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JP5922985B2 - 湿気硬化型接着剤組成物 - Google Patents

湿気硬化型接着剤組成物 Download PDF

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JP5922985B2 JP2012106396A JP2012106396A JP5922985B2 JP 5922985 B2 JP5922985 B2 JP 5922985B2 JP 2012106396 A JP2012106396 A JP 2012106396A JP 2012106396 A JP2012106396 A JP 2012106396A JP 5922985 B2 JP5922985 B2 JP 5922985B2
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Description

本発明は、ポリオレフィン製被着材に対する接着性に優れると共に透明性に優れた湿気硬化型接着剤組成物に関するものである。
従来より、被着材同士を接着するための接着剤として、常温硬化型接着剤や加熱硬化型接着剤等の硬化型接着剤が用いられている。近年、雰囲気中の水分で硬化する湿気硬化型接着剤が重宝されるようになってきているが、ポリオレフィン製板、ポリオレフィン製シート及びポリオレフィン製フィルム等のポリオレフィン製被着材に対して強力な接着性を実現できない憾みがあった。
このため、本発明者は、ポリオレフィン製被着材に対して強力な接着性を実現しうる湿気硬化型接着剤として、特許文献1に記載された接着剤組成物を開発した。すなわち、この接着剤組成物は、架橋性珪素基を分子内に有する硬化性樹脂、粘着付与樹脂、分子量1000未満のアルキルアルコキシシラン化合物又はアリールアルコキシルシラン化合物である反応性希釈剤及び三フッ化ホウ素錯体を含有するものである。この湿気硬化型接着剤は、粘着付与樹脂と特定の反応性希釈剤とを併用した点に特徴を有する。
特願2011−63679(特許請求の範囲)
本発明は、特許文献1記載に係る発明を利用し、それを改良したものであり、その課題はさらに接着剤の透明性を向上することにある。具体的には、湿気硬化型接着剤組成物の使用前の溶液状態のときも、使用後の硬化皮膜が形成された状態のときも、透明性に優れた湿気硬化型接着剤組成物を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用したものである。すなわち、本発明は、分子内にウレタン結合及び/又は尿素結合持ち、末端に一般式(1)で表される加水分解性シリル基を有し、且つ主鎖がポリオキシアルキレンである硬化性樹脂(A)、一般式(1)で表される加水分解性シリル基を分子内に有し、且つ、主鎖がビニル共重合体である硬化性樹脂(B)、三フッ化ホウ素錯体(C)、スチレン系粘着付与樹脂(D)、一般式(2)で表される分子量1000未満のアルキルアルコキシシラン化合物又はアリールアルコキシシラン化合物である反応性希釈剤(E)及び質量平均分子量10,000〜150,000で塩素含有量が21〜30質量%の塩素化ポリオレフィン樹脂(F)を含有することを特徴とする透明性に優れた湿気硬化型接着剤組成物に関するものである。ここで、一般式(1)及び一般式(2)は、以下のとおりである。
一般式(1);
−SiR1 a(OR23-a
(但し、R1は炭素数1〜10のアルキル基を、R2は炭素数1〜6のアルキル基を表し、aは0,1又は2である。)
一般式(2);
SiR3 b(OR44-b
(但し、R3は炭素数1〜8の分岐していてもよい直鎖状又は環状のアルキル基若しくはフェニル基を、R4はメチル基又はエチル基を表し、bは1又は2である。)
[硬化性樹脂(A)について]
本発明に用いる硬化性樹脂(A)は、分子内にウレタン結合及び/又は尿素結合持ち、末端に上記一般式(1)で表される加水分解性シリル基(以下、単に「加水分解性シリル基という。」)を有し、且つ主鎖がポリオキシアルキレンである硬化性樹脂である。かかる硬化性樹脂(A)としては、公知のものであって、特許第3317353号公報、特許第3030020号公報、特許第3343604号公報、特表2004−518801号公報、特表2004−536957号公報及び特表2005−501146号公報に記載されているものを用いることができる。
硬化性樹脂(A)が有する加水分解性シリル基は、ケイ素原子における主鎖に連なる結合手以外に加水分解性基であるアルコキシ基(OR2)が1〜3個結合する官能基である。加水分解性基(OR2)は、炭素数1〜6(好ましくは、炭素数1〜3、より好ましくは炭素数1又は2)のアルコキシ基である。加水分解性基(OR2)の数としては、硬化速度を高めたい場合は3個(a=0)が好ましく、硬化物に柔軟性を付与したい場合は2個(a=1)又は1個(a=2)が好ましい。ケイ素原子の残りの結合手に結合している官能基R1は炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜4、特に好ましくは炭素数1又は2)のアルキル基を表す。硬化性樹脂(A)中に複数の加水分解性シリル基が存在する場合、それらの官能基はお互いに同じであってもよいし異なっていてもよい。また、硬化性樹脂(A)は、分子内にウレタン結合及び/又は尿素結合を含有する。分子内にウレタン結合及び/又は尿素結合を含有すると、後述する三フッ化ホウ素錯体(C)が有効に働くため、硬化性樹脂の硬化能が発揮され易いものと推察される。
硬化性樹脂(A)の分子量は特に制限されないが、数平均分子量で1,000〜80,000が好ましく、1,500〜60,000がより好ましく、2,000〜40,000が特に好ましい。分子量が1,000を下回ると、架橋密度が高くなり過ぎることから得られる塗膜(硬化物)が脆い物性となる場合があり、分子量が80,000を上回ると、粘度が高くなり作業性が悪くなるため溶剤や可塑剤が多量に必要になるなど配合が制限される場合がある。
本発明に用いる硬化性樹脂(B)は、加水分解性シリル基を分子内に有し、且つ、主鎖がビニル共重合体である硬化性樹脂である。硬化性樹脂(B)が有する加水分解性シリル基も、硬化性樹脂(A)が有する加水分解性シリル基と同様であって、ケイ素原子における主鎖に連なる結合手以外に加水分解性基であるアルコキシ基(OR2)が1〜3個結合する官能基である。加水分解性基(OR2)は、炭素数1〜6(好ましくは、炭素数1〜3、より好ましくは炭素数1又は2)のアルコキシ基である。加水分解性基(OR2)の数としては、硬化速度を高めたい場合は3個(a=0)が好ましく、硬化物に柔軟性を付与したい場合は2個(a=1)又は1個(a=2)が好ましい。ケイ素原子の残りの結合手に結合している官能基R1は炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜4、特に好ましくは炭素数1又は2)のアルキル基を表す。硬化性樹脂(B)中に複数の加水分解性シリル基が存在する場合、それらの官能基はお互いに同じであってもよいし異なっていてもよい。
