以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機の全体構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、顧客との間で現金に関する取引を行うようになされている。
以下では、現金自動預払機1の前面側となる前側及びその反対の後側、当該前面側に対峙した顧客から見て左及び右となる左側及び右側、並びに上側及び下側を定義して説明する。
筐体2は、その前面側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所、すなわち前面の上部から上面に渡る箇所に、側面視L字形状でなり開閉可能に構成されたフロントパネル20が設けられている。
筐体2は、顧客との間で現金に関する取引を行う取引動作時には、フロントパネル20を閉塞することにより、内部に保有している紙幣や硬貨等を保護する。一方筐体2は、作業者等が保守作業を行う保守作業時には、必要に応じてフロントパネル20を開放することにより、内部の各部に対する作業を容易に行わせ得る。
フロントパネル20は、顧客が操作し易いよう前下がり傾斜が形成された板状の上向きパネル面20Hと、当該上向きパネル面20Hの後端部から鉛直よりもやや後方へ傾斜して立設する板状の横向きパネル面20Vとから構成されている。
このフロントパネル20には、上向きパネル面20Hに設けられた硬貨入出金部4、紙幣入出金部5及び表示操作部8と横向きパネル面20Vに設けられた通帳取扱部6及びカード取扱部7とからなる接客部3が設けられ、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされている。
通帳取扱部6は、取引で使用される通帳が挿入され、取引が終了すると通帳が排出される部分である。この通帳取扱部6の奥部には、取引内容等を通帳に記録する通帳処理部(図示せず)が設けられている。
カード取扱部7は、キャッシュカード等の各種カードが挿入されると、各種カードに磁気記録された口座番号等を読み取り、取引が終了すると各種カードを排出する。
表示操作部8は、上向きパネル面20Hの手前側に設けられ、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。
硬貨入出金部4及び紙幣入出金部5は、上向きパネル面20Hの奥側に設けられ、顧客が入金する硬貨及び紙幣がそれぞれ投入されると共に、顧客へ出金する硬貨及び紙幣がそれぞれ排出される部分である。
硬貨入出金部4には、平面視において円形状の硬貨入出金口23が上向きパネル面20Hの面方向に対し直交して上下方向に穿設されている。硬貨入出金口23の下部には、断面略U字形状であり硬貨を収容する硬貨収容部24(図2)が設けられている。なお図2においては、紙幣入出金部5は図示せず省略している。
紙幣入出金部5には、平面視において長方形状の紙幣入出金口11が上向きパネル面20Hの面方向に対し直交して上下方向に穿設されている。また紙幣入出金口11の下部には、断面略コ字形状であり紙幣を収容する紙幣収容部(図示せず)が設けられている。
硬貨入出金部4及び紙幣入出金部5は、それぞれに設けられた入出金口シャッタ部22及び10を駆動することにより開放又は閉塞するようになされている。
この入出金口シャッタ部22及び10は、硬貨入出金部4及び紙幣入出金部5それぞれを閉鎖させる際、上向きパネル面20Hの上表面であるフロントパネル表面20Sと面一になっている。
このように現金自動預払機1は、硬貨入出金部4の硬貨入出金口23を硬貨の形状に合わせて略円形状とする一方、紙幣入出金部5の紙幣入出金口11を紙幣の形状に合わせた長方形状とすることにより、顧客に対し硬貨入出金部4と紙幣入出金部5とを混同させないようになされている。
[1−2.現金自動預払機の内部構成]
図2に示すように、現金自動預払機1の筐体2内には、例えば、前側下端部に当該現金自動預払機1全体を統括制御する制御部9が配置されている。以下では便宜上、現金自動預払機1の内部構成として硬貨の入金及び出金に関する構成について説明し、紙幣の入金及び出金に関する構成については説明を省略する。
また筐体2内には、上述のように上向きパネル面20Hの硬貨入出金口23の下にシャッタ部21が配置されている。
シャッタ部21は、硬貨入出金口23を下側から覆いスリット投入口が穿設された入出金口シャッタ部22と、当該入出金口シャッタ部22の下方において回動することによりスリット投入口を外部に対し遮断又は開放するスリットシャッタ部71とにより構成されている。
さらに筐体2内には、シャッタ部21と制御部9との間に、制御部9の制御のもと硬貨の入金処理及び出金処理等を行う硬貨処理ユニット49が収納されている。
硬貨処理ユニット49は、略箱型の筐体(以下、これをユニット筐体とも呼ぶ)58を有している。ユニット筐体58内には、例えば、上前端部(すなわち、閉鎖状態の入出金口シャッタ26の真下となる位置)に、顧客から入金用の硬貨を受け取り、また顧客に出金用の硬貨を引き渡すための硬貨収容部24が配置されている。
またユニット筐体58内には、硬貨収容部24の下側に硬貨分離部12が配置されると共に、当該硬貨収容部24と硬貨分離部12との間に鑑別部14が配置され、その鑑別部14の後側に複数の硬貨振分部15A乃至15Gが順に配置されている。
さらにユニット筐体58内には、例えば、最も後ろに位置する硬貨振分部15Gを除く残りの複数の硬貨振分部15A乃至15Fの下に、それぞれ硬貨を金種別に一時的に保持する(すなわち、それぞれ特定の1金種の硬貨のみを一時的に保持する)一時保持部16A乃至16Fが配置されている。
