JP5915413B2 - 低温靭性に優れた電縫鋼管およびその製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、最近、自動車部品として鋼管に要求される特性は一段と厳しいものとなっており、高強度と高延性、さらには高靭性とを兼備することが要求されている。このような要求に対し、例えば特許文献1特許第3683378号公報には、高靭性高延性鋼管の製造方法が記載されている。
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決し、加工性に優れ、かつ低温靭性にも優れた電縫鋼管およびその製造方法を提供することを目的とする。
表1に示す組成および板厚を有する熱延鋼帯を、連続的にロール成形し、ほぼ円形断面のオープン管としたのち、鋼帯の両端を電気抵抗溶接して電縫鋼管(外径146mmφ)とした。得られた電縫鋼管に、誘導加熱によりAc3変態点以上の温度(960℃)に加熱し、表2に示す条件で縮径圧延を施した。なお、縮径圧延の圧延終了温度は、Ac3変態点以下に限定した。比較として、縮径圧延を施さない電縫鋼管も用意した。
得られた鋼管について、結晶粒径分布を測定した結果、縮径圧延終了温度が二相域の高温側となる場合には、粗大な結晶粒が多く、縮径圧延終了温度が低下するにしたがい、縮径圧延を施さない場合(熱延鋼板を用いた造管まま)と同程度のサイズの結晶粒と粗大な結晶粒との二つの分布を有する混粒組織を呈するようになる。さらに、得られた鋼管について、EBSD(Electron Back Scatter Diffraction)法で結晶方位をマッピングした結果、縮径圧延を施さない鋼管では、結晶方位はほぼランダムであるが、縮径圧延を施された鋼管では、管周方向に<100>方向の集積が強くなる結晶方位分布を呈する。そして、縮径圧延終了温度が低下するにしたがい、微細な結晶粒と粗大な結晶粒とからなる混粒となり、微細な結晶粒では<100>方位の結晶粒も存在するが<111>方位の結晶粒が多いのに対し、粗大な結晶粒では<100>方位の結晶粒の割合が多くなることを見出した。
得られた電縫鋼管から、管周方向が試験片長手方向に一致するようにシャルピー衝撃試験片を採取し、JIS Z 2242の規定に準拠してシャルピー衝撃試験を行い、破面遷移温度vTrsを求め、靭性を評価した。なお、鋼管から、管円周方向が試験片長手方向に一致するようにリング状の試験片を切り出し、プレスして平坦化したのち、両面を均等に研削しシャルピー衝撃試験片(板厚:2.3mm)とした。
また、得られた電縫鋼管について、EBSD解析で求めた結晶方位マッピングから、隣接する結晶粒との結晶方位差が15°以上の大傾角粒界で囲まれた結晶粒を特定し、それら結晶粒の粒径の平均値を求め平均結晶粒径とし、さらにそれら結晶粒のうちの最大の粒径(最大結晶粒径)を求め、最大結晶粒径とした。
図1から、Af(cos2θ≧0.9)が55%以下であれば、vTrs:−40℃以下の高靭性を有することがわかる。Af(cos2θ≧0.9)の増加に伴い、vTrsが単調に上昇するが、Af(cos2θ≧0.9)が50%を超えるとvTrsが急激な上昇傾向を示す。Af(cos2θ≧0.9)が55%を超えた場合の、vTrsの急激な上昇の原因については、本発明者らは、つぎのように考えている。
このようなことから、vTrsの急激な上昇を防止し、所望の高靭性を確保するためには、Af(cos2θ≧0.9)を55%以下に限定することがまず必要となることを見出した。
(1)質量%で、C:0.10〜0.50%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.01〜2.0%、P:0.10%以下、S:0.01%以下、Al:0.001〜0.1%、N:0.01%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ隣接する結晶粒との方位差が15°以上の大傾角粒界で囲まれた結晶粒の最大粒径が50μm以下であり、脆化度評価指数cos2θが次(1)式
cos2θ ≧ 0.9 ‥‥(1)
(ここで、cos2θ:脆化度評価指数、θ:結晶粒の〈100〉方位と管円周方向とのなす角度(°))
を満足する結晶粒の面積率が55%以下である組織を有し、低温靭性に優れることを特徴とする電縫鋼管。
(2)(1)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、次A群およびB群
A群:Cr:1%以下、Cu:1%以下、Ni:1%以下、Mo:1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、
B群:Ca:0.02%以下、REM:0.02%以下のうちの1種または2種
のうちから選らばれた1群または2群を含有することを特徴とする電縫鋼管。
