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JP5977408B2 - 体表評価方法および体表評価装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被験者の体表を評価してその美容状態を診断する体表評価方法および体表評価装置に関する。
現在、効果的な化粧方法や美容方法などを特定するため、被験者の体表状態を正確に評価する要望がある。例えば、角質水分変化量を直接的に反映させた肌のシミュレーション画像を形成する提案がある。
その技術では、肌の元画像に対して角質水分量が変化した肌のシミュレーション画像の形成方法として、元画像の内部反射光画像と表面反射光画像を取得し、元画像の内部反射光画像の明るさを取得する。
その明るさを、角質水分変化量(△C)の関数F(△C)から算出される調整量△Lで調整すると共に、元画像の内部反射光画像のPSF(Point-Spread Function)を取得し、そのPSFを、角質水分変化量(△C)の関数G(△C)から算出される調整量△PSFで調整する。
一方、元画像の表面反射光画像の強度を取得し、その強度を角質水分変化量(△C)の関数H(△C)から算出される調整量△Sで調整し、明るさとPSFを調整した内部反射光画像と、強度を調整した表面反射光画像とを再合成する(特許文献1)。
また、シミの分類方法を提供することを目的とする提案もある。より詳細には、共焦点顕微鏡を用いて、皮膚内に存在するシミ部位のメラニン画像を獲得し、獲得した画像に基づきメラニン状態を解析評価することによる、シミの分類方法を提供する。
さらに、シミ部位のメラニンを評価することによって、シミを分類し、それによって、シミを改善治療するIPL(Intense Pulsed Light)/レーザー施術などの光線治療のために、分類されたシミに基づき患者を分別する。
その技術では、共焦点顕微鏡を用いて、シミ部位の皮膚内のメラニンの画像を獲得し、得られた画像を解析してシミ部位のメラニン状態を解析評価することで、シミを分類する。
例えば、メラニン評価に基づいて、皮膚上のシミのIPL/レーザー施術に対する効果を予め判定することができ、また、IPL/レーザー施術のために分類されたシミに基づき患者を分別することも可能である(特許文献2)。
また、皮膚内部反射光画像からヘモグロビン成分画像を抽出することにより、被験者に接触することなく、短時間で自律神経系の活動を評価できるようにするための技術も提案されている。
その技術では、光源からの光が被験者の皮膚によって反射した反射光から偏光板を用いて皮膚内部で反射した内部反射光成分のみを検出し、内部反射光成分画像から被験者の肌色を構成する色素成分のうちヘモグロビン成分を求める。
つぎに、内部反射光成分画像から額部領域および鼻部領域を抽出し、額部領域における統計量を基に鼻部領域のヘモグロビン成分量データを正規化する。さらに、鼻部領域におけるヘモグロビン成分量データから交感神経系活性度を評価し、交感神経系活性度の評価値を出力する(特許文献3)。
また、肌拡大画像撮影装置を用いて、肌の表面状態の視覚的観察と肌の酸素飽和度の計測の双方を行えるようにする提案もある。その技術では、被験者の肌の内部反射光画像を取得し、内部反射光画像から独立成分分析によりヘモグロビン成分画像を抽出する。
そのヘモグロビン成分画像のピクセル毎の濃度の標準偏差又は平均値を算出し、該標準偏差又は平均値を用いて肌の酸素飽和度を評価する。あるいは複数の肌の計測から、予め、ヘモグロビン成分画像のピクセル毎の濃度の標準偏差又は平均値と、分光測定法で計測される酸素飽和度との関係式を取得しておき、任意の肌のヘモグロビン成分画像からその肌の酸素飽和度を計測する(特許文献4)。
特開2007−105457号公報 特開2007−061307号公報 特開2007−050144号公報 特開2006−271815号公報
上述のように皮膚内部反射光画像を取得してヘモグロビン画像を抽出することなどは従来から実施されている。しかし、このようにヘモグロビン画像を抽出しても、コントラストが低く、例えば、微小血管の状態や分布を正確に評価することができない。
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、少なくとも微小血管の状態や分布を正確に評価することができる体表評価方法および体表評価装置を提供するものである。