さらにユニット筐体58内には、複数の一時保持部16A乃至16Fの下に、それぞれ硬貨を金種別に収納する(すなわち、それぞれ特定の1金種の硬貨のみを収納する)ための硬貨収納庫17A乃至17Fが配置されている。
またユニット筐体58内には、最も後ろに位置する硬貨振分部15Gの下に、補充回収用の硬貨を収納する補充回収庫18が着脱可能に装着されている。
因みに補充回収庫18は、補充回収用の硬貨を収納し得るものの、変形している硬貨、損傷している硬貨、金種を判別し得ない硬貨等のような異常な硬貨も、補充回収用の硬貨とは区別して収納し得るように形成されている。
以下の説明では、変形している硬貨、損傷している硬貨、金種を判別し得ない硬貨等のような異常な硬貨を、適宜、入金用及び出金用の硬貨とは区別してリジェクト硬貨とも呼ぶ。
そしてユニット筐体58内には、硬貨収容部24及び硬貨分離部12間や、当該硬貨分離部12から鑑別部14及び複数の硬貨振分部15A乃至15Gを順次介した硬貨収容部24までの間、複数の硬貨収納庫17A乃至17F及び補充回収庫18と硬貨分離部12との間等に、搬送ベルトやシュータ等によって硬貨を搬送する搬送路19が形成されている。
かかる構成のもと制御部9は、硬貨の入金時、例えば、その入金の取引を受け付けた時間帯に応じて、シャッタ部21により入出金口シャッタ部22又はスリットシャッタ部71の何れか一方を開く。
すなわち制御部9は、現金自動預払機1の運用形態に従い、昼間に硬貨の入金の取引を受け付けた場合は、シャッタ部21により入出金口シャッタ部22を開く。
そして制御部9は、入出金口シャッタ部22を開いた場合は、顧客に入金用の1又は複数の硬貨を硬貨入出金口23に投入させて、当該投入された硬貨を硬貨収容部24で受け取る。
また制御部9は、現金自動預払機1の運用形態に従い、夜間に硬貨の入金の取引を受け付けた場合は、スリットシャッタ部71を開く。
そして制御部9は、スリットシャッタ部71を開いた場合は、顧客に入金用の1又は複数の硬貨を1枚ずつスリット投入口に投入させて、当該投入された硬貨を硬貨収容部24で受け取る。
このようにして制御部9は、硬貨収容部24によって入金用の硬貨を受け取ると、シャッタ部21により入出金口シャッタ部22又はスリットシャッタ部71を閉じたうえで、当該硬貨収容部24から入金用の硬貨を搬送路19を介して硬貨分離部12へ搬送する。
また制御部9は、硬貨分離部12により入金用の1又は複数の硬貨を1枚ずつ分離して繰り出し、搬送路19を介して鑑別部14へ搬送して、当該鑑別部14において、その硬貨の金種や状態等を鑑別させる。
その結果制御部9は、鑑別部14から正常であると鑑別されて繰り出された硬貨については、搬送路19及び複数の硬貨振分部15A乃至15Fを順次介して、その金種に応じた一時保持部16A乃至16Fへ搬送して一時的に保持させることにより、当該硬貨の入金を保留する。
また制御部9は、鑑別部14から異常であると鑑別されて繰り出された硬貨については、リジェクト硬貨として搬送路19及び硬貨振分部15A乃至15Gを順次介して硬貨収容部24へ戻すように搬送する。
そして制御部9は、シャッタ部21により入出金口シャッタ部22を開いて、顧客に硬貨入出金口23から硬貨収容部24上のリジェクト硬貨を取り出させるようにして返却する。
このようにして制御部9は、硬貨入出金口23に入金用として投入された硬貨が鑑別部14において全て鑑別されると、正常であると鑑別された硬貨の総額(すなわち、入金の金額)を、表示操作部8を介して顧客に提示する。
その結果制御部9は、入金の金額を確認した顧客により表示操作部8を介して硬貨の入金が指示されると、一時保持部16A乃至16Fから一時的に保持していた硬貨を落下させるようにして、対応する(すなわち、硬貨の金種に応じた)硬貨収納庫17A乃至17Fへ移して収納する。
このようにして制御部9は、硬貨処理ユニット49において硬貨の入金処理を実行して、顧客の所望する取引としての硬貨の入金を行うことができる。
一方制御部9は、硬貨の出金時、例えば顧客により表示操作部8を介して出金の金額が指定されると、顧客により指定された金額分の硬貨を複数の硬貨収納庫17A乃至17Fから出金用として1枚ずつ繰り出す。
また制御部9は、この際、複数の硬貨収納庫17A乃至17Fから1枚ずつ繰り出した出金用の硬貨を、搬送路19を介して硬貨分離部12へ搬送する。
制御部9は、硬貨分離部12により出金用の1又は複数の硬貨を1枚ずつ分離して繰り出し、搬送路19を介して鑑別部14へ搬送して、当該鑑別部14においてその硬貨の金種や状態等を鑑別させる。
その結果制御部9は、鑑別部14から正常であると鑑別されて繰り出された硬貨については、搬送路19及び複数の硬貨振分部15A乃至15Gを順次介して硬貨収容部24へ搬送する。
ただし、制御部9はこの際、鑑別部14から異常であると鑑別されて繰り出された硬貨については、リジェクト硬貨として搬送路19及び複数の硬貨振分部15A乃至15Gを順次介して補充回収庫18へ搬送して収納する。
これにより制御部9は、出金処理中に発見されたリジェクト硬貨については、その後の出金には用いないようにする。
そして制御部9は、出金用に指定された金額分の硬貨を硬貨収容部24へ搬送し終えると、シャッタ部21により入出金口シャッタ部22を開く。
これにより制御部9は、顧客に硬貨入出金口23から硬貨収容部24上の出金用の硬貨(すなわち、出金用に指定された金額分の硬貨)を取り出させるようにして引き渡した後、シャッタ部21により入出金口シャッタ部22を閉じる。
このようにして制御部9は、硬貨処理ユニット49において硬貨の出金処理を実行して、顧客の所望する取引としての硬貨の出金を行うことができる。
[1−3.シャッタ部の構成]
[1−3−1.入出金口シャッタ部の構成]
