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JP5982228B2 - ミシンの上糸保持装置 - Google Patents

ミシンの上糸保持装置 Download PDF

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JP5982228B2
JP5982228B2 JP2012194696A JP2012194696A JP5982228B2 JP 5982228 B2 JP5982228 B2 JP 5982228B2 JP 2012194696 A JP2012194696 A JP 2012194696A JP 2012194696 A JP2012194696 A JP 2012194696A JP 5982228 B2 JP5982228 B2 JP 5982228B2
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Description

本発明は、ミシンの上糸保持装置に関する。
縫い始めの縫い目を確実に形成するとともに、縫い始めの針先に残る上糸の長さを安定させるため、縫い始めにおいて、まず、第一針目の針に挿通された上糸の端部を釜により針板の裏側に引き出すが、その後において、引き出された上糸の端部を針板の裏側で挟持する上糸保持装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
図32は上糸と上糸保持装置との関係を示す側面図である。図32に示すように、針100に挿通された上糸Tの端部は、針板101の下方で上糸保持装置102によって保持されている。縫製時においては、上糸保持装置102は、上糸Tに対して所定の張力を付与する程度の力で保持しているため、針棒上死点まで天秤によって引き上げられる上糸Tを所定の力で保持して生地裏に残存させるようになっている。
特開2003−290582号公報
しかしながら、上述した上糸保持装置102であると、針板101の下部から上糸保持装置102により保持された上糸の端部は、保持された状態のまま針穴から離間した位置へ上糸保持装置102によって移動される。これによって針穴から上糸保持装置102の距離分が加算された長さ(図32の矢印Qの範囲)の上糸Tが針板101の裏側に残ることになり、この上糸Tが縫製時に巻き込まれるため、図33に示すようにいわゆる「鳥の巣」と呼ばれる見栄えの悪い縫い目になってしまうおそれがあった。
本発明の課題は、上糸が縫い目に巻き込まれてしまうことを抑制し、縫い目の見栄えを向上させることである。
請求項1記載の発明は、
ミシンベッド部に細長状のシリンダベッド部を有するミシンの上糸保持装置において、
前記シリンダベッド部に設けられ、かつ、縫製開始後、針に挿通されている上糸を針板の下方で挟むとともに、前記上糸を前記針の上下動経路から離れた位置に移動させる上糸保持部と、
前記上糸保持部を駆動させる上糸保持装置駆動源と、
前記上糸保持部と前記上糸保持装置駆動源を連結するリンク機構と、
前記上糸保持装置駆動源を制御する制御部と、
前記針板の下方であって、当該針板の針穴の近傍に配置された上糸切断用のメス部と、を備え、
前記制御部は、
前記上糸保持部が縫製開始後、前記上糸を前記針板の下方で挟むとともに、前記上糸を前記針の上下動経路から離れた位置に移動させてから、縫製が所定の針数だけ進行すると、前記上糸保持部で前記上糸を挟持した状態で前記上糸保持部を前記針の上下動経路からさらに離間させる方向に移動させるように前記上糸保持駆動源を制御することで、前記メス部に前記上糸を干渉させて当該上糸を切断させることを特徴としている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のミシンの上糸保持装置において、
前記針穴には、前記上糸を前記メス部側に案内するガイド溝が形成されていることを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のミシンの上糸保持装置において、
前記メス部は、前記上糸の通過経路となる部分がV字形状となっていて、前記V字形状部の内側が刃となっていることを特徴としている。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のミシンの上糸保持装置において、
前記上糸保持部は、
前記針板と平行な平面に沿って先端部が前後移動自在な第一保持部と、
前記第一保持部の先端部に接離自在な第二保持部とを備え、
前記制御部は、前記上糸保持駆動源を制御して、
前記第一保持部と前記第二保持部とが前記上糸を強固に挟む挟持状態、前記第一保持部と前記第二保持部とが前記挟持状態よりも弱い力で前記上糸を挟む弱保持状態、前記第一保持部と前記第二保持部とが前記上糸を解放する解放状態とを切り替え、
前記上糸の切断前に、当該上糸が前記メス部に干渉した位置にある場合には、前記弱保持状態で前記上糸を挟み、前記切断を実行する際には前記挟持状態で前記上糸を挟むことを特徴としている。
請求項5記載の発明は、請求項4記載のミシンの上糸保持装置において、
前記第一保持部の先端部には、前記第二保持部の先端部が前記挟持状態の際に前記上糸とともに係合する溝部が形成されていることを特徴としている。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のミシンの上糸保持装置において、
前記針穴を挟んで前記メス部とは反対側に配置され、縫製終了時に前記上糸を捌いて切断する糸切り機構をさらに備え、
前記メス部は、前記糸切り機構によって前記上糸が捌かれる際の当該上糸の移動する領域に重ならない位置に配置されていて、
前記上糸保持部は、前記上糸を挟持した状態で前記針の上下動経路から離間させる際に、前記上糸が前記メス部に干渉するように前記上糸を案内することを特徴としている。
