JP5904139B2 - 有機電界発光素子及び表示媒体 - Google Patents
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Description
これら素子の発光は、電極の一方から電子が注入され、もう一方の電極から正孔が注入されることにより、素子中の発光材料が高エネルギー準位に励起され、励起された発光体が基底状態に戻る際の余分なエネルギーを光として放出する現象である。
この積層構造の電界発光素子は、有機発光体と電荷輸送性の有機物(電荷輸送材料)とを電極に積層した構造をしており、それぞれの正孔と電子とが電荷輸送材料中を移動して、再結合して励起子を生成させ、この励起子が失活することにより発光する。有機発光体としては、8−キノリノールアルミニウム錯体やクマリン化合物など蛍光を発する有機色素などが用いられる。
ここで、電荷輸送材料としては、N,N−ジ(m−トリル)N,N‘−ジフェニルベンジジンや1,1−ビス[N,N−ジ(p−トリル)アミノフェニル]シクロヘキサンといったジアミノ化合物や、4−(N,N−ジフェニル)アミノベンズアルデヒドーN,N−ジフェニルヒドラゾン化合物等が挙げられる。
少なくとも一方が透明又は半透明である陽極及び陰極である一対の電極と、
該一対の電極間に挾持され、少なくとも一層が下記一般式(I)で示されるポルフィリン化合物を1種含有する一つまたは複数の有機化合物層と、
を有する有機電界発光素子である。
前記一般式(I)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、炭素数3以上8以下のアルキル基を表わす請求項1に記載の有機電界発光素子である。
前記一般式(I)で示されるポルフィリン化合物のR1、R2及びR3のうち、少なくとも1つが異なるアルキル基を表す請求項1に記載の有機電界発光素子である。
前記一般式(I)で示されるポルフィリン化合物のR1、R2及びR3が、全て異なるアルキル基を表す請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子である。
請求項1又は請求項2に記載の有機電界発光素子を、マトリクス状及びセグメント状の少なくとも一方で配置した表示媒体である。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、より素子寿命が長い有機電界発光素子が提供される。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、より素子寿命が長い有機電界発光素子が提供される。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、より素子寿命が長い有機電界発光素子が提供される。
請求項5に係る発明によれば、構造式(XII)で示された化合物を用いた有機化合物層を備える有機電界発光素子を配置した表示媒体に比べ、有機電界発光素子の素子寿命が長い表示媒体が提供される。
[有機電界発光素子]
本実施形態に係る有機電界発光素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である陽極及び陰極よりなる一対の電極と、該一対の電極間に挾持され、少なくとも一層が下記一般式(I)で示されるポルフィリン化合物を1種含有する一つまたは複数の有機化合物層と、を有する有機電界発光素子である。
具体的には、上記ポルフィリン化合物は、チオフェン環が持つ歪みによりチオフェン環部で歪みが生じているため、化合物全体として平面性が抑制された構造となる傾向にあると考えられ、そして、歪みを生じているチオフェン環部に、R1、R2及びR3で表される炭素数3以上8以下のアルキル基が付与されている。
そのため、上記ポルフィリン化合物は、有機溶媒等に対して高い溶解性を示すこととなると考えられる。
すなわち、上記ポルフィリン化合物は、有機電界発光素子を構成する有機化合物層に高い溶解性でもって含有され、層中で結晶化し難い化合物であるため、層中に含まれる化合物が結晶化した箇所が部分的に発生することに起因して電気的特性が悪化する現象(例えば、電流のリーク、電気抵抗の変化)が生じ難い化合物であると考えられる。
その結果、上記ポルフィリン化合物が含有された層を有する有機電界発光素子は、電流のリークによる輝度時間の短縮や、電気抵抗の上昇による負荷が抑制されたものとなると考えられる。
一般式(I)で示されるポルフィリン化合物は、本実施形態に係る有機電界発光素子の一つまたは複数の有機化合物層の少なくとも一層に1種含有される。
アルキル基としては、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
置換基としては、例えば、フェノキシ基、アリール基、アラルキル基、アミノ基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。これら置換基はさらに炭素数1以上6以下のアルキル基で置換されていてもよい。
