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JP5930168B2 - 粘着付与樹脂エマルジョン、エマルジョン型粘着剤組成物、およびフィルムラベル用粘着剤組成物 - Google Patents

粘着付与樹脂エマルジョン、エマルジョン型粘着剤組成物、およびフィルムラベル用粘着剤組成物 Download PDF

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JP5930168B2 JP2012018288A JP2012018288A JP5930168B2 JP 5930168 B2 JP5930168 B2 JP 5930168B2 JP 2012018288 A JP2012018288 A JP 2012018288A JP 2012018288 A JP2012018288 A JP 2012018288A JP 5930168 B2 JP5930168 B2 JP 5930168B2
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Description

本発明は、粘着付与樹脂エマルジョン及びこれを用いたエマルジョン型粘着剤組成物並びに当該粘着剤組成物を用いたフィルムラベル用粘着剤組成物に関する
テープやシート、ラベル等を製造する際に、基材である紙やプラスチックフィルム等に塗工する粘着剤組成物としては、従来、粘着力を付与するための粘着付与樹脂と(メタ)アクリル系重合体等のベースポリマーとを有機溶剤に溶解させた溶液型のものが一般的であったが、近年は環境、安全衛生、省資源等を考慮して、エマルジョン型の粘着剤組成物が主流になりつつある。
エマルジョン型粘着剤組成物としては従来、前記ベースポリマーと粘着付与樹脂を別個に各種アニオン性乳化剤の存在下でエマルジョン化し、混合したものが賞用されている。しかし、水分や湿気の多い条件下では粘着剤皮膜が白化したり、各種基材(金属、プラスチック等)に対する粘着力が低下したりするなど耐水性の点で問題があり、特にフィルムラベルのように意匠性が要求される用途には適さない場合があった。
耐水性を向上させる手段としては、粘着付与樹脂エマルジョンの乳化剤として、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル等の分子内にオキシアルキレン基を有するノニオン性乳化剤を用いる方法が提案されているものの(特許文献1を参照)、乳化性が不十分であり、耐水性の点でも改善の余地があった。
特開平11−61087号公報
本発明は、乳化性に優れており、かつ、エマルジョン型粘着剤組成物に良好な耐水性を付与できる新規な粘着付与樹脂エマルジョンを提供することを主たる課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、粘着付与樹脂エマルジョン乳化剤として所定の重合体塩を用いることにより上記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明は、アニオン性単量体(a1)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(a2)および下記一般式(1)で表わされる化合物(a3)を反応させてなるガラス転移温度が−50〜110℃の重合体(A’)(但し、(A’)成分をなす単量体として(メタ)アクリルアミド系単量体及び反応性乳化剤を除く。)を下記一般式(2)で表わされる沸点−33.3〜110℃の含窒素化合物(α)で中和してなる重合体塩(A)の存在下で粘着付与樹脂(B)を乳化することにより得られる、粘着付与樹脂エマルジョン;当該粘着付与樹脂エマルジョンとベースポリマーエマルジョンとを含有するエマルジョン型粘着剤組成物;当該エマルジョン型粘着剤組成物を用いてなるフィルムラベル用粘着剤、に関する。
(式(2)中、X、XおよびXはそれぞれ、水素または炭素数1〜5のアルキル基を表わす。)
本発明の粘着付与樹脂エマルジョンは、粒子径が細かく、不溶物も生じ難いなど乳化性(安定性)に優れており、ベースポリマーエマルジョンとも良く相溶する。また、当該粘着付与樹脂エマルジョンを用いたエマルジョン型粘着剤組成物は耐水性に優れており、例えば、水分や湿気の多い条件下における粘着剤皮膜の耐白化性(以下、耐水白化性ということがある。)や、同様の条件下における各種基材、例えば金属基材やプラスチック基材、特に難粘着性とされるポリオレフィン基材に対する粘着力(以下、耐水粘着力ということがある。)が良好である。
それゆえ、本発明の粘着付与樹脂エマルジョンは、各種粘着剤組成物、例えば耐水性やポリオレフィン基材への粘着力が要求される建材用粘着剤や、自動車内装部材用粘着剤、意匠性が重視されるフィルムラベル用粘着剤等に好適である。