請求項1記載の発明によれば、上糸保持部が縫製開始後、上糸を針板の下方で挟むとともに、上糸を針の上下動経路から離れた位置に移動させてから、縫製が所定の針数だけ進行すると、上糸保持部により上糸を挟持した状態で上糸保持部が針の上下動経路からさらに離間し、針穴近傍に設置されたメス部に上糸を干渉させて当該上糸を切断させるので、針穴近傍で上糸を切断することができる。したがって、針板の裏側に残る上糸の長さを短くすることができ、上糸が縫い目に巻き込まれてしまうことを押さえることができ、縫い目の見栄えを向上させることができる。
請求項2記載の発明によれば、上糸をメス部側に案内するガイド溝が針穴に形成されているので、上糸を切断する際、メス部に上糸を案内することができ、スムーズな切断が可能となる。
請求項3記載の発明によれば、メス部における上糸の通過経路となる部分がV字形状となっていて、V字形状部の内側が刃となっているので、V字形状部に上糸を導くことでスムーズな切断が可能となる。
請求項4記載の発明によれば、上糸保持部の移動によりメス部に上糸を干渉させて当該上糸を切断する前までは、上糸保持部は弱保持状態で上糸を挟んでいるので、上糸が緊張状態にならず、縫製開始後に上糸保持部によって針の上下動経路から離れた位置に移動をさせられた当該上糸がメス部に接触した場合でも、切断動作前に上糸が切断されてしまうことを防止することができる。
請求項5記載の発明によれば、挟持状態の際に、第二保持部の先端部が上糸とともに係合する溝部が第一保持部の先端部に形成されているので、より強固に上糸を挟持することができ、挟持状態時に上糸が抜けてしまうことを防止することが可能となる。
請求項6記載の発明によれば、糸切り機構によって上糸が捌かれる際の当該上糸の移動する領域に重ならない位置にメス部が配置されているので、糸切り機構によって上糸が捌かれている途中に当該上糸がメス部によって切断されてしまうことを防止することができる。
そして、上糸保持部が上糸を挟持した状態で針の上下動経路から離間させる際には、上糸がメス部に干渉するように上糸を案内するので、上糸を確実にメス部に接触させることができ、糸切り不良を防止することが可能である。
本発明に係る上糸保持装置を搭載したミシンの概略構成を示す正面図である。 本実施形態に係る上糸保持装置の概略構成を示す斜視図である。 図1のミシンに備わる針穴ガイドの概略構成を示す説明図であり、(a)は下面図、(b)は斜視図である。 本実施形態に係るメス部の概略構成を示す斜視図である。 本実施形態に係る第一保持部の先端部と、第二保持部の先端部との係合状態を示す説明図であり、(a)は開口状態図、(b)は弱保持状態図、(c)は挟持状態図である。 本実施形態に係る上糸保持装置の主制御構成を示すブロック図である。 本実施形態の上糸保持装置の作用を示すフローチャートである。 本実施形態に係る上糸保持装置の一工程を示す説明図である。 本実施形態に係る上糸保持装置の一工程を示す説明図である。 本実施形態に係る上糸保持装置の一工程を示す説明図である。 本実施形態に係る第一保持部と第二保持部との挟持状態時における位置関係を示す側断面図である。 本実施形態に係る上糸保持装置の一工程を示す説明図である。 本実施形態に係る上糸保持装置の一工程を示す説明図である。 上糸切断時における各部の位置関係を示す側断面図である。 本実施形態に係る上糸保持装置を用いたことにより形成された縫い目の一例を示す説明図である。 本実施形態に係る上糸保持装置の変形例を示す斜視図である。 本実施形態に係る上糸保持装置の動作制御の変形例を示す側断面図である。 本実施形態に係る第一保持部に形成される溝部の一例を示す説明図であり、(a)は第二保持部の先端部が溝部と係合する前の状態を示し、(b)は先端部が溝部と係合した状態を示している。 図18の溝部の変形例を示す説明図であり、(a)は第二保持部の先端部が溝部と係合する前の状態を示し、(b)は先端部が溝部と係合した状態を示している。 図18の溝部の変形例を示す説明図であり、(a)は第二保持部の先端部が溝部と係合する前の状態を示し、(b)は先端部が溝部と係合した状態を示している。 本実施形態に係る糸切り機構の概略構成を示す上面図である。 図21の糸切り機構の側面図である。 本実施形態に係る糸切り機構の動メスにより上糸が捌かれる動作を示す説明図である。 本実施形態に係る糸切り機構の動メスが上糸を捌く際に上糸が移動する領域を示す説明図である。 本実施形態に係る糸切り機構の動メスが上糸を捌く際に上糸が移動する領域を回避した位置にメス部を設けた状態を示す説明図である。 本実施形態の上糸保持装置の変形例の要部構成を示す斜視図である。 図26の上糸保持装置の上面図である。 図26の上糸保持装置に備わる針穴ガイドの裏面側形状を示す斜視図である。 図26の上糸保持装置に備わる第一保持部の概略構成を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は斜視図である。 図26の上糸保持装置に備わる第一保持部の先端部と、第二保持部の先端部との係合状態を示す説明図である。 本実施形態に係る糸切り機構によって上糸が捌かれるときに当該上糸が移動する領域と、図26に示す上糸保持装置との位置関係を示す説明図である。 従来の上糸と上糸保持装置との関係を示す側面図である。 従来の上糸保持装置を用いたことにより形成された縫い目の一例を示す説明図である。
以下、本発明の上糸保持装置に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明の上糸保持装置を含むミシン本体の各部材の構成を説明するにあたって、本実施形態では、図中に示したXYZ軸によりそれぞれの方向を定め、ミシン幅方向をX方向、X方向と直交するアーム部33の長手方向をY方向、X方向とY方向の両方に直交する方向をZ方向と定義する。特に、X方向における+側を右、−側を左;Y方向における+側を前、−側を後;Z方向における+側を上、−側を下と表現する。