本発明の体表評価方法は、微小血管が分布している少なくとも真皮上層から拡大画像を取得し、取得された拡大画像の微小血管を明瞭とする所定の画像処理により血管画像を生成し、生成された血管画像から微小血管の分布と状態との少なくとも一方を評価する。
従って、本発明の体表評価方法では、少なくとも真皮上層の微小血管の分布と状態との少なくとも一方が明瞭に評価される。
本発明の体表評価装置は、微小血管が分布している少なくとも真皮上層から拡大画像を取得する画像取得手段と、取得された拡大画像の微小血管を明瞭とする所定の画像処理により血管画像を生成する画像抽出手段と、を有する。
なお、本発明の各種の構成要素は、その機能を実現するように形成されていればよく、例えば、所定の機能を発揮する専用のハードウェア、所定の機能がコンピュータプログラムにより付与されたデータ処理装置、コンピュータプログラムによりデータ処理装置に実現された所定の機能、これらの任意の組み合わせ、等として実現することができる。
また、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
また、本発明で云う画像処理とは、拡大画像の微小血管を明瞭とするものであればよく、例えば、拡大画像の微小血管の画像の輝度を変更する処理、カラー画像である拡大画像の微小血管の発色を変更する処理、等でよく、より具体的には、独立成分分析でよい。
さらに、本発明で云う体表とは、外側から観察できる身体の表面を意味しているが、外側から観察できる範囲ならば、その表面から所定の深度まで含んだ表層部分も内包してよい。
本発明の体表評価方法では、少なくとも真皮上層の微小血管の分布と状態との少なくとも一方を明瞭に評価することができる。
本発明の実施の形態の体表評価装置の論理構造を示す模式的なブロック図である。 体表評価装置を利用した体表評価方法を示すフローチャートである。 皮膚内部反射光画像からヘモグロビン画像とメラニン画像とが生成される工程を示す模式図である。 (a)は画像取得部が皮膚内部反射光画像を撮像する状態を示す模式的な縦断側面図であり、(b)は(a)の破線領域Bの拡大図である。 体表の内部構造を示す模式的な縦断面図である。 (a)はRGB成分ごとにレベル補正されて一つに合成された皮膚内部反射光画像(平面視画像)、(b)は体表の内部構造を示す模式的な縦断斜視図である。 (a)はRGB成分ごとにレベル補正されて一つに合成された皮膚内部反射光画像(平面視画像)、(b)は体表の内部構造を示す模式的な縦断斜視図である。 皮膚内部反射光画像がRGB成分画像に分割される状態を示す模式図である。 レベル補正されたRGB成分画像が皮膚内部反射光画像に合成される状態を示す模式図である。 (a)はG成分画像、(b)はG成分画像のヒストグラムを示す模式図である。 (a)はレベル補正されたG成分画像、(b)はレベル補正されたヒストグラムを示す模式図である。 皮膚内部反射光画像をRGB成分に分割することなくレベル補正した場合と分割してレベル補正してから合成した場合とを示す模式図である。 (a)は皮膚内部反射光画像をレベル補正してから独立成分分析したヘモグロビン画像とメラニン画像、(b)は皮膚内部反射光画像をレベル補正することなく独立成分分析したヘモグロビン画像とメラニン画像、を示す模式図である。 ヒストグラムの重心が所定値となるようにレベル補正する場合を示す模式図である。 皮膚内部反射光画像を独立成分分析してからレベル補正する工程を示す模式図である。 ループ状の毛細血管密度スコアの目視標準スコアについて示すRGB成分ごとにレベル補正されて一つに合成された皮膚内部反射光画像を示す模式図である。
本発明の実施の一形態を図面を参照して以下に説明する。本実施の形態の体表評価装置100は、微小血管MCが分布している真皮上層CLから拡大画像を取得する画像取得部110と、取得された拡大画像の微小血管を明瞭とする所定の画像処理により血管画像を生成する画像抽出部130と、を有する。
ここで、血管画像とは、血管の基底膜、内皮細胞、周細胞、血管平滑筋細胞等の組織、または血管内を流れる血液もしくはその組成物を目視可能に撮像した静止画像または動画像である。より詳細には、本実施の形態の体表評価装置100は、図1に示すように、微小血管MCが分布している真皮上層CLから皮膚内部反射光画像RGを拡大画像として取得する画像取得部110と、取得された皮膚内部反射光画像RGを独立成分分析してヘモグロビン画像HG、HG'を血管画像として抽出する画像抽出部130と、取得された皮膚内部反射光画像RGと抽出されたヘモグロビン画像HGとの少なくとも一方をレベル補正する画像補正部120と、を有する。