本発明の粘着付与樹脂エマルジョンは、アニオン性単量体(a1)(以下、(a1)成分という)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(a2)(以下、(a2)成分という)、所定の一般式(1)で表わされる化合物(a3)(以下、(a3)成分という)、および必要に応じてスチレン類(a4)(以下、(a4)成分という)を反応させてなるガラス転移温度が−50〜110℃の重合体(A’)(以下、(A’)成分という)(但し、(A’)成分をなす単量体として(メタ)アクリルアミド系単量体及び反応性乳化剤を除く。)を所定の式(2)で表わされる沸点−33.3〜110℃の含窒素化合物(α)(以下、(α)成分という)で中和してなる重合体塩(A)(以下、(A)成分という)の存在下で粘着付与樹脂(B)(以下、(B)成分という)を乳化することにより得られる。
(a1)成分としては、各種公知のものを特に制限なく用い得るが、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のα,β−不飽和モノカルボン酸や、フマル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、ムコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸、当該α,β−不飽和ジカルボン酸にアルキル基の炭素数が1〜18のモノアルコールを反応させて得られるα,β−不飽和ジカルボン酸ハーフエステル等が挙げられ、これらの中でも主に乳化性や耐水性の点より(メタ)アクリル酸が好ましい。なお、(A’)成分における(a1)成分の使用量は特に限定されないが、特に乳化性の観点より通常18〜40重量%程度、好ましくは19〜38重量%である。
(a2)成分としては、各種公知のものを特に制限なく用い得るが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ノルマルブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ターシャリーブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等が挙げられ、これらの中でも、乳化性やベースポリマーとの相溶性、耐水性等の点より、アルキル基の炭素数は通常1〜8程度、好ましくは1〜4である。なお、(A’)成分における(a2)成分の使用量は特に限定されないが、特に乳化性や耐水性等の点より通常45〜79.9重量%程度、好ましくは47〜73重量%である。
(a3)成分は、下記一般式(1)で表わされる化合物であり、当該成分を必須使用することによって、特に乳化性および耐水性が良好になる。また、(A’)成分における(a3)成分の使用量は特に限定されないが、乳化性および耐水性の点より通常0.1〜10重量%程度、好ましくは4〜10重量%である。
(a4)成分としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン等が挙げられ、主に乳化性や耐水性等の点よりスチレンが好ましい。なお、(A’)成分における(a4)成分の使用量は特に限定されず、通常は0〜30重量%程度であるが、特に耐水性を考慮すると、4〜20重量%であるのが好ましい。
なお、(A’)成分をなす単量体としてアクリルアミドやメタクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド、N,N’−ジメチルメタアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体や、いわゆる反応性乳化剤を使用すると、主に耐水性が不十分になる傾向にある。ここに「反応性乳化剤」とは、一分子中に、繰り返し単位数が5〜50程度(好ましくは10〜30)のオキシアルキレン基と、アニオン性官能基や水酸基等の親水性官能基と、炭素数5〜20程度の炭化水素基(直鎖状、分岐状または環状のいずれかであればよい)と、(メタ)アクリロイル基やプロペニル基等のラジカル重合性の官能基とをそれぞれ少なくとも一つ有する乳化剤をいう(例えば特開平9−324394号参照)。
(a1)成分〜(a3)成分(および必要に応じ(a4)成分)を反応させる方法としては、溶液重合や乳化重合等の各種公知の重合方法が挙げられる。溶液重合に用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、アセトン、メチルイソブチルケトン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、およびジメチルスルホキシド等を例示できる。また、乳化重合による場合は、各種公知の非反応性の低分子量乳化剤として、例えばジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、およびポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン性乳化剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン乳化剤を適宜使用できる。また、当該低分子量乳化剤の使用量は特に限定されないが、特に耐水性の点より(a1)成分〜(a4)成分の総重量に対して通常5重量%以下、好ましくは0.1〜2重量%程度である。
