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JP5937974B2 - マルチモード光ファイバおよび光ファイバ伝送システム - Google Patents

マルチモード光ファイバおよび光ファイバ伝送システム Download PDF

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JP5937974B2 JP2013007853A JP2013007853A JP5937974B2 JP 5937974 B2 JP5937974 B2 JP 5937974B2 JP 2013007853 A JP2013007853 A JP 2013007853A JP 2013007853 A JP2013007853 A JP 2013007853A JP 5937974 B2 JP5937974 B2 JP 5937974B2
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Description

本発明は、マルチモード光ファイバ、及びこれを備え、高次モードを利用した光ファイバ伝送システムに関するものである。
光ファイバ伝送システムでは、光ファイバ中で発生する非線形効果やファイバヒューズが問題となり、伝送の大容量化および長距離化が制限されている。これらの制限を緩和するためには、光ファイバに導波する光の密度を低減する必要があり、大コアファイバが検討されている(例えば、非特許文献1、2を参照。)。
しかし、曲げ損失低減、単一モード動作領域の拡大、実効断面積の拡大は互いにトレードオフの関係にあり、所定の条件下における実効断面積の拡大量には限界がある。そこで、無線における大容量化技術であるMulti−input multi−output(MIMO)技術を光ファイバ伝送に適用する試みが行われている(例えば、非特許文献3を参照。)。
光MIMO技術は伝送媒体としてマルチモード光ファイバを用いることにより伝送容量を拡大できるとともに、先に述べた大コア光ファイバにおける制限要因である単一モード動作条件が不要になるため、さらなる大コア化が可能であることも特徴である。一方で、MIMO技術を用いた光ファイバ伝送では、モード間の群遅延差が大きくなると、信号の復元に必要なデジタル処理の計算量が増えてしまい、伝送距離が十数kmに制限されている(例えば、非特許文献4を参照。)。
そこで、モード間の群遅延差を50ps/km程度に抑えた光ファイバや、基本モードが高次モードよりも速い正の群遅延差を有する光ファイバと基本モードが高次モードよりも遅い負の群遅延差を有する光ファイバを組み合わせたモード分散補償伝送路が提案されている(例えば、非特許文献5、6を参照。)。
T.Matsui,et al.,"Applicability of Photonic Crystal Fiber With Uniform Air−Hole Structure to High−Speed and Wide−Band Transmission Over Conventional Telecommunication Bands",J.Lightwave Technol. 27,5410−5416,2009. K.Mukasa,et al.,"Comparisons of merits on wide−band transmission systems between using extremely improved solid SMFs with Aeff of 160μm2 and loss of 0.175dB/km and using large−Aeff holey fibers enabling transmission over 600nm bandwidth",the Proceedings of OFC2008,OthR1,Feb.2008. B.C.Thomsen,"MIMO enabled 40 Gb/s transmission using mode division multiplexing in multimode fiber",Optical Fiber Communication (OFC),2010,p.OThM6. R.Ryf,S.Randel,A.H.Gnauck,C.Bolle,R.Essiambre,P.Winzer,D.W.Peckham,A.McCurdy,and R.Lingle,"Space−division multiplexing over 10 km of three−mode fiber using coherent 6×6 MIMO processing",in Optical Fiber Communication Conference,OSA Technical Digest (CD) (Optical Society of America,2011),paper PDPB10. L.G.−Nielsen1,et al.,"Few Mode Transmission Fiber with low DGD,low Mode Coupling and low Loss",the Proceedings of OFC2012,PDP5A.1,Mar.2012. T.Sakamoto,T.Mori,T.Yamamoto,S.Tomita,"Differential Mode Delay Managed Transmission Line for WDM−MIMO System Using Multi−Step Index Fiber",Journal of Lightwave Technology,vol.30,no.17,pp.2783−2787,2012 Y.Katsuyama, M.Tokuda, N.Uchida, M.Nakahara, "A new method for measuring the V−value of a single−mode optical fiber", Electron. Lett. 12, 669−670 (1976). M.Taylor,"Coherent Detection for Fiber Optic Communications Using Digital Signal Processing",in Optical Amplifiers and Their Applications/Coherent Optical Technologies and Applications, Technical Digest (CD) (Optical Society of America, 2006), paper CThB1.
