本発明の共役ジエン系重合体は、共役ジエンに基づく単量体単位と下記式(1)で表される単量体に基づく単量体単位を有する。
(式中、mは1又は2を表し、nは1又は2を表し、m+nは2又は3であり、R
1は重合性炭素−炭素二重結合を有するヒドロカルビル基を表し、R
2はヒドロカルビル基を表し、R
2が複数ある場合、複数あるR
2は同一でも異なっていてもよく、R
3は含酸素置換基を有していてもよいアリール基を表し、R
3が複数ある場合、複数あるR
3は同一でも異なっていてもよく、R
4はアルキル基、又は置換アミノ基を表す。)
本明細書では、ヒドロカルビル基は炭化水素残基を表す。ヒドロカルビルオキシ基は、ヒドロキシル基の水素原子がヒドロカルビル基で置換されている基を表す。ヒドロカルビレン基は、2価の炭化水素残基を表す。
共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどをあげることができ、これらは1種以上用いられる。共役ジエンとして好ましくは、1,3−ブタジエン、イソプレンである。
R1は、重合性炭素−炭素二重結合を有するヒドロカルビル基であり、R1としては、好ましくは下記式(2)で表される基である。
(式中、pは0又は1であり、R
5は水素原子又はヒドロカルビル基を表し、Tはヒドロカルビレン基を表す。)
式(2)において、pは0又は1を表す。
R5のヒドロカルビル基としては、アルキル基、アルケニル基などをあげることができる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などをあげることができ、好ましくはメチル基である。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−メチルエテニル基などをあげることができ、好ましくはビニル基である。
R5として、好ましくは、水素原子、メチル基、ビニル基であり、より好ましくは水素原子である。
Tのヒドロカルビレン基としては、アルキレン基、アリレーン基、アリレーン基とアルキレン基とが結合した基などをあげることができる。
アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基などをあげることができる。好ましくは、メチレン基又はエチレン基である。アリレーン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基などをあげることができる。好ましくはフェニレン基である。
アリレーン基とアルキレン基とが結合した基としては、フェニレン基とアルキレン基とが結合した基、ナフチレン基とアルキレン基とが結合した基、ビフェニレン基とアルキレン基とが結合した基をあげることができる。フェニレン基とアルキレン基とが結合した基(フェニレン−アルキレン基)では、水素原子が除かれたベンゼン環上の炭素原子の位置と、アルキレン基が結合するベンゼン環上の炭素原子の位置とによって、パラ−フェニレン−アルキレン基(例えば、下記式(2a)で表される基。)、メタ−フェニレン−アルキレン基(例えば、下記式(2b)で表される基。)、オルト−フェニレン−アルキレン基(例えば、下記式(2c)で表される基。)をあげることができる。
また、アリレーン基とアルキレン基とが結合した基としては、式(2)のR5が結合している炭素原子に、当該基のアリレーン基の炭素原子が結合していることが好ましい。
(式中、r、s、tは、夫々、1〜10の整数を表す。)
アリレーン基とアルキレン基とが結合した基(フェニレン−アルキレン基)としては、好ましくは、フェニレン基とアルキレン基とが結合した基であり、より好ましくは、上式(2a)で表される基、上式(2b)で表される基であり、更に好ましくは、パラ−フェニレン−メチレン基(r=1である式(2a)で表される基)、メタ−フェニレン−メチレン基(s=1である式(2b)で表される基)、パラ−フェニレン−エチレン基(r=2である式(2a)で表される基)、メタ−フェニレン−エチレン基(s=2である式(2b)で表される基)である。
R5がメチル基の場合、pは、好ましくは1であり、Tは、好ましくは、アリレーン基とアルキレン基とが結合した基又はアリレーン基であり、より好ましくは、フェニレン基とアルキレン基とが結合した基(フェニレン−アルキレン基)又はフェニレン基であり、更に好ましくは、フェニレン基、パラ−フェニレン−メチレン基、メタ−フェニレン−メチレン基、パラ−フェニレン−エチレン基、メタ−フェニレン−エチレン基である。
R5がビニル基であり、pが1の場合、Tは、好ましくはアルキレン基であり、より好ましくはメチレン基又はエチレン基である。
式(2)で表される基としては、好ましくは、R5が水素原子である基として、ビニル基、ビニルメチル基、ビニルエチル基、4−ビニルフェニル基、3−ビニルフェニル基、(4−ビニルフェニル)メチル基、2−(4−ビニルフェニル)エチル基、(3−ビニルフェニル)メチル基、2−(3−ビニルフェニル)エチル基があげられ、R5がメチル基である基として、4−イソプロペニルフェニル基、3−イソプロペニルフェニル基、(4−イソプロペニルフェニル)メチル基、2−(4−イソプロペニルフェニル)エチル基、(3−イソプロペニルフェニル)メチル基、2−(3−イソプロペニルフェニル)エチル基があげられ、R5がビニル基である基として、1−メチレン−2−プロペニル基、2−メチレン−3−ブテニル基があげられる。
R1として、好ましくは、ビニル基、4−ビニルフェニル基、3−ビニルフェニル基であり、より好ましくは、ビニル基である。
R2のヒドロカルビル基としては、アルキル基、アリール基などをあげることができる。
R2のアルキル基としては、メチル基;エチル基、n−プロピル基、n−ペンチル基などの1級アルキル基(水素原子が除かれた炭素原子が第1級炭素原子であるアルキル基);イソプロピル基、sec−ブチル基、2−エチルヘキシル基などの2級アルキル基(水素原子が除かれた炭素原子が第2級炭素原子であるアルキル基);tert−ブチル基、tert−ペンチル基などの3級アルキル基(水素原子が除かれた炭素原子が第3級炭素原子であるアルキル基)をあげることができる。
R2のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基などをあげることができる。
R2のヒドロカルビル基の炭素原子数としては、好ましくは、3〜10であり、より好ましくは4〜8である。
R2のヒドロカルビル基としては、好ましくは、2級アルキル基又は3級アルキル基であり、より好ましくは、3級アルキル基であり、更に好ましくは、tert−ブチル基である。
