JP5981256B2 - ガスセンサのヒータ制御装置 - Google Patents
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Description
先ず、本発明の一実施形態に係る排ガス浄化装置の構成について図1を参照しつつ説明する。ここで開示される排ガス浄化装置は、該内燃機関の排気系に設けられている。図1は、内燃機関1と、該内燃機関1の排気系に設けられた排ガス浄化装置100を模式的に示す図である。
本実施形態に係る内燃機関(エンジン)には、酸素と燃料ガスとを含む混合気が供給される。内燃機関は、この混合気を燃焼させ、燃焼エネルギーを力学的エネルギーに変換する。このときに燃焼された混合気は排ガスとなって後述の排気系に排出される。図1に示す構成の内燃機関1は、自動車のガソリンエンジンを主体として構成されているが、ガソリンエンジン以外のエンジン(例えばディーゼルエンジン等)を用いることもできる。また、混合気ではなく、シリンダ内に直接燃料(ディーゼル燃料等)を噴射するようにしてもよい。
上記エンジン1の吸気系について説明する。上記エンジン1を吸気系に連通させる吸気ポート18にはインテークマニホールド22が接続されている。当該インテークマニホールド22は吸気管23に接続されており、吸気管23にはエアクリーナ24が接続されている。吸気管23における下流側には、スロットル弁25が設けられている。このスロットル弁25を開閉することでエンジン1に供給される空気の量を調整できる。また、スロットル弁25の近傍には、スロットル弁25の開度を検出するスロットルセンサ(図示省略)が配置されてもよい。
次に、エンジン1の排気系について説明する。上記エンジン1を排気系に連通させる排気ポート19は、エキゾーストマニホールド28が接続されている。エキゾーストマニホールド28は、排ガスが流通する排気管29に接続されている。エキゾーストマニホールド28と排気管29とにより本実施形態の排気通路(28、29)が形成されている。
ここで開示される排ガス浄化装置は、上記エンジン1の排気系に設けられている。この排ガス浄化装置は、触媒部40とECU30とガスセンサ50とを備え、上記排出される排ガスに含まれる有害成分(例えば、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx))を浄化する。
次に、触媒部40について詳細に説明する。触媒部40は、上記エンジン1に連通する排気管29に設けられており、具体的には図1に示すように、排気管29の下流側に設けられている。触媒部40の種類は特に限定されない。
触媒部40よりも下流側の排気管29には、ガスセンサ50が配置されている。このガスセンサ50は、触媒部40よりも下流側の排気管29に流れる排ガス中の特定ガス成分(ここでは酸素)の濃度を検出するセンサであり、排ガスの空燃比を検出するためのセンサである。ガスセンサ50の配置位置は、上記排ガスの酸素濃度を測定できれば図1に図示される位置に限定されるものではない。かかるガスセンサ50は、少なくとも空燃比がリッチ側またはリーン側にあることを検出できるセンサであればよい。この実施形態では、ガスセンサ50は、排気ガス中の酸素濃度に応じてリニアに空燃比を検出するセンサ(例えば、限界電流式酸素センサ)である。ただし、これに限定されず、ガスセンサ50として、センサ素子の起電力を出力する酸素センサを用いてもよい。なお、ガスセンサ50は、触媒部40よりも上流側の排気管29に配置してもよい。また、その数は1つに限らず、複数のガスセンサ50を配置してもよい。例えば、触媒部40の上流側と下流側の双方に、それぞれガスセンサ50を配置してもよい。
センサ素子60は、固体電解質体62を備えている。固体電解質体62は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質から構成されている。かかる固体電解質としては、例えば、ジルコニア(例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ))などが挙げられる。また、固体電解質体62の外側には測定電極64aが形成されており、測定電極64aの外側には拡散抵抗層66が形成されている。拡散抵抗層66は、測定電極64aに対する排ガスの導入量を規制する層であり、排ガスは拡散抵抗層66を通じて測定電極64aに到達する。拡散抵抗層66の材料としては、アルミナ、ジルコニア、セリア等の多孔材を構成し得る材料を用いればよい。一方、固体電解質体62の内側には、基準電極64bが形成されており、基準電極64bの内側には保護層68が形成されている。保護層68は、ここではアルミナから構成されている。基準電極64bおよび測定電極64aは共に、白金等の触媒活性の高い貴金属から構成されている。
