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JP5975050B2 - 包装材 - Google Patents

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Description

本発明は、食品固形物を真空充填した包装体を得るための包装材に関する。
食品固形物のなかで、例えば冷凍ハンバーグは、包装材に固形物としてのハンバーグを収容した後、真空状態で包装材を封止して、すなわち真空包装して包装体とされる。この包装体は、その後に急冷により内填物である食品固形物としてのハンバーグが冷凍され、この冷凍状態で出荷されて流通過程を経て販売される。真空包装は、内填物の新鮮さを保持することができるために従来からよく利用されている包装形態である。しかし、このような真空包装された包装体を冷凍によりチルド包装とすると、真空包装時には包装内部が減容することにより内填物と包装材とが接当し、その状態で冷凍されるから、内填物が急激に冷却される結果、包装材の表面には結露が生じ、更には霜が大量に発生してしまう。また、チルド包装の製造時ばかりでなく、包装体の流通の過程で霜が付着することもある。
この包装体の表面に霜が付着すると、包装体の流通、販売の過程で、この包装体の包装材の表面に印刷で付された内容等の表示を視認することが困難となる。これでは包装材が具備する内容等の表示としての機能を十分には果たし得ないことになる。
透明性に優れ、また、料理に押圧力が加わった時に、料理を押し潰すことがないフィルムとすることができ、更に、冷凍時には霜が発生しない包装体に関して、調理済み食品を収容した、電子レンジ加熱が可能な容器が、密着状態で覆う透明な非透水性フィルムによって真空包装された包装体であって、この透明フィルムを、アイオノマー樹脂を含む積層フィルムとすることが開示されている(特許文献1)。
特開2006−327658号公報
しかしながら、上記のように包装材を構成するフィルムを特定の積層フィルムにしただけでは、急冷した真空包装体の霜の発生を十分には防止することはできなかった。
本発明は、上記の問題を有利に解決するものであり、真空包装体を得る場合において、チルド時の内填物の急激な冷却時や包装体の流通過程で、印刷がされた包装材の表面に霜が付着するのを抑制し、よって包装材の表面の印刷表示の視認性を確保することのできる包装材を提供することを目的とする。
上記の課題を有利に解決する、本発明の包装材は、内填物としての冷凍食品又はチルド食品を収容する内袋と、この内袋を覆い当該内袋と接合される外袋とを備え、この内袋が、少なくとも基層とヒートシール層とを有し、バリア層を有しない積層体よりなり、この内袋と外袋とが接合される部分の一部に、空気通路が形成され、この空気通路は、接合される部分の全体の長さに対して20%〜60%であり、この空気通路を通して内袋と外袋との間が大気と連通していることを特徴とする。
本発明の包装材においては、内袋に収容される内填物は、ハンバーグ又はこれに類似する冷凍食品又はチルド食品である。
また、内袋は、少なくとも基層とヒートシール層とを有する二枚の積層体の縁部が接合されている三方袋、又はピロー型袋とすることができる。
更に、この内袋と外袋との接合部が、内袋及び外袋の縁部であることが好ましい。
更に、空気通路は、前記内袋と前記外袋との接合部における部分的な未接合部であることが好ましい。
本発明の包装材によれば、内袋と外袋とからなる二重袋において内袋と外袋との接合部の一部に空気通路が形成されていて、内袋と外袋との間が大気と連通していることから、内填物の冷凍により内袋の表面が結露し、霜が発生していても、この霜が発生した内袋との表面と、印刷がされる外袋とは離隔されているので当該外袋には霜が発生付着しない。このため、包装材の表面の印刷表示の視認性を維持することができる。
本発明の一実施形態の包装材の斜視図である。 本発明の別の実施形態の包装材の斜視図である。 本発明の一実施形態の包装材の内袋を構成する積層体の模式的な断面図である。 本発明の一実施形態の包装材の接合部を説明する模式的な断面図である。
以下、本発明の包装材の一実施形態を、図面を用いて具体的に説明する。