R3は、含酸素置換基を有していてもよいアリール基である。ここで、含酸素置換基を有するアリール基とは、アリール基の水素原子が含酸素置換基で置換された基を表す。
R3のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アルキル基で置換されたフェニル基、アルキル基で置換された1−ナフチル基、アルキル基で置換された2−ナフチル基をあげることができる。
該アルキル基としては、メチル基;エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基などの1級アルキル基;イソプロピル基、sec−ブチル基、2−エチルヘキシル基などの2級アルキル基;tert−ブチル基、tert−ペンチル基などの3級アルキル基があげられる。
アルキル基で置換されたフェニル基としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、tert−ペンチルフェニル基、(2−エチルヘキシル)フェニル基などをあげることができる。
アルキル基で置換された1−ナフチル基としては、メチル−1−ナフチル基、エチル−1−ナフチル基、n−プロピル−1−ナフチル基、イソプロピル−1−ナフチル基、n−ブチル−1−ナフチル基、sec−ブチル−1−ナフチル基、tert−ブチル−1−ナフチル基、tert−ペンチル−1−ナフチル基、(2−エチルヘキシル)−1−ナフチル基などをあげることができる。
アルキル基で置換された2−ナフチル基としては、メチル−2−ナフチル基、エチル−2−ナフチル基、n−プロピル−2−ナフチル基、イソプロピル−2−ナフチル基、n−ブチル−2−ナフチル基、sec−ブチル−2−ナフチル基、tert−ブチル−2−ナフチル基、tert−ペンチル−2−ナフチル基、(2−エチルヘキシル)−2−ナフチル基などをあげることができる。
含酸素置換基を有するアリール基とは、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基などのアルコキシ基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基などのアルコキシアルキル基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基などのアルコキシアルコキシ基を有するアリール基をあげることができる。
アルコキシ基を有するフェニル基としては、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、イソプロポキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基をあげることができる。アルコキシアルキル基を有するフェニル基としては、(メトキシメチル)フェニル基、(エトキシメチル)フェニル基、(メトキシエチル)フェニル基、(エトキシエチル)フェニル基をあげることができる。アルコキシアルコキシ基を有するフェニル基としては、(メトキシメトキシ)フェニル基、(エトキシメトキシ)フェニル基、(メトキシエトキシ)フェニル基、(エトキシエトキシ)フェニル基をあげることができる。
アルコキシ基を有する1−ナフチル基としては、メトキシ−1−ナフチル基、エトキシ−1−ナフチル基、イソプロポキシ−1−ナフチル基、tert−ブトキシ−1−ナフチル基をあげることができる。アルコキシアルキル基を有する1−ナフチル基としては、(メトキシメチル)−1−ナフチル基、(エトキシメチル)−1−ナフチル基、(メトキシエチル)−1−ナフチル基、(エトキシエチル)−1−ナフチル基をあげることができる。アルコキシアルコキシ基を有する1−ナフチル基としては、(メトキシメトキシ)−1−ナフチル基、(エトキシメトキシ)−1−ナフチル基、(メトキシエトキシ)−1−ナフチル基、(エトキシエトキシ)−1−ナフチル基をあげることができる。
アルコキシ基を有する2−ナフチル基としては、メトキシ−2−ナフチル基、エトキシ−2−ナフチル基、イソプロポキシ−2−ナフチル基、tert−ブトキシ−2−ナフチル基をあげることができる。アルコキシアルキル基を有する2−ナフチル基としては、(メトキシメチル)−2−ナフチル基、(エトキシメチル)−2−ナフチル基、(メトキシエチル)−2−ナフチル基、(エトキシエチル)−2−ナフチル基をあげることができる。アルコキシアルコキシ基を有する2−ナフチル基としては、(メトキシメトキシ)−2−ナフチル基、(エトキシメトキシ)−2−ナフチル基、(メトキシエトキシ)−2−ナフチル基、(エトキシエトキシ)−2−ナフチル基をあげることができる。
上記、モノ置換のフェニル基は、置換位置によって、2−置換フェニル基、3−置換フェニル基、4−置換フェニル基をあげることができる。また、上記のアルキル基又は含酸素置換基で置換されたフェニル基は、2置換体あるいは3置換体であってもよく、置換位置、置換数によって、2,3−ジ置換フェニル基、2,4−ジ置換フェニル基、2,5−ジ置換フェニル基、2,6−ジ置換フェニル基、3,4−ジ置換フェニル基、3,5−ジ置換フェニル基、2,3,4−トリ置換フェニル基、2,3,5−トリ置換フェニル基、2,4,5−トリ置換フェニル基、2,4,6−トリ置換フェニル基、3,4,5−トリ置換フェニル基などがあげられる。
上記、モノ置換の1−ナフチル基は、置換位置によって、2−置換1−ナフチル基、3−置換1−ナフチル基、4−置換1−ナフチル基、5−置換1−ナフチル基、6−置換1−ナフチル基をあげることができる。また、上記のアルキル基又は含酸素置換基で置換された1−ナフチル基は、2置換体あるいは3置換体であってもよく、4,5−ジ置換1−ナフチル基、4,8−ジ置換1−ナフチル基、5,8−ジ置換1−ナフチル基、6,7−ジ置換1−ナフチル基、3,8−ジ置換1−ナフチル基、6,8−ジ置換1−ナフチル基、4,5,8−トリ置換1−ナフチル基などがあげられる。
上記、モノ置換の2−ナフチル基は、置換位置によって、1−置換2−ナフチル基、3−置換2−ナフチル基、4−置換2−ナフチル基、5−置換2−ナフチル基、6−置換2−ナフチル基をあげることができる。また、上記のアルキル基又は含酸素置換基で置換された1−ナフチル基は、2置換体あるいは3置換体であってもよく、3,5−ジ置換2−ナフチル基、3,8−ジ置換2−ナフチル基、4,5−ジ置換2−ナフチル基、1,4,5−トリ置換2−ナフチル基などがあげられる。
R3の炭素原子数として、好ましくは6〜10であり、より好ましくは6〜8である。