これらの中では、(2)及び(3)のように、一般式(I)で示されるポルフィリン化合物のR1、R2及びR3のうち、少なくとも1つが異なるアルキル基を表すことが望ましく、(2)であることがより望ましい。
なお、異なるアルキル基とは、炭素数が異なるアルキル基を意味する。
その結果、該ポルフィリン化合物は、有機電界発光素子を構成する層の材料に適用された場合、結晶化が抑制されて層中の電気的特性を変化させる現象を起こし難くなるため、素子寿命が長い有機電界発光素子を実現すると考えられる。
なお、下記合成スキームは、一般式(I)中のR2及びR3が同じアルキル基(R4で表記)を示すポルフィリン化合物を合成するスキームである。
ここで、一般式(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)中、R1は、一般式(I)中のR1、R4は、一般式(I)中のR2及びR3に該当する。また、一般式(VI)及び(VII)中、X及びGは、それぞれ独立にハロゲン原子、B(OH)2、下記構造式(IX−1)で示される置換基、下記構造式(IX−2)で示される置換基、又は下記構造式(IX−3)で示される置換基を表す。
上記金属としては、例えば、Pd、Cu、Ti、Sn、Ni、Pt等が用いられる。
上記金属錯体としては、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh3)4)、酢酸パラジウム(II)(Pd(OCOCH3)2)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)、ジ(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(Pd(PPh3)2Cl2)、1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウム(II)ジクロリド−ジクロロメタン錯体(Pd(dppf)2Cl2)、Pd/C、又は、ニッケル(II)アセチルアセトナート(Ni(acac)2)等が用いられる。
上記塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸セシウム(Cs2CO3)、又は水酸化バリウム(Ba(OH)2)などの無機塩基や、トリエチルアミン(NEt3)、ジイソプロピルアミン(NH(i−Pr)2)、ジエチルアミン(NHEt2)、ジメチルアミン(NHMe2)、トリメチルアミン(NMe3)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、N,N−ジメチル-4-アミノピリジン(DMAP)、ピリジンなどの有機塩基が用いられる。
上記溶媒は、反応を著しく阻害しない溶媒であればよく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエ−テル溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール又は水等が用いられる。
また、上記反応際に、必要に応じて、例えば、トリフェニルホスフィン(PPh3)、トリ−o−トリルホスフィン(P(o−Tol)3、トリブチルホスフィン(P(t−Bu)3)、トリエチルホスフィン(PEt3)等が用いられる。
ただし、上記Meは「CH3」、Etは「C2H5」、Phは「C6H5」、i−Prは「(CH3)2CH2」、o−Tolは「o−CH3C6H4」、t−Buは「(CH3)3C」を表す。
本実施形態の有機電界発光素子は、少なくとも一方が透明または半透明である一対の電極と、該一対の電極間に挾持された一つまたは複数の有機化合物層より構成されている。 そして、該有機化合物層の少なくとも一層が、上述した一般式(I)で示されるポルフィリン化合物を1種含有する。
なお、本実施形態に係る有機電界発光素子の層構成は、特に限定されない。
(2)正孔輸送層及び正孔注入層の少なくともいずれかの層と、発光層と、電子輸送層及び電子注入層の少なくともいずれかの層と、から構成される層構成。
(3)正孔輸送層及び正孔注入層の少なくともいずれかの層と、発光層と、から形成される層構成。
なお、層構成(1)乃至(3)のいずれの層構成においても、いずれか一層に上記ポルフィリン化合物が含まれていればよい。
図1乃至図4は、本実施形態の有機電界発光素子の層構成を説明するための模式的断面図であって、図1、図2、図3の場合は、有機化合物層が複数の場合の一例であり、図4の場合は、有機化合物層が1つの場合の例を示す。なお、図1乃至図4において、同一の機能を有するものは同じ符号を付して説明する。
また、トップエミッション構造や陰極・陽極共に透明電極を用いて透過型にする場合、さらには図1乃至図4の層構成を複数段積重ねた構造も実現される。
以下、各々を詳しく説明する。
