JP5915170B2 - 音場制御装置および音場制御方法 - Google Patents
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そこで、スピーカから発生させたテスト音等を聴取地点で検出して音圧差や位相差などを求め、各スピーカに供給する信号の音量や位相を制御する技術が提案されている(例えば特許文献1、2参照)。位置測定については、無線システムを用いる技術(例えば特許文献3参照)もあれば、スピーカから発せられた電波をリスナーで反射させるとともに当該反射波をスピーカに設けられた受信器によって受信する技術(例えば特許文献4参照)もある。また、聴取地点に設けられたカメラのフォーカス機能を用いてスピーカまでの距離を測定する技術(例えば特許文献5参照)も提案されている。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、高い精度の音場を簡易な構成で制御することが可能な音場制御装置および音場制御方法を提供することにある。
この図に示されるように、オーディオシステムは、測位機能を有する端末装置10と、再生信号を生成する再生部20と、モニタ30と、再生信号に音場を付与する音場制御装置40aと、音場が付与された各チャンネルのオーディオ信号を音響変換して出力するスピーカ51〜55とを含んでいる。
また、端末装置10は、携帯電話機に限られず、上記通信機能や測位機能を有するのであれば、タブレット型のコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置などでも良い。
モニタ30は、液晶表示装置やプラズマディスプレイなどであり、再生信号に含まれる映像信号に基づいた映像を表示する。
このうち、通信部41は、端末装置10と短距離無線通信を行うものである。位置情報記憶部42は、端末装置10から通信部41を介して、位置情報を取得して記憶する。
増幅部45は、チャンネル毎のアンプの集合体であり、信号処理が施されたオーディオ信号をチャンネル毎に増幅して、スピーカ51〜55にそれぞれ出力する。
なお、図においては、通信部41と音場付与部44を直結した相互の矢印も設けてあるが、これは端末装置10側で位置情報による音場設定を行い、通信部41を介して音場付与部44に音場パラメーターの指示を行うケースを想定しているためである。
この図に示されるようにスピーカ51〜55の各々は、順番にフロントレフト(FL)、センター(C)、フロントライト(FR)、サラウンドレフト(SL)、サラウンドライト(SR)のチャンネルにそれぞれに対応している。詳細には、モニタ30の表示面のほぼ中心にCチャンネルのスピーカ52が設置され、リスナーLからみて、モニタ30の左側にFLチャンネルのスピーカ51が、同右側にFRチャンネルのスピーカ53がそれぞれ設置され、リスナーLからみて、後方左側にSLチャンネルのスピーカ54が、後方右側にSRチャンネルのスピーカ55が、それぞれ設置される。
なお、サブウーファは省略されているが、他のスピーカと同様に時間軸および音量の調整対象としても良い。
この音場制御処理は、例えば音場制御装置40aにおいて電源が投入された状態で、端末装置10において所定のプログラムが起動し、音場制御装置40aと近距離無線通信が確立したときに、当該音場制御装置40aで実行される。
まず、音場制御装置40aにおいて音場設定部43は、スピーカ51〜55の位置情報が位置情報記憶部42に記憶されているか否かを判別する(ステップSa11)。
このとき、端末装置10を移動させる順番を指定しても良い。例えば図4において、ユーザーに対して、端末装置10を移動させるべき地点の順番がa→b→c→d→eであることを表示で促して、ユーザーが当該表示にしたがって端末装置10を順番に移動させても良い。
なお、ユーザーが端末装置10をランダムまたは任意の順番で移動させても、スピーカ51〜55の配置は規則性があるので、取得した位置情報の配列(前後左右)から、1〜5番目に測位したスピーカの位置情報がスピーカ51〜55のうち、どのスピーカに対応しているかを判別するようにしても良い。
このようにして得たスピーカ51〜55の位置情報を、端末装置10は、音場制御装置40aに送信する一方、音場設定部43は、通信部41を介してスピーカ51〜55の位置情報を取得し、位置情報記憶部42に記憶させる。
なお、スピーカを移動させるなどした場合にも、ステップSa12を実行することによって、スピーカが設置された地点が測位される。
次に、音場設定部43は、リスニングルーム60の形状を規定する地点の位置情報が位置情報記憶部42に記憶されているか否かを判別する(ステップSa13)。