ここで撮影する倍率について、低倍率で比較的広範囲を観察するようなときには、等倍から100倍程度、高倍率で毛細血管形状を観察するようなときには、100倍から1000倍程度が望ましい。
さらに、本実施の形態の体表評価装置100は、図1に示すように、皮膚内部反射光画像RGからヘモグロビン画像HG'、HG"の少なくとも一方を抽出する。
ヘモグロビン画像HG'は、画像取得部110が取得した皮膚内部反射光画像RGを画像補正部120でレベル補正してから画像抽出部130が独立成分分析して抽出した画像である。一方、ヘモグロビン画像HG"は、画像取得部110が取得した皮膚内部反射光画像RGを画像抽出部130が独立成分分析してヘモグロビン画像HGを抽出し、これをレベル補正した画像である。
本実施形態では、図2および図3をさらに参照して、皮膚内部反射光画像RGからヘモグロビン画像HG'を抽出する方法を主として説明する。
なお、上述のレベル補正とは、いわゆる画像処理でのレベル補正で、微小血管の画像の輝度等を変更する処理であり、例えば、後述するように画像のヒストグラムの輝度や頻度を線形変換などにより補正することである。
画像取得部110は、図4(a)に示すように、公知の液浸方式の拡大鏡111を有し、真皮上層CLから液浸方式で皮膚内部反射光画像RGを、複数のカラー成分であるRGB(Red,Green,Blue)成分からなるフルカラー画像として取得する。
なお、上述のようなカラー成分とは、カラー画像を形成する複数の色成分を意味しており、例えば、上述したRGB成分の他、CMY(Cyan Magenta Yellow)成分、CMYk(CMY black)成分、等でもよく、マルチバンドのカラー画像で取得される四つ以上のカラー成分でもよい。
この拡大鏡111は、フルカラーのCCD(Charge Coupled Device)等の画像センサ112、光学レンズ等からなる結像光学系113、円環状の白色光源114、対物ガラス115、等からなり、この対物ガラス115と表皮SLとの間隙が特定のオイルや水、または、これらに増粘剤などを加えた組成物からなる観察可能な透明な液体LKで充填される。拡大鏡111および液体LKには公知のものを使用することができる。一例として、図6、図7、図16の取得には、血流観察装置Bscan−Pro(GOKOカメラ株式会社製)を拡大鏡111として使用した。また、図3、図8〜図15の取得には、デジタル電子映像拡大器 EV−4D USB(GOKOカメラ株式会社製)を拡大鏡111として使用した。これらの画像の取得にあたり、液体LKとしてはスクワラン(ニッコールスクワラン、日光ケミカルズ株式会社製)を使用した。また、図8〜図12および図14のヒストグラムは、アドビ システムズ株式会社製、Adobe(登録商標) Photoshop(登録商標) CSを使用して作成した。
画像補正部120は、カラー画像である拡大画像の微小血管の発色を変更する処理として、上述のようにRGB成分からなる皮膚内部反射光画像RGをレベル補正する。その場合、図8および図9に示すように、皮膚内部反射光画像RGをRGB成分に分離し、各々をレベル補正してから一つに合成する。
また、画像補正部120は、図8ないし図11に示すように、上述のようなレベル補正として、ヒストグラムのピークの頻度は補正することなく輝度の範囲を拡大する。
一例として、皮膚内部反射光画像RGの輝度の最小値がa、最大値がb(0<a<b<255)であった場合、輝度の範囲(aからb)を0から255に拡大して出力表示することによりコントラストが最大限強調される。このように、元画像のヒストグラムのピークの頻度を補正せず輝度の範囲を拡大することで元画像の輝度が強調されて明瞭となる。
ここで、RGBのチャンネル全体でレベル補正(全レベル補正)をすると、元画像の全体のコントラストが強調されるため、肌色のムラであるシミ(メラニン成分)部分や血管(ヘモグロビン成分)部分が色相の区別無く強調される。一方、RGBの各チャンネル毎にレベル補正(各レベル補正)をすると、単に画像のコントラストが強調されるだけでなく、メラニン成分の茶褐色とヘモグロビン成分の赤色の色相の強調を伴って画像のコントラストが強調される。このため、元画像においてメラニン成分とヘモグロビン成分の判別が困難であるような色ムラにおいても、メラニン成分の茶褐色とヘモグロビン成分の赤色が個別に強調表示されて両者の判別が容易となる。