R3として、好ましくは、フェニル基、又は、アルキル基で置換されたフェニル基である。アルキル基で置換されたフェニル基としては、好ましくは、4−アルキルフェニル基であり、より好ましくは、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基である。
R3として、より好ましくは、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基であり、更に好ましくはフェニル基である。
R4のアルキル基としては、メチル基、エチル基などがあげられる。
R
4の置換アミノ基としては、下記式(3)で表される基があげられる。
(式中、R
6及びR
7は、それぞれ、ヒドロカルビル基、又は、トリヒドロカルビルシリル基を表し、あるいは、R
6とR
7は結合して、窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基、又は、R
6とR
7は1つの基であって、窒素原子に二重結合で結合する基を表す。)
R6及びR7のヒドロカルビル基としては、アルキル基、アリール基などをあげることができる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などをあげることができる。アリール基としては、フェニル基などをあげることができる。好ましくはアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数が1〜4のアルキル基である。
R6及びR7のトリヒドロカルビルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基などのトリアルキルシリル基をあげることができる。好ましくは、炭素原子数が3〜9のトリアルキルシリル基であり、より好ましくは、ケイ素原子に結合したアルキル基が炭素原子数1〜3のアルキル基であるトリアルキルシリル基である。
R6とR7が結合した窒素原子及び/又は酸素原子をヘテロ原子として有していてもよいヒドロカルビレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基;−CH2CH2−NH−CH2−で表される基、−CH2CH2−N=CH−で表される基、−CH=CH−N=CH−で表される基、−CH2CH2−NH−CH2CH2−で表される基などの窒素原子を有するヒドロカルビレン基;−CH2CH2−O−CH2CH2−で表される基などの酸素原子を有するヒドロカルビレン基などをあげることができる。
本明細書では、X原子をヘテロ原子として有するヒドロカルビレン基とは、ヒドロカルビレン基の水素原子及び/又は炭素原子がX原子に置き換わった構造を有する基を表す。例えば、窒素原子をヘテロ原子として有するヒドロカルビレン基としては、ヒドロカルビレン基のCHがNに置き換わった構造を有する基をあげることができる。また、酸素原子をヘテロ原子として有するヒドロカルビレン基としては、CH2がOに置き換わった構造を有する基、水素原子2つがOに置き換わった構造を有する基をあげることができる。
R6とR7が窒素原子に二重結合で結合する1つの基としては、エチリデン基、プロピリデン基、ブチリデン基、1−メチルエチリデン基、1−メチルプロピリデン基、1,3−ジメチルブチリデン基などをあげることができる。
R4として、好ましくは、メチル基、エチル基などのアルキル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基などのジアルキルアミノ基である。
式(1)において、nは1又は2を表し、m+nは2又は3である。好ましくは、m+nは3である。より好ましくは、mが1であり、nが2である。
式(1)で表される化合物としては、R5が水素原子であり、p=0である化合物として、
tert−ブトキシジフェニルビニルシラン、
tert−ペントキシジフェニルビニルシラン、
ジ(tert−ブトキシ)フェニルビニルシラン、
ジ(tert−ペントキシ)フェニルビニルシラン、
tert−ブトキシメチルフェニルビニルシラン、
tert−ブトキシエチルフェニルビニルシラン、
ジメチルアミノtert−ブトキシフェニルビニルシラン、
ジエチルアミノtert−ブトキシフェニルビニルシラン
などをあげることができる。
また、式(1)で表される化合物としては、R5が水素原子であり、p=1である化合物として、
tert−ブトキシジフェニル−4−ビニルフェニルシラン、
tert−ブトキシジフェニル−3−ビニルフェニルシラン、
ジ(tert−ブトキシ)フェニル−4−ビニルフェニルシラン、
ジ(tert−ブトキシ)フェニル−3−ビニルフェニルシラン、
tert−ブトキシメチルフェニル−4−ビニルフェニルシラン、
tert−ブトキシメチルフェニル−3−ビニルフェニルシラン、
tert−ブトキシエチルフェニル−4−ビニルフェニルシラン、
tert−ブトキシエチルフェニル−3−ビニルフェニルシラン、
ジメチルアミノtert−ブトキシフェニル−4−ビニルフェニルシラン、
ジメチルアミノtert−ブトキシフェニル−3−ビニルフェニルシラン、
ジエチルアミノtert−ブトキシフェニル−4−ビニルフェニルシラン、
ジエチルアミノtert−ブトキシフェニル−3−ビニルフェニルシラン
などをあげることができる。
式(1)で表される化合物としては、R5がメチル基であり、p=1である化合物として、
tert−ブトキシジフェニル−4−イソプロペニルフェニルシラン、
tert−ブトキシジフェニル−3−イソプロペニルフェニルシラン、
ジ(tert−ブトキシ)フェニル−4−イソプロペニルフェニルシラン、
ジ(tert−ブトキシ)フェニル−3−イソプロペニルフェニルシラン、
tert−ブトキシメチルフェニル−4−イソプロペニルフェニルシラン、
tert−ブトキシメチルフェニル−3−イソプロペニルフェニルシラン、
tert−ブトキシエチルフェニル−4−イソプロペニルフェニルシラン、
tert−ブトキシエチルフェニル−3−イソプロペニルフェニルシラン、
ジメチルアミノtert−ブトキシフェニル−4−イソプロペニルフェニルシラン、
ジメチルアミノtert−ブトキシフェニル−3−イソプロペニルフェニルシラン、
ジエチルアミノtert−ブトキシフェニル−4−イソプロペニルフェニルシラン、
ジエチルアミノtert−ブトキシフェニル−3−イソプロペニルフェニルシラン
などをあげることができる。
式(1)で表される化合物として、好ましくは、R5が水素原子であり、p=0である化合物であり、
より好ましくは、
tert−ブトキシジフェニルビニルシラン、
ジ(tert−ブトキシ)フェニルビニルシラン、
tert−ブトキシメチルフェニルビニルシラン、
ジメチルアミノ−tert−ブトキシフェニルビニルシラン、
