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JP6048248B2 - エンボスシートの製造方法及びエンボス加工装置 - Google Patents

エンボスシートの製造方法及びエンボス加工装置 Download PDF

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JP6048248B2 JP2013057344A JP2013057344A JP6048248B2 JP 6048248 B2 JP6048248 B2 JP 6048248B2 JP 2013057344 A JP2013057344 A JP 2013057344A JP 2013057344 A JP2013057344 A JP 2013057344A JP 6048248 B2 JP6048248 B2 JP 6048248B2
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Description

本発明は,エンボス加工装置によって凹凸模様を持つエンボスシートを製造する方法,及びこの製造方法で利用されるエンボス加工装置に関するものである。具体的に説明すると,本発明は,シート部材の表側に凹凸模様を付与する第1エンボス加工部と,シート部材の裏側に凹凸模様を付与する第2エンボス加工部の配置関係に特徴を有している。
従来から,ティシュペーパーや,トイレットペーパー,キッチンタオル等の家庭用衛生用紙の分野においては,吸水性や,肌当たりの柔らかさ,意匠性を向上させる等の目的で,原紙であるシート部材に凹凸模様(エンボス)を付与することが知られている。また,使い捨ておむつや,吸収パッド,生理用ナプキン等の吸収性物品の分野においても,吸水性や風合いを向上させるために,不織布などのシート部材に凹凸模様(エンボス)を付与することが知られている。このような凹凸模様を有するエンボスシートは,一般的に,原反ロールから長尺のシート部材を連続的に繰り出し,そのシート部材をエンボス加工装置に導入することにより製造される。
エンボス加工装置は,基本的に,外周面に所定パターンの凹凸が設けられたエンボスロールと,このエンボスロールとの間でシート部材を挟み込むアンビルロールと,を有している。例えば,スチールスチール法と呼ばれるエンボス加工方法では,アンビルロールの外周面が金属製の平面となっており,エンボスロールを回転駆動させつつ,エンボスロールとアンビルロールの外周面の間にシート部材を導入して,エンボスロールの凸部とアンビルロールの平面との間でシート部材を押圧することで,ソート部材に凹凸模様を形成する。また,ラバースチール法と呼ばれるエンボス加工方法では,アンビルロールの外周面を,金属製の平面に代えて,ラバー製の平面とする。また,マッチドスチール法と呼ばれるエンボス加工方法では,アンビルロールの外周面にエンボスロールの凸部のパターンと相補的な凹部が形成されており,エンボスロールを回転駆動させつつ,エンボスロールとアンビルロールの外周面の間にシート部材を導入し,エンボスロールの凸部とアンビルロールの凹部のパターンにシート部材を嵌め込むことで,このパターンに対応する形状の凹凸模様をシート部材に形成する。
また,従来から,シート部材の一方の面だけではなく,シート部材の両面に凹凸模様を付与することのできるエンボス加工装置が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1には,フィルム側縁部のフィルム表裏両面に突起部のエンボス模様を形成するエンボス加工装置において,フィルム表面の突起部とフィルム裏面の突起部をフィルム面内の重ならない位置に形成することを特徴とするエンボス加工装置が開示されている。この特許文献1に開示されたエンボス加工装置では,上流エンボスロールと上流アンビルロールとの間にシート部材を導入し,シート部材の一方の面に凹凸模様を付与した後,この凹凸模様が形成されたシート部材を,さらに下流エンボスロールと下流アンビルロールの間に導入して,シート部材の他方の面にも凹凸模様を付与することとしている。このように,シート部材の両面に凹凸模様を付与することにより,例えば,シート部材が比較的厚手のキッチンペーパーであるような場合であっても,両面の手触りや吸水性に差をなくすことができるというメリットがある。
