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JP5999120B2 - 光書込装置、及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光書込装置、及び当該光書込装置を備える画像形成装置に関する。
従来、光学素子として屈折率分布型ロッドレンズアレイ(SLA(登録商標);Selfoc(登録商標) Lens Array)を用いた光書込装置が知られている。SLAは、複数のロッドレンズが配列されているため、加工誤差やロッドレンズアレイ取り付け時の反りや歪みによりロッドレンズから発光点までの光軸方向における距離が場所によって変化してしまうと、像面上での結像性能に誤差が発生し、画像劣化の原因となる。
上記課題を解決すべく、例えば、収束性ロッドレンズアレイのロッドレンズの端面が同一平面上に位置するようにその配列を矯正した状態で、収束性ロッドレンズアレイの少なくとも一側面に抑制板を沿わせて、両者の間に接着剤を満たして固定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、近年、SLAの光源としてOLED(Organic Light-Emitting Diode)を用いた光書込装置が知られている。光源としてLED(Light Emitting Diode)を用いたLEDプリントヘッド(LPH)の場合、複数の光源ブロックを繋ぎ合わせて1つのライン発光素子とする構成であるため、光源ブロック間の発光点バラツキや光源ブロック間の配置誤差による発光ムラが生じるという問題がある。これに対して、OLEDの光源は、1つの光源として製造できるため、LPHで最大の課題となっている発光ムラを解消することができる。
特開昭63−91602号公報
しかしながら、OLEDの光源基板は、その製造プロセスの中で高温にさらされるため、ベース基板となるガラスには特に線膨張係数の小さいものを採用する必要がある。即ち、OLEDはその基板が非常に線膨張係数の小さい物質であり、SLAの線膨張係数と大きく異なるうえ、光源基板及びSLAは長尺形状であるため、周囲環境の温度変化による長尺方向の熱膨張量の差が大きな課題となっている。なお、図11は、光源基板1とSLA2との熱膨張量の差を示す図であり、矢印D1の長さが光源基板1の、矢印D2の長さがSLA2の熱膨張量の大きさをそれぞれ示している。光源基板1とSLA2との間で熱膨張量の差が生じると、光源基板1上の発光点とSLA2内のロッドレンズとの間で相対位置ずれが発生し、結果として画像の劣化を引き起こしてしまうという問題がある。
また、光源基板1とSLA2との線膨張係数差だけではなく、SLA2と当該SLA2を保持するホルダーとの線膨張係数差も、発光点とロッドレンズとの相対位置ずれの大きな要因となる。
一般に、光源基板1は、ロッドレンズの光軸と略垂直な平面でホルダーと接着されるため、ホルダーの座面の座面精度を高くすることが容易である。従って、光源基板1は、ホルダーに沿わせて薄層接着することができる。一方、SLA2は、図12に示すように、光軸と略平行な両側面、即ち、角筒形状に形成されたホルダー3の内側面でホルダー3と接着されるが、ホルダー3は成形により作成されるため、ホルダー3の内側面に抜き勾配がついてしまう。このため、SLA2をホルダー3に沿わせて薄層接着すると、ロッドレンズの傾きやねじれが発生してしまい、光学性能の劣化につながる。従って、SLA2は、十分な厚みをもった厚肉の接着剤E1でホルダー3と接着される。
光源基板1とホルダー3とは薄層接着されているため、剛性の弱い接着剤層が薄く、環境温度が変化しても両者の長尺方向中心位置の位置ずれは発生しにくい。一方、SLA2とホルダー3とは厚肉接着されているため、剛性の弱い接着剤層が厚く且つ接着剤の塗布量ムラや接着剤硬化時の応力のたまり具合によりアンカーとなる接着位置にばらつきが生じることから、SLA2とホルダー3との線膨張係数差により長尺方向中心位置の位置ずれが発生する虞がある(図12の矢印D3参照)。