また、重合反応の際には、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、クミルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、2,2´−アゾビス−(2−アミジノプロバン)−ヒドロクロライド、レドックス系開始剤(過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸アンモニウム−酸性亜硫酸ナトリウムなど)といった過硫酸塩類や過酸化物、アゾ化合物、レドックス類等の開始剤等を、(a1)成分〜(a4)成分の総重量に対して通常0.1〜10重量%程度の範囲で使用できる。
また、重合反応の際には、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオール、オクタンチオール、ドデカンチオール、ベンゼンチオール、トルエンチオール、α−ナフタレンチオール、β−ナフタレンチオール、メルカプトメタノール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール等の連鎖移動剤を、(a1)成分〜(a4)成分の総重量に対して通常0.1〜5重量%程度の範囲で使用できる。
(A’)成分は、特に乳化性や耐水性の観点より、ガラス転移温度が通常−50〜110℃程度、好ましくは0〜90℃、いっそう好ましくは40〜80℃である。
(A’)成分の他の物性は特に限定されないが、特に乳化性や耐水性の点より、例えば酸価が通常100〜400mgKOH/g程度、好ましくは110〜250mgKOH/gである。なお、当該酸価はJIS−K2501で定める中和滴定法で求めることができる。また、重量平均分子量も特に限定されないが、やはり乳化性や耐水性の点より、通常5000〜30000程度、好ましくは8000〜28000である。
かかる(A’)成分を下記一般式(2)で表わされる(α)成分で中和することにより、高分子乳化剤である(A)成分が得られる。
(式(2)中、X、XおよびXはそれぞれ、水素または炭素数1〜5のアルキル基を表わす。)
(α)成分は沸点が−33.3〜110℃であるため、(A’)成分が前記ガラス転移温度を有することと相俟って粘着剤皮膜から大気中へと離脱し易く、当該皮膜の疎水性が強まる結果、耐水性が向上すると考えられる。この観点より、(α)成分の沸点は、好ましくは−33.3〜90℃程度、いっそう好ましくは−33.3〜20℃である。(α)成分の具体種としては、例えば、アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、s−ブチルアミン、t−ブチルアミン、イソブチルアミン、ペンチルアミン、t−ペンチルアミン、イソペンチルアミン等のモノアミン類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン等のジアミン類;トリメチルアミン、トリエチルアミン等のトリアミン類等が挙げられ、これらの中でも特に耐水性の点よりアンモニアが好ましい。また、(α)成分の使用量も特に限定されないが、通常は、(A’)成分が有するカルボキシル基の総モルに対して50〜150モル%程度となる範囲である。なお、(α)成分に代えて水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物や、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類、前記一般式(1)で表されるが前記沸点を有さないアミン類(ジブチルアミン等)、前記一般式(1)で表されないアミン類(エチレンジアミン等のジアミン類)を使用すると、耐水性が不十分になる傾向にある。
なお、前記したように、本発明においては、(A’)成分のガラス転移温度を規定し、かつ揮発性の(α)成分を使用することによって粘着剤皮膜の耐水性を向上させる点に特徴があり、かかる観点より、(A’)成分自体の乾燥皮膜の酸価AVと(A)成分自体の乾燥皮膜の酸価AVとの差(AV−AV)が通常0〜1.0mgKOH/g程度、好ましくは0〜0.2mgKOH/gである。また、各乾燥皮膜は、(A)成分や(A’)成分の溶液を例えばガラス板に塗布した後乾燥させることによって得ることができる。
(B)成分としては、各種公知の粘着付与樹脂を使用できる。また、その物性は特に限定されないが、主に耐水白化性や耐水粘着力の観点より、例えば軟化点が70〜180℃程度、特に100〜180℃のものが好ましい。