図1に示すように、この一例の上糸保持装置1が備えられたシリンダベッドミシン(以下「ミシン」という。)30は、略矩形箱状に形成されたミシンベッド部31と、ミシンベッド部31の後部に立設された立胴部32と、立胴部32から前方に延出して設けられたアーム部33と、を備えている。
アーム部33の前端部となるミシン頭部34には、図示しない主軸の回転に追従して上下動する針棒35が取り付けられており、この針棒35の下端には針36が取り付けられている。なお、図1は、針36に上糸37の端部が挿通された状態を示している。また、ミシンベッド部31は、前側に延出しかつ細長状(略円筒状)に形成されたシリンダベッド部31aを有している。シリンダベッド部31a上には針板50が固定され、この針板50には針36が下降した際に針36が通過する針穴51が形成されている。なお、図1には図示しないが、針板50の下方には、上糸の端部が挿通された針36が下降した際に上糸を捕捉する釜機構、縫製終了時に上糸を含む縫製に係る糸を切断する糸切り機構81(図21,図22参照)等が設けられている。
そして、上記したミシン30のミシンベッド部31内に上糸保持装置1が設けられている。
図2は、上糸保持装置1の概略構成を示す斜視図である。図1及び図2に示すように、上糸保持装置1には、本体部10と、上糸保持装置駆動源20と、本体部10及び上糸保持装置駆動源20を連結するリンク機構28と、上糸切断用のメス部40とが設けられている。
メス部40は、針穴51を有する円板状の針穴ガイド52の下面に取り付けられている。図3は、針穴ガイド52の概略構成を示す説明図であり、(a)は下面図、(b)は斜視図である。図3に示すように、針穴ガイド52の中央部には貫通孔である針穴51が形成されている。針穴51の周囲には、針穴ガイド52を針板50にネジ止めするための固定穴53が形成されている。また、針穴ガイド52における針穴51近傍の下面には、針穴51と連続しY方向に沿うガイド溝54が形成されている。このガイド溝54の外側端部近傍かつY方向後側にメス部40が取り付けられている。
図4は、メス部40の概略構成を示す斜視図である。図4に示すように、メス部40は板状であり、その一側部にV字形状の切欠からなるV字形状部41が形成されている。このV字形状部41の内側が刃42となっている。V字形状部41内に進入した上糸37はこの刃42によって切断される。そして、図2に示すように、メス部40は、針穴51の立胴部側(Y方向後側)に配置されている。
本体部10は、針穴51を通過した上糸37を挟持・弱保持する上糸保持部5と、上糸保持部5を支持する基台58とを備えている。
基台58は、メス部40よりも針穴51から立胴部側(Y方向後側)に離れた位置に配置されて、針板50との相対的な位置関係が変動しないように固定されている。
上糸保持部5は、基台58から針穴51に向けて延在する板状の第一保持部60と、第一保持部60の周囲に沿うように形成された枠状の開口を有する第二保持部70とを備えている。
第一保持部60は、針板50と平行な平面に沿って先端部61がY方向に前後移動自在となっている。
第二保持部70は、第一保持部の先端部61に対してY方向に沿って接離自在となっている。そして、第二保持部70の開口の四角形に相当する4つの内周面のうち、最もY方向前側となる内面が第二保持部の先端部71となる。この第二保持部の先端部71が第一保持部の先端部61に対して近接することで、第一保持部の先端部61とともに上糸37を挟持・弱保持するようになっている。
図5は、第一保持部の先端部61と、第二保持部の先端部71との係合状態を示す説明図である。図5に示すように、第一保持部の先端部61には、Y方向前側に向かって第一保持部60の延在する平面の前側に設けられた保持面63と、保持面63からY方向前側に向かって突出し第一保持部60の延在する平面よりも一段低く形成された両端が凸となる湾曲形状部62とが設けられている。この湾曲形状部62の両端上面に沿って、第二保持部の先端部71がY方向に沿って接離するように摺動するようになっている。
図5(a)は、第一保持部の保持面63と、第二保持部の先端部71との間隔Hが大きく開いた開口状態を示し、この間隔H内に配置された上糸37に対しても何ら規制を加えない状態で、第1針目の針落ちを待機する待機状態を示している。なお、開口状態に際しては、針穴51を通過した針36が間隔H内に進入するようになっている。
図5(b)は、第一保持部60の保持面63と、第二保持部70の先端部71との間隔Hが上糸37に摺接抵抗を加えることができる程度に狭くなった状態(弱保持状態)を示している。この弱保持状態においては、湾曲形状部62と第二保持部の先端部71の下面とで上糸37を挟むことにより上糸37を屈曲させた状態で弱保持しており、上糸37に摺接抵抗を加えることはできるものの間隔Hが開いた状態であるために、天秤によって引き上げられた上糸37の移動は許容される状態となっている。
図5(c)は、第一保持部60の保持面63と、第二保持部の先端部71との間隔Hが閉じた状態(挟持状態)を示している。この挟持状態においては、第一保持部の保持面63と、第二保持部の先端部71とで上糸37を強固に挟んで挟持することができ、挟持された上糸37の移動は規制された状態となっている。
図1に示す上糸保持装置駆動源20及びリンク機構28は、第一保持部60及び第二保持部70を個別に駆動させるようになっている。なお、リンク機構28については従来の上糸保持装置と同様のものであるので、詳細な説明は省略する。
上糸保持部5は、下述する第一移動位置、第二移動位置、第三移動位置及び第四移動位置の4段階で、第一保持部60及び第二保持部70の移動を行う。
第一移動位置は、第一保持部の保持面63と、第二保持部の先端部71との間隔Hが大きく開いた開口状態で、縫製開始前に予め針36の上下動経路の下方である待機位置に、第一保持部60及び第二保持部70が位置決めされる位置である。
第二移動位置は、縫製開始後であって第1針目の針36が布地から引き抜かれたときに、湾曲形状部62と第二保持部の先端部71の下面とで上糸37を挟んで上糸37を屈曲させ弱保持状態となる弱保持位置に、第一保持部60及び第二保持部70が位置決めされる位置である。