レベル補正による明瞭化の判断は目視により行うことができる。このほか、レベル補正前後の画像に対して画像測色を行って色相・明度・彩度などの色を表示する三刺激値の差分を求め、所定の閾値との大小比較によって明瞭化の度合いを定量化してもよい。
さらに、画像抽出部130は、画像補正部120によりレベル補正された皮膚内部反射光画像RG'を独立成分分析して、血管画像であるヘモグロビン画像HG'を抽出する。より具体的には、図1、図3、図13(a)等に示すように、上述のようにRGB成分ごとにレベル補正されて一つに合成されたフルカラーの皮膚内部反射光画像RG'を、独立成分分析してヘモグロビン画像HG'とメラニン画像MG'とを抽出する。
上述のような体表評価装置100の画像補正部120や画像抽出部130は、例えば、コンピュータ装置に適正なコンピュータプログラムが実装されることで論理的に実現されている。具体的なコンピュータプログラムは特に限定されないが、本実施形態では、画像補正部120としてアドビ システムズ株式会社製、Adobe(登録商標) Photoshop(登録商標) CSを使用した。また、画像抽出部130で使用する独立成分分析を実現する手段としては、公知の方法(たとえば前記の特許文献4に記載の方法)を使用することができる。
このようなコンピュータプログラムは、例えば、図2に示すように、微小血管MCが分布している真皮上層CLから拡大した皮膚内部反射光画像RGを画像取得部110に取得させること、取得された皮膚内部反射光画像RGをレベル補正すること、レベル補正された皮膚内部反射光画像RG'を独立成分分析してヘモグロビン画像HG'とメラニン画像MG'とを抽出すること、等を体表評価装置100に実行させるように記述されている。なお、画像抽出部130は、レベル補正された皮膚内部反射光画像RG'を独立成分分析することでヘモグロビン画像HG'とメラニン画像MG'とを抽出する。
上述のような構成において、本実施の形態の体表評価装置100を利用した体表評価方法を以下に説明する。本実施の形態の体表評価方法は、被験者の体外から撮影した表層部SK(図4(b)を参照)の画像に基づいて、当該被験者の体表(皮膚)の見た目の状態を評価する美容診断方法に関する。
まず、本実施の形態の体表評価装置100が評価対象とする人体の表層部SKは、図5に示すように、表皮SL、真皮TL、皮下組織ST、等からなり、本実施の形態で云う真皮上層CLとは、表皮SL下の毛細血管BCが分布している部分を意味する。ただし、真皮上層CLには、毛細血管BCに加えて、微小循環に関わる血管である細動脈SAおよび細静脈SVなどの細血管や毛細リンパ管などの微小な脈管(図示せず)が分布する領域も含める(図5を参照)。これら微小循環に関わる血管や脈管を微小血管(MC)と総称する。
このような毛細血管BCは、身体の部位や個人差等によって、例えば図6(b)や図7(b)に示すようなループ状の毛細血管、線状の毛細血管のタイプがある。通常、細動脈SAの直径は15〜100μm、細静脈SVの直径は25〜300μmであるのに対し、毛細血管BCの直径は5〜8μmと極端に細い(図4ないし図7を参照)。図6(a)の点線丸印はループ状の毛細血管BCの位置を示しており、図6(b)の実線丸印は斜め上方から見たループ状の毛細血管BCを示している。また、図7(a)の矢印は線状の毛細血管BCの位置を示しており、図7(b)には斜め上方から見た線状の毛細血管BCを示している。
そして、本実施の形態の体表評価装置100は、図2および図4に示すように、液浸方式の拡大鏡111により、真皮上層CLから液浸方式でRGB成分からなるフルカラー画像として皮膚内部反射光画像RGを取得する(ステップS1−Y)。
次に、体表評価装置100は、フルカラーの皮膚内部反射光画像RGをRGB成分画像に分離し(ステップS2)、このRGB成分画像の各々をレベル補正してから(ステップS3)、一つに合成する(ステップS4)。
そして、上述のようにRGB成分ごとにレベル補正されて一つに合成されたフルカラーの皮膚内部反射光画像RG'を、独立成分分析し(ステップS5)、図3等に示すように、ヘモグロビン画像HG'とメラニン画像MG'とを抽出する(ステップS6)。