また、上記特許文献1記載の技術では、SLAに抑制板を貼り付けてSLAの光軸方向の反りや歪みを抑制しているが、抑制板の線膨張係数については記載がなく、抑制板を貼り付けたとしても、依然としてSLAとホルダーとの線膨張係数差を解消することができないため、SLAとホルダーとの線膨張係数差による位置ずれの発生を防止することができない。また、特許文献1には、抑制板をSLAに均一に沿わせるための技術について記載がなく、図13に示すように、SLA2と抑制板4の間の接着剤E2層の厚みを均一にすることができないため、環境温度が変化した際に局所的にせん断応力が発生し、特に接着剤E2の薄層部分に剥がれが発生する結果、SLA2に湾曲や歪みが発生するという問題がある。
本発明は、環境温度が変化した場合であっても、発光点とロッドレンズとの間の相対位置ずれを防止するとともに、抑制板を貼り付けたことによるロッドレンズアレイの湾曲や歪みの発生を防止することが可能な光書込装置、及び当該光書込装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
光書込装置において、
一の基板上に複数の光源を備える光源基板と、
前記光源から出射された光を像担持体上に集光させるとともに、前記光源基板の基板よりも線膨張係数が大きいロッドレンズアレイと、
前記光源基板及び前記ロッドレンズアレイを保持するホルダーと、
前記ロッドレンズアレイ内のロッドレンズの光軸方向と平行な両長尺面に薄層の接着剤で貼り付けられる抑制板と、
を備え、
前記光源基板は、直接又は中間部材を介して、薄層の接着剤で前記ホルダーに接着され、
前記ロッドレンズアレイは、前記抑制板を介して薄層よりも厚い接着剤で前記ホルダーに接着され、
前記抑制板は、前記光軸方向の長さよりも前記ロッドレンズアレイの長尺面に垂直な方向の長さの方が短くなるように形成され、
前記抑制板及び前記ホルダーの線膨張係数は、前記ロッドレンズアレイの線膨張係数よりも小さいことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光書込装置において、
前記抑制板は、前記光軸方向に沿って前記長尺面に垂直な方向の長さが一定であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光書込装置において、
前記抑制板の前記ロッドレンズアレイと貼り付けられる側の面には、前記光軸方向に延在する複数の凹部が長尺方向に沿って設けられていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の光書込装置において、
前記複数の凹部は、切削処理により形成されることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の光書込装置において、
前記複数の凹部は、前記長尺方向に沿って一定の周期で設けられていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光書込装置において、
前記ロッドレンズアレイに前記抑制板を貼り付けたロッドレンズアレイユニットの合成線膨張係数と前記ホルダーの線膨張係数との差は、前記基板の線膨張係数と前記ホルダーの線膨張係数との差よりも小さいことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の光書込装置において、
前記抑制板は、板金部材であり、当該抑制板の線膨張係数と前記ホルダーの線膨張係数との差は、前記基板の線膨張係数と前記ホルダーの線膨張係数との差よりも小さいことを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光書込装置において、
前記抑制板は、前記光軸方向において、前記ロッドレンズアレイよりも幅広となるように形成されていることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光書込装置において、
前記抑制板は、前記ロッドレンズアレイの光軸方向の中心を通り且つ前記光軸方向と垂直な平面に対して、対称となるように貼り付けられていることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の光書込装置において、
前記抑制板は、前記ロッドレンズアレイの長尺面と垂直な方向の中心を通り且つ前記ロッドレンズアレイの長尺面と平行な平面に対して、対称となるように貼り付けられていることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、
画像形成装置において、
像担持体と、
前記像担持体を帯電させる帯電部と、