特開2008−246682号公報
ところで,特許文献1のエンボス加工装置では,上流エンボスロールと上流アンビルロール,及び下流エンボスロールと下流アンビルロールが,シート部材の搬送面に対して略平行に配置されている。このため,特許文献1のエンボス加工装置では,シート部材が,エンボスロールとアンビルロールが接する一点のみにおいて,これらの間を通過するようになっている。しかしながら,2度の工程によってシート部材に片面ずつ凹凸模様を付与し,結果として両面に凹凸模様が形成されたエンボスシートを製造しようとする場合に,上記特許文献1のエンボス加工装置のように,各工程において,シート部材とエンボスロールが接する面積が少ないと,シート部材に対して効率的に張力を与えることができず,シート部材にヨレやシワが生じた状態で凹凸模様を形成することになる。そうすると,エンボス加工が施されたエンボスシートの手触りや,吸水性,意匠性を効果的に向上させることができないという不具合があった。特に,第1回目のエンボス加工工程により片面に凹凸模様を付与すると,シート部材は,この凹凸模様の影響によってヨレやシワが生じ易くなる。そして,第2回目のエンボス加工工程では,ヨレやシワが生じやすくなった状態のシート部材にエンボス加工を施すこととなるため,シート部材に美麗な凹凸模様を形成することが困難となっていた。従って,特に第2回目のエンボス加工工程は,シート部材に強めの張力を与えて引き伸ばした状態で行うことが好ましいとされている。
また,上記の不具合を解消するために,例えば,上流側のエンボス加工部と下流側のエンボス加工部の間や,各エンボス加工部の前後に,シート部材を搬送するための搬送ローラを設けて,シート部材が各エンボスロールの外周面に抱き角を形成して当接するように,シート部材の搬送経路を調節することも考えられる。しかし,例えば,上流側のエンボス加工部と下流側のエンボス加工部の間に搬送ローラを設けると,エンボス加工装置全体の構成が大型化し,設備コストが増加するという問題が生じる。また,上流側のエンボス加工部と下流側のエンボス加工部の間に搬送ローラを設けた場合,上流側のエンボス加工部と下流側のエンボス加工部の間が離れてしまうため,効率的にシート部材に対してエンボス加工を施すことができない。さらに,上流側のエンボス加工部と下流側のエンボス加工部の間に搬送ローラを設けると,上流側のエンボス加工部と下流側のエンボス加工部を一体のエンボス加工装置として構築することが困難になるという問題もある。このような種々の問題が存在することから,シート部材の両面に凹凸模様を付与するために,上流側のエンボス加工部と下流側のエンボス加工部の間に,エンボスロールやアンビルロールとは異なる搬送ローラを設ける構成は,好ましいものではないとされている。
このため,現在では,2つの工程によってシート部材の両面に凹凸模様を付与するにあたり,シート部材に適切な張力を与えつつ,効率的にエンボス加工を施すことのできる技術が求められている。
そこで,本発明の発明者は,上記の従来発明の問題点を解決する手段について鋭意検討した結果,エンボスロールとアンビルロールを備えるエンボス加工部を2つ設け,シート部材の搬送経路が略S字状となるように,2つのエンボス加工部の配置を設定することで,上記従来技術の問題を解決できることに想到した。すなわち,シート部材が,2つのエンボス加工部のそれぞれにおいて,エンボスロール等の外周面に90度を超える抱き角を形成して当接しながら搬送されるように,2つのエンボス加工部の配置を設定することで,シート部材に適切な張力を与えつつも,2つのエンボス加工部の間にその他の搬送ローラ等を配置する必要がなくなるため,効率的にエンボス加工を施すことができるようになるという知見を得た。そして,本発明者は,上記知見に基づけば,従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。
具体的に説明すると,本発明は,以下の構成を有する。