このように抽出されたヘモグロビン画像HG'とメラニン画像MG'とが、ディスプレイ表示やプリンタ印刷などで出力されるので(ステップS7)、例えば専門の作業者が、出力されたヘモグロビン画像HG'から微小血管MCの分布や状態を評価する(ステップS8)。なお、ステップ4のレベル補正画像から直接に微小血管MCの分布や状態を評価してもよい(ステップS8)。このように、レベル補正画像からヘモグロビン画像HG'を抽出してこれを評価対象とすることで、メラニン色素の成分の影響が排除されて、微小血管MCの分布や状態が良好に評価される。
なお、ここで云う微小血管MCの分布とは、真皮上層における複数の微小血管MCの配置状態をいい、例えば、真皮上層に毛細血管BCが形成されている数密度、毛細血管BCが占める面積割合、毛細血管BCの分散度合、ループ状の毛細血管BCと線状の毛細血管BCとの上記数密度、面積割合などの比率、等を意味している。
さらに、微小血管MCの状態とは、微小血管MCの形状または特性をいい、例えば、真皮上層CLに形成されているループ状の毛細血管BCの測定形状、線状の毛細血管BCの測定形状、毛細血管BCの直径、血流の状態、などを意味している。微小血管MCの形状や特性は、真皮上層CLの一箇所または複数箇所で微小血管MCを個々に観察して取得してもよく、または所定の領域内に存在する複数の微小血管MCの形状や特性に関する統計値(たとえば平均値)を画像処理により求めてもよい。
本実施の形態の体表評価装置100を利用した体表評価方法では、上述のように微小血管MCが分布している少なくとも真皮上層CLから拡大した皮膚内部反射光画像RGを取得する。
なお、このように皮膚内部反射光画像RGを取得する真皮上層CLは、微小血管MCが分布しており、それが表皮細胞に近接して酸素や栄養を供給する位置にあり、美容的な視点から重要であると想定される階層である。
ただし、当然ながら人体は明確な階層に分離されていないので、ここで云う真皮上層CLとは、上述のように皮膚表面の状態に影響する微小血管MCが分布している表皮下の、おおよその階層を意味している。
そして、取得された皮膚内部反射光画像RGをレベル補正する。レベル補正された皮膚内部反射光画像RG'を独立成分分析して少なくともヘモグロビン画像HG'を抽出する。
抽出されたヘモグロビン画像HG'から微小血管MCの分布と状態との少なくとも一方を評価する。これにより、被験者の皮膚の美容状態を診断するための情報が取得される。このため、コントラストが高く微小血管MCの分布や状態を良好に反映したヘモグロビン画像HG'を獲得することができる。
従って、本実施の形態の体表評価装置100を利用した体表評価方法では、図13(a)に示すように、コントラストが高く微小血管MCの分布や状態を良好に反映したヘモグロビン画像HG'により、ループ状や線状に形成されている毛細血管BCの分布や状態を正確に評価することができる。
以上、本実施の形態の体表評価方法では、取得された皮膚内部反射光画像RGをレベル補正し、レベル補正された皮膚内部反射光画像RGを独立成分分析してヘモグロビン画像HG'およびメラニン画像MG'を抽出する。さらに、抽出されたヘモグロビン画像HG'から微小血管MCの分布と状態との少なくとも一方を評価する。
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態では生成されたヘモグロビン画像HG'から微小血管MCの分布や状態を専門の作業者が目視で評価することを例示した。
しかし、上述のようなヘモグロビン画像HG'を体表評価装置100で二値化し、上述のような指標となる複数のヘモグロビン画像HG'とのパターン認識などで、微小血管MCの分布や状態が評価されてもよい。
また、上記形態では皮膚内部反射光画像RGを画像補正部120でレベル補正した後に画像抽出部130でヘモグロビン画像HG'を抽出することを例示したが、本発明はこれに限られない。図1に示したように、体表評価装置100は、画像抽出部130で皮膚内部反射光画像RGよりヘモグロビン画像HGを抽出した後に、画像補正部120でヘモグロビン画像HGをレベル補正してヘモグロビン画像HG"を生成してもよい。
この場合、画像抽出部130は、画像取得部110が取得した皮膚内部反射光画像RGを独立成分分析してヘモグロビン画像HGを抽出する。画像補正部120は、皮膚内部反射光画像RGから抽出されたヘモグロビン画像HGをレベル補正してヘモグロビン画像HG"を生成する。
