JP5996986B2 - インサート成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の第1実施形態に係るインサート成形品の製造方法について図1ないし図6を参照して説明する。
このインサート成形品Aの製造方法に用いられる製造装置1は、2プレートタイプのインサート成形装置であって、インサート成形品Aにインサート成形されるインサート部材(ターミナル)としての導電プレートBの高度な防水性能および絶縁性能を確保することを目的としたものである。ここで、導電プレートBは、例えば銅等の導電性を有する金属材料等にて形成された導電板であって、例えばスイッチの極盤・ターミナルや固定接点等の役目を果たす部分となる。具体的に、この導電プレートBは、インサート成形品Aにインサート成形された後においては、図6に示すように、この導電プレートBの全体である全部分が絶縁性樹脂Cにてシールドされ、防水性および絶縁性が確保された構造とされている。
金型4の上型2の下面であるパーティングラインとしての成形面2aには、下方に開口した断面略凹状の成形領域となる上型空間21が設けられている。この上型空間21の底部21aには、この上型空間21から上型2の外部に向けて貫通したピン挿通孔22が穿設されている。これらピン挿通孔22は、所定の間隔を空けて、例えば3本ほど設けられている。そして、上型2の上型空間21の開口縁には、図5に示すように、この上型空間21内に絶縁性樹脂Cを注入するための導入口としての樹脂注入口23が設けられている。
一方、下型3は、上型2と同様に構成されており、この下型3の上面であるパーティングラインとしての成形面3aに形成された断面略凹状の成形領域となる下型空間31を、上型2の上型空間21に対向させた状態とされて取り付けられている。具体的に、この下型3の下型空間31の底部31aには、この下型空間31から下型3の外部に向けて貫通したピン挿通孔32が穿設されている。これらピン挿通孔32は、上型2の各ピン挿通孔22に同心状に連通するように対向させて、例えば3本ほど設けられている。
次に、上記製造装置1を用いたインサート成形品Aの製造方法について説明する。
まず、金型4が型開きされ、下型3の各ピン挿通孔32から押えピン34の押え面34aのそれぞれが下型3の下型空間31の底部31aより下型空間31内へ所定距離ほど突出した状態で、この下型3の下型空間31の中央に導電プレートBを設置する。このとき、この導電プレートBの下面は、各押えピン34の押え面34a上に載置された状態とされる。一方、上型2の各ピン挿通孔22に挿通されている各押えピン24は、スプリング27による弾性力にて移動プレート25が上型2の上面2bへ当接するように付勢され、これら各押えピン24の押え面24aが上型2の上型空間21の底部21aより上型空間21内へ所定距離ほど突出した状態とされている。
この状態で、これら下型3および上型2を近づく方向に相対的に移動させて、これら下型3の成形面3aと上型2の成形面2aとを接触させて型締めする。このとき、図1に示すように、この上型2の各ピン挿通孔22から上型空間21内へ突出している各押えピン24の押え面24aによって、下型3の下型空間31内に設置されている導電プレートBが上側から押えられ、下型3の各ピン挿通孔32から下型空間31内へ突出している各押えピン34との間で挟持されて位置決め固定される。
この後、溶融させた絶縁性樹脂Cを上型2の樹脂注入口23から金型4内へ徐々に注入していき、図2に示すように、この絶縁性樹脂Cを上型2のゲート23aを介して金型4内の成形空間5に射出させる。このとき、絶縁性樹脂Cは、各押えピン24,34が位置する部分を除いた成形空間5内を満たしていき、これら各押えピン24,34の周囲を覆っていき、この成形空間5内への絶縁性樹脂Cの充填が完了される。
そして、この絶縁性樹脂Cが金型4内の成形空間5に射出され、この成形空間5が絶縁性樹脂Cにて満たされた後、この絶縁性樹脂Cが成形空間5から各ゲート面28a,38aを介して各シリンダ部28b,38b内へと導入されていく。そして、これら各シリンダ部28b,38b内に導入され充填された絶縁性樹脂Cの圧力の上昇によって、ピストン部28cが上方へ押し上げられ、各押えピン24の押え面24aが上型2の上型空間21の底部21aに沿う位置、すなわち面一位置となるまで、スプリング27の弾性力に抗して移動プレート25が上方に移動され、これら各押えピン24を後退移動させる。また同時に、シリンダ部38b内に充填された絶縁性樹脂Cの圧力の上昇により、ピストン部38cが下方へ押し下げられ、各押えピン34の押え面34aが下型3の下型空間31の底部31aに沿う位置、すなわち面一位置となるまで、スプリング37の弾性力に抗して移動プレート35が下方に移動され、これら各押えピン34を後退移動させる。