本発明の第1の側面は,エンボスシートの製造方法に関する。
本発明の製造方法は,エンボス加工装置100を利用して,シート部材1に凹凸模様を付与したエンボスシート2を製造する。
ここで,エンボス加工装置100は,第1エンボス加工部10と,第2エンボス加工部20を備える。
第1エンボス加工部10は,外周面に凹凸が形成された第1エンボスロール11と,第1エンボスロール11との間でシート部材を挟み込む第1アンビルロール12とを有し,シート部材1の一方の面に凹凸模様を付与する。
また,第2エンボス加工部20は,外周面に凹凸が形成された第2エンボスロール21と,第2エンボスロール21との間でシート部材を挟み込む第2アンビルロール22とを有し,シート部材2の他方の面に凹凸模様を付与する。
そして,第1エンボス加工部10と第2エンボス加工部20の配置は,以下の(ア),(イ),及び(ウ)の条件を満たすように設定されている。
〈〈条件〉〉
(ア)第1エンボス加工部10に導入されたシート部材1が,第1エンボスロール11と第1アンビルロール12の何れか一方である第1抱きロール13の外周面に90度を超える抱き角を形成して当接しながら,第1エンボスロール11と第1アンビルロール12の間を通過する。
(イ)第1エンボス加工部10を通過したシート部材1が,直接,第2エンボス加工部20へと導入される。
(ウ)第2エンボス加工部20に導入されたシート部材1が,第2エンボスロール21と第2アンビルロール22の何れか一方である第2抱きロール23の外周面に90度を超える抱き角を形成して当接しながら,第2エンボスロール21と第2アンビルロール22の間を通過する。
そして,本発明の製造方法は,第1エンボス加工部10によってシート部材1の一方の面に凹凸模様を付与する工程と,その後,第2エンボス加工部20によってシート部材2の他方の面に凹凸模様を付与する工程と,を含む。
上記のように,第1エンボス加工部10と第2エンボス加工部20の両方において,シート部材が,エンボスロール又はアンビルロールに90度を超える抱き角を形成して当接することにより,適切な張力によってシート部材が延伸した状態でエンボス加工を行うことができるため,2度に亘ってエンボス加工を施す場合であっても,シート部材にシワやヨレが発生せずに,美麗な凹凸模様を形成することができる。また,本発明では,第1エンボス加工部10と第2エンボス加工部20の間に別の搬送ローラが介在することがないため,エンボス加工装置の構成がコンパクトなものになり,しかも2度に亘るエンボス加工を効率的に行うことができる。
本発明の製造方法において,第1抱きロール13の外周面におけるシート部材の抱き角θ及び第2抱きロール23の外周面におけるシート部材の抱き角θは,90度超過180度未満であることが好ましい。(90<θ,θ,<180)
このように,各抱きロール(エンボスロール又はアンビルロール)に形成されるシート部材の抱き角が,90度超過180未満であることにより,シート部材に対して,適切な張力を付与できる。すなわち,抱き角が90度以下であると,シート部材に形成されたシワやヨレを適切に引き伸ばすことができない。また,抱き角が180度以上にすると,張力が強すぎでシート部材の搬送が阻害されるようになり,効率的にエンボスシートを製造できない。このため,抱き角は,90度超過180未満であることが好ましい。
本発明の製造方法において,第1抱きロール13の外周面には,シート部材1の一方の面が当接し,第2抱きロール23の外周面には,シート部材1の他方の面が当接することが好ましい。
このように,第1抱きロール13の外周面に,シート部材1の一方の面を当接させ,第2抱きロール23の外周面に,シート部材1の他方の面が当接させて,シート部材1を搬送することで,シート部材1の搬送経路は略S字状になる。
本発明の製造方法において,第1抱きロール13は,第1エンボスロール11であり,第2抱きロール23は,第2エンボスロール21であることが好ましい。
このように,シート部材が,エンボスロールに対して90度を超える抱き角を形成しながら当接するようにすることで,シート部材の両面に深くはっきりとした凹凸模様を形成することができる。
