しかしながら、単に吹出口の形状を長く形成しただけでは、吹出口の全体から略一様に空気を吹き出すことは難しい。例えば、吹出口のうち送風機に近い部分からは多くの空気を吹き出す一方、吹出口の他の部分からはほとんど空気を吹き出さないこととなってしまう。この場合、吹出口の長手方向に沿って衣類を吊り下げると、空気が直接当たる一部の衣類のみが短時間で乾燥し、他の衣類は浴室内の気温の上昇に伴ってゆっくりと乾燥する。その結果、全ての衣類を乾燥するためには長い運転時間を要し、電気代も嵩んでしまう。
一方、長く形成された吹出口の全体から略一様に空気を吹き出すためには、大型のファンや複数のファンを備えることが考えられる。しかし、消費電力低減や騒音防止の観点から、いずれも好ましいものではない。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、大型の送風機や複数の送風機を備えることなく、所定の方向に沿って長く形成された吹出口の全体から略一様に空気を吹き出すことのできる浴室空調装置を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る浴室空調装置は、浴室の空調を行う浴室空調装置において、浴室内の空気を吸い込む吸込口と、第一方向に沿った長さが、前記第一方向とは垂直な第二方向に沿った長さよりも長くなるように形成され、前記吸込口から吸い込んだ空気を浴室内に吹き出す吹出口と、前記吸込口と前記吹出口とを連通させる流路である内部流路と、前記内部流路のうち、前記第二方向において前記吹出口とは離間した位置に配置され、前記吸込口から吸い込んだ空気を、前記吹出口のうち前記第一方向における一方の端部である第一端部に向かわせるシロッコファンである送風機と、前記送風機から前記第一端部に到達した空気が、その後、前記吹出口のうち前記第一方向における他方の端部である第二端部に向かって流れるように、前記送風機から前記第一端部に到達するまでの空気の流れを規制する風向規制手段と、前記送風機から放出された空気を前記風向規制手段に向けて案内するスクロール壁と、を備える。前記スクロール壁は、その一端が前記送風機の回転軸よりも前記第一端部側に伸びており、他端は前記風向規制手段に繋がっており、前記吹出口は、前記回転軸と交わる平面に沿うように設けられ、前記風向規制手段は、前記送風機から流入した空気がその流れ方向を次第に前記第一端部に変えながら流れるように、湾曲した形状となっている。
本発明では、第一方向に沿った長さが、第一方向とは垂直な第二方向に沿った長さよりも長い形状となるように、吹出口を形成している。また、吸込口と吹出口とを連通させる流路である内部流路に送風機を備える。送風機は、吸込口から吸い込んだ空気を、吹出口のうち第一方向における一方の端部である第一端部に向かわせるものである。このため、送風機の駆動によって吸込口から吸い込まれた空気は、内部流路を通って吹出口の第一端部に向かって流れる。
本発明では更に、送風機から吹出口の第一端部に到達した空気が、その後、吹出口の他方の端部である第二端部に向かう方向に沿って流れるように、送風機から第一端部に到達するまでの空気の流れを規制する風向規制手段を備えている。すなわち、第一端部よりも下流側においては第一端部から第二端部に向かう方向に沿って空気が流れるように、第一端部の上流側における空気の流れが風向規制手段によって規制されている。
このような構成とすることにより、送風機から吹出口に到達した空気は、吹出口の第一端部から第二端部に向かって流れながら、すなわち、第一方向に沿って流れながら、吹出口から浴室に向けて吹き出される。その結果、送風機からの空気が最初に到達する第一端部近傍だけではなく、循環流路に沿って送風機から最も遠い位置となる第二端部近傍にも空気が到達するため、吹出口の全体から空気を吹き出すことができる。
また、本発明では、内部流路のうち第二方向において吹き出し口とは離間した位置に、送風機を配置している。このような位置に送風機を配置することにより、浴室空調装置全体の大きさをコンパクトに保ちながら、送風機から吹出口の第一端部に至るまでの流路を長くとることができる。かかる流路を長くとることにより、第一端部に到達した空気の流速の分布が一様なものとなるため、流速の速い一部の空気が吹出口の第一端部近傍から集中して吹き出してしまうことが防止される。