しかしながら、非特許文献5,6においては伝搬モード数が2つに限られており、モード数の拡大が課題となっている。そこで、本願発明の目的は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、伝搬モード間の群遅延差を低減できるとともに伝搬モード数を2より大きくすることができるマルチモード光ファイバ及び光ファイバ伝送システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のマルチモード光ファイバは、屈折率のプロファイルがグレーデッド型であるコアと、一部に低屈折率層が配置されたクラッドの構造とし、屈折率分布の各パラメータを適正にすることとした。
具体的には、本発明に係るマルチモード光ファイバは、中心から半径aまでのコアと、前記コアの外側にあるクラッドと、半径aから半径aまでの前記クラッド内に形成される低屈折率層と、を有し、
前記コアは、中心から半径方向の屈折率プロファイルが、中心の屈折率を前記クラッド層に対する比屈折率Δとする、指数定数αのグレーデッド型であり、
前記低屈折率層は、屈折率が前記クラッド層に対する比屈折率Δであるマルチモード光ファイバであって、
屈折率分布の各パラメータが、
=11.9〜12.1μm、a=13.4〜13.8μm、a=16.0〜20.5μm、Δ=0.59〜0.61%、Δ=−0.50〜−0.35%、α=1.95〜2.02であることを特徴とするマルチモード光ファイバ。
本マルチモード光ファイバは、中心軸から外側に向けて屈折率が指数的に小さくなるコアと、前記コアの外側にあり、屈折率が前記コアの屈折率よりも小さいクラッドと、前記コアと前記クラッドとの間にあり、屈折率が前記クラッドの屈折率以下の低屈折率層と、を有する。そして、これらの屈折率分布のパラメータを適正にすることで伝搬モード数を4つとし、伝搬モード間の群遅延差を低減することができる。従って、本発明は、伝搬モード間の群遅延差を低減できるとともに伝搬モード数を2より大きくすることができるマルチモード光ファイバ及び光ファイバ伝送システムを提供することができる。
また、本発明に係るマルチモード光ファイバは、中心から半径aまでのコアと、前記コアの外側にあるクラッドと、半径aから半径aまでの前記クラッド内に形成される低屈折率層と、を有し、
前記コアは、中心から半径方向の屈折率プロファイルが、中心の屈折率を前記クラッド層に対する比屈折率Δとする、指数定数αのグレーデッド型であり、
前記低屈折率層は、屈折率が前記クラッド層に対する比屈折率Δであるマルチモード光ファイバであって、
屈折率分布の各パラメータが、
=11.3〜12.6μm、a=12.7〜13.9μm、a=18.7〜20.5μm、Δ=0.60〜0.65%、Δ=−0.48〜−0.44%、α=1.85〜2.10であることを特徴とする。
本マルチモード光ファイバは、これらの屈折率分布のパラメータを適正にすることで伝搬モード数を4つとし、指数定数αの設定で正のモード遅延差又は負のモード遅延差とすることができる。
このため、本発明に係るマルチモード光ファイバの前記コアは、光の伝搬方向の区間で指数定数αが異なるとしてもよい。この場合、前記区間が2つであり、一方の区間の指数定数αが1.97以上であり、他方の区間の指数定数αが1.97未満であることが望ましい。
指数定数αが1.97を境に正のモード遅延差又は負のモード遅延差とすることができ、これを組み合わせることで伝搬モード間の群遅延差を低減することができる。従って、本発明は、伝搬モード間の群遅延差を低減できるとともに伝搬モード数を2より大きくすることができるマルチモード光ファイバ及び光ファイバ伝送システムを提供することができる。
本発明に係る光ファイバ伝送システムは、N個のデータを光信号としてそれぞれ送信するN個(Nは2以上の整数)の光送信機と、