本発明の第2の側面は,シート部材に凹凸模様を付与するためのエンボス加工装置に関するものである。
本発明のエンボス加工装置100は,基本的に,上記第1の側面に係る製造方法において利用されるものと同様の構成を有する。
すなわち,本発明のエンボス加工装置100は,第1エンボス加工部10と,第2エンボス加工部20を備える。
第1エンボス加工部10は,外周面に凹凸が形成された第1エンボスロール11と,第1エンボスロール11との間でシート部材を挟み込む第1アンビルロール12とを有し,シート部材1の一方の面に凹凸模様を付与する。
また,第2エンボス加工部20は,外周面に凹凸が形成された第2エンボスロール21と,第2エンボスロール21との間でシート部材を挟み込む第2アンビルロール22とを有し,シート部材2の他方の面に凹凸模様を付与する。
そして,第1エンボス加工部10と第2エンボス加工部20の配置は,以下の(ア),(イ),及び(ウ)の条件を満たすように設定されている。
〈〈条件〉〉
(ア)第1エンボス加工部10に導入されたシート部材1が,第1エンボスロール11と第1アンビルロール12の何れか一方である第1抱きロール13の外周面に90度を超える抱き角を形成して当接しながら,第1エンボスロール11と第1アンビルロール12の間を通過する。
(イ)第1エンボス加工部10を通過した記シート部材1が,直接,第2エンボス加工部20へと導入される。
(ウ)第2エンボス加工部20に導入されたシート部材1が,第2エンボスロール21と第2アンビルロール22の何れか一方である第2抱きロール23の外周面に90度を超える抱き角を形成して当接しながら,第2エンボスロール21と第2アンビルロール22の間を通過する。
上記構成によれば,シート部材に適切な張力を与えつつ,シート部材の両面に効率的にエンボス加工を施すことのできるエンボス加工装置を,コンパクトな構成で実現できる。
本発明は,2つの工程によってシート部材の両面に凹凸模様を付与するにあたり,シート部材に適切な張力を与えつつ,効率的にエンボス加工を施すことが可能なエンボスシートの製造方法,及びエンボス加工装置を提供することができる。
図1は,第1の実施形態に係るエンボスシートの製造方法の概要を示した模式図である。 図2は,エンボス加工装置を拡大して示した模式図である。 図3は,第1の実施形態に係るエンボスシートの製造方法の変形例を示している。 図4は,第2の実施形態に係るエンボスシートの製造方法の概要を示した模式図である。
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
なお,本願明細書において,「A〜B」とは,基本的に,「A以上B以下」であることを意味している。
図1は,本発明に係るエンボスシートの製造方法の第1の実施形態を示している。図1に示されるように,本発明では,原反ロール3から連続的に繰り出した長尺のシート部材1を,エンボス加工装置100に導入し,このエンボス加工装置100によってエンボス加工を施すことにより,凹凸模様(エンボス)が付与されたエンボスシート2を製造する。また,エンボス加工装置100を通過したエンボスシート2は,巻取りロール4に巻き付けられて回収される。
エンボス加工を施す対象であるシート部材1としては,適宜公知のものを採用できる。例えば,ティシュペーパーや,トイレットペーパー,キッチンタオル等の家庭用衛生用紙を製造する場合には,この家庭用衛生用紙の原紙を,シート部材1として用いればよい。また,使い捨ておむつや,吸収パッド,生理用ナプキン等の吸収性物品を製造する場合には,この吸収性物品を構成する不織布等を,シート部材1として用いればよい。その他にも,熱可塑性樹脂などからなるフィルムを,シート部材1として用いることも可能である。
図1に示されるように,原反ロール3から繰り出されたシート部材1は,一又は複数の搬送ローラ5の外周面に当接することによって搬送されて,エンボス加工装置100へと導入される。また,エンボス加工装置100を経て凹凸模様が付与されたエンボスシート2も,一又は複数の搬送ローラ5の外周面に当接することによって搬送されて,巻取りロール4に巻き付けられる。このように,エンボス加工装置100の前後に配置された各搬送ローラ5は,シート部材1の搬送経路を形成している。搬送ローラ5は,自立して回転駆動するものであってもよいし,搬送されているシート部材1に接することで従動的に回転するものであってもよい。