以上のように、本発明によれば、大型の送風機や複数の送風機を備えることなく、浴室空調装置全体の大きさをコンパクトに保ちながら、所定の方向に沿って長く形成された吹出口の全体から略一様な空気を吹き出すことが可能となる。
また本発明に係る浴室空調装置では、前記送風機と前記第一端部との間において前記内部流路から分岐し、前記吸込口から吸い込んだ空気の少なくとも一部を浴室の外部に排出する流路である排出流路と、前記吸込口から前記排出流路に流れる空気の流量を調整するダンパーと、を備えることも好ましい。
この好ましい態様では、吸込口から吸い込んだ空気の少なくとも一部を浴室の外部に排出する流路である排出流路と、吸込口から排出流路に流れる空気の流量を調整するダンパーとを備えている。このような構成とすることによって、浴室空調装置を大型化させることなく、浴室内の空気の少なくとも一部を外部に排出することが可能となる。
また本発明に係る浴室空調装置では、前記風向規制手段は、前記内部流路を区画する壁面又は前記ダンパーの壁面のうち、前記第一端部に向かって湾曲した前記内部流路の外周側において円弧形状に形成された部分であることも好ましい。
この好ましい態様では、内部流路を区画する壁面又は前記ダンパーの壁面のうち、第一端部に向かって湾曲した内部流路の外周側において円弧形状に形成された部分が、風向規制手段として機能する。すなわち、送風機から吹出口に向かう空気の多くは、湾曲した内部流路の外周側の壁面又は前記ダンパーの壁面に沿って流れることとなるが、当該部分が円弧形状に形成されていることにより、空気は、その流れ方向が滑らかに変更されながら吹出口の第一端部に到達し、その後、第二端部に向かって流れる。このため、内部流路を区画する壁面又は前記ダンパーの壁面の一部を円弧形状にするという簡単な態様によって風向規制手段を構成し、吹出口の全体から略一様な空気を吹き出すことが可能となる。
また本発明に係る浴室空調装置では、前記ダンパーは、前記円弧形状に形成された壁面の中心軸と平行な回転軸に対して回転するものであり、その回転角度によって、前記排出流路に流れる空気の流量を調整するものであることも好ましい。
この好ましい態様では、内部流路を区画する壁面は、湾曲した内部流路の外周側において円弧形状に形成された部分を有する。ダンパーは、当該円弧形状に形成された壁面の中心軸と平行な回転軸に対して回転するものであり、その回転角度によって、排出流路に流れる空気の流量を調整する。
このような構成とすることにより、排出流路に向かう空気の流れをダンパーの回転角度によって調整しながら、吸込口から吸い込んだ空気の少なくとも一部をスムーズに排出流路に向かわせることができる。
また本発明に係る浴室空調装置では、前記ダンパーは、前記内部流路を流れる空気から風圧を受ける風受部を有することにより、その回転方向のうち一方向に向けて付勢されることも好ましい。
吸込口から吸い込んだ空気のうち排出流路に流れる空気の流量は、ダンパーの回転角度によって定まる。このため、排出流路に流れる空気の流量を所定の目標流量とするためには、ダンパーの回転角度が所定の角度となるように制御する必要がある。しかし、例えばステッピングモータの駆動軸にダンパーを固定してその回転角度を制御する場合、駆動軸とダンパーとの間に微量のガタつきが生じてしまい、かかるガタつきによって、排出流路に流れる空気の流量が目標流量からずれてしまう場合がある。
このようなずれを抑制するには、ダンパーの回転角度を検出する検出器を設け、検出された回転角度をフィードバックしながら、ダンパーの回転角度を制御することも考えられる。しかし、検出器を設けるためのコストやスペースが必要となるため、好ましいものではない。
この好ましい態様では、ダンパーが、内部流路を流れる空気から風圧を受ける風受部を有する。風受部から受ける風圧によって、ダンパーはその回転方向のうち一方向に向けて付勢される。その結果、ダンパーを駆動する駆動軸とダンパーとのガタつきが生じた場合であっても、ダンパーは回転方向の一方向に向けて付勢されるため、駆動軸の回転角度とダンパーの回転角度とが一対一に定まることとなる。従って、ダンパーの回転角度を正確に制御し、排出流路に流れる空気の流量を精度よく制御することが可能となる。