第三移動位置は、天秤が上死点に達してから、第一保持部の保持面63と第二保持部の先端部71とで上糸37を強固に挟んで挟持状態となる挟持位置に、第一保持部60及び第二保持部70が位置決めされる位置である。
第四移動位置は、上糸保持部5が上糸を挟んでから予め決められた回数の針落ちが行われると(例えば第2〜3針目)、第一保持部の保持面63と第二保持部の先端部71との間隔Hが開いて上糸37を解放状態とする解放位置に、第一保持部60及び第二保持部70が位置決めされる位置である。
そのため、上糸保持装置1は、上糸保持部5をY軸方向に沿って往復駆動するY軸移動機構(上糸保持装置駆動源20とリンク機構28)と、上糸保持部5が第一〜第四の各移動位置にあるか否かを検出する移動位置検出手段55と、Y軸移動機構の動作制御を行う制御部21とを備えている。なおY軸移動機構と移動位置検出手段55については従来の上糸保持装置と同様であり、詳細な説明は省略する。
図6は、上糸保持装置1の主制御構成を示すブロック図である。この図6に示すように、上糸保持装置1には、ミシン30の駆動源であるミシンモータ23及び上糸保持装置駆動源20を制御する制御部21が設けられている。かかる制御部21は、詳細には図示しないが、各種演算処理を行うCPUと、制御、判断等各種処理用の各種プログラムが記憶、格納されたROMと、各種処理におけるワークメモリとして使用されるRAMとで概略構成されている。そして、制御部21には、システムバス及び駆動回路等を介してミシンモータ23、そのエンコーダ56、上糸保持装置駆動源20、移動位置検出手段55、ミシン30のS/S(スタートストップ)スイッチ57が接続されている。
制御部21は、ミシンモータ23の出力軸に設けられているエンコーダ56から入力されるパルス信号に基づき、ミシンモータ23の回転角度を認識することができる。また、制御部21は、移動位置検出手段55から入力される検出信号に基づき、上糸保持部5の各移動位置を確認することができる。
また、制御部21は、S/Sスイッチ57から縫製開始信号が入力されると、確認、認識したミシンモータ23の回転角度や上糸保持部5の動作位置検出に応じて、上糸保持装置駆動源20の駆動を制御する。
次に、本実施形態の上糸保持装置1の作用について図7のフローチャートに基づいて説明する。
まず、縫製前においては、図5(a)に示すように上糸保持装置1の第一保持部の保持面63と第二保持部の先端部71との間隔が大きく開いた開口状態で、図2に示すように針上下動経路の下方の待機位置である第一移動位置に、第一保持部60及び第二保持部70が位置決めされている。
ステップS1では、制御部21は、ミシン30のS/Sスイッチ57がONとなるまではその状態を維持し、ONとなるとステップS2に移行する。
ステップS2では、制御部21は、移動位置検出手段55の検出結果に基づき、第一移動位置にあるか否かを判断し、第一移動位置である旨が検出されている場合にはステップS3に移行し、検出されていない場合にはステップS16に移行する。
なお、このステップS2で、移動位置検出手段55の検出結果が、第一移動位置である旨が検出されていない場合とは、正常状態の出力と異なる場合であり、例えば上糸保持装置駆動源20の脱調等の異常が発生したことが考えられる。このため、ステップS16では、制御部21は、エラーが発生した旨の表示や警告を行い、なおかつミシン30の各部の動作を中止するエラー処理を実行し、処理を終了する。
ステップS3では、制御部21は、ミシンモータ23の駆動を開始し縫製を開始する。縫製の開始により第一針目が運針されると、図8に示すように、針36が、開口状態である第一保持部の保持面63と第二保持部の先端部71との間隔H内に進入する。
ステップS4では、図9に示すように、制御部21は、エンコーダ信号の検出角度から、第1針目の針落ちを行った針棒35が上昇し、針36が針板50よりも上方に位置したか否かを判断し、上方に位置していないと判断した場合はその動作を継続し、上方に位置したと判断した場合はステップS5に移行する。
ステップS5では、制御部21は、上糸保持装置駆動源20を制御して、第二保持部70を後方に移動させるとともに、第一保持部60を前方に移動させて、湾曲形状部62と第二保持部の先端部71の下面とで上糸37を挟んで当該上糸37を屈曲させ弱保持した状態となる第二移動位置に、第一保持部60及び第二保持部70を移動させる。この弱保持状態では、湾曲形状部62と第二保持部の先端部71の下面とで上糸37を挟んでいるものの、上糸37が間隔H内を通過することが可能な状態であり、天秤によって引き上げられた上糸37の移動は規制されない。
ステップS6では、制御部21は、移動位置検出手段55の検出結果に基づき、第二移動位置にあるか否かを判断し、第二移動位置である旨が検出されている場合にはステップS7に移行し、検出されていない場合にはステップS16に移行する。
なお、このステップS6で、移動位置検出手段55の検出結果が、第二移動位置である旨が検出されていない場合とは、正常状態の出力と異なる場合であり、例えば上糸保持装置駆動源20の脱調等の異常が発生したことが考えられる。このため、ステップS16では、制御部21は、エラーが発生した旨の表示や警告を行い、なおかつミシン30の各部の動作を中止するエラー処理を実行し、処理を終了する。
ステップS7では、制御部21は、エンコーダ信号の検出角度から、天秤が天秤上死点を超えたか否かを判断し、超えていない場合はその状態を継続し、超えている場合はステップS8に移行する。
ステップS8では、図10に示すように制御部21は、上糸保持装置駆動源20を制御して、第二保持部70を後方に移動させるとともに、第一保持部60をわずかに後方に移動させて、第一保持部の保持面63と第二保持部の先端部71とで上糸37を強固に挟んで挟持した状態となる第三移動位置に、第一保持部60及び第二保持部70を移動させる。