また,図1に示されるように,エンボス加工装置100は,第1エンボス加工部10と,第2エンボス加工部20とを備えている。第1エンボス加工部10は,シート部材1の搬送経路の上流側に配置され,シート部材1の一方の面(表面)にエンボス加工を施す。第2エンボス加工部20は,シート部材1の搬送経路の下流側に配置され,シート部材2の他方の面(裏面)にエンボス加工を施す。図1に示されるように,第1エンボス加工部10は,第1エンボスロール11と,第1アンビルロール12と,を備える。また,第2エンボス加工部20は,第2エンボスロール21と,第2アンビルロール22と,を備えている。各エンボスロール11,21は,外周面に所定パターンの凹凸が設けられている。各エンボスロール11,21の外周面に形成する凹凸のパターンは,エンボスシート2の用途に応じて適宜設計することが可能である。また,各アンビルロール12,22は,各エンボスロール11,21との間でシート部材1を加圧した状態で挟み込む。各アンビルロール12,22は,例えば,公知のスチールスチール法や,ラバースチール法,マッチドスチール法等のエンボス加工方法で利用されるものを用いればよい。例えば,スチールスチール法と呼ばれるエンボス加工方法では,アンビルロールの外周面が金属製の平面となっており,エンボスロールを回転駆動させつつ,エンボスロールとアンビルロールの外周面の間にシート部材を導入して,エンボスロールの凸部とアンビルロールの平面の間でシート部材を押圧することで,シート部材に凹凸模様を形成する。また,ラバースチール法と呼ばれるエンボス加工方法では,アンビルロールの外周面を,金属製の平面に代えて,ラバー製の平面とする。また,マッチドスチール法と呼ばれるエンボス加工方法では,アンビルロールの外周面にエンボスロールの凸部のパターンと相補的な凹部が形成されており,エンボスロールを回転駆動させつつ,エンボスロールとアンビルロールの外周面の間にシート部材を導入し,エンボスロールの凸部とアンビルロールの凹部のパターンにシート部材を嵌め込むことで,このパターンに対応する形状の凹凸模様をシート部材に形成する。
続いて,図2では,エンボス加工装置100の構成を拡大して示している。図2に示されるように,シート部材1は,エンボス加工装置100に導入されると,第1エンボスロール11と第1アンビルロール12の間を通過すると共に,第2エンボス加工部20と第2エンボスロール21の間を通過して搬送される。そして,本発明では,エンボス加工装置100に導入されたシート部材1の搬送経路が,S字状にカーブするようになっている。このように,本発明では,エンボス加工装置100に導入されたシート部材1の搬送経路が,S字状にカーブするように,第1エンボス加工部10と第2エンボス加工部20の配置関係が調整されている。例えば,本実施形態では,第1エンボス加工部10の上方(図中上側)に,第2エンボス加工部20が位置している。特に,図2に示された実施形態では,第1エンボス加工部10の略直上に,第2エンボス加工部20が位置している。なお,第1エンボス加工部10の下方(図中下側)に,第2エンボス加工部20を配置することも可能である。
具体的に説明すると,図2に示されるように,シート部材1は,第1エンボス加工部10を構成する第1エンボスロール11と第1アンビルロール12のうち,いずれか一方のロールの外周面に抱き角を形成するように当接して搬送されている。同様に,シート部材1は,第2エンボス加工部20を構成する第2エンボスロール21と第2アンビルロール22のうち,いずれか一方のロールの外周面に抱き角を形成するように当接して搬送されている。このように,シート部材1が抱き角を形成して当接するロールを,本願明細書では,「抱きロール」と称している。本実施形態では,第1エンボス加工部10うちの第1エンボスロール11が,第1抱きロール13となっている。また,第2エンボス加工部20のうちの第2エンボスロール21が,第2抱きロール23となっている。なお,上記「抱き角」とは,図2に示すように,シート部材1が抱きロール13,23の外周面に接触し始めた位置から抱きロール13,23の回転中心までを結ぶ直線と,シート部材1が抱きロール13,23の外周面から離れ始める位置から抱きロール13,23の回転中心までを結ぶ直線とが成す角度をいう。