本発明によれば、大型の送風機や複数の送風機を備えることなく、所定の方向に沿って長く形成された吹出口の全体から略一様に空気を吹き出すことのできる浴室空調装置を提供することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
本発明の実施形態に係る浴室空調装置は、浴室内の空気を吸い込みヒーターを経由させて浴室方向に吹き出す暖房モードと、浴室内の空気を吸い込み浴室外に排出する換気モードと、浴室内の空気を吸い込みその一部はヒーターを経由させて浴室方向に吹き出しながら、残りの空気は浴室外に排出する乾燥モードと、を備えると共に、浴室以外の第二室である洗面所等の換気も行うことができるものである。
この浴室空調装置の配置態様について図1を参照しながら説明する。図1に示すように、浴室空調装置DMは、浴室BRの天井BRcに取り付けられるものである。浴室空調装置DMは、浴室BR内の空気を吸い込みヒータ(図1においては明示しない)を経由させて浴室BR方向に空気を吹き出すことができる。また、浴室空調装置DMは、浴室BR内の空気を吸い込み、少なくともその一部をダクトD1を通して浴室外に排出することもできる。また、浴室空調装置DMは、洗面所SRの天井に設けられた吸引口SR1に繋がるダクトSR2を通して、洗面所SR内の空気を吸引し、ダクトD1を通して浴室外に排出することもできる。
上記の通り乾燥モードは、浴室BR内の空気を吸い込みその一部はヒーターを経由させて浴室BRの方向に吹き出しながら、残りの空気は浴室BR外に排出する運転モードである。この乾燥モードにおいて浴室空調装置DMは、ヒーターを経由させた空気を浴室BRの方向に吹き出すため、浴室BR内の気温は上昇する。また、浴室BRから吸い込まれた空気の一部は、浴室BR内の水蒸気と共に浴室BR外に排出される。その結果、浴室BR内の湿度は効率的に低下することとなり、浴室空調装置DMの下方に洗濯後の衣類を吊り下げた状態で乾燥モードによる運転を行えば、浴室BRの壁面と共に衣類も短時間で乾燥させることができる。
図2は、浴室空調装置DMを下方から見た状態を示す外観図である。同図においては、説明のためにフロントパネルSPを取り外した状態を示している。図2に示されるように、浴室空調装置DMは、浴室BRの天井BRcに形成された矩形の開口部に、ファン30等が収められた機能部FBを挿入固定し、その後、フロントパネルSPで機能部FBを覆った状態で浴室BRに設置される。フロントパネルSPは長方形に形成された板状の部材であって、浴室BRの壁面(天井BRc)と平行に配置される主面を有しており、当該主面の法線方向を浴室BR側に向けて配置されるものである。フロントパネルSPは、吸込口10及び吹出口20を備えている。
吸込口10は、浴室空調装置DMが浴室BR内の空気を吸い込むための部分であって、フロントパネルSPの主面において二つの開口10a、10bとして形成された部分である。これら二つの開口10a、10bは、いずれも、フロントパネルSPの長辺方向に沿った細長い長方形状に形成されている。
吹出口20は、浴室空調装置DMが浴室内に空気を吹き出すための部分であって、フロントパネルSPの主面において開口20aとして形成された部分である。開口20aは、上記の開口10a、10bとは離間した位置において、フロントパネルSPの長辺方向に沿った細長い長方形状に形成されている。開口20aの形状は、機能部FB側に固定された整風板21の外形と略一致しており、フロントパネルSPで機能部FBを覆った際において、整風板21が開口20aに嵌入された状態となる。すなわち、浴室空調装置DMから浴室BR内に空気を吹き出す際は、空気は整風板21と吹出口20とを同時に通過した後、浴室BR内に吹き出すこととなる。
続いて、浴室空調装置DMの内部構造について、図3及び図4を参照しながら説明する。図3は、図2の浴室乾燥装置DMにおいて、フロントパネルSPを取り付けた状態におけるA−A断面を示す断面図である。図4は、図3におけるB−B断面を示す断面図である。図3及び図4に示すように、浴室空調装置DMの機能部FBは、その下端においてフランジFBfが形成されており、フランジFBfと天井BRcとが図示しないボルトで固定されている。また、フロントパネルSPは、フランジFBf全体を覆うように設置され、機能部FBの内部に対して図示しないボルトで固定されている。