前記光送信機からのN個の光信号を伝搬モードが異なるように合波する合波器と、
前記合波器からの光信号を伝搬する請求項1から4のいずれかに記載のマルチモード光ファイバと、
前記マルチモード光ファイバからの光信号を異なる分岐比で分波する分波器と、
前記分波器からの光信号を受信するM個(MはN以上の整数)の光受信機と、
前記光受信機が出力するM個の電気信号から、前記マルチモード光ファイバの伝搬中に生じた信号劣化を補償し、前記光送信機が送信したN個のデータを復元するFIR等化器と、
を備える。
本光ファイバ伝送システムは、光の伝搬モードの群遅延差を低減できるマルチモード光ファイバを備えており、受信時のデジタル信号処理の負荷を低減できる。従って、本発明は、信号の復元に必要なデジタル処理の負荷を低減できる光ファイバ伝送システムを提供することができる。
本発明は、伝搬モード間の群遅延差を低減できるとともに伝搬モード数を2より大きくすることができるマルチモード光ファイバ及び光ファイバ伝送システムを提供することができる。
本発明に係るマルチモード光ファイバの屈折率分布を説明する図である。 本発明に係るマルチモード光ファイバの比屈折率Δを変化させた場合のモード遅延差特性を説明する図である。 本発明に係るマルチモード光ファイバのa/aを変化させた場合のモード遅延差特性を説明する図である。 本発明に係るマルチモード光ファイバのa/aを変化させた場合のモード遅延差特性を説明する図である。 本発明に係るマルチモード光ファイバのαを変化させた場合のモード遅延差特性を説明する図である。 本発明に係るマルチモード光ファイバの波長1550nmにおけるインパルス応答の一例を示す図である。 本発明に係るマルチモード光ファイバのモード遅延差特性の波長依存性を示す図である。 本発明に係るマルチモード光ファイバにおいて波長1550nmのインパルス応答の一例を示す図である。 本発明に係る光ファイバ伝送システムを説明する図である。 本発明に係るマルチモード光ファイバの屈折率分布の各パラメータを説明する図である。
添付の図面を参照して本願発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は、本願発明の実施の例であり、本願発明は以下の実施形態に制限されるものではない。
(実施形態1)
図1は、本実施形態のマルチモード光ファイバにおける半径方向の屈折率分布を示す図である。本マルチモード光ファイバは、中心から半径aまでのコアと、前記コアの外側にあるクラッドと、半径aから半径aまでの前記クラッド内に形成される低屈折率層と、を有し、前記コアは、中心から半径方向の屈折率プロファイルが、中心の屈折率を前記クラッド層に対する比屈折率Δとする、指数定数αのグレーデッド型であり、前記低屈折率層は、屈折率が前記クラッド層に対する比屈折率Δである。
コアは、外周半径がa、クラッドに対する比屈折率がΔであり、低屈折率層の内側境界までの半径がa、低屈折率層の外側境界までの半径がaであり、低屈折率層は、クラッドに対する比屈折率がΔである。
この低遅延マルチモード光ファイバは、数1で表されるα乗屈折率分布をもつコアと、その外側のクラッドと、コアの外側近傍に設けられ、クラッドよりも低屈折率で均一な屈折率分布をもつ低屈折率層から構成されている。ここで、n(r)は中心から半径方向の位置rにおける屈折率、nはコア中心の屈折率、αを指数定数を表す。図1に示すマルチモード光ファイバの屈折率分布は、半径rがaより小さい領域ではα乗屈折率分布に従う。なお、指数定数αはグレーテッド型プロファイルを示す無次元パラメータであり、アルファパラメータと呼ばれることもある。
Figure 0005937974