シート部材1は,エンボス加工装置100に導入されると,まず,その表面1aが,第1エンボス加工部10の第1抱きロール13の外周面に当接し,90度を超える抱き角θを形成する。抱き角θは,90度超過180度未満であることが好ましい(90度<θ<180)。図2に示した実施形態では,抱き角θは,110度〜160度,120度〜150度となっており,より具体的には約135度(±5度)となっている。図2に示されるように,第1抱きロール13にシート部材が抱き角を形成して当接する部分(第1抱き角形成部14)は,第1抱きロール13の外周面うち,エンボス加工装置100からシート部材1が排出される方向寄り(図中右側寄り)の部分に形成されている。なお,第1アンビルロール12は,第1エンボスロール11(第1抱きロール13)の第1抱き角形成部14との間において,シート部材1を挟み込むことが可能な位置に配置されていればよい。
また,シート部材1は,第1エンボス加工部10を通過すると,その裏面1bが,第2エンボス加工部20の第2抱きロール23の外周面に当接し,90度を超える抱き角θを形成する。抱き角θは,上記した抱き角θと等しくなることが好ましい。すなわち,抱き角θは,90度超過180度未満であることが好ましい(90度<θ<180)。図2に示した実施形態では,抱き角θは,110度〜160度,120度〜150度となっており,より具体的には約135度(±5度)となっている。また,図2に示されるように,第2抱きロール23にシート部材が抱き角を形成して当接する部分(第2抱き角形成部24)は,第2抱きロール23の外周面うち,エンボス加工装置100にシート部材1が進入してくる方向寄り(図中左側寄り)の部分に形成されている。なお,第2アンビルロール22は,第2エンボスロール21(第2抱きロール23)の第2抱き角形成部24との間において,シート部材1を挟み込むことが可能な位置に配置されていればよい。
上記条件を満たし,シート部材1の表面1aが第1抱きロール13の外周面に抱き角(90度<θ)を形成して当接し,且つ,シート部材1の裏面1bが第2抱きロール23の外周面に抱き角(90度<θ)を形成して当接するように,第1エンボス加工部10と第2エンボス加工部20の配置関係を調節することで,シート部材1の搬送経路は,S字状となる。
さらに,具体的に説明すると,上記のようにシート部材1の搬送経路をS字状とするためには,第1抱きロール13の最も排出方向側(図中右側)寄りの端点13´と,第2抱きロール23の最も進入方向側(図中左側)寄りの端点23´の相対的位置を考慮すればよい。図2では,第1抱きロール13の最も排出方向側(図中右側)寄りの端点13´に対する接線と,第2抱きロール23の最も進入方向側(図中左側)寄りの端点23´に対する接線を,点線で示している。そして,第2抱きロール23の最も進入方向側寄りの端点23´が,第1抱きロール13の最も排出方向側寄りの端点13´よりも,シート部材1の進入方向寄り(図中左側寄り)に位置していれば,エンボス加工装置100に導入されたシート部材1の搬送経路は,S字状となる。図2に示した実施形態では,第2抱きロール23は,第1抱きロール13の略直上に位置しているため,このような条件を満たす。