図11は、第三移動位置における各部の位置関係を示す側断面図である。図11に示すように、挟持状態となった第一保持部の保持面63及び第二保持部の先端部71により挟まれた上糸37は、ガイド溝54を介してメス部40の近傍に配置されることになる。この際、上糸37はメス部40の刃42に接してない無干渉な状態となっているため、この状態が維持されている間は上糸37の切断は実行されない。
ステップS9では、制御部21は、移動位置検出手段55の検出結果に基づき、第三移動位置にあるか否かを判断し、第三移動位置である旨が検出されている場合にはステップS10に移行し、検出されていない場合にはステップS16に移行する。
なお、このステップS9で、移動位置検出手段55の検出結果が、第三移動位置である旨が検出されていない場合とは、正常状態の出力と異なる場合であり、例えば上糸保持装置駆動源20の脱調等の異常が発生したことが考えられる。このため、ステップS16では、制御部21は、エラーが発生した旨の表示や警告を行い、なおかつミシン30の各部の動作を中止するエラー処理を実行し、処理を終了する。
ステップS10では、図12に示すように制御部21は、ミシンモータ23の駆動によって縫製が進行し、所定数の針落ち(例えば第2〜3針目)が行われたか否かの判断を行い、所定数に満たない間はその動作を継続し、所定数に達した場合はステップS11に移行する。ここで、針落ちの回数は、例えば、エンコーダ56による180°を示す信号出力回数を計数することにより、所定数の針落ちとの認識することができる。
ステップS11では、制御部21は、上糸保持装置駆動源20を制御して、第一保持部60と第二保持部70を後方に移動させて、第一保持部の保持面63と第二保持部の先端部71との間隔Hが開いて上糸37を解放した状態となる第四移動位置に、第一保持部60及び第二保持部70を移動させる。
図13に示すように、上糸保持部5が第三移動位置から第四移動位置に移動するまでの間、上糸保持部5は第一保持部の保持面63と第二保持部の先端部71で上糸37を強固に挟んで挟持した状態が維持されたまま後方移動する。これにより、図14に示すように、上糸保持部5に挟持された上糸37が後方に引っ張られ緊張状態となり、最終的には上糸37がメス部40の刃42に接触して切断されることになる。
上糸保持部5が第四移動位置に到達すると、第一保持部の保持面63と第二保持部の先端部71との間隔Hが開いて上糸37を解放し、上糸保持装置1に挟持されていた上糸37は抜け落ちる。
ステップS12では、制御部21は、移動位置検出手段55の検出結果に基づき、第四移動位置にあるか否かを判断し、第四移動位置である旨が検出されている場合にはステップS13に移行し、検出されていない場合にはステップS16に移行する。
なお、このステップS12で、移動位置検出手段55の検出結果が、第四移動位置である旨が検出されていない場合とは、正常状態の出力と異なる場合であり、例えば上糸保持装置駆動源20の脱調等の異常が発生したことが考えられる。このため、ステップS16では、制御部21は、エラーが発生した旨の表示や警告を行い、なおかつミシン30の各部の動作を中止するエラー処理を実行し、処理を終了する。
ステップS13では、制御部21は、縫製が終了したか否かの判断を行い、終了していない場合はその状態を継続し、終了している場合はステップS14へと移行する。
ステップS14では、制御部21は、糸切り機構の糸切りモータ(図示略)に駆動信号を出力し、糸切りモータの駆動により、糸切り機構により上糸37及び縫製に係る糸の糸切りが行われる。
ステップS15では、制御部21は、上糸保持装置駆動源20を制御して、第四移動位置から第一移動位置まで第一保持部60及び第二保持部70を移動させる。
そして、これらステップS1処理〜ステップS15処理(ステップS16処理を含む)を経ることにより、上糸保持装置1を備えるミシン30の縫製に係る1サイクルが終了する。
以上のように、ミシン30の動作が行われる。
以上のように、本実施形態によれば、ミシン30による縫製が所定の針数だけ進行すると、上糸37を挟持した状態のままで第一保持部60及び第二保持部70を針穴51から離間させることでメス部40に上糸37を干渉させて当該上糸37を切断させるので、針穴51の近傍で上糸37を切断することができる。縫製開始数針後に針穴51近傍で上糸37を切断することができれば、針板50の裏側に残る上糸37の長さを短くすることができ、例えば、図15に示すように針板50の裏側に残る上糸が縫い目に巻き込まれてしまうことを押さえ、縫い目の見栄えを向上させることができる。
また、上糸37をメス部40側に案内するガイド溝54が針穴51に形成されているので、上糸37を切断する際、上糸保持部5側にあるメス部40に上糸37を案内することができ、スムーズな切断が可能となる。
さらに、図14に示す通り、ガイド溝54がない場合には、切断後の上糸37が点線T1のように残存することになるが、ガイド溝54があることで針穴51下面からメス部40までの距離を短くすることができるため、針板50の裏側に残る上糸37の長さをより短くすることができ、縫い目に巻き込まれる量をより少なくすることができる。
また、メス部40における上糸37の通過経路となる部分がV字形状となっていて、V字形状部41の内側が刃42となっているので、V字形状部41に上糸37を導くことでスムーズな切断が可能となる。
なお、本発明は上記実施形態に限らず適宜変更可能である。以下の説明において上記実施形態と統一の部分においては同一の符号を付しその説明を省略する。
例えば、上記実施形態では、図11に示した通り、メス部40の刃42の刃先が下側に設けられている場合を例示して説明したが、図11の点線T2のように刃先が上側に設けられるようにすると、針板50の裏側に残る上糸37の残存量をさらに短くすることが可能である。
また、上記実施形態では、上糸保持部5が針上下動経路に対してY方向へ直線的な進退運動で接離し、メス部40を針穴51の下面のY方向後側に取り付けた場合を例示して説明したが、例えば上メス保持部が針上下動経路に対して回転運動で接離する場合、その回転運動の軌跡上にメス部40を取り付けても良い。