低屈折率層は、aからaまでの領域(α乗屈折率分布をもつコアの外側)に形成され、クラッドよりも低く均一な屈折率分布になっている。具体的には、本実施形態のマルチモード光ファイバの各パラメータは、a=11.9〜12.1μm、a=13.4〜13.8μm、a=16.0〜20.5μm、Δ=0.59〜0.61%、Δ=−0.50〜−0.35%、α=1.95〜2.02である。上記パラメータのマルチモード光ファイバは、モード間遅延を小さくしつつ、伝搬可能なモードの曲げ損失特性を向上させることができる。
以下、パラメータについて詳細に説明する。使用波長帯を1530〜1625nm(C−Lバンド)、曲げ損失を0.5dB/100turn以下、伝搬モード数が4(LP01、LP11、LP21、LP02モード)となるマルチモード光ファイバとして、α乗屈折率分布(α=2.0、a=12.0μm、Δ=0.60%)をもつコアの外側に、a=13.5μm、a=20.0μm、Δ=−0.45%となる低屈折率層を設ける。
低屈折率層の比屈折率差Δを変えた場合、有限要素法に基づいて計算した高次モード(LP11、LP21、LP02モード)と基本モード(LP01モード)のモード群遅延差(DMD:Differential Mode Delay)の変化を図2に示す。DMDは高次モードの群遅延から基本モードの群遅延を引いた値である。図2に示すように、低屈折率層の比屈折率差Δが−0.50〜−0.35%の時に4つのモードにおいてDMDが200ps/km以下となる。
低屈折率層の内側の境界までの半径aを変えた場合、有限要素法に基づいて計算した高次モード(LP11、LP21、LP02モード)と基本モード(LP01モード)のDMDの変化を図3に示す。図3に示すように、低屈折率層の内側の境界までの半径aが13.4〜13.8μmの時に4つのモードにおいてモード群遅延差が200ps/km以下となる。
低屈折率層の外側の境界までの半径aを変えた場合、有限要素法に基づいて計算した高次モード(LP11、LP21、LP02モード)と基本モード(LP01モード)のDMDの変化を図4に示す。図4に示すように、低屈折率層の内側の境界までの半径aが16.0μm以上の時に4つのモードにおいてモード群遅延差が200ps/km以下となる。
なお、伝搬モード数を波長1530〜1625nmにおいて4つに制限するためには、第4高次モードであるLP31モードが伝搬しないことが条件となる。伝搬しない条件としては、使用波長帯において曲げ半径140mmにおける曲げ損失が1dB/m以上であることを条件とした。本条件は、非特許文献7に記載の通り、遮断波長の測定に曲げ半径140mmが用いられていることと、非特許文献1に記載の通り、損失が1dB/m以上で伝搬しないという仮定に基づいている。
想定する使用波長域において最も曲げ損失が小さくなる波長1530nmにおけるLP31モードの曲げ損失を図4に示しており、aが20.5μm以下の時にLP31モードの曲げ損失が1dB/m以上となり、伝搬モード数を4つに制限可能である。つまり低屈折率層の内側の境界までの半径aを16.0〜20.5μmに調整することにより、伝搬モード数を4つにしつつ、DMDを200ps/km以下にすることが可能である。
コア部の指数定数αを変えた場合、有限要素法に基づいて計算した高次モード(LP11、LP21、LP02モード)と基本モード(LP01モード)のDMDの変化を図5に示す。図5に示すように、コア部の指数定数αが1.95〜2.02の時に4つのモードにおいてDMDが200ps/km以下となる。
以上のように、屈折率分布の各パラメータを上述のように設定することで、伝搬モード数が4であり、モード群遅延差を200ps/km以下としたマルチモード光ファイバを製造することができる。
(実施形態2)
本実施形態のマルチモード光ファイバは、光の伝搬方向の区間でコアの指数定数αが異なることを特徴とする。さらに、前記区間が2つである場合、一方の区間の指数定数αが1.97以上であり、他方の区間の指数定数αが1.97未満であることを特徴とする。