同様に、画像抽出部130は、画像取得部110が取得した皮膚内部反射光画像RGを独立成分分析してメラニン画像MGを抽出する。画像補正部120は、皮膚内部反射光画像RGから抽出されたメラニン画像MGをレベル補正してメラニン画像MG"を生成する。
そして、これらのヘモグロビン画像HG"から上述の評価方法により微小血管MCの分布または状態を評価する。さらに、メラニン画像MG"から、皮膚のメラニン色素の分布や濃度を評価してもよい。
さらに、微小血管MCの評価結果と関連させて皮膚の美容状態を評価してもよい。評価する皮膚の美容状態としては、微小血管MCを含む部位の皮膚の表面をマクロ的に目視観察して把握される状態を挙げることができる。一例として、シワ、毛穴、肌理、艶、光沢、にごり、くすみ、なめらかさ、色むら、ハリ、たるみ、むくみ、つっぱり、かさつき、ごわつき、ざらつきまたはニキビ等の発疹が挙げられる。このように、ヘモグロビン画像HG"から微小血管MCの分布または状態を評価し、メラニン画像MG"から皮膚のメラニン色素の分布や濃度を評価することで、マクロ的な皮膚の特徴や性状に対して、微小血管MCとメラニン色素がそれぞれ寄与する度合いを把握することができる。
また、このような微小血管MCの評価結果と皮膚の評価結果とを関連させて保存し、関連されて保存された複数の微小血管MCの評価結果と皮膚の評価結果とを分類してもよい。
上述のように、ミクロ的な微小血管MCの分布や状態をマクロ的な皮膚の状態と関連させて分類することにより、微小血管MCの分布や状態から皮膚の状態や症状の原因などを類推できるようになる。
さらに、上記形態では真皮上層CLから液浸方式で皮膚内部反射光画像RGを取得することを例示した。しかし、液浸方式ではなく、対物ガラス部に偏光フィルタを用いて皮膚内部反射光画像RGを取得してもよい(図示せず)。
さらに、上記形態ではフルカラーの皮膚内部反射光画像RGをRGB成分画像に分離し、このRGB成分画像の各々をレベル補正してから、一つに合成することを例示した。
しかし、上述のようにフルカラーの皮膚内部反射光画像RGを分離したRGB成分画像を一つのみレベル補正し、他のRGB成分画像と合成することなく一つのG成分画像などで微小血管の分布や状態を評価してもよい。
さらに、上記形態では静止画像からなる皮膚内部反射光画像RGをレベル補正および独立成分分析し、静止画像からなるヘモグロビン画像HG'、HG"を取得して微小血管MCの分布や状態を評価することを例示した。
しかし、連続する複数の皮膚内部反射光画像RGからなる動画を取得し、この複数の皮膚内部反射光画像RGを個々にレベル補正および独立成分分析し、連続する複数のヘモグロビン画像HG'、HG"からなる動画を生成してもよい。
より詳細には、微小血管MCが分布している少なくとも真皮上層CLから連続する複数の皮膚内部反射光画像RGからなる動画を撮影する。その動画を複数の皮膚内部反射光画像RGに分割し、その各々を画像補正部120で個々にレベル補正して血管画像である皮膚内部反射光画像RG'とする。
この個々にレベル補正した複数の皮膚内部反射光画像RG'を連続させて一つの動画とし、この動画に基づいて微小血管MCの分布や状態を評価する。このレベル補正は、RGB成分ごとのレベル補正が好ましい。
さらに、上述のように個々にレベル補正した複数の皮膚内部反射光画像RG'を、画像抽出部130で個々に独立成分分析して血管画像であるメラニン画像MG'およびヘモグロビン画像HG'を抽出し、この連続する複数のメラニン画像MG'と連続する複数のヘモグロビン画像HG'とを抽出する。
この複数のヘモグロビン画像HG'を連続させて一つの動画とし、この動画に基づいて微小血管MCの分布や状態を評価する。上述の場合、血流などによる微小血管MCの動作を動的に確認することができる。さらに、前述のように体表評価装置100が微小血管MCをパターン認識する場合の精度を向上させることもできる。なお、連続する複数のヘモグロビン画像HG'にそれぞれ対応するメラニン画像MG'を抽出しておくことで、当該複数のヘモグロビン画像HG'同士を高い精度で位置合わせすることができる。動画の撮影時間内(たとえば数秒から数十秒)においてメラニン色素の位置は実質的に不変であるため、メラニン画像MG'におけるメラニン色素の位置を基準として皮膚内部反射光画像RG'同士の位置合わせが可能である。これにより、皮膚内部反射光画像RG'から抽出されるヘモグロビン画像HG'同士の位置合わせも高い精度で行うことができるため、ヘモグロビン画像HG'の滑らかな動画が作成され、微小血管MCの動作を好適に確認することができる。