前記帯電部により帯電された前記像担持体に対して光を照射することで前記像担持体上に静電潜像を形成する請求項1〜10のいずれか一項に記載の光書込装置と、
前記光を照射された前記像担持体に現像剤を供給することで前記静電潜像を現像剤による像に顕像化する現像部と、
前記現像剤による像を用紙に転写する転写部と、
前記転写部により転写された前記現像剤による像を前記用紙に定着する定着部と、
を備えることを特徴とする。
本発明によれば、環境温度が変化した場合であっても、発光点とロッドレンズとの間の相対位置ずれを防止することができる。また、抑制板を貼り付けたことによるロッドレンズアレイの湾曲や歪みの発生を防止することができる。
本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。 本実施形態に係る光プリントヘッドの全体構成を示す斜視図である。 図2のIII−III部の一例を示す断面図である。 抑制板が貼り付けられたロッドレンズアレイの概略構成を示す平面図及び側面図である。 光源基板の概略構成を示す平面図である。 ロッドレンズアレイに抑制板を貼り付けた際の余剰接着剤が凹部に流れ込む様子の一例を示す平面図である。 ロッドレンズアレイの膨張しようとする力と抑制板により膨張を収縮する力との関係を示す図である。 変形例1に係る光プリントヘッドの全体構成を示す斜視図である。 図8のIX−IX部の一例を示す断面図である。 変形例2に係る光プリントヘッドの概略構成を示す断面図である。 光源基板とロッドレンズアレイとの熱膨張量の差を示す図である。 ロッドレンズアレイとホルダーとの線膨張係数差により長尺方向中心位置の位置ずれが発生する様子の一例を示す図である。 ロッドレンズアレイと抑制板の間の接着剤層の厚みが不均一である様子の一例を示す図である。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
本実施形態に係る画像形成装置1000は、例えば、プリンターやデジタル複写機等として用いられ、図1に示すように、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの色毎に設けられた複数の光プリントヘッド(光書込装置)100と、光プリントヘッド100に対応して設けられた感光体ドラム等の像担持体200と、像担持体200を帯電させる帯電部210と、光を照射された像担持体200に現像剤を供給することで静電潜像を現像剤による像に顕像化する現像部220と、中間転写ベルト300と、現像剤による像を用紙Pに転写する転写ローラー(転写部)400と、転写ローラー400により転写された現像剤による像を用紙Pに定着する定着部500と、等を備えて構成される。
画像形成装置1000は、光プリントヘッド100より照射される光によって像担持体200に静電潜像を形成させる。次に、画像形成装置1000は、静電潜像が形成された像担持体200に現像剤を供給することで当該静電潜像を現像剤による像に顕像化し、中間転写ベルト300上に当該現像剤による像を転写させる。次に、画像形成装置1000は、中間転写ベルト300に転写された現像剤による像を転写ローラー400によって用紙Pに押圧して転写させる。次に、画像形成装置1000は、定着部500によって用紙Pを加熱及び加圧することで、現像剤による像を用紙P上に定着する。そして、画像形成装置1000は、用紙Pを排紙ローラー(図示省略)等により搬送してトレイ(図示省略)に排紙することで画像形成処理を行う。
光プリントヘッド100は、図1〜図3に示すように、帯電部210により帯電された像担持体200に対して光Lを照射することで像担持体200上に静電潜像を形成する装置である。光プリントヘッド100は、光Lを出射させる発光素子(光源)112(図5参照)を複数備える光源基板11と、光源基板11に備えられた複数の発光素子112から出射された光Lを像担持体200上に集光させるロッドレンズアレイである屈折率分布型ロッドレンズアレイ12(以下、SLA12)と、SLA12の光軸方向の反りや歪みを抑制するためにSLA12に貼り付けられた抑制板14と、を備え、これらをホルダー13で保持するように構成されている。