また、ここではリスニングルーム60の形状を図5の(a)で示されるような長方形として説明したが、同図の(b)や(c)で示されるような形状であっても、隅または頂点に相当する「★」の地点を測位すれば良い。
なお、オーディオシステムの設置部屋を変更したり、引っ越したりして、リスニングルームが変更された場合も、ステップSa14を実行することによって、リスニングルーム60の形状を特定する地点を測位する。
このように、リスニングルーム60の形状については、測位された地点の頂点としたときに、最短の頂点同士を結んだ形状として推定できる。すなわち、多角形形状の部屋であれば、多角形の各頂点位置を到達順に測位して、全頂点で測位が完了したことを入力すれば、各頂点を測定順に直線で連結した多角形を部屋形状と推定することができる。
一方、リスニングルーム60の形状を特定する地点の位置情報がすでに記憶されている場合(ステップSa13の判別結果が「Yes」の場合)、ステップSa14がスキップされる。
例えば位相差については、音場設定部43は、第1に、位置情報記憶部42に記憶された位置情報を読み出して、スピーカ51〜55の各設置地点と聴取地点との距離をそれぞれ算出し、第2に、これらの距離に対応して、スピーカ51〜55に対応するオーディオ信号の時間軸の調整量をそれぞれ決定する。また、このほかにも音場設定部43は、各スピーカと聴取地点との距離に応じた減衰量が相殺されるように、各スピーカによる再生音量の調整量を決定する。さらに、ステップSa14で推定された部屋形状から壁面と各スピーカ・聴取者との位置関係や部屋の容積などを算出し、リスニングルームの壁面の反射や遮蔽による周波数特性や、残響特性、位相特性を推定し、これに応じた音場処理を決定することも可能である。具体的な音場処理としては、壁の間隔によって推測される定在波周波数帯域の補正、スピーカと壁との距離関係によって生じる周波数ディップの補正、部屋形状・寸法から算出される部屋容積から残響時間を推測し、残響パラメータ(残響量、残響時間など)を補正するなどの処理が考えられる。
そして、音場設定部43は、決定した処理内容を音場付与部44に設定する。
これにより、再生部20による再生信号は、スピーカ51〜55の配置、リスニングルーム60の形状、および、リスナーLの聴取地点に対して適切な音場が付与されて出力される。
このため、電源オフ等の指示がなされなければ、ステップSa15、Sa16が所定期間毎に繰り返し実行される。
異なっている場合、それは、リスナーLが前回の測位時(ステップSa15の実行時)から今回の測位時かけて移動したことを示している。この場合、位置情報記憶部42に記憶された位置情報のうち、聴取地点の位置情報は、今回、測位し直された位置情報に更新され、次のステップSa16では、更新された位置情報に基づき音場が決定・設定される。このため、例えば図4において、端末装置10を携行するリスナーLが前回測位した地点jから今回測位した地点jaに移動したとき、図6に示されるように、再生信号に付与される音場が、移動後の地点jaにおける聴取地点に応じて変更される。
第1実施形態では、聴取地点を囲むように5台のスピーカ51〜55を配置させたシステムによって音場を付与したが、第2実施形態では、スピーカアレイを用いた音場制御装置によって音場を付与する。
図7は、スピーカアレイを用いた音場制御装置40bの構成を示す図であり、図8は、当該音場制御装置40bを含むシステムの構成を示すブロック図である。
図8に示されるように、音場制御装置40bでは、筐体内に上述した通信部41、位置情報記憶部42、音場設定部43、音場付与部44、増幅部45および複数のスピーカ46を有する。このうち、スピーカ46は、例えば図7に示されるように筐体においてライン状に配置する。なお、図7では、スピーカ46がライン状に配列した例を示したが、複数ラインで面状に配列した例でも良い。
このため、第2実施形態では、端末装置10による測定位置の対象を図10に示されるように、聴取地点jとリスニングルーム60の形状を特定するための地点f、g、h、iとに加えて、音場制御装置40bにおける左端の地点Aと右端の地点Bとする。
第2実施形態では、地点A、Bを結ぶ直線を、スピーカ46の配列面とし、当該直線の中点をCチャンネルの放出点としている。
図9も示した例は、リスニングルーム60の形状と音場制御装置40bの配置が理想的な場合であるが、各チャンネルの音のビームの方向はリスナーLに到達する壁反射となる放射方向を幾何学的に計算すればよい。