機能部FBの内部、すなわちフロントパネルSPの上方には、吸込口10と吹出口20とを連通させる内部流路50が形成されている。内部流路50は、吸込口10から吸い込んだ空気が吹出口20へと流れるための流路である。内部流路50は、ファン30より上流側である上流側流路50aと、ファン30より下流側である下流側流路50bとを有している。
ファン30は内部流路50に配置された送風機であって、内部流路50における空気の流れを発生させるものである。ファン30の上部には、ファン30を回転駆動するファンモータ30aが設けられている。ファン30は、複数の羽根を円形に並べた所謂シロッコファンと呼ばれるものである。ファンモータ30aが回転すると、ファン30が回転駆動され、ファン30の下方から空気を吸い込み、ファン30の側面から水平方向に空気が放出される。ファン30の側面から放出された空気は、ファン30の周囲に配置されたスクロール壁35によって案内されて、下流側流路50bへと流れる。
下流側流路50bには、ファン30よりも下流側で且つ吹出口20よりも上流側において、下流側流路50bから分岐する流路である排出流路70が接続されている。排出流路70はダクトD1に接続された流路であって、浴室の外部(例えば屋外)に連通している。
下流側流路50bと排出流路70との境界部にはダンパー80が配置されている。ダンパー80は、下流側流路50bから排出流路70へ空気が流れる流路の開度を調整するためのものである。ダンパー80が回転軸81を中心に回転することによって、排出流路70へ空気が流れる流路の開度が調整される。図4においては、排出流路70へ空気が流れる流路は閉じた状態となっている。このため、浴室空調装置DMが吸い込んだ空気は、全てヒーターHTを経由して吹出口20を通過し、浴室BRに吹き出る。すなわち、図4は、暖房モードにおける浴室空調装置DMの状態を示している。尚、ダンパー80の回転角度と他の運転モード(乾燥モード、換気モード)との関係については後に説明する。
ヒーターHTは、整風板21の直上に配置された電気ヒーターであって、吹出口20から吹き出す空気を加熱するものである。ヒーターHTは常に空気を加熱するものではなく、浴室空調装置DMの運転モードに応じて、加熱のON/OFFが適宜制御される。
次に、下流側流路50bにおける空気の流れを、図4を参照しながら説明する。図4は、図3におけるB−B断面を示す断面図であるが、フロントパネルSPに形成された吹出口20の形状を、説明のために点線で示している。
図4に示したように、下流側流路50bは、ファン30から下流側流路50bに流入した空気が、その流れ方向を次第に左方向(吹出口20の端部25に向かう方向)に変えながら流れるように、湾曲した形状となっている。下流側流路50bを区画する壁面のうち、外周側の壁面61、62、63は、吹出口20からの空気の吹き出し方向から見た場合において、全体で円弧形状となるように形成されている。尚、本実施形態においては、吹出口20からの空気の吹き出し方向は、浴室空調装置DMが取り付けられた浴室BRの壁面(天井BRc)に垂直な方向、及び、フロントパネルSPの主面の法線方向と一致する。
このような構成により、ファン30から下流側流路50bに流入した空気の大部分は、円弧形状に形成された壁面61、62、63に沿って流れ、吹出口20のうちその長手方向(第一方向)における一方の端部25に向かって流れる。更に、壁面61、62、63によって形成される円弧形状に沿った流路の方向は、吹出口20の端部25の近傍において、吹出口20の長手方向(第一方向)と略一致している。従って、下流側流路50bを通って端部25に到達した空気は、その後、吹出口20のうちその長手方向(第一方向)における他方の端部26に向かって流れることとなる。
このように、本実施形態においては、全体で円弧形状に形成された壁面61、62、63が風向規制手段として機能している。ファン30から下流側流路50bに流入した空気は、壁面61、62、63に案内されることにより滑らかにその流れ方向を変え、吹出口20の端部25に向かって流れる。更に、端部25に到達した空気は、その後、端部25から端部26に向かって流れるように、壁面61、62、63によって案内されている。