また,図3は,第1エンボス加工部10と第2エンボス加工部20の他の配置例を示している。図3(a)及び図3(b)に示した例では,いずれも,第2抱きロール23の最も進入方向側寄りの端点23´が,第1抱きロール13の最も排出方向側寄りの端点13´よりも,シート部材1の進入方向寄り(図中左側寄り)に位置している。このため,図3(a)及び図3(b)に示した例では,シート部材1の搬送経路がS字状となっている。ただし,図3(a)に示した例では,第2抱きロール23の最も進入方向側寄りの端点23´と,第1抱きロール13の最も排出方向側寄りの端点13´の間の距離が,比較的近いものとなっている。このような場合,シート部材1の表面1aが第1抱きロール13の外周面に形成する抱き角θと,シート部材1の裏面1bが第2抱きロール23の外周面に形成する抱き角θは,比較的小さい角となる。例えば,図3(a)に示した例では,抱き角θ及び抱き角θは,約120度(±5度)となる。他方,図3(b)に示した例では,第2抱きロール23の最も進入方向側寄りの端点23´と,第1抱きロール13の最も排出方向側寄りの端点13´の間の距離が,比較的離れている。このような場合,シート部材1の表面1aが第1抱きロール13の外周面に形成する抱き角θと,シート部材1の裏面1bが第2抱きロール23の外周面に形成する抱き角θは,比較的大きい角となる。例えば,図3(b)に示した例では,抱き角θ及び抱き角θは,約165度(±5度)となっている。このように,上記条件を満たすものであれば,必ずしも,第2エンボス加工部20を,第1エンボス加工部10の直上に配置する必要はない。
また,図1〜図3に示されるように,本発明において,シート部材1は,第1エンボス加工部10を通過すると,直接,第2エンボス加工部20へと導入される。すなわち,第1エンボス加工部10と第2エンボス加工部20と間において,シート部材1は,他の搬送ローラ等には当接しないようになっている。このため,第1エンボス加工部10と第2エンボス加工部20の間の搬送経路には,他の搬送ローラ等を設ける必要はない。
図4は,図1〜図3に示した第1の実施形態とは異なる第2の実施形態を示している。第2の実施形態は,第1の実施形態と異なり,第1エンボス加工部10の第1抱きロール13が,第1エンボスロール11ではなく,第1アンビルロール12となっている。また,第2エンボス加工部20の第2抱きロール23が,第2エンボスロール21ではなく,第2アンビルロール22となっている。このように,本発明においては,エンボス加工装置100に導入されたシート部材1が,第1アンビルロール12及び第2アンビルロール22の外周面に90度を超える抱き角を形成するように当接して搬送されるものであってもよい。
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態を中心に説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
本発明は,ティシュペーパー等の家庭用衛生用紙や,使い捨ておむつ等の吸収性物品の製造業において好適に利用し得る。
1…シート部材 2…エンボスシート 3…原反ロール
4…巻取りロール 5…搬送ローラ
10…第1エンボス加工部 11…第1エンボスロール 12…第1アンビルロール
13…第1抱きロール 14…第1抱き角形成部
20…第2エンボス加工部 21…第2エンボスロール 22…第2アンビルロール
23…第2抱きロール 24…第2抱き角形成部
100…エンボス加工装置

Claims (4)

  1. エンボス加工装置(100)を利用して,シート部材(1)に凹凸模様を付与したエンボスシート(2)を製造する方法であって,
    前記エンボス加工装置(100)は,
    第1エンボス加工部(10)と第2エンボス加工部(20)を備え,
    前記第1エンボス加工部(10)と前記第2エンボス加工部(20)との間には,シート部材(1)を搬送するための別の搬送ローラは介在せず,
    前記第1エンボス加工部(10)は,
    外周面に凹凸が形成された第1エンボスロール(11)と,
    前記第1エンボスロール(11)との間で前記シート部材(1)を挟み込む第1アンビルロール(12)と,を有し,
    前記シート部材(1)の一方の面に,凹凸模様を付与するものであり,
    前記第2エンボス加工部(20)は,
    外周面に凹凸が形成された第2エンボスロール(21)と,
    前記第2エンボスロール(21)との間で前記シート部材(1)を挟み込む第2アンビルロール(22)と,を有し,
    前記シート部材()の他方の面に,凹凸模様を付与するものであり,
    前記第1エンボス加工部(10)と前記第2エンボス加工部(20)の配置は,