(3)素材鋼管に、加熱処理を施したのち縮径圧延を施す電縫鋼管の製造方法であって、前記素材鋼管を、質量%で、C:0.10〜0.50%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.01〜2.0%、P:0.10%以下、S:0.01%以下、Al:0.001〜0.1%、N:0.01%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する電縫鋼管とし、前記縮径圧延を、圧延終了温度:750〜900℃、累積縮径率:30〜80%で、かつ次(2)式
増肉率=(縮径圧延後の肉厚−縮径圧延前の肉厚)/(縮径圧延前の肉厚)×100(%)‥(2)
で定義される増肉率が+1%以上である圧延として、隣接する結晶粒との方位差が15°以上の大傾角粒界で囲まれた結晶粒の最大粒径が50μm以下であり、結晶粒の〈100〉方位と管円周方向とのなす角度θのcos2θで定義される脆化度評価指数cos2θが次(1)式
cos2θ ≧ 0.9 ‥(1)
(ここで、cos2θ:脆化度評価指数、θ:結晶粒の〈100〉方位と管円周方向とのなす角度(°))
を満足する結晶粒の面積率が55%以下である組織を有する鋼管とすることを特徴とする低温靭性に優れた電縫鋼管の製造方法。
(4)(3)において、前記加熱処理を、前記素材鋼管にAc3変態点〜1050℃の温度に加熱し、均熱する処理とすることを特徴とする電縫鋼管の製造方法。
(5)(3)または(4)において、前記縮径圧延を施した後に、さらに二次加工として、冷間での縮径加工を施すことを特徴とする電縫鋼管の製造方法。
(6)(5)において、前記冷間での縮径加工が、室温で、累積縮径率:1〜30%で、かつ次(3)式
増肉率=(冷間縮径加工後の肉厚−冷間縮径加工前の肉厚)/(冷間縮径加工前の肉厚)×100(%)‥(3)
で定義される増肉率が+1%以上である加工とすることを特徴とする電縫鋼管の製造方法。
(7)(3)ないし(6)のいずれかにおいて、前記素材鋼管の前記組成に加えてさらに、質量%で、次A群およびB群
A群:Cr:1%以下、Cu:1%以下、Ni:1%以下、Mo:1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、
B群:Ca:0.02%以下、REM:0.02%以下のうちの1種または2種
のうちから選らばれた1群または2群を含有することを特徴とする電縫鋼管の製造方法。
まず、本発明電縫鋼管の組成限定理由について説明する。以下、とくに断わらない限り質量%は、単に%と記す。
Cは、縮径圧延後の鋼管の結晶粒径に大きく影響する元素であり、本発明では最大結晶粒径を所定値以下とし所望の低温靭性を確保するために0.06%以上含有する必要がある。一方、0.50%を超える多量の含有は、母材靭性が低下するうえ、溶接性が低下し、安定して所望の電縫溶接部靭性を確保できなくなる。このため、Cは0.06〜0.50%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.10〜0.50%である。
Siは、脱酸剤として作用するとともに、鋼管強度を増加させる固溶強化元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上含有する必要がある。一方、1.0%を超える含有は、溶接性が低下し、安定した電縫溶接部品質を確保できなくなる。このため、Siは0.01〜1.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.01〜0.5%である。
Mnは、鋼管の強度増加に寄与する元素であり、所望の高強度を確保するために、0.01%以上含有する必要がある。一方、2.0%を超える含有は、電縫溶接部の品質低下を招く。このため、Mnは0.01〜2.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.01〜1.5%である。
P:0.10%以下
Pは、粒界等に偏析し、靭性を低下させる元素であり、できるだけ低減することが好ましいが、鋼管強度の増加に寄与する元素であり、鋼管強度増加の必要な場合には、0.10%までであれば許容できる。このため、Pは0.10%以下に限定した。なお、好ましくは0.001〜0.05%である。
Sは、鋼中では硫化物系介在物として存在し、加工性、靭性等を低下させる元素であり、できるだけ低減することが好ましいが、0.01%までは許容できる。このため、Sは0.01%以下に限定した。なお、好ましくは0.008%以下である。
Al:0.001〜0.1%
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、また高温加熱時のγ粒の成長を抑制し、靭性向上に寄与する。このような効果を得るためには、0.001%以上含有する必要があるが、0.1%を超える含有は、Al系介在物の増加を伴い、靭性が低下する場合がある。このため、Alは0.001〜0.1%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.001〜0.05%である。
