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JP5998808B2 - レーザレーダ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザレーダ装置に関するものである。
従来より、レーザレーダ装置を用いて監視エリア内に侵入する物体を監視するシステムが提供されている。この種のシステムでは、例えば、レーザレーダ装置内にレーザ光走査部と受光部が設けられており、レーザ光走査部により監視対象となる空間に対してレーザ光の走査を行い、このレーザ光が空間内で物体に照射されたときの当該物体からの反射光を受光部によって検出し、これにより物体の存在を把握している。そして、このように物体からの反射光が検出されたときには、この物体に照射されたレーザ光の照射方向、及び当該レーザ光の発生から反射光の受光までに要した時間に基づいて、空間内での物体の位置を検出し、この検出位置が予め設定された監視エリア内にある場合に、当該物体を侵入物としている。
特開2009−110069公報
ところで、上記のようなレーザレーダ装置を設置して監視エリア内に侵入した物体(侵入者等)を検出しようとした場合、この検出対象物よりも十分小さく本来的に検出されるべきでない拡散物(例えば霧や煙等)が監視エリア内に入り込んだとき、或いはこのような霧等の拡散物が監視エリア内で生じたときにこれらを検出してしまい、個々の拡散物は小さいのであるがレーザレーダ上は纏まって1つの物体に見えてしまうので、その結果、検出対象物が侵入したものと誤判断してしまう虞がある。このような問題は、気候条件の影響を受けやすい屋外に監視エリアを設定する場合などにおいて特に懸念される。
例えば、レーザレーダ装置を屋外に設置し、屋外に設定された監視エリア内に侵入する者を検出しようとした場合、屋外では、霧などが突発的に生じる可能性があり、このような霧が監視エリア内で発生したり、監視エリア外から監視エリア内に入り込んでしまうことが懸念される。このように霧が監視エリア内に入り込んでしまうと、レーザレーダ装置から照射されるレーザ光が監視エリア内の霧(具体的には霧を構成する微小な水滴)で反射して大きな物体として見えてしまうため、霧を侵入者と間違えて判断してしまうことになる。また、監視エリア内に入り込んだ侵入者を検出しようとしたとき、例えば侵入者の前方においてある程度広い範囲で霧が生じているような場合にはこの霧の領域が人と判別されてしまい、実際の侵入者の正確な位置が分からなくなるといった虞もある。
一方、上記問題に関連する技術としては、特許文献1のようなものが提供されている。この特許文献1の技術では、所定の検出エリアに対してレーザ光の走査を周期的に行い、前中後の測定周期において所定程度を超える(周期を超えた、いわば時系列的な)不連続変化が生じている場合に、この不連続情報に対応する距離情報をノイズとして除去している。この特許文献1の技術では、雨滴によってパルスレーザ光の一部が反射された場合に現れるようなパルス(P20、P30)は、同じ測定方向での前中後の測定周期における反射光の受光信号波形に通常は現れないという確率的な考えに基づき、ある測定方向において、ある測定周期に取得された特定の距離データが、これとは同じ測定方向においてその測定周期の前後の測定周期に取得された距離データと大きく異なっている場合に、前記特定の距離データを雨滴や雪などのノイズによるものと判断し、検出対象物(人体)の距離データではないものとして除去している。
しかしながら、上記特許文献1の方法では、測定された物体が雨滴などのノイズであるか、それとも検出対象物(人体)であるかを判断するために、監視エリア内で物体が検出される度に、多周期の波形をリアルタイムで取得、記憶しなければならず、その上で、更にこれらを読み出して比較、判断する処理を行わなければならない。このような方法では、監視エリア内に存在する物体からの反射光を装置側で確認できたとしても、その物体が検出対象物(人体)であるかノイズであるかを判定するために要する処理時間が大きくなってしまうため、装置側で反射光を確認してから判定結果を得るまでに時間がかかってしまい、その結果、検出対象物(人体)の迅速な検出が阻害されてしまうことになる。また、特許文献1で想定する雨滴と比べて霧は動きが遅く、同じ位置に長い時間滞留し続けるという特徴がある。従って、特許文献1の技術を霧が発生する環境下で用いた場合、同じ測定方向において複数の測定周期で連続して霧に照射される可能性があり、このような場合、霧がノイズと判定されずに検出対象物(人体)と誤判定されてしまう。つまり、特許文献1の方法では、霧のように同じ位置に長い時間滞留しつつける拡散物を正確にノイズと判別することができない。
このような問題を解決するべく、本願の発明者が研究を重ねた結果、霧等の拡散物は、粒子が極めて細かく、極めて小さいという特性を有しているため、照射された1本のレーザ光の経路上に霧等の粒子が存在していても、その経路を通るレーザ光の全てが粒子に当たるのではなく、何割かのレーザ光は粒子に当たらずにそのまま前方に進み続けることになるという現象に着目するに至った。このような現象が生じるため、「投光に用いられる回転反射部がいずれかの回転角度にあるときのレーザ光の照射方向において複数の到達位置が検出された場合」、その回転角度に対応する照射方向において、霧等の拡散物などにレーザ光の一部が照射され、残余のレーザ光がその後方の物体(背景等)に照射されたことが想定され、このような二重の検出結果が得られた場合にその回転角度における前側の到達位置の検出結果を検出対象物以外のノイズによるものと判定すれば、霧等に起因するノイズを除去しやすくなることを見出した。なお、図12(A)は、ある方向にレーザ光を照射したときの二重の検出結果を例示するものであり、ある程度遠い距離に存在する霧粒子等からの反射光の波形をP1で示し、その後方の物体からの反射光の波形をP2で示している。
しかしながら、上述のような「二重の検出結果」によってノイズを判定する方法は、霧等の拡散物が非常に近い距離に存在する場合に新たな問題が生じる。例えば装置から非常に近い距離に霧粒子が存在する場合、あまり拡散しない段階でのエネルギー密度の大きい投光レーザが霧粒子で反射することになるため、その反射によって検出手段に導かれる反射光(検出光)のレベルも相当大きくなり、検出手段での受光量が飽和レベルに達しやすくなる。そして、このように検出手段での受光量が一旦飽和レベルに達してしまうと、次の反射光を検出し得る状態になるまで(即ち、検出されている受光量が低レベルに低下するまで)に時間がかかるため、その霧粒子のすぐ後ろに物体が存在する場合には、その物体からの反射光の受光パルスが霧粒子からの受光パルスにかき消されてしまう虞がある(図12(B)の波形P2の例を参照)。このような現象が生じると、検出すべき物体からの反射光を明確に識別できなくなり、検出漏れを生じさせる懸念がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、検出エリア内に霧等の拡散物が存在する場合に、このような拡散物をノイズとして迅速かつ正確に判定することができ、更に、霧等の拡散物が近距離に存在する場合であっても後方の検出対象物をより正確に検出することが可能なレーザレーダ装置を提供することを目的とする。
本発明は、レーザ光を発生させるレーザ光発生手段と、
前記レーザ光発生手段で発生したレーザ光を反射する第1反射部と、前記第1反射部を所定の中心軸を中心として回転させる駆動部とを備え、前記駆動部により前記第1反射部を回転させることで前記第1反射部から外部空間に照射されるレーザ光の向きを変化させる走査手段と、
光を受光する受光領域を有する検出手段と、
前記レーザ光が前記外部空間の物体で反射して生じる反射光を反射可能な反射面を備えると共に回転可能に構成された第2反射部と、前記第2反射部の反射面が前記第1反射部からの前記レーザ光の照射側に面するように前記第1反射部と前記第2反射部とを同期させて回転させる同期手段とを備え、前記第2反射部に入り込む前記反射光を当該第2反射部で反射させて前記検出手段の前記受光領域に導くように構成された誘導手段と、