硬化性樹脂(B)の分子量は特に制限されないが、数平均分子量で1,000〜80,000が好ましく、1,500〜60,000がより好ましく、2,000〜40,000が特に好ましい。分子量が1,000を下回ると、架橋密度が高くなり過ぎることから得られる塗膜(硬化物)が脆い物性となる場合があり、分子量が80,000を上回ると、粘度が高くなり作業性が悪くなるため溶剤や可塑剤が多量に必要になるなど配合が制限される場合がある。
硬化性樹脂(B)の合成方法は、従来公知の任意の方法を採用することができる。たとえば、加水分解性シリル基を分子内に有する重合性ビニル系化合物(b1)、及び、その他の重合性ビニル系化合物(b2)を共重合することによって得ることが出来る。共重合等の条件は特に限定されるものではなく、一般的なラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、及びそれらの重合法における重合条件を適用することが出来る。また、重合時の反応溶媒は、各種有機溶媒を用いても良いし、常温で液体である低分子量又は高分子量の硬化性又は非硬化性樹脂を用いても良い。これらの中でも、硬化性樹脂(A)を溶媒と見立て、硬化性樹脂(A)中で加水分解性シリル基を分子内に有する重合性ビニル系化合物(b1)及び重合性ビニル系化合物(b2)を共重合する方法が最も好ましい。硬化性樹脂(A)中でビニル重合反応を行うことで、硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)の混合粘度が低く調整できるうえ、従来の溶液重合で必須であった反応溶媒除去工程が不要となるため、産業上極めて有用な製造方法であるといえる。加水分解性シリル基を分子内に有する重合性ビニル系化合物(b1)及び重合性ビニル系化合物(b2)は、所望の性能を得るために適宜選択すれば良く、さらに1種類単独又は2種類以上合わせて使用しても良い。
加水分解性シリル基を分子内に有する重合性ビニル系化合物(b1)としては、ビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルメチルジエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの中では、コスト及び重合反応の容易さなどの面から、3−メタアクリロイルプロピルトリメトキシシラン、3−メタアクリロイルプロピルメチルジメトキシシランが最も好ましい。
重合性ビニル系化合物(b2)としては、アクリル酸系化合物、メタクリル酸系化合物、アクリロニトリル系化合物、及び、スチレン系化合物から選ばれる1種以上の重合性ビニル基含有モノマーである。以下、アクリル酸及びメタクリル酸を(メタ)アクリル酸、アクリレート及びメタクリレートを(メタ)アクリレートと記す。重合性ビニル系化合物(b2)の具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、モルホリンアクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
加水分解性シリル基を分子内に有する重合性ビニル系化合物(b1)の配合量としては、硬化性樹脂(B)を構成する全単量体成分の合計質量(重合性ビニル系化合物(b1)+その他の重合性ビニル化合物(b2)の質量)中、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、最も好ましくは1.0〜15質量%であり、かかる配合量でその他の重合性ビニル化合物(b2)と共重合される。
硬化性樹脂(B)を共重合により合成する際には、構成する単量体成分以外に、さらに従来公知の連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤を用いることにより、硬化性樹脂(B)の分子量のコントロールができるうえ、硬化性樹脂(B)の粘度調整なども可能である。連鎖移動剤としては、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオフェノール等のメルカプト化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプトシラン化合物、ジブチルジスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジスルフィド等のジスルフィド化合物、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのなかでは、n−ドデシルメルカプタン及びメルカプトシラン化合物が低臭気であるため好ましく、メルカプトシラン化合物が連鎖移動剤としての効果を発現すると同時に、分子内に架橋性珪素基を導入することができるため、より好ましい。連鎖移動剤は、硬化性樹脂(B)を構成する全単量体成分の合計質量に対して、0.1〜35質量%の範囲で使用することが好ましく、1〜25質量%がより好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
さらに、硬化性樹脂(B)を共重合により合成する際には、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法に合った、従来公知の開始剤を利用すればよい。たとえば、汎用的に利用されるラジカル重合法を例に取ると、その重合開始剤はラジカル開始剤となる。ラジカル開始剤としては、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチル−4−トリメトキシシリルペントニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチル−4−メチルジメトキシシリルペントニトリル)、和光純薬工業社製商品名:VA−046B、VA−057、VA−061、VA−085、VA−086、VA−096、V−601、V−65及びVAm−110等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、t−アルキルパーオキシエステル、アセチルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の過酸化物が使用できる。開始剤は、硬化性樹脂(B)を構成する全単量体成分の合計質量に対して0.1〜10質量%の範囲で使用することが好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。
硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)の配合量(質量部)は、硬化性樹脂(A):硬化性樹脂(B)=5:95〜95:5となる範囲で使用されるのが好ましく、20:80〜90:10がより好ましく、30:70〜80:20が特に好ましく、40:60〜70:30が最も好ましい。硬化性樹脂(B)の配合割合(質量部)が、硬化性樹脂(A):硬化性樹脂(B)=95:5を下回ると、硬化性樹脂(B)を配合する効果(接着性、耐熱性、耐油性、耐水性等の諸性能を向上させる効果)が薄れる場合があり、硬化性樹脂(A):硬化性樹脂(B)=5:95を上回ると、粘度が極めて高くなり作業性が低下してしまう場合がある。
[三フッ化ホウ素錯体(C)について]
本発明に用いる三フッ化ホウ素錯体(C)は、三フッ化ホウ素とルイス塩基との錯体化合物であり、硬化性樹脂(A)及び硬化性樹脂(B)に含まれる架橋性珪素基を縮合反応させることで、硬化性樹脂(A)及び硬化性樹脂(B)を硬化させるための触媒化合物である。三フッ化ホウ素錯体(C)の具体例としては、たとえば、三フッ化ホウ素のアミン錯体、アルコール錯体、エーテル錯体、チオール錯体、スルフィド錯体、カルボン酸錯体、水錯体等が例示される。三フッ化ホウ素錯体の中では、入手の容易さ及び配合のしやすさから、アルコール錯体又はアミン錯体が好ましく、特に、安定性と触媒活性を兼ね備えたアミン錯体が最も好ましい。
三フッ化ホウ素のアミン錯体に用いられるアミン化合物としては、アンモニア、モノエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、アニリン、モルホリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、グアニジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、N−メチル−3,3′−イミノビス(プロピルアミン)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、ペンタエチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、1,9−ジアミノノナン、ATU(3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)、CTUグアナミン(3,9−ビス[2−(3,5−ジアミノ−2,4,6−トリアザフェニル)エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)、ドデカン酸ジヒドラジド、ヘキサメチレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ジアニシジン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、トリジンベース、m−トルイレンジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、メラミン、1,3−ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ハンツマン社製ジェファーミン等の複数の第一級アミノ基を有する化合物、ピペラジン、シス−2,6−ジメチルピペラジン、シス−2,5−ジメチルピペラジン、2−メチルピペラジン、N,N′−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、2−アミノメチルピペリジン、4−アミノメチルピペリジン、1,3−ジ−(4−ピペリジル)−プロパン、4−アミノプロピルアニリン、ホモピペラジン、N,N′−ジフェニルチオ尿素、N,N′−ジエチルチオ尿素、N−メチル−1,3−プロパンジアミン等の複数の第二級アミノ基を有する化合物、更に、メチルアミノプロピルアミン、エチルアミノプロピルアミン、エチルアミノエチルアミン、ラウリルアミノプロピルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−アミノプロピルピペラジン、3−アミノピロリジン、1−o−トリルビグアニド、2−アミノメチルピペラジン、N−アミノプロピルアニリン、エチルアミンエチルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、ラウリルアミノプロピルアミン、2−アミノメチルピペリジン、4−アミノメチルピペリジン、式H2N(C24NH)nH(n≒5)で表わされる化合物(商品名:ポリエイト、東ソー社製)、N−アルキルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピリジン、N−アルキルピペリジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン等の複環状第三級アミン化合物等の他、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−3−[アミノ(ジプロピレンオキシ)]アミノプロピルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリエトキシシラン等のアミノシラン化合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。三フッ化ホウ素のアミン錯体は、市販されており本発明ではそれらを用いることができる。市販品としては、エアプロダクツジャパン株式会社製のアンカー1040、アンカー1115、アンカー1170、アンカー1222、BAK1171等が挙げられる。
三フッ化ホウ素錯体(C)は、所望の硬化速度等を得るために適宜選択すればよく、1種単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。三フッ化ホウ素錯体(C)の配合量としては、硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)の総和100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜5.0質量部がより好ましく、0.1〜2.0質量部が最も好ましい。三フッ化ホウ素錯体(C)の配合量が0.01質量部を下回ると硬化促進効果が十分ではない場合があり、10質量部を上回ると接着剤組成物の貯蔵安定性が悪くなるなどの問題が起こる場合がある。
[スチレン系粘着付与樹脂(D)について]