その結果、ファン30から吹出口20に到達した空気は、吹出口20の端部25(第一端部)から端部26(第二端部)に向かって流れながら、吹出口20から浴室BRに向けて吹き出される。その結果、ファン30からの空気が最初に到達する端部25の近傍だけではなく、下流側流路50bに沿ってファン30から最も遠い位置となる端部26の近傍にも空気が到達するため、吹出口20の全体から空気を吹き出すことができる。
続いて、吹出口20とファン30との位置関係について説明する。図4に示したように、ファン30は、吹出口20の長手方向(第一方向)とは垂直な方向(第二方向)において、吹出口20とは離間した位置に配置されている。ファン30をこのような位置に配置し、上記のように下流側流路50bを湾曲させたことで、浴室空調装置DM全体の大きさをコンパクトに保ちながらも、ファン30から吹出口20の端部25に至るまでの流路が長くなっている。
ファン30は、その側面から外側に向けて空気を吹き出すものである。このため、スクロール壁35によって案内されて下流側流路50bに到達した直後においては、下流側流路50bの流路方向に垂直な面における速度分布のムラが大きい。すなわち、スクロール壁35に沿った流れの流速が、他の部分における流れの流速よりも著しく大きい。
このため、ファン30から吹出口20の端部25に至るまでの流路が短い場合、速度分布のムラが大きいまま吹出口20に空気が到達する。その結果、流速の速い一部の空気が吹出口20の端部26に到達することなく、吹出口20の端部25の近傍から集中して吹き出してしまうこととなる。
本実施形態では、ファン30から吹出口20の端部25に至るまでの流路が長くなっているため、端部25に到達するまでの間に速度分布のムラが低減される。従って、流速の速い一部の空気が吹出口20の端部25の近傍から集中して吹き出す現象が抑制され、吹出口20の全体から略一様な空気を吹き出すことが可能となっている。
次に、ダンパー80の構成及び動作について、図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、図2におけるC−C断面を示す断面図である。図5に示したように、ダンパー80の上方にはステッピングモータSMが配置されており、ステッピングモータSMの回転軸81に対してダンパー80が固定されている。このため、ステッピングモータSMによって回転軸81が回転すると、ダンパー80は回転軸81を中心に回転する。回転軸81は、その軸方向が、円弧形状に形成された壁面61、62、63の中心軸と平行となるように配置されている。本実施形態においては、回転軸81の軸方向はファン30の回転軸方向、及び鉛直方向とも平行である。
図6は、図4と同じ断面における浴室空調装置DMの断面図であり、浴室空調装置DMが乾燥モードとなった状態を示している。図6においては、ダンパー80が反時計回りに所定角度回転しており、下流側流路50bから排出流路70に向かって空気が流れるための排出口71が形成されている。このため、ファン30から下流側流路50bに流れた空気は、その一部が排出口71を通って排出流路70に流入して浴室BRの外部へと排出され、残りの空気が吹出口20から浴室BRに吹き出される。
乾燥モードにおいては、ヒーターHTはONとなっている。このため、吹出口20からは加熱された状態の空気が吹き出し、浴室BRの気温を上昇させる。また、浴室BRから吸い込まれた空気の一部は、浴室BR内の水蒸気と共に排出流路70に流入して、浴室BRの外部へと排出される。その結果、浴室BR内の湿度は効率的に低下することとなり、吹出口20の下方に洗濯後の衣類を吊り下げた状態で乾燥モードによる運転を行えば、浴室BRの壁面と共に衣類も短時間で乾燥させることができる。
尚、乾燥モードにおいては、ファン30から吹出口20の端部25に到達する空気の流れ方向は既に説明した暖房モードにおける空気の流れ方向と同様であり、その流量のみが異なっている。このため、乾燥モードにおいても、ファン30から下流側流路50bに流入した空気は吹出口20の端部25に向かって流れ、その後、端部25から端部26に向かって流れるように案内される。その結果、吹出口20の全体から空気を吹き出すことができる。