ジエチルアミノ−tert−ブトキシフェニルビニルシランであり、
更に好ましくは、tert−ブトキシジフェニルビニルシラン、
ジ(tert−ブトキシ)フェニルビニルシランであり、
特に好ましくは、tert−ブトキシジフェニルビニルシランである。
式(1)で表される化合物に基づく単量体単位の含有量は、共役ジエン系重合体100質量%あたり、強度を高めるために、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上である。また、経済性を高めるために、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。
本発明の共役ジエン系重合体において、式(1)で表される単量体に基づく単量体単位が鎖中に存在すること、すなわち、共役ジエンに基づく単量体単位を有する部分鎖(当該部分鎖には、式(1)で表される単量体に基づく単量体単位を有さない。)と、共役ジエンに基づく単量体単位を有する部分鎖(当該部分鎖には、式(1)で表される単量体に基づく単量体単位を有さない。)との間に、式(1)で表される単量体に基づく単量体単位、あるいは、式(1)で表される単量体に基づく単量体単位からなる部分鎖を有することが好ましい。
本発明の共役ジエン系重合体は、強度を高めるために、ビニル芳香族炭化水素に基づく単量体単位(ビニル芳香族炭化水素単位)を有していることが好ましい。該ビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンをあげることができる。好ましくは、スチレンである。
ビニル芳香族炭化水素単位の含有量としては、共役ジエン単位とビニル芳香族炭化水素単位との総量を100質量%として、好ましくは10質量%以上(共役ジエン単位の含有量は90質量%以下)であり、より好ましくは15質量%以上(共役ジエン単位の含有量は85質量%以下)である。また、低燃費性を高めるために、ビニル芳香族炭化水素単位の含有量は、好ましくは50質量%以下(共役ジエン単位の含有量は50質量%以上)であり、より好ましくは45質量%以下(共役ジエン単位の含有量は55質量%以上)である。
本発明の共役ジエン系重合体のムーニー粘度(ML1+4)は、強度を高めるために、好ましくは10以上であり、より好ましくは20以上である。また、加工性を高めるために、好ましくは200以下であり、より好ましくは150以下である。該ムーニー粘度(ML1+4)は、JIS K6300(1994)に従って、100℃にて測定される。
本発明の共役ジエン系重合体のビニル結合量は、共役ジエン単位の含有量を100モル%として、低燃費性を高めるために、好ましくは80モル%以下であり、より好ましくは70モル%以下である。また、グリップ性を高めるために、好ましくは10モル%以上であり、より好ましくは15モル%以上であり、更に好ましくは20モル%以上であり、特に好ましくは40モル%以上である。該ビニル結合量は、赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm−1付近の吸収強度より求められる。
本発明の共役ジエン系重合体の分子量分布は、低燃費性を高めるために、好ましくは1.0〜5.0であり、より好ましくは1.0〜1.5である。分子量分布は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定し、MwをMnで除すことにより求められる。
本発明の共役ジエン系重合体の好適な製造方法としては、炭化水素溶媒中で、アルカリ金属触媒により、共役ジエンと上記式(1)で表される化合物とを含む単量体成分を重合させる方法をあげることができる。
アルカリ金属触媒としては、アルカリ金属、有機アルカリ金属化合物、アルカリ金属と極性化合物との錯体、アルカリ金属を有するオリゴマーなどをあげることができる。該アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどをあげることができる。該有機アルカリ金属化合物としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチルフェニルリチウム、4−フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、4−シクロペンチルリチウム、ジメチルアミノプロピルリチウム、ジエチルアミノプロピルリチウム、t−ブチルジメチルシリロキシプロピルリチウム、N−モルホリノプロピルリチウム、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、1,4−ジリチオ−2−ブテン、ナトリウムナフタレニド、ナトリウムビフェニリド、カリウムナフタレニドなどをあげることができる。また、アルカリ金属と極性化合物との錯体としては、カリウム−テトラヒドロフラン錯体、カリウム−ジエトキシエタン錯体などをあげることができ、アルカリ金属を有するオリゴマーとしては、α−メチルスチレンテトラマーのナトリウム塩をあげることができる。好ましくは、有機リチウム化合物又は有機ナトリウム化合物であり、より好ましくは、炭素原子数が2〜20の有機リチウム化合物又は炭素原子数が2〜20の有機ナトリウム化合物である。
炭化水素溶媒は、有機アルカリ金属化合物触媒を失活させない溶媒であり、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環族炭化水素などをあげることができる。該脂肪族炭化水素としては、プロパン、n−ブタン、iso−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、プロペン、1−ブテン、iso−ブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセンなどをあげることができる。また、芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンをあげることができ、脂環族炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサンなどがあげられる。これらは1種以上用いられ、また、炭化水素溶媒は、工業用ヘキサンのような各種成分の混合物でもかまわない。好ましくは、炭素原子数が2〜12の炭化水素である。
炭化水素溶媒中で、アルカリ金属触媒により、共役ジエンと上記式(1)で表される化合物とを含む単量体成分を重合させ、共役ジエンに基づく単量体単位と上記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位とを有する重合体を製造する。該共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンをあげることができる。これらは1種以上用いられる。好ましくは、1,3−ブタジエン、イソプレンである。