本発明に用いるスチレン系粘着付与樹脂(D)は、湿気硬化型接着剤組成物が硬化した硬化皮膜に対して適度な粘着性を与え、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂の接着性を向上させるものである。また、スチレン系粘着付与樹脂(D)は、その他の粘着付与樹脂に比べて、一般的に透明性に優れているため、本発明で用いられるのである。
スチレン系粘着付与樹脂(D)としては、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマーから得られるオリゴマーを主体とするもので、従来公知のものが用いられるが、分子構造内に酸基を持たないスチレン系粘着付与樹脂を用いるのが好ましい。酸基を有していると、三フッ化ホウ素錯体(C)の硬化促進効果を阻害する恐れがある。スチレン系粘着付与樹脂(D)の具体例としては、三井化学社が市販している商品名「FTR−2140」(スチレン・α−メチルスチレン共重合系)、商品名「FTR−6125」(スチレン系モノマー・脂肪族系モノマー共重合系)、商品名「FTR−7125」(スチレン系モノマー・α−メチルスチレン・脂肪族系モノマー共重合系)、商品名「FTR−8120」(スチレン系モノマー単一重合系)又は商品名「FMR−0150」(スチレン系モノマー・芳香族系モノマー共重合系)等が用いられ、これらは単独でも2種以上併用してもよい。
スチレン系粘着付与樹脂(D)の性状は、常温で液体であってもよいし固体であってもよい。常温で固体の場合には、硬化性樹脂(A)、硬化性樹脂(B)や他の液状成分とともに加熱溶融させながら混練することで均一な湿気硬化型接着剤組成物を得ることができる。溶剤等でスチレン系粘着付与樹脂(D)を溶解して、硬化性樹脂(A)、硬化性樹脂(B)等と混練後、溶剤を除去しても構わないが、より環境に優しい無溶剤型の湿気硬化型接着剤組成物が得られることから、前者の加熱溶融による製造方法のほうが好ましい。また、製造方法の観点から、粘着付与樹脂(D)の融点が80〜150℃(好ましくは90〜130℃、より好ましくは110〜130℃)である常温固体のスチレン系粘着付与樹脂を用いるのが好ましい。常温で液体又は流動体のスチレン系粘着付与樹脂を用いると、接着剤皮膜の硬化後にブリードアウト(滲み出し)等の問題を生じることがある。
スチレン系粘着付与樹脂(D)の配合割合は、硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)の総和100質量部に対して、好ましくは5.0〜50質量部(特に好ましくは10〜30質量部)である。スチレン系粘着付与樹脂(D)の配合量が5.0質量部未満であると、ポリオレフィン製被着材に対する接着性が不十分となることがあり、50質量部を越えると硬化性樹脂(A)及び(B)の割合が相対的に減少するために、硬化速度が損なわれたり、硬化皮膜の耐熱性が低下したりする傾向にある。
[反応性希釈剤(E)について]
本発明で用いる反応性希釈剤(E)は、上記一般式(2)で表される分子量1000未満のアルキルアルコキシシラン化合物又はアリールアルコキシシラン化合物である。反応性希釈剤(E)を配合することによって、ポリオレフィン製被着材への接着性や硬化速度を損なうことなく、低粘度の接着剤組成物が得られる。なお、本発明で用いる反応性希釈剤(E)は、一般式(2)からも明らかなように、その分子内に、アルコキシシリル基以外の反応性基(すなわち、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、イソシアネート基、メルカプト基)を含有しないものである。
本発明で用いる反応性希釈剤(E)の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等が挙げられるが、これらの限定されるものではない。
反応性希釈剤(E)は市販品を用いてもよい。このような市販品としては、たとえば、KBM13、KBM22、KBM103、KBM202SS、KBE13、KBE22、KBE103,KBE202、KBM3063、KBM3033、KBE3063、KBM3103、KBM3103C(以上、信越化学工業社製商品名)、Z−6187、Z−6265、Z−6582、QP8−5314(以上、ダウコーニング社製商品名)、Dynasylan9116、Dynasylan9165、Dynasylan9265( エボニック社製商品名) 等を挙げることができる。
反応性希釈剤(E)の配合割合は、硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)の総和100質量部に対して0.5〜20質量部(特に好ましくは2〜10質量部)である。反応性希釈剤(E)の含有量が0.5質量部未満であると、希釈効果が十分でなく湿気硬化型接着剤組成物自体の粘度が高くなってしまい作業性に劣ることがあり、20質量部を越えるとポリオレフィン製被着材への接着性が不十分となったり、硬化性樹脂(A)及び(B)の割合が相対的に減少するために硬化速度が損なわれたりすることがある。
[塩素化ポリオレフィン樹脂( F) について]
本発明で用いる塩素化ポリオレフィン樹脂(F)は、質量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法による標準ポリスチレン換算値)10,000〜150,000であり、塩素含有量(JIS K−7229に記載の酸素フラスコ燃焼法)が21〜30質量%の塩素化ポリオレフィン樹脂である。塩素化ポリオレフィン樹脂の質量平均分子量が10,000未満であると、ポリオレフィン製被着材に対する接着性が低下するため好ましくなく、150,000を超えると、硬化性樹脂(A)及び(B)に対する溶解性が低下し、透明な接着剤組成物が得られないので好ましくない。また、塩素化ポリオレフィン樹脂(F)の塩素含有量が21質量%未満になるか又は30質量%を超えると、硬化性樹脂(A)及び(B)に対する溶解性が低下、透明な接着剤組成物が得られないので、好ましくない。塩素化ポリオレフィン樹脂には、無変性タイプのものと変性タイプ(たとえば、酸変性タイプ等)ものがあるが、変性タイプのものは、経時的に着色し透明性を阻害する傾向がある。したがって、本発明においては、特に塩素含有量が23〜30質量%の無変性塩素化ポリオレフィン樹脂を採用するのが好ましい。
塩素化ポリオレフィン樹脂(F)としては、たとえば、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂又は塩素化エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられる。これら塩素化ポリオレフィン樹脂は単独で用いても良く、2種以上併用してもよい。