例えば、上記ポルフィリン化合物は、図1に示される有機電界発光素子の層構成の場合、発光層4及び電子輸送層及び電子注入層の少なくとも一層5のいずれに含有されてもよく、発光層4及び電子輸送層及び電子注入層の少なくとも一層5としていずれも作用する。また、図2に示される有機電界発光素子の層構成の場合、正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも一層3、発光層4及び電子輸送層及び電子注入層の少なくとも一層5のいずれに含有されてもよく、正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも一層3、発光層4及び電子輸送層及び電子注入層の少なくとも一層5としていずれも作用する。また、図3に示される有機電界発光素子の層構成の場合、正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも一層3及び発光層4のいずれに含有されてもよく、正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも一層3及び発光層4としていずれも作用する。さらに、図4に示される有機電界発光素子の層構成の場合、電荷輸送能を持つ発光層6に含有され、電荷輸送能を持つ発光層6として作用する。
また、透明電極2は、透明絶縁体基板に準じて発光を取り出すための透明または半透明であって、且つ正孔の注入を行うため仕事関数の大きなものを用いてもよく、例えば仕事関数が4eV以上のものが挙げられる。なお、上記半透明とは、可視領域の光の透過率が70%以上であることを意味し、更に透過率が80%以上であってもよい。以下これに準ずる。
更に、例えば正孔移動度を調節するため、前記一般式(I)で表されるポルフィリン化合物以外の正孔輸送材料を、層を構成する材料全体に対して0.1質量%乃至50質量%の範囲で混合分散して形成されてもよいし、前記一般式(I)で表されるポルフィリン化合物を含む層と、該ポルフィリン化合物以外の正孔輸送材料を含む層との積層体を形成してもよい。
上記電子輸送材料として、オキサジアゾール誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、シロール誘導体、キレート型有機金属錯体、多核または縮合芳香環化合物、ペリレン誘導体、トリアゾール誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体等が挙げられる。
このドーピングに用いられる色素化合物としては、発光材料との相容性が良く、かつ発光層の良好な薄膜形成を妨げない有機化合物が用いられ、好適にはクマリン誘導体、DCM誘導体、キナクリドン誘導体、ペリミドン誘導体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、ルブレン誘導体、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスニウム、イリジウム、白金、および金などの金属錯体化合物等が用いられる。
周期表7ないし11族から選ばれる遷移金属原子としては、特に限定されないが、望ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、金及び白金が挙げられ、より望ましくは、レニウム、イリジウム、及び白金である。
ランタノイド原子としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテシウムが挙げられる。これらのランタノイド原子の中でも、ネオジム、ユーロピウム、及びガドリニウムが望ましい。
ランタノイド原子を含む錯体の配位子としては、例えば、G.Wilkinson等著,Comprehensive Coordination Chemistry, Pergamon Press社1987年発行、H.Yersin著,「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer−Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社1982年発行等に記載の配位子などを挙げられる。
具体的な配位子としては、ハロゲン配位子、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、フェナントロリン等)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトン等)、カルボン酸配位子(例えば、酢酸配位子等)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子であり、より望ましくは、含窒素ヘテロ環配位子である。
上記錯体は、化合物中に遷移金属原子を一つ有してもよい。また、2つ以上有する複核錯体であってもよい。異種の金属原子を含有していてもよい。
これら発光材料としての好適な具体例としては、下記の化合物(XI−1)乃至(XI−6)が用いられるが、これらに限定されたものではない。
前記電荷輸送材料としては、電子移動度を調節する場合、電子輸送材料としてオキサジアゾール誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、フルオレニデンメタン誘導体等が挙げられる。