式(1)で表される化合物の使用量は、重合で使用した単量体成分の総使用量を100質量%として、強度を高めるために、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上である。また、経済性を高めるために、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。
単量体として、共役ジエンと式(1)で表される化合物とに、ビニル芳香族炭化水素を組み合わせて重合を行ってもよく、ビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等をあげることができる。好ましくは、スチレンである。
ビニル芳香族炭化水素の使用量は、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との総使用量を100質量%として、0質量%以上(共役ジエンの使用量は100質量%以下)であり、強度を高めるために、好ましくは10質量%以上(共役ジエンの使用量は90質量%以下)であり、より好ましくは15質量%以上(共役ジエンの使用量は85質量%以下)である。また、低燃費性を高めるために、ビニル芳香族炭化水素の使用量は、好ましくは50質量%以下(共役ジエンの使用量は50質量%以上)であり、より好ましくは45質量%以下(共役ジエンの使用量は55質量%以上)である。
重合反応は、共役ジエン単位のビニル結合量を調整する剤、共役ジエン系重合体鎖中での共役ジエン単位と共役ジエン以外の単量体に基づく単量体単位の分布を調整する剤(以下、総称して「調整剤」と記す。)などの存在下で行ってもよい。このような剤としては、エーテル化合物、第三級アミン、ホスフィン化合物などをあげることができる。該エーテル化合物としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサンなど環状のエーテル;ジエチルエーテル、ジブチルエーテルなどの脂肪族モノエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどの脂肪族ジエ−テル;ジフェニルエーテル、アニソールなどの芳香族エーテルなどがあげられる。該第三級アミンとして、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、キノリンなどをあげることができる。また、該ホスフィン化合物として、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどをあげることができる。これらは1種類以上用いられる。
重合温度は、通常25〜100℃であり、好ましくは35〜90℃であり、より好ましくは50〜80℃である。重合時間は、通常10分〜5時間である。
本発明の製造方法においては、必要に応じて、アルカリ金属触媒による単量体の重合開始から重合停止までに、共役ジエン系重合体の炭化水素溶液にカップリング剤を添加してもよい。カップリング剤としては、下記式(4)で表される化合物をあげることができる。
(式中、R
11はアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基またはアリール基を表し、Mはケイ素原子またはスズ原子を表し、Lはハロゲン原子またはヒドロカルビルオキシ基を表し、aは0〜2の整数を表す。)
式(4)で表されるカップリング剤としては、四塩化珪素、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、四塩化スズ、メチルトリクロロスズ、ジメチルジクロロスズ、トリメチルクロロスズ、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、テトラエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエトキシジエチルシランなどをあげることができる。
カップリング剤の添加量は、共役ジエン系重合体の加工性を高めるために、アルカリ金属触媒由来のアルカリ金属1モル当たり、好ましくは0.03モル以上であり、より好ましくは0.05モル以上である。また、低燃費性を高めるために、好ましくは0.4モル以下であり、より好ましくは0.3モル以下である。
共役ジエン系重合体は、公知の回収方法、例えば、(1)共役ジエン系重合体の炭化水素溶液に凝固剤を添加する方法、(2)共役ジエン系重合体の炭化水素溶液にスチームを添加する方法によって、共役ジエン系重合体の炭化水素溶液から回収することができる。回収した共役ジエン系重合体は、バンドドライヤーや押出型ドライヤーなどの公知の乾燥機で乾燥してもよい。
本発明の共役ジエン系重合体は、他の重合体成分や添加剤などを配合して、共役ジエン系重合体組成物にして用いることができる。
ゴム成分100質量%中の上記共役ジエン系重合体の含有量は、5質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上である。5質量%未満であると、低燃費性の改善効果が得られにくい傾向がある。また、上記共役ジエン系重合体の含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。90質量%を超えると、耐摩耗性が低下するとともに、高コストになる傾向がある。
上記共役ジエン系重合体以外に使用できるゴム成分としては限定されないが、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。これらのゴム成分は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。なかでも、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び加工性をバランス良く示すことから、NR、BRが好ましい。これらのゴム成分としては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。5質量%未満であると、充分な低燃費性が得られない傾向がある。また、NRの含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。60質量%を超えると、加工性が悪化する傾向がある。