図1に示す斜視図において、包装材1は、平面が矩形であり、内袋11と外袋12との二重袋である。この内袋11内に、ハンバーグ等の内填物が収容される。外袋12の表面には、内袋11に収容される内填物の内容等の印刷表示が可能になっている。外袋12は、内袋11と同じ大きさで、内袋11の縁部の三方で接合されている。この内袋11と外袋12との接合部1sの一部に、空気通路1pが形成されている。図示した例では包装材1の側縁部のそれぞれに複数個の空気通路1pが形成されている。この空気通路1pを通して内袋11と外袋12との間が空気と連通している。
上記のように内袋11と外袋12との接合部1sの一部に空気通路1pが形成されていることにより、内袋11と外袋12との間には、大気が連通している。これにより、内袋11に収容され、真空包装された内填物の冷凍により内袋11の表面が結露し、霜が発生していても、この霜が発生した内袋11の表面と、印刷がされる外袋12とは離隔されているので、外袋12には霜が発生付着しない。このため、包装材1を構成する外袋12の表面に付された印刷表示の視認性を維持することができる。
本実施形態の包装材1は、内袋11に収容する内填物が、内袋11に真空包装され、かつ、冷凍される内填物、特にハンバーグ用として特に効果が顕著である。
図1の包装材では、内袋11は、二枚の積層体11A及び11Bの縁部を熱融着して形成された三方袋である。内袋11は、積層体11A、11Bのフィルムの二枚をそれぞれの縁部で接合した三方袋とすることにより、ハンバーグ程度の大きさの食品の内填物を収容し得る包装材1を生産性よく製造することができる。もっとも、本発明の包装材は、三方袋に限定されるものではない。
積層体11A及び積層体11Bは、いずれも基層11aとヒートシール層11bとからなっている。積層体11A及び積層体11Bがヒートシール層11bを有することにより、熱融着によって積層体11A及び積層体11Bを接合して内袋11を製造することができるので、内袋11の生産性がよい。これらの積層体11A、11Bは、互いに対向する面がどちらもヒートシール層11bであるように重ね合わされ、この重ね合わされた三辺の縁部を加熱押圧することにより熱融着させることで三方袋の内袋11としている。
内袋の積層体11A及び積層体11Bを構成する基層11aとヒートシール11bの具体例は、例えば、〔ポリアミド系樹脂/ポリアミド系樹脂/ヒートシール性樹脂〕や、〔ポリエステル系樹脂/ポリアミド系樹脂/ヒートシール性樹脂〕の組み合わせ等のように、内填物と接触する側のフィルムがヒートシール性樹脂層で形成されていればよく、密封袋として形成することが可能であれば、構成は問わない。積層体11A及び積層体11Bの厚さは、ハンバーグといった内填物を真空包装し、チルド包装するのに通常用いられている厚さを有していればよい。
また、基層11aとヒートシール層11bとを、接着剤で接合することにより積層体とすることもできる。好ましく使用できる積層フィルムの代表的な構成例として、以下のような構成が挙げられる。もっとも、これらの構成に限定されるものではなく様々な組み合わせの積層フィルムを使用することができる。なお、下記において、上記において、ONフィルムは、2軸延伸ナイロンフィルムを、OPPフィルムは2軸延伸ポリプロピレンフィルムを、PETフィルムは2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、L・LDPEは直鎖状低密度ポリエチレンを、HDPEは高密度ポリエチレンを、LDPEは低密度ポリエチレンを、CPPフィルムはキャスト(無延伸)ポリプロピレンフィルムを、また、EVOHフィルムはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルを、それぞれ指す。
(1) ONフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(2) ONフィルム/接着剤/PETフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(3) ONフィルム/接着剤/PETフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(4) ONフィルム/接着剤/2軸延伸HDPEフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(5) ONフィルム/接着剤/OPPフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(6) ONフィルム(シリカまたはアルミナ蒸着層)/接着剤/2軸延伸HDPEフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(7) ONフィルム/アンカーコート層/共押し出しコート層(HDPE)層/L・LDPE層)(シーラント層はL・LDPE層)