また、上糸37の切断後には、制御部21が上糸保持装置駆動源20を制御して、第一保持部の保持面63と第二保持部の先端部71との間隔Hを開いて上糸37を解放することで、上糸保持装置1に挟持されていた上糸37が抜け落ちることになる。この際、解放された上糸37がその周辺に放出される。この放出された上糸37を集塵すべく、図16に示すように、上糸37が解放される位置近傍に、集塵用の吸引部80を配置してもよい。
また、上記実施形態では、第一保持部の保持面63と第二保持部の先端部71とで上糸37を強固に挟んで挟持した状態となる第三移動位置であると、上糸37がメス部40の刃42に接してない無干渉な状態となっていたが、図17に示すように、設置スペース的な制限によっては上糸37がメス部40に干渉してしまう場合もある。このように上糸37の切断前に、当該上糸37がメス部40に干渉した位置にある場合には、制御部21は、上糸保持装置駆動源20を制御して、弱保持状態で上糸37を挟み、切断を実行する際に第一保持部の保持面63と第二保持部の先端部71とで上糸37を強固に挟んで挟持させるようにしてもよい。これにより、切断前の縫製時に上糸37が切断されてしまうことを防止することができる。
また、上記実施形態では、第一保持部60の保持面63が平面である場合を例示して説明したが、第二保持部の先端部71が係合する溝部を保持面63に設けることが好ましい。図18は溝部の一例を示す説明図であり、(a)は第二保持部の先端部71が係合する前の状態を示し、(b)は先端部71が係合した状態を示している。図18に示すように、溝部64aは、第一保持部60の保持面63に対して矩形状に凹むようにX方向に沿って形成されている。この溝部64aは、その内部に第二保持部の先端部71が進入できる大きさに形成されている。図18(a)に示す状態から、第二保持部70が後退して先端部71が溝部64aに進入し挟持状態になると、上糸37とともに溝部64aに係合することになる。つまり、より強固に上糸37を挟持することができ、挟持状態時に上糸37が抜けてしまうことを防止することが可能となる。
なお、溝部としては図18で例示した以外にも、例えば図19に示すように凹曲面状に凹む溝部64bや、図20に示すようにくさび状に凹む溝部64c等が挙げられる。なお、いずれの場合においても溝部64b,64cの形状に対応させて第二保持部70の先端部71b,71cを形成することが、上糸37を強固に挟持するうえで好ましい。
ところで、上述したように針板50の下方には、図21及び図22に示すように糸切り機構81が設けられている。図21は糸切り機構81の概略構成を示す上面図であり、図22は側面図である。なお、図21及び図22では、上記したメス部40とは異なり矩形板の一辺にV字形状部41aを有するメス部40Aを用いている。このメス部40Aは、図22に示すように針板50に対して平行に配置されている。
そして、図21及び図22に示すように、糸切り機構81は、針穴51を挟んでメス部40Aとは反対側(Y方向前側)に設けられている。糸切り機構81は、固定メス82と、固定メス82に対して接離し、当該固定メス82と協働することにより上糸37を切断する動メス83とを備えている。
固定メス82は、針板50の直下に配置されている。固定メス82の刃部821は、針穴51から所定の間隔を空けて当該針穴51に対向するように設けられている。
動メス83は、回転軸84が取り付けられる基端部831と、上糸37を捌く先端部832とを備えている。先端部832の針穴51側(Y方向後側)には、上糸37を引っかける糸捌き部833と、糸捌き部833で引っかけられた上糸37を保持するための凹部834が設けられている。また、先端部832のY方向前側には、V字状の糸捕捉部836(図23,図24参照)が設けられている。そして、糸捌き部833から糸捕捉部836までにかけては外側に向けて凸となる湾曲部835(図23,図24参照)が形成されている。さらに、糸捌き部833には貫通孔である目孔メス837が形成され、目孔メス837のエッジと固定メス82の刃部821が当接することで上糸37を切断する。
図23は、動メス83により上糸37が捌かれる動作を示す説明図である。まず、動メス83が回転軸84を中心に回転し始め、糸捌き部833が上糸37を引っかけ(図23(a))、この状態で徐々に回転が進むと、上糸37の一方側は湾曲部835へ案内され、他方側は凹部834側へ案内される(図23(b),(c))。さらに動メス83が回転すると、他方の上糸37は凹部834内で保持されたまま、一方の上糸37は湾曲部835によって徐々に糸捕捉部836側へと案内される(図23(d),(e))。そして、一方の上糸37が湾曲部835を通過するまで動メス83が回転すると、一方の上糸37が糸捕捉部836に到達する(図23(f))。その後、動メス83が逆方向へ回転し、元の位置へ戻ることで、一方の上糸37が糸捕捉部836に引っかかった状態で固定メス82へと案内され、動メス83の目孔メス837及び固定メス82の刃部821の協働によって上糸37が切断されることになる。
ここで、図24の斜線部Kは、動メス83が上糸37を捌く際に、湾曲部835によって一方の上糸37が移動する領域を示している。図24に示すように、斜線部Kがメス部40AのV字形状部41aに重なっているために、動メス83によって上糸37が捌かれる際に当該上糸37がV字形状部41aに干渉して切断されてしまうおそれがある。この時点で上糸37が切断されてしまうと、針先に残る上糸37の長さが短くなり、次縫製の縫い始めに糸が針37から抜け縫い不良が発生する。
このため、メス部40AのV字形状部41aを斜線部Kに重ならない位置に配置すべく、メス部40AをY方向後側にずらして図24の二点鎖線FにV字形状部41aを配置することが考えられる。図22では、Y方向後側にずらしたV字形状部41aの位置を線Gで示しているが、この場合、第一保持部60及び第二保持部70で上糸37を挟持し後方へ移動させたとしても、図22で二点鎖線で示す上糸37のようにV字形状部41aに接触せず、糸切り不良となるおそれも想定される。