ヒータ部70は、アルミナを主体とする絶縁基体72と、絶縁基体72上に積層された発熱抵抗体74とから構成されている。ジルコニア等からなる固体電解質体62は、常温では絶縁性を示すが、高温環境下になると活性化され、高い酸素イオン伝導性を示すようになる。ヒータ部70は、上記固体電解質体62の加熱領域を形成してその活性化温度となるように加熱制御される。この実施形態では、ヒータ部70は、固体電解質体62の基準電極64b側において保護層68の外側に配設されている。発熱抵抗体74は、例えば、白金等の抵抗体から構成されている。
多孔質保護層52は、多数のセラミックス粒子を結合させた多孔質体により構成されており、水分がセンサ素子60に到達してセンサ素子60が被水割れするのを抑制するために設けられている。多孔質保護層52は、センサ素子60およびヒータ70の全周を覆うように設けられている。多孔質保護層52は、例えば、アルミナ、スピネル、ムライト等を主体とする金属酸化物や炭化珪素等の金属炭化物などのセラミックス粒子から構成されている。必要に応じてセラミックス粒子に貴金属粒子(触媒)を担持させてもよい。かかる貴金属粒子としては、パラジウムやロジウムを単独で、もしくはパラジウム、ロジウムおよび白金のうちの2種以上の合金を使用することができる。これらの貴金属粒子は、多孔質保護層52と拡散抵抗層66との間に配置してもよい。
制御部(ECU:Engine Control Unit)30は、主としてデジタルコンピュータから構成されており、排ガス浄化装置100の稼働における制御装置として機能する。制御部30は、例えば、読み込み専用の記憶装置であるROM、読み書き可能な記憶装置であるRAM、任意の演算や判別を行うCPU、入力ポートおよび出力ポートを有している。制御部30では、ガスセンサ50への通電の制御が行われるとともに、ガスセンサ50からの出力に基づき、エンジン1の空燃比フィードバック制御が行われる。例えば、制御部30は、検出した吸入空気量、スロットル開度(またはアクセル開度)、エンジン回転数等のエンジン運転状態に基づいて、インジェクタ26の燃料噴射タイミングや点火プラグ27の点火時期等を制御することが可能である。
かかる排ガス浄化装置100の一部として、本実施形態にかかるガスセンサ50のヒータ制御装置80が設けられている。以下、ヒータ制御装置80について説明する。上述した制御部(ECU)30は、本発明に係るヒータ制御装置80としても機能する。
ヒータ制御部82は、通常昇温処理を行う場合、ヒータ駆動回路84に対して、通常昇温処理パルス信号を出力する。該信号を受信したヒータ駆動回路84は、ヒータ制御部82から出力された通常昇温処理パルス信号に応じて、発熱抵抗体74(図2参照)の両端に電圧を印加する。これにより、発熱抵抗体74を発熱させて、センサ素子60を通常の制御温度まで昇温する。通常昇温処理における制御温度は、センサ素子60が好適に活性化するような温度範囲内に設定することが好ましい。例えば、ガスセンサ50が酸素センサの場合、500℃〜650℃、好ましくは500℃〜600℃の温度範囲内に設定するとよい。また、ガスセンサ50が全領域空燃比センサの場合、650℃〜800℃、好ましくは700℃〜800℃の温度範囲内に設定するとよい。上述した制御温度の値は、あらかじめヒータ制御部82に設定しておくとよい。