(8) ONフィルム/アンカーコート層/共押し出しコート層(HDPE層/LDPE層)/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(9) PETフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(10)PETフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(11)PETフィルム/接着剤/(シリカまたはアルミナ蒸着層)ONフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(12)PETフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(13)PETフィルム/接着剤/EVOHフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
なお、上記において、アンカーコートは、押し出しコーティングで樹脂を積層する際、接着性を向上させるために基材フィルム側に予めコーティングするものでプライマーコートの一種である。
また、上記において、シーラント層のL・LDPEフィルム、CPPフィルムは、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体に置き換えることができる。これらのシーラント層は、上記のように、予め製膜したフィルムを接着剤を用いてドライラミネーション法などで貼り合わせるほか、押し出しコート法などで積層することもできる。
前記の積層フィルムの構成において、ONフィルム、PETフィルムは、最外層に用いる場合は、基材フィルムとして食品用袋に機械的強度や印刷適性を付与し、中間層に用いる場合は、主に機械的強度を補強するために用いられる。また、中間層に用いる2軸延伸HDPEフィルム、OPPフィルムは、厚さを増し剛性を高めると同時に透湿度を向上させるために用いられる。上記2軸延伸HDPEフィルム、OPPフィルムは、1軸延伸HDPEフィルム、1軸延伸PPフィルムとすることもでき、その場合、延伸方向が、袋の切り取り線の方向と一致するように積層することにより、引き裂きを容易にし、かつ、その方向性を安定化させることができる。ただし、袋の切り取り線が、袋の縦横、両方向にある時は、2軸延伸フィルムを用いることが好ましい。
そして、シリカまたはアルミナ蒸着層、EVOHフィルムは、ガスバリヤー性を向上させるために積層するものであり、これらのほか、ポリアクリロニトリルフィルム、或いは、ポリ塩化ビニリデンの塗膜層などのガスバリヤー性材料を積層することもできる。
そして、シーラント層としては、L・LDPEフィルム、CPPフィルム、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体の3種類の例を挙げたが、L・LDPEフィルムは、ヒートシールの安定性や耐内容物性、耐ストレスクラッキング性などに優れており、CPPフィルムは、耐熱性、低臭性に優れている。また、メタロセン系触媒などシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体は、分子量分布の幅が狭く、共重合比も安定しているため、低温ヒートシール性や、熱間シール性に優れると共に、特に低臭性に優れている。従って、包装する内容物(食品)の種類や使用条件に応じて、最適なものを選択して使用することにより、樹脂臭などで内容物の風味を損なうことがなく、安全で性能に優れた食品用袋を提供することができる。
シーラント層には上記のほか、高圧法ポリエチレンなど通常の低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリエステル系樹脂なども適宜選択して使用することができる。
また、内袋の積層体11Aと積層体11Bとは、層の構成が同一の積層体である例に限定されない。すなわち、積層体11Aと積層体11Bとで、基層11a及び/又はヒートシール層11bが異なる種類のものであってもよい。