前記レーザ光発生手段にて前記レーザ光が発生した際の前記第1反射部又は前記第2反射部の回転角度と、当該レーザ光の発生から当該レーザ光に応じた前記反射光が前記検出手段によって検出されるまでの経過時間とに基づいて、前記外部空間における当該レーザ光の到達位置を検出する到達位置検出手段と、
前記到達位置検出手段によって検出された前記到達位置が予め定められた監視エリア内であることを条件として検出対象物が検出されたものと判定する判定手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記第1反射部の1周期の回転範囲におけるいずれかの回転角度にあるときのレーザ光の照射方向において、前記到達位置検出手段によりレーザ光の複数の到達位置が検出された場合に、当該回転角度において最後方の到達位置よりも前側の到達位置の検出結果を前記検出対象物以外のノイズによるものと判定する構成をなしており、
前記誘導手段は、前記第1反射部からの前記レーザ光の照射方向に対し所定角度傾斜した方向で前記第2反射部に入り込む前記反射光が前記検出手段に向けて集光される構成をなし、且つ前記外部空間における前記レーザ光の投光光軸上の所定位置が前記受光領域で受光可能となる視野範囲の中心となる受光光軸上に位置し、前記レーザ光の投光光軸において前記所定位置から前記第1反射部に近づくほど、前記受光光軸から離れることを特徴とする。
請求項1の発明では、誘導手段は、第1反射部からのレーザ光の照射方向に対し所定角度傾斜した方向で第2反射部に入り込む反射光が検出手段に向けて集光される構成をなし、且つ外部空間におけるレーザ光の投光光軸上の所定位置が受光領域で受光可能となる視野範囲の中心となる受光光軸上に位置し、レーザ光の投光光軸において所定位置から第1反射部に近づくほど、受光光軸から離れるようになっている。つまり、装置付近では、レーザ光の投光光軸が受光光軸から相対的に大きく離れ、装置からある程度離れた所定位置ではレーザ光の投光光軸が受光光軸上に位置し、この付近では投光光軸と受光光軸とが非常に近くなる。
このように投光光軸上の所定位置が受光光軸上に位置する構成では、所定位置付近の物体でレーザ光が反射したときの反射光のうち、反射位置中心部(投光光軸付近)からの相対的に強い反射光は検出手段における受光領域の中心部に入り込みやすくなり、更にその中心部周囲からの反射光も受光領域中心部の周囲で受光されやすくなる。
一方、レーザ光の投光光軸において所定位置から第1反射部に近づくほど、受光光軸から離れるようになっているため、より第1反射部に近い物体(即ち装置に近い物体)でレーザ光(投光レーザ)が反射するときには、その反射位置中心部(投光光軸付近)からの相対的に強い反射光は、検出手段において受光領域の中心部からより離れた位置に入り込みやすくなり、これに応じて、その中心部(投光光軸)の周囲で反射して受光領域に入り込もうとする反射光の受光位置もシフトする。
つまり、この構成では、反射位置が装置に近くなるほど、反射光の入射領域を全体的に受光領域の中心からずらすことができるため、相対的に近い位置(少なくとも第1反射部から前記所定位置までの間において、より装置側の位置)に存在する物体からの反射光は、これよりも遠い位置に存在する物体からの反射光を受光する場合に比べて受光されない反射光が増え、相対的に検出光量を抑えることができる。一方、相対的に遠い位置(少なくとも第1反射部から前記所定位置までの間において、より所定位置側に離れた位置)の物体を検出する場合には、反射光の入射領域を全体的に受光領域の中心付近とすることで遠距離の検出感度を下げない構成とすることができる。
特に、本発明に係るレーザレーダ装置の構成では、装置に近い近距離の物体にレーザ光が当たった場合、収束性が高いレーザ光による反射光となるため、エネルギーの大きい反射光が受光系に入り込むことになる。しかしながら、本発明では、このような近い位置からの反射光の多くは、指定された受光光軸からやや離れた位置に入力光として集まることになるため、入力光の多くは検出手段に感知されず無効となる。よって制御上の受光量(即ち、検出手段での総受光量)は下がり、それに併せて当該入力光の受光波形の山のピーク及び裾野が短くなる(図12(B)参照)。このような特徴を有するため、同一の照射方向において2つの検出波形(物体からの反射光の各受光波形)が得られる場合には、近い位置からの反射光の受光波形(山)と、これよりも遠い位置からの反射光の受光波形(山)が区別できるようになり、後方の物体からの受光波形が前方の物体の受光波形に埋もれなくなるため、後方の物体をより確実に検出することが可能になる。
一方、収束性が弱まった状態で遠距離の物体で反射した反射光は、指定された受光光軸中心だけでなく、受光領域全域で満遍なく受光されることになり、収束位置が受光光軸中心でなくとも収束性は落ちない。よって、制御上の受光量(即ち、検出手段での総受光量)は低下せず、受光感度の低下を効果的に抑えることができる。
そして、このような本願の構造によれば、近距離に霧が発生してもその後方の検出物体を検出できる可能性を高めることができると共に、遠距離でも従来と同じ感度で検出物体を検出することが可能になり、このような効果を得るために複雑な構成や複雑な制御方法を用いる必要もない。
請求項2の発明では、前記投光光軸上の前記所定位置が前記監視エリア内となるように前記監視エリアが設定されている。この構成によれば、少なくとも監視エリア内の所定の遠距離(所定位置付近)において、反射光を全体的に受光領域の中心で受光するような効率的な受光が可能となる。従って、監視エリア内において受光量の低下が懸念される遠距離側の感度を高めることができる。
請求項3の発明では、前記第2反射部から前記検出手段までの経路には、光を通過させる導光部を備えた絞り部材が設けられており、前記絞り部材は、前記受光光軸が前記導光部の導光領域内を通るように配置され、前記第2反射部で反射する前記反射光のうち前記導光領域内に入り込む光を選択的に前記受光領域に導き、前記導光領域から外れた光の通過を遮るように構成されている。この構成では、レーザ光(投光レーザ)の反射位置が第1反射部に近くなるほど反射光が受光光軸から外れるため、絞り部材によって遮られる光量が大きくなり、第1反射部に近い位置からの強い反射光が受光領域に入り込みすぎることを効果的に抑えることができる。一方、所定位置付近からの光は、受光光軸付近に導かれるため、絞り部材における導光領域内に入り込みやすく、受光領域で検出されやすくなる。特にこの構成では、絞り部材の構成によって近距離側(第1反射部側)の反射光及び遠距離側(所定位置側)の反射光の受光度合いを調整出来るため、設計上有利であり、受光度合いの変更、調整等も絞り部材の位置調整や変換等によって容易に行うことができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係るレーザレーダ装置を概略的に例示する断面図である。 図2は、図1のレーザレーダ装置における投光光軸と受光視野との関係等を示す説明図である。 図3(A)は、レーザ光が所定位置付近で反射したときの受光領域内での反射光の受光位置を概念的に説明する説明図であり、図3(B)は、その所定位置よりも近い位置でレーザ光が反射したときの受光領域内での反射光の受光位置を概念的に説明する説明図である。 図4は、図1のレーザレーダ装置を屋外に設置して検出する様子を説明する説明図である。 図5(A)は、図1のレーザレーダ装置で行われる検出処理の流れを例示するフローチャートであり、図5(B)は、その検出処理における初期処理の流れを例示するフローチャートである。図5(C)は、その検出処理における距離測定処理の流れを例示するフローチャートである。 図6は、図5(C)の距離測定処理におけるノイズ判別処理の流れを例示するフローチャートである。 