    前記第1エンボス加工部(10)に導入された前記シート部材(1)の一方の面が,前記第1エンボスロール(11)と前記第1アンビルロール(12)の何れか一方である第1抱きロール(13)の外周面に90度を超える

    第1の抱き角(θ を形成して当接しながら,前記第1エンボスロール(11)と前記第1アンビルロール(12)の間を通過し,
    前記第1エンボス加工部(10)を通過した前記シート部材(1)が,前記第2エンボス加工部(20)へと導入され,
    前記第2エンボス加工部(20)に導入された前記シート部材(1)の他方の面が,前記第2エンボスロール(21)と前記第2アンビルロール(22)の何れか一方である第2抱きロール(23)の外周面に90度を超える第2の抱き角(θ を形成して当接しながら,前記第2エンボスロール(21)と前記第2アンビルロール(22)の間を通過し,且つ
    前記第1の抱き角(θ )と前記第2の抱き角(θ )が等しくなるように,設定されており,
    前記方法は,
    前記第1エンボス加工部(10)によって,前記シート部材(1)の一方の面に凹凸模様を付与する工程と,
    その後,前記第2エンボス加工部(20)によって,前記シート部材()の他方の面に凹凸模様を付与する工程と,を含む
    エンボスシートの製造方法。
  2. 前記第1の抱き角(θ)及び前記第2の抱き角(θ)は,90度超過180度未満である
    請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記第1抱きロール(13)は,前記第1エンボスロール(11)であり,
    前記第2抱きロール(23)は,前記第2エンボスロール(21)である
    請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
  4. シート部材(1)に凹凸模様を付与するためのエンボス加工装置(100)であって,
    第1エンボス加工部(10)と第2エンボス加工部(20)を備えており,
    前記第1エンボス加工部(10)と前記第2エンボス加工部(20)との間には,シート部材(1)を搬送するための別の搬送ローラは介在せず,
    前記第1エンボス加工部(10)は,
    外周面に凹凸が形成された第1エンボスロール(11)と,
    前記第1エンボスロール(11)との間で前記シート部材(1)を挟み込む第1アンビルロール(12)と,を有し,
    前記シート部材(1)の一方の面に,凹凸模様を付与するものであり,
    前記第2エンボス加工部(20)は,
    外周面に凹凸が形成された第2エンボスロール(21)と,
    前記第2エンボスロール(21)との間で前記シート部材(1)を挟み込む第2アンビルロール(22)と,を有し,
    前記シート部材()の他方の面に,凹凸模様を付与するものであり,
    前記第1エンボス加工部(10)と前記第2エンボス加工部(20)の配置は,
    前記第1エンボス加工部(10)に導入された前記シート部材(1)の一方の面が,前記第1エンボスロール(11)と前記第1アンビルロール(12)の何れか一方である第1抱きロール(13)の外周面に90度を超える第1の抱き角を形成して当接しながら,前記第1エンボスロール(11)と前記第1アンビルロール(12)の間を通過し,
    前記第1エンボス加工部(10)を通過した前記シート部材(1)が,前記第2エンボス加工部(20)へと導入され,且つ,
    前記第2エンボス加工部(20)に導入された前記シート部材(1)の他方の面が,前記第2エンボスロール(21)と前記第2アンビルロール(22)の何れか一方である第2抱きロール(23)の外周面に90度を超える第2の抱き角を形成して当接しながら,前記第2エンボスロール(21)と前記第2アンビルロール(22)の間を通過し,且つ
    前記第1の抱き角(θ )と前記第2の抱き角(θ )が等しくなるように,設定されている
    エンボス加工装置。
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