特に、ポルフィリン化合物を用いた図2に示す構成の有機電界発光素子では、層構成により機能が分担されエネルギー効率が向上すると考えられる。
本実施形態の表示媒体は、前記本実施形態の有機電界発光素子を、マトリクス状及びセグメント状の少なくとも一方で配置したことを特徴とする。本実施形態において有機電界発光素子をマトリクス状に配置する場合、電極のみをマトリクス状に配置する態様であってもよいし、電極及び有機化合物層の両方をマトリクス状に配置する態様であってもよい。また、本実施形態において有機電界発光素子をセグメント状に配置する場合、電極のみをセグメント状に配置する態様であってもよいし、電極及び有機化合物層の両方をセグメント状に配置する態様であってもよい。
マトリクス状に配置した有機電界発光素子及びセグメント状に配置した有機電界発光素子から構成される表示媒体の駆動装置及び駆動方法としては、従来公知のものが用いられる。
−例示化合物17の合成−
下記スキームに従い、窒素雰囲気下において、ピロール(25.0g)、ホルムアルデヒド(100ml)、トリフルオロ酢酸(100ml)の混合液を、10時間還流した。反応後、トルエンで抽出し、有機層を純水で洗浄した。次いで、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶剤を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマト(トルエン)で分離し、中間体1(38.1g)を得た。
−例示化合物9の合成−
実施例1と同様に、中間体4(10.0g)を獲得し、次いで、中間体4(10.0g)と中間体6(15.2g)、テトラヒドロフラン(100ml)の混合液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(8g)、2N炭酸ナトリウム水溶液を加え、20時間還流した。反応後、トルエンで抽出し、有機層を純水で洗浄した。次いで、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶剤を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマト(トルエン)で分離し、[例示化合物9]4.5gを得た。
−例示化合物6の合成−
次に、中間体1(30.0g)をクロロホルム(100ml)、トリフルオロ酢酸(100ml)に溶解させ、中間体7(17.5g)加え、18時間攪拌した。反応後、クロラニルを加え4時間攪拌した。トルエンで抽出し、有機層を純水で洗浄した。次いで、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶剤を減圧下留去し、中間体8(23.5g)を得た。
−例示化合物11の合成−
合成例3と同様に、中間体9(10.0g)を獲得し、次いで、中間体9(10.0g)と中間体11(14.3g)、テトラヒドロフラン(100ml)の混合液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(8.0g)、2N炭酸ナトリウム水溶液を加え、20時間還流した。反応後、トルエンで抽出し、有機層を純水で洗浄した。次いで、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶剤を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマト(トルエン)で分離し、[例示化合物11]4.5gを得た。
−例示化合物8の合成−
合成例3と同様に、中間体9(10.0g)を獲得し、次いで、中間体9(10.0g)と中間体12(12.8g)、テトラヒドロフラン(100ml)の混合液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(8.0g)、2N炭酸ナトリウム水溶液を加え、20時間還流した。反応後、トルエンで抽出し、有機層を純水で洗浄した。次いで、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶剤を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマト(トルエン)で分離し、[例示化合物8]3.6gを得た。
−例示化合物20の合成−
中間体4(10.0g)と中間体5(3.3g)と、テトラヒドロフラン(100ml)と、の混合液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(4g)、2N炭酸ナトリウム水溶液を加え、10時間還流した。反応後、トルエンで抽出し、有機層を純水で洗浄した。次いで、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶剤を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマト(トルエン)で分離し、[中間体13]6.7gを得た。
−例示化合物4の合成−
