JP5983464B2 - シート構成部材の製造法 - Google Patents
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Description
一方、シートクッションの下部にはシートスライド機構や高さ調節機構が配設されたり、シートクッションとシートバックの連結部にはシートバックを傾動するためのリクライニング機構が配設されている。これらの機構を覆ってシート全体の見栄えを良くするために、シートクッションの下方周りに意匠カバーとしてのシールドが配置される。このシールドはシートクッションの前面側から側面側にかけて配置される。これによりシートクッションの上方部に配置される前述の表皮一体発泡成形シートのシート構成部材と共に、下方部に配置されるシールドにより各種シート機器を覆って、シート全体の見栄えを良好なものとしている。
本発明に係るシート構成部材の製造法の基本となる前提構成は、一方の型と他方の型により形成される発泡室の内面に予め表皮を配設して、その後シートパッドを発泡成形して表皮とシートパッドを一体とするシート構成部材の製造法である。そして、かかる構成のシート構成部材の製造法の特徴構成として、前記発泡室の内面に配設される表皮の内側の一部に入れ子を配設してシートパッドを発泡成形し、その後、前記一方の型と他方の型を離型し、前記入れ子を取り除くことにより、該入れ子箇所のシートパッドと表皮との間のシートパッドの表面に凹部の空間が形成されることを特徴とする製造法である。
シートクッション10の下部には高さ調節機構(不図示)が設けられており、着座者に応じてシートクッション10の前部位置の高さが調節可能とされている。また、シートクッション10の下部位置にはシートスライド機構(不図示)も設置されており、着座者に応じてシート全体の前後方向位置も調節可能としている。これらの機構を覆い隠すようにシートクッション10の前面部及び側面部の下方位置にはシールド26が配設されている。図1にはシートクッション10の前面部下方位置に配設されたフロントシールド26Aが示されている。これによりシートクッション10の下部に配置された機構を外部から見えないようにして、シート全体の見栄えを良好なものとしている。なお、フロントシールド26Aは、上下方向に移動しないシートの基部に取付けられているため、シートクッション10の高さ方向の調節移動に伴いシートクション10とフロントシールド26Aとは相対的に変位する。
なお、シートカバー16をシートパッド24の発泡成形時にシートパッド24と一体化する場合、シートカバー16の裏面材22は低通気性ラミで形成されていることから、シートパッド24の発泡材が発泡成形時に裏面材22を通過して中間材20位置まで浸み出すことがない。
また、上述の実施形態では、シートパッド24に凹部30が形成される位置は、シートクッション10の前面側位置である。この位置は、着座者が着座する際に接触する接触面以外の箇所であるので、シートへの着座者の着座感覚に影響を及ぼすことが少ない。
図2は成形型36によりシート構成部材14を一体発泡成形する状態を模式的に示し、図3一体発泡成形後の離型した状態を示している。図4は成形されたシート構成部材を成形型から取り出した状態を示している。成形型36は、図2に示すように、下型38と上型40とから構成されており、内部に発泡室(キャビティ)42を形成している。発泡室42の空間形状は概略シートパッド24の成形後の形状に対応した形状とされている。より詳細にはシートカバー16をシートパッド24に表層した空間形状とされている。図2の発泡室42形状は図1に示すシートクッション10のシート構成部材14の上下方向位置が逆転した配置状態となっている。すなわち下型38の下面側がシートクッション10の上面側となる位置関係となっている。
上型40の発泡室42におけるシートパッド24の凹部30が形成される位置には、該凹部30形状に対応する入れ子44が挿入配置されて、発泡室42は形成される。入れ子44には凹部形成部位44Aと取っ手44Bを備える。
なお、本実施形態における下型38と上型40の一方が本発明の一方の型に相当し、他方が本発明の他方の型に相当する。この成形型36は、本実施形態では、何れもアルミニュウムで形成されている。