以下の説明では、図2〜図4等に示すSLA12の長尺方向をX方向、短尺方向をY方向、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。また、図2〜図4等に示す光プリントヘッド100において、位置決めピン16(図2参照)が突出する側を上側、上側と反対方向を下側とする。本実施形態では、光プリントヘッド100の光源基板11から、Z方向上方に向けて光Lが出射されるようになっている。即ち、Z方向は、光Lの光軸方向と一致する。
なお、図4については、SLA12及び抑制板14以外の構成の記載を省略している。
光源基板11は、図5に示すように、略矩形状に形成された基板111上に、複数の発光素子112が略直線上に1列並べられて構成されている。なお、複数の発光素子112を略直線上に短尺方向(Y方向)に沿って複数列(例えば、3列)並べるように構成してもよい。複数の発光素子112が複数列並べられる場合は千鳥状に配列され、光源基板11のY方向で発光素子112が重ならないように、長尺方向(X方向)に少しずつずらして配列される。また、本実施形態では、発光素子112として、OLEDが用いられており、光源基板11の基板111は、線膨張係数の小さいガラス(例えば、無アルカリガラス)により形成されている。
また、光源基板11は、SLA12内のロッドレンズ121、…の光軸方向(Z方向)と略垂直な平面(XY平面)において、薄層の接着剤A1でホルダー13に接着されている。接着剤A1は、例えば、紫外線硬化型の接着剤である。
SLA12は、光源基板11と像担持体200の間に配置され、複数のロッドレンズ121、…が光源基板11上の複数の発光素子112の列方向と略平行に並べられて構成されている。複数のロッドレンズ121、…の各々は、中心軸、即ち、光軸での屈折率が低く、中心軸から離れるほど屈折率が高くなるように形成されている。光源基板11の複数の発光素子112から出射された光束は、SLA12の複数のロッドレンズ121、…を透過し、像担持体200の表面上に微小なスポットとして結像されるようになっている。また、SLA12は、例えば、FRP(Fiber Reinforced Plastics)により形成され、光源基板11の基板111よりも線膨張係数が大きくなっている。
また、SLA12は、抑制板14を介して十分な厚みをもった、即ち、薄層よりも厚い接着剤A2でホルダー13に接着されている。接着剤A2は、例えば、紫外線硬化型の接着剤である。ここで、SLA12を薄層よりも厚い接着剤A2でホルダー13に接着するのは、ホルダー13の内側面についた抜き勾配の影響を排除するためである。
ホルダー13は、SLA12よりも線膨張係数の小さい材料、例えば、液晶ポリマーにより形成され、光源基板11と、SLA12と、を保持可能に構成されている。なお、ホルダー13の材質は、液晶ポリマーに限定されるわけではなく、他の樹脂や金属を使用するようにしてもよい。
また、ホルダー13は、ベースホルダー15によりZ方向下方から保持されている。ベースホルダー15は、位置決めピン16により画像形成装置1000本体の取付部(図示省略)に位置決めされ、Z方向下方からスプリング等の弾性部材(図示省略)により押圧固定される。
抑制板14は、SLA12よりも線膨張係数が小さく、且つ無アルカリガラス(光源基板11の基板111)よりも線膨張係数が大きいステンレス鋼(SUS430)等の板金を加工して形成され、SLA12のY方向の両側面に1枚ずつ計2枚、薄層の接着剤A3で貼り付けられている。接着剤A3は、例えば、シアノアクリレート系の接着剤である。なお、抑制板14は、上記の板金を加工して形成するものに限られず、ガラス材(フロート板ガラス等)を加工して形成してもよい。また、接着剤A3は、シアノアクリレート系に限定されるものではなく、紫外線硬化型接着剤、嫌気硬化型、二液混合型等、抑制板14の材質や形状によって最適なものを選定するのが好ましい。
また、抑制板14は、SLA12内のロッドレンズ121、…の光軸方向(Z方向)の長さよりも、SLA12の長尺面に垂直な方向(Y方向)の長さの方が短くなるように形成されている。また、抑制板14は、Y方向の剛性を強めることを回避すべく、Z方向に沿ってY方向の長さが一定である。
なお、本実施形態では、SLA12に抑制板14を貼り付けたものをSLAユニット(ロッドレンズアレイユニット)17と称する。
