以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
<貨幣処理装置の基本的構成>
本発明が適用し得る貨幣処理装置は、紙幣や硬貨を処理する多機能装置である。一般に、スーパーマーケットや銀行など、大量に現金が取り扱われる分野において用いられる。例えば、銀行の窓口などでの出納業務や、スーパーマーケットの売上金の管理業務などで、手間のかかる現金の入金や出金、計数、保管管理等の処理に用いられ、貨幣処理装置を用いることで、これら作業の高精度化、効率化を図ることができる。
図1に、本発明の貨幣処理装置を適用したシステム例を示す。貨幣処理装置は、LANやWAN等のネットワークを介して上位端末やサーバと通信可能に接続し、システム化して用いることができる。例えば、同図において、貨幣処理装置1aのように、上位端末Tやその他機器と同じネットワークNに接続して用いることができるし、貨幣処理装置1bのように、ネットワークN上にある上位端末Tに接続して用いることもできる。また、貨幣処理装置1cのように、サーバSを介して接続された他のネットワークN’に接続して用いることもできる。例えばこの場合、貨幣処理装置1cを銀行の勘定系システムのネットワークに接続することができる。そうすれば、貨幣処理装置1cで管理されている貨幣
の会計処理をネットワークを通じてリアルタイムで行うことができる。
また、貨幣処理装置1は、貨幣処理装置1dのように、独立した上位端末Tに直接接続して用いることもできる。この場合、上位端末Tは1台だけでなく、同図のように、複数台に接続し、いずれか1つの上位端末Tを選択的に切り替えて用いることができる。
貨幣処理装置には用途や機能別に様々な機種があるが、本発明は特定の機種に限らず、様々な機種に適用できる。本発明が適用し得る貨幣処理装置の一例として、ここでは主な3機種(第1〜第3の機種)について詳細に説明する。その上で、関連発明の貨幣処理装置の具体的構成について説明する。
(紙幣の分類)
貨幣処理装置が処理する貨幣には紙幣だけでなく硬貨も含まれるが、ここでは紙幣を例に説明する。また、紙幣の状態によって処理が異なる場合があるため、説明では、その状態に応じて紙幣の名称を区別する。すなわち、「正常紙幣」とは、識別部によって識別可能な紙幣をいい、「リジェクト紙幣」とは、識別部で識別不能な紙幣をいう。「正券」とは、正常紙幣のうち、汚れや破れ等が比較的少ない状態の紙幣をいい、「損券」とは、正常紙幣のうち、汚れや破れ等が比較的多い状態の紙幣をいう。
[第1の機種]
{第1の機種の構成}
図2及び図3に、本機種の貨幣処理装置(単に、入出金機1Aともいう)を示す。この入出金機1Aは、いわゆる循環式の入出金機であり、出金処理時に払い出す紙幣には、入金処理時に収納部3に収納した紙幣が含まれる。
入出金機1Aは、上部の処理部11と、中間部の第1金庫部13と、下部の第2金庫部14とに大別される。処理部11を構成する筐体111内には、投入口211を有する入金部21と、第1及び第2出金口231、232を有する出金部23と、紙幣の識別を行う識別部25と、一時的に紙幣を収納する出金リジェクト一時保留部51(一時保留部51ともいう)と、入金部21、出金部23、識別部25及び一時保留部51を相互に連結するループ搬送路411を含む搬送部41と、が配設されている。一方、処理部11を構成する筐体111の下側に配置される筐体131は、第1及び第2金庫部13、14を構成する筐体であり、その内部に格納している収納部3等を、所定以上のセキュリティレベルで防護するように構成されている(防護筐体131ともいう)。
第1金庫部13には、複数の(図例では4個の)スタック式の収納カセット31を含んで構成された収納部3と、同じくスタック式の精査カセット33とが配設され、第2金庫部14には、回収カセット53が配設されている。防護筐体131の前面には、第1金庫部13を開閉するための第1開閉扉133と、第2金庫部14を開閉するための第2開閉扉135とがそれぞれ個別に設けられている。
第1開閉扉133の前面には第1電子錠1331が設けられ、第2開閉扉135の前面には第2電子錠1332が設けられている。これら電子錠1331,1332は、例えば、予め設定された暗証番号を入力することによって解錠することができる。電子錠1331,1332の解錠により、各開閉扉133,135を開放して、収納部3や回収カセット53にアクセス(接触)することが可能になる。なお、従来機種では、上述したように、これら電子錠1331,1332の解錠権限は固定されているが、関連発明では、これら電子錠1331,1332の解錠権限が動的に変更できる(詳細については別途後述する)。
投入口211は、例えば入金処理の際に入金する紙幣を投入するための口である。投入口211は、処理部側筐体111の上面において上向きに開口していて、複数枚の紙幣を一度に受け入れ可能に構成されている。入金部21はまた、投入口211に投入された複数枚の紙幣を、一枚ずつ、ループ搬送路411に繰り出す繰り出し機構を備えている。
第1及び第2出金口231、232はそれぞれ、例えば出金処理の際に紙幣を払い出すための口である。これらの出金口231、232は、投入口211よりも奥行き方向の手前側の、処理部側筐体111における上面から前面にかけての位置で前後に並んでかつ、斜め上方に向かって開口している。これら第1及び第2出金口231、232は、搬送されてきた紙幣を集積し、複数枚の紙幣を一度に保持可能なリフトを有している(図示省略)。リフトは、リフト機構により、紙幣の抜き取り可能な払出位置と、紙幣の抜き取り不能な待機位置とに移動する。
識別部25は、ループ搬送路411上に配設されて、そのループ搬送路411に沿って搬送される紙幣の一枚一枚について、その真偽、金種及び正損を識別するように構成されている。具体的には、画像センサ、赤外線センサ、紫外線センサ、及び磁気センサ等の、紙幣の特徴を取得するセンサを搭載し、搬送される紙幣の特徴が、記憶している各種紙幣の特徴と一致するかを判定し、金種、真偽、及び正損を識別する。本機種の識別部25はまた、紙幣に印字されている記番号を光学的に読み取る機能を有している。ここで、記番号の読み取りは、紙幣における所定の位置に印字されている記番号の画像を取得し、その取得した画像に基づいて、記番号の各桁の文字や数字を認識することである。尚、識別部25が記番号の読み取りを行うのではなく、識別部25とは別の読取部を、例えばループ搬送路411上に配置してもよい。また、識別部25におけるセンサ以外の機能を、後で述べる制御部513が行ってもよい。
搬送部41は、処理部側筐体111内においてエンドレスに設けられたループ搬送路411を備えている。紙幣は、このループ搬送路411に沿って図3における時計回り方向及び反時計回り方向に搬送される。このループ搬送路411は、図示は省略するが、多数のローラ、複数のベルト、これらを駆動するモータ、搬送される紙幣を検出するセンサ及び複数のガイドの組み合わせによって構成されている。ループ搬送路411は、その搬送路に沿って、紙幣と紙幣との間に所定間隔を隔てた状態で、紙幣を一枚ずつ短手搬送する。ループ搬送路411と投入口211との間は、投入路413によって互いに接続されており、投入口211に投入された紙幣は、この投入路413を通ってループ搬送路411まで搬送される。
ループ搬送路411には、4つの収納カセット31のそれぞれに接続される分岐路417が、図示省略の分岐機構を介して接続されており、各分岐機構の動作制御によって、ループ搬送路411上を搬送されている紙幣が選択的に、分岐路417を通じて4つの収納カセット31のいずれかに搬送されてそこに収納されると共に、いずれかの収納カセット31から繰り出された紙幣が、分岐路417を介してループ搬送路411に搬送されるようになる。
ループ搬送路411にはまた、第1及び第2払出路415、416が、紙幣の搬送方向を切り替える分岐機構(図示省略)を介してそれぞれ接続されている。第1払出路415の先端は、第1出金口231に接続され、第2払出路416の先端は、第2出金口232に接続されている。各分岐機構は、互いに異なる3方向に延びる搬送路の集合位置において、所定方向から搬送されてくる紙幣を、それとは別の2方向それぞれに選択的に搬送させるように動作する。分岐機構の具体的な構成は、国際公開第2009/034758号に例示されている。この構成によって、ループ搬送路411上を搬送されている紙幣は、分岐機構の動作制御によって選択的に、第1又は第2払出路415、416を通って第1
又は第2出金口231、232に搬送される。
ループ搬送路411にはさらに、精査カセット33に接続される第1接続路418と、回収カセット53に接続される第2接続路419とが、それぞれ図示省略の分岐機構を介して接続されている。この内、第2接続路419は、第1金庫部13を上下に貫通するように延びて配設されており、その途中に分岐路4110が設けられている。この分岐路4110は、後述する第4収納カセット下部31−4Lに接続されている。
これら第1接続路418及び第2接続路419の接続位置に設けられた各分岐機構もまた、互いに異なる3方向に延びる搬送路の集合位置において、所定方向から搬送されてくる紙幣を、それとは別の2方向それぞれに選択的に搬送させるように動作する。この構成によって、ループ搬送路411上を時計回り方向又は反時計回りに搬送されている紙幣は、分岐機構の動作制御によって選択的に、第1接続路418を通って精査カセット33に搬送されるか、第2接続路419を通って、第4収納カセット下部31−4L又は回収カセット53に搬送される。また、精査カセット33又は第4収納カセット下部31−4Lから繰り出されかつ、第1又は第2接続路418、419を通って搬送されてきた紙幣が、ループ搬送路411上で時計回り又は反時計回り方向に搬送される。
収納部3は、前述したように、図例では第1−第4のスタック式の収納カセット31を含んで構成されている。ここで、以下の説明において、各々の収納カセットを総称する場合には、符号「31」を付し、第1、第2、第3…の、各々の収納カセットを区別する場合には、符号「31−1、31−2、31−3…」を付す。尚、収納カセット31の数は特に限定されず、1個以上で、適宜の数を設定すればよい。4個の収納カセット31は、この例では、装置の奥行き方向に並んで配設されている。
詳細な図示は省略するが、収納部3は、第1金庫部13の開閉扉133を開けた状態で、装置の手前に引き出すことができる。収納部3を引き出した状態で、各収納カセット31はそれぞれ、装置に対して取り外し、取り付けができるように構成されている。
図4に、収納カセット31の一例を示す。第1〜第3の収納カセット31−1、31−2、31−3や、第4の収納カセット31−4、精査カセット33は、互いに同じような外観を呈しており、上下方向に細長い形状を有している。各収納カセット31の上面には、紙幣の通過が可能な出入口3000が、カセットの内外を連通するように形成されており、その出入口3000に、前述した分岐路417が着脱可能に接続される。収納カセット31の側面には、揺動開閉式のカセットドア3002が設けられている。カセットドア3002の開閉は、収納カセット31の抜き取りを制限するロック部3001によって制御されている。
各収納カセット31の内部には、そこに集積される紙幣の量に応じて昇降する集積台311が配設されている。第1〜第3の収納カセット31−1、31−2、31−3は、ループ搬送路411から、各カセットの出入口3000を通ってその内部に送り込まれた紙幣を、集積台311の上で、下から上の順に積み重ねて収納するように構成され、かつ、集積台311上に積み重ねられた紙幣を、上から下の順に一枚ずつ出入口3000を通じてループ搬送路411に繰り出すことが可能に構成されている。
これに対し、第4の収納カセット31−4は、その内部に仕切りが設けられており、これによって第4の収納カセット31−4は、上側のカセット上部(第4収納カセット上部31−4U)と、下側のカセット下部(第4収納カセット下部31−4L)に分割されている。第4収納カセット上部31−4Uの出入口3000は、その上面に形成されている。第4収納カセット下部31−4Lの出入口3000は、その側面に形成されている。収納カセット上部31−4Uの出入口3000には、ループ搬送路411から分岐した分岐路417が接続され、収納カセット下部31−4Lの出入口3000には、第2接続路419から分岐した分岐路4110が接続されている。
これにより、第4収納カセット上部31−4Uは、第1の収納カセット31−1等と同様に、紙幣を収納、繰り出すことが可能に構成されている。対して、第4収納カセット下部31−4Lは、ループ搬送路411から、第2接続路419を通ってその内部に送り込まれた紙幣を、集積台311の上で、下から上の順に積み重ねて収納するように構成され、かつ、集積台311上に積み重ねられた紙幣を、上から下の順に一枚ずつ第2接続路419及びループ搬送路411に繰り出すことが可能に構成されている。
精査カセット33は、各収納カセット31の精査処理に利用されるカセットであり、各収納カセット31に収納している紙幣を全て収納することが可能となるように、収納カセット31と同じかそれよりも大きい容量を有している。精査カセット33は、精査処理時以外の通常時は、空である。精査カセット33は、第1金庫部13内において、第2接続路419を挟んだ第4収納カセット31−4とは反対側の位置において、筐体131に対し着脱可能に取り付けられている。
この精査カセット33は、収納カセット31と同様にスタック式であり、収納カセット31と同様に、その上面に出入口3000が形成され、その内部には集積台331が設けられている。精査カセット33の出入口3000は、前述の通り、第1接続路418に接続されており、精査カセット33は、ループ搬送路411から出入口3000を通ってカセット内に送り込まれた紙幣を、集積台331の上に、下から上の順に積み重ねて収納すると共に、集積台331上に積み重ねられている紙幣を、上から下の順に一枚ずつ出入口を通じてループ搬送路411に繰り出すことが可能に構成されている。尚、この精査カセット33を、精査処理用の精査カセットとして構成する代わりに、収納カセット31の一つ(第5の収納カセット)として構成してもよい。
出金リジェクト一時保留部51は、第2出金口231に接続される第2払出路416の途中からさらに分岐した分岐路に接続されている。この一時保留部51は、例えば出金処理時に発生したリジェクト紙幣を一時的に収納する収納部である。一時保留部51は、スタック式の収納カセット31等とは異なり、巻き取り方式に構成されている(後述する第3の機種における収納モジュール31参照)。