図5のグラフより、第2高次モードと第3高次モードのDMDがほぼ等しくなっており、群化されており、コア部の指数定数α=1.97を境にDMDが負から正になっている様子が分かる。さらに、コア部の指数定数αに対し各高次モードのDMDは比例の関係である。このことより、作製誤差により1本の光ファイバによる低遅延化が困難な場合においても、DMDが正と負の光ファイバをつなげ、ファイバ長を調整することによりさらなるDMDの低減化が可能である。
例えばα=1.92の負のDMDを有する4モードファイバとα=2.02の負のDMDを有する4モードファイバを同じファイバ長だけ接続することにより、伝搬モード数が4のモード遅延補償伝送路が実現できる。
このように、光の伝搬方向にコアの指数定数αが異なる区間が複数存在する場合、屈折率分布の各パラメータが、a=11.3〜12.6μm、a=12.7〜13.9μm、a=18.7〜20.5μm、Δ=0.60〜0.65%、Δ=−0.48〜−0.44%、α=1.85〜2.10であることが好ましい。
図10は、評価に用いた3種類のマルチモード光ファイバの各パラメータを示した表である。
図6は、図10に示す各マルチモード光ファイバのインパルス応答の結果説明する図である。3種類の中でFiber Bが最も低遅延なマルチモード光ファイバを実現できている。また、第2高次モードと第3高次モードが群化している様子が分かる。Fiber A、Bは正のモード遅延差を有するマルチモード光ファイバ、Fiber Cは負のモード遅延差を有するマルチモード光ファイバである。
図7は、図10に示す各マルチモード光ファイバのDMDの波長依存性を説明する図である。プロットは測定値、線は計算値である。測定値と計算値はよく一致した。波長域1530〜1625nmにおいてFiber BのDMDは135ps/km以下を実現した。Fiber A、Fiber CにおいてもDMDは±500ps/km以下を実現している。
図8は、波長1550nmにおけるFiber AとFiber Cを連結した場合のインパルス応答を説明する図である。Fiber AとFiber Cを連結することで、各パルスが1つのパルスとなり、さらなる低遅延化が可能なモード遅延補償伝送路が実現できる。
図9は、図10に示す各マルチモード光ファイバのDMDの波長依存性を説明する図である。Fiber AとFiber Cを連結することで、波長域1530〜1625nmにおいて、DMDを50ps/km以下のモード遅延補償伝送路を実現できる。
以上のように、マルチモード光ファイバのモード遅延差を屈折率分布の各パラメータで調整して正又は負とすることができ、正のモード遅延差のマルチモード光ファイバと負のモード遅延差のマルチモード光ファイバと連結することで、伝搬モード数が4であり、モード群遅延差を50ps/km以下としたマルチモード光ファイバ(モード遅延補償伝送路)を製造することができる。
(実施形態3)
図9は、本実施形態の光ファイバ伝送システム301の概略図である。光ファイバ伝送システム301は、
N個のデータを光信号としてそれぞれ送信するN個(Nは2以上の整数)の光送信機10と、
光送信機10からのN個の光信号を伝搬モードが異なるように合波する合波器20と、
合波器20からの光信号を伝搬する実施形態1又は2で説明したマルチモード光ファイバ30と、
マルチモード光ファイバ30からの光信号を異なる分岐比で分波する分波器40と、
分波器40からの光信号を受信するM個(MはN以上の整数)の光受信機50と、
光受信機50が出力するM個の電気信号から、マルチモード光ファイバ30の伝搬中に生じた信号劣化を補償し、光送信機10が送信したN個のデータを復元するFIR等化器60と、
を備える。