Nは、鋼中に不可避的に含有されるが、Alと結合して高温加熱時のγ粒の成長を抑制する作用を有する。しかし、0.01%を超える過剰な含有は固溶N量が増大し、電縫溶接部靭性が低下する。このため、Nは0.01%以下に限定した。なお、好ましくは0.008%以下である。
A群:Cr:1%以下、Cu:1%以下、Ni:1%以下、Mo:1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
A群:Cr、Cu、Ni、Moは、いずれも、鋼管強度の増加に寄与する元素であり、必要に応じて選択して1種以上を含有できる。このような効果を得るためには、Cr:0.01%以上、Cu:0.01%以上、Ni:0.01%以上、Mo:0.01%以上それぞれ含有することが望ましいが、Cr:1%、Cu:1%、Ni:1%、Mo:1%をそれぞれ超える含有は、靭性を著しく低下させる。このため、含有する場合には、Cr:1%以下、Cu:1%以下、Ni:1%以下、Mo:1%以下にそれぞれ限定することが好ましい。
B群:Ca、REMはいずれも、介在物の形態制御に寄与する元素であり、必要に応じて選択して含有できる。このような効果を得るためには、Ca:0.0010%以上、REM:0.0010%以上含有することが望ましいが、Ca:0.02%、REM:0.02%をそれぞれ超える含有は、介在物量が多くなりすぎて、延性、靭性が低下する。このため、含有する場合には、Ca:0.02%以下、REM:0.02%以下に限定することが好ましい。
つぎに、本発明電縫鋼管の組織限定理由について説明する。
本発明電縫鋼管は、大傾角粒界で囲まれた結晶粒の最大粒径が50μm以下で、脆化粒の面積率Af(cos2θ≧0.9)が55%以下である組織を有する。
ここでいう大傾角粒界とは、隣接する結晶粒との方位差が15°以上の粒界をいう。なお、大傾角粒界は、EBSD解析で求めた結晶方位マッピングから決定するものとする。鋼管の靭性は、図2に示すように大傾角粒界で囲まれた結晶粒のうちの最大粒径と強い相関がある。大傾角粒界で囲まれた結晶粒のうちの最大粒径が50μmを超えて大きくなると、図2に示すようにvTrsが高温となる。このようなことから、大傾角粒界で囲まれた結晶粒の最大粒径を50μm以下に限定した。
本発明では、cos2θを脆化度評価指数として、cos2θが
次(1)式
cos2θ ≧ 0.9 ‥‥(1)
(ここで、cos2θ:脆化度評価指数、θ:結晶粒の〈100〉方位と管円周方向とのなす角度(°))
を満足する結晶粒を脆化粒と称する。そして、本発明では、脆化粒の面積率Af(cos2θ≧0.9)が55%を超えると、管円周方向に<100>方位の結晶の集積が強くなり、脆化傾向が強くなって、鋼管の母材靭性が低下する。
つぎに、本発明電縫鋼管の好ましい製造方法について説明する。
本発明では、上記した組成を有する電縫鋼管を素材鋼管とし、該素材鋼管に加熱処理を施したのち熱間での縮径圧延を施す。
加熱処理は、Ac3変態点〜1050℃の温度に加熱し、均熱する処理とすることが好ましい。加熱温度がAc3変態点未満では、加熱温度が低温すぎて、その後の縮径圧延が困難となる。一方、1050℃を超えて高温となると、所望の縮径圧延終了温度を確保できず、靭性が低下する。このため、加熱処理は、Ac3変態点〜1050℃の温度に加熱し、均熱する処理とすることが好ましい。
熱間での縮径圧延は、圧延終了温度:750〜900℃、累積縮径率:30〜80%で、かつ増肉率が+1%以上である圧延とする。
縮径圧延の圧延終了温度:750〜900℃
熱間での縮径圧延の圧延終了温度が750℃未満では、縮径圧延温度が低温となりすぎて、残留歪が大きくなり低温靭性に悪影響を及ぼすうえ、生産性が低下する。一方、圧延終了温度が900℃を超えて高温となると、表面性状が悪くなり、生産性も低下する。このようなことから、熱間での縮径圧延の圧延終了温度は750〜900℃の範囲に限定した。
熱間での縮径圧延の累積縮径率が30%未満では、縮径量が少なすぎて、結晶粒の微細化を達成できない。一方、累積縮径率が80%を超えて大きくなると、残留歪の増大により低温靭性が低下し、しかも生産性が低下する。このため、熱間での縮径圧延の累積縮径率は30〜80%の範囲に限定した。なお、好ましくは30〜75%である。
なお、増肉率は次(2)式
増肉率=(縮径圧延後の肉厚−縮径圧延前の肉厚)/(縮径圧延前の肉厚)×100(%)‥(2)
で定義される。
なお、本発明では、熱間での縮径圧延を施したのち、二次加工として、冷間での縮径加工を施してもよい。
冷間での縮径加工は、室温で、累積縮径率:1〜30%とし、増肉率が+1%以上である加工とする。
冷間での縮径加工の累積縮径率が1%未満では、縮径量が少なすぎて、所望の集合組織を形成できなくなる。一方、累積縮径率が30%を超えて大きくなると、加工歪の増加により靭性の低下が大きくなり、後熱処理を必要とする。このため、冷間での縮径加工の累積縮径率は1〜30%の範囲に限定した。なお、好ましくは1〜20%である。