回収カセット53は、第2金庫部14内に着脱可能に取り付けられており、前述したように、第2接続路419を介してループ搬送路411に接続されている。回収カセット53はスタック式の収納部であるが、前述した収納カセット31や精査カセット33とは異なり、装置の奥行き方向に細長い形状を有しており、図示は省略するが、その内部に奥行き方向に移動する札押さえを備えている。回収カセット53は、その札押さえが紙幣の収納量に応じて移動をしながら、立てた姿勢の紙幣を奥行き方向に並べるように収納するよう構成されている。
回収カセット53はまた、収納カセット31や精査カセット33とは異なり、収納している紙幣を繰り出し不可に構成されている。回収カセット53には、例えば入金処理時に投入口211に投入された紙幣の内、収納部3に収納しきれなかった紙幣(オーバーフロー紙幣)が収納される。また、出金処理時等に識別不可であったリジェクト紙幣が、この回収カセット53に収納される場合がある。
図5は、入出金機1Aの動作制御に係る構成を示している。入出金機1Aは、例えば周知のマイクロコンピュータをベースとした制御部513を備えている。制御部513には、前述した入金部21、出金部23、第1−第4収納カセット31を含む収納部3、精査カセット33、出金リジェクト一時保留部51、回収カセット53、及び搬送部41が、信号の送受信可能に接続されている。これらの各部21,23,3,33,41,51,53は、例えば図2に示す、収納カセット31、精査カセット33及び回収カセット53の出入口3000に設けられかつ、紙幣の通過を検知する通過センサ312のような、搬送中の紙幣を検知するといった機能を有する各種のセンサを含んでおり、各種センサの検知信号は制御部513に入力される。制御部513は、入力された検知信号等に基づいて制御信号を出力し、各部21,23,3,33,41,51,53は、その制御信号に従って動作する。
制御部513にはまた、識別部25が接続されており、識別部25は、識別結果及び記番号の読み取り結果を制御部513に提供する。さらに、入出金機1Aを操作するオペレータに対するヒューマンインターフェース部分としての操作部55が接続されている。例えばLANやシリアルバスを通じて、入出金機1Aが上位端末装置等との間で信号の送受信を行うための通信部57も制御部513に接続されている。各種の情報を記憶するための、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の汎用のストレージデバイスにより構成される記憶部59も制御部513に接続されている。
記憶部59は、入出金機1Aが収納している紙幣の金種別枚数又は金額である在高を少なくとも記憶する。また、記憶部59は、収納カセット31毎の在高も記憶する。具体的には、記憶部59はカウンタを有し、各カセットへの紙幣の収納時及び各カセットからの紙幣の繰出時に、リアルタイムに紙幣のカウントを行う現物在高として、各収納カセット31や精査カセット33、回収カセット53毎にカウンタが設定される。また、入金処理や出金処理が完了したときにも機内在高としてカウンタが設定される。
また、この入出金機1Aでは、紙幣の管理を記番号を利用して行うように構成されており、記憶部59は、各部に収納している紙幣の記番号を、その収納順に並べると共に、各々の記番号を、その収納枚数に対応する通し番号と関連付けた記番号リストを記憶する。また、記憶部59は、入出金機1Aにおいて実行された各種処理の履歴をログとして記憶する。
入出金機1Aには、各種の情報を表示するため、例えば図2に示したように、フラットパネルディスプレイからなる表示部511が装着可能に構成されている。この表示部511もまた、制御部513に接続される。表示部511をタッチパネル式のディスプレイとして、表示部511と操作部55とを一体にしてもよい。
制御部513は、通信部57を通じて受けた上位端末Tからの指令、及び/又は、操作部55を通じて受けた各種の指令に応じて、各部21,23,25,3,33,41,51,53,55,57,59,511の動作を制御する。
{第1の機種の機能}
すなわち、入出金機1Aは、出金等の各種計数処理を行う機能を有している。その他にも、この入出金機1Aは各種機能を有しており、以下、その主な機能について説明する。
(LED表示機能)
操作部55において、入出金機1Aの状況に応じてLEDを点滅や点灯させる処理である。操作部55には、赤や青等、発光が異なる複数の小型のLEDライトが備えられている(図示省略)。そして、入出金機1の状況、例えば、紙幣の抜き取り待ちやエラーの発生などに応じてこれらLEDライトが異なった点滅や点灯を行うように設定されている。点滅周期や点灯タイミング、発光色を組み合わせることで、複数の状況が一目で区別できるように設定されている。
(省電力機能)
入出金機1Aの状況に応じて、動作が不要な機能部位への電流の供給を停止し、電力消費を抑制する機能である。例えば、入出金機1Aの作動が一定期間停止すると、自動的に一部の機能部位への電流の供給を停止する。そして、上位端末Tや操作部55において所定の操作を行うことで、元の状態に復帰させることができる。
(縮退機能)
縮退機能は、入出金機1Aに故障が発生した場合に、故障部位を切り離すことによって継続して使用できるようにする機能である。例えば、上位端末T及び/又は操作部55(上位端末T等ともいう)の指令を受けることにより、その指示に基づいて制御部513が縮退を行う場合(指示縮退)と、収納カセット31が故障して、その故障した収納カセット31が取り外された時に、制御部513が縮退を行う場合(自動縮退)とがある。
指示縮退の場合には、まず、入出金機1Aにおいて故障が発生した場合、その故障の発生部位や故障内容等を示すエラーコードが発信され、そのエラーコードに基づき故障状況が上位端末T等を通じてオペレータに知らされる。オペレータは、例えば上位端末T等の操作によって縮退処理の開始コマンドを、入出金機1Aに入力する。それにより、制御部513は、該当する故障部位を電気的に切り離す。その後、制御部513は、切り離した故障部位以外の部位が正常に作動するか否かの動作チェックを行う。そして、動作チェックが適正であることが確認されると、入出金機1Aは継続して使用可能になる。
自動縮退の場合には、収納カセット31が取り外されると、取り外された収納カセット31は自動的に電気的に切り離され、入出金機1Aは継続して使用可能になる。
収納カセット31が電気的に切り離された場合、その収納カセット31と設定金種等が同じ収納カセット31があるときには、その同設定の収納カセット31が切り離された収納カセット31の代わりに代用される。その収納カセット31と設定金種等が同じ収納カセット31が無いときには、その収納カセット31に収納されるべき紙幣が入金された場合、その紙幣はオーバーフロー紙幣やリジェクト紙幣として扱われ、これら紙幣の搬送先に搬送される。また、出金時等には、該当する紙幣を繰り出すことができないため、空である旨の表示が行われる。
(占有機能)
入出金機1Aに対して複数の上位端末Tが直接的又は間接的に接続されている場合に、そのいずれか1つが入出金機1Aの制御を占有する機能である。上位端末Tは、入出金機1Aを占有することでその入出金機1Aの制御が可能になる。入出金機1Aが他の上位端末Tに占有されている場合、重複して占有することはできない。占有は、例えば上位端末T等の操作により、占有処理の開始コマンドを、入出金機1Aに入力することで占有できる。
(直接入金処理)
直接入金処理は、入出金機1Aに入金(収納)された正常紙幣を直接的に収納カセット31に収納する処理である。投入口211に投入された紙幣は、識別部25による識別結果と、予め設定された収納割当とに従って、いずれかの収納カセット31に収納される。
図6に、入金処理時における入出金機1Aの動作を示す。入金する紙幣を投入口211に投入した状態で、例えば上位端末T等の操作によって入金処理の開始コマンドを、入出金機1Aに入力する。入金部21の繰り出し機構は、同図に矢印(実線)で示すように、投入口211の紙幣を一枚ずつ繰り出し、搬送部41は、各紙幣を識別部25に搬送する。識別部25は、その紙幣の識別や計数、記番号の読み取り(これらを包括的に識別ともいう)を行う。
搬送部41はまた、正常紙幣であって、記番号を全桁読み取ることができた紙幣を、同図に矢印(実線)で示すように、その識別結果及び予め設定された収納割当に従って、所定の収納カセット31に収納する。すなわち、各紙幣は、金種別や正損別に応じて、第1〜第4のいずれかの収納カセット31に収納される。
尚、収納カセット31に割り当てが設定されていない金種の紙幣(正常紙幣)や損券は回収カセット53に収納される。また、割り当てが設定されている収納カセット31が満杯であるとき等にも、回収カセット53に正常紙幣が収納される。
一方、搬送部41は、リジェクト紙幣(本機種では、記番号の全桁が識別できない紙幣も含む)を、同図に矢印(破線)で示すように、第2出金口232に払い出す。尚、入金処理時に発生したリジェクト紙幣は、投入口211に再度投入され、識別部25による識別が、もう一度行われることになる。
また、入金処理時に、収納カセット31及び回収カセット53が共に満杯になることに起因して、収納することができなくなった紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように、第1出金口231に払い出される。尚、リジェクト紙幣を、第1出金口231に払い出すようにし、収納することができなくなった紙幣を、第2出金口232に払い出すようにしてもよい。
そうして、入金処理の終了後には、記憶部59に記憶している在高が更新される。それと共に、各収納カセット31に収納している紙幣の記番号を収納順に並べた記番号リストが、紙幣の収納に応じて更新される。この記番号リストにおける記番号の並びは、紙幣が識別部25を通過した順番に従うことになる。
(バイパス入金処理)
バイパス入金処理は、一部の金種の紙幣について、入出金機1Aにおいて入金として金額は確定するが、その紙幣の実際の管理については入出金機1Aの外部で行う処理である。例えば、$1等の少額紙幣は多量に取り扱われるため、入出金機1Aの内部に収納して管理すると直ぐに満杯になる。そこで、そのような少額紙幣については、入金処理時に他の紙幣と同様に計数等して入出金機1Aに入金したものとして扱い、実際の少額紙幣は入出金機1Aに収納せずに払い出す。そして、払い出された少額紙幣については入出金機1Aの外部で別管理する。そうすることで、より多くの紙幣金額が扱えるようになり、利便性を向上させることができる。
具体的には、図7に示すように、入金する紙幣が投入口211に投入され、例えば上位端末T等で所定の操作が行われることにより、バイパス入金処理が開始する。入金部21の繰り出し機構は、同図に矢印(実線)で示すように、投入口211の紙幣を一枚ずつ繰り出し、搬送部41は、各紙幣を識別部25に搬送する。搬送部41は、バイパス入金の対象となる金種の正常紙幣については、他の金種の紙幣と同様に入金としての金額を確定させた後、同図に矢印(太実線)で示すように、第1出金口231に払い出す。払い出された紙幣は、入出金機1Aの外部において別管理される。バイパス入金の対象となる金種以外の正常紙幣は、上述した直接入金処理と同様に取り扱われる。
一方、搬送部41は、リジェクト紙幣については、同図に矢印(破線)で示すように、第2出金口232に払い出す。なお、リジェクト紙幣及びバイパス入金の対象となる金種の正常紙幣の払出先は、逆であってもよい。
(入金口補充処理)
入金口補充処理は、収納カセット31に外部から紙幣を補充する処理である。正券のみを各収納カセット31に補充することができる。具体的には、図8に示すように、投入口211に投入された紙幣を識別し、入出金機1Aが取り扱う金種の正券のみを該当する収納カセット31に収納し、それ以外の紙幣、例えば損券やリジェクト紙幣は第1出金口231や第2出金口232に払い出す。
入金口補充処理における入出金機1A内での動作は、直接入金処理と基本的には同様である。ただし、搬送部41は、同図に矢印(実線)で示すように、識別部25において入出金機1Aが取り扱う金種の正券と識別された紙幣のみを該当する各収納カセット31に搬送する。搬送部41は、それ以外の紙幣、例えば損券やリジェクト紙幣、取り扱い対象外の紙幣であると識別部25で識別された紙幣は、同図に矢印(太実線)で示すように、第2出金口232に搬送する。搬送部41はまた、再度識別しても入出金機1Aに収納できない紙幣、例えば収納カセット31に設定されている金種以外の金種の紙幣や、収納先の収納カセット31が満杯である紙幣については、同図に矢印(破線)で示すように、第1出金口231に搬送する。
(釣銭準備処理)
釣銭準備処理は、入金時に、釣銭準備金として指定された金種の正券については、指定された枚数以内であれば払い出す処理である。例えば、前日の売上金を入金する際、そのうち、翌日の釣銭として準備しておく正券を出金するのに用いられる。
具体的には、釣銭準備処理は、入金する紙幣が投入口211に投入され、例えば上位端末T等で所定の操作が行われることにより開始する。図9に示すように、投入口211に紙幣が投入されると、搬送部41は、その紙幣を一枚ずつ識別部25に搬送する。識別部25に搬送された紙幣は、識別される。その結果、紙幣が釣銭準備金に指定された金種の正券である場合には、指定された枚数になるまで、入出金機1Aは、入金として金額を確定し、搬送部41は、同図に矢印(太実線)で示すように、その紙幣を第1出金口231に搬送する。
識別部25で識別された紙幣が、釣銭準備金に指定された金種の正券以外、例えば、釣銭準備金に指定された金種の損券、釣銭準備金に指定されていない金種の紙幣である場合には、同図に矢印(実線)で示すように、上述した直接入金処理と同様に処理され、入出金機1Aに収納される。また、釣銭準備金に指定された金種の正券であっても、指定枚数を超える分についても上述した直接入金処理と同様に処理され、入出金機1Aに収納される。ただし、取り扱い対象外の紙幣やリジェクト紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように、第2出金口232に払い出される。
投入口211に投入された紙幣が全て繰り出されても、釣銭準備金に指定された金種の正券が、指定された枚数に対して不足する場合がある。その場合には、出金指示が行われ、入出金機1Aはその不足分の正券を出金する処理を行う。
(出金処理)
出金処理は、入出金機1Aに収納されている正常紙幣を払い出す処理である。図10に、その動作を示す。
具体的には、上位端末T等において、少なくとも金種と枚数とを指定する所定の出金操作を行うことによって、出金処理は開始する。収納部3は、同図に矢印(実線)で示すように、指定された金種の紙幣を、それが収納されている収納カセット31から、指定された枚数だけ繰り出す。搬送部41は、繰り出された紙幣を識別部25に搬送し、識別部25が識別と、記番号の読み取りとを行った後に、正常紙幣は、第1出金口231に払い出される。