図3に示すように、入出金口シャッタ部22は主に、板状の入出金口シャッタ26と、当該入出金口シャッタ26の右側及び左側にそれぞれ設けられ当該入出金口シャッタ26を前後方向に移動させる入出金口シャッタ駆動部28R及び28Lとにより構成されている。
入出金口シャッタ駆動部28Rと入出金口シャッタ駆動部28Lとは、入出金口シャッタ駆動部28Lにモータ57(図4)が設けられていない点を除いてほぼ同様に形成されているため、以下では主に入出金口シャッタ駆動部28Rについて説明し、入出金口シャッタ駆動部28Lについては説明を省略する。
[1−3−1−1.入出金口シャッタの構成]
入出金口シャッタ26は、平板状である板部26Lと、平面視において硬貨入出金口23の内径よりも僅かに小さい略円形状の外形を有し板部26Lの中央部から上方に向かって突出する凸部26Uとにより構成されている。
入出金口シャッタ26はフロントパネル20の内側(下側)を前後方向にスライドするよう移動することにより、外部に対し硬貨収容部24を開放又は閉鎖させる。
入出金口シャッタ26は、硬貨収容部24を外部に開放させる開放位置から、当該硬貨収容部24を外部から閉鎖させる閉鎖位置に移ると、後端部が上方に持ち上げられて固定される。
これにより入出金口シャッタ26は、フロントパネル表面20S(図1及び図2)の前下がり傾斜に凸部26Uの上表面の傾斜を合わせつつ、当該凸部26Uを硬貨入出金口23に遊嵌させ、フロントパネル表面20Sと面一にさせる。
以下では、入出金口シャッタ26が開放位置にある状態を開放状態とも呼び、閉鎖位置にある状態を閉鎖状態とも呼ぶ。
入出金口シャッタ26のほぼ中央部分には、平面視において長手方向が前後方向に沿う長方形状でなり硬貨を一度に所定枚数(例えば1枚)通過させる幅の開口でなるスリット投入口70が、当該入出金口シャッタ26の面方向に対し直交して上下方向に穿設されている。
これにより現金自動預払機1は、入出金口シャッタ26の閉鎖状態においては、スリット投入口70から硬貨を投入される一方、開放状態においては、硬貨入出金口23から硬貨を投入されると共に硬貨を排出するようになされている。
また図7、図12及び図13に示すように入出金口シャッタ26の裏面においては、平板状のリブ84が、スリット投入口70の右縁において、後述するスリットシャッタ72よりも下側まで突出するよう入出金口シャッタ26から下方へ向かって垂直に立設している。
このリブ84は、スリット投入口70の前側の縁から後側の縁までに亘って、左側面がスリット投入口70の開口の右縁に沿うように立設している。
[1−3−1−2.シャッタ駆動部の構成]
図3乃至図7に示すように、入出金口シャッタ駆動部28Rは、ユニット筐体58(図2)に固定されたシャッタフレーム13に各部が接続された構成となっており、主に、支持部27Rと駆動部25Rとにより構成されている。
支持部27Rは主に、シャフト36、リンク37、リンクシャフト38及びラック45により構成され、入出金口シャッタ26を前後方向に移動させるよう当該入出金口シャッタ26と共に前後方向に可動する。
駆動部25Rは主に、モータ57及び各種ギアからなるギアユニット35並びにラックシャフト44により構成され、前後方向に移動せぬようシャッタフレーム13に固定され支持部27Rを前後方向に移動させる。
なお図3において、後述するモータ57、平歯車53及び54、スライドガイド30及び昇降ガイド39は図示せず省略し、図7においてギアユニット35は図示せず省略している。
入出金口シャッタ26の右側面には、前後方向の前端、中央及び後端それぞれに、シャフトに軸支され回転可能なガイドローラ31RF、31RC及び31RRが設けられている。
同様に入出金口シャッタ26の左側面には、前後方向の前端、中央及び後端それぞれに、シャフトに軸支され回転可能なガイドローラ31LF、31LC及び31LRが設けられている。
以下ではガイドローラ31RF、31RC及び31RRをまとめてガイドローラ31Rとも呼び、ガイドローラ31LF、31LC及び31LRをまとめてガイドローラ31Lとも呼ぶ。
ガイドローラ31RRには、右方向に延びる円筒形状のシャフト36が接続されている。シャフト36の右端は、当該シャフト36を軸として回転可能なリンク37の一端が取り付けられている。リンク37の他端には、右方向に向かって延びる円筒形状のリンクシャフト38が当該リンク37に対し回転可能に設けられている。
図7に示すように、入出金口シャッタ26の右側には、所定の上下幅を有するスライドガイド溝部29が前端から後端まで穿設されたスライドガイド30が、閉鎖位置CPにおける入出金口シャッタ26の前端から後端のやや後方までに亘って、前後方向に沿って延設している。
図8に示すようにスライドガイド30は、入出金口シャッタ26よりもやや長い前後方向の長さを有し、ガイドローラ31Rが内部に嵌り込むスライドガイド前後溝32が前後方向に沿って形成され、当該スライドガイド前後溝32の後端は後方に向かって開放されている。なお図8及び図9においてスリットシャッタ部71は図示せず省略している。
スライドガイド前後溝32における前後方向のほぼ中央部分と後端付近にはそれぞれ、上方へ突出する前側突出溝33と、当該前側突出溝33よりもさらに上方へ突出する後側突出溝34とが設けられている。
入出金口シャッタ26の閉鎖状態(図8)においては、ガイドローラ31RFがスライドガイド溝部29の前端に位置し、ガイドローラ31RCが前側突出溝33に入り込み、ガイドローラ31RRが後側突出溝34に入り込むよう位置している。
このため閉鎖状態において入出金口シャッタ26は前下がりの傾斜となり、フロントパネル表面20Sの前下がり傾斜に凸部26Uの傾斜を合わせつつ、当該凸部26Uを硬貨入出金口23に遊嵌している。