外袋12は、内袋12を覆って形成されている。この外袋は、二枚のフィルム12A、フィルム12Bの縁部を内袋11に接合して形成されている。これらのフィルム12A、12Bは、例えばポリエステル系樹脂やポリアミド系樹脂とすることができる。これらのフィルムは、裏刷りによる印刷化粧加工が可能なフィルムとする。フィルム12A、フィルム12Bは、それぞれ複数のフィルム層からなる積層体であってもよい。外袋12の厚さは、特に限定されず、印刷表示用として通常用いられている厚さを有していればよい。
外袋12のフィルム12A、フィルム12Bは、内袋11の積層体11A、11Bの表面に重ねて、それらの縁部を接合することにより、外袋12とされる。縁部の接合は、例えばドライラミネート接着剤で互いに接着することより実施することができる。このとき、内袋11と外袋12との接合部の接着を部分的に行うことにより、空気通路1pを容易に形成することができる。
包装材1を構成する積層体に用いられるヒートシール性樹脂は、熱によって溶融し相互に融着し得るものであればよく、例えば、熱可塑性樹脂として、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸、その他の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、その他の樹脂の1種又は2種以上からなる樹脂を、フィルム又はシートの形態で使用することができる。
内袋11と外袋12との接合部1sは、両者の縁部であることが好ましい。内袋11が三方袋である場合には、内袋11の熱融着部が三方の縁部であるため、この内袋11の縁部で外袋12と接合するのが合理的である。もっとも、内袋11と外袋12との接合部は、両者の縁部に限定されるものではない。
空気通路1pを接合部1sに形成するために、例えば、内袋11と外袋12との接合部1sにおいて、未接合部を部分的に形成することができる。接合時に未接合部を部分的に形成すれば、この未接合部が包装材1の空気通路1pとなる。この未接合部は、例えばドライラミネート接着剤を用いて内袋11と外袋12とを接着させる際に、このドライラミネート接着剤を内袋11及び/又は外袋12の縁部に、部分的に塗布する。そうすれば、接着剤を塗布しなかった部分では、内袋11と外袋12とが接着しないので、その部分が未接合部となる。
また、内袋11と外袋12とを、ヒートシール層を用いた熱融着により接合する場合には、内袋11と外袋12との接合部においてこのヒートシール層が形成されていない部分を部分的に形成することにより、空気通路1pを接合部1sに形成することができる。
空気通路1pは、内袋11と外袋12との間を大気と連通させることで外袋12に形成された印刷表示への霜付着を防止していることを考えると、できるだけ接合部における空気通路1pの部分を大きくして、上述した大気との連通を良好な状態にすることが好ましい。したがって、内袋11と外袋12との接合強度等を勘案して、所定の割合、例えば接合部の全体の長さに対して2割(20%)〜6割(60%)の割合で接合部に形成すればよい。より好ましくは、4割(40%)超である。
図2の斜視図を用いて本発明の包装材の別の実施形態を説明する。図2に示す包装材2は、ピロー型袋の例であり、内填物を収容する内袋21と、文字、図形等の化粧加工を施したプラスチックフィルムによる外袋22とを備えている。なお、内袋21及び外袋22は、それぞれ積層シートによって形成され得るが、図2では便宜上一枚のシートで示している。
そして、これらの内袋21と外袋22とは、それぞれの外辺部において接合されている。図に示した例では、包装材2の上部、底部、及び背部において、接合部としての上部シール部2st、下部シール部2sb、背部シール部2scにおいて熱接着することにより、内袋21と外袋22とが互いに接着されると共に、さらに内袋21の内部空間を密閉するようにしている。このような二重袋よりなる包装材2を用いて、ハンバーグのような内填物を充填した後、上部シール部2stを熱接着することにより包装体が得られる。
内袋21及び外袋22の材料としては、図1に示した包装材1に用いられる材料と同じ材料を用いることができる。
また、内袋21と外袋22のそれぞれの外辺部に形成されたシール部は、あらかじめ接着面にヒートシール層を形成しておくか、あるいは、ドライラミネート等で行われる。このヒートシール層には、前述したシーラント用樹脂層と同様に、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体を利用できる。