出金処理時に発生するリジェクト紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように、一時保留部51に搬送され、収納される。一時保留部51に収納された紙幣は、必要に応じて、出金処理の終了後に、各収納カセット31又は回収カセット53に収納される。
一連の処理が終了すると、上位端末T等からの指示により、リフトが払出位置に移動し、第1出金口231に払い出された紙幣は、紙幣の抜き取り待ちとなる。紙幣が抜き取られると、リフトは待機位置に移動する。
(バイパス出金処理)
バイパス出金処理は、$1紙幣等、一部の金種の紙幣については入出金機1Aに収納せずに外部で別管理している場合に、入出金機1Aにおいて出金として金額を確定する場合に用いられる処理である。バイパス出金処理は、上述したバイパス入金処理に対応している。
本例示のバイパス出金処理では、バイパス出金の対象となる紙幣の正券はその金額を確定した後第1出金口231に払い出し、それ以外の紙幣は第2出金口232に払い出す。バイパス出金の対象となる紙幣を他の紙幣と合わせて出金処理することができる。
具体的には、図11に示すように、バイパス出金の対象となる金種を含む紙幣が投入口211に投入され、例えば上位端末T等で所定の操作が行われることにより、まず、バイパス出金処理が開始する。このとき、例えば$1紙幣を5枚等、出金する紙幣の枚数が指定される。入金部21の繰り出し機構は、同図に矢印(実線)で示すように、投入口211の紙幣を一枚ずつ繰り出し、搬送部41は、各紙幣を識別部25に搬送する。識別部25は、その紙幣の識別を行う。
搬送部41は、バイパス出金の対象となる金種の正券については、他の金種の紙幣と同様に出金としての金額を確定させた後、同図に矢印(太実線)で示すように、第1出金口231に払い出す。第1出金口231が紙幣で一杯になれば、紙幣を抜き取ることで処理を再開させることができる。なお、払い出された紙幣は、入出金機1Aの外部において別管理される。
その他の紙幣、具体的には、バイパス出金の対象となる金種の損券、バイパス出金の対象外の金種の正常紙幣、及びリジェクト紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように、第2出金口232に払い出される。投入口211の紙幣の全てが繰り出されたときに、例えば、出金指示が5枚であるのに対し、第1出金口231に$1紙幣が4枚払い出され、1枚不足した場合には、新たに紙幣を投入口211に投入し、再度バイパス出金処理を行う。そうして、バイパス出金の対象となる金種の正券の指定枚数が第1出金口231に払い出されることでバイパス出金処理は終了する。
バイパス出金処理が他の紙幣の出金処理に含めて行われる場合には、続いて、指定された金種の指定された枚数の紙幣に対し、上述したのと同様の出金処理が行われる。
(連続出金処理)
連続出金処理は、2つの出金口231,232を利用して、同一金額を連続して出金する場合に用いられる。連続出金処理によれば、いずれかの出金口231(232)が空であれば、直ちに次の出金処理が開始するので、処理時間の短縮を図ることができる。
具体的には、上位端末T等において、出金する金種や枚数を指定する所定の連続出金操作を行うことにより、連続出金処理は開始する。入出金機1Aは、上位端末T等から1回の処理ごとに指示される連続出金指示に基づいて、第1出金口231や第2出金口232が空であるか否かを確認し、空の出金口231(232)に対して上述した出金処理と同様の出金動作を行う。1回の出金動作が終了すると、紙幣が払い出された出金口231(232)では、リフトが払出位置に移動し、紙幣を抜き取ることができる状態になる。
1回目の出金処理の後、続けて上位端末T等から連続出金指示があると、払い出した一方の出金口231(232)での紙幣の抜き取りを待たずに、他方の出金口232(231)への2回目の出金処理が開始される。このとき、他方の出金口232に紙幣が有る場合には、その紙幣の抜き取りを待って出金処理を開始する。
(リジェクト紙幣放出処理)
リジェクト紙幣放出処理は、各収納カセット31に残留するリジェクト紙幣を入出金機1Aの外に払い出して各収納カセット31を空にする場合に用いられる。リジェクト紙幣放出処理では、上述した連続出金処理と同様の処理が行われ、そこで払い出される紙幣にリジェクト紙幣も含められる。具体的には、上述した連続出金処理では、リジェクト紙幣は、一時保留部51に収納され、必要に応じて、出金処理の終了後に各収納カセット31又は回収カセット53に収納されるが、リジェクト紙幣放出処理では、各収納カセット31に残留するリジェクト紙幣も第1出金口231か第2出金口232に払い出される。すなわち、搬送部41は、識別部25で識別された紙幣を、識別結果に関係なく選択された出金口231(232)に搬送する。
リジェクト紙幣放出処理によれば、処理後にリジェクト紙幣を一時保留部51から収納カセット31等に戻す処理が不要になるため、処理の簡略化が図れる。
(精査処理)
精査処理は、収納カセット31に収納している紙幣を確定させるための処理である。この入出金機1Aでは、収納カセット31内に収納されている紙幣を、一旦、全て繰り出して行う全精査処理と、収納カセット31内に収納されている紙幣の一部のみを繰り出して行う部分精査処理との2種類の処理がある。
〔全精査処理〕
全精査処理は、例えば、収納カセット31が装置から取り外されて、そこに設けられている扉が一旦開けられたことを検知したときに行われる。これは、収納カセット31が開けられたときには、収納カセット31内に収納されている紙幣の枚数や順番が不確定になるためである。また、収納カセット31が交換された場合にも全精査処理が行われる。さらに、上位端末T等において、全精査処理の実行が指定された場合も、全精査処理は行われる。こうした全精査処理は、個々の収納カセット31について個別に行われる場合と、全ての収納カセット31について、順次行われる場合とがある。
図12に、全精査処理における入出金機1Aの動作を示す。全精査処理は、具体的に、同図の(a)に示すように、精査対象の収納カセット31(図例では、第1収納カセット31−1)から、紙幣を一枚ずつ繰り出す。搬送部41は、繰り出された紙幣を識別部25に搬送し、識別部25が識別を行う。正常紙幣でかつ、記番号の全桁を読み取ることができた紙幣は、同図に矢印(実線)で示すように、精査カセット33へと搬送され、そこに収納される。一方、リジェクト紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように、一時保留部51へと搬送され、そこに収納される。
そうして、精査対象の収納カセット31内に収納されている紙幣が全てが繰り出され、それの識別が完了した後には、同図の(b)に示すように、精査カセット33に収納されている紙幣が一枚ずつ繰り出され、同図に矢印(実線)で示すように、ループ搬送路411を通じて識別部25に搬送される。そうして、識別部25において再度、識別が行われた後に、正常紙幣は、元の収納カセット31、つまり、精査対象の収納カセット31に収納される。
こうして、収納カセット31に収納している紙幣が確定し、当該紙幣に関する記憶部59内の在高や記番号リストが更新される。精査カセット33から収納カセット31に戻されているときに発生したリジェクト紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように、一時保留部51に搬送されて、そこに収納される。
なお、リジェクト紙幣を一時保留部51に搬送する搬送路と、精査カセット33から紙幣を繰り出す搬送路とは、一部重複している。従って、識別部25においてリジェクト紙幣と識別された場合には、いったん精査カセット33からの紙幣の繰り出し処理を中断し、リジェクト紙幣を一時保留部51に搬送した後に精査カセット33からの紙幣の繰り出し処理を再開する。
全精査処理では、収納カセット31から精査カセット33へ紙幣を移動させる際、そして、精査カセット33から収納カセット31へ紙幣を移動させる際のそれぞれにおいて、二重に計数処理を行うことができる(一次計数及び二次計数)。
〔部分精査処理〕
部分精査処理は、収納カセット31への紙幣の搬送中や、収納カセット31からの紙幣の搬送中に異常が発生した場合に行われる。こうした異常によって、収納カセット31内に収納している紙幣の枚数に誤差が発生する場合があるため、収納カセット31内に収納している紙幣を確定させる必要がある。異常の例としては、複数の紙幣が重なって搬送される場合(重送)や、搬送中に紙幣が詰まった(ジャム)場合が挙げられる。
重送やジャムが発生すると、収納カセット31の在高が未確定になる。そのため、そのような収納カセット31は部分精査処理を行って在高を確定させる必要がある。
部分精査処理は、記番号リストを利用することによって、収納カセット31に収納している紙幣の一部のみを繰り出すだけで、その収納カセット31に収納している紙幣を確定させる処理である。全精査処理に比べて精査処理の負担が軽減され、処理に要する時間が大幅に短縮される。
スタック式の収納カセット31では、紙幣を収納する際に紙幣の順番が入れ替わる場合があり、その場合、紙幣を一枚だけ繰り出して、その記番号を特定したとしても収納カセット31内の紙幣を正確に確定させることはできない。それに対し、この入出金機1Aでは、複数枚の紙幣の記番号の照合を行うことにより、紙幣の順番が多少入れ替わっても正確に確定できるようになっている。部分精査処理では、精査処理に最低2枚繰り出す。本入出金機1Aでは、繰り出し枚数が5枚に設定されている。なお、記番号の読み取りは、全桁または一部の桁で行われる。
収納カセット31から繰り出した紙幣は、全精査処理と同様に、搬送部41によって識別部25へと搬送し、そこにおいて、紙幣の識別をリアルタイムに行う。正常紙幣でかつ、記番号の読み取りが可能であった紙幣は、精査カセット33に搬送してそこに収納する(図12の(a)参照)。リジェクト紙幣は一時保留部51に搬送する。そして、記番号の読み取りができた紙幣が5枚連続して収納カセット31から繰り出されれば、紙幣の繰り出しを中止する。
識別部25で記番号の読み取り不能が発生した場合、代わりの紙幣が収納カセット31から追加で繰り出される。例えば、繰り出した5枚のうち、3枚目の紙幣で読み取り不能が発生した場合には、新たに3枚の紙幣が追加され、4枚目から追加分の紙幣を含む連続する5枚の紙幣で部分精査される。また、リジェクト紙幣が発生した場合、少なくとも5枚の紙幣が追加で繰り出される。
このようにして、記番号リストとの照合の対象となる5枚の対象グループが決定されれば、記番号リストとの照合を行い、記番号リスト上において、対象グループに対応するグループ(照合グループ)を決定する。対象グループは、収納カセット31から繰り出した紙幣に対応するため、照合グループは、記番号リスト上において、収納カセット31から繰り出した紙幣と、収納カセット31に収納したままの紙幣との境界を示すことになる。従って、記番号リスト上において照合グループを特定すれば、その記番号リストに基づいて、収納カセット31に収納している紙幣を確定することが可能になる。
図13を参照しながら、対象グループと記番号リストとの照合の手順の概略を説明する。例えば、収納カセット31から繰り出した最後の紙幣を含む連続した5枚の紙幣の記番号である対象グループと記番号リストとの照合について考える。
同図の記番号リストの「12340」等は記番号であり、図の上側が収納順の上位を示している。括弧内の数字は、当該収納カセット31での通し番号であり、これは収納カセット31の収納枚数に対応する。識別通過記番号データは、識別部25において読み取りを行った記番号の情報であり、図の上側は後で繰り出した紙幣である。これは収納順の記番号に相当する。
先ず、記番号リストに含まれる上位の記番号、言い換えると、収納カセット31において上側に集積されている紙幣から順に、対象グループに含まれる各記番号を照合する。これによって、対象グループの中で、記番号リストにおいて最も上位となる記番号を特定する。図例では「12348」が最上位の記番号である。
決定した最上位の記番号に対し、4枚分だけ下位の記番号(ここでは、最下位の記番号と呼ぶ)を特定する。図例では「12344」が最下位の記番号である。そして、この最下位の記番号と全桁が一致する記番号が、対象グループに含まれているか否かを判定する。このときも、対象グループ内での記番号の順番は問わない。そうして、記番号リストにおける、最上位の記番号と最下位の記番号とで挟まれた3つの記番号について、記番号の順番は問わずに対象グループ内の記番号との照合を行う。このときの照合は記番号の一部の桁のみ一致を許容する。記番号の照合を、例えば3桁分マスクして行う。つまり、3桁分が一致しなくても、残りの桁が一致すれば、記番号が一致したと判定する。
そうして、同図に示すように、記番号リスト上において、対象グループに含まれる記番号と一致する記番号が全て含まれる照合グループが特定される。その結果、記番号リストにおいて、照合グループを含むそれよりも上位の記番号の情報を削除する記番号リストの更新が行われる。この記番号リストの更新により、収納カセット31に収納されている紙幣が確定する。
その後は、図12の(b)に示したように、精査カセット33内に収容している紙幣を一枚ずつ繰り出して、識別部25に搬送する。識別部25において、紙幣の識別を行い、記番号が読み取られた正常紙幣を元の収納カセット31に収納する。リジェクト紙幣は一時保留部51に搬送する。
なお、部分精査では、収納カセット31から精査カセット33へ紙幣を移動させる際、そして、精査カセット33から収納カセット31へ紙幣を移動させる際のそれぞれにおいて、二重に計数処理を行うことができる(一次計数及び二次計数)。そうして、記憶部59に記憶している在高を更新すると共に、精査対象の収納カセット31の記番号リストを更新し、確定処理を終了する。
(枚数計数処理)
枚数計数処理は、投入口211に投入された紙幣を識別、計数し、入出金機1Aに設定されている金種の正常紙幣は第1出金口231に払い出し、それ以外の紙幣は第2出金口232に払い出す処理である。
具体的には、図14に例示するように、上位端末T等で所定の操作が行われることにより、枚数計数処理が開始され、投入口211への紙幣の投入待ち状態になる。投入口211への紙幣の投入が検知されると、上位端末T等によって枚数計数処理の開始が制御部513に指示され、同図に矢印(実線)で示すように、投入口211の紙幣が繰り出される。投入口211から繰り出された紙幣は、搬送部41によって識別部25に搬送され、識別される。識別の結果、同図に矢印(太実線)で示すように、正常紙幣は第1出金口231に払い出される。