図7は、初期設定処理で得られた背景物体の距離データを示すグラフであり、各回転位置(回転角度)での照射方向におけるレーザレーダ装置から背景物体までの距離をそれぞれ示すものである。 図8(A)は、ある照射方向においてレーザ光が単一の物体で反射したときのフォトダイオードでの受光波形を示すグラフであり、図8(B)は、ある照射方向においてレーザ光が2つの物体で反射したときのフォトダイオードでの受光波形を示すグラフである。 図9は、後方の到達位置からの反射光の減衰を説明する説明図である。 図10は、後方の到達位置での受光波形を補正するための補正テーブルを説明する説明図である。 図11は、第1実施形態の変形例での受光の様子を説明する説明図であり、図11(A)は、レーザ光が所定位置付近で反射したときの受光領域内での反射光の受光位置を概念的に説明する説明図であり、図11(B)は、その所定位置よりも近い位置でレーザ光が反射したときの受光領域内での反射光の受光位置を概念的に説明する説明図である。 図12(A)は、近距離の霧の粒子からの受光波形が飽和し、後方の物体の波形が読み取れない場合の受光波形の例を説明する説明図であり、図12(B)は、図12(A)の波形において霧の粒子からの受光量が抑えられた場合の受光波形の例を説明する説明図である。
[第1実施形態]
以下、本発明のレーザ測定装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(レーザレーダ装置の概要)
まず、図1等を参照してレーザレーダ装置1の概要について説明する。
図1は、第1実施形態に係るレーザレーダ装置1の全体構成を概略的に例示する断面図である。なお、図1では、レーザレーダ装置1を第2反射部41の回転中心軸Cに沿った所定切断面(中心軸C及びフォトダイオード60の受光位置を通る切断面)で切断した構成を概略的に示している。また、以下の説明では、透過板の断面については白抜きで示すこととする。
図1に示すように、レーザレーダ装置1は、レーザダイオード10と、検出物体からの反射光を受光するフォトダイオード60とを備え、装置外の走査エリアに存在する検出物体までの距離や方位を検出する装置として構成されている。
レーザダイオード10は、「レーザ光発生手段」の一例に相当するものであり、制御回路70の制御により、図示しない駆動回路からパルス電流を受け、このパルス電流に応じたパルスレーザ光(レーザ光L1)を間欠的に出射している。なお、本実施形態では、レーザダイオード10から装置外の物体(図示略)に至るまでのレーザ光を符号L1にて概念的に示し、装置外の物体からフォトダイオード60に至るまでの反射光の領域を符号L3a,L3bにて概念的に示している。
フォトダイオード60は、例えばアバランシェフォトダイオード(avalanche photodiode)などによって構成されている。このフォトダイオード60は、光を受光する受光領域を有し、当該受光領域に入射する光を検出する構成をなしており、レーザダイオード10からレーザ光L1が発生し、そのレーザ光L1が装置外に存在する検出物体(図示略)にて反射したとき、その反射光(具体的には、その反射光のうちの第2反射部41及びミラー62によって受光領域に導かれた光)を受光して電気信号に変換するように機能している。なお、検出物体からの反射光については上下方向所定領域及び所定角度のものが第2反射部41に受けられる構成となっており、図1では、符号L3a,L3bで示す2つのライン付近を境界としてこのラインL3a,L3b間の領域の反射光が第2反射部41によって反射されるようになっている。
本実施形態では、フォトダイオード60が「検出手段」の一例に相当し、後述する走査手段によって照射されるレーザ光が外部空間に存在する物体で反射したときに当該物体からの反射光を検出するように機能する。
レーザダイオード10から出射されるレーザ光L1の光軸上にはレンズ12が設けられている。このレンズ12は、コリメートレンズとして構成されるものであり、レーザダイオード10で発生して拡散しようとするレーザ光L1を集光し、例えば略平行光に変換している。
レンズ12を通過したレーザ光L1の光路付近には、ミラー14が設けられている。このミラー14は、レーザ光L1の光軸(図1の例では、中心軸Cと直交する所定方向の光軸)に対し所定角度(例えば45°)で傾斜してなる反射面14aを有している。本実施形態では、第1反射部21及び第2反射部41の回転中心となる中心軸Cの方向を上下方向とし、上下方向と直交する方向を水平方向としており、ミラー14の反射面14aは、その水平方向に対して所定角度(例えば45°)で傾斜している。このミラー14は、レーザダイオード10から出射されて中心軸Cと直交する方向(水平方向)に通るレーザ光L1を反射面14aによって第1反射部21側に反射させ、中心軸Cの方向に導いている。
また、ミラー14からのレーザ光L1の光軸上には、走査装置20が設けられている。走査装置20は、「走査手段」の一例に相当し、レーザダイオード10で発生したレーザ光を反射する回転可能な第1反射部21と、この第1反射部21を所定の中心軸Cを中心として回転させるモータ30とを備え、モータ30により第1反射部21を回転させることで第1反射部21から外部空間に照射されるレーザ光の向きを変化させるように機能する。
走査装置20のうち、回転体は、回転可能に構成された第1反射部21と、この第1反射部21に連結された軸部23とによって構成され、この軸部23を回転可能に支持する図示しない軸受(図示略)が設けられている。そして、第1反射部21によりレーザダイオード10からのレーザ光L1(具体的にはミラー14からのレーザ光L1)をケース2外の外部空間に向けて反射させるように機能している。
第1反射部21は、ミラー14で反射したレーザ光L1の光軸上に配置される平坦状の反射面21aを備えており、上下方向に延びる中心軸Cを中心として回転可能に配設されている。第1反射部21の回転中心となる中心軸Cの方向は、ミラー14から第1反射部21に入射するレーザ光L1の方向と略一致しており、レーザ光L1が第1反射部21に入射する入射位置が中心軸C上の位置P1付近とされている。
また、本実施形態では、第1反射部21の反射面21aにおいて位置P1付近の部分が、垂直方向(反射面21aに入射するレーザ光L1の方向)に対して略45°の角度で傾斜しており、第1反射部21の反射面21aで反射したレーザ光L1が水平方向に照射されるようになっている。また、第1反射部21は入射するレーザ光L1の方向と一致した方向の中心軸Cを中心として回転するため、第1反射部21の回転位置(回転角度)に関係なくレーザ光L1の入射角度が常に約45°で維持され、位置P1からのレーザ光L1の向きは絶えず水平方向(中心軸Cと直交する方向)となるように構成されている。なお、本実施形態では、中心軸Cの方向を垂直方向(上下方向、縦方向)としており、中心軸Cと直交する平面方向を水平方向としている。
さらに、レーザレーダ装置1には、第1反射部21を回転させるように駆動するモータ30が設けられている。このモータ30は、「駆動部」の一例に相当し、軸部23を回転させることで、軸部23と連結された第1反射部21を回転駆動している。なお、モータ30の具体的構成としては、例えば直流モータ、交流モータ、ステップモータなど様々なモータを使用できる。
また、本実施形態では、図1に示すように、モータ30の軸部23の回転角度位置(即ち第1反射部21の回転角度位置)を検出する回転角度センサ32が設けられている。回転角度センサ32は、ロータリーエンコーダなど、軸部23の回転角度位置を検出しうるものであれば公知の様々なセンサを使用できる。
次に、回転反射機構40及びミラー62について説明する。