N個(Nは2以上の整数)の送信機10から発せられるN種の信号(x(n))は合波器20において結合する伝搬モード比率が異なるように合波される。合波された信号光はマルチモード光ファイバ30中に入射され、出射側に設置された分波器40において異なる分岐比でMポート(MはN以上の整数)に分波される。分波されたM種の信号(y(n))はM個の受信機50で受信され、後段に設置されたFIR等化器60においてマルチモード光ファイバで受けた信号劣化を補償し、復元信号(u(n))を得る。光ファイバ伝送システム301は、N入力M出力のMIMO伝送であり、N種の信号の並列伝送が可能である。
なお、FIR等化器60では、モード分散、波長分散、偏波分散の補償も可能である。また、受信信号の電界振幅及び位相情報を取得するためには、局発光源、90°光ハイブリッド、バランスレシーバ、アナログデジタルコンバータ、及び計算器で受信機50を構成する(例えば、非特許文献8を参照。)。
FIR等化器60は、マルチモード光ファイバ30中で発生する線形歪を補償することができ、タップの遅延量及び係数を適切に設定することで、マルチモード光ファイバ30中で発生する他送信機からの混信、モード分散、波長分散、偏波分散による信号劣化を補償することができる。ただし、モード分散による信号劣化を補償する場合、基本モード及び高次モードのモード遅延差が大きくなると、信号劣化補償に必要な計算量が膨大になる。しかし、光ファイバ伝送システム301は、モード遅延差が小さいマルチモード光ファイバ30を用いており、補償に必要な計算量を少なくできる。さらに、伝搬モード数が4であるため、大容量化も可能である。換言すれば、マルチモード光ファイバ30を備えることで、従来のFIR等化器のままで伝送システムの大容量化や長距離化が可能である。
以下は、本実施形態のマルチモード光ファイバ及び光ファイバ伝送システムを説明したものである。
<課題>
本発明の課題は、信号の復元に必要なデジタル処理の負荷を低減して長距離伝送を可能とし、伝搬モードを4つとして伝送容量を増大できるマルチモード光ファイバ及びこれを備える光ファイバ伝送システムを提供することである。
<解決手段>
本発明は、
(1):グレーデッド型プロファイルを有するコアと、
前記コアの外側にあり、屈折率が前記コアの屈折率よりも小さいクラッドと、
前記コアと前記クラッドとの間にあり、屈折率が前記クラッドの屈折率以下の低屈折率層とを有し、
前記コアは、外周半径がa、前記クラッド層に対する比屈折率がΔ、指数定数がαであり、前記低屈折率層の内側境界までの半径がa、前記低屈折率層の外側境界までの半径がaであり、前記低屈折率層は、前記クラッド層に対する比屈折率がΔであるとすると、屈折率分布の各パラメータがa=11.3〜12.6μm、a=12.7〜13.9μm、a=18.7〜20.5μm、Δ=0.60〜0.65%、Δ=−0.48〜−0.44%、α=1.85〜2.10であることを特徴とする伝搬モード数が4であるマルチモード光ファイバである。
また、本発明は、
(2):グレーデッド型プロファイルを有するコアと、
前記コアの外側にあり、屈折率が前記コアの屈折率よりも小さいクラッドと、
前記コアと前記クラッドとの間にあり、屈折率が前記クラッドの屈折率以下の低屈折率層とを有し、
前記コアは、外周半径がa、前記クラッド層に対する比屈折率がΔ、指数定数がαであり、前記低屈折率層の内側境界までの半径がa、前記低屈折率層の外側境界までの半径がaであり、前記低屈折率層は、前記クラッド層に対する比屈折率がΔであるとすると、屈折率分布の各パラメータがa=12.0μm、a=13.5μm、a=20.0μm、Δ=0.60%、Δ=−0.45%、α=2.00付近であることを特徴とする伝搬モード数が4であるマルチモード光ファイバである。