また、ヒータ制御部82は、特別昇温処理を行うタイミングになると、ヒータ駆動回路84に対して、特別昇温処理パルス信号を出力する。該信号を受信したヒータ駆動回路84は、ヒータ制御部82から出力された特別昇温処理パルス信号に応じて、発熱抵抗体74の両端に電圧を印加する。これにより、発熱抵抗体74(図2参照)を発熱させて、センサ素子60を所定の制御温度まで昇温する。かかる特別昇温処理により、ガスセンサ50の内部に入り込んだPMが燃焼除去され得る。特別昇温処理における制御温度は、ガスセンサ50の内部に蓄積したPMが完全燃焼し得るような温度に設定することが好ましい。該温度が低すぎると、ガスセンサ50の内部に蓄積したPMを完全燃焼させることが難しくなる。ガスセンサ50の内部にPMが蓄積すると、センサ応答性が低下する要因になり得る。例えば、特別昇温処理における制御温度は、通常の制御温度と同じ温度であってもよいが、それよりも所定値T1(例えば10℃以上、好ましくは20℃以上、特に好ましくは30℃以上)だけ高い温度に設定されていることが好ましい。このようにガスセンサ50を通常の制御温度よりも高い温度まで昇温することで、ガスセンサ50に蓄積したPMをより効果的に燃焼除去することができる。その一方で、上記所定値T1が高すぎると、熱によりセンサ素子の劣化を引き起こす可能性がある。この点からは、所定値T1は、100℃以下が適当であり、好ましくは90℃以下である。上述した制御温度の値は、あらかじめヒータ制御部82に設定しておくとよい。
次に、特別昇温処理を行うタイミングについて説明する。この実施形態では、ヒータ制御部82は、エンジン1が停止してから所定時間t1が経過した後、特別昇温処理を行うように構成されている。
また、ヒータ制御部82は、特別昇温処理の継続時間が所定の基準タイムt2を上回った場合に、特別昇温処理を終了するように構成されている。特別昇温処理の継続時間に対する基準タイムt2は、センサ素子60の内部に蓄積したPMを完全除去した後に、特別昇温処理を終了するように設定することが好ましい。例えば、特別昇温処理の継続時間に対する基準タイムt2は、概ね10秒以上、好ましくは20秒以上、特に好ましくは30秒以上に設定することが望ましい。このように継続時間に対する基準タイムt2を設定することにより、PMを完全除去し得る。一方、基準タイムt2が長すぎると、エネルギー消費が増えるとともに、上述したPM除去効果も鈍化するためメリットがあまりない。基準タイムt2は、例えば100秒以下が適当であり、好ましくは90秒以下である。
以上、本発明の一実施形態にかかるヒータ制御装置80において実行されるヒータ制御について説明した。次に、本発明の他の一実施形態にかかるヒータ制御装置80によって実行可能なヒータ制御について説明する。
かかるフューエルカットを実行可能なエンジン1において、ヒータ制御部82は、フューエルカット時において、特別昇温処理を行うように構成されている。すなわち、ヒータ制御部82は、フューエルカット制御がオンになると、ヒータ駆動回路84に対して、特別昇温処理パルス信号を出力する。該信号を受信したヒータ駆動回路84は、ヒータ制御部82から出力された特別昇温処理パルス信号に応じて、センサ素子60が所定の制御温度で維持されるように、発熱抵抗体74(図2参照)の両端に電圧を印加する。これにより、発熱抵抗体74を発熱させて、特別昇温処理を開始する。
また、ヒータ制御部82は、フューエルカット時の特別昇温処理の継続時間が所定の基準タイムt31を上回った場合に、特別昇温処理を終了するように構成されている。上記フューエルカット時の特別昇温処理の継続時間に対する基準タイムt31は、センサ素子60の内部に蓄積したPMが完全燃焼した後に、特別昇温処理を終了するように設定することが好ましい。例えば、上記フューエルカット時の特別昇温処理の継続時間に対する基準タイムt31は、概ね10秒以上(例えば10秒〜100秒)、さらには20秒以上、特には30秒以上に設定することが望ましい。その一方で、基準タイムt31が長すぎると、エネルギー消費が増えるとともに、上述したPM除去効果も鈍化するためメリットがあまりない。基準タイムt31は、例えば100秒以下が適当である。
以上、本発明の一実施形態にかかるヒータ制御装置80において実行されるヒータ制御について説明した。次に、本発明の他の一実施形態にかかるヒータ制御装置80によって実行可能なヒータ制御について説明する。