塩素化ポリオレフィン樹脂(E)は、一般に固体(一般的にはペレット状)で提供されるため、硬化性樹脂(A)及び(B)への混合にあたっては、塩素化ポリオレフィン樹脂(F)のペレットを加熱溶融し、硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)と混合すればよい。また、塩素化ポリオレフィン樹脂(E)を所定の溶媒(溶剤)に溶解した後、硬化性樹脂(A)及び(B)と混合してもよい。しかし、この方法では、溶媒が接着剤組成物中に含有されることになったり、または溶媒を完全に除去するのであれば製造に時間がかかったりするなどの懸念があるため加熱溶融させて混合する製造方法がより好ましい。
塩素化ポリオレフィン樹脂(F)の配合割合は、硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)の総和100質量部に対して0.01〜1.0質量部(特に好ましくは0.05〜0.5質量部)である。塩素化ポリオレフィン樹脂(F)の含有量が0.01質量部未満であると、ポリオレフィン製被着材への接着性が不十分となることがあり、1.0質量部を越えると溶液状態及び硬化後の接着剤皮膜が着色し、透明性を害する恐れがある。
[その他の成分について]
本発明に係る湿気硬化型接着剤組成物には、ポリオレフィン製被着材への接着性及び透明性を損なわない範囲において、その他の成分として従来公知の任意の化合物乃至物質を配合することができる。たとえば、本発明で用いる硬化性樹脂(A)以外の各種の樹脂(たとえば、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂等)、三フッ化ホウ素錯体(C)以外の硬化触媒、接着性付与成分(例えば、アミノシラン化合物、エポキシシラン化合物、メルカプトシラン化合物、(メタ)アクリルシラン化合物、イソシアネートシラン化合物、ビニルシラン化合物等のシランカップリング剤等)、親水性又は疎水性シリカ系粉体、アクリル樹脂粉末、炭酸カルシウム等の充填剤、アマイドワックス等の揺変剤、酸化カルシウム等の脱水剤、希釈剤、可塑剤、難燃剤、オリゴマー、老化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、乾性油等を配合することができる。
[湿気硬化型接着剤組成物について]
本発明に係る湿気硬化型接着剤組成物は、水分の存在下で、架橋性珪素基同士が縮重合することによって硬化するものである。したがって、1液型の組成物として使用する場合、保管又は搬送中は、空気(空気中の水分)と接触しないよう、気密に密封した状態で取り扱われる。そして、使用時には開封して任意の箇所に適用すれば、空気中の水分と接触して反応硬化する。2液型の湿気硬化型接着剤組成物として使用する場合は、少なくとも硬化性樹脂(A)及び硬化性樹脂(B)と三フッ化ホウ素錯体(D)とを別々に供給し、使用時にこれらを混合することで、上述の湿気硬化反応が進行し硬化する。
本発明に係る湿気硬化型接着剤組成物の製造方法として、一例を挙げれば、以下のとおりである。すなわち、混合撹拌機を備えた密閉式容器に硬化性樹脂(A)、硬化性樹脂(B)、スチレン系粘着付与樹脂(D)、塩素化ポリオレフィン樹脂(F) 、必要に応じて充填剤等を所定量秤量し、減圧状態で加熱しながら混合し、材料中の水分を除去した後、反応性希釈剤(E)、三フッ化ホウ素錯体(C)及びその他の成分を添加して均一になるまで撹拌混合することで得られる。上記の製造工程においては、湿気硬化型接着剤組成物は水分の存在下で加水分解性シリル基同士が縮重合反応を起こすため、窒素気流下又は減圧下で撹拌混合することが好ましい。また、本発明で用いるスチレン系粘着付与樹脂(D)は、常温で固体のものが一般的であるから、硬化性樹脂(A)及び(B)にスチレン系粘着付与樹脂(D)を配合したものを加熱脱水することにより、スチレン系粘着付与樹脂(D)の溶融と均質混合とを同時に行う方法を採用するのが好ましい。これによって、有機溶媒等を用いることなく、いわゆる無溶剤型の湿気硬化型接着剤組成物が得られるからである。
本発明に係る湿気硬化型接着剤組成物は、ポリオレフィン製被着材に対する接着性に優れると共に、接着前後のいずれにおいても透明性に優れるという効果を奏する。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明に係る湿気硬化型接着剤組成物は、特許文献1記載に係る発明を利用改良したものであり、スチレン系粘着付与剤(D)と特定の塩素化ポリオレフィン樹脂(F)とを併用することにより、透明性を向上しうるとの知見に基づくものとして、解釈されるべきである。
実施例1
[硬化性樹脂(A−1)の準備]
反応容器内で、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン206.4質量部を窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、アクリル酸メチル172.2質量部(N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランに対して2モル当量)を1時間かけて滴下し、さらに50℃で7日間反応させることで、分子内にメチルジメトキシシリル基及び第二級アミノ基を有するシラン化合物(SE−1)を得た。
別の反応容器内で、PMLS4012(旭硝子株式会社製商品名、ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量10,000)100質量部、イソホロンジイソシアネート4.83質量部及びニッカオクチックスジルコニウム微量[日本化学産業株式会社製商品名、2−エチルヘキサン酸ジルコニル化合物溶液(Zr含有率=約12質量%)、PMLS4012に対してジルコニウム金属換算で20ppm]を仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で3時間反応させることで、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にイソシアネート基を有するウレタン系樹脂(U−1)を得た。
ウレタン系樹脂(U−1)中に、上記シラン化合物(SE−1)8.39質量部を添加し、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、ウレタン系樹脂(U−1)中のイソシアネート基とシラン化合物(SE−1)中の第二級アミノ基とを80℃で1時間反応させることで、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にウレタン基、活性水素が1個置換されたウレア基、及び、メチルジメトキシシリル基を有する硬化性樹脂(A−1)を得た。反応終了後、IR測定を行ったところイソシアネート基に帰属される特性吸収(2265cm-1)は観測されなかった。
[硬化性樹脂(A−1)と硬化性樹脂(B−1)の液状混合物の準備]