この他にも、図25に示すように、斜線部Kを回避するように針穴51からX方向右側へずらした位置に矩形状のメス部40Bを配置することも考えられる。しかしながら、上述した第一保持部60及び第二保持部70であると、上糸37を挟持する位置が第二保持部70の枠状の開口内においてX方向でばらついてしまう。例えば、図25の点線P1に示す位置で上糸37を挟持した場合であれば、第一保持部60及び第二保持部70をY方向に後退させることで上糸37をメス部40Bに干渉させて切断することが可能である。ところが点線P2,P3に示す位置で上糸37を挟持した場合であると、第一保持部60及び第二保持部70をY方向に後退させたとしてもメス部40Bには干渉せず、結局糸切り不良となってしまう。
以下では、糸切り不良対策を施した上糸保持装置200について説明する。図26は上糸保持装置200の要部構成を示す斜視図であり、図27は上糸保持装置200の要部構成を示す上面図である。図26及び図27に示すように、上糸保持装置200のメス部240は針穴ガイド252の下面に取り付けられている。メス部240は、板状であり、針穴251に対して右後方となる位置で、当該メス部240の一辺部が針穴251に対向するように配置されている。メス部240の針穴251に対向する一辺部が刃部242となっている。
図28は、針穴ガイド252の裏面側形状を示す斜視図である。針穴ガイド252における針穴251近傍の下面には、針穴251と連続してメス部240に向けて刻まれたガイド溝254が形成されている。
図26に示すように、上糸保持部200の本体部210は、針穴251を通過した上糸37を挟持・弱保持する上糸保持部205と、上糸保持部205を支持する基台258とを備えている。
基台258は、メス部240よりも針穴251から立胴部側(Y方向後方)に離れた位置に配置されて、針板50との相対的な位置関係が変動しないように固定されている。
上糸保持部205は、基台258から針穴251に向けて延在する第一保持部260と、第一保持部260の周囲に沿うように形成された枠状の開口を有する第二保持部270とを備えている。
図29は、第一保持部260の概略構成を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は斜視図である。図29に示すように第一保持部260の先端部261には、所定の間隔を空けて上下に対向する一対のガイド部262,263が設けられている。上側のガイド部262の先端部には、X方向左側が最も前方に張り出しており、そこから右側に向かうにつれて徐々に後方へと下がる第一傾斜部262bと、第一傾斜部262bの右隣に配置され当該傾斜部262bに連続する切欠部262cとが設けられている。
一方、下側のガイド部263の先端部には、第一傾斜部262bに上下方向で重なって、当該第一傾斜部262bと面一な傾斜面を有する第二傾斜部263bと、第二傾斜部263bの右隣に配置され、当該第二傾斜部263bに連続する凹部263cと、凹部263cの右隣に配置され、当該凹部263cに連続して右前方に向けて突出する突出部263dとが設けられている。
そして、上側のガイド部262と、下側のガイド部263との間には、左右方向に沿った溝264が形成されている。
図27及び図28に示すように、第二保持部270は、第一保持部の先端部261に対してY方向に沿って接離自在となっている。そして、第二保持部270の開口の四角形に相当する4つの内周面のうち、最もY方向前側となる内面が第二保持部の先端部271となる。この第二保持部の先端部271が第一保持部の先端部261に対して近接することで、第一保持部の先端部261とともに上糸37を挟持・弱保持するようになっている。なお、第二保持部の先端部271が第一保持部の先端部261に最も近接した際においては、第二保持部の先端部271は第一保持部の溝264内に進入するようになっている。
図30は、第一保持部の先端部261と、第二保持部の先端部271との係合状態を示す説明図である。
図30(a)は、第一保持部の上下のガイド部262,263と、第二保持部の先端部271との間隔H1が大きく開いた開口状態を示し、この間隔H1内に配置された上糸37に対しても何ら規制を加えない状態で、第1針目の針落ちを待機する待機状態を示している。なお、開口状態に際しては、針穴251を通過した針36が間隔H1内に進入するようになっている。
図30(b)は、第二保持部270が後方に、第一保持部260が前方に移動することにより、第一保持部の上下のガイド部262,263と、第二保持部の先端部271との間隔H1が狭まり、第二保持部の先端部271の一部が上下のガイド部262,263内に進入した状態を示している。この間隔H1は第二保持部270の後退移動、及び第一保持部260の前進移動に伴って徐々に狭まっていく。これに伴って上糸37は、第二保持部の先端部271と、傾斜部262b,263bとによって右方向へと徐々に押し寄せられることになる。
図30(c)は、第一保持部の上下のガイド部262,263と、第二保持部の先端部271との間隔H1がなくなり、切欠部262c及び凹部263c内に上糸37が進入した状態を示している。この状態では、上糸37に摺接抵抗を加えることができる状態を示している。この状態においては、切欠部262c及び凹部263c内に進入した上糸37を、第二保持部の先端部271と第一保持部の下のガイド部263(より正確には凹部263c部分)とで上糸37を挟むことで上糸37を屈曲させることにより、上糸37に摺接抵抗を加えることはできるものの天秤によって引き上げられた上糸37の移動は許容される状態(弱保持状態)となっている。
図30(d)は、第二保持部270が後方に、第一保持部260がわずかに後方に移動することにより、第二保持部の先端部271が第一保持部の溝264内に進入した状態を示している。この状態においては、第一保持部の切欠部262cと、第二保持部の先端部271とが当接することで上糸37を強固に挟んで挟持することができ、挟持された上糸37の移動は規制された状態(挟持状態)となっている。