その他の紙幣、具体的には、入出金機1Aの受け付け対象金種以外の紙幣やリジェクト紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように、第2出金口232に払い出される。正常紙幣等の計数結果は、表示部511等において表示される。なお、第1出金口231及び第2出金口232の払い出し先は逆であってもよい。
(整理計数処理)
整理計数処理は、投入口211に投入された紙幣を識別、計数し、入出金機1Aに設定されている金種のうち、特定の金種の正常紙幣を第1出金口231に払い出し、それ以外の紙幣は第2出金口232に払い出す処理である。
整理計数処理では、パターンが2つある。その1つは、上位端末T等で指定された金種のうち、識別部25で最初に正常紙幣として識別された金種を整理計数処理の対象金種として扱い、上位端末T等から指定された枚数の該当金種の正常紙幣を第1出金口231に払い出す(パターン1)。もう一つは、上位端末T等から指定された金種を整理計数処理の対象金種として扱い、上位端末T等から指定された枚数の該当金種の正常紙幣を第1出金口231に払い出す(パターン2)。
具体的には、上位端末T等で所定の操作が行われることにより、整理計数処理が開始され、投入口211への紙幣の投入待ち状態になる。投入口211への紙幣の投入が検知されると、上位端末T等の指示により整理計数処理が開始する。具体的な処理動作は、先の枚数計数処理と同様である。パターン1では識別部25で最初に正常紙幣として識別された金種の正常紙幣を、また、パターン2では上位端末T等から指定された金種を、それぞれ、同図に矢印(太実線)で示すように、上位端末T等から指定枚数分だけ第1出金口231に払い出す。それ以外の紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように、第2出金口232に払い出す。第1出金口231に払い出される紙幣が指定枚数になれば、整理計数処理は終了する。
(精査カセット補充処理)
精査カセット補充処理は、精査カセット33に収納されている紙幣を識別し、入出金機1Aに設定されている金種のうち、正券のみを該当する収納カセット31に収納し、それ以外の紙幣は第2出金口232に払い出す処理である。精査カセット補充処理によれば、精査カセット33に補充したい紙幣をまとめて収納し、一括して該当する収納カセット31に補充することができる。
具体的には、上位端末T等で所定の操作が行われることにより、精査カセット補充処理が開始され、精査カセット補充指示待ちの状態となる。オペレータは第1開閉扉133を開いて、精査カセット33に補充する紙幣をセットし、第1開閉扉133を閉じて元の状態に戻す。そうすると、上位端末T等から精査カセット補充指示により、補充処理が開始する。
図15に、精査カセット補充処理における入出金機1Aの動作を示す。同図に示すように、搬送部41は、同図に矢印(実線)で示すように、精査カセット33から紙幣を繰り出し、識別部25に搬送する。搬送部41はまた、正券を、同図に矢印(実線)で示すように、その識別結果や予め設定された収納割当に従って、所定の収納カセット31に収納する。損券やリジェクト紙幣や設定外金種の紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように、第1出金口231又は第2出金口232に払い出す。例えば、損券は第2出金口232に払い出し、その他のリジェクト紙幣等は第1出金口231に選択的に払い出す。
なお、第1出金口231等に搬送する搬送路は、精査カセット33から繰り出される搬送路と一部重複している。従って、識別部25においてリジェクト紙幣と識別された場合には、いったん精査カセット33からの紙幣の繰り出し処理を中断し、リジェクト紙幣を第1出金口231等に搬送した後に精査カセット33からの紙幣の繰り出し処理を再開する。
(回収処理)
回収処理は、収納カセット31に収納されている紙幣を、回収カセット53に搬送する処理である。具体的には、上位端末T等において、所定の操作を行うことにより、回収処理は開始する。指定された金種を収納する収納カセット31が、第1〜第3の収納カセット31−1、31−2、31−3又は第4収納カセット上部31−4Uであるときには、図16に矢印(実線)で示すように、収納部3は、指定された金種の紙幣を、それが収納されている収納カセット31から順次繰り出す。搬送部41は、繰り出された紙幣を識別部25に搬送する。識別部25が識別を行った後に、正常紙幣は、ループ搬送路411から第2接続路419を通って回収カセット53へと搬送され、そこに収納される。リジェクト紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように一時保留部51に収納される。
指定された金種の紙幣が、第4収納カセット下部31−4Lに収納されているときには、図17の(a)に示すように、搬送部41は、第4収納カセット下部31−4Lから繰り出された紙幣を、第2接続路419からループ搬送路411を通じて識別部25に搬送する。識別部25が識別を行った後に、正常紙幣は、精査カセット33へと搬送する。リジェクト紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように、一時保留部51に収納される。
第4収納カセット下部31−4Lから繰り出された紙幣が全て精査カセット33に収納された後、同図の(b)に矢印(実線)で示すように、精査カセット33は紙幣を一枚ずつ繰り出す。搬送部41は、その紙幣をループ搬送路411から第2接続路419を通って回収カセット53へと搬送する。こうして、回収カセット53内に、第4収納カセット下部31−4L内の紙幣が収納される。
(出金リジェクト搬送処理)
出金リジェクト搬送処理は、一時保留部51に収納されている紙幣を識別した後、各収納カセット31又は回収カセット53に搬送する処理である。上位端末T等の指示、又は入出金機1Aの判断に基づいて出金リジェクト搬送処理は行われる。出金リジェクト搬送処理では、パターンが3つある。その1つは、出金処理後、又は連続出金処理後に出金リジェクト搬送処理が行われる場合である(第1パターン)。別の1つは、出金処理中、又は連続出金処理中に出金リジェクト搬送処理が行われる場合である(第2パターン)。また別の1つは、全精査処理で出金リジェクト搬送処理が行われる場合である(第3パターン)。
第1パターンの場合、出金処理中や連続出金処理中にリジェクト紙幣が発生すると、リジェクト紙幣は一時保留部51に一時的に収納され、入出金機1Aは待機状態となる。そこで、この場合、上位端末T等からの指示に基づき、一時保留部51に収納されている紙幣を繰り出して識別し、収納カセット31に割当が設定されている金種の正常紙幣を該当する収納カセット31に収納する。その他の紙幣、具体的にはリジェクト紙幣や収納カセット31に割当が設定されていない金種の紙幣は、回収カセット53に搬送し、そこに収納する。
第2パターンの場合、出金処理中や連続出金処理中に、一時保留部51が満杯になると、一時保留部51にリジェクト紙幣を収納できなくなる。従って、そのような状況が発生した場合、入出金機1A、具体的には制御部513の判断により、繰り出しが行われている収納カセット31において紙幣枚数の確定処理を行い、出金処理等の動作を中断する。そして、第1パターンと同様に、一時保留部51から紙幣が繰り出され、正常紙幣は該当する収納カセット31に収納され、その他の紙幣は回収カセット53に収納される。
第3パターンの場合、全精査処理中にリジェクト紙幣が発生すると、全精査処理の終了後には、一時保留部51に紙幣が一時的に収納された状態になる。そこで、この場合も第1パターンと同様に一時保留部51に収納された紙幣を繰り出して、収納カセット31や回収カセット53に収納する。
(戻し入れ計数処理)
戻し入れ計数処理は、出金リジェクト搬送処理中にエラーが発生した場合に、復旧処理によって入出金機1Aの外部に払い出された紙幣を回収カセット53に戻し入れするのに用いられる。具体的には、投入口211に投入された紙幣を識別し、収納カセット31に割当が設定されている金種の正常紙幣は、回収カセット53に搬送する。その他の紙幣、例えば、リジェクト紙幣や収納カセット31に割当が設定されていない金種の正常紙幣、回収カセット53が満杯になった後に搬送される紙幣は、第1出金口231や第2出金口232に選択的に払い出される。
なお、戻し入れ計数処理では、紙幣を回収カセット53に搬送してもカウンタの更新は行わない。従って、収納カセット31に割当が設定されている金種の正常紙幣であっても、回収カセット53に加算されていない金種の正常紙幣は、第1出金口231等に払い出される。
(リセット機能)
リセット機能は、上位端末T等からの指示、又は入出金機1Aの判断により行う復旧のための機能である。リセット機能による処理は、例えば、搬送路上の紙幣除去、動作確認及び復帰、一時保留部51内の紙幣の返却等のステップで構成されている。
具体的には、ループ搬送路411等の搬送路上に紙幣が残っている場合には、搬送部41が、低速で各搬送路上に残る紙幣を第1出金口232等に払い出す。そして、入出金機1Aは、各機能部位の動作確認を行い、位置等が定位置からずれている場合には、定位置に復帰させる。識別部25もリセットする。最後に、一時保留部51内に紙幣がある場合には、その紙幣を第1出金口231等に払い出す。
なお、入出金機1Aは、通過センサ312等、各所に設置されたセンサがエラーを検出した場合には、エラーコードや、エラーを発生している要因(例えばジャム紙幣等)の除去が必要である場合には、その発生箇所の情報を上位端末T等に発信する。それにより、表示部511等には、エラーコード等に基づき、復旧作業を誘導するメッセージ等が表示されるので、オペレータは、その表示に従って入出金機1Aを復旧させることができる。
(カウンタ、記番号管理機能)
カウンタ、記番号管理機能は、入出金機1A内にある紙幣の実枚数を、収納部位別に管理する機能である。上述した部分精査等において用いられている。図18の(a)は、この入出金機1Aの記憶部59に設定されているカウンタの一覧を示している。各カセット31、33,53への紙幣の収納時及び各カセット31、33,53からの紙幣の繰出時に、リアルタイムに紙幣のカウントを行う現物在高として、第1〜第4の収納カセット31、精査カセット33及び回収カセット53毎にカウンタが設定されている。各カウンタには、128金種が設定されかつ、1金種につき2バイトのサイズが割り当てられている。また、入金処理や出金処理が完了したときにカウントを行う機内在高として、128金種でかつ、1金種につき2バイトのサイズが割り当てられたカウンタが設定されている。これらのカウンタは、通過センサ312の検知結果に基づいて増減する。
この入出金機1Aの記憶部59は、各部に収納している紙幣の記番号を、その収納順に並べると共に、各々の記番号を、その収納枚数に対応する通し番号に関連付けた記番号リストを記憶している。同図の(b)は、この記番号リストの一覧を示している。第1〜第4収納カセット31及び精査カセット33については、それぞれ3000枚分で、紙幣1枚につき16バイトのサイズが割り当てられている。回収カセット53については、5000枚分で、紙幣1枚につき16バイトのサイズが割り当てられ、出金部23については、220枚分で、紙幣1枚につき16バイトのサイズが割り当てられ、出金リジェクト一時保留部51については、520枚分で、紙幣1枚につき16バイトのサイズが割り当てられている。
例えば、各収納カセット31のカウンタは、その出入口3000を通過する紙幣を通過センサ312が検知することで、その紙幣の金種の情報に基づき、その収納カセット31の在高におけるその金種の枚数を加算又は減算する。各収納カセット31の記番号も、その出入口3000を通過する紙幣を通過センサ312が検知することで、その紙幣の記番号情報に基づき、その収納カセット31の記番号リストに順に記憶、又は削除する。カウンタや記番号リストの更新は、上述したように、入金処理等、適宜、各処理の終了後に行われる。
[第2の機種]
{第2の機種の構成}
図19、図20に、本機種の貨幣処理装置(単に、入出金機1Bともいう)の基本構成を示す。この入出金機1Bも、いわゆる循環式の入出金機である。以降の説明では(第3の機種も含む)、便宜上、第1の機種と同様の構成や機能については、同じ符号を用いてその説明を適宜省略する。
入出金機1Bの基本構成は入出金機1Aとほぼ同様である。具体的には、入出金機1Bも、上部の処理部11と、中間部の第1金庫部13と、下部の第2金庫部14とに大別される。処理部11を構成する上部筐体内には、投入口211を有する入金部21や出金口231を有する出金部23、識別部25、一時保留部51、ループ搬送路411を含む搬送部41が配設されている。上部筐体111の下側の防護筐体131は、第1及び第2金庫部13,14を構成している。防護筐体131は上部筐体111よりもセキュリティレベルが高く設定されている。
入出金機1Bは、入出金機1Aと比べて、例えば、出金部23が1つである点や、精査カセット33が無く、その代わりに収納カセット31が設置されている点などで構成が相違している。また、図示例の入出金機1Bでは、第2金庫部14や回収カセット53が備えられているが、入出金機1Bでは、これらが備えられていないタイプも存在する(別タイプ)。これら構成の相違により、入出金機1Bでは、入出金機1Aと比べて、一部の機能が異なり、また、同じ機能であってもその内容が異なる場合がある。
図示例の入出金機1Bでは、第1金庫部13に、5個のスタック式の収納カセット31を含む収納部3が配設され、第2金庫部14には、回収カセット53が配設されている。防護筐体131の前面には、第1金庫部13を開閉する第1開閉扉133と、第2金庫部14を開閉する第2開閉扉135とがある。入出金機1Aと同様に、第1開閉扉133の前面には、これを施錠する第1電子錠1331が設けられ、第2開閉扉135の前面には、これを施錠する第2電子錠1332が設けられている。
識別部25や搬送部41、入金部21、出金部23、収納カセット31、一時保留部51、回収カセット53等の基本的な構成は、入出金機1Aの識別部25等と同じである。ただし、入出金機1Bでは出金口が1つであるため、ここではその出金口を入出金機1Aの第1出金口231として扱う。また、入出金機1Aの精査カセット33の設置部位には、精査カセット33に代えて第5の収納カセット31(31−5)が配設されている。
図21に、入出金機1Bの動作制御に係る構成を示す。精査カセット33に代わって第5の収納カセット31−5が制御部に接続されている点を除けば、入出金機1Bの係る構成も入出金機1Aとほぼ同じである。各部位の基本的な機能も同様である。
{第2の機種の機能}