しかし、スピーカアレイとマイクロホンを用いた従来のビーム自動調整(例えば特開2006−013711号公報参照)に示されるように、壁反射による各チャンネル音のビーム形成が困難な場合がある。例えば、図12に示されるように、部屋の角に音場制御装置が設置されているため、FL、FRチャンネルの壁反射が得られないケースや、図13に示されるように、リスナーLから左右の壁の距離が非対称で音声のバランスが崩れるケースがある。図12に示されるケースであれば、FL、FRチャンネルについては壁反射とせずにリスナーLに直接放射する方向とし、SL、SRチャンネルについてはリスナーLに到来する反射方向を計算すれば良い。図13に示される例であれば、バランスの崩れるチャンネルは、他のチャンネルのビームに成分を分けてファントム(仮想)音源を形成するようなビーム方向を計算すれば良い。
ところで、通信部41と音場付与部44を直結した相互の矢印も設けてあるが、これは端末装置10側で位置情報による音場設定を行い、通信部41を介して音場付与部44に音場パラメーターの指示を行うケースを想定している。
ただし、端末装置10がタブレット型などのように比較的大きい場合、例えば図11に示されるように、リスナーLが端末装置10を手の平で操作する場合、端末装置10で測定された位置情報をモニタ30(スピーカ52、または、音場制御装置40b)とは反対側に距離Pだけ離れた地点にオフセットして、当該オフセットした地点を聴取地点とみなしても良い。
また、端末装置10の位置情報だけで音場を決定したが、聴取地点にマクロフォンを設置するとともに、各スピーカからテスト音を発生させて、マイクフォンに受信されるまでの時間や応答特性などの測定結果と、端末装置10で測定した位置情報と、を併用することによって付与すべき音場を決定しても良い。
Claims (5)
- 複数チャンネルのオーディオ信号に対して信号処理を施し複数のスピーカにそれぞれ供給して、聴取地点での音場を制御する音場制御装置であって、
端末装置が有する通信機能および測位機能のうち、前記測位機能を用いて測定されるとともに、前記端末装置から前記通信機能で送信された、前記複数のスピーカの位置情報および前記聴取地点に応じた位置情報を、それぞれ受信する通信部と、
前記通信部により受信された位置情報をそれぞれ記憶する位置情報記憶部と、
前記位置情報記憶部に記憶された各位置情報に基づいて前記信号処理の内容を設定する音場設定部と、
を具備することを特徴とする音場制御装置。 - 前記位置情報記憶部は、
前記聴取地点を含む空間の形状を特定する位置情報を記憶し、
前記音場設定部は、前記空間の形状を特定する位置情報から、前記空間の形状を推定して、当該推定した空間に応じて前記信号処理の内容を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の音場制御装置。 - 複数オーディオ信号に対し信号処理を施し、筐体内に配列した複数のスピーカに供給し、直接音および反射音によって当該聴取地点の音場を制御する音場制御装置であって、
端末装置が有する通信機能および測位機能のうち、前記測位機能を用いて測定されるとともに、前記端末装置から前記通信機能で送信された、前記筐体の位置情報と、前記聴取地点に応じた位置情報と、前記聴取地点を含む空間の形状を特定する位置情報と、をそれぞれ受信する通信部と、
前記通信部により受信された位置情報をそれぞれ記憶する位置情報記憶部と、
前記位置情報記憶部に記憶された各位置情報に基づいて前記信号処理の内容を設定する音場設定部と、
を具備することを特徴とする音場制御装置。 - 複数チャンネルのオーディオ信号に対して信号処理を施し複数のスピーカにそれぞれ供給して、聴取地点での音場を制御する音場制御方法であって、
端末装置が有する通信機能および測位機能のうち、前記測位機能を用いて測定されるとともに、前記端末装置から前記通信機能で送信された、前記複数のスピーカの位置情報および前記聴取地点に応じた位置情報を、それぞれ受信し、
前記受信された位置情報をそれぞれ記憶し、
記憶された各位置情報に基づいて前記信号処理の内容を設定する
ことを特徴とする音場制御方法。 - 複数オーディオ信号に対し信号処理を施し、筐体内に配列した複数のスピーカに供給し、直接音および反射音によって当該聴取地点の音場を制御する音場制御方法であって、
端末装置が有する通信機能および測位機能のうち、前記測位機能を用いて測定されるとともに、前記端末装置から前記通信機能で送信された、前記筐体の位置情報と、前記聴取地点に応じた位置情報と、前記聴取地点を含む空間の形状を特定する位置情報と、をそれぞれ受信し、
前記受信された位置情報をそれぞれ記憶し、
記憶された各位置情報に基づいて前記信号処理の内容を設定する
ことを特徴とする音場制御方法。
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