図7に示したように、スライドガイド30の外側には、閉鎖位置CPにおける入出金口シャッタ26の後端付近から当該スライドガイド30の後端と同様の位置までに亘って、側面視L字形状の昇降ガイド39が前後方向に沿って延設している。昇降ガイド39には、所定の上下幅を有する昇降ガイド溝部40が前端から後端まで穿設されている。
昇降ガイド溝部40(図8)は、前端の上端から下方向に向かう昇降ガイド上下溝41と、当該昇降ガイド上下溝41の下端から後側下方向に向かう昇降ガイド斜め溝42と、当該昇降ガイド斜め溝42の後端から後方向に向かい後端において開放されている昇降ガイド前後溝43とから構成されている。
図8に示すように、閉鎖状態においてシャフト36は、昇降ガイド39の昇降ガイド上下溝41の上端部を貫通するよう位置している。
リンクシャフト38(図7)の右端は、閉鎖位置CPにおける入出金口シャッタ26の前端から後端のやや後方までに亘って水平方向に沿って前後に延設するラック45の左側面に固定されている。
ラック45の下側には、下面がシャッタフレーム13に固定された横断面略半円形状のラックシャフト44が、閉鎖状態におけるラック45の前端近傍から後端近傍までに亘って水平方向に沿って前後に延設している。これによりラック45は、ラックシャフト44に対し前後方向に摺動する。
ラック45は横断面がコ字形状でなり、当該ラック45の上面左側には、左右方向に沿って突設された突起が前端から後端まで前後方向に並んだ歯面50が形成されている。
ラック45の右部分には、上下方向に所定の間隔を空けて板状部材が対向するラックガイド46が形成されている。当該ラックガイド46には、右端がシャッタフレーム13に固定されたシャフト47の左端に回転可能に支持され、ラックガイド46における天板から底板までの間隔よりもやや小さい外径を有するガイドローラ48F及び48Rが前後方向に並んで嵌め込まれている。
これによりガイドローラ48F及び48Rは、ラックシャフト44を軸としてラック45が回転してしまうことを防止している。
ラック45の上部には、閉鎖状態において当該ラック45の後端近傍に、歯面50と噛合するように回転可能な平歯車51が設けられている。平歯車51の前側のやや上側には、当該平歯車51と噛合する平歯車52が、左右方向に延設する円筒形状の歯車シャフト55を軸として回転可能に設けられている。
このように入出金口シャッタ駆動部28Rは、平歯車51によりラック45の上方向への移動を規制すると共に、ガイドローラ48F及び48Rによりラック45の下方向への移動を規制することにより、ラック45を3点支持し、当該ラック45の水平方向への移動を保っている。
歯車シャフト55は、平歯車52の左側において入出金口シャッタ駆動部28Lまで延設しており、入出金口シャッタ駆動部28Rにおけるラック45の前後移動と、入出金口シャッタ駆動部28Lにおけるラック45の前後移動とを同期させる。
一方平歯車52の右側において延びる歯車シャフト55の右端には、ラック45よりも右側において平歯車53が取り付けられている。
平歯車53の前方には、当該平歯車53と噛合するように回転可能な平歯車54が、歯車シャフト56を中心に回転可能に設けられている。平歯車54の右側には、シャッタフレーム13に支持されたモータ57の出力軸が接続されている。
かかる構成において、閉鎖状態から開放状態へ移行させる場合、入出金口シャッタ部22はモータ57を回転させ、その回転駆動力を平歯車54、平歯車53、歯車シャフト55、平歯車52及び平歯車51を順次伝達させてラック45を後方へ移動させる。
このときリンクシャフト38が後方へ移動すると共に、当該リンクシャフト38とリンク37を介し連結されたシャフト36は、昇降ガイド斜め溝42(図8)に沿って昇降ガイド前後溝43まで下方向へ移動する。
このためシャフト36に接続された入出金口シャッタ26の後端部が下降し、ガイドローラ31RC及び31RRがスライドガイド前後溝32まで下方向へ移動することにより、入出金口シャッタ26の凸部26Uが硬貨入出金口23から下方へ外れ、入出金口シャッタ26がほぼ水平状態となる。
さらにラック45が後方へ移動すると、入出金口シャッタ26は水平状態を維持したまま後方へ移動し、図7、図9及び図11に示す開放位置OPまで移動する。
このときガイドローラ31RRはスライドガイド前後溝32から後方へ外れるが、ガイドローラ31RF及び31RCはスライドガイド前後溝32から外れない位置に配置されている。
このため入出金口シャッタ26は、ガイドローラ31RF及び38RCがスライドガイド前後溝32において上下方向への移動が規制されることにより、開放状態において水平状態を維持するようになされている。
このように入出金口シャッタ部22は、図7に示すように、入出金口シャッタ26の後端側(開放方向先端側)が可動範囲RMの前端から後端までを移動するように閉鎖位置CPから開放位置OPまで移動させることにより、硬貨入出金口23を開放させる。
一方開放状態から閉鎖状態へ移行させる場合、入出金口シャッタ部22は、閉鎖状態から開放状態へ移行させる場合とは逆方向にモータ57を回転させ、その回転駆動力を平歯車54、平歯車53、歯車シャフト55、平歯車52、平歯車51及びラック45を順次伝達させて入出金口シャッタ26を前方へ移動させる。
これにより入出金口シャッタ部22は、図7に示すように、入出金口シャッタ26の後端側(開放方向先端側)が可動範囲RMの後端から前端までを移動するように開放位置OPから閉鎖位置CPまで移動させることにより、硬貨入出金口23を閉鎖させる。
[1−3−2.スリットシャッタ部の構成]
図7、図10及び図11に示すように、スリットシャッタ部71は主に、平板状のスリットシャッタ72と、当該スリットシャッタ72の後側に設けられ、入出金口シャッタ26の閉鎖状態においてスリット投入口70を開放又は閉鎖させるよう回動させるスリットシャッタ駆動部73とにより構成されている。