次に、入出金機1Bが有する各種処理機能について説明する。入出金機1Bも、出金等の各種計数処理を行う機能や、その他の縮退機能等を有している。ただし、バイパス入金処理や釣銭準備処理、バイパス出金処理、連続出金処理は、出金口が1つであるため行えない。また、精査カセット補充処理や全精査処理は、精査カセット33が無いため行えない。
(縮退機能)
縮退機能は、入出金機1Bに故障が発生した場合に、故障部位を切り離すことによって継続して使用できるようにする機能である。指示縮退や自動縮退があり、その詳細は入出金機1Aと同様である。
(カウンタ、記番号管理機能)
入出金機1Bも入出金機1Aと同様に、カウンタ、記番号管理機能を有している。その詳細は入出金機1Aと同様である。
(直接入金処理)
直接入金処理は、入出金機1Aと同様に、入出金機1Bに入金(収納)された正常紙幣を直接的に収納カセット31に収納する処理である。投入口211に投入された紙幣は、識別部25による識別結果と、予め設定された収納割当とに従って、いずれかの収納カセット31に収納される。
図22に、入出金機1Bにおける入金処理時の動作を示す。入金する紙幣を投入口211に投入した状態で、例えば上位端末T等の操作によって入金処理の開始コマンドを、入出金機1Bに入力する。入金部21の繰り出し機構は、同図に矢印(実線)で示すように、投入口211の紙幣を一枚ずつ繰り出し、搬送部41は、各紙幣を識別部25に搬送する。識別部25は、その紙幣の識別を行う。搬送部41は、正常紙幣を、同図に矢印(実線)で示すように、その識別結果及び予め設定された収納割当に従って、所定の収納カセット31に収納する。
収納カセット31に割当が設定されていない金種の紙幣(正常紙幣)や損券、オーバーフロー紙幣は、回収カセット53に収納される。リジェクト紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように、出金口231に払い出す。出金口231が満杯になった場合には、紙幣の抜き取り待ちとなる。出金口231から紙幣が抜き取られると、入金処理が再開する。
なお、オーバーフロー紙幣は、回収カセット53に収納せずに、出金口231に払い出すようにしてもよい。
(枚数計数処理)
枚数計数処理は、投入口211に投入された紙幣を識別、計数し、入出金機1Bに受入が設定されている金種の正常紙幣は出金口231に払い出し、それ以外の紙幣は一時保留部51に一時収納する処理である。入出金機1Bは、入出金機1Aと異なり、出金口は出金口231しかないため、一時保留部51を利用することでこの処理を実現している。
具体的には、図23に例示するように、上位端末T等で所定の操作が行われることにより、枚数計数処理が開始され、投入口211への紙幣の投入待ち状態になる。投入口211への紙幣の投入が検知されると、上位端末T等によって枚数計数処理の開始が制御部513に指示され、同図に矢印(実線)で示すように、投入口211の紙幣が繰り出される。投入口211から繰り出された紙幣は、搬送部41によって識別部25に搬送され、識別される。
識別の結果、同図に矢印(太実線)で示すように、正常紙幣は第1出金口231に払い出される。その他の紙幣、具体的には、受付対象外の金種の紙幣やリジェクト紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように、一時保留部51に搬送され、そこに収納される。正常紙幣等の計数結果は表示部511等に表示される。なお、枚数計数処理を行う前には、後述する出金リジェクト搬送処理を行って、一時保留部51から紙幣を払い出しておくのが好ましい。
(入金口補充処理)
入金口補充処理は、収納カセット31に外部から紙幣を補充する処理である。入出金機1Aと同様に、正券のみを各収納カセット31に補充することができる。具体的には、図24に示すように、投入口211に投入された紙幣を識別し、割当対象金種の正券のみを該当する収納カセット31に収納し、それ以外の紙幣、例えば損券やリジェクト紙幣は出金口231に払い出す。
入出金機1Bにおける入金口補充処理は入出金機1Aと基本的には同様である。搬送部41は、同図に矢印(実線)で示すように、識別部25において、各収納カセット31に割り当てられた金種の正券と識別された紙幣のみを該当する各収納カセット31に搬送する。それ以外の紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように出金口231に搬送する。
(出金処理)
出金処理は、入出金機1Bに収納されている紙幣を払い出す処理である。具体的には、上位端末T等において、金種や枚数を指定する所定の出金操作を行うことにより、出金処理は開始する。
図25に、出金処理時における入出金機1Bの動作を示す。同図の矢印(実線)が示すように、収納部は、指定された金種の紙幣を、それが収納されている収納カセットから指定された枚数だけ繰り出す。搬送部41は、繰り出された紙幣を、ループ搬送路411等を通じて識別部25に搬送する。識別部25が識別を行った後、正常紙幣は出金口231に払い出される。
リジェクト紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように、一時保留部51に搬送され、そこに収納される。一時保留部51に収納された紙幣は、必要に応じて、出金処理の終了後に、各収納カセット31又は回収カセット53に収納される。
(リジェクト紙幣放出処理)
リジェクト紙幣放出処理は、各収納カセット31に残留するリジェクト紙幣を入出金機1Bの外に払い出して各収納カセット31を空にする場合に用いられる。具体的には、リジェクト紙幣放出処理では、各収納カセット31に残留するリジェクト紙幣は出金口231に払い出される。すなわち、搬送部41は、識別部25で識別された紙幣を、識別結果に関係なく選択された出金口231に搬送する。
(出金リジェクト搬送処理)
出金リジェクト搬送処理は、入出金機1Aと同様に、一時保留部51に収納された紙幣を識別した後、各収納カセット31又は回収カセット53に搬送する処理である。なお、回収カセット53の無い別タイプは本処理の対象外である。
上位端末T等の指示、又は入出金機1Bの判断に基づいて、出金リジェクト搬送処理は行われる。入出金機1Bでは、出金リジェクト搬送処理のパターンが2つある。出金処理後に出金リジェクト搬送処理が行われる場合(第1パターン)と、出金処理中に出金リジェクト搬送処理が行われる場合である(第2パターン)。第1パターンや第2パターンの処理の詳細は、入出金機1Aの第1パターンの処理等と同様である。
(戻し入れ計数処理)
戻し入れ計数処理は、入出金機1Aと同様に、出金リジェクト搬送処理中にエラーが発生した場合に、復旧処理によって入出金機1Bの外部に払い出された紙幣を回収カセット53に戻し入れするのに用いられる。出金リジェクト搬送処理と同じく、回収カセット53の無い別タイプは本処理の対象外である。
具体的には、投入口211に投入された紙幣を識別し、収納カセット31に割当のある金種の正常紙幣は、回収カセット53に搬送する。その他の紙幣、例えば、リジェクト紙幣や収納カセット31に割当のない金種の正常紙幣、回収カセット53が満杯になった後に搬送される紙幣は、出金口231に払い出される。また、紙幣を回収カセット53に搬送してもカウンタの更新は行わない。
(回収処理)
回収処理は、収納カセット31に収納されている紙幣を、回収カセット53に搬送する処理である。具体的には、上位端末T等において、所定の操作を行うことにより、回収処理は開始する。入出金機1Bでも、基本的な処理内容は入出金機1Aと同様であるが、第4収納カセット下部31−4Lについては、入出金機1Aのような一次搬送先が無いため、処理対象外である。
図26に、回収処理時における入出金機1Bの動作を示す。同図の矢印(実線)で示すように、回収の対象が、第1〜第3の収納カセット31−1、31−2、31−3か、第4の収納カセット上部31−4Uの場合、収納部は、指定された金種の紙幣を、それが収納されている収納カセットから順次繰り出す。搬送部41は、繰り出された紙幣を識別部25に搬送する。識別部25で識別された正常紙幣は、ループ搬送路411から回収カセット53へと搬送され、回収カセット53内に収納される。識別部25で識別されたリジェクト紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように、一時保留部51に収納される。
図27に矢印(実線)で示すように、回収の対象が第5の収納カセット31−5の場合、第5の収納カセット31−5から繰り出された紙幣は、先とは逆向きにループ搬送路411を通って識別部25に搬送される。識別部25で識別された正常紙幣は、同じく逆向きの搬送方向でループ搬送路411から回収カセット53へと搬送され、そこに収納される。識別部25で識別されたリジェクト紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように、一時保留部51に収納される。
(部分精査処理)
精査処理は、入出金機1Aで説明したように、収納カセット31に収納されている紙幣を確定させるための処理である。この入出金機1Bでは、精査カセット33が無く、全精査処理は行えないので、一時保留部51を利用した部分精査処理により精査処理を行う。
図28に、入出金機1Bにおける精査処理の動作を示す。同図の(a)に示すように、精査対象の収納カセット31(図例では、第1収納カセット31−1)から、紙幣を一枚ずつ繰り出す。搬送部41は、繰り出された紙幣を識別部25に搬送し、識別部25が識別を行う。そして、複数枚(例えば5枚)の正常紙幣(これらが対象グループとなる)が、連続して収納カセット31から繰り出されれば、紙幣の繰り出しを中止する。正常紙幣は、一時保留部51へと搬送され、そこに収納される。一方、リジェクト紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように、出金口231へ払い出される。
そうして、入出金機1Aで説明したように、対象グループと記番号リストとを照合する。その結果、記番号リスト上において、対象グループに含まれる記番号と一致する記番号が全て含まれる照合グループが特定されれば、記番号リストを更新することにより、収納カセット31に収納されている紙幣が確定する。
その後は、同図の(b)に示したように、一時保留部51内に収容している紙幣を一枚ずつ繰り出して、識別部25に搬送する。識別部25において、紙幣の識別を行い、同図に矢印(実線)で示すように、記番号が読み取られた正常紙幣を元の収納カセット31に収納する。リジェクト紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように、出金口231へ払い出される。なお、リジェクト紙幣を出金口231に搬送する搬送路と、一時保留部51から紙幣を繰り出す搬送路とは、一部重複している。従って、識別部25においてリジェクト紙幣と識別された場合には、いったん一時保留部51からの紙幣の繰り出し処理を中断し、リジェクト紙幣を出金口231に搬送した後に一時保留部51からの紙幣の繰り出し処理を再開する。また、出金口231に搬送されたリジェクト紙幣は、権限者によって取り出され、マニュアル処理が行われる。
(返却処理)
返却処理は、一時保留部51内にある紙幣を出金口231に払い出す処理である。例えば、復旧時や、部分精査処理でリジェクト紙幣が発生した場合、一時保留部51が満杯になった場合、枚数計数処理や部分精査処理の前に一時保留部51を空にする際に行われる。
図29に、入出金機1Bにおける返却処理の動作を示す。返却処理では、同図に矢印(実線)で示すように、一時保留部51内にある紙幣を識別せず、直接出金口231に払い出す。すなわち、搬送部41は、ループ搬送路411を通じて識別部25には搬送せず、最短経路で出金口231に搬送する。
[第3の機種]
{第3の機種の構成}
図30及び図31に、本機種の貨幣処理装置(入出金機1Cともいう)を示す。この入出金機1Cもまた、循環式の入出金機である。
入出金機1Cは、上側の処理部11と、下側の金庫部13とに大別される(この機種の金庫部は、機能的に第1の機種等の第1金庫部13に相当する)。処理部11を構成する筐体111内には、投入口211を有する入金部21と、出金口231を有する出金部23と、識別部25と、ループ搬送路411を含む搬送部41と、が配設されている。
金庫部13を構成する防護筐体131内には、複数の(図例では8個の)巻き取り方式の収納モジュール31(第1の機種等の収納カセット31に相当する)を含んで構成された収納部3と、ループ搬送路411と各収納モジュール31とを互いに接続する搬送路431を含む金庫部側搬送部43と、が配設されている。防護筐体131の前面には、金庫部13を開閉するための開閉扉133や電子錠1331が設けられている。
識別部25は、入出金機1Aと同様の構成、機能を有し、紙幣の真偽や金種、正損を識別する。但し、この機種の場合、記番号を認識する機能は必須ではない。本実施形態の識別部25は、紙幣の識別及び計数を行うものとする(識別及び計数を包括的に識別ともいう)。
搬送部41(金庫部側搬送部43と区別するため、処理部側搬送部41ともいう)は、処理部側筐体111内にループ搬送路411を備えている。ループ搬送路411と投入口211との間は、投入路413によって互いに接続されている。ループ搬送路411にはまた、分岐機構417の動作により、ループ搬送路411上を搬送されている紙幣を選択的に出金口231に搬送する払出路415が接続されている。
ループ搬送路411には、また別の複数の分岐機構が設けられている。具体的には、第1の分岐機構419は、ループ搬送路411と金庫部側搬送部43の搬送路431との接続位置に設けられている。第1の分岐機構419は、ループ搬送路411上を時計回り方向又は反時計回りに搬送されている紙幣を、選択的に、金庫部側搬送部43の搬送路431に送るか、又は、収納部3から繰り出されかつ、搬送路431に沿って搬送されてきた紙幣を、ループ搬送路411上で時計回り方向に搬送させるか、若しくは、反時計回り方向に搬送させるかの切り替えを行う。
また、第2の分岐機構4111は、ループ搬送路411と接続路4115との接続位置に設けられている。接続路4115は、仮想的に示す一時保留部51と、ループ搬送路411とを互いに連結する。第2の分岐機構4111は、ループ搬送路411上を時計回り方向又は反時計回りに搬送されている紙幣を、接続路4115に送るか、又は、一時保留部51から繰り出した紙幣を、ループ搬送路411上で時計回り方向に搬送させるか、若しくは、反時計回り方向に搬送させるかの切り替えを行う。