これら回転反射機構40及びミラー62は、「誘導手段」の一例に相当するものであり、レーザダイオード10からのパルスレーザ光L1が外部空間の物体で反射して生じる反射光を反射可能な反射面41aを備えると共に回転可能に構成された第2反射部41と、第2反射部41の反射面41aが第1反射部21からのレーザ光の照射側に面するように第1反射部21と第2反射部41とを同期させて回転させる「同期手段」としてのモータ50とを備え、第2反射部41に入り込む反射光を当該第2反射部41で反射させてフォトダイオード60の受光領域に導くように構成されている。
このうち、回転反射機構40は、回転可能に構成された第2反射部41と、この第2反射部41に連結された軸部42と、この軸部42を回転可能に支持する図示しない軸受とを備えている。そして、第2反射部41により装置外の検出物体からの反射光(レーザ光L1が外部空間の物体で反射して生じる反射光)をフォトダイオード60に向けて偏向するように機能している。
第2反射部41は、反射面41aが例えば放物面として構成された凹面鏡として機能しており、所定方向(受光視野の中心(受光光軸L2)の方向)且つ所定領域(L3aとL3bの間の領域)の反射光を中心軸方向の一方側(下方)に向けて反射させつつ集光し、集光される反射光の焦点位置が例えば中心軸C上になるように形状が調整されている。また、第2反射部41は、上下方向に延びる上述の中心軸Cを中心として回転可能に配設されている。即ち、第2反射部41の回転軸の方向は、第1反射部21の回転軸の方向と略一致している。
更に、回転反射機構40には、第2反射部41を回転させるように駆動するモータ50が設けられている。このモータ50は、軸部42を回転させることで、軸部42と連結された第2反射部41を回転駆動している。なお、モータ50の具体的構成としては、例えば直流モータ、交流モータ、ステップモータなど様々なモータを使用できる。また、このモータ50は、第2反射部41の反射面41aが第1反射部21からのレーザ光の照射側に面するように(より具体的には、レーザ光L1の投光光軸と、誘導手段による受光光軸L2が常に交わるように)、モータ30による第1反射部21と同期させて第2反射部41を回転させている。
また、本実施形態では、図1に示すように、モータ50の軸部42の回転角度位置(即ち第2反射部41の回転角度位置)を検出する回転角度センサ52が設けられている。回転角度センサ52は、ロータリーエンコーダなど、軸部42の回転角度位置を検出しうるものであれば公知の様々なセンサを使用できる。
なお、この構成では、モータ50が「同期手段」の一例に相当するが、第1反射部21と第2反射部41とを同期させて回転させ得る構成であればこれに限定されない。例えば、軸部23と軸部42を一体的な軸部として構成し、これを単一のモータによって回転駆動するようにしてもよい。この場合、この単一のモータが駆動部及び同期手段の一例に相当することになる。また、軸部23と軸部42を一体的な軸部として構成すると共に、この軸に歯車やプーリなどの伝達要素を取り付け、モータからの駆動力をこの伝達要素を介して伝達してその軸を回転させるようにしてもよい。この場合、伝達要素及びモータが駆動部及び同期手段に相当することになる。
また、本構成では、第1反射部21からのレーザ光L1の照射方向に対し所定角度傾斜した方向で第2反射部41に入り込む反射光がフォトダイオード60に向けて集光される構成をなし、且つ外部空間におけるレーザ光L1の投光光軸上の所定位置P3が受光領域で受光可能となる視野範囲の中心となる受光光軸L2上に位置するように構成されている。そして、レーザ光L1の投光光軸(レーザ光L1の投光経路の中心)において所定位置P3から第1反射部21に近づくほど、受光光軸L2から離れるようになっている。
この構成では、レーザ光L1の投光光軸上の所定位置P3が受光光軸L2上に位置するため、図2のように所定位置P3付近の物体100でレーザ光が反射したときの反射光のうち、反射位置P3の中心部(投光光軸上)からの相対的に強い反射光はフォトダイオード60における受光領域の中心部に入り込みやすくなり(図3(A)の領域E1参照)、更にその中心部周囲からの反射光も受光領域中心部の周囲で受光されやすくなる(図3(A)の領域E2参照)。このように、相対的に遠い位置(少なくとも第1反射部21から所定位置P3までの間において、より所定位置P3側に離れた位置)の物体を検出する場合には、反射光の入射領域を全体的に受光領域の中心付近とすることができるため、より多くの反射光を検出することができ、ひいては、検出感度が低下しやすい遠距離において検出感度を高めることが可能となっている。
一方、レーザ光L1の投光光軸において所定位置P3から第1反射部21に近づくほど、受光光軸L2から離れるようになっているため、図2の物体101のように、より第1反射部21に近い物体でレーザ光L1(投光レーザ)が反射するときには、その反射位置P4の中心部(投光光軸付近)からの相対的に強い反射光は、フォトダイオード60において受光領域の中心部からより離れた位置に入り込みやすくなり(図3(B)の領域E3参照)、これに応じて、その中心部(投光光軸)の周囲で反射して受光領域に入り込もうとする反射光の受光位置もシフトする(図3(B)の領域E4参照)。つまり、第1反射部21に近くなるほど、反射光の入射領域を全体的に受光領域の中心P5からずらすことができるため、所定位置P3付近の場合に比べて受光されない反射光が増え、相対的に検出光量を抑えることができるようになっている。
更に、第2反射部41からフォトダイオード60までの経路(より具体的には、ミラー62とフォトダイオード60の間の受光経路には、光を通過させる開口部64a(導光部)を備えた絞り部材64が設けられており、絞り部材64は、受光光軸L2が開口部64a(導光部)の導光領域(開口領域)内を通るように配置され、第2反射部41で反射する反射光のうち導光領域内に入り込む光を選択的に受光領域に導き、導光領域から外れた光の通過を遮るように構成されている。なお、図3の例では、絞り部材64の開口部64aを介して撮像し得る視野範囲を一点鎖線D1で示している。
この構成では、レーザ光(投光レーザ)の反射位置が第1反射部21に近くなるほど反射光が受光光軸L2から外れるため、絞り部材64によって遮られる光量が大きくなり、第1反射部21に近い位置からの強い反射光が受光領域に入り込みすぎることを効果的に抑えることができる。一方、所定位置P3付近からの光は、受光光軸L2付近に導かれるため、絞り部材64における導光領域(開口領域)内に入り込みやすく、受光領域で検出されやすくなる。
また、本実施形態に係るレーザレーダ装置1では、レーザダイオード10、レンズ12、ミラー14、走査装置20、フォトダイオード60、回転反射機構40、ミラー62、モータ30,50等がケース3の内部に収容され、防塵や衝撃保護が図られている。このケース3は、主ケース部4と透過板5とを備えており、全体として箱状に構成されている。主ケース部4は、上壁部4a及び下壁部4bが上下に対向して配置され、周壁部4cが上方側の外周壁として構成されており、周壁部4cと下壁部4bの間が窓部4eとして導光可能に開放されている。窓部4eは、主ケース部4において光の出入りを可能とするように開放した部分であり、第1反射部21及び第2反射部41の周囲において周方向所定領域に亘って形成され、且つ上下方向所定領域を開放する構成で設けられている。そして、この開放形態の窓部4eを閉塞するように透明の樹脂板、ガラス板などからなる透過板5が配置されている。
このように構成されるレーザレーダ装置1では、第1反射部21及び第2反射部41の回転角度θ(所定の基準回転位置(例えば、ロータリエンコーダが原点を示す位置)からの各回転角度)が定まれば装置からのレーザ光L1の投射方向が特定される。そして、レーザレーダ装置1が所望の傾斜状態(例えば、レーザ光L1の走査方向が常に鉛直方向と直交する方向となるような状態等)で設置されていれば、フォトダイオード60が物体からの反射光を受光したときの第2反射部41の回転角度を回転角度センサ52によって検出することで、物体の方位を正確に検出できる。なお、フォトダイオード60が物体からの反射光を受光したか否かは、例えばフォトダイオード60での受光量(即ち、フォトダイオード60からの出力)が閾値を超えたか否かによって判断することができ、「フォトダイオード60にて閾値を超える反射光が受光されたとき」が「物体からの反射光を受光したとき」となる。