また、抑制板14のSLA12と貼り付けられる側の面には、図4及び図6に示すように、Z方向に延在する複数の凹部141、…が長尺方向(X方向)に沿って設けられている。複数の凹部141、…は、抑制板14を製造する際のいずれかの工程において、切削処理により形成される。なお、加工方法は、切削処理に限定されるものではなく、表面処理若しくはプレス加工等でもよい。本実施形態では、抑制板14に複数の凹部141、…が設けられていることにより、抑制板14をSLA12に貼り付けた際の余剰接着剤が複数の凹部141、…に流れ込むようになっている(図6参照)。なお、複数の凹部141、…をX方向に沿って一定の周期で設けるようにして、環境温度変化時に抑制板14とSLA12との接着部にかかるせん断応力を均一化することが好ましい。
また、複数の凹部141、…の幅を小さくして接着部の面積の極端な減少を防ぐことが好ましいが、接着剤A3の粘性や組立作業時の余剰接着剤の発生量等に応じて複数の凹部141、…の幅を設定することが好ましい。
次に、本実施形態に係る光プリントヘッド100の作用について説明する。
光プリントヘッド100のSLA12は、図7に示すように、光源基板11やホルダー13と比べて線膨張係数が大きいため、環境温度が上昇すると、X方向に膨張しようとする(図7の矢印B1参照)。しかしながら、SLA12にはSLA12よりも線膨張係数の小さい抑制板14が貼り付けられているため、SLA12に比べて膨張量が小さく現状を維持しようとする抑制板14により、SLA12の膨張を収縮する力が働く(図7の矢印B2参照)。従って、SLA12に抑制板14を貼り付けたSLAユニット17の合成線膨張係数は、SLA12の線膨張係数よりも小さくなる。ここで、SLAユニット17の合成線膨張係数とは、SLAユニット17の長尺方向の見た目上の線膨張係数のことであり、より具体的には、SLA12の膨張量と、SLA12の膨張に対するSLA12に貼り付けられた抑制板14による収縮量と、の合算値に応じた係数のことである。本実施形態では、光源基板11及びSLA12を保持するホルダー13の線膨張係数は、SLA12の線膨張係数よりも小さくなるように設定されている。
ここで、SLA12に抑制板14を貼り付けたSLAユニット17の合成線膨張係数とホルダー13の線膨張係数との差を、光源基板11の基板111の線膨張係数とホルダー13の線膨張係数との差よりも小さくして、ホルダー13の線膨張係数とSLAユニット17の合成線膨張係数とが比較的近い線膨張係数となるように設定することで、環境温度が変化した際のSLA12とホルダー13との線膨張係数差による中心位置ずれを抑制することができる。なお、ホルダー13の線膨張係数とSLAユニット17の合成線膨張係数とが略同一の線膨張係数となるように設定されていればより好ましい。
本実施形態では、抑制板14が板金部材で形成されており、抑制板14のヤング率は、FRPにより形成されたSLA12と比べても極めて高いことから、SLAユニット17の合成線膨張係数は、抑制板14の線膨張係数と近接する。即ち、抑制板14の線膨張係数とホルダー13の線膨張係数との差を、基板111の線膨張係数とホルダー13の線膨張係数との差よりも小さくすることで、SLAユニット17の合成線膨張係数とホルダー13の線膨張係数とを近接させることができる。
また、光プリントヘッド100のSLA12は、抑制板14に複数の凹部141、…が設けられており、抑制板14をSLA12に貼り付ける際に、余剰接着剤が凹部141、…に流れ込むようになっている(図6参照)。これにより、接着剤の薄層化を妨げられることがなく、的確な薄層接着を実施することができる。なお、複数の凹部141、…を周期的に設けるようにすれば、環境温度変化時に抑制板14とSLA12との接着部にかかるせん断応力を均一化することができる。
以上のように、本実施形態に係る光プリントヘッド100は、一の基板111上に複数の発光素子112(光源)を備える光源基板11と、発光素子112から出射された光Lを像担持体200上に集光させるとともに、光源基板11の基板111よりも線膨張係数が大きいSLA12(ロッドレンズアレイ)と、光源基板11及びSLA12を保持するホルダー13と、SLA12内のロッドレンズ121、…のZ方向(光軸方向)と平行な両長尺面に薄層の接着剤A3で貼り付けられる抑制板14と、を備える。また、光源基板11は、直接薄層の接着剤A1でホルダー13に接着される。また、SLA12は、抑制板14を介して薄層よりも厚い接着剤A2でホルダー13に接着される。さらに、抑制板14は、Z方向の長さよりもY方向(SLA12の長尺面に垂直な方向)の長さの方が短くなるように形成され、抑制板14及びホルダー13の線膨張係数は、SLA12の線膨張係数よりも小さい。