実施例1と同様に、中間体4(10.0g)を獲得し、次いで、中間体4(10.0g)と中間体15(13.8g)、テトラヒドロフラン(100ml)の混合液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(8g)、2N炭酸ナトリウム水溶液を加え、25時間還流した。反応後、トルエンで抽出し、有機層を純水で洗浄した。次いで、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶剤を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマト(トルエン)で分離し、[例示化合物4]4.0gを得た。
−例示化合物21の合成−
実施例1と同様に、中間体9(10.0g)を獲得し、次いで、中間体9(10.0g)と中間体16(15.8g)、テトラヒドロフラン(100ml)の混合液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(8.0g)、2N炭酸ナトリウム水溶液を加え、22時間還流した。反応後、トルエンで抽出し、有機層を純水で洗浄した。次いで、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶剤を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマト(トルエン)で分離し、[例示化合物21]4.1gを得た。
−例示化合物22の合成−
実施例1と同様に、中間体4(20.0g)を獲得し、次いで、中間体4(15.0g)と中間体17(6.0g)、テトラヒドロフラン(100ml)の混合液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(12g)、2N炭酸ナトリウム水溶液を加え、18時間還流した。反応後、トルエンで抽出し、有機層を純水で洗浄した。次いで、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶剤を減圧下留去し、シリカゲルカラムクロマト(トルエン)で分離し、中間体18を6.8g得た。
−有機電界発光素子1の製造−
透明絶縁基板上に形成されたITO(三容真空社製)を短冊状のフォトマスクを用いてフォトリソグラフィによりパターニングし、さらにエッチング処理することにより短冊状のITO電極(幅2mm)を形成した。次に、このITOガラス基板を中性洗剤、超純水、アセトン(電子工業用、関東化学製)及びイソプロパノール(電子工業用、関東化学製)で超音波を各5分間加えて洗浄した後、スピンコーターで乾燥させ、紫外線オゾン洗浄を行った。
上記基板に、正孔輸送層として、合成例1で合成した例示化合物17を電子工業用トルエンに0.4wt%で溶解させ、この溶液を上記洗浄したITO基板上にスピンコート法(2000rpmで20秒)で塗布した後、窒素雰囲気下、100℃で1分間加熱した。次に、α‐NPD(N,N’−ジ−α−ナフチル−N,N’−ジフェニル)−ベンジジン)を45nm蒸着した。この上に、発光材料となる前記例示化合物(X−1)を35nm蒸着し(発光層)、この上に記例示化合物(X−1)を30nm蒸着した。この上に、続いて短冊状の穴が設けられている金属性マスクを用いて、フッ化リチウムを1nm蒸着した後、アルミニウム100nmを蒸着し、背面電極をITO電極と交差するように形成した。形成された有機電界発光素子の有効面積は0.04cm2であった。
−溶解性の評価−
例示化合物17をトルエンに溶解させた溶液で形成した上記正孔輸送層の表面について、ひび割れや亀裂や欠けなどの欠陥の発生を1mm×1mmの範囲で光学顕微鏡によって観察し、溶解性を評価した。
評価基準は以下の通りである。また、溶媒をトルエンからテトラヒドロフラン、キシレン、ジクロロエタン、クロロホルムに代えたときの溶解性についても評価した。結果を表1に示す。
A:全面的に膜で覆われており、良好
B:部分的に膜で覆われていない部分あり
C:膜で覆われていない部分が多い
以上のように作製した有機電界発光素子1を、ITO電極側をプラス、Al電極をマイナスとして直流電圧を印加し、直流駆動方式(DC駆動)で初期輝度を500cd/m2としたときの駆動電流密度により発光特性を調べた。また、素子寿命の評価は、乾燥空気中室温(40%RH、27℃)において直流駆動方式(DC駆動)で初期輝度を500cd/m2とし、比較例1の素子の輝度(初期輝度L0:500cd/m2)が輝度L/初期輝度L0=0.5となった時点の駆動時間(輝度半減時間)を1.0とした場合の相対時間、及び、素子の輝度が輝度L/初期輝度L0=0.5となった時点での電圧上昇分(=電圧/初期駆動電圧)により評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、正孔輸送層を形成する際、例示化合物17の変わりに、例示化合物9、例示化合物6、例示化合物11、例示化合物8、例示化合物20、例示化合物4、例示化合物21、及び例示化合物22を使用した以外は実施例1と同様に有機電界発光素子を作製し、実施例1と同様に有機電界発光素子の特性を評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、例示化合物の代わりに下記構造式(XI)の化合物を比較化合物として用いた以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製し、比較例1とした。