かかる(B)成分の具体例としては、例えばロジン類、ロジン誘導体、石油樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂等の各種公知の粘着付与樹脂を使用できる。
前記ロジン類としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等の原料ロジン類;原料ロジン類を不均化もしくは水素添加処理した安定化ロジン類;原料ロジン類から得られる重合ロジン;原料ロジン類や安定化ロジン類、重合ロジンと前記(a1)成分(アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸等)とから得られる酸変性ロジン等があげられる。
前記ロジン誘導体としては、前記ロジン類と多価アルコールとをエステル化反応させて得られるロジンエステルや、前記ロジン類とフェノール類を反応させて得られるロジン−フェノール樹脂、前記ロジン類、フェノール類および前記多価アルコールを反応させて得られるロジンエステル−フェノール樹脂等が挙げられる。また、該多価アルコールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの2価アルコールや、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール、ペンタエリスリトール、ジグリセリンなどの4価アルコール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール等を例示できる。これらの中でも、特にポリオレフィン基材に対する耐水粘着力の観点より特に重合ロジンエステルが好ましい。
前記石油樹脂としては、ペンテン、ペンタジエン、イソプレン等から得られるC5系石油樹脂や、インデン、メチルインデン、ビニルトルエン、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン等から得られるC9系石油樹脂、これらモノマーから得られるC5−C9共重合系石油樹脂、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)から得られるDCPD系石油樹脂、これら石油樹脂に水酸基等の極性基が結合した石油樹脂、これら石油樹脂の水素化物などが挙げられる。
前記フェノール樹脂としては、具体的には、各種公知のフェノール類とホルムアルデヒドとをアルカリ触媒存在下で反応させてなるレゾール系フェノール樹脂や、酸触媒の存在下で反応させてなるノボラック系フェノール樹脂、該レゾール系フェノール樹脂またはノボラック系フェノール樹脂と前記原料ロジンとを反応させてなるロジン変性フェノール樹脂などが挙げられる。また、該フェノール類としては、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、p−アルキルフェノール、レゾルシンなどが挙げられる。
前記テルペン樹脂としては、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂や、α−ピネン、β−ピネン等のテルペン類とスチレンやフェノール等の芳香族モノマーとを共重合させた芳香族変性テルペン系樹脂や、当該芳香族変性テルペン系樹脂の水素化物等を例示できる。
前記ケトン樹脂としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、またはメチルシクロヘキサノン等のケトン類とホルムアルデヒドとの縮合物等が挙げられる。
本発明の粘着付与樹脂エマルジョンは、高分子乳化剤である(A)成分の存在下で(B)成分を乳化することにより得られる。乳化方法は特に限定されず、各種公知の方法を採用できる。例えば以下の方法が挙げられる。
[1](B)成分をトルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ペンタン等の有機溶剤で溶解し、軟水、(A)成分および必要に応じて前記低分子量乳化剤を添加した後に、高圧乳化機を用いて乳化し、減圧下に有機溶剤を除去する方法。
[2](B)成分と少量の有機溶剤、(A)成分および必要に応じて前記低分子量乳化剤を混合し、熱水を徐々に添加してゆき、転相乳化させてエマルジョンとし、必要に応じて減圧下に該溶剤を除去する方法。
[3]加圧下または常圧下に、(B)成分の軟化点以上の温度で(A)成分および必要に応じて前記低分子量乳化剤を混合し、さらに熱水を徐々に添加してゆき転相乳化させる方法。
(A)成分と(B)成分の使用量は特に限定されないが、主に乳化性や耐水性の点より、(B)成分100重量部(固形分換算)に対する(A)成分の使用量が通常2〜10重量部(固形分換算)程度、好ましくは2〜6重量部となる範囲であるのがよい。