反応容器に、硬化性樹脂(A−1)100質量部を入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル37.5質量部、メタクリル酸ラウリル25質量部、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン3.0質量部、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン7.0質量部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.50質量部を混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.200質量部とメチルエチルケトン10質量部の混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.10質量部とメチルエチルケトン10質量部の混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で3時間反応させた後、メチルエチルケトンを減圧留去することで、硬化性系樹脂(A−1)と、分子内にトリメトキシシリル基を有する硬化性樹脂(B−1)との液状混合物を得た。この液状混合物は、質量比で、硬化性系樹脂(A−1):硬化性樹脂(B−1)=58:42であった。
[湿気硬化型接着剤組成物1の調製]
硬化性系樹脂(A−1)と硬化性樹脂(B−1)の液状混合物100質量部、スチレン系粘着付与樹脂(D)である「FTR8120」(三井化学株式会社製商品名/軟化点120℃/性状:フレーク)25質量部、及び塩素化ポリオレフィン樹脂(F)である「ハードレンDX−530P」(東洋紡績株式会社製商品名/塩素含有量30%/無変性タイプ/性状:ペレット/質量平均分子量100,000)0.2質量部を攪拌機を備えた密閉式反応容器(プラネタリーミキサー)に投入し、常温常圧で10分間混練した。その後、60mmHg以下の減圧下、100〜120℃で加熱しながら1時間撹拌混合した混合物に、スチレン系粘着付与樹脂(D)及び塩素化ポリオレフィン樹脂(F)を溶解させた。これを冷却しながら、さらに撹拌混合を1時間続け、窒素にて解圧後、反応性希釈剤(E)である「QP8−5314」(ダウコーニング社製商品名/フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン混合物)8質量部、三フッ化ホウ素錯体(C)である三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体0.1質量部及びシランカップリング剤である「KBM903」(信越化学工業株式会社製商品名/3−アミノプロピルトリメトキシシラン)3質量部を添加し、湿気を遮断した密閉条件下で混練することで、湿気硬化型接着剤組成物を得た。得られた湿気硬化型接着剤組成物は、湿気を遮断する密閉容器に充填した。
実施例2
塩素化ポリオレフィン樹脂(F)である「ハードレンDX−530P」に代えて、「ハードレンDX523−P」(東洋紡績株式会社製商品名/塩素含有量23%/無変性タイプ/性状:ペレット/質量平均分子量100,000)を用いる他は、実施例1と同一の方法で湿気硬化型接着剤組成物を得た。
実施例3
塩素化ポリオレフィン樹脂(F)である「ハードレンDX−530P」に代えて、「ハードレンDX526−P」(東洋紡績株式会社製商品名/塩素含有量26%/無変性タイプ/性状:ペレット/質量平均分子量100,000)を用いる他は、実施例1と同一の方法で湿気硬化型接着剤組成物を得た。
実施例4
反応性希釈剤(E)である「QP8−5314」(ダウコーニング社製商品名/フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン混合物)8質量部に代えて、「KBM103」(信越化学工業株式会社製商品名/フェニルトリメトキシシラン)7質量部を用いる他は、実施例3と同一の方法で湿気硬化型接着剤組成物を得た。
実施例5
スチレン系粘着付与樹脂(D)である「FTR8120」の配合量を25質量部から20質量部に減ずると共に、塩素化ポリオレフィン樹脂(F)である「ハードレンDX526−P」の配合量を0.2質量部から0.15質量部に減ずる他は、実施例3と同一の方法で湿気硬化型接着剤組成物を得た。
実施例6
塩素化ポリオレフィン樹脂(F)である「ハードレンDX−530P」に代えて、「スーパークロン892LS」(日本製紙ケミカル株式会社製商品名/塩素含有量22%/酸変性タイプ/性状:ペレット/質量平均分子量60,000)を用いる他は、実施例1と同一の方法で湿気硬化型接着剤組成物を得た。
実施例7
塩素化ポリオレフィン樹脂(F)である「ハードレンDX−530P」に代えて、「ハードレンHM−21P」(東洋紡績株式会社製商品名/塩素含有量21%/酸変性タイプ/性状:ペレット/質量平均分子量45,000)を用いる他は、実施例1と同一の方法で湿気硬化型接着剤組成物を得た。
比較例1
スチレン系粘着付与樹脂(D)及び塩素化ポリオレフィン樹脂(F)を配合しない他は、実施例1と同一の方法で湿気硬化型接着剤組成物を得た。
比較例2
液状混合物100質量部に代えて硬化性系樹脂(A−1)100質量部を用いる他は、実施例1と同一の方法で湿気硬化型接着剤組成物を得た。
比較例3
液状混合物100質量部に代えて「サイリルMA440」(株式会社カネカ製商品名)を用る他は、実施例1と同一の方法で湿気硬化型接着剤組成物を得た。なお、「サイリルMA440」は、分子内にウレタン結合、尿素結合共に持たず、末端に一般式(1)で表される加水分解性シリル基を有し、且つ主鎖がポリオキシアルキレンである硬化性樹脂(変成シリコーン樹脂)と硬化性樹脂(B)に相当する樹脂との混合物である。
比較例4
塩素化ポリオレフィン樹脂(F)を配合しない他は、実施例1と同一の方法で湿気硬化型接着剤組成物を得た。
比較例5
スチレン系粘着付与樹脂(D)に代えて「「YSポリスターU115」(ヤスハラケミカル株式会社製商品名/テルペンフェノール系粘着付与樹脂/軟化点115℃)を用いる他は、実施例1と同一の方法で湿気硬化型接着剤を得た。
比較例6
塩素化ポリオレフィン樹脂(F)である「ハードレンDX−530P」に代えて、「ハードレン13−LP」(東洋紡績株式会社製商品名/塩素含有量26%/無変性タイプ/性状:ペレット/質量平均分子量220,000)を用いる他は、実施例1と同一の方法で湿気硬化型接着剤を得た。
比較例7
塩素化ポリオレフィン樹脂(F)である「ハードレンDX−530P」に代えて、「ハードレンM−28P」(東洋紡績株式会社製商品名/塩素含有量20%/酸変性タイプ/性状:ペレット/質量平均分子量70,000)を用いる他は、実施例1と同一の方法で湿気硬化型接着剤を得た。