さらに、第3の分岐機構4113は、ループ搬送路411とカセット接続路4117との接続位置に設けられている。カセット接続路4117は、仮想的に示す回収カセット53と、ループ搬送路411とを互いに連結する。第3の分岐機構4113は、ループ搬送路411上を時計回り方向又は反時計回りに搬送されている紙幣を、選択的にカセット接続路4117に送るように動作する。
収納部3は、前述したように、図例では第1〜第8の巻き取り方式(言い換えると、テープ式)の収納モジュール31−1〜31−8を含んで構成されている。ここで、各々の収納モジュールを総称する場合には、符号「31」を付し、第1、第2、第3…の、各々の収納モジュールを区別する場合には、符号「31−1、31−2、31−3…」を付す。尚、収納モジュール31の数は特に限定されず、1個以上で、適宜の数を設定すればよい。8個の収納モジュール31は、この例では、装置の奥行き方向に4個並んで1列を構成すると共に、その列が上下方向に2列を構成するように積み重ねられている。
各収納モジュール31は、例えば、1つの収納モジュール31に1つの収納可能な金種を割り当てることにより、各収納モジュール31を金種別に用いることができる(単金種設定)。また、1つの収納モジュール31に複数の金種を割り当てることにより、その収納モジュール31に複数の金種を混合して収納させることもできる(混合巻き金種設定)。収納部3は、単金種設定の収納モジュール31だけで構成することができ、また、単金種設定の収納モジュール31に混合巻き金種設定の収納モジュール31を含ませて構成することもできる。なお、特に言及しない限り、入出金機1Cでは単金種設定がされているものとする。
この巻き取り方式の収納モジュール31は、特開2000−123219号公報に例示されるように、概略矩形箱状の筐体内に、紙幣をガイドする一枚のテープ、ガイド部材、及び、紙幣と共にテープを巻き取るリールを備えて構成されるか、又は、本件出願人が先に出願したPCT/JP2009/066729に例示されるように、筐体内に、紙幣を挟む2枚のテープ、及び、紙幣を挟み込んだ2枚のテープを巻き取るリールを備えて構成される。
いずれの構成においても、巻き取り方式の収納モジュール31は、紙幣を一枚ずつ巻き取って収納すると共に、その収納した順番とは逆順で、紙幣を一枚ずつ繰り出す、いわゆる先入れ後出しとなるように紙幣を収納する。各収納モジュール31にはまた、その筐体の内外を連通するように形成された出入口3000の近傍に、第1の機種等の通過センサ312に相当する、紙幣の通過を検知する検知センサが設けられている(図示省略)。
金庫部側搬送部43の搬送路431は、処理部側搬送部41のループ搬送路411と同様に、ローラ、ベルト及びガイドの組み合わせによって構成されており、この搬送路431もまた、紙幣を一枚ずつ短手搬送する。搬送路431は、ループ搬送路411上の第1の分岐機構419から、鉛直下向きに延びると共に、その下端部において、奥行き方向の手前側及び奥側のそれぞれに分岐している。奥側に向かって延びる分岐路は、上下に積み重ねられた2列の収納モジュール31の間に配設されている。各収納モジュール31は、この分岐路上に設けられた振分機構433を介して分岐路に接続されている。各振分機構433は、制御部513によって駆動制御され、それにより、紙幣が、識別部25によって識別された金種や正損等に応じて複数の収納モジュール31に振り分けられて収納される。
この入出金機1Cでは、紙幣を一時的に保留する一時保留部51と、金庫部13の防護筐体131内に着脱可能に取り付けられる回収カセット53とが、オプションで装着できるように構成されている。
一時保留部51は、図31に二点鎖線で示すように、処理部側筐体111内における、奥行き方向の手前側に設けられた空きスペース内に装着される。一時保留部51は、前述したように、接続路4115を介して、第2の分岐機構4111に接続される。一時保留部51は、この例では、前述した収納モジュール31と同様に、2枚のテープを利用した巻き取り方式であり、紙幣の順番を入れ替えることなく、先入れ後出しとなるように紙幣を収納する。
回収カセット53は、図31に二点鎖線で示すように、防護筐体131内における、奥行き方向の手前側に設けられた空きスペース内に、着脱可能に装着される。回収カセット53は、前述したように、カセット接続路4117を介して、ループ搬送路411上の第3の分岐機構4113に接続されている。回収カセット53は、巻き取り式の収納モジュール31や一時保留部51とは異なり、その内部に昇降する集積台を備えかつ、この集積台上に紙幣を重ねて収納するように構成されている。
回収カセット53に収納された紙幣は、そこから繰り出すことはできない。回収カセット53には、オーバーフロー紙幣が収納される。また、出金処理時等にリジェクト紙幣が、回収カセット53に収納される場合もある。回収カセット53が未装着のときには、オーバーフロー紙幣やリジェクト紙幣は、出金口231に払い出される。
なお、防護筐体131内の空きスペースには、回収カセット53の代わりに、巻き取り式の収納モジュール31が追加して装着される場合がある。追加の収納モジュール31は、例えば、2個のモジュールが上下に積み重ねられて配設され、これら2個の収納モジュール31はそれぞれ、搬送路431の下端から奥行き方向の手前側に延びる分岐路に対し、前述した振分機構を介して接続される。
図32は、入出金機1Cの動作制御に係る構成を示している。制御部513には、入金部21、出金部23、第1−第nの収納モジュール31を含む収納部3、処理部側搬送部41、及び金庫部側搬送部43が、信号の送受信可能に接続されている。制御部513には、第1の機種等の通過センサ312のように、搬送路を搬送されている紙幣を検知するといった機能を有する各種のセンサも接続されており(図示省略)、各種センサの検知信号が制御部513に入力される。制御部513は、入力された検知信号等に基づいて制御信号を出力し、各部21,23,3,41,43は、その制御信号に従って動作をする。
制御部513にはまた、識別部25や操作部55、通信部57、記憶部59が接続されている。記憶部59は、入出金機1Cが収納している紙幣の金種別枚数又は金額である在高を少なくとも記憶する。また、記憶部59は、収納モジュール31毎の在高も記憶する。
一時保留部51や回収カセット53が、この入出金機1Cに装着されるときには、これら機器51,53もまた、制御部513に接続され、制御部513が出力する制御信号に従って動作をする。また、表示部511もオプション機器として制御部513に接続することができる。
制御部513は、通信部57を通じて受けた上位端末Tからの指令、及び/又は、操作部55を通じて受けた各種の指令に応じて、各部21,23,25,3,41,43,51,53,55,57,59,511の動作を制御する。そうすることで、入出金機1Cは、入金処理等の各種計数処理や、その他の処理を行う機能を有している。以下、入出金機1Cの主な機能について説明する。
{第3の機種の機能}
入出金機1Cは、入出金機1Aと同様に、LED表示機能や省電力機能、縮退機能、占有機能を有している。また、入出金機1Cは、直接入金処理等、入出金機1Aと同様の計数処理機能を有しているが、構造上の違いにより、処理内容に異なる点があるため、それぞれの処理について次に説明する。
(直接入金処理)
直接入金処理は、入出金機1Cに紙幣を入金(収納)する処理である。投入口211に投入された紙幣は、識別部25による識別結果と、予め設定された収納割当とに従って、いずれかの収納モジュール31に収納される。
図33に、入金処理時における入出金機1Cの動作を示す。入金する紙幣を投入口211に投入した状態で、例えば上位端末T等の操作によって入金処理の開始コマンドを、入出金機1Cに入力する。同図に矢印(実線)で示すように、入金部21は、投入口211の紙幣を一枚ずつ繰り出し、処理部側搬送部41は、各紙幣を識別部25に搬送する。識別部25は、その紙幣の識別を行う。
正常紙幣は、処理部側搬送部41により、ループ搬送路411から、第1の分岐機構419を通って金庫部側搬送部43へと搬送される。金庫部側搬送部43は、識別部25による識別結果、及び、予め設定された収納割当に従って、正常紙幣を所定の収納モジュール31に収納する。すなわち、正常紙幣は、金種別や正損別に応じて、いずれかの収納モジュール31に収納される。
リジェクト紙幣は、処理部側搬送部41により、同図に矢印(破線)で示すように、ループ搬送路411から分岐機構417を通って払出路415へと搬送される。そうして、リジェクト紙幣は、出金口231に払い出される。尚、入金処理時に発生したリジェクト紙幣は、投入口211に再投入され、識別が再度行われる。
オーバーフロー紙幣は、出金口231に払い出される。入出金機1Cに回収カセット53が装着されているときには、オーバーフロー紙幣は、回収カセット53に収納される。入金処理の終了後には、記憶部59に記憶している在高が更新される。
(入金処理)
入金処理は、一時保留部51が入出金機1Cに装着されている場合に、紙幣を直接収納モジュール31に収納せずに、いったん一時保留部51に収納し、計数結果を確認してから所定の収納モジュール31に収納することができる処理である。
図34に、その入金処理の動作例を示す。この場合、正常紙幣は、同図に矢印(実線)で示すように、ループ搬送路411から第2の分岐機構4111を通って一時保留部51に搬送され、そこに収納される。尚、リジェクト紙幣は、出金口231に払い出される。
そうして、投入口211に投入された紙幣が全て繰り出され、入金される紙幣の識別が全て完了すると、上位端末T等に計数結果が表示される。オペレータは、その計数結果を確認し、上位端末T等において所定の収納操作を行う。これにより、同図に矢印(破線)で示すように、一時保留部51は、そこに収納している紙幣を一枚ずつ繰り出す。処理部側搬送部41は、各紙幣を、ループ搬送路411から第1の分岐機構419を通って、金庫部側搬送部43へと搬送する。
金庫部側搬送部43は、識別部25による識別結果、及び、予め設定された収納割当に従い、各紙幣を、金種別や正損別に応じて収納モジュール31に収納する。尚、オペレータが、収納操作ではなく、所定のキャンセル操作を行ったときには、一時保留部51に収納されている紙幣は、出金口231に払い出される。
(整理計数処理)
整理計数処理は、投入口211に投入された紙幣を識別、計数し、識別部25で最初に正券として識別された金種を整理計数処理の対象金種として選定し、対象金種は一時保留部51に収納し、それ以外の紙幣は出金口231に払い出す処理である。本処理は、一時保留部51が入出金機1Cに装着されている場合に利用できる。
図35に、本処理の動作を示す。入金する紙幣を投入口211に投入した状態で、例えば上位端末T等で所定の操作が行われることにより、整理計数処理が開始する。同図に矢印(実線)で示すように、入金部21は、投入口211の紙幣を一枚ずつ繰り出し、処理部側搬送部41は、各紙幣を識別部25に搬送する。識別部25は、その紙幣の識別を行う。
そして、識別部25で最初に正券として識別された金種の正常紙幣を、処理部側搬送部41は、同図に矢印(太実線)で示すように、一時保留部51に搬送し、そこに収納する。それ以外の紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように、全て出金口231に払い出される。一時保留部51に収納された対象金種の紙幣は、後述する返却処理により、出金口231に払い出される。
この入出金機1Cは、紙幣の方向を識別することができる紙幣の方向確認機能を有している。従って、整理計数の際に、この方向確認機能を用いれば、更に同じ向きの紙幣のみを選び出して一時保留部51に収納することができ、対象金種の紙幣の向きを揃えることができる。
(枚数計数処理)
枚数計数処理は、投入口211に投入された紙幣を識別、計数し、出金口231に払い出す処理である。
図36に、本処理の動作を示す。処理する紙幣を投入口211に投入した状態で、例えば上位端末T等で所定の操作が行われることにより、枚数計数処理が開始する。同図に矢印(実線)で示すように、入金部21は、投入口211の紙幣を一枚ずつ繰り出し、処理部側搬送部41は、各紙幣を識別部25に搬送する。識別部25は、その紙幣の識別を行う。同図に矢印(太実線)で示すように、識別された紙幣は全て出金口231に払い出される。識別、計数の結果は表示部511等において表示される。
(収納処理)
収納処理は、一時保留部51に収納されている紙幣を収納カセット31に収納する処理や、回収カセット53が入出金機1Cに装着されている場合には回収カセット53に収納する処理である。従って、本処理は、一時保留部51が入出金機1Cに装着されている場合に用いられる。
図37に、本処理の動作を示す。例えば上位端末T等で所定の操作が行われることにより、収納処理が開始する。収納処理が開始すると、一時保留部51は、同図に矢印(実線)で示すように、紙幣を処理部側搬送部41に繰り出す。繰り出された紙幣は、処理部側搬送部41によって識別部25に搬送され、識別される。識別された紙幣は、その識別結果に基づき、処理部側搬送部41、金庫部側搬送部43を経て所定の収納モジュール31に収納される。
リジェクト紙幣や、収納先の収納モジュール31が満杯で収納できない紙幣など、収納モジュール31に搬送できない紙幣は、回収カセット53があれば回収カセット53に搬送して収納し、回収カセット53が無ければ、同図に矢印(破線)で示すように、出金口231に払い出す。
(返却処理)
返却処理は、一時保留部51に収納されている紙幣を出金口231に払い出す処理である。従って、本処理も、一時保留部51が入出金機1Cに装着されている場合に用いられる。また、本処理は、整理計数処理と組み合わせて用いることができる。
図38に、本処理の動作を示す。例えば上位端末T等で所定の操作が行われることにより、返却処理が開始する。返却処理が開始すると、同図に矢印(実線)で示すように、一時保留部51は、紙幣を処理部側搬送部41に繰り出す。繰り出された紙幣は、識別部25に搬送することなく、最短経路で出金口231に払い出される。
(ロールバック処理)
ロールバック処理は、指示された収納モジュール31から指示された枚数の紙幣を出金して識別し、正券を出金口231に払い出す処理である。
図39に、本処理の動作を示す。例えば上位端末T等で所定の操作が行われることにより、ロールバック処理が開始する。ここでは、収納モジュール31−7が指定された場合を例示している。ロールバック処理が開始すると、同図に矢印(実線)で示すように、収納モジュール31−7から紙幣が繰り出され、繰り出された紙幣は、金庫部側搬送部43、処理部側搬送部41により、識別部25に搬送され、識別される。そして、識別部25で正券と識別された紙幣は、出金口231に払い出される。この一連の処理が指示された枚数が払い出されるまで繰り返えされる。