こうして得られる粘着付与樹脂エマルジョンの物性は特に限定されないが、例えば平均粒子径が通常0.1〜1.5μm程度、pHが2〜10程度、不揮発分が20〜70重量%程度である。
本発明のエマルジョン型粘着剤組成物は、本発明の粘着付与樹脂エマルジョンと各種公知のベースポリマーエマルジョンとを含有するものである。該ベースポリマーエマルジョンの種類は特に限定されないが、例えば(メタ)アクリル系重合体エマルジョンやゴム系ラテックス、合成樹脂系エマルジョン(該(メタ)アクリル系重合体エマルジョンを除く。)が挙げられ、耐水性や、各種被着体に対する粘着剤皮膜の粘着力の点より(メタ)アクリル系重合体エマルジョンが好ましい。また、当該粘着剤組成物における該粘着付与樹脂エマルジョンの使用量は特に限定されないが、特に耐水性および各種被着体に対する粘着力の点より、ベースポリマーエマルジョン100重量部(固形分換算)に対して通常2〜40重量部程度(固形分換算)である。
前記(メタ)アクリル系重合体エマルジョンを製造するために用いるモノマーとしては、具体的には前記(a1)成分および前記(a2)成分と同一のものが挙げられるが、必要に応じて前記(a3)成分、(a4)成分、その他の単量体を使用することもできる。具体的には、当該(a1)成分としては(メタ)アクリル酸が、当該(a2)成分としてはアクリル酸−2エチルヘキシルやアクリル酸ブチルが、当該(a4)成分としてはスチレンが好ましい。また、当該エマルジョンの製法も特に限定されず、一括重合、逐次重合、シード重合、乳化重合等を採用できる。また、その際に前記した非反応性の低分子量乳化剤を使用できる。
前記ゴム系ラテックスとしては、例えば天然ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、クロロプレンラテックス等が挙げられる。
前記合成樹脂系エマルジョンとしては、例えば、酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ウレタン系エマルジョン等の合成樹脂エマルジョンが挙げられる。
本発明の粘着剤組成物を塗工する基材としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、ポリカーボネート、塩化ビニル等のプラスチック基材や各種ラベル用紙が挙げられ、特にポリエステル基材は粘着力の点で好ましい。また、被着体である基材としては、当該プラスチック基材や、アルミニウムやステンレス等の金属が挙げられ、本発明の粘着剤組成物はポリオレフィンとの耐水粘着力に特に優れる。
本発明の粘着剤組成物は、例えば、耐水性やポリオレフィン基材への粘着力が特に要求される製品、例えば建材用粘着剤や自動車内装部材用粘着剤の他、更に意匠性も重視されるフィルムラベル用粘着剤等として好適である。また、当該フィルムラベル用粘着剤組成物として使用する場合、前記した被着体としてはポリオレフィン基材が好ましい。
以下、実施例および比較例を通じて本発明を詳細に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらに限定されるわけではない。また、各例中、部および%は特記ない限り重量基準である。
<(A)成分の製造>
製造例1
窒素ガス導入管、温度計、還流冷却器、滴下ロートおよび撹拌装置を備えた五つ口フラスコに、非反応性のアニオン系乳化剤(商品名「ハイテノールNF−08」、第一工業製薬(株)製)1.0部、水268部を仕込み、系内を均一な水溶液とした。次いで、窒素気流下、85℃まで昇温し、メタクリル酸20部、メタクリル酸ノルマルブチル80部および前記一般式(1)で表される化合物5部からなる溶液、ならびに過硫酸アンモニウム4部および水80部からなる水溶液を別々の滴下ロートから徐々に滴下し、3時間反応させた。更に過硫酸アンモニウム1部および水10部からなる水溶液を滴下して2時間反応させることにより、重合物(A’−1)の水溶液を得た。(A’−1)成分の酸価(AVa)は124.3mgKOH/g、ガラス転移温度は47℃、重量平均分子量は11000であった。
次いでフラスコ内に、当該(A’−1)成分が有するカルボキシル基の中和率が100モル%となる量のアンモニア水(25%、15.8部)を添加してから良く撹拌し、常温まで冷却することにより、不揮発分23%である重合体塩(A−1)の水溶液を得た。
<高分子乳化剤皮膜の形成>
(A’−1)成分の水溶液を、バーコーターNo.20を用いてガラス板に塗布し、110℃で2時間乾燥させることによりフィルム状物を得た。また、(A−1)成分の水溶液についても同様にしてフィルム状物を得た。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
市販の熱応力歪測定装置(TMA:セイコーインスツル(株)、製品名「TMA−120」)を用い、(A’−1)成分のフィルム状物に針入プローブを介して5gの荷重を加え、−100℃から一定速度(10℃/分)で装置内を昇温し、得られた変移曲線よりガラス転移温度(℃)を求めた。結果を表1に示す。