比較例8
塩素化ポリオレフィン樹脂(F)である「ハードレンDX−530P」に代えて、「ハードレンF−7P」(東洋紡績株式会社製商品名/塩素含有量20%/酸変性タイプ/性状:ペレット/質量平均分子量100,000)を用いる他は、実施例1と同一の方法で湿気硬化型接着剤を得た。
比較例9
塩素化ポリオレフィン樹脂(F)である「ハードレンDX−530P」に代えて、「ハードレンF−2P」(東洋紡績株式会社製商品名/塩素含有量20%/酸変性タイプ/性状:ペレット/質量平均分子量65,000)を用いる他は、実施例1と同一の方法で湿気硬化型接着剤を得た。
比較例10
塩素化ポリオレフィン樹脂(F)である「ハードレンDX−530P」に代えて、「ハードレンF−6P」(東洋紡績株式会社製商品名/塩素含有量20%/酸変性タイプ/性状:ペレット/質量平均分子量50,000)を用いる他は、実施例1と同一の方法で湿気硬化型接着剤を得た。
比較例11
塩素化ポリオレフィン樹脂(F)である「ハードレンDX−530P」に代えて、「スーパークロン814HS」(日本製紙ケミカル株式会社製商品名/塩素含有量41%/酸変性タイプ/性状:ペレット/質量平均分子量15,000)を用いる他は、実施例1と同一の方法で湿気硬化型接着剤を得た。
比較例12
スチレン系粘着付与樹脂(D)を用いない他は、実施例1と同一の方法で湿気硬化型接着剤を得た。
比較例13
塩素化ポリオレフィン樹脂(F)である「ハードレンDX−530P」に代えて、「スーパークロン851LS」(日本製紙ケミカル株式会社製商品名/塩素含有量19%/酸変性タイプ/性状:ペレット/質量平均分子量60,000)を用いる他は、実施例1と同一の方法で湿気硬化型接着剤を得た。
実施例1〜7及び比較例1〜13で得られた湿気硬化型接着剤組成物について、以下の評価を行った。下記(1)〜(5)は表1に、下記(6)及び(7)は表2に、その結果を示した。
(1)外観
目視により透明性、相溶性及び色調を評価した。
(2)粘度(Pa・s)
23℃±2℃の条件下で、B型粘度計を用い、回転数10回転/分の条件で各湿気硬化型接着剤組成物の粘度(Pa・s)を測定した。
(3)硬化速度(秒) 各湿気硬化型樹脂組成物を23℃±2℃で相対湿度50±5%の雰囲気に暴露した直後を開始時間とし、表面に硬化皮膜が形成されるまでの時間(秒)とした。硬化皮膜が形成された時間(秒)は、指触により暴露された各湿気硬化型樹脂組成物の表面を触って指に湿気硬化型樹脂組成物が付着しなくなる時間(秒)とした。
(4)ポリプロピレンに対する剥離接着強さ(N/25mm)
幅25mm×長さ150mm×厚さ3mmのポリプロピレン製板( 新神戸電気株式会社製/神戸ポリシートPP−007) の表面をアルコール拭きにより脱脂した。その後、ポリプロピレン製板の表面と、帆布(ポスコ株式会社製/チェリーダイア9号綿帆布)の表面の双方に塗布量130g/m2(=0.013g/cm2)で各湿気硬化型接着剤組成物を塗布し、ポリプロピレン製板の全幅に亙って帆布を直ちに貼り合わせて圧締し、7日間養生した。得られた試験体の帆布を把持して長さ方向(ポリプロピレン製板に対して180°方向)に剥離速度200mm/分で引っ張り、180°剥離接着強さ(N/25mm)を求めた。これを表1中で「PP接着強さ」として示した。
(5)ポリエチレンに対する剥離接着強さ(N/25mm)
幅25mm×長さ150mm×厚さ3mmのポリエチレン製板( 新神戸電気株式会社製/神戸ポリシートELN) の表面をアルコール拭きにより脱脂した。その後、ポリエチレン製板の表面と、帆布(ポスコ株式会社製/チェリーダイア9号綿帆布)の表面の双方に塗布量130g/m2(=0.013g/cm2)で各湿気硬化型接着剤組成物を塗布し、ポリエチレン製板の全幅に亙って帆布を直ちに貼り合わせて圧締し、7日間養生した。得られた試験体の帆布を把持して長さ方向(ポリエチレン製板に対して180°方向)に剥離速度200mm/分で引っ張り、180°剥離接着強さ(N/25mm)を求めた。これを表1中で「PE接着強さ」として示した。
(6)濁度(%)
0.5mm厚のアクリル板に、3mm厚で各湿気硬化型接着剤組成物を塗布した各試験体を、直ちに色彩・濁度同時測定器「COH−400」(日本電色工業株式会社製)を用いて溶液(未硬化の状態)の濁度(%)を測定した。この後、各試験体を23±2℃で相対湿度50±5%の雰囲気下で7日間養生して硬化させた後、色彩・濁度同時測定器「COH−400」を用いて硬化皮膜の濁度(%)を測定した。溶液の濁度(%)が40以下であれば、実用上十分な透明性を有しており、皮膜の濁度(%)が30以下であれば、実用上十分な透明性を有していると判断できる。
(7)色差
0.5mm厚のアクリル板に、3mm厚で各湿気硬化型接着剤組成物を塗布した各試験体を、直ちに色彩・濁度同時測定器「COH−400」を用いて溶液状態のX,Y及びZの値を測定した。そして、YI=100(1.28X−1.06Z)/Yの計算式にて算出した値を溶液の色差とした。この後、各試験体を23±2℃で相対湿度50±5%の雰囲気下で7日間養生して硬化させた後、色彩・濁度同時測定器「COH−400」を用いて硬化皮膜のX,Y及びZの値を測定した。そして、YI=100(1.28X−1.06Z)/Yの計算式にて算出した値を硬化皮膜の色差とした。溶液及び皮膜のYIの値が2以下であれば実用上無色であると判断できる。
[表1]
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外観 粘度 硬化速度 PP接着強さ PE接着強さ
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実施例1 透明液状 94 150 31.0 14.0
実施例2 透明液状 92 150 30.0 16.0
実施例3 透明液状 94 150 41.0 16.0
実施例4 透明液状 95 120 35.0 13.0
実施例5 透明液状 75 150 35.0 15.0
実施例6 透明液状 90 150 28.5 14.5
実施例7 透明液状 88 150 43.5 16.5
比較例1 透明液状 30 110 0.5 0.5
比較例2 半透明液状 58 180 15.0 6.0
比較例3 透明液状 52 未硬化(注2) − −
比較例4 透明液状 85 120 12.0 6.0
比較例5 褐色液状 75 190 25.0 12.0
比較例6 (注1) − − − −
比較例7 (注1) − − − −
比較例8 (注1) − − − −
比較例9 (注1) − − − −
比較例10 (注1) − − − −
比較例11 淡黄色液状 95 110 30.0 13.5
比較例12 半透明液状 32 110 10.0 3.0
比較例13 (注1) − − − −