そして、金型4の成形空間5に射出された絶縁性樹脂Cが硬化(固化)した後の状態で、この金型4の上型2と下型3とを引き離すように相対的に移動させて型開きし、導電プレートBの全部分が絶縁性樹脂Cにてシールドされて被覆されたインサート成形品Aを、金型4の成形空間5内から取り出す。このとき、このインサート成形品Aを金型4の成形空間5から取り出す際においては、このインサート成形品Aとともに、ゲート23aおよびゲート面28a,38aを介して樹脂注入口23およびシリンダ部28b,38bに充填され硬化した絶縁性樹脂Cがそれぞれ取り外される。
前述のように、金型4の上型2および下型3の各ピン挿通孔22,32に取り付けた押えピン24,34を用い、この金型4の成形空間5に設置された導電プレートBの上面および下面を各押えピン24,34にて挟持して位置決め固定した状態で、この成形空間5に、溶融した絶縁性樹脂Cを射出し、この絶縁性樹脂Cの硬化前の状態で、各押えピン24,34を後退させる。さらに、この絶縁性樹脂Cの硬化後に、金型4の上型2と下型3とを型開きして、導電プレートBの全部分、すなわち全体が絶縁性樹脂Cにてシールドされて被覆されたインサート成形品Aを金型4の成形空間5から取り出す構成とした。
次に、本発明の第2実施形態のインサート成形品の製造装置1Bについて、図7ないし図9を参照して説明する。
上記第2実施形態の製造装置1Bは、図8に示すように、各押えピン34のピン本体34bの先端側から位置決めピン34dの先端部を突出させた状態で、これら各押えピン34上に導電プレートBが設置され、この導電プレートBの各貫通穴B1に各位置決めピン34dの先端部を嵌合させて位置決めさせる。この状態で、樹脂注入口23から絶縁性樹脂Cが導入され、この絶縁性樹脂Cにて成形空間5内が満たされた場合に、導電プレートBの各貫通穴B1の上側から流れ込んでくる絶縁性樹脂Cの圧力にて、図9に示すように、各押えピン34の位置決めピン34dが移動プレート35の上面にて係止され、これら各押えピン34のピン本体34bの上端面に沿う位置、すなわち面一位置となるまで、各スプリング34eの弾性力に抗して各位置決めピン34dが後退移動される。
上記各実施形態では、金型4内に設置した導電プレートBを押えピン24,34にて押えて位置決めした状態で絶縁性樹脂Cを金型4内に射出してから押えピン24,34を後退させる方法としたが、金型4内に設置した導電プレートBを押えピン24,34にて位置決めした状態で、この導電プレートBの一部を切断してから絶縁性樹脂Cを射出した後に各押えピン24,34を後退させる方法ともできる。
2 上型
2a 成形面
2b 上面
3 下型
3a 成形面
3b 下面
4 金型
5 成形空間
21 上型空間
21a 底部
22 ピン挿通孔
23 樹脂注入口
23a ゲート
24 押えピン
24a 押え面
25 移動プレート
26 支持プレート
27 スプリング
28 ピン抜き機構(上側)
28a ゲート面
28b シリンダ部
28c ピストン部
31 下型空間
31a 底部
32 ピン挿通孔
34 押えピン
34a 押え面
34b ピン本体
34c 取付穴
34d 位置決めピン
34e スプリング
34f スプリング収容凹部
35 移動プレート
36 支持プレート
37 スプリング
38 ピン抜き機構(下側)
38a ゲート面
38b シリンダ部
38c ピストン部
A インサート成形品
B 導電プレート(インサート部材)
B1 貫通穴
C 絶縁性樹脂(樹脂材)
D 所定の間隔(上側)
E 所定の間隔(下側)
Claims (2)
- 金型内にインサート部材を設置し、溶融させた樹脂材を前記金型内に射出して前記インサート部材をインサート成形するインサート成形品の製造方法であって、
前記金型内に設置されたインサート部材を押えピンにて押えて位置決めする型締め工程と、
前記金型内に前記樹脂材を射出する射出工程と、
前記金型内が前記樹脂材にて満たされ、かつこの樹脂材が硬化する前の状態で、前記金型の内面に沿う位置まで前記押えピンを後退させるピン移動工程と、
前記樹脂材が硬化した状態で型開きして前記インサート部材がインサート成形された前記インサート成形品を取り出す取り出し工程と、
を備え、
前記金型は、前記樹脂材を射出するための導入口と、この導入口に連続して設けられ前記インサート成形品を成形するための成形空間と、この成形空間に連続して設けられ、充填される前記樹脂材の圧力にて前記押えピンを後退させる導入空間とを有し、
前記ピン移動工程は、前記成形空間への樹脂材の充填が完了した後に、この成形空間から前記導入空間へ導入される前記樹脂材の圧力にて前記押えピンを後退させる
ことを特徴とするインサート成形品の製造方法。 - 請求項1記載のインサート成形品の製造方法において、
前記型締め工程は、互いに対向する方向に進退可能に取り付けられた一対の前記押えピンにて前記インサート部材を挟んで位置決めし、
前記ピン移動工程は、前記各押えピンの先端面が前記金型の内面に沿う位置まで前記各押えピンを後退させて前記インサート部材の位置決めを解除し、このインサート部材と前記金型との間に前記樹脂材を流し込むための隙間を形成させる
ことを特徴とするインサート成形品の製造方法。
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