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。5質量%未満であると、充分な耐摩耗性が得られない傾向がある。また、BRの含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。60質量%を超えると、低燃費性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、N2SAが40m2/g以上、120m2/g未満のシリカ(1)と、N2SAが120m2/g以上のシリカ(2)とを含有する。上記共役ジエン系重合体とともにシリカ(1)及び(2)を配合することで、シリカ(1)及び(2)が良好に分散し、各性能の改善効果を相乗的に高めることができる。また、シリカ(1)及び(2)と、後述するレジンとを併用することで、各性能の改善効果をさらに高めることができる。
シリカ(1)及び(2)は、N2SAが下記式を満たすことが好ましい。
(シリカ(2)のN2SA)/(シリカ(1)のN2SA)≧1.4の関係を満たすことが好ましく、(シリカ(2)のN2SA)/(シリカ(1)のN2SA)≧2.0の関係を満たすことがより好ましい。1.4未満であると、シリカ(1)及び(2)の粒子径の差が小さく、2種類のシリカをブレンドすることによる分散向上効果が充分に得られない傾向がある。
なお、シリカのN2SAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
シリカ(1)のN2SAは、40m2/g以上、好ましくは50m2/g以上である。40m2/g未満であると、充分な補強性が得られず、ゴム強度、耐摩耗性が悪化するおそれがある。また、シリカ(1)のN2SAは、120m2/g未満、好ましくは100m2/g以下、より好ましくは80m2/g以下である。120m2/g以上であると、シリカ(1)及び(2)の併用による効果が充分に得られないおそれがある。
シリカ(2)のN2SAは、120m2/g以上、好ましくは150m2/g以上である。120m2/g未満であると、シリカ(1)及び(2)の併用による効果が充分に得られないおそれがある。また、シリカ(2)のN2SAは、好ましくは250m2/g以下、より好ましくは220m2/g以下である。250m2/gを超えると、低燃費性が悪化する傾向がある。
シリカ(1)及び(2)は、含有量が下記式を満たすことが好ましい。
(シリカ(1)の含有量)×0.2≦(シリカ(2)の含有量)≦(シリカ(1)の含有量)×6.5
シリカ(2)の含有量がシリカ(1)の含有量の0.2倍未満では、充分なゴム強度が得られない傾向がある。また、シリカ(2)の含有量がシリカ(1)の含有量の6.5倍を超えると、転がり抵抗が増大する傾向がある。なお、シリカ(2)の含有量は、シリカ(1)の含有量の0.3倍以上がより好ましく、0.5倍以上がさらに好ましい。また、シリカ(2)の含有量は、シリカ(1)の含有量の5.5倍以下がより好ましく、4.0倍以下がさらに好ましい。
シリカ(1)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。5質量部未満では、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。また、シリカ(1)の含有量は、好ましくは90質量部以下、より好ましくは70質量部以下である。90質量部を超えると、低燃費性は良好であるが、ゴム強度、耐摩耗性が低下する傾向がある。
シリカ(2)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。5質量部未満では、充分なゴム強度、耐摩耗性が得られないおそれがある。また、シリカ(2)の含有量は、好ましくは90質量部以下、より好ましくは70質量部以下である。90質量部を超えると、ゴム強度、耐摩耗性は良好であるが、低燃費性が悪化する傾向がある。
シリカ(1)及び(2)の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、10質量部以上、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上である。10質量部未満であると、シリカ(1)及び(2)を配合した効果が充分に得られず、耐摩耗性やゴム強度が低下する傾向がある。また、シリカ(1)及び(2)の合計含有量は、150質量部以下、好ましくは120質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下である。150質量部を超えると、ゴム組成物中において、シリカを均一に分散することが困難になり、加工性が悪化するだけでなく、転がり抵抗も増大する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、上述の薬品以外の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、公知のものを用いることができ、硫黄などの加硫剤;チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤などの加硫促進剤;ステアリン酸、酸化亜鉛などの加硫活性化剤;ジクミルパーオキシド、ジターシャリブチルパーオキシドなどの有機過酸化物;カーボンブラックなどの補強剤;炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカなどの充填剤;シランカップリング剤;伸展油;加工助剤;老化防止剤;滑剤を例示することができる。
上記硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄があげられる。硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部であり、より好ましくは0.3〜10質量部であり、更に好ましくは0.5〜5質量部である。
上記加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジサルファイド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなどのチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジンなどのグアニジン系加硫促進剤をあげることができる。加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部であり、より好ましくは0.2〜3質量部である。