乾燥モードにおいて排出流路70から浴室BRの外部に排出される空気の流量は、排出口71の開口面積を変化させることにより調整される。すなわち、ダンパー80の回転角度を変化させることにより調整される。例えば、浴室BR内の湿度が高い場合には、排出口71の開口面積が大きくなるようにダンパー80の回転角度を調整し、湿度の排出を優先した運転を行うことができる。一方、浴室BR内の湿度が低い場合には、排出口71の開口面積が小さくなるようにダンパー80の回転角度を調整し、浴室BR内の気温を高く保つことを優先した運転を行うことができる。このようなダンパー80の動作の制御は、浴室空調装置DMの内部に配置された各種センサ(湿度計等)の検出値に基づいて自動で行う他、リモコン操作によって使用者が手動で調整するような態様としてもよい。
ダンパー80の回転角度は、排出流路70から排出すべき空気の流量に応じた所定の角度となるように、ステッピングモータSMにより制御される。すなわち、ステッピングモータSMは、図示しない制御部からの開度指示信号に基づいて回転軸81、及び回転軸81に固定されたダンパー80を回転させ、排出流路70から排出される空気の流量を目標の流量に一致させる。
しかし、ステッピングモータSMが回転軸81を正確に(開度指示信号の通りに)回転させても、ダンパー80の回転量がばらつき、排出流路70から排出される空気の流量が目標の流量と一致しない場合がある。本発明者らがその原因を検討したところ、回転軸81とダンパー80との間で機械的なガタつきが生じており、回転軸81の回転角度とダンパー80の回転角度とが一対一に定まらないことが原因であることが判明した。本実施形態に係る浴室空調装置DMでは、以下に説明するように、ダンパー80の形状を工夫することで上記のような流量のばらつきを抑制している。
ダンパー80は、下流側流路50bの一部として壁面62を有している。かかる壁面62は、壁面61、63と共に、円弧形状である下流側流路50bの外周側壁面を形成している。
壁面62のうち流路方向に沿った下流側の部分は、内部流路50側に立ち上がるように形成された風受部82を有している。このため、壁面62に沿って空気が流れている状態においては、風受部82はかかる空気の流れによる風圧を受ける。その結果、乾燥モードにおいては、ダンパー80はその回転方向(図6においては左回りに回転する方向)に常に付勢された状態となっている。
回転軸81とダンパー80とのガタつきが生じている状態であっても、ダンパー80は回転方向の一方向に向けて付勢されるため、回転軸81の回転角度とダンパー80の回転角度とが一対一に定まることとなる。従って、ステッピングモータSMによってダンパー80の回転角度を正確に制御することができ、排出流路70に流れる空気の流量を精度よく制御することが可能となる。
続いて、浴室空調装置DMの換気モードについて、図7を参照しながら説明する。図7は、図4と同じ断面における浴室空調装置DMの断面図であり、浴室空調装置DMが換気モードとなった状態を示している。図7においては、ダンパー80が反時計回りに更に回転し、下流側流路50bから排出流路70に向かって空気が流れるための排出口71が全開の状態となっている。一方、ファン30から吹出口20に至る流路は、ダンパー80によって塞がれた状態となっている。
このため、ファン30から下流側流路50bに流れた空気は、全て排出口71を通って排出流路70に流入して浴室BRの外部へと排出される。換気モードにおいては、ヒーターHTはOFFとなっており、吹出口20から空気は吹き出されない。このように、換気モードにおける浴室空調装置DMは、通常の換気扇と同様に機能する。
尚、図7から明らかなように、換気モードにおいては、壁面62に沿った空気の流れ方向は乾燥モードとは逆方向になっている。その結果、風受部82が受ける風圧はほぼ0となり、ダンパー80は回転方向に向けて付勢されない。しかし、換気モードではダンパー80がストッパ90に当接した状態であり、ステッピングモータSMによってストッパ90に付勢された状態となっている。このため、回転軸81とダンパー80とのガタつきが生じている状態であっても、ダンパー80が所定の位置(排出口71が全開となり、ファン30から吹出口20に至る流路が塞がれた状態となる位置)からずれてしまうことはない。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。