図31は、糸切り機構81によって上糸37が捌かれるときに当該上糸37が移動する領域Kと、上糸保持装置200との位置関係を示す説明図である。図31に示すように、上糸保持装置200のメス部240を針穴251に対して右後方となる位置に配置したことにより、領域Kに対して重ならない位置に配置されている。そして、第一保持部の先端部261と第二保持部の先端部271で上糸37が挟まれる際には、上述したように上下のガイド部262,263の傾斜部262b、263bによって右方向に押し寄せられた上糸37が切欠部262c及び凹部263cにまで案内される。そして、第一保持部の先端部261と第二保持部の先端部271とが挟持状態になると、上糸37は図31の太線部L1の位置(つまり右側の位置)で挟持されることになる。この際、上糸37はメス部240の刃部242に対向した状態となる。その後、第一保持部260及び第二保持部270がともに後退すると、上糸37も針穴ガイド252のガイド溝254によって案内されながら、図31に示す点線L2,L3のように後退する。この後退によって上糸37がメス部240の刃部242に干渉し、切断される。
このように、糸切り不良対策を施した上糸保持装置200においては、糸切り機構81によって上糸37が捌かれる際の当該上糸37が移動する領域Kに重ならない位置にメス部240が配置されているので、糸切り機構81によって上糸37が捌かれている途中に当該上糸37がメス部240によって切断されてしまうことを防止することができる。
そして、上糸保持部205が上糸37を挟持した状態で針36の上下動経路から離間させる際には、上糸37がメス部240に干渉するように上糸37を案内するので、上糸37を確実にメス部240に接触させることができ、糸切り不良を防止することが可能である。
1 上糸保持装置
5 上糸保持部
10 本体部
20 上糸保持装置駆動源
21 制御部
23 ミシンモータ
28 リンク機構
30 ミシン
31 ミシンベッド部
31a シリンダベッド部
36 針
37 上糸
40 メス部
41 V字形状部
42 刃
50 針板
51 針穴
54 ガイド溝
58 基台
60 第一保持部
61 先端部
63 保持面
70 第二保持部
71 先端部
81 糸切り機構

Claims (6)

  1. ミシンベッド部に細長状のシリンダベッド部を有するミシンの上糸保持装置において、
    前記シリンダベッド部に設けられ、かつ、縫製開始後、針に挿通されている上糸を針板の下方で挟むとともに、前記上糸を前記針の上下動経路から離れた位置に移動させる上糸保持部と、
    前記上糸保持部を駆動させる上糸保持装置駆動源と、
    前記上糸保持部と前記上糸保持装置駆動源を連結するリンク機構と、
    前記上糸保持装置駆動源を制御する制御部と、
    前記針板の下方であって、当該針板の針穴の近傍に配置された上糸切断用のメス部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記上糸保持部が縫製開始後、前記上糸を前記針板の下方で挟むとともに、前記上糸を前記針の上下動経路から離れた位置に移動させてから、縫製が所定の針数だけ進行すると、前記上糸保持部で前記上糸を挟持した状態で前記上糸保持部を前記針の上下動経路からさらに離間させる方向に移動させるように前記上糸保持駆動源を制御することで、前記メス部に前記上糸を干渉させて当該上糸を切断させることを特徴とするミシンの上糸保持装置。
  2. 請求項1記載のミシンの上糸保持装置において、
    前記針穴には、前記上糸を前記メス部側に案内するガイド溝が形成されていることを特徴とするミシンの上糸保持装置。
  3. 請求項1又は2記載のミシンの上糸保持装置において、
    前記メス部は、前記上糸の通過経路となる部分がV字形状となっていて、前記V字形状部の内側が刃となっていることを特徴とするミシンの上糸保持装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のミシンの上糸保持装置において、
    前記上糸保持部は、
    前記針板と平行な平面に沿って先端部が前後移動自在な第一保持部と、
    前記第一保持部の先端部に接離自在な第二保持部とを備え、
    前記制御部は、前記上糸保持駆動源を制御して、
    前記第一保持部と前記第二保持部とが前記上糸を強固に挟む挟持状態、前記第一保持部と前記第二保持部とが前記挟持状態よりも弱い力で前記上糸を挟む弱保持状態、前記第一保持部と前記第二保持部とが前記上糸を解放する解放状態とを切り替え、
    前記上糸の切断前に、当該上糸が前記メス部に干渉した位置にある場合には、前記弱保持状態で前記上糸を挟み、前記切断を実行する際には前記挟持状態で前記上糸を挟むことを特徴とするミシンの上糸保持装置。
  5. 請求項4記載のミシンの上糸保持装置において、
    前記第一保持部の先端部には、前記第二保持部の先端部が前記挟持状態の際に前記上糸とともに係合する溝部が形成されていることを特徴とするミシンの上糸保持装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のミシンの上糸保持装置において、
    前記針穴を挟んで前記メス部とは反対側に配置され、縫製終了時に前記上糸を捌いて切断する糸切り機構をさらに備え、
    前記メス部は、前記糸切り機構によって前記上糸が捌かれる際の当該上糸の移動する領域に重ならない位置に配置されていて、
    前記上糸保持部は、前記上糸を挟持した状態で前記針の上下動経路から離間させる際に、前記上糸が前記メス部に干渉するように前記上糸を案内することを特徴とするミシンの上糸保持装置。
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