即ち、本実施形態に係る光プリントヘッド100によれば、抑制板14のZ方向の長さよりもY方向の長さの方を短くすることで、SLA12の光軸方向の強度を十分に保ちつつ、抑制板14をSLA12の長尺面にぴったりと沿わせて接着することができる。従って、SLA12と抑制板14とを接着する接着剤層が厚くなってSLA12と抑制板14との線膨張係数差が吸収されることを防ぐことができ、より的確にSLA12の線膨張係数を低減することができる。
また、SLA12と抑制板14との間の接着剤層の厚みを均一にすることができるため、環境温度が変化した際の局所的なせん断応力の発生による剥がれの発生を防止できることとなって、更にSLA12の線膨張係数を的確に低減することができるとともに、部分剥がれによるSLAユニット17の湾曲や歪みの発生を防止することができる。
また、抑制板14の線膨張係数をSLA12よりも小さいものにすることで、SLA12の線膨張係数を低減することができる。これにより、SLAユニット17の合成線膨張係数とホルダー13の線膨張係数とが近接することとなり、環境温度変化時のSLA12の中心位置ずれを防止して、ロッドレンズ121、…と発光点の相対位置ずれを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態に係る光プリントヘッド100によれば、抑制板14は、Z方向に沿ってY方向の長さが一定であるので、抑制板14のY方向の剛性が過剰に強まることを防止することができる。これにより、SLA12に密着した状態で抑制板14を接着することができるので、より的確にSLA12の線膨張係数を低減することができる。
また、本実施形態に係る光プリントヘッド100によれば、抑制板14のSLA12と貼り付けられる側の面には、Z方向に延在する複数の凹部141、…がX方向(長尺方向)に沿って設けられているので、抑制板14をSLA12に貼り付けた際に、過剰に充填された接着剤A3を複数の凹部141、…に逃がすことができる。これにより、抑制板14とSLA12とが厚肉の接着になることを防止できるとともに、抑制板14のZ方向の剛性を下げることなくY方向の剛性のみを下げることができる。従って、更に密着した状態で抑制板14を接着することができるので、的確にSLA12の線膨張係数を低減することができる。
また、複数の凹部141、…に流れ込んだ接着剤A3がアンカーとしての効果を発揮するため、接着剤A3層と抑制板14との接着力が向上し、剥がれの発生を抑制することができる。
また、本実施形態に係る光プリントヘッド100によれば、複数の凹部141、…は、切削処理により形成されるので、複数の凹部141、…の形成を容易に且つ安価で行うことができる。
また、本実施形態に係る光プリントヘッド100において、複数の凹部141、…を、X方向に沿って一定の周期で設けることで、抑制板14によりSLA12の線膨張係数を抑制する際に、抑制板14とSLA12との熱膨張量の差に起因する接着界面でのせん断応力を均一化することができる。これにより、局所的な応力集中による剥がれの発生を防止することができるので、剥がれに伴う湾曲や歪みの発生を防止することができる。
また、本実施形態に係る光プリントヘッド100において、SLA12に抑制板14を貼り付けたSLAユニット17の合成線膨張係数とホルダー13の線膨張係数との差を、基板111の線膨張係数とホルダー13の線膨張係数との差よりも小さくすることで、SLA12とホルダー13との長尺方向中心位置の位置ずれを防止することができる。これにより、SLA12と光源基板11との長尺方向中心位置の位置ずれも防止することができるので、SLA12の中心位置と光源基板11の中心位置との相対位置ずれによる光学性能の劣化を抑制することができる。
また、本実施形態に係る光プリントヘッド100において、板金部材である抑制板14の線膨張係数とホルダー13の線膨張係数との差を、基板111の線膨張係数とホルダー13の線膨張係数との差よりも小さくすることで、SLAユニット17の合成線膨張係数とホルダー13の線膨張係数とを近接させることができる。これにより、SLA12の中心位置と光源基板11の中心位置との相対位置ずれによる光学性能の劣化を抑制することができる。
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