かかるアイドルストップを実行可能なエンジン1において、ヒータ制御部82は、アイドルストップ時において、特別昇温処理を行うように構成されている。すなわち、ヒータ制御部82は、アイドルストップ制御がオンになると、ヒータ駆動回路84に対して、特別昇温処理パルス信号を出力する。該信号を受信したヒータ駆動回路84は、ヒータ制御部82から出力された特別昇温処理パルス信号に応じて、センサ素子60が所定の制御温度で維持されるように、発熱抵抗体74(図2参照)の両端に電圧を印加する。これにより、発熱抵抗体74を発熱させて、特別昇温処理を開始する。
また、ヒータ制御部82は、アイドルストップ時の特別昇温処理の継続時間が所定の基準タイムt32を上回った場合に、特別昇温処理を終了するように構成されている。上記アイドルストップ時の特別昇温処理の継続時間に対する基準タイムt32は、センサ素子60の内部に蓄積したPMが完全燃焼した後に、特別昇温処理を終了するように設定することが好ましい。例えば、上記アイドルストップ時の特別昇温処理の継続時間に対する基準タイムt32は、概ね10秒以上(例えば10秒〜100秒)、さらには20秒以上、特には30秒以上に設定することが望ましい。その一方で、基準タイムt32が長すぎると、エネルギー消費が増えるとともに、上述したPM除去効果も鈍化するためメリットがあまりない。基準タイムt32は、例えば100秒以下が適当である。
なお、上述のアイドルストップ時と、前述したフューエルカット時の双方において、特別昇温処理を行うように構成してもよい。
16 イグニッション
28 エキゾーストマニホールド
29 排気管
30 制御部
40 触媒部
50 ガスセンサ
52 多孔質保護層
60 センサ素子
62 固体電解質体
64a 測定電極
64b 基準電極
66 拡散抵抗層
68 保護層
70 ヒータ部
72 絶縁基体
74 発熱抵抗体
80 ヒータ制御装置
82 ヒータ制御部
84 ヒータ駆動回路
86 イグニッションスイッチ
100 排ガス浄化装置
Claims (6)
- センサ素子と、該センサ素子の少なくとも一部を覆う多孔質保護層と、該センサ素子を加熱するヒータ部とを含み、内燃機関の排気通路に配置されたガスセンサの該ヒータ部を昇温制御するヒータ制御装置であって、
前記センサ素子を通常の制御温度まで昇温させる通常昇温処理と、
前記通常昇温処理とは異なり、前記ガスセンサに入り込んだ粒子状物質を除去するための特別な昇温制御を所定のタイミングで行う特別昇温処理と
を実行するように構成され、
走行中に前記内燃機関に対する燃料の供給が停止されるフューエルカット時もしくは停車時に前記内燃機関が一時的に停止されるアイドルストップ時において、前記特別昇温処理を行うように構成されており、
前記特別昇温処理における制御温度は、前記通常の制御温度よりも10℃〜100℃だけ高い温度に設定されている、ガスセンサのヒータ制御装置。 - 前記通常の制御温度は、500℃〜800℃に設定されており、
前記特別昇温処理における制御温度は、前記通常の制御温度よりも10℃〜90℃だけ高い温度に設定されている、請求項1に記載されたヒータ制御装置。 - 前記特別昇温処理の継続時間が所定の基準タイムt3を上回った場合に、前記特別昇温処理を終了するように構成されており、
前記特別昇温処理の継続時間に対する基準タイムt3は、20秒〜100秒の範囲内に設定されている、請求項1または2に記載されたヒータ制御装置。 - 前記ガスセンサは、酸素イオン伝導性を有する固体電解質層が測定電極と基準電極とに挟持されており、前記測定電極上に金属酸化物からなる拡散抵抗層が形成され、前記拡散抵抗層の少なくとも一部を覆うように金属化合物からなる前記多孔質保護層が形成されている、請求項1から3までの何れか一項に記載されたヒータ制御装置。
- 内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化触媒を該内燃機関の排気通路に配置した排ガス浄化装置であって、
センサ素子と、該センサ素子の少なくとも一部を覆う多孔質保護層と、該センサ素子を加熱するヒータ部とを含み、内燃機関の排気通路に配置されたガスセンサと、
請求項1から4までの何れかに記載されたヒータ制御装置と
を備える、排ガス浄化装置。 - 前記ガスセンサは、前記排ガス浄化触媒よりも前記排気通路の下流側に配置されている、請求項5に記載された排ガス浄化装置。
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