<酸価の測定>
(A’−1)成分および(A−1)成分の各フィルム状物を用い、JIS K
2501に準拠した中和滴定法により酸価(AVa,AVb)をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
<重量平均分子量(Mw)の測定>
(A’−1)成分および(A−1)成分の各水溶液について、ゲルパーメーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、商品名「HLC−8320」、カラム:東ソー(株)製、商品名「TSKgelGMPWXL」、「TSKgelG2500PWXL」)を使用することにより、ポリエチレンオキシド換算値としての重量平均分子量をそれぞれ求めた。結果を表1に示す。
製造例2〜12、比較製造例1〜15
表1に示す種類、部数の原料を用いた他は製造例1と同様にして各重合体塩の水溶液を得た。また、各(α)成分は、製造例1におけるカルボキシル基の中和率と同一の中和率となる部数で使用した。また、前記同様の方法により、ガラス転移温度、酸価、および重量平均分子量を求めた。結果を表1に示す。
MAA:メタクリル酸
IA:イタコン酸
BMA:アクリル酸ノルマルブチル
MMA:メタクリル酸メチル
SMA:メタクリル酸ステアリル
St:スチレン
MST:α−メチルスチレン
AM:アクリルアミド
RN:ポリオキシエチレンフェニルエーテル系反応性乳化剤(商品名「アクアロンRN−10」、第一工業製薬(株)製)
MET:2−メルカプトエタノール
NH:25%アンモニア水(沸点約−33.3℃)
TEA:トリエチルアミン(沸点約89.7℃)
EEA:ジエチルアミン(沸点約55.5℃)
DEA:ジエタノールアミン(沸点約217 °C)
DBA:ジブチルアミン(沸点約159 ℃)
EDA:エチレンジアミン(沸点約117℃)
Na:48%水酸化ナトリウム水溶液
K:48%水酸化カリウム水溶液
<粘着付与樹脂エマルジョンの製造>
実施例1
市販の重合ロジン−ペンタエリスリトールエステル(商品名「ペンセルD−160」、荒川化学工業(株)製、軟化点160℃)100部を、100℃にてトルエン60部に溶解させた後、高分子乳化剤として(A−1)成分を固形分換算で3部、水を160部加え、75℃にて1時間程度撹拌し、予備乳化した。次いで、得られた予備乳化物を高圧乳化機(マントンガウリン社製)により30MPaの圧力下で高圧乳化した。次いで、得られた乳化物を200部、減圧蒸留装置に仕込み、50℃および13.3kPaの条件下で8時間、撹拌下に減圧蒸留し、不揮発分が50重量%の粘着付与剤樹脂のエマルジョンを得た。
実施例2〜12
高分子乳化剤として(A−1)成分〜(A−12)成分の溶液をそれぞれ使用した他は実施例1と同様にして、粘着付与剤樹脂のエマルジョン(いずれも不揮発分が50重量%)を得た。
実施例13
粘着付与樹脂として市販のロジン−フェノール樹脂(商品名「タマノル803L」、荒川化学工業(株)製、軟化点150℃)を使用した他は実施例1と同様にして、粘着付与剤樹脂のエマルジョン(不揮発分が50重量%)を得た。
実施例14
粘着付与樹脂として市販のロジン−ペンタエリスリトールエステル(商品名「ペンセルGA−100」、荒川化学工業(株)製、軟化点100℃)を使用した他は実施例1と同様にして、粘着付与剤樹脂のエマルジョン(不揮発分が50重量%)を得た。
実施例15
粘着付与樹脂として市販の石油樹脂(商品名「日石ネオポリマーL−90」、JX日鉱日石エネルギー(株)製、軟化点95℃)を使用した他は実施例1と同様にして、粘着付与剤樹脂のエマルジョン(不揮発分が50重量%)を得た。
比較例1〜15
高分子乳化剤として(ア)成分〜(ソ)成分の溶液をそれぞれ使用した他は実施例1と同様にして、粘着付与剤樹脂のエマルジョン(いずれも不揮発分が50重量%)を得た。
比較例16
実施例1において、(A−1)成分に代えてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(商品名「ノイゲンEA−167」第一工業製薬(株)製)を5部使用した他は同様にして、不揮発分50%の粘着付与剤樹脂のエマルジョンを得た。
<乳化性の評価>
実施例および比較例の各粘着付与樹脂エマルジョンの粒子径を、レーザー回折式粒度測定装置((株)島津製作所製、商品名「SALD−2000」)を用い、屈折率1.70−0.20i、吸光度0.06の条件下で測定した。数値が小さいほど貯蔵安定性が良好であることを意味する。
また、実施例1で得られた粘着付与樹脂エマルジョンを200メッシュの金網でろ過し、得られた残渣の被乳化樹脂(重合ロジンエステル)に対する重量%を秤量した。数値が小さいほど乳化性が良好であることを意味する。