増肉率は、次(3)式
増肉率=(冷間縮径加工後の肉厚−冷間縮径加工前の肉厚)/(冷間縮径加工前の肉厚)×100(%)‥(3)
で定義される。
(1)組織観察
得られた電縫鋼管から、管周方向断面が観察面となるように組織観察用試験片を採取した。採取した試験片を、研磨、腐食(ナイタール液腐食)し組織を現出したのち、結晶方位解析装置(TSL社製)を搭載した走査型電子顕微鏡を使用して金属組織を観察した。なお、集合組織の解析には、結晶方位解析ソフト(TSL社製:OIM Data Analysis)を用いた。
(2)衝撃試験
得られた電縫鋼管から、管周方向が試験片長手方向に一致するようにシャルピー衝撃試験片を採取し、JIS Z 2242の規定に準拠してシャルピー衝撃試験を行い、破面遷移温度vTrsを求め、靭性を評価した。なお、鋼管から、管周方向が試験片長手方向に一致するようにリング状の試験片を切り出し、プレスして平坦化したのち、両面を均等に研削しシャルピー衝撃試験片(板厚:2.5mm)とした。
Claims (7)
- 質量%で、
C:0.10〜0.50%、 Si:0.01〜1.0%、
Mn:0.01〜2.0%、 P:0.10%以下、
S:0.01%以下、 Al:0.001〜0.1%、
N:0.01%以下
を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ
隣接する結晶粒との方位差が15°以上の大傾角粒界で囲まれた結晶粒の最大粒径が50μm以下であり、脆化度評価指数cos2θが下記(1)式を満足する結晶粒の面積率が55%以下である組織を有し、低温靭性に優れることを特徴とする電縫鋼管。
記
cos2θ ≧ 0.9 ‥‥(1)
ここで、cos2θ:脆化度評価指数、
θ:結晶粒の〈100〉方位と管円周方向とのなす角度(°) - 前記組成に加えてさらに、質量%で、下記A群およびB群のうちから選らばれた1群または2群を含有することを特徴とする請求項1に記載の電縫鋼管。
記
A群:Cr:1%以下、Cu:1%以下、Ni:1%以下、Mo:1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、
B群:Ca:0.02%以下、REM:0.02%以下のうちの1種または2種 - 素材鋼管に、加熱処理を施したのち縮径圧延を施す電縫鋼管の製造方法であって、
前記素材鋼管を、質量%で、
C:0.10〜0.50%、 Si:0.01〜1.0%、
Mn:0.01〜2.0%、 P:0.001〜0.10%、
S:0.01%以下、 Al:0.001〜0.1%、
N:0.01%以下
を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する電縫鋼管とし、
前記縮径圧延を、圧延終了温度:750〜900℃、累積縮径率:30〜80%で、かつ下記(2)式で定義される増肉率が+1%以上である圧延として、隣接する結晶粒との方位差が15°以上の大傾角粒界で囲まれた結晶粒の最大粒径が50μm以下であり、結晶粒の〈100〉方位と管円周方向とのなす角度θのcos2θで定義される脆化度評価指数cos2θが下記(1)式を満足する結晶粒の面積率が55%以下である組織を有する鋼管とすることを特徴とする低温靭性に優れた電縫鋼管の製造方法。
記
cos2θ ≧ 0.9 ‥‥(1)
ここで、cos2θ:脆化度評価指数、
θ:結晶粒の〈100〉方位と管円周方向とのなす角度(°)
増肉率=(縮径圧延後の肉厚−縮径圧延前の肉厚)/(縮径圧延前の肉厚)×100(%)‥(2) - 前記加熱処理を、前記素材鋼管にAc3変態点〜1050℃の温度に加熱し、均熱する処理とすることを特徴とする請求項3に記載の電縫鋼管の製造方法。
- 前記縮径圧延を施した後に、さらに二次加工として、冷間での縮径加工を施すことを特徴とする請求項3または4に記載の電縫鋼管の製造方法。
- 前記冷間での縮径加工が、室温で、累積縮径率:1〜30%で、かつ下記(3)式で定義される増肉率が+1%以上である加工とすることを特徴とする請求項5に記載の電縫鋼管の製造方法。
記
増肉率=(冷間縮径加工後の肉厚−冷間縮径加工前の肉厚)/(冷間縮径加工前の肉厚)×100(%)‥(3) - 前記素材鋼管が前記組成に加えてさらに、質量%で、下記A群およびB群のうちから選らばれた1群または2群を含有することを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載の電縫鋼管の製造方法。
記
A群:Cr:1%以下、Cu:1%以下、Ni:1%以下、Mo:1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、
B群:Ca:0.02%以下、REM:0.02%以下のうちの1種または2種
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