作製した有機電界発光素子について、実施例1と同様の方法で評価を行なった。結果を表1に示す。
比較例1において用いた比較化合物の代わりに下記構造式(XII)の化合物を比較化合物として用いた以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製し、比較例2とした。
作製した有機電界発光素子について、実施例1と同様の方法で評価を行なった。結果を表1に示す。
比較例1において用いた比較化合物の代わりに下記構造式(XIII)の化合物を比較化合物として用いた以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製し、比較例3とした。
作製した有機電界発光素子について、実施例1と同様の方法で評価を行なった。結果を表1に示す。
また、一般式(I)で示されるポルフィリン化合物のR1、R2及びR3が全て同じアルキル基(炭素数6)である例示化合物17を用いた実施例1に比べ、R3のアルキル基のみ炭素数3のアルキル基に変更した例示化合物20を用いた実施例6の方が、輝度が半減するまでの駆動時間が長く、輝度半減時の電圧上昇分が低かった。R1のアルキル基のみ炭素数3のアルキル基に変更した例示化合物9を用いた実施例2は、例示化合物20を用いた実施例6に比べ、さらに輝度が半減するまでの駆動時間が長く、輝度半減時の電圧上昇分が低かった。
一方、R1のアルキル基のみ炭素数2のアルキル基に変更した例示化合物4を用いた実施例7は、例示化合物9を用いた実施例2に比べ、輝度が半減するまでの駆動時間は短く、輝度半減時の電圧上昇分が高かったが、例示化合物20を用いた実施例6に比べ、輝度が半減するまでの駆動時間が長く、輝度半減時の電圧上昇分が低かった。
同様に、一般式(I)で示されるポルフィリン化合物のR1、R2及びR3が全て同じアルキル基(炭素数3)である例示化合物6を用いた実施例3に比べ、R2及びR3のアルキル基を炭素数5のアルキル基に変更した例示化合物8を用いた実施例5、R2及びR3のアルキル基を炭素数8のアルキル基に変更した例示化合物11を用いた実施例4、R2及びR3のアルキル基を炭素数10のアルキル基に変更した例示化合物21を用いた実施例8の方が、輝度が半減するまでの駆動時間が長く、輝度半減時の電圧上昇分が低かった。4つの置換基の内2つずつが同じである(R2及びR3が同じでR1とは異なる)例示化合物9を用いた実施例2、例示化合物11を用いた実施例4、例示化合物8を用いた実施例5、例示化合物4を用いた実施例7、例示化合物21を用いた実施例8を比較すると、炭素数が2及び10のアルキル基を有する実施例7及び8は他の実施例に比べて、輝度が半減するまでの駆動時間が短く、輝度半減時の電圧上昇分が高かった。
一般式(I)で示されるポルフィリン化合物のR1、R2及びR3が全て異なるアルキル基である例示化合物22を用いた実施例9は、R2として炭素数2のアルキル基を含むにもかかわらず、R1として炭素数2のアルキル基を含む例示化合物4を用いた実施例7に比べ、輝度が半減するまでの駆動時間が長く、輝度半減時の電圧上昇分が低かった。また、炭素数3のアルキル基と炭素数6のアルキル基を2つずつ含む例示化合物9を用いた実施例2に比べても、輝度が半減するまでの駆動時間が長く、輝度半減時の電圧上昇分が低かった。
2 透明電極
3 正孔輸送層
4 発光層
5 電子輸送
6 電荷輸送能を持つ発光層
7 背面電極
Claims (5)
- 少なくとも一方が透明又は半透明である陽極及び陰極である一対の電極と、
該一対の電極間に挾持され、少なくとも一層が下記一般式(I)で示されるポルフィリン化合物を1種含有する一つまたは複数の有機化合物層と、
を有する有機電界発光素子。
〔一般式(I)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、炭素数2以上10以下のアルキル基を表す。〕 - 前記一般式(I)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、炭素数3以上8以下のアルキル基を表わす請求項1に記載の有機電界発光素子。
- 前記一般式(I)で示されるポルフィリン化合物のR1、R2及びR3のうち、少なくとも1つが異なるアルキル基を表す請求項1又は請求項2に記載の有機電界発光素子。
- 前記一般式(I)で示されるポルフィリン化合物のR1、R2及びR3が、全て異なるアルキル基を表す請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の有機電界発光素子を、マトリクス状及びセグメント状の少なくとも一方で配置した表示媒体。
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