また、レーザダイオード10にてレーザ光L1(パルスレーザ光)が発生してからフォトダイオード60によって当該レーザ光L1に対応する反射光(パルスレーザ光L1が物体に当たって生じる反射光)が検出されるまでの時間Tを検出すれば、この時間Tと光速とに基づいて、レーザ光L1の発生から反射光受光までの光経路の長さを算出することができ、レーザレーダ装置1の所定基準位置(例えば位置P1)から検出物体までの距離Lも正確に求めることができる。つまり、レーザレーダ装置1から検出物体までの距離及び方位をいずれも正確に検出することができる。
なお、本実施形態では、回転角度センサ32,52、制御回路70が「到達位置検出手段」の一例に相当し、レーザダイオード10(レーザ光発生手段)にてレーザ光が発生したときに、当該レーザ光が発生した際の第1反射部21及び第2反射部41の回転角度と、当該レーザ光の発生から当該レーザ光に応じた反射光がフォトダイオード60(検出手段)によって検出されるまでの経過時間とを求め、これら回転角度及び経過時間に基づいて、外部空間における当該レーザ光の到達位置を検出するように機能する。
(検出処理)
次に、レーザレーダ装置で行われる検出処理について説明する。
図5(A)は、図1のレーザレーダ装置で行われる検出処理の流れを例示するフローチャートであり、図5(B)は、その検出処理における初期処理の流れを例示するフローチャートである。図5(C)は、その検出処理における距離測定処理の流れを例示するフローチャートである。図6は、図5(C)の距離測定処理におけるノイズ判別処理の流れを例示するフローチャートである。図7は、初期設定処理で得られた背景物体の距離データを示すグラフであり、各回転位置(各回転角度)での照射方向におけるレーザレーダ装置から背景物体までの距離をそれぞれ示すものである。図8(A)は、ある照射方向においてレーザ光が単一の物体で反射したときのフォトダイオードでの受光波形を示すグラフであり、図8(B)は、ある照射方向においてレーザ光が2つの物体で反射したときのフォトダイオードでの受光波形を示すグラフである。図9は、後方の到達位置からの反射光の減衰を説明する説明図である。図10は、後方の到達位置での受光波形を補正するための補正テーブルを説明する説明図である。
本実施形態では、所定の開始条件の成立時(例えば、電源投入時や図示しない操作部に対する所定操作等がなされたとき)に、図5(A)のような流れで検出処理が行われる。この検出処理では、まず最初に初期設定処理(S1)が行われるようになっており、その後に距離測定処理(S2)が繰り返されるようになっている。
S1の初期設定処理は、図5(B)のような流れとなっており、まず、初期値の設定処理を行う(S10)。この初期値の設定処理では、例えば第1反射部21及び第2反射部41の回転基準位置の設定などの様々な設定を行う。なお、ここでは、図4に示す矢印F1の方向を回転角度0°の基準方向とし、矢印F2の方向を180°の方向とし、0°〜180°の範囲を検出角度範囲とする場合について説明する。
S10の処理の後には、測距エリア(監視エリア)を設定する処理を行う(S11)。この処理では、所定の角度範囲(図4に示す0°〜180°の角度範囲)においてレーザ光による走査を行い、この角度範囲における各回転位置(各回転角度)においてレーザ光の到達位置を検出する。具体的には、第1反射部21を回転駆動すると共に各回転角度においてレーザダイオード10からパルスレーザ光L1を順次出射してレーザ光L1の走査を行う。なお、第1反射部21の回転速度やパルスレーザ光L1の出射時間間隔は様々に設定することができる、例えば、第1反射部21が0.5°ずつ回転する毎にパルスレーザ光L1が出射されるようなタイミングで走査を行うことができる。また、S11でのレーザ光の走査は、監視対象とするべきエリアに物体が存在しないことを確認した上で行うことが望ましく、この場合、各パルスレーザ光L1が出射されるときの各回転位置(各回転角度)において第1反射部21から投射されたパルスレーザ光L1が背景物体にて反射し、この反射光の一部が第2反射部41に入射することになる。従って、各回転位置でレーザ光が照射されたときのレーザレーダ装置1から背景物体までの距離をそれぞれ算出できることとなる。
このS11の処理では、図7のように、検出角度範囲(ここでは0°〜180°)における各回転位置(第1反射部21及び第2反射部41の各回転角度)でのレーザ光の到達位置(到達位置までの距離値)が取得できる。この処理で検出される各回転位置での到達位置までの距離値は、各回転位置においてレーザ光が照射可能となる限界位置であり、各回転位置でのレーザ光照射方向における背景物体の位置を示すものである。このようにして、検出角度範囲において、各回転位置でのレーザ光照射方向における背景物体の位置を示すデータが得られ、実施形態では、このように背景物体で区切られる内側の領域を測距エリア(監視エリア)として設定する。なお、図4では、背景物体を符号A1〜A5で示しており、背景物体で区切られる内側の測距エリア領域(監視エリア)をハッチングにて示している。
なお、図7に示すような各回転角度での背景物体までの距離データが「背景データ」の一例に相当し、走査手段によるレーザ光の走査範囲においてレーザ光の照射方向毎の背景物体位置を特定するように機能する。また、記憶部80は、このような背景データを記憶する「記憶手段」の一例に相当する。
図5(B)に示す初期設定処理の後には、距離測定処理を行う(S2)。この距離測定処理では、第1反射部21を回転駆動すると共に各回転角度においてレーザダイオード10からパルスレーザ光L1を順次出射してレーザ光L1の走査を行う。そして、例えば検出角度範囲(こでは0°〜180°)の1周期分において各回転角度毎に受光波形を取得し、各回転角度での照射方向におけるレーザ光の到達位置(距離値)を算出する(S20)。ここでも、各回転角度毎に、パルスレーザ光L1の投光から受光(閾値を超える反射光の受光)までの時間T1を検出し、この時間T1と光速とに基づいてレーザ光到達位置までの距離値を算出する。なお、この処理でも、第1反射部21の回転速度(第2反射部41の回転速度も同一)やパルスレーザ光L1の出射時間間隔は様々に設定することができ、例えば、初期設定処理と同様、第1反射部21が0.5°ずつ回転する毎にパルスレーザ光L1が出射されるようなタイミングで走査を行うことができる。そして、検出角度範囲(0°〜180°)における各回転角度での距離値を算出した後には、ノイズ判別処理を行う(S21)。
S21のノイズ判別処理は、例えば図6のような流れで行う。
まず、検出角度範囲(0°〜180°)において、連続する複数の回転角度において到達位置までの距離値が近似するグループを検出する。具体的には、検出角度範囲(0°〜180°)において、連続する2つの回転角度に着目したときに、これら回転角度における到達位置までの距離値の差が所定範囲に収まっている場合には、これら回転角度の各到達位置を同一グループとし、これら回転角度における到達位置までの距離値の差が所定範囲に収まっていない場合には、これら回転角度の各到達位置を別グループとするようにグループ分けを行う。