ロールバック処理の途中で、リジェクト紙幣が発生した場合、回収カセット53が利用可能である場合には、同図に矢印(破線)で示すように、リジェクト紙幣は回収カセット53に搬送され、そこに収納される。その後、指示された枚数が払い出されるまで、一連の処理が続けて行われる。回収カセット53が未装着、回収カセット53が縮退状態にあるなど、回収カセット53が利用不能である場合には、リジェクト紙幣も出金口231に払い出される。この場合、リジェクト紙幣分の新たな紙幣は再出金せず、オペレータにその旨を知らせる警告が発せられる。
(出金処理)
出金処理は、該当する収納モジュール31から紙幣を出金して識別し、正券を払い出す処理である。
図40に、本処理の動作を示す。上位端末T等において、金種や枚数を指定する所定の出金操作を行うことによって出金処理は開始する。同図に矢印(実線)で示すように、指定された金種の紙幣が収納モジュール31から指定された枚数だけ繰り出される。金庫部側搬送部43は、繰り出された紙幣を、処理部側搬送部41へと搬送する。処理部側搬送部41は、各紙幣を識別部25に搬送し、識別部25が識別を行った後に、出金部23へと搬送する。そうして、出金口231に各紙幣が払い出される。
出金される紙幣の枚数が出金口231の容量よりも多いときには、出金する紙幣を、複数回に分けて払い出す(分割出金処理)。すなわち、分割出金処理では、出金口231の容量以下の枚数の紙幣を出金口231に払い出した時点で処理が中断し、出金口231から紙幣が取り除かれた後、出金処理が再開する。こうした処理の中断と再開とが、出金される紙幣の枚数に応じて繰り返される。
出金処理の途中で、リジェクト紙幣が発生した場合、回収カセット53が利用可能である場合には、同図に矢印(破線)で示すように、リジェクト紙幣は回収カセット53に搬送され、そこに収納される。その後、指示された枚数が払い出されるまで、一連の処理が続けて行われる。回収カセット53が未装着、回収カセット53が縮退状態にあるなど、回収カセット53が利用不能である場合には、リジェクト紙幣も出金口231に払い出される。この場合、リジェクト紙幣分の新たな紙幣は再出金せず、オペレータにその旨を知らせる警告が発せられる。
出金処理に際し、払い出す紙幣の順序を設定することができる(出金順序設定)。出金順序設定は、例えば、上位端末T等で出金順序設定を選択指示することによって設定できる。出金順序設定を行うことにより、例えば、同じ金種を収納する収納モジュール31が複数ある場合に、その設定番号の順に払い出すことができる。また、受入対象金種として設定されている金種の番号順に払い出すことができる。また、紙幣の長さや大きさ順に払い出すこともできる。
また、出金処理に際し、所定枚数に分けて出金処理することができる(バッチ処理)。バッチ処理は、例えば、上位端末T等でバッチ処理を選択指示することによって設定できる。バッチ処理を行うことにより、設定した所定枚数を払い出した時点で出金処理は中断する。そして、出金口231の紙幣を抜き取ることによって再度出金処理が開始する。また、金種が切り替わる際にも出金処理を中断し、出金口231の紙幣の抜き取り待ちとなる。従って、出金される紙幣を金種別に扱うことできる。
また、出金処理に際し、複数の収納モジュール31から時間を空けずに連続して紙幣を繰り出させる方法(一括出金)と、紙幣を繰り出す収納モジュール31が切り替わる時、繰り出した紙幣が全て出金口231に払い出された後に、次の収納モジュール31から紙幣を繰り出させる方法(個別出金)とが選択できる。一括出金は処理時間が短い利点があり、個別出金は金種が揃う利点がある。
なお、出金順序設定やバッチ処理、個別出金は、収納モジュール31が単金種設定である場合に行うことができ、混合巻き金種設定の収納モジュール31の場合は、複数の金種が収納されているので行うことができない。
図41に、収納部3が混合巻き金種設定の収納モジュール31を含む場合における出金処理の動作を示す。図例では、収納モジュール31−2が混合巻き金種設定とされ、その他の収納モジュール31は単金種設定とされている。混合巻き金種設定の収納モジュール31からの出金処理は、一時保留部51及びカセット53が入出金機1Cに装着されている場合に可能となる。
収納モジュール31−2に収納されている紙幣は、同図に矢印(実線)で示すように、繰り出され、識別部25に搬送される。識別部25で識別された結果、払い出し対象の紙幣は、出金口231に払い出される。そして、同図に矢印(破線)で示すように、リジェクト紙幣は、回収カセット53に収納され、余剰分の紙幣は、一時保留部51に収納される。その後、一時保留部51に収納された余剰分の紙幣は、同図に矢印(太実線)で示すように、逆向きに搬送され、元の収納モジュール31−2に収納される。
(全払い出し処理)
全払い出し処理は、指示された収納モジュール31に収納されている全ての紙幣を出金口231に払い出し、当該収納モジュール31を空にする処理である。
図42に、本処理の動作を示す。例えば上位端末T等で所定の操作が行われることにより、全払い出し処理が開始する。同図に矢印(実線)で示すように、指定された収納モジュール31から紙幣が繰り出される。金庫部側搬送部43は、繰り出された紙幣を、処理部側搬送部41へと搬送する。処理部側搬送部41は、各紙幣を識別部25に搬送し、識別部25が識別を行った後、リジェクト紙幣を含む全ての紙幣を出金部23へと搬送する。そうして、指示対象の収納モジュール31が空になるまで出金口231に各紙幣が払い出される。
(回収処理)
回収処理は、指示された金種を収納している収納モジュール31から、紙幣を回収カセット53に搬送する処理である。従って、回収処理は、回収カセット53が利用可能な場合に行うことができる。
図43に、本処理の動作を示す。上位端末T等において、金種や枚数を指定する所定の回収操作を行うことによって回収処理は開始する。同図に矢印(実線)で示すように、指定された金種の紙幣が収納モジュール31から指定された枚数だけ繰り出される。金庫部側搬送部43は、繰り出された紙幣を処理部側搬送部41へと搬送する。処理部側搬送部41は、各紙幣を識別部25に搬送し、識別部25が識別を行った後、回収カセット53へと搬送する。
回収処理に際し、払い出す紙幣の順序を設定することができる(回収順序設定)。回収順序設定は、例えば、上位端末T等で回収順序設定を選択指示することによって設定できる。回収順序設定を行うことにより、例えば、同じ金種を収納する収納モジュール31が複数ある場合に、その設定番号の順に回収することできる。また、受入対象金種として設定されている金種の番号順に回収することもできる。また、札の長さや大きさ順に回収することもできる。
また、回収処理に際し、複数の収納モジュール31から時間を空けずに連続して紙幣を繰り出させる方法(一括回収)と、紙幣を繰り出す収納モジュール31が切り替わる時、繰り出した紙幣が全て回収カセット53に回収された後に、次の収納モジュール31から紙幣を繰り出させる方法(個別回収)とが選択できる。一括回収は処理時間が短い利点があり、個別回収は金種が揃う利点がある。
なお、回収順序設定や個別回収は、収納モジュール31が単金種設定である場合に行うことができ、混合巻き金種設定の収納モジュール31の場合は、複数の金種が収納されているので行うことができない。
図44に、収納部3が混合巻き金種設定の収納モジュール31を含む場合を示す。同図では、収納モジュール31−2が混合巻き金種設定とされ、その他の収納モジュール31は単金種設定とされている。混合巻き金種設定の収納モジュール31からの回収処理は、一時保留部51及びカセット53が入出金機1Cに装着されている場合に回収可能となる。
収納モジュール31−2に収納されている紙幣は、同図に矢印(実線)で示すように、繰り出され、識別部25に搬送される。識別部25で識別された結果、払い出し対象の紙幣は、回収カセット53に収納される。そして、同図に矢印(破線)で示すように、余剰分の紙幣は、一時保留部51に収納される。その後、一時保留部51に収納された余剰分の紙幣は、同図に矢印(太実線)で示すように、逆向きに搬送され、元の収納モジュール31−2に収納される。
回収処理に際し、損券や真偽不確定な紙幣等、正券以外の紙幣(異カテゴリー券ともいう)を収納している収納モジュール31がある場合、予め設定された搬送先に、収納されている紙幣を所定順で搬送することができる。搬送先としては、例えば、回収カセット53や出金口231が設定できる。この場合、枚数の指定はできず、収納モジュール31に収納されている全ての異カテゴリー券が搬送される。
図45に、そのような場合の動作を示す。図例では、収納モジュール31−8に異カテゴリー券が収納され、その他の収納モジュール31には正券が収納されている。搬送先として出金口231が設定されている場合には、収納モジュール31−8から繰り出された異カテゴリー券は、同図に矢印(実線)で示すように、金庫部側搬送部43、処理部側搬送部41を経て識別部25に搬送され、識別部25で識別が行われた後、出金口231へ払い出される。また、搬送先として回収カセット53が設定されている場合には、同図に矢印(太実線)で示すように、回収カセット53に搬送される。
収納部3が、異カテゴリー券を含む収納モジュール31を含む場合、単金種の収納モジュール31、混合巻き金種設定の収納モジュール31、異カテゴリー券を含む収納モジュール31の順で、指示された紙幣から回収処理が行われる。
(残置回収処理)
残置回収処理は、指示された金種の紙幣を、指示された枚数だけ残して、その他を回収する処理である。残置回収処理は、収納モジュール31ごとに1金種ずつ行われる。本処理は、一時保留部51及び回収カセット53のうち、少なくとも一時保留部51が入出金機1Cに装着されている場合に用いることができる。
図46に、一時保留部51のみが入出金機1Cに装着されている場合における本処理の動作を示す。上位端末T等において、金種や残置枚数、処理する収納モジュール31等を指定する所定の回収操作を行うことにより、残置回収処理は開始する。なお、この場合、残置指示する枚数を全数とした場合は、いわゆる精査処理を指定した場合と同様になる。
図例では、収納モジュール31−1が本処理の対象として指示されている。同図に矢印(実線)で示すように、指定された金種の紙幣が収納モジュール31−1から繰り出され、金庫部側搬送部43は、繰り出された紙幣を処理部側搬送部41へと搬送する。その紙幣は、処理部側搬送部41によって識別部25に搬送され、識別が行われる。識別の結果、正券は一時保留部51へと搬送され、そこに収納される。リジェクト紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように、出金口231に払い出される。
収納モジュール31−1から全ての紙幣が繰り出された後、同図に矢印(太実線)で示すように、一時保留部51に収納された紙幣は、繰り出され、逆の搬送経路を経て搬送され、指定された残置枚数に達するまで、元の収納モジュール31−1に収納される。指定された残置枚数に達した場合、残置回収処理は終了し、処理対象の金種について、その旨が記録される。
図47に、一時保留部51及び回収カセット53が入出金機1Cに装着されている場合における本処理の動作を示す。本図例においても、収納モジュール31−1が本処理の対象として指示されており、上位端末T等において、金種や残置枚数、処理する収納モジュール31等を指定する所定の操作を行うことにより、残置回収処理が開始する。
この場合も、同図に矢印(実線)で示すように、指定された金種の紙幣が収納モジュール31−1から繰り出され、識別部25で正券と識別された紙幣は一時保留部51へと搬送され、そこに収納される。一方、リジェクト紙幣は、同図に矢印(破線)で示すように、回収カセット53に搬送されて収納される。
指定された残置枚数の正券が一時保留部51に収納された時、その枚数を超える正券は回収カセット53に搬送されて収納される。更に、処理対象と同じ金種の紙幣を収納する収納モジュール31が他にもある場合には、それら紙幣も併せて回収カセット53に搬送されて収納される。
その後、同図に矢印(太実線)で示すように、一時保留部51に収納された紙幣は、繰り出され、逆の搬送経路を経て搬送され、元の収納モジュール31−1に収納される。そして、処理対象の金種について残置回収処理が終了した旨が記録される。
残置回収処理に際し、回収処理と同様に、回収順序設定ができる。ただし、混合巻き金種設定の収納モジュール31の場合は、複数の金種が収納されているので行うことができない。混合巻き金種設定の収納モジュール31は、単金種設定の収納モジュール31の後に残置回収処理される。
また、回収処理と同様に、異カテゴリー券を収納している収納モジュール31がある場合、予め設定された搬送先に、収納されている紙幣を所定順で搬送することもできる。この収納モジュール31の扱いは回収処理と同様である。
<貨幣処理装置の具体的構成>
図48に、関連発明を具体的に説明するための貨幣処理装置1の基本的な構成例を示す。同図の貨幣処理装置1は、上述した3つの貨幣処理装置1A,1B,1C等を包括的に表している。
ここでは、貨幣処理装置1がスーパーマーケット等のリテールに設置され、売上金の管理に用いられている場面を例に説明する。貨幣処理装置1は上位端末Tに接続されている。また、貨幣処理装置1は、ネットワークNを通じて銀行の勘定系システムKにも接続され、双方向通信可能となっている。
貨幣処理装置1の具体的構成や機能については上述したので、ここではその説明は省略する。本実施形態の貨幣処理装置1は、少なくとも貨幣収納部5001と、施錠部5002と、制御部513とを備えている。貨幣収納部5001は、貨幣を収納する部位であり、上述した入出金機1A等であれば、第1金庫部13等(ここでは包括的に金庫部13ととして扱う)に配設された収納部3や回収カセット53が本実施形態の貨幣収納部5001に相当する。なお、本実施形態では、第2機種の別タイプや第3の機種のように、金庫部は1つであるが、後述するように、2つ以上であってもよい。
施錠部5002は、防護筐体131の前面に設けられた第1開閉扉133(ここでは包括的に開閉扉133として扱う)の第1電子錠1331等に相当する。通常、施錠部5002は施錠されていて、金庫部13の内部にある収納部3等にアクセスすることは制限されているが、施錠部5002を解錠することでアクセス可能になる。施錠部5002はまた、制御部513と電気的に接続されていて、例えば制御部513は施錠部5002の暗証番号の変更を行う。
図49に示すように、本実施形態の制御部513は、上述した制御部513に更に機能が付加されており、解錠権限管理部5004や所有権管理部5005を有している。