上記カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどをあげることができる。カーボンブラックとしては、EPC、MPC及びCCのようなチャンネルカーボンブラック;SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、SRF、GPF、APF、FF、CF、SCF及びECFのようなファーネスカーボンブラック;FT及びMTのようなサーマルカーボンブラック;アセチレンカーボンブラックが例示される。これらは1種以上用いることができる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは、5〜200m2/gであり、また、カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸収量は、好ましくは、5〜300ml/100gである。該窒素吸着比表面積は、ASTM D4820−93に従って測定され、該DBP吸収量は、ASTM D2414−93に従って測定される。市販品としては、三菱化学社製 商品名 ダイアブラックN339、東海カーボン社製 商品名 シースト6、シースト7HM、シーストKH、デグッサ社製 商品名 CK3、Special Black 4Aなどを用いることができる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部である。また、該含有量は、耐摩耗性及び強度を高めるために、より好ましくは3質量部以上であり、更に好ましくは4質量部以上である。また、低燃費性を高めるために、より好ましくは30質量部以下であり、更に好ましくは10質量部以下である。
補強剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10〜150質量部である。また、該含有量は、耐摩耗性及び強度を高めるために、より好ましくは20質量部以上であり、更に好ましくは30質量部以上である。また、低燃費性を高めるために、より好ましくは120質量部以下であり、更に好ましくは100質量部以下である。
また、補強剤として用いるシリカの含有量とカーボンブラックの含有量との質量比(シリカの含有量:カーボンブラックの含有量)としては、2:1〜50:1であることが好ましい。該質量比は、低燃費性を高めるため、及び、補強性を高めるために、5:1〜20:1であることがより好ましい。
上記シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどをあげることができる。これらは1種以上用いられる。市販品としては、デグッサ社製 商品名 Si69、Si75などを用いることができる。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部であり、より好ましくは2〜15質量部であり、更に好ましくは5〜10質量部である。
上記伸展油としては、アロマチック系鉱物油(粘度比重恒数(V.G.C.値)0.900〜1.049)、ナフテン系鉱物油(V.G.C.値0.850〜0.899)、パラフィン系鉱物油(V.G.C.値0.790〜0.849)などをあげることができる。伸展油の多環芳香族含有量は、好ましくは3質量%未満であり、より好ましくは1質量%未満である。該多環芳香族含有量は、英国石油学会346/92法に従って測定される。また、伸展油の芳香族化合物含有量(CA)は、好ましくは20質量%以上である。これらの伸展油は、1種以上用いられる。
本発明のゴム組成物を製造する方法としては、公知の方法、例えば、各成分をロールやバンバリーのような公知の混合機で混練する方法を用いることができる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を配合する場合、混練温度は、通常50〜200℃であり、好ましくは80〜190℃であり、混練時間は、通常30秒〜30分であり、好ましくは1分〜30分である。加硫剤、加硫促進剤を配合する場合、混練温度は、通常100℃以下であり、好ましくは室温〜80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を配合した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理を行って用いられる。加硫温度としては、通常120〜200℃、好ましくは140〜180℃である。
本発明のゴム組成物は、低燃費性、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性が高次元でバランス良く得られる。
本発明のゴム組成物は、タイヤのトレッド(キャップトレッド)に使用される。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤのトレッドの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧して、本発明の空気入りタイヤを製造できる。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤとして好適に用いることができる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
<重合体製造例1>
内容積5リットルの撹拌装置付きステンレス製重合反応器内を、洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した。次に、工業用ヘキサン(密度680kg/m3)2.55kg、1,3−ブタジエン137g、スチレン43g、tert−ブトキシジフェニルビニルシラン0.81g、テトラヒドロフラン1.52ml、エチレングリコールジエチルエーテル1.18mlを重合反応器内に投入した。次に、n−ブチルリチウム2.88mmolをn−ヘキサン溶液として重合反応器内に投入し、重合反応を開始した。
撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃とし、単量体を重合反応器内に連続的に供給しながら、1,3−ブタジエンとスチレンとtert−ブトキシジフェニルビニルシランとの共重合を2時間行った。1,3−ブタジエンの供給量は205g、スチレンの供給量は65gであった。また、重合反応器に投入・供給した単量体総量中、tert−ブトキシジフェニルビニルシランの投入量は、0.18重量%であった。
メタノール0.2mlを含むヘキサン溶液10mlを重合体溶液に加えて、更に重合体溶液を5分間撹拌した。