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(注1)は、塩素化ポリオレフィン樹脂(F)である「ハードレン13−LP」、「ハードレンM−28P」、「ハードレンF−7P」、「ハードレンF−2P」、「ハードレンF−6P」及び「スーパークロン851LS」が硬化性樹脂(A−1)及び(B−1)の液状混合物に溶解せず、ペレットがそのまま残存しているため、実用化できず、その余の評価を行わなかったものである。
(注2)は、湿気硬化型接着剤組成物が硬化しないため、その余の評価は行わなかったものである。
[表2]
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溶液の濁度 皮膜の濁度 溶液の色差 皮膜の色差
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実施例1 38.8 26.4 1.8 1.5
実施例2 34.7 22.5 1.6 1.1
実施例3 36.5 24.8 1.9 1.4
実施例4 39.6 28.5 1.9 1.3
実施例5 38.0 28.4 1.7 1.2
実施例6 25.3 23.9 1.6 1.8
実施例7 25.6 18.1 1.6 1.1
比較例1 15.0 25.4 1.5 1.1
比較例2 45.5 32.0 1.8 1.3
比較例3 − − − −
比較例4 10.5 22.3 1.3 1.1
比較例5 58.6 56.8 46.8 40.8
比較例6 − − − −
比較例7 − − − −
比較例8 − − − −
比較例9 − − − −
比較例10 − − − −
比較例11 38.4 31.0 2.5 2.0
比較例12 71.9 61.5 1.3 1.3
比較例13 − − − −
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
表1及び表2の結果から、実施例1〜7に係る湿気硬化型接着剤組成物の溶液は無色透明であり、ポリプロピレン製板と帆布及びポリエチレン製板と帆布とを強固に接着しうるものであり、さらに硬化接着後においても無色透明であることが分かる。比較例1に係る湿気硬化型接着剤組成物は、スチレン系粘着付与樹脂(D)及び塩素化ポリオレフィン樹脂(F)が配合されていないため、ポリプロピレン製板と帆布及びポリエチレン製板と帆布とを強固に接着し得ないものであった。比較例2に係るものは、硬化性樹脂(B)が配合されていないため、湿気硬化型接着剤組成物の溶液及び皮膜の透明性が不十分で、しかもポリプロピレン製板と帆布及びポリエチレン製板と帆布とを強固に接着し得ないものであった。比較例3に係るものは、硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)の液状混合物を用いていないため、大気雰囲気中では十分に硬化しないものであった。比較例4に係るものは、塩素化ポリオレフィン樹脂(F)が配合されていないため、ポリプロピレン製板と帆布及びポリエチレン製板と帆布とを強固に接着し得ないものであった。比較例5に係るものは、粘着付与樹脂がスチレン系のものではないため、湿気硬化型接着剤組成物の溶液及び皮膜が有色でしかも透明ではなかった。
比較例6に係るものは、塩素化ポリオレフィン樹脂の質量平均分子量が高すぎるため、硬化性樹脂(A)及び硬化性樹脂(B)の液状混合物に溶解させることができなかった。比較例7〜10及び13に係るものは、塩素化ポリオレフィン樹脂の塩素含有量が低いため、硬化性樹脂(A)及び硬化性樹脂(B)の液状混合物に溶解させることができなかった。比較例11に係るものは、塩素化ポリオレフィン樹脂の塩素含有量が高すぎるため、湿気硬化型接着剤組成物の溶液が有色となっており、しかも皮膜の透明性が不十分であった。比較例12に係るものは、スチレン系粘着付与樹脂(D)が配合されていないため、ポリプロピレン製板と帆布及びポリエチレン製板と帆布とを強固に接着し得ないものであり、しかも湿気硬化型接着剤組成物の溶液及びその硬化皮膜の透明性が不十分であった。

Claims (6)

  1. 分子内にウレタン結合及び/又は尿素結合持ち、末端に下記一般式(1)で表される加水分解性シリル基を有し、且つ主鎖がポリオキシアルキレンである硬化性樹脂(A)、

    下記一般式(1)で表される加水分解性シリル基を分子内に有し、且つ、主鎖がビニル共重合体である硬化性樹脂(B)、
    三フッ化ホウ素錯体(C)、
    スチレン系粘着付与樹脂(D)、
    下記一般式(2)で表される分子量1000未満のアルキルアルコキシシラン化合物又はアリールアルコキシシラン化合物である反応性希釈剤(E)及び
    質量平均分子量10,000〜150,000で塩素含有量が21〜30質量%の塩素化ポリオレフィン樹脂(F)
    を含有することを特徴とする透明性に優れた湿気硬化型接着剤組成物。
    一般式(1);
    −SiR1 a(OR23-a
    (但し、R1は炭素数1〜10のアルキル基を、R2は炭素数1〜6のアルキル基を表し、aは0,1又は2である。)
    一般式(2);
    SiR3 b(OR44-b
    (但し、R3は炭素数1〜8の分岐していてもよい直鎖状又は環状のアルキル基若しくはフェニル基を、R4はメチル基又はエチル基を表し、bは1又は2である。)
  2. 塩素化ポリオレフィン樹脂(F)が、塩素含有量23〜30質量%の無変性塩素化ポリオレフィン樹脂である請求項1記載の透明性に優れた湿気硬化型接着剤組成物。
  3. 硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)の総和100質量部に対し、スチレン系粘着付与樹脂(D)が5.0〜50質量部配合されてなる請求項1記載の透明性に優れた湿気硬化型接着剤組成物。
  4. 硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)の総和100質量部に対し、反応性希釈剤(E)が0.5〜20質量部配合されてなる請求項1乃至3のいずれか一項に記載の透明性に優れた湿気硬化型接着剤組成物。
  5. 硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)の総和100質量部に対し、塩素化ポリオレフィン樹脂(F)が0.01〜1.0質量部配合されてなる請求項1〜4のいずれか一項に記載の湿気硬化型接着剤組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の透明性に優れた湿気硬化型接着剤組成物を用い、ポリオレフィン製被着材を接着させることを特徴とする接着方法。
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