本実施例では、背部シール部2scにおける内袋と外袋のそれぞれの外辺部の熱接着部に、数箇所の位置において部分的な未接合部を形成することにより、背部シール部2scの一部に、内袋21と外袋22との間の空間に対して空気の流通を確保するための複数の空気通路2pを形成している。空気流通路2pは、背部シール部2scの長さの20%〜60%程度、より好ましくは40%超が空気通路2pとされていれば十分である。
空気流通路2pは、該空気通路2pに相当する部分に、内袋21と外袋22とを接着するヒートシール層を形成しないか、あるいは、ドライラミネート用の接着剤を配置しないようにするだけで良く、その結果、背部シール部2scには空気通路2pが形成される。
この、空気通路2pにより内袋21と外袋22との間には、大気が連通している。これにより、内袋21に収容され、真空包装された内填物の冷凍により内袋21の表面が結露し、霜が発生していても、この霜が発生した内袋21の表面と、印刷がされる外袋22とは離隔されているので、外袋22には霜が発生付着しない。このため、包装材2を構成する外袋22の表面に付された印刷表示の視認性を維持することができる。
次に、本発明の包装材を製造する方法を、図1に示した三方袋の例について説明する。
図3に本実施形態の包装材1の内袋11を構成する積層体の模式的な断面図を示すように、内袋11用の積層体11Aと、積層体11Bとを用意する。これらの積層体は、包装材1をバッチ式に製造するための短片状のものに限られず、包装材1を連続式に製造するための長尺なものであってもよい。
これらの積層体11A及び積層体11Bは、それらの基層11aとヒートシール層11bとを重ねて、両者を接合することで得られる。この接合は、例えばドライラミネート接着剤bを用いることができる。
得られた積層体11Aと、積層体11Bとを、それぞれのヒートシール11bが対向するように重ね合わせる。重ね合わされた内袋11用の積層体11A、積層体11Bの積層体の縁部をヒータで加熱すると共にそれらの厚さ方向に押圧して熱融着させた後、この熱融着部分を冷却器で冷却して固化する。この熱融着を、重ね合わされた積層体の三辺の縁部で行うことにより、三方袋の内袋11が得られる。熱融着のためのヒータ及び冷却器は、各積層体11A、11Bがロールから巻き出された長尺物である場合には、それらの積層体の進行方向に平行な方向と、垂直な方向にそれぞれ設けられていて、これにより積層体の進行に従って多数の包装材を連続的に製造することができる。
内袋11の作製とは別途に外袋12用のフィルム12A、12Bを用意する。フィルム12A及び/又は12Bには、裏刷りによる化粧加工印刷が付されている。
これらのフィルム12A、12Bを、内袋11を構成する積層体11A、11Bの表面にそれぞれ重ね合わせ、接合部1sを形成する。この接合部1sの模式的な断面を図4に示す。このフィルム12A、12Bの接合には、ドライラミネート接着剤bを用いている。また、接合は、図1に示すように内袋11の三方の縁部と外袋12の三方の縁部と接合する。この接合の際に、ドライラミネート接着剤を包装材1の三方の縁部に形成された接合部1sにおいて、部分的に塗布しないようにする。これにより接合部1sに未接合部が形成される。この未接合部が空気通路1pとなる。
上述した未接合部を形成する方法は、内袋11と外袋12との接合にドライラミネート接着剤を用いる場合に限定されない。例えば、内袋11と外袋12との接合にヒートシール層を用いることもできる。この場合には、ヒートシール層を接合部で部分的に設けないことにより未接合部が形成されこの未接合部が空気通路1pとなる。
次に、実施例により本発明の包装材をより具体的に説明する。
(実施例1)
〔外袋用のフィルムの作製〕
裏刷りによる化粧加工印刷が付されている厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレ太レートフィルムを得た。
〔内袋用の作製〕
厚さ15μmのポリアミドフィルムに、更に厚さ70μmの低密度ポリエチレンフィルムをドライラミネート接着剤でラミネートして積層体を得た。これらの積層体の2枚を、互いのヒートシール層を内側にして積み重ね、熱融着により三方袋を得た。
〔二重袋である包装材の作製〕
得られた内袋用の積層体の縁部近傍にパンチ孔を形成した。次に、内袋用の二枚の積層体と、外袋用のフィルムとを重ね合わせた。このとき、外袋用のフィルムと内袋をドライラミネート接着剤で接着することにより接合する三方の縁部において、接着材を部分的に塗布しなかった。これにより内袋と外袋との間を大気と連通させる空気通路が形成された、二重袋の構成を有する包装材が得られた。