重合体溶液に2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製、商品名:スミライザーGM)1.8g、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(住友化学社製、商品名:スミライザーTP−D)0.9gを加え、次に、重合体溶液を、常温、24時間で蒸発させ、更に55℃で12時間減圧乾燥し、重合体1を得た。
<重合体製造例2>
内容積20リットルの撹拌装置付きステンレス製重合反応器を、洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した。次に、工業用ヘキサン(密度680kg/m3)10.2kg、1,3−ブタジエン608g、スチレン192g、テトラヒドロフラン6.1ml、エチレングリコールジエチルエーテル4.0mlを重合反応器内に投入した。次に、n−ブチルリチウム12.40mmolをn−ヘキサン溶液として重合反応器内に投入し、重合反応を開始した。
撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃とし、単量体を重合反応器内に連続的に供給しながら、1,3−ブタジエンとスチレンの共重合反応を3時間行った。1,3−ブタジエンの供給量は912g、スチレンの供給量は288gであった。メタノール0.8mlを含むヘキサン溶液20mlを重合体溶液に加えて、更に重合体溶液を5分間撹拌した。
重合体溶液に2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製、商品名:スミライザーGM)8.0g、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(住友化学社製、商品名:スミライザーTP−D)4.0gを加え、次に、重合体溶液を、常温、24時間で蒸発させ、更に55℃で12時間減圧乾燥し、重合体2を得た。
得られた重合体1、2について、下記の方法により分析した。結果は表1に示す。
(ムーニー粘度(ML1+4))
JIS K6300(1994)に従って、100℃にて重合体のムーニー粘度を測定した。
(ビニル結合量(単位:モル%))
赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm−1付近の吸収強度より重合体のビニル結合量を求めた。
(スチレン単位の含量(単位:質量%))
JIS K6383(1995)に従って、屈折率から重合体のスチレン単位の含量を求めた。
(分子量分布(Mw/Mn))
下記の条件(i)〜(viii)でゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、重合体の分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
(i)装置:東ソー社製HLC−8220
(ii)分離カラム:東ソー社製HM−H(2本直列)
(iii)測定温度:40℃
(iv)キャリア:テトラヒドロフラン
(v)流量:0.6mL/分
(vi)注入量:5μL
(vii)検出器:示差屈折
(viii)分子量標準:標準ポリスチレン
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
天然ゴム(NR):RSS#3
ブタジエンゴム(BR):宇部興産(株)製のウベポールBR150B
重合体1、2:上記製造例1、2で得た重合体
シリカ(1):デグッサ社製のウルトラシルU360(平均一次粒子径:28nm、N2SA:50m2/g)
シリカ(2):デグッサ社製のウルトラシルVN3(平均一次粒子径:15nm、N2SA:175m2/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックN220(N2SA:111m2/g、DBP吸収量:115ml/100g)
オイル:(株)ジャパンエナジー製のX−140
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン3C
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:住友化学(株)製のソクシノールCZ
加硫促進剤2:住友化学(株)製のソクシノールD
<実施例及び比較例>
表2に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で20分間、0.5mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃で12分間加硫し、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。
得られた加硫ゴム組成物及び試験用タイヤについて、下記の評価を行った。結果は表2に示す。
(tanδ)
シート状の加硫成形体から幅1mmまたは2mm、長さ40mmの短冊上試験片を打ち抜き、試験に供した。測定は、粘弾性測定装置(上島製作所社製)によって、歪み1%及び周波数10Hzの条件下で、温度70℃での試験片の損失正接(tanδ(70℃))を測定した。比較例1を100とした時の指数で表示した。指数は大きい方が良好(低燃費性)である。
(転がり抵抗)
転がり抵抗試験機を用い、試験タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例1を100とした時の指数で表示した。指数は大きい方が良好(低燃費性)である。
(ウェットグリップ性能)
各試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着して、湿潤アスファルト路面にて初速度100km/hからの制動距離を求めた。結果は指数で表し、数字が大きいほどウェットスキッド性能(ウェットグリップ性能)が良好である。指数は次の式で求めた。
ウェットスキッド性能=(比較例1の制動距離)/(各配合の制動距離)×100
(耐摩耗性)
LAT試験機(Laboratory Abrasion and Skid Tester)を用い、荷重50N、速度20km/h、スリップアングル5°の条件にて、各加硫ゴム組成物の容積損失量を測定した。表2の数値(LAT指数)は、比較例1の容積損失量を100としたときの相対値である。当該数値が大きいほど耐摩耗性に優れている。
比較例1、2及び4と実施例1の評価結果などから、本発明における特定の変性共役ジエン系重合体と、シリカ(1)及び(2)の混合物とを併用することにより、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性の性能バランスを相乗的に改善できた。