<ベースポリマーエマルジョンの製造>
実施例1と同様の五つ口フラスコに、水86.80部およびアニオン性乳化剤(ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム塩、商品名「ハイテノールNF−08」、第一工業製薬(株)製)0.92部を仕込み、70℃に昇温して溶液となした。次いでアクリル酸ブチル90.20部、アクリル酸2.80部からなる溶液、および過硫酸カリウム0.48部、重曹0.22部および水17.66部からなる水溶液をそれぞれ別々の滴下ロートから3時間かけて滴下した。滴下終了後、70℃にて1時間ラジカル重合反応を実施した。次いで、得られたエマルジョンを室温まで冷却し、100メッシュ金網を用いてろ過し、固形分が45.7%のアクリル系重合体エマルジョンを得た。
<エマルジョン型粘着剤組成物の製造>
前記アクリル系重合体エマルジョン80部と実施例1の粘着付与樹脂エマルジョン20部とをよく混合し、粘着剤組成物を得た。実施例2〜8および比較例1〜10の各粘着付与樹脂エマルジョンについても同様にして粘着剤組成物を得た。
また、前記アクリル系重合体エマルジョンをそのまま粘着剤組成物としたものを参照例とした。
<耐水性の評価>
実施例1に係る粘着剤組成物を厚さ38μmのPETフィルムに塗布した後、110℃の循風乾燥器内で5分間乾燥させ、70μm厚の粘着剤皮膜を供えた試験フィルムを得た。次いでこのフィルムを以下の試験に供した。実施例2〜15、比較例1〜16および参照例の各粘着剤組成物についても同様に評価した。
(1)耐水粘着力
各試験フィルムを幅25mmに切り、被着体(ステンレス板(SS)およびポリエチレン板(PE))に2kgのローラーを1往復させて貼り合わせ、23℃水中に72時間浸漬した。水中から積層体を取り出した後、直ちに180度剥離テストを、引張速度300mm/分、測定温度23℃の条件で行い、粘着力(kg/25mm)を測定した。
(2)耐水白化性
各試験フィルムを適当な大きさに切り、23℃の水に72時間浸漬した後、粘着剤皮膜の白化程度を以下の基準で目視評価した。
3:変化無し(透明)
2:僅かに白濁
1:強く白濁

Claims (15)

  1. アニオン性単量体(a1)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(a2)および下記一般式(1)で表わされる化合物(a3)を反応させてなるガラス転移温度が−50〜110℃の重合体(A’)(但し、(A’)成分をなす単量体として(メタ)アクリルアミド系単量体及び反応性乳化剤を除く。)を下記一般式(2)で表わされる沸点−33.3〜110℃の含窒素化合物(α)で中和してなる重合体塩(A)の存在下で粘着付与樹脂(B)を乳化することにより得られる、粘着付与樹脂エマルジョン。
    (式(2)中、X、XおよびXはそれぞれ、水素または炭素数1〜5のアルキル基を表わす。)
  2. 前記重合体(A’)が、更にスチレン類(a4)を反応成分とする請求項1の粘着付与樹脂エマルジョン。
  3. (a1)成分が(メタ)アクリル酸である、請求項1または2の粘着付与樹脂エマルジョン。
  4. (a2)成分のアルキル基の炭素数が1〜8である、請求項1〜3のいずれかの粘着付与樹脂エマルジョン。
  5. (a4)成分がスチレンである、請求項1〜4のいずれかの粘着付与樹脂エマルジョン。
  6. (a1)成分〜(a4)成分の使用量が順に18〜40重量%、45〜79.9重量%、0.1〜10重量%、および0〜30重量%である請求項1〜5のいずれかの粘着付与樹脂エマルジョン。
  7. (A’)成分の酸価が100〜400mgKOH/gである請求項1〜6のいずれかの粘着付与樹脂エマルジョン。
  8. (A’)成分の重量平均分子量が5000〜30000である請求項1〜7のいずれかの粘着付与樹脂エマルジョン。
  9. (B)成分の軟化点が120〜180℃である請求項1〜8のいずれかの粘着付与樹脂エマルジョン。
  10. (B)成分が重合ロジンエステルである、請求項1〜9のいずれかの粘着付与樹脂エマルジョン。
  11. (B)成分100重量部(固形分換算)に対する(A)成分の使用量が2〜10重量部(固形分換算)である、請求項1〜10のいずれかの粘着付与樹脂エマルジョン。
  12. 請求項1〜11のいずれかの粘着付与樹脂エマルジョンとベースポリマーエマルジョンとを含有するエマルジョン型粘着剤組成物。
  13. ベースポリマーエマルジョンが(メタ)アクリル系共重合体エマルジョンである請求項12のエマルジョン型粘着剤組成物。
  14. 請求項12または13のエマルジョン型粘着剤組成物を用いてなるフィルムラベル用粘着剤組成物。
  15. 被着体がポリオレフィン基材である請求項14のフィルムラベル用粘着剤組成物。
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