[1−3−2−1.スリットシャッタの構成]
スリットシャッタ72は、前後方向に延び後端が左方向へ曲がる平面視略L字型の薄板状でなり、前側である遮断部74の左右方向の幅がスリット投入口70の左右方向の幅よりもやや広く形成されている。
スリットシャッタ72の遮断部74と後側であるアーム部75との間、すなわちスリットシャッタ72の前後方向のほぼ中央部には、入出金口シャッタ26から下方向に突出する円筒形状のスリットシャッタ回動軸77が回転可能に取り付けられている。
これによりスリットシャッタ72は、入出金口シャッタ26の下面と僅かな隙間を空けつつ、スリットシャッタ回動軸77を支点として入出金口シャッタ26に対し回動する。
またスリットシャッタ72は、開放状態(図11)から閉鎖状態(図10)に移行する際に入出金口シャッタ26の後部が持ち上がる動きに伴って当該スリットシャッタ72の後部が持ち上がると共に、閉鎖状態においては入出金口シャッタ26の前下がりの傾斜に合わせた傾斜に位置決めされる。
アーム部75には、前端が入出金口シャッタ26の後端部から下方に突出するバネ掛止部82に固定された引張バネでなるスプリング76の後端が固定されている。
アーム部75における左端からは、円筒形状のポスト78が上方向へ立設している。またアーム部75の後端の右端からは、板状の遮断板85が上方向へ立設している。さらにアーム部75の上部には、フォトインタラプタでなるセンサ86(詳細は後述する)がシャッタフレーム13に固定されて設けられている。
[1−3−2−2.スリットシャッタ駆動部の構成]
アーム部75の左側には、前後方向に延び前端が右方向へ曲がる平面視略L字型の薄板状でなるスリットシャッタリンク79が、閉鎖状態においてポスト78と掛止可能に設けられている
因みに開放状態においては、図11に示すようにポスト78が閉鎖状態よりも下降することによりスリットシャッタリンク79よりも下側へ移動し、当該スリットシャッタリンク79との掛止が解除される。
スリットシャッタリンク79の後端部には、シャッタフレーム13から上方に突出する円筒形状のリンク回動軸80が回転可能に取り付けられている。
このためスリットシャッタリンク79は、リンク回動軸80を支点として回動可能に構成されている。
スリットシャッタリンク79の右側にはアクチュエータ81が設けられ、当該アクチュエータ81において左右方向に進退可能に形成された駆動軸81Aの左端のシャフト81Sが、リンク回動軸80の前側に接続している。
スリット投入口70を外部から遮断する遮断状態(図12)から開放する非遮断状態(図7)に移行する場合、スリットシャッタ部71は、アクチュエータ81の駆動軸81Aを右方向へ縮める。これによりスリットシャッタリンク79はリンク回動軸80を支点として平面視において反時計回りに回動する。
このときスリットシャッタリンク79の前端部分がポスト78に接触し、スプリング76を自然状態から引っ張りながら、スリットシャッタ回動軸77を支点としてスリットシャッタ72を平面視において時計回りである非遮断方向に回動させる。
このため遮断部74はスリット投入口70の下部分から左側へ非遮断位置まで移動することにより、硬貨収容部24が当該スリット投入口70を介し外部へ開放され、非遮断状態となる。
一方非遮断状態(図7)から遮断状態(図12)に移行する場合、スリットシャッタ部71は、アクチュエータ81の駆動軸81Aを左方向へ伸ばす。
このときスプリング76は自然状態へ戻るよう縮むことにより、スリットシャッタ回動軸77を支点としてスリットシャッタ72を反時計回りである遮断方向に回動させる。
このため遮断部74はスリット投入口70のほぼ真下へ移動することにより、硬貨収容部24が外部から遮断され、遮断状態となる。
このように、閉鎖状態においては入出金口シャッタ26の後部が持ち上がることにより、スリットシャッタ72の後部が持ち上がり、ポスト78がスリットシャッタリンク79と水平方向において同じ位置まで上昇する。
このためスリットシャッタ部71は、スリットシャッタリンク79及びポスト78を介してアクチュエータ81の駆動力をスリットシャッタ72に伝達させることができる。
これによりスリットシャッタ部71は、入出金口シャッタ26の閉鎖状態において、スリットシャッタ72の遮断状態及び非遮断状態を切り替えることができる。
ところで上述したように、入出金口シャッタ26からは、スリットシャッタ72よりも下側までリブ84が突出している。
このためスリットシャッタ72の遮断部74は非遮断状態から遮断状態へ移行する際、リブ84に当接することにより、それ以上の回動が規制される。このためスリットシャッタ部71においては、スリットシャッタ72がリブ84に当接する遮断位置に当該スリットシャッタ72が位置した状態が遮断状態となる。
このようにスリットシャッタ部71は、スリット投入口70の右端よりもさらに右側へスリットシャッタ72が回動することをリブ84により規制している。
このため、スリット投入口70に硬貨CNが残留し、非遮断状態から遮断状態に移行する場合、図13に示すように硬貨CNは、対向する平坦面の一面が右側からスリットシャッタ72によりリブ84に押し付けられ、入出金口シャッタ26に対しほぼ垂直な状態となる。以下では、スリット投入口70に硬貨が残留した状態を硬貨残留状態とも呼ぶ。
[1−3−2−3.センサの構成]
上述したように、スリットシャッタ72のアーム部75の上部には、フォトインタラプタでなるセンサ86がシャッタフレーム13に固定されて設けられている。
センサ86は、前後方向に対向して設けられた板状の発光部及び受光部を有し、発光部からの光を物体が遮断したことを受光部で検出することにより、物体の有無を検知する。
