ディスプレイ部を観察者の頭部に固定するように支持するための少なくとも二つの頭部支持部材と、を備え、
    前記二つの頭部支持部材の各々は、
    前記ディスプレイ部に取り付けられた第1端および当該第1端とは逆側に位置した第2端を有し、観察者の頭部の側面を押圧する方向への付勢力を有する主支持部材と、
    前記主支持部材の前記第2端に回動可能に取り付けられた可動支持部材と、を備え、
    前記主支持部材の長手方向の長さが、前記可動支持部材の長手方向の長さより大きく、
    二つの主支持部材の前記第1端の間隔が、二つの主支持部材の前記第2端の間隔より大きく、
    前記主支持部材の前記第1端が、上下方向に回動可能である、ヘッドマウントディスプレイ。
    電子機器。
  2. 映像を表示可能なディスプレイ部と、
    前記ディスプレイ部に取り付けられ、観察者の頭部を側面から挟み込み、前記ディスプレイ部を観察者の頭部に固定するように支持するための少なくとも二つの頭部支持部材と、を備え、
    前記二つの頭部支持部材の各々は、
    前記ディスプレイ部に取り付けられた第1端および当該第1端とは逆側に位置した第2端を有し、観察者の頭部の側面を押圧する方向への付勢力を有する主支持部材と、
    前記主支持部材の前記第2端に回動可能に取り付けられた可動支持部材と、を備え、
    前記主支持部材の長手方向の長さが、前記可動支持部材の長手方向の長さより大きく、
    二つの主支持部材の前記第1端の間隔が、二つの主支持部材の前記第2端の間隔より大きく、
    二つの前記可動支持部材が互いに離間する様に回動した状態において、前記主支持部材に回動可能に取り付けられた二つの前記可動支持部材の第1端の間隔に対して、当該第1端とは逆側に位置した二つの第2端の間隔の方が大きくなる、ヘッドマウントディスプレイ。
  3. 映像を表示可能なディスプレイ部と、
    前記ディスプレイ部に取り付けられ、観察者の頭部を側面から挟み込み、前記ディスプレイ部を観察者の頭部に固定するように支持するための少なくとも二つの頭部支持部材と、を備え、
    前記二つの頭部支持部材の各々は、
    前記ディスプレイ部に取り付けられた第1端および当該第1端とは逆側に位置した第2端を有し、観察者の頭部の側面を押圧する方向への付勢力を有する主支持部材と、
    前記主支持部材の前記第2端に回動可能に取り付けられた可動支持部材と、を備え、
    前記主支持部材の長手方向の長さが、前記可動支持部材の長手方向の長さより大きく、
    二つの主支持部材の前記第1端の間隔が、二つの主支持部材の前記第2端の間隔より大きく、
    前記可動支持部材が所定の位置において固定されるロック状態となり、
    さらに当該ロック状態を解除可能な解除部材を有する、ヘッドマウントディスプレイ。
  4. 請求項に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
    前記可動支持部材が、前記主支持部材の前記第2端に対し、ヒンジ軸をもって回動可能に取り付けられ、
    前記ヒンジ軸には、第1の規制カムと、移動カムと、第2の規制カムが上から順に回転可能に取り付けられ、さらに、
    前記第1の規制カムを下方向に付勢する第1の付勢部材と、前記第2の規制カムを上方向に付勢する第2の付勢部材が前記ヒンジ軸に取り付けられ、
    前記可動支持部材を観察者の頭部を支持する閉じ方向に回動する場合は、前記第1の付勢部材の付勢力により、前記移動カムが前記第2の規制カムを前記ヒンジ軸の軸方向に沿って下げることにより、前記第2の規制カムと前記移動カムの係合が解除し、
    前記解除部材をもって前記第2の規制カムを前記ヒンジ軸の軸方向に沿って下げることにより、前記第2の規制カムと前記移動カムの係合が解除し、前記可動支持部材が前記閉じ方向に回動した後の閉じ状態から、前記閉じ方向と反対の開き方向に回動する、ヘッドマウントディスプレイ。
  5. 請求項に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
    前記可動支持部材に対し、前記閉じ状態から前記開き方向に過度の力が加わった時は、 前記第1の規制カムが前記ヒンジ軸の軸方向に沿って上がることにより、前記第1の規制カムと前記移動カムの係合が解除し、前記可動支持部材が前記開き方向に回動する、ヘッドマウントディスプレイ。
  6. 請求項に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
    前記可動支持部材を前記閉じ方向に回動した時にトルクが作用する第3の付勢部材が、前記可動支持部材と前記第2端の間に設けられ、
    前記解除部材をもって前記第2の規制カムを前記ヒンジ軸の軸方向に沿って下げたときに、前記第3の付勢部材のトルクが解放され、当該トルクと反対方向に働く付勢力をもって、前記可動支持部材が前記開き方向に回動する、ヘッドマウントディスプレイ。
  7. 請求項からのいずれか1項に記載のヘッドマウントディスプレイであって、
    前記第1の付勢部材の付勢力が、前記第2の付勢部材の付勢力より大きい、ヘッドマウントディスプレイ。
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