S30の後には、いずれかの回転角度において、複数の到達位置が検出されているか否かを判断する(S31)。ある回転角度のときのレーザ光照射方向において単一の物体のみにレーザ光が照射されるような場合には、当該回転角度の受光波形は図8(A)のように閾値を超える受光量の山が一つのみ現れることになり、このような場合、当該回転角度では単一の到達位置が検出されているものと判断できる。一方、ある回転角度のときのレーザ光照射方向において複数の物体にレーザ光が照射されるような場合には、当該回転角度の受光波形は図8(B)のように閾値を超える受光量の山が複数現れることになり、このような場合、当該回転角度において複数の到達位置が検出されているものと判断できる。S30では、このように複数の到達位置が検出されるような回転角度が検出角度範囲(0°〜180°)に存在するか否かを判断する。検出角度範囲(0°〜180°)において複数の到達位置が検出される回転角度が存在しない場合には、S31にてYesに進み、各回転角度での受光波形に基づいて検出対象物の位置を特定する。この場合の物体検出方法は従来と同様であり、S20で算出された距離値に基づいて測距エリア(即ち、図5(B)のS11で設定された監視エリア)において物体が検出されたか否かを判断し、当該物体が検出された判断できる場合には当該物体を検出対象物として位置を特定する。
一方、いずれかの回転角度において、複数の到達位置が検出されている場合には、S31にてNoに進み、複数の到達位置の検出パターンが検出対象物のパターンに該当するか否かを判断する(S33)。このS33の処理では、、複数の到達位置が検出された回転角度(以下、複数位置検出回転角度ともいう)が複数存在することを条件とし、且つ各複数位置検出回転角度が他の複数位置検出回転角度から所定の角度差内にある場合に、各複数位置検出回転角度をノイズが発生している回転角度(以下、ノイズ発生回転角度ともいう)と判断する。逆に、いずれかの複数位置検出回転角度が他の複数位置検出回転角度から所定の角度差内にない場合には、当該いずれかの複数位置検出回転角度については、ノイズ発生回転角度と判断せず、検出対象物のパターンと判断する。
なお、「所定の角度差」とは、順次照射されるレーザ光の最小照射ステップ(分解能)であってもよく、最小照射ステップの数倍(例えば、2〜3倍)程度であってもよい。なお、最小照射ステップとは、第2反射部41が定常状態で駆動しているときのあるレーザ光の照射方向と、その次のレーザ光の照射方向との角度差に相当する。
S33において、検出対象物のパターンが存在すると判断された場合には、S33にてYesに進み、検出対象物のパターン(他の複数位置検出回転角度から所定の角度差内にない複数位置検出回転角度)については、最も前方の到達位置を検出対象物の位置として特定する。また、S33にてYesに進む場合において、ノイズ発生回転角度も存在する場合には、ノイズ発生回転角度については最後方の到達位置よりも前の到達位置をノイズと判別し、最後方の到達位置をノイズではない物体(検出対象物又は背景物体)と判別する。このノイズ発生回転角度については、S35、S36と同様の処理がなされることになる。また、検出対象物のパターンやノイズ発生回転角度以外において、単一の到達位置が検出された回転角度(単一到達位置検出回転角度)については、検出された到達位置が監視エリア内にある場合には、当該到達位置を検出対象物の位置として特定し、検出された到達位置が背景物体の位置に該当する場合には、当該到達位置を背景物体の位置として特定する。
検出対象物のパターンが存在しない場合には、S33にてNoに進み、各ノイズ発生回転角度において最後方の到達位置よりも前の到達位置をノイズと判別し、最後方の到達位置をノイズではない物体(検出対象物又は背景物体)と判別する(S35)。そして、S35の後には、各ノイズ発生回転角度での最後方の到達位置についての補正処理及び位置特定処理を行う(S36)。
S36の処理では、各ノイズ発生回転角度において得られた受光波形(即ち、図8(B)のように、第1到達位置に相当する波形と、この第1到達位置よりも後方の第2到達位
置に相当する波形とを含む受光波形)において、最後方の到達位置(第2到達位置)からの反射光によって得られた波形を補正し、この補正結果に基づいて、当該最後方の到達位置が背景位置か否かを判断する。この補正方法としては様々な方法を採用することができ、例えば、図9のように最後方の到達位置の波形Pa(山となる波形)において閾値での波形幅Waを求め、予め記憶された補正テーブルを参照して検出位置(当該波形Paにおいて閾値を超える最初のタイミング)からの補正量Δを算出し、検出位置を補正することができる。
この場合、図10のように、閾値での波形幅についての候補値と、各候補値に対応した補正量とをそれぞれ対応付けた補正テーブルを用意しておき、上記の検出された検出位置から補正量(補正テーブルによって得られた値)の分だけ前側とした位置を正規の位置として決定することができる。即ち、最後方の到達位置では、本来的に想定される波形Pbと比較して所定量Dだけ減衰していることが想定され、閾値での波形幅も本来的な波形幅Wbよりも短くなっていることが想定されるため、この減衰に起因して後退した分だけ検出位置を前側にする。そして、このように決定された正規の位置が、背景位置に該当する場合、当該回転位置においては検出対象物が検出されていないものとする。一方、決定された正規の位置が背景位置に該当しない場合には、補正後の位置を当該回転位置における検出対象物の位置として決定する。
なお、S33にてNoに進む場合、ノイズ発生回転角度以外において、単一の到達位置が検出された回転角度(単一到達位置検出回転角度)については、検出された到達位置が監視エリア内にある場合には、当該到達位置を検出対象物の位置として特定し、検出された到達位置が背景物体の位置に該当する場合には、当該到達位置を背景物体の位置として特定する。
この例では、図5、図6の処理を行う制御回路70が「補正手段」の一例に相当し、各照射方向での補正値を設定しうる補正式又は補正テーブルにより、各照射方向における第2到達位置からの反射光の受光波形を各照射方向での第1到達位置の受光波形に基づく減衰を補うように補正するように機能する。なお、上記の例では、補正テーブルによって補正した例を示したが、波形幅と補正量との関係は、波形幅が小さくなるほど補正量が大きくなる関係にあるため、このような関係を補正式(比例式等の一次式や二次式等)によって表わし、この補正式によって補正量を決定するようにしてもよい。
また、本実施形態では、制御回路70が「判定手段」の一例に相当し、到達位置検出手段によって検出された到達位置が予め定められた監視エリア内であることを条件として検出対象物が検出されたものと判定するように機能する。また、この判定手段は、第2反射部41の1周期の回転範囲におけるいずれかの回転角度にあるときのレーザ光の照射位置において、前記到達位置検出手段によりレーザ光の複数の到達位置が検出された場合に、その回転角度において最後方の到達位置よりも前側の到達位置の検出結果を前記検出対象物以外のノイズによるものと判定している。より具体的には、第2反射部41の1周期の回転範囲におけるいずれか複数の回転角度にあるときのレーザ光の各照射位置において、前記到達位置検出手段によりレーザ光の複数の到達位置が検出された場合に、それら複数の回転角度において最後方の到達位置よりも前側の到達位置の検出結果を前記検出対象物以外のノイズによるものと判定している。
(本構成の主な効果)
本構成において、「第1反射部21及び第2反射部41の1周期の回転範囲におけるいずれか複数の回転角度にあるときのレーザ光の各照射位置において、到達位置検出手段によりレーザ光の複数の到達位置が検出された場合」とは、即ち、その回転角度に対応する各照射方向において、霧等の拡散物などにレーザ光の一部が照射され、残余のレーザ光がその後方の物体(背景等)に照射されたことが想定される。従って、このような検出結果が得られた場合にその各回転角度における前側の到達位置の検出結果を検出対象物以外のノイズによるものと判定すれば、霧等に起因するノイズを除去しやすくなる。特に、上記方法では、第1反射部21及び第2反射部41の1周期の回転範囲における複数の回転角度での受光結果に基づき、その受光結果に係る対象物体が検出対象物であるか霧等のノイズであるかを判定することができるため、例えばある1回のスキャン(即ち1周期のスキャン)にて物体からの反射光が確認された場合に、この物体が検出対象物であるか霧等のノイズであるかを当該1回のスキャン結果によって判別することが可能となる。従って、霧等のノイズに起因する誤検出を抑えて検出対象物をより正確に検出することができると共に、霧等のノイズと検出対象物とを判別するために要する時間を効果的に低減して検出の迅速化を図ることができる装置を実現できる。