また、上記形態では画像抽出部130が独立成分分析により皮膚内部反射光画像RGまたはRG'からメラニン画像MGまたはMG'とヘモグロビン画像HGまたはHG'とを抽出することを例示した。しかし、画像抽出部130は、重回帰分析、主成分分析、ルックアップテーブル方式、などでも、皮膚内部反射光画像RGまたはRG'からメラニン画像MGまたはMG'とヘモグロビン画像HGまたはHG'とを抽出することができる。
さらに、本実施の形態ではデータ処理装置の各部がコンピュータプログラムにより各種機能として論理的に実現されることを例示した。しかし、このような各部の各々を固有のハードウェアとして形成することもでき、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせとして実現することもできる。
なお、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
[実施例]
ここで本発明者による実験結果を本発明の実施例として以下に説明する。まず、前述の液浸方式の拡大鏡111により、真皮上層CLから前述の液浸方式で皮膚内部反射光画像RGをRGB成分からなるフルカラー画像として取得した(ステップS1−Y)。
つぎに、図8に示すように、フルカラーの皮膚内部反射光画像RGをRGB成分画像に分離し(ステップS2)、図9に示すように、このRGB成分画像の各々をレベル補正してから(ステップS3)、一つのフルカラー画像に合成した(ステップS4)。
このとき、上述のレベル補正として、ヒストグラムのピークの頻度は補正することなく輝度の最大値と最小値とを補正した。より具体的には、このレベル補正では、図10および図11に例示するG成分画像のように、そのヒストグラムの横軸のベースライン部分を排除するようにレベル補正を実行した。
そして、上述のようにRGB成分ごとにレベル補正されて一つに合成されたフルカラーの皮膚内部反射光画像RG'を、独立成分分析し(ステップS5)、図13(a)に示すように、ヘモグロビン画像HG'とメラニン画像MG'とを抽出した(ステップS6)。なお、図13中のICAは独立成分分析(Independent Component Analysis)の略語である。
このように抽出されたヘモグロビン画像HG'とメラニン画像MG'とを、ディスプレイ表示やプリンタ印刷などで出力し(ステップS7)、ヘモグロビン画像HG'から微小血管MCの分布や状態を前述のように評価した(ステップS8)。また、メラニン画像MG'から皮膚のメラニン色素の分布や濃度を評価した。
すると、コントラストが高く微小血管MCの分布や状態を良好に反映したヘモグロビン画像HG'により、ループ状や線状に形成されている毛細血管BCの分布や状態を正確に評価することができた。
なお、上述のようなレベル補正を実行することなく、皮膚内部反射光画像RGを直接に独立成分分析してヘモグロビン画像HGを抽出すると、測定条件にもよるが、図13(b)に示すように、そのメラニン画像MGおよびヘモグロビン画像HGはコントラストが低いものになる場合がある。このような場合はヘモグロビン画像HGから微小血管MCの分布や状態を評価することは困難であり、上述のようなレベル補正を実行することが好ましい。
また、図8および図9に示すように、フルカラーの皮膚内部反射光画像RGをRGB成分画像に分離し、このRGB成分画像の各々をレベル補正(各レベル補正)してから一つに合成した。このため、よりコントラストが高く微小血管MCの分布や状態を良好に反映した画像RG'を生成することができた。
フルカラーの皮膚内部反射光画像RGをRGB成分画像に分離することなく直接にレベル補正(全レベル補正)すると、図12に示すように、生成される皮膚内部反射光画像RGxは、各レベル補正した画像RG'と比較して若干コントラストが低いものとなったが、元画像よりはコントラストが高いものとなった。したがって、簡易な画像処理により微小血管MCの分布や状態を評価する場合には、RGB成分の全レベル補正により皮膚内部反射光画像RGを明瞭化することが有効である。
さらに、図14に示すように、ヒストグラムの重心が所定値となるようにレベル補正を実行した。すると、微小血管MCの分布や状態を良好に確認することができ、より良好に評価することができた。