表皮18を含むシートカバー16とシートパッド24とを一体発泡成形するに当たっては、先ず、下型38と上型40を型合わせして形成される発泡室42内面にシートカバー16を敷設する。このとき、凹部30が形成される位置におけるシートカバー16の裏面材22と中間材20との間に入れ子44を挿入して所定位置に配置する。そして、シートカバー16が敷設された発泡室42内に発泡液を注入する。この作業を行うために、図2は模式図であるため簡略化され省略されているが、具体的には、上型40はシートカバー16が敷設される部位箇所の第1上型40と、その他の部位箇所の第2上型40に分割して形成されている。そして、下型38に第1上型40を型合わせした状態で、まだ型合わせされていない第2上型40の配置箇所から発泡室42内の内面にシートカバー16を敷設し、その際、一緒に入れ子44を所定位置に挿入し、更に、発泡液を注入する。その後、第2上型40を型合わせして発泡室42を閉鎖形成する。
成形型36を構成する下型38、第1上型40、第2上型40はヒンジ機構により回動可能に連結されて構成されている。このため、先ず、下型38に対して第1上型40を回動させることにより型合わせすることができて、この状態でシートカバー16を敷設し、入れ子44を挿入し、発泡液を注入する。その後、更に、第2上型40を回動して型合わせして、発泡室42を閉鎖された状態とし、発泡成形可能状態とする。
なお、前述もしたように、発泡成形時における発泡材のシートカバー16への浸み込みは、裏面材22は低通気性ラミで形成されているため、中間材20位置まで浸み出ることはない。このため凹部30位置における裏面材22と中間材20との間に空間28を形成することに影響を与えることはない。従って、凹部30位置においては、表皮18の裏側に確実に空間28を形成することができて、表皮18の撓み変形を容易とする。これにより、フロントシールド26Aの端縁26xが接触移動する場合も表皮18は容易に撓んで行われるため、損傷を可及的に抑制することができて、見栄えを永く良好なものとすることができる。
例えば、シートパッドの表面に形成する凹部形状は、上記実施形態の場合は、角形状であったが、丸形状等空間を形成できる形状であればよい。この場合、離型する際に、離型し易い形状であるのが好ましい。特に、上記成形型のように、回動により型合わせする成形型の場合には回動方向を考慮した凹部形状とするのが好ましい。
また、上記実施形態では、シートクッションに凹部を形成する場合であったが、本発明は、シートバックやヘッドレスト等に凹部を形成する場合であってもよい。
また、上記実施形態では、凹部を形成する位置のシートカバーの裏面材と中間材とを一体化しなく離すことのできる構成として、その間に入れ子を挿入配置したが、入れ子の表面をシートパッドの発泡成形時に発泡材が一体的とならない構成とした場合には、入れ子を裏面材の内面側に配置することができて、シートカバーの3層全体を全て一体的な構成のものとすることができる。
12 シートバック
14 シート構成部材
16 シートカバー
18 表皮
20 中間材
22 裏面材
24 シートパッド
26 シールド
26A フロントシールド
26x 端縁
28 空間
30 凹部
32 係止クリップ
34 シートフレーム
34A 係止部
36 成形型
38 下型
40 上型(第1上型、第2上型)
42 発泡室
44 入れ子
44A 凹部形成部位
44B 取っ手
Claims (3)
- 一方の型と他方の型により形成される発泡室の内面に予め表皮を配設して、その後シートパッドを発泡成形して表皮とシートパッドを一体とするシート構成部材の製造法であって、
前記発泡室の内面に配設される表皮の内側の一部に入れ子を配設してシートパッドを発泡成形し、その後、前記一方の型と他方の型を離型し、前記入れ子を取り除くことにより、該入れ子箇所のシートパッドと表皮との間のシートパッドの表面に凹部の空間が形成されるものであり、
前記シートパッドの表面に形成される凹部の位置は、シートの外面に配設される意匠カバーとしてのシールドの端縁の位置に対応する位置であることを特徴とするシート構成部材の製造法。 - 一方の型と他方の型により形成される発泡室の内面に予め表皮を配設して、その後シートパッドを発泡成形して表皮とシートパッドを一体とするシート構成部材の製造法であって、
前記発泡室の内面に配設される表皮の内側の一部に入れ子を配設してシートパッドを発泡成形し、その後、前記一方の型と他方の型を離型し、前記入れ子を取り除くことにより、該入れ子箇所のシートパッドと表皮との間のシートパッドの表面に凹部の空間が形成されるものであり、
前記表皮を表層とするシートカバーは、該表皮と、前記シートパッドに面して配設される低通気性ラミの裏面材とを有して形成されており、前記入れ子は前記シートカバーの表皮と裏面材との間に配設されることを特徴とするシート構成部材の製造法。 - 請求項2に記載のシート構成部材の製造法であって、
前記シートパッドの表面に形成される凹部の位置は、着座者が着座する際に接触する接触面以外の箇所であることを特徴とするシート構成部材の製造法。
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