解錠権限管理部5004は、記憶部59等と協働して、施錠部5002を解錠する権限である解錠権限を管理する。記憶部59は、解錠権限に関する情報を記憶する権限記憶部を含み(図示省略)、操作部55等から入力することにより、解錠権限管理部5004は、解錠権限を有する資格者(解錠資格者ともいう)を権限記憶部59に登録する。権限記憶部は、複数の解錠資格者を記憶することができる。各解錠資格者には、施錠部5002、つまり電子錠等を解錠するための固有の暗証番号等が付与される。なお、解錠資格者は特定のグループも含む。
また、解錠権限管理部5004は、登録されている複数の解錠資格者の中から、施錠部5002の解錠が許可される者(解錠権限設定者ともいう)を設定する機能を有する。解錠権限設定者は、通常は1者であるが、複数であってもよい。
このように、複数の解錠資格者が登録されていても、実際に施錠部5002を解錠できるのは、解錠権限設定者のみである。例えば、解錠権限管理部5004が、施錠部5002において、解錠権限設定者の暗証番号のみを有効にすることにより、解錠権限設定者の設定が行われる。
所有権管理部5005は、記憶部59等と協働して、貨幣収納部5001に収納されている貨幣の所有権を管理する。記憶部59は、貨幣収納部5001の所有権を有する者や、その所有権者と関連付けて貨幣収納部5001に収納されている貨幣の在高等の履歴を記憶する。また、記憶部59は、貨幣収納部5001の所有権者と解錠権限設定者との間も関連付けして記憶する。所有権管理部5005は、ネットワークNを通じて銀行の勘定系システムKと相互通信し、所有権者の口座に入出金処理する機能や、登録されている解錠資格者の口座間で振替処理を行う機能を有している。
解錠権限管理部5004や所有権管理部5005は、所定の条件に基づいてその処理を実行する。その条件としては、例えば、上位端末T等から解錠権限設定者の変更を伴う命令が入力された場合や、貨幣処理装置1の特定の状態、例えば、貨幣処理装置1が移動したり衝撃が加えられるなど、貨幣処理装置1の異常を検知した場合、特定の時刻が来た場合等が挙げられる。
なお、これら機能は、貨幣処理装置1が備える制御部513や記憶部59が有するだけでなく、その一部又は全部を上位端末Tが有することもできる。要するに、貨幣処理装置1の制御部513や記憶部59等と、上位端末Tとの協働により、これらの機能が発揮できればよい。
図50に、貨幣収納部5001の解錠資格者や解錠権限設定者、所有権者の関係を例示する。本実施形態では、貨幣処理装置1がリテールに設置されているため、貨幣処理装置1を扱う主体には、例えば、売上金を管理する店舗の経理担当者や、店舗と取引のある銀行、銀行から依頼を受けて貨幣を回収する貨幣回収業者がある。
従来の貨幣処理装置1であれば、同図の従来例に示すように、解錠資格者や解錠権限設定者はいずれも貨幣回収業者に固定されており、貨幣収納部5001内の貨幣の所有権も貨幣回収業者となっている。それに対し、本実施形態の貨幣処理装置1では、例えば、設定例1に示すように、解錠資格者に貨幣回収業者と、経理担当者とが登録され、そのうち、解錠権限設定者の初期値として、貨幣回収業者が設定されている。そして、貨幣収納部5001の所有権は貨幣回収業者にある。
また、設定例2に示すように、解錠資格者に貨幣回収業者と、経理担当者と、銀行とを登録し、そのうち、解錠権限設定者の初期値として貨幣回収業者を設定してもよい。この場合も、貨幣収納部5001の所有権は貨幣回収業者にある。
例えば、経理担当者が貨幣処理装置1を用いて売上金の処理を行っている時に、金庫部内で何らかのトラブルが発生し、その処理が中断したとする。復旧するには施錠部5002を解錠する必要があるが、この場合、従来であれば、貨幣回収業者しか施錠部5002を解錠できないため、経理担当者は、貨幣回収業者を呼び出し、その到着を待つしか復旧させる方法は無かった。その結果、売上金の処理は長期間中断され、24時間以上放置せざるを得ない場合も生じ得る。それに対し、本実施形態の貨幣処理装置1では、動的に解錠権限設定者を変更できるので、トラブルに迅速かつ柔軟に対応でき、利便性が向上する。
図51に、そのような場合における貨幣処理装置1の動作例を示す。経理担当者は、売上金の処理中に金庫部内でトラブルが発生した場合(ステップS1)、上位端末Tや操作部55を通じて解錠権限設定者の変更命令を入力する。変更命令の入力は、例えば、解錠資格者のみに許され、固有の暗証番号の入力やIDカード等により可能になる。変更先の解錠権限設定者は、例えば、変更命令の入力者が自動的に選ばれるようにしてもよいし、解錠資格者の中から選択して指定するようにしてもよい。また、経理担当者から連絡を受けた貨幣回収業者が上位端末Tを通じて解錠権限設定者の変更命令を入力するようにしてもよい。
変更命令が入力されると、解錠権限設定者の変更が行われ(ステップS2)、解錠権限管理部5004は、選ばれた解錠資格者を新たな解錠権限設定者に設定する。ここでは、経理担当者が新たな解錠権限設定者に設定される。例えば、解錠権限管理部5004により、施錠部5002の暗証番号が貨幣回収業者の暗証番号から経理担当者の暗証番号に変更され、経理担当者は、貨幣回収業者に代わって施錠部5002を解錠できるようになる。
経理担当者は、施錠部5002を解錠し(ステップS3)、金庫部13内のトラブルを解消する。トラブルの解消後、経理担当者が開閉扉133を閉じると、施錠部5002は自動的に施錠される(ステップS4)。施錠部5002の施錠と同時あるいはその後に、解錠権限管理部5004は、経理担当者から元の貨幣回収業者に解錠権限設定者を変更する。そうして、貨幣処理装置1が復旧すれば、中断した売上金の処理を再開することができる(ステップS5)。
このとき、解錠権限の変更前後で貨幣収納部5001内の貨幣の取り扱いが問題になる場合がある。例えば、経理担当者が貨幣収納部5001にアクセスしている時に、何らかの事情により貨幣収納部5001内の貨幣が減少したとすると、その後、解錠権限を貨幣回収業者に戻したときには、本来的にその貨幣の所有権者である貨幣回収業者が不測の不利益を受けることになり、信頼性を損なうおそれがある。
そこで、信頼性が損なわれないように、この貨幣処理装置1では、解錠権限の変更と同時あるいはそれと前後して貨幣収納部5001内の貨幣の所有権も変更するように構成されている。すなわち、所有権管理部5005は、解錠権限管理部5004が解錠権限設定者を変更するタイミングに合わせて、貨幣回収業者の口座から経理担当者(店舗)の口座へ、貨幣収納部5001内の貨幣を振り替る振替処理を行い、貨幣収納部5001内の貨幣の所有権者を変更する。
詳細には、解錠時における貨幣収納部5001内に収納されている貨幣の残高を確定する。そして、その残高分の貨幣を貨幣回収業者の口座から経理担当者(店舗)の口座へ移動させ、いったん貨幣回収業者が経理担当者に残高分の貨幣を貸し付けた状態にする。そうして、解錠時に貨幣収納部5001内にある貨幣の所有権を貨幣回収業者から経理担当者に移動させる。その際、売上金の一部が、既に、銀行の勘定系システムKを通じて貨幣回収業者の口座に送金されている場合には、所有権管理部5005は、前処理として、その送金処理の全体をキャンセルし、解錠権限設定者の変更前における貨幣回収業者の口座残高を保留する。
更に、その後、解錠権限管理部5004が解錠権限設定者を経理担当者から貨幣回収業者へ変更するタイミングでは、所有権管理部5005は、経理担当者(店舗)の口座から貨幣回収業者の口座へ、貨幣収納部5001内の貨幣を振り替る振替処理を行う。詳細には、全精査処理等を行うことにより、施錠時における貨幣収納部5001内に収納されている貨幣の残高を確定する。そして、その残高分の貨幣を経理担当者(店舗)の口座に入金するとともに、経理担当者が貨幣回収業者から貸し付けられた状態になっている残高分の貨幣を、経理担当者(店舗)の口座から貨幣回収業者の口座へ移動させ、返済した状態にする。そうして、施錠時における貨幣収納部5001内の貨幣の所有権を、経理担当者から貨幣回収業者に戻す。
このようにすれば、仮に、経理担当者が貨幣収納部5001にアクセスしてる時、何らかの事情によって、貨幣収納部5001内の貨幣が減少するようなことがあったとしても、その減少分が、その際に所有権者であった経理担当者(店舗)の口座から減額されるだけであり、貨幣回収業者の口座の金額に変化は生じないので、貨幣回収業者が不測の不利益を被ることがなくなる。従って、解錠権限が動的に変更するようになっても、貨幣処理装置1の信頼性を確保することができる。なお、振替処理は、ネットワークNを通じてリアルタイムに行ってもよいし、いったん記憶部59に記憶してから適宜行ってもよい。その後、経理担当者は、改めて売り上げ金の処理を再開することができる。
解錠資格者が施錠部5002を解錠した場合に、自動的に所有権が変更するようにしてもよい。例えば、解錠権限設定者に貨幣回収業者と経理担当者の2者を設定し、経理担当者も施錠部5002を解錠できるようにする。そうして、経理担当者が、自身の暗証番号を入力して施錠部5002を解錠すると、自動的に、所有権管理部5005が、貨幣回収業者から経理担当者へ、所有権を変更するように構成する。そうすれば、指示命令の入力等の作業が不要になり、復旧作業の時間が更に短縮できる。
この貨幣処理装置1は、異常時のセキュリティ対応にも利用できる。例えば、上述した設定例2のように設定すれば、貨幣処理装置1が移動させられたり、大きな衝撃を受けるなど、貨幣処理装置1の異常を検知した場合に銀行以外は解錠できないようにすればよい。なお、異常の検知は、センサ等を通じて制御部513が行う。
図52に、そのような場合における貨幣処理装置1の動作例を示す。制御部513が貨幣処理装置1の異常を検知する(ステップS11)。そうすると、解錠権限管理部5004は、貨幣回収業者から銀行へ、解錠権限設定者を変更する(ステップS12)。そうすると、施錠部5002は銀行以外解錠できなくなるため、貨幣の盗難等が抑止できる。この場合、施錠部5002は解錠されないので、所有権者は必ずしも変更しなくてもよい。
また、タイマー設定等により、所定の時刻が来た時に、解錠権限等の変更が行われるようにしてもよい。例えば、貨幣回収業者が回収可能な時間帯は、貨幣回収業者に解錠権限等を設定し、それ以外の時間は経理担当者に解錠権限等を設定することなどが考えられる。この場合、貨幣回収業者が回収不能な時間帯でも、貨幣回収業者の代わりに経理担当者が貨幣の回収をすることもできるので、利便性が向上する。
(変形例)
図53に、関連発明に関する貨幣処理装置1の変形例を示す。この貨幣処理装置1は、上述した入出金機1A等のように2つの金庫部13,14を備えており、そのそれぞれに、個別に解錠権限が設定できる施錠部5002が設けられている。具体的には、第1金庫部13の第1開閉扉133に第1施錠部5002a(第1電子錠1331に相当)が設けられ、第2金庫部14の第2開閉扉135に第2施錠部5002b(第2電子錠1332に相当)が設けられていて、それぞれ制御部513による解錠権限者等の設定が可能になっている。
第1金庫部13の内部には、貨幣処理装置1から取り外し可能な貨幣カセット5006が少なくも1つ配設されている。貨幣カセット5006は、上述した入出金機1A等の収納カセット31や収納モジュール31に相当する。
図54に、この貨幣処理装置1における解錠資格者や解錠権限設定者、所有権者の関係(初期設定)を例示する。図例では、解錠資格者は、第1金庫部13の第1施錠部5002a、第2金庫部14の第2施錠部5002bともに経理担当者、銀行、貨幣回収業者の3者が登録されており、解錠権限設定者は、第1施錠部5002aが経理担当者に、第2施錠部5002bが貨幣回収業者にそれぞれ設定されている。所有権者も解錠権限設定者に対応して同じに設定されている。
通常、貨幣回収業者は、第1金庫部133内の各貨幣カセット5006から第2金庫部14の回収カセット53に紙幣を回収し(回収処理)、その回収カセット53から紙幣を回収している。しかし、この回収処理は時間がかかる難点がある。その一方で、貨幣カセット5006から直接紙幣を回収することも可能であり、そうすれば、回収時間を短縮できるし、場合によってはその方が好ましいこともある。
そこで、この貨幣処理装置1では、貨幣回収業者が第1金庫部13からも貨幣を回収できるように工夫されている。図55に、その場合における貨幣処理装置1の動作例を示す。貨幣回収業者が第1金庫部13から貨幣の回収を行おうとする場合、まず、貨幣回収業者は、上位端末T等を通じてカセット回収モードを選択し、制御部513にカセット回収を指示する命令を入力する(ステップS21)。それにより、解錠権限管理部5004は、第1施錠部5002aの解錠権限設定者の設定を、経理担当者から貨幣回収業者へ変更する(ステップS22)。
その結果、第1施錠部5002aは貨幣回収業者によって解錠できるようになり、貨幣回収業者は、例えば自身の暗証番号を入力して第1施錠部5002aを解錠する(ステップS23)。そして、第1施錠部5002aが解錠されると、所有権管理部5005は、経理担当者(店舗)の口座から貨幣回収業者の口座へ、貨幣収納部5001内の貨幣を振り替る振替処理を行い、所有権者を変更する。それにより、貨幣回収業者は、自身に所有権がある貨幣収納部5001から自由に貨幣が回収できるようになる。
そして、貨幣の回収が終了し、第1施錠部5002aが施錠されると(ステップS24)、所有権管理部5005は、貨幣回収業者の口座から経理担当者(店舗)の口座へ、貨幣収納部5001内の貨幣を振り替る振替処理を行い、所有権者を元に戻す。
貨幣収納部5001は、貨幣カセット5006であってもよい。すなわち、貨幣カセット5006のそれぞれに設けられた施錠部に対し、それぞれ、解錠資格者や解錠権限設定者、所有権者が設定できるように構成する。ここでの施錠部は、上述した貨幣処理装置1のロック部3001が相当する。そうすれば、よりいっそう多様な貨幣の管理ができるようになるため、利便性が向上する。
開閉扉133等に、電子錠に加えて電子ロック(別施錠部)を設け、それぞれ、異なる解錠権限設定者等が設定できるようにしてもよい。例えば、電子ロックには、無通電時には施錠状態であり、通電することによって解錠可能となるタイプを用いる。そして、電子ロックはそれ自体の操作により施錠及び解錠ができるようにし、電子錠は、電子ロックが解錠されている場合でのみ解錠できるように構成する。
そうすれば、電子錠と電子ロックとで、解錠操作のセキュリティレベルを異ならせることができるので、セキュリティレベルに応じて施錠部5002を選択して用いることができる。
また、施錠部5002の解錠を検知して制御部513に出力するセンサを設け、解錠権限設定者の変更時に施錠部5002が解錠された場合に、その情報を、変更前の解錠権限設定者、変更後の解錠権限設定者の双方に通報するようにするとよい。そうすれば、解錠権限の変更があれば、その情報を漏れなく関係者に知らせることができる。