具体的にセンサ86は、図14に示すセンサ86における丸印部分に位置する光軸を検出領域SAとし、当該検出領域SAにおいて光軸を物体が遮断したか否かを検知し、検知結果を制御部9へ送出する。
制御部9は、センサ86から取得した検知結果に基づき、シャッタ部21が遮断状態又は非遮断状態のどちらであるかを判別する。
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において遮断板85は、遮断状態(図12及び図14(B))においてセンサ86の検出領域SAに位置し、発光部から受光部への光を遮断するように形成されている。このときセンサ86は、発光部からの光が遮断されていることを示す暗状態を検出する。
遮断状態から非遮断状態へ移行する際、図7に示すように、遮断板85はアーム部75と共にスリットシャッタ回動軸77を軸として時計回りに回転する。
これにより遮断板85は、センサ86よりも右側に位置し、当該センサ86の検出領域SAを遮断しない位置へ移動する。このときセンサ86(図14(A))は、発光部からの光が遮断されていないことを示す明状態を検出する。
一方硬貨残留状態の場合、非遮断状態から遮断状態に向けてスリットシャッタ72はスリットシャッタ回動軸77を軸として反時計回りに回転するものの、リブ84との間に硬貨CNを挟み込むことにより回動が規制されるため、遮断位置までは到達しない。
これにより遮断板85(図14(C))は、センサ86の検出領域SAを遮断しない位置までしか移動しない。このためセンサ86は、硬貨残留状態においても非遮断状態と同様に明状態を検出する。
このようにシャッタ部21においては、正常な状態である遮断状態においては暗状態が、非遮断状態においては明状態がそれぞれ得られ、異常な状態である硬貨残留状態においては、非遮断状態と同様に明状態が得られるように、遮断板85の形状及び位置、リブ84の厚み及び位置並びにセンサ86等の各種部材の位置関係が設定されている。
これにより制御部9は、遮断状態と誤認識することなく、硬貨残留状態を非遮断状態として検出できる。
従来のシャッタ部421(図22乃至図25)においては、硬貨CNが残留した場合、スリットシャッタ472によって、隙間SPに当該硬貨CNが右側へ押し込まれてしまい、入出金口シャッタ426に対し硬貨CNが斜めになった状態で残留してしまう可能性があった。
このときスリットシャッタ472が遮断位置に近い位置まで移動してしまうため、シャッタ部421は、遮断状態であると判断してしまう可能性があった。このため顧客は硬貨を投入しようとしたにも拘わらず現金自動預払機1は当該硬貨を受け取ることができず、現金トラブルになってしまうおそれがあった。
これに対しシャッタ部21においては、スリットシャッタ72とリブ84とが硬貨CNを挟み込んだ際、硬貨CNの厚みにより、スリットシャッタ72の遮断部74が遮断位置よりもやや左側に位置するようにした。これによりシャッタ部21は、遮断状態と誤認識することなく硬貨残留状態を検出できる。
このようにシャッタ部21は、硬貨残留状態において硬貨CNを傾けることなく入出金口シャッタ26に対しほぼ垂直にさせることにより、スリットシャッタ72の移動量を規制するようにした。
これによりシャッタ部21は、硬貨残留状態において、スリットシャッタ72の遮断部74を遮断位置まで移動させることなく非遮断位置に留めることができるため、遮断状態と誤認識することなく硬貨残留状態を検出できる。
以上の構成によれば、シャッタ部21は、外部から取り込んだ硬貨CNを収容する硬貨収容部24と当該外部とを挿通し当該硬貨CNを通過させるスリット投入口70が穿設され、当該スリット投入口70近傍において当該硬貨収容部24に向かってリブ84が立設する入出金口シャッタ26と、入出金口シャッタ26の内側において当該入出金口シャッタ26の面方向にほぼ沿って移動するよう配され、硬貨収容部24を外部から遮断する遮断状態においてリブ84に当接し移動が規制されるスリットシャッタ72とを設けるようにした。
これによりシャッタ部21は、遮断状態と誤認識することなく硬貨残留状態を検出でき、信頼性を向上することができる。
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による現金自動預払機101は、第1の実施の形態による現金自動預払機1(図1及び図2)と比較して、硬貨入出金部4に代わる硬貨入出金部104を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
硬貨入出金部104は、第1の実施の形態による硬貨入出金部4(図1及び図2)と比較して、シャッタ部21に代わるシャッタ部121を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
シャッタ部121(図15、図16及び図18)は、第1の実施の形態によるシャッタ部21(図7)と比較して、リブ84及びスリットシャッタ72に代わるリブ184及びスリットシャッタ172を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
[2−1.スリットシャッタ部の構成]
図17(B)に示すようにリブ184は、側面視において櫛歯状のリブ櫛歯部91が形成されており、リブ84(図12)と比較して、前後方向にそれぞれリブ凹部幅WLCF、WLCC及びWLCRの幅を有するリブ凹部88(88F、88C及び88R)が前後方向に一定間隔を空けて3個刻設されている。
このためリブ184においてリブ凹部88が形成されていない箇所には、当該リブ凹部88よりも下方へ突出し前後方向の長さがリブ突起幅WLVである2本のリブ突起87(87F及び87R)が互いにリブ凹部幅WLCCを隔てて形成されている。