(変形例1)
例えば、図8及び図9に示す例では、実施形態と比べ、抑制板14A及びホルダー13Aの構造が異なっている。なお、説明の簡略化のため、実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
具体的には、変形例1に係る光プリントヘッド100Aの抑制板14Aは、図9に示すように、SLA12内のロッドレンズ121、…の光軸方向(Z方向)において、SLA12よりも幅広となるように形成されている。これにより、Z方向の補強効果をより向上させることができる。また、Z方向の上下2箇所でそれぞれ薄層よりも厚い接着剤A2、接着剤A4により接着を行うことができるため、SLA12の回転誤差やねじれ歪みの発生を抑制することができる。なお、変形例1では、抑制板14AをZ方向の上下2箇所でホルダー13Aに接着させることに伴い、光源基板11を、Z方向と略垂直な平面(XY平面)において、薄層の接着剤A5で中間部材としてのベースホルダー15に接着させている。即ち、光源基板11は、ベースホルダー15を介して、薄層の接着剤A5でホルダー13に接着される。
また、変形例1に係るホルダー13Aは、図8及び図9に示すように、Y方向の両側面の下部にUV照射窓131が設けられている。変形例1では、接着剤A4により抑制板14Aをホルダー13Aに接着させる際に、このUV照射窓131から紫外線を接着剤A4に対して照射して接着固定させる。UV照射窓131は、接着固定後に封止シール又は比較的柔らかい封止用弾性接着剤等を用いて封止される。
なお、変形例1では、SLA12に抑制板14Aを貼り付けたものをSLAユニット17Aと称する。
以上のように、変形例1に係る光プリントヘッド100Aの抑制板14Aは、Z方向において、SLA12よりも幅広となるように形成されているので、Z方向の外部応力に対する抑制板14Aの強度が向上し、SLAユニット17AをZ方向に歪み難くすることができる。また、ホルダー13AとSLAユニット17Aとの接着箇所に関して、Z方向に幅を持たせることができるので、外部応力によってSLAユニット17Aに回転誤差やねじれ誤差が発生することを抑制することができる。
(変形例2)
また、図10に示す例では、変形例1と比べ、抑制板14Bの構造が異なっている。なお、説明の簡略化のため、実施形態及び変形例1と同様の構成については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
具体的には、変形例2に係る光プリントヘッド100Bの抑制板14Bは、図10に示すように、SLA12のZ方向の中心を通り且つZ方向と垂直な平面(XY平面;図中C1)に対して対称となるように貼り付けられている。
また、変形例2に係る抑制板14Bは、SLA12の長尺面と垂直な方向(Y方向)の中心を通り且つSLA12の長尺面と平行な平面(XZ平面;図中C2)に対して対称となるように形成されている。
なお、変形例2では、SLA12に抑制板14Bを貼り付けたものをSLAユニット17Bと称する。
以上のように、変形例2に係る光プリントヘッド100Bの抑制板14Bは、SLA12のZ方向の中心を通り且つZ方向と垂直な平面に対して、対称となるように貼り付けられている。また、抑制板14Bは、SLA12のY方向の中心を通り且つSLA12の長尺面と平行な平面に対して、対称となるように貼り付けられている。
従って、変形例2に係る光プリントヘッド100Bによれば、周囲の環境温度が変化した際に、SLAユニット17BがZ方向及びY方向に撓むことを抑制することができる。
(その他の変形例)
また、上記実施形態では、抑制板14のSLA12と貼り付けられる側の面に、Z方向に延在する複数の凹部141、…を設けるようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、抑制板14に複数の凹部141、…を設ける代わりに、SLA12の抑制板14が貼り付けられる側の面に、Z方向に延在する複数の凹部を設けるようにしてもよい。
その他、光プリントヘッド及び画像形成装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
1000 画像形成装置
100、100A、100B 光プリントヘッド(光書込装置)
11 光源基板
111 基板
112 発光素子(光源)
12 SLA(ロッドレンズアレイ)