上記構成では、各複数位置検出回転角度が他の複数位置検出回転角度から所定の角度差内にある場合に、各複数位置検出回転角度をノイズが発生している回転角度(以下、ノイズ発生回転角度ともいう)と判断しているが、特に、第1反射部21及び第2反射部41が連続した切替順序の2以上の各回転角度にあるときのレーザ光の各照射方向において、到達位置検出手段によりレーザ光の複数の到達位置が検出された場合に、それら連続する2以上の各回転角度において最後方の到達位置よりも前側の到達位置の検出結果を検出対象物以外のノイズによるものと判定している。
検出対象物の端部にレーザ光が照射された場合でもレーザ光の到達位置として2つの到達位置が検出される可能性があるが、このような場合、検出対象物の端部にレーザ光が照射される一方向のみで複数の到達位置が検出される可能性が高く、連続する複数方向で複数の到達位置が検出される可能性は低くなる。従って、上記のように、第1反射部21及び第2反射部41が連続した切替順序の所定数の各回転角度にあるときの各照射方向において、レーザ光の複数の到達位置が検出された場合には、検出対象物の端部にレーザ光が照射されたことに起因して複数の到達位置が検出されたのではなく、各照射方向において霧等の微小な拡散物にレーザ光の一部が当たることで複数の到達位置が検出された可能性が高いといえる。従って、このような検出結果が得られたときに、所定数の各回転角度における前側の到達位置の検出結果を検出対象物以外のノイズによるものと判定すれば、より高い精度で霧等に起因するノイズを除去しやすくなる。
また、上記構成では、走査手段によるレーザ光の走査範囲においてレーザ光の照射方向毎の背景物体位置を特定可能な背景データを記憶する記憶部80(記憶手段)を備えており、判定手段は、第1反射部21及び第2反射部41が連続した切替順序の所定個数の回転角度にあるときのレーザ光の各照射方向において、到達位置検出手段により、レーザ光の到達位置として背景データで定められる各照射方向での背景物体位置よりも近い近距離位置(即ち、単一の到達位置)が検出され且つこの近距離位置よりも遠い遠距離位置が検出されないことを条件として、所定個数の回転角度における近距離位置において検出対象物が検出されたものと判定している。
外部空間の検出エリア内に霧等の拡散物が存在する場合、拡散物の粒子(例えば微小な水滴等)は極めて小さいため、所定方向に照射されたレーザ光の一部がこのような粒子に当たっても、当該レーザ光の残余の部分は粒子の後方に照射されるため、この照射方向でのレーザ光の到達位置は少なくとも2位置となる。従って、上記構成のように、各照射方向において、背景データで定められる各照射方向での背景物体位置よりも近い近距離位置がレーザ光の到達位置として検出され、且つこの近距離位置よりも遠い遠距離位置がレーザ光の到達位置として検出されない場合、即ち、各照射方向でのレーザ光到達位置がそれぞれ1つである場合、これら照射方向で検出された各レーザ光到達位置(即ち、所定個数の回転角度における各近距離位置)は上記のような微小な粒子の位置ではなく、検出対象物の位置である可能性が高い。従って、このような検出結果が得られることを条件としてこれら近距離位置において検出対象物が検出されたものと判定すれば、検出対象物をより正確に検出できるようになる。
また、本実施形態では、補正手段が設けられており、この補正手段は、第1反射部21及び第2反射部41がいずれか複数の回転角度にあるときのレーザ光の各照射方向において到達位置検出手段により第1到達位置とこの第1到達位置よりも後方の第2到達位置が検出されたときに、各照射方向における第1到達位置からの反射光の受光波形と第2到達位置からの反射光の受光波形とに基づいて各照射方向での補正値を設定しうる補正式又は補正テーブルにより、各照射方向における第2到達位置からの反射光の受光波形を各照射方向での第1到達位置の受光波形に基づく減衰を補うように補正している。
そして、判定手段は、補正手段により各照射方向における第2到達位置からの受光波形を補正した補正結果と、背景データで定められる各照射方向での背景物体位置とに基づいて、第2到達位置に存在する物体が背景であるか否かを判別し、背景でないと判別された場合に複数の回転角度における第2到達位置にて検出対象物が検出されたものと判定している。
外部空間の検出エリア内に霧等の拡散物が存在しているときにおいて、所定方向に照射されたレーザ光の一部がこの拡散物の粒子に当たり、残余のレーザ光が後方の背景物体に照射されたときには、背景物体に照射されるレーザ光の量が通常時(霧等の拡散物に照射されることなく直接照射された時)よりも小さくなり、背景物体からの反射光の受光波形は本来予定していた通常時の受光波形から大きく変化することになる。そして、このように背景物体からの受光波形が変化してしまうと、算出される背景物体の位置が背景データで定められる本来の位置からずれる虞がある。
これに対し、上記のように補正手段を設け、各照射方向においてレーザ光の到達位置として2位置(第1到達位置及び第2到達位置)が検出されたときに、各照射方向における第2到達位置からの反射光の受光波形を、各照射方向の第1到達位置の受光波形に基づく減衰を補うように補正すれば、各第2到達位置の通常時(レーザ光が直接照射される時)の波形内容を推測しやすくなり、それら第2到達位置が背景物体位置であるか否かをより正確に判別できるようになる。
更に、誘導手段は、第1反射部21からのレーザ光の照射方向に対し所定角度傾斜した方向で第2反射部41に入り込む反射光がフォトダイオード60に向けて集光される構成をなし、且つ外部空間におけるレーザ光の投光光軸上の所定位置P3が受光領域で受光可能となる視野範囲の中心となる受光光軸L2上に位置し、レーザ光の投光光軸において所定位置P3から第1反射部21に近づくほど、受光光軸L2から離れるようになっている。
この構成では、投光光軸上の所定位置P3が受光光軸L2上に位置するため、所定位置P3付近の物体でレーザ光が反射したときの反射光のうち、反射位置中心部(投光光軸付近)からの相対的に強い反射光はフォトダイオード60における受光領域の中心部に入り込みやすくなり、更にその中心部周囲からの反射光も受光領域中心部の周囲で受光されやすくなる。このように、相対的に遠い位置(少なくとも第1反射部21から所定位置P3までの間において、より所定位置P3側に離れた位置)の物体を検出する場合には、反射光の入射領域を全体的に受光領域の中心付近とすることができるため、これよりも近距離の場合と比べて検出感度の低下を抑えることができる。
一方、レーザ光の投光光軸において所定位置P3から第1反射部21に近づくほど、受光光軸L2から離れるようになっているため、より第1反射部21に近い物体でレーザ光(投光レーザ)が反射するときには、その反射位置中心部(投光光軸付近)からの相対的に強い反射光は、フォトダイオード60において受光領域の中心部からより離れた位置に入り込みやすくなり、これに応じて、その中心部(投光光軸)の周囲で反射して受光領域に入り込もうとする反射光の受光位置もシフトする。つまり、第1反射部21に近くなるほど、反射光の入射領域を全体的に受光領域の中心からずらすことができるため、所定位置P3付近の場合に比べて受光されない反射光が増え、相対的に検出光量を抑えることができる。従って、第1反射部21側の近い位置に霧等の拡散物が存在しても、その拡散物からの反射光を受光したときに飽和しにくくなり、拡散物の後方に存在する物体の検出漏れを効果的に防ぐことができる。