また、レベル補正としてRGB成分ごとにヒストグラムの輝度を所定の上限と下限との範囲で補正した(図示せず)。この上限と下限とは、事前に一定のホワイトバランスと一定の露出で、一定数以上のサンプルを取得したデータベースより算出される。すなわち、本実施形態の体表評価装置100は、RGBの各色と、輝度の上限値および下限値と、を対応づけて記憶するデータベース(図示せず)を備えている。画像補正部120は、このデータベースを参照してRGB成分ごとに輝度の上限値および下限値を取得し、かかる上限値および下限値がそれぞれ輝度の最大値および最小値となるように皮膚内部反射光画像RGを各レベル補正する。
このようなデータベースについては各種が想定される。例えば、日本人女性に限定して皮膚内部反射光画像RGを撮影し、各撮影画像のRGB各ヒストグラムの輝度の最大値と最小値とを解析し、上記の上限と下限とを算出してもよい。
また、他の一例として、男性・女性などの性別の測定値や、東京近郊地域の住人など居住地域別、または外国人など人種別に、皮膚内部反射光画像RGの撮影対象者を区分してデータベースを作成してもよい。さらに、日焼けした人や乾燥肌の人など、肌性状のタイプ毎にデータベースを作成してもよい。
このような場合、それぞれの比較対象とするデータベースでの撮影画像間の比較が容易となり、より良好に微小血管MCの分布や状態を各画像間の色を比較しながら確認できることが判明した。
さらに、図15に示すように、皮膚内部反射光画像RGを独立成分分析してからレベル補正しても、微小血管MCの分布や状態を確認できることが判明した。ただし、この場合は、生成されるヘモグロビン画像HG"およびメラニン画像MG"の発色が、図13(a)に示したヘモグロビン画像HG'およびメラニン画像MG'に比べて良好とならない場合がある。かかる観点では、図13(a)のように皮膚内部反射光画像RGを予めレベル補正してから独立成分分析するほうが好適である。
また、図16に示すように、本発明者は事前に毛細血管BCの分布や状態の指標となる複数の画像を用意した。すると、このヘモグロビン画像HG'との比較で被験者の毛細血管BCの分布や状態を評価することができた。
100 体表評価装置
110 画像取得部
111 拡大鏡
112 画像センサ
113 結像光学系
114 白色光源
115 対物ガラス
120 画像補正部
130 画像抽出部
BC 毛細血管
CL 真皮上層
HG、HG'、HG" ヘモグロビン画像
LK 液体
MG、MG'、MG" メラニン画像
RG、RG' 皮膚内部反射光画像
SA 細動脈
SK 表層部
SL 表皮
ST 皮下組織
SV 細静脈
TL 真皮
MC 微小血管

Claims (3)

  1. 微小血管が分布している少なくとも真皮上層から複数のカラー成分からなる拡大画像である皮膚内部反射光画像を取得し、
    前記取得された皮膚内部反射光画像からヘモグロビン画像を抽出し、
    カラー成分毎の輝度の範囲を肌のデータベースから取得し、
    前記取得されたカラー成分毎の輝度の範囲となるように、前記抽出されたヘモグロビン画像の各カラー成分に対して、輝度のヒストグラムのピークの頻度は補正することなく輝度の範囲を拡大するレベル補正をそれぞれ行い、
    前記レベル補正が適用されたヘモグロビン画像から前記微小血管の分布と状態との少なくとも一方を評価する
    ことを含む、皮膚の美容状態を診断する体表評価方法。
  2. 前記評価は、前記微小血管の、真皮上層における配置状態と、形状又は直径との少なくとも一方を評価することを含む、
    請求項1に記載の体表評価方法。
  3. 微小血管が分布している少なくとも真皮上層から複数のカラー成分からなる拡大画像である皮膚内部反射光画像を取得する画像取得手段と、
    前記取得された皮膚内部反射光画像からヘモグロビン画像を抽出する画像抽出手段と、
    各カラー成分と輝度の範囲とを対応付けて記憶するデータベースと、
    前記データベースを参照して取得される、カラー成分毎の輝度の範囲となるように、前記抽出されたヘモグロビン画像の各カラー成分に対して、輝度のヒストグラムのピークの頻度は補正することなく輝度の範囲を拡大するレベル補正をそれぞれ行うことにより、レベル補正が適用されたヘモグロビン画像を取得する画像補正手段と、
    を有する体表評価装置。
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