図17(C)に示すように、スリットシャッタ172の遮断部174は、平面視において櫛歯状のシャッタ櫛歯部92が形成されており、スリットシャッタ72(図12)と比較して、前後方向の長さがシャッタ凹部幅WSCであるシャッタ凹部90(90F及び90R)が前後方向にシャッタ突起幅WSVを空けて2個刻設されている。
このためスリットシャッタ172においてシャッタ凹部90が形成されていない箇所には、当該シャッタ凹部90よりも右側へシャッタ突起長さLSVだけ突出する3箇所のシャッタ突起89(89F、89C及び89R)が形成されている。
リブ突起幅WLVはシャッタ凹部幅WSCよりも僅かに短く形成され、シャッタ突起幅WSVはリブ凹部幅WLCCよりも僅かに短く形成されている。
このため遮断状態において、リブ184のリブ突起87と遮断部174のシャッタ突起89とは互いに遊嵌しつつ噛合した状態となっている。
これによりスリットシャッタ172はリブ184に対し可動することができると共に、非遮断状態から遮断状態に移行する際は、シャッタ凹部90の右側面がリブ突起87の左側面に当接することにより当該スリットシャッタ172の回動が停止する。
[2−2.動作及び効果]
以上の構成において、シャッタ部121は、遮断状態においてリブ櫛歯部91とシャッタ櫛歯部92とを噛合させるようにした。
上述した第1の実施の形態によるシャッタ部21(図12)は、スリットシャッタ72の遮断部74の右側面がリブ84に当接する位置を遮断位置としていた。
ここで、図14(B)の遮断状態の遮断板85を遮断板85bとして図14(C)に仮想的に示すように、遮断状態と硬貨残留状態とは、硬貨CNの厚みに相当する距離dだけ遮断板85の位置が異なることとなる。
硬貨が例えば1円玉であった場合、厚さが1.5mmしかないため、距離dはほぼ1.5mmとなる。このためセンサ86は、遮断板85の1.5mmの位置の違いにより遮断状態と硬貨残留状態とを異なる状態として認識する必要があるため、検出精度を高く保てない可能性があった。
これに対しシャッタ部121においては、スリットシャッタ172とリブ184と噛合させ、シャッタ凹部90の右側面がリブ突起87の左側面に当接する位置を遮断状態(図16及び図17(A))とするようにした。
このためシャッタ部121においては、図19(C)に示すように、距離dは硬貨CNの厚さにシャッタ突起長さLSVが加わったものとなり、シャッタ部21における距離d(図14(C))よりも長くなる。
これによりシャッタ部121は、遮断状態と硬貨残留状態とで遮断板85の位置を大きく移動させることができ、センサ86の検出マージンを大きくし、確実に硬貨残留状態を検出できる。
またシャッタ部121はリブ凹部幅WLCC(図17(B))を、現金自動預払機1において取り扱われる硬貨のうち外形が最も小さい最小硬貨の直径よりも短く構成するようにした。
このため硬貨残留状態において、硬貨CNは少なくともリブ突起87F及び87Rの2本のリブ突起に必ず接触するため、リブ凹部88Cに入り込んでしまうことがない。
これによりシャッタ部121は、スリットシャッタ172とリブ184とで硬貨CNを確実に挟み込むことができ、スリットシャッタ172の遮断方向への移動を規制することができる。
以上の構成によれば、シャッタ部121は、リブ184における硬貨収容部24と対向する先端側にリブ櫛歯部91を形成し、スリットシャッタ172における遮断方向先端側にシャッタ櫛歯部92を形成し、リブ櫛歯部91とシャッタ櫛歯部92とを噛合させ、遮断状態においてスリットシャッタ172の遮断方向先端側がリブ184の非遮断方向先端よりも遮断方向側に位置するようにした。
これによりシャッタ部121は、シャッタ部21と比較して、遮断状態と誤認識することなくより確実に硬貨残留状態を検出でき、信頼性を向上することができる。
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、入出金口シャッタ26から下方に向かってほぼ垂直にリブ84を立設する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、例えば図20に示すシャッタ部221のように、入出金口シャッタ26から左側、すなわち非遮断方向に向かってリブ284が傾斜して立設していても良い。第2の実施の形態においても同様である。
要は、硬貨残留状態においてリブとスリットシャッタとで硬貨CNを入出金口シャッタ26に対しほぼ垂直に保つことにより、スリットシャッタの移動を規制できれば良い。
また上述した第1の実施の形態においては、平板状のリブ84を入出金口シャッタ26から立設する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、例えば図21に示すシャッタ部321のように、スリット投入口70の右縁よりも右側の下面からリブ384が下方へ向かって立設し、下端部が左側に屈曲することにより、左端部がスリット投入口70の右縁のほぼ真下に位置し、スリットシャッタ372がリブ384と入出金口シャッタ26との間に入り込むことにより遮断状態となるようにしても良い。
この場合、図21に示すように硬貨残留状態においては、スリット投入口70の右縁、リブ384の左端部により硬貨CNの右側への移動及び傾きを規制し、スリットシャッタ372の遮断方向への移動を規制することができる。
さらに上述した実施の形態においては、リブ84及び184の下端部をスリットシャッタ72及び172の下面よりも下側まで突出させる場合について述べた。