(3):上記(1)に記載の前記コアの指数定数αが1.97以上である正のモード遅延差を有する光ファイバと前記コアの指数定数αが1.97以下である負のモード遅延差を有する光ファイバがそれぞれ少なくとも1つ以上混在し、前記正のモード遅延差を有する光ファイバの正のモード遅延差及び前記のモード遅延差を有する光ファイバの負のモード遅延差が打ち消し合い、全体におけるモード遅延差が補償されることを特徴とするモード遅延補償伝送路である。
本発明は、
(4):光信号を送信するN個(Nは2以上の整数)の光送信機と、前記N個の光送信機からの光信号を伝搬モードが異なるように合波する合波器と、前記合波器からの光信号を伝搬し、上記(1)又は(2)に記載の光ファイバもしくは上記(3)に記載のモード遅延補償伝送路と、前記光ファイバシステムからの光信号を異なる分岐比で分波する分波器と、前記分波器からの光信号を受信するM個(MはN以上の整数)の光受信機と、前記M個の光受信機からの光信号をN個に分離するFIR等化器と、を備える光ファイバ伝送システムである。
<効果>
本発明に係るマルチモード光ファイバは、グレーデッド型プロファイルを有するコアと、コアの外側に低屈折率層を有しており、第2高次モードと第3高次モードのモード遅延差がほぼ0で群化しており、光の伝搬モードの群遅延差を低減できる。すなわち、MIMO技術を用いた光伝送システムにおいて当該マルチモード光ファイバを用いることでデジタル信号処理の負荷を低減できることができる。従って、本発明は、信号の復元に必要なデジタル処理の負荷を低減できるマルチモード光ファイバを提供することができる。
さらに、本発明に係るマルチモード光ファイバは伝搬モード数が4であり、伝送の大容量化が可能である。
本発明に係る光ファイバ伝送システムは、前記マルチモード光ファイバを備えている。従って、本発明は、信号の復元に必要なデジタル処理の負荷を低減でき、伝送の長距離化及び大容量化を可能とした光ファイバ伝送システムを提供することができる。
本発明は、ファイバ中の高次モードの利用により光ファイバ伝送の大容量化及び長距離化を実現することができる。
10:送信機
20:合波器
30:マルチモード光ファイバ
40:分波器
50:受信機
60:FIR等化器
301:光ファイバ伝送システム

Claims (2)

  1. 中心から半径aまでのコアと、前記コアの外側にあるクラッドと、半径aから半径aまでの前記クラッド内に形成される低屈折率層と、を有し、
    前記コアは、中心から半径方向の屈折率プロファイルが、中心の屈折率を前記クラッド層に対する比屈折率Δとする、指数定数αのグレーデッド型であり、
    前記低屈折率層は、屈折率が前記クラッド層に対する比屈折率Δであるマルチモード光ファイバであって、
    屈折率分布の各パラメータ
    =11.9〜12.1μm、a=13.4〜13.8μm、a=16.0〜20.5μm、Δ=0.59〜0.61%、Δ=−0.50〜−0.35%、α=1.95〜2.02として、伝搬モード数を4つに制限し、4つの伝搬モードにおいてモード群遅延差が200ps/km以下であることを特徴とするマルチモード光ファイバ。
  2. N個のデータを光信号としてそれぞれ送信するN個(Nは2以上の整数)の光送信機と、
    前記光送信機からのN個の光信号を伝搬モードが異なるように合波する合波器と、
    前記合波器からの光信号を伝搬する請求項に記載のマルチモード光ファイバと、
    前記マルチモード光ファイバからの光信号を異なる分岐比で分波する分波器と、
    前記分波器からの光信号を受信するM個(MはN以上の整数)の光受信機と、
    前記光受信機が出力するM個の電気信号から、前記マルチモード光ファイバの伝搬中に生じた信号劣化を補償し、前記光送信機が送信したN個のデータを復元するFIR等化器と、
    を備える光ファイバ伝送システム。
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