121 ロッドレンズ
13、13A ホルダー
131 UV照射窓
14、14A、14B 抑制板
141 凹部
15 ベースホルダー(中間部材)
16 位置決めピン
17、17A、17B SLAユニット(ロッドレンズアレイユニット)
200 像担持体
210 帯電部
220 現像部
300 中間転写ベルト
400 転写ローラー(転写部)
500 定着部
A1〜A5 接着剤
P 用紙

Claims (11)

  1. 一の基板上に複数の光源を備える光源基板と、
    前記光源から出射された光を像担持体上に集光させるとともに、前記光源基板の基板よりも線膨張係数が大きいロッドレンズアレイと、
    前記光源基板及び前記ロッドレンズアレイを保持するホルダーと、
    前記ロッドレンズアレイ内のロッドレンズの光軸方向と平行な両長尺面に薄層の接着剤で貼り付けられる抑制板と、
    を備え、
    前記光源基板は、直接又は中間部材を介して、薄層の接着剤で前記ホルダーに接着され、
    前記ロッドレンズアレイは、前記抑制板を介して薄層よりも厚い接着剤で前記ホルダーに接着され、
    前記抑制板は、前記光軸方向の長さよりも前記ロッドレンズアレイの長尺面に垂直な方向の長さの方が短くなるように形成され、
    前記抑制板及び前記ホルダーの線膨張係数は、前記ロッドレンズアレイの線膨張係数よりも小さいことを特徴とする光書込装置。
  2. 前記抑制板は、前記光軸方向に沿って前記長尺面に垂直な方向の長さが一定であることを特徴とする請求項1に記載の光書込装置。
  3. 前記抑制板の前記ロッドレンズアレイと貼り付けられる側の面には、前記光軸方向に延在する複数の凹部が長尺方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光書込装置。
  4. 前記複数の凹部は、切削処理により形成されることを特徴とする請求項3に記載の光書込装置。
  5. 前記複数の凹部は、前記長尺方向に沿って一定の周期で設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の光書込装置。
  6. 前記ロッドレンズアレイに前記抑制板を貼り付けたロッドレンズアレイユニットの合成線膨張係数と前記ホルダーの線膨張係数との差は、前記基板の線膨張係数と前記ホルダーの線膨張係数との差よりも小さいことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光書込装置。
  7. 前記抑制板は、板金部材であり、当該抑制板の線膨張係数と前記ホルダーの線膨張係数との差は、前記基板の線膨張係数と前記ホルダーの線膨張係数との差よりも小さいことを特徴とする請求項6に記載の光書込装置。
  8. 前記抑制板は、前記光軸方向において、前記ロッドレンズアレイよりも幅広となるように形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光書込装置。
  9. 前記抑制板は、前記ロッドレンズアレイの光軸方向の中心を通り且つ前記光軸方向と垂直な平面に対して、対称となるように貼り付けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光書込装置。
  10. 前記抑制板は、前記ロッドレンズアレイの長尺面と垂直な方向の中心を通り且つ前記ロッドレンズアレイの長尺面と平行な平面に対して、対称となるように貼り付けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光書込装置。
  11. 像担持体と、
    前記像担持体を帯電させる帯電部と、
    前記帯電部により帯電された前記像担持体に対して光を照射することで前記像担持体上に静電潜像を形成する請求項1〜10のいずれか一項に記載の光書込装置と、
    前記光を照射された前記像担持体に現像剤を供給することで前記静電潜像を現像剤による像に顕像化する現像部と、
    前記現像剤による像を用紙に転写する転写部と、
    前記転写部により転写された前記現像剤による像を前記用紙に定着する定着部と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
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