本発明はこれに限らず、リブ84及び184の下端部がスリットシャッタ72及び172の上面よりも下側まで延設されていれば良く、要はスリットシャッタ72及び172に当接して当該スリットシャッタ72及び172の回動を停止できれば良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、非遮断状態から遮断状態に移行する際、シャッタ凹部90の右側面がリブ突起87の左側面に当接することによりスリットシャッタ172の回動を停止させる場合について述べた。
本発明はこれに限らず、例えば入出金口シャッタ26の下面に突起を形成し、リブ184のリブ突起87と遮断部174のシャッタ突起89とが互いに噛合した状態において、遮断部174が当該突起に当接することにより、スリットシャッタ172の回動を停止させても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、リブ84をスリット投入口70の前側の縁から後側の縁までに亘って形成する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、リブ84をスリット投入口70の前側の縁よりも前方から後側の縁の後方までに亘って(すなわち前後方向の長さをより長く)形成しても良く、スリット投入口70の前側の縁よりも後方から後側の縁の前側までに亘って(すなわち前後方向の長さをより短く)形成しても良い。要はリブ84に当接してスリットシャッタ72の回動を停止できれば良い。第2の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、スリットシャッタ回動軸77を支点としてスリットシャッタ72が回動する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば入出金口シャッタ26の面方向に沿った左右方向への往復平行移動等、種々の可動方法により遮断状態と非遮断状態とを切り替えるようにしても良い。第2の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第2の実施の形態においては、リブ184に2本のリブ突起87を設ける場合について述べたが、本発明はこれに限らず、1本又は3本以上の任意の本数のリブ突起87をリブ184に設けても良い。その場合、リブ突起及びリブ凹部に対応させてシャッタ突起及びシャッタ凹部をスリットシャッタに設ければ良い。
さらに上述した実施の形態においては、入出金口シャッタ26が前後方向に移動することにより開放状態又は閉鎖状態を切り替える場合について述べたが、本発明はこれに限らず、入出金口シャッタ26が硬貨入出金口23に移動せぬよう嵌め込まれ閉鎖状態のみをとるものであっても良い。要は入出金口を覆う板状部材において、スリット投入口70が形成されていれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、スリット投入口70を、硬貨を一度に1枚のみ通過させる幅にする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、2枚以上の任意の枚数の硬貨を一度に通過させる幅であっても良い。
さらに上述した実施の形態においては、アクチュエータ81からの駆動力を、スリットシャッタリンク79及びポスト78を介しスリットシャッタ72へ伝達させる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、種々の駆動方法によりスリットシャッタ72を駆動して良い。
さらに上述した実施の形態においては、全体として平面形状に形成された入出金口シャッタ26の内側において回動するスリットシャッタについて述べたが、本発明はこれに限らず、例えば湾曲した曲面形状の板状部材でなる入出金口シャッタと当該入出金口シャッタの曲面形状に沿って回動するスリットシャッタに対し本発明を適用しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、顧客が入金する媒体としての硬貨が投入されると共に、顧客へ出金する硬貨が排出される硬貨入出金部4に本発明を適用する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、例えばメダル等のような硬質な円板状の媒体、扁平形状であるクレジットカード、切符、葉書、並びに棒形状等、種々の形状でなる媒体の入出処理等の各処理を行う種々の装置に適用しても良い。
要は、媒体収容部の前面に位置し媒体を通過させるスリット投入口が穿設された板状部材と、当該板状部材の面方向にほぼ沿って移動することにより、スリット投入口の遮断状態と非遮断状態とを切り替える装置であれば良い。
また、例えば自動販売機に設けられた硬貨用のスリット投入口のように、装置内部において当該スリット投入口とほぼ同様の幅を形成するよう対向する壁からなる搬送路が形成されているものがある。
それと比べ、上述した実施の形態による硬貨収容部24のように、スリット投入口70よりも装置内部においてスリット投入口70の幅方向に対向する側壁の外側に大きな空間が広がっている場合の方が、硬貨CNが傾く可能性が高いため、本発明はより顕著な効果を奏する。
さらに上述した第1の実施の形態においては、板状部材としての入出金口シャッタ26と、スリットシャッタとしてのスリットシャッタ72とによって、シャッタ装置としてのシャッタ部21を構成する場合について述べた。
さらに上述した第2の実施の形態においては、板状部材としての入出金口シャッタ26と、スリットシャッタとしてのスリットシャッタ172とによって、シャッタ装置としてのシャッタ部121を構成する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる板状部材と、スリットシャッタとによってシャッタ装置を構成しても良い。