また、投光光軸上の所定位置P3が監視エリア内となるように監視エリアが設定されている。この構成によれば、少なくとも監視エリア内の所定の遠距離(所定位置P3付近)において、反射光を全体的に受光領域の中心で受光するような効率的な受光が可能となる。従って、監視エリア内において受光量の低下が懸念される遠距離側において検出感度の低下を一層抑制することができる。
また、第2反射部41からフォトダイオード60までの経路には、光を通過させる開口部64a(導光部)を備えた絞り部材64が設けられており、絞り部材64は、受光光軸L2が開口部64a(導光部)の導光領域内を通るように配置され、第2反射部41で反射する反射光のうち導光領域内に入り込む光を選択的に受光領域に導き、導光領域から外れた光の通過を遮るように構成されている。この構成では、レーザ光(投光レーザ)の反射位置が第1反射部21に近くなるほど反射光が受光光軸L2から外れるため、絞り部材64によって遮られる光量が大きくなり、第1反射部21に近い位置からの強い反射光が受光領域に入り込みすぎることを効果的に抑えることができる。一方、所定位置P3付近からの光は、受光光軸L2付近に導かれるため、絞り部材64における導光領域内に入り込みやすく、受光領域で検出されやすくなる。特にこの構成では、絞り部材64の構成によって近距離側(第1反射部21側)の反射光及び遠距離側(所定位置P3側)の反射光の受光度合いを調整出来るため、設計上有利であり、受光度合いの変更、調整等も絞り部材64の位置調整や変換等によって容易に行うことができる。
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
第1実施形態では、第2反射部41として凹面鏡を例示したが、凹面鏡構造でない公知の偏向部(例えば傾斜した平面ミラーとして構成される偏向部など)を用いた公知構造を採用してもよい。
第1実施形態では、背景物体の位置から内側を監視エリアとしていたが、背景物体の位置とは別に監視エリアを設定してもよい。例えば、図4のように、検出角度範囲においてレーザレーダ装置1から所定距離隔てた位置ARよりも内側の領域を監視エリアとして設定するような構成であってもよい。この場合、投光光軸上の所定位置P3がその監視エリア内となるように監視エリアが設定されていることが望ましい。
図6のS33の処理では、複数の到達位置が検出された回転角度(以下、複数位置検出回転角度ともいう)が複数存在することを条件とし、且つ各複数位置検出回転角度が他の複数位置検出回転角度から所定の角度差内にある場合に、各複数位置検出回転角度をノイズが発生している回転角度(ノイズ発生回転角度)と判断していたが、複数の到達位置が検出された各回転角度(複数位置検出回転角度)をノイズ発生回転角度としてもよい。
第1実施形態は、絞り部材64を設けた構成を示したが絞り部材64が省略されてもよい。この場合も、図2のように所定位置P3付近の物体100でレーザ光が反射したときの反射光のうち、反射位置P3の中心部(投光光軸上)からの相対的に強い反射光はフォトダイオード60における受光領域の中心部に入り込みやすくなり(図11(A)の領域E1参照)、更にその中心部周囲からの反射光も受光領域中心部の周囲で受光されやすくなる(図11(A)の領域E2参照)。従って、相対的に遠い位置(少なくとも第1反射部21から所定位置P3までの間において、より所定位置P3側に離れた位置)の物体を検出する場合には、反射光の入射領域を全体的に受光領域の中心付近とすることができるため、より多くの反射光を検出することができ、ひいては、検出感度が低下しやすい遠距離において検出感度を高めることが可能となっている。
一方、レーザ光L1の投光光軸において所定位置P3から第1反射部21に近づくほど、受光光軸L2から離れるようになっているため、図2の物体101のように、より第1反射部21に近い物体でレーザ光L1(投光レーザ)が反射するときには、その反射位置P4の中心部(投光光軸付近)からの相対的に強い反射光は、フォトダイオード60において受光領域の中心部からより離れた位置に入り込みやすくなり(図11(B)の領域E3参照)、これに応じて、その中心部(投光光軸)の周囲で反射して受光領域に入り込もうとする反射光の受光位置もシフトする(図11(B)の領域E4参照)。つまり、第1反射部21に近くなるほど、反射光の入射領域を全体的に受光領域の中心P5からずらすことができるため、所定位置P3付近の場合に比べて受光されない反射光が増え、相対的に検出光量を抑えることができる。
1…レーザレーダ装置
10…レーザダイオード(レーザ光発生手段)
20…走査装置(走査手段)
21…第1反射部
30…モータ(駆動部
40…回転反射機構(誘導手段)
41…第2反射部
41a…反射面
50…モータ(同期手段)
60…フォトダイオード(検出手段)
62…ミラー(誘導手段)
52…回転角度センサ(到達位置検出手段)
64…絞り部材
64a…開口部(導光部)
70…制御回路(到達位置検出手段、判定手段)
P3…所定位置
L2…受光光軸

Claims (3)

  1. レーザ光を発生させるレーザ光発生手段と、
    前記レーザ光発生手段で発生したレーザ光を反射する第1反射部と、前記第1反射部を所定の中心軸を中心として回転させる駆動部とを備え、前記駆動部により前記第1反射部を回転させることで前記第1反射部から外部空間に照射されるレーザ光の向きを変化させる走査手段と、
    光を受光する受光領域を有する検出手段と、
    前記レーザ光が前記外部空間の物体で反射して生じる反射光を反射可能な反射面を備えると共に回転可能に構成された第2反射部と、前記第2反射部の反射面が前記第1反射部からの前記レーザ光の照射側に面するように前記第1反射部と前記第2反射部とを同期させて回転させる同期手段とを備え、前記第2反射部に入り込む前記反射光を当該第2反射部で反射させて前記検出手段の前記受光領域に導くように構成された誘導手段と、
    前記レーザ光発生手段にて前記レーザ光が発生した際の前記第1反射部又は前記第2反射部の回転角度と、当該レーザ光の発生から当該レーザ光に応じた前記反射光が前記検出手段によって検出されるまでの経過時間とに基づいて、前記外部空間における当該レーザ光の到達位置を検出する到達位置検出手段と、
    前記到達位置検出手段によって検出された前記到達位置が予め定められた監視エリア内であることを条件として検出対象物が検出されたものと判定する判定手段と、
    を備え、
    前記判定手段は、前記第1反射部の1周期の回転範囲におけるいずれかの回転角度にあるときのレーザ光の照射方向において、前記到達位置検出手段によりレーザ光の複数の到達位置が検出された場合に、当該回転角度において最後方の到達位置よりも前側の到達位置の検出結果を前記検出対象物以外のノイズによるものと判定する構成をなしており、
    前記誘導手段は、前記第1反射部からの前記レーザ光の照射方向に対し所定角度傾斜した方向で前記第2反射部に入り込む前記反射光が前記検出手段に向けて集光される構成をなし、且つ前記外部空間における前記レーザ光の投光光軸上の所定位置が前記受光領域で受光可能となる視野範囲の中心となる受光光軸上に位置し、前記レーザ光の投光光軸において前記所定位置から前記第1反射部に近づくほど、前記受光光軸から離れることを特徴とするレーザレーダ装置。
  2. 前記投光光軸上の前記所定位置が前記監視エリア内となるように前記監視エリアが設定されていることを特徴とする請求項1に記載のレーザレーダ装置。
  3. 前記第2反射部から前記検出手段までの経路には、光を通過させる導光部を備えた絞り部材が設けられており、
    前記絞り部材は、前記受光光軸が前記導光部の導光領域内を通るように配置され、前記第2反射部で反射する前記反射光のうち前記導光領域内に入り込む光を選択的に前記受光領域に導き、前記導光領域から外れた光の通過を遮ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレーザレーダ装置。
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