(比較例1)
比較例1は、一般的なチルド包装材であり、二重袋ではない例である。
裏刷りによる化粧加工印刷が付された厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと、厚さ60μmの低密度ポリエチレンフィルムによるシーラント層とを有するフィルムとを、上記化粧加工印刷が付された面においてドライラミネート接着剤でラミネートすることで得られた2枚の積層体を各積層体のシーラント層を互いに内側にしてヒートシールすることにより、比較例1の三方体の包装材を得た。
(比較例2)
比較例2は、包装材が完全二重袋であり、接合部に空気通路を有しない例である。
裏刷りによる化粧加工印刷が付されている厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと、低密度ポリエチレンフィルムによるシーラント層(厚さ60μm)とを有するフィルムとを、上記化粧用印刷が付された面においてドライラミネート接着剤でラミネートすることで外袋用の積層体を得た。また、厚さ25μmの低密度ポリエチレンフィルムと厚さ15μmのポリアミドフィルムと厚さ40μmの低密度ポリエチレンフィルムとをドライラミネート接着剤でラミネートすることで内袋用の積層体を得た。この内袋用の積層体の二枚を、互いのヒートシール層が内側になるように重ね合わせた。重ね合わされた内袋用の積層体の外側に、外袋用の積層体の二枚を、互いのヒートシール層が内側になるように重ね合わせた後、ヒートシールして完全な二重密封袋を得た。この二重密封袋は、外袋用の積層体と内袋用の積層体との間で空気が連通することはなく、外袋積層体と内袋積層体との間には空気が常に介在することになる。
(比較例3)
比較例3は、比較例2の二重密封袋における外袋用の積層体に孔を形成することにより、外袋用の積層体と内袋用の積層体との間でわずかに空気が連通する以外は、比較例2と同様にした例である。
外側積層体に孔は、孔径が0.3mm、孔密度が64個/cmの条件で形成されていた。
(試験)
上記実施例1及び比較例1〜3の包装材を用いて、以下の試験を行った。
(1)外観変化試験
ハンバーグを真空充填し、ボイル処理後、マイナス30℃の冷蔵庫にサンプルを10個保存し、外観変化を観察した。
(2)落下強度試験
上記方法にて作製したレトルト処理包装体を、高さ120cmからコンクリート面に、水平方向及び垂直方向に1回ずつ(計2回)落下させ、包装体の破損及び内容物の漏れの有無を確認した。
(3)突刺強度試験
上記方法にて作製したレトルト処理包装体から内容物を取り出し、積層体の表面から、直径1mmφの針を200mm/minの突刺速度で突刺して、針がフィルムを貫通するのに要した強度(N)を測定した。
以上の試験の結果を表1に示す。表1から明らかなように、実施例1の包装材は、比較例1〜3の包装材と比べてレトルト後の外観変化、落下強度及び突刺強度の全ての項目においてバランスよく優れた特性を示した。
Figure 0005975050
以上、実施の形態及び実施例を用いて本発明の包装材を具体的に説明したが、本発明の包装材は、これらの実施形態及び実施例の記載に限定されることなく本発明の趣旨を逸脱しない範囲で幾多の変形が可能である。例えば、本発明において、包装材の形状は、包装材の生産性の観点からは平面が矩形又は正方形であることが好適であるが、形状は矩形又は正方形に限定されない。要は、内袋と外袋との接合部の一部に空気通路が形成されてなり、その内袋と外袋との間に大気と連通している包装材であって、真空包装および冷凍包装に適用可能でフィルムに印刷可能な包装材であれば、本発明の上記効果を有する。
また、実施形態では三方袋及びピロー型袋の包装材について説明したが、本発明はこれに限らず、ガセット型、スタンドパック型等の種々の密閉二重袋体に適用することが可能である。
1、2 包装材
11、21 内袋
11a、12a 基層
11b、12b ヒートシール層
12、22 外袋

Claims (5)

  1. 内填物としての冷凍食品又はチルド食品を収容する内袋と、
    この内袋を覆い当該内袋と接合される外袋と
    を備え、
    この内袋が、少なくとも基層とヒートシール層とを有し、バリア層を有しない積層体よりなり、
    この内袋と外袋とが接合される部分の一部に、空気通路が形成され、この空気通路は、接合される部分の全体の長さに対して20%〜60%であり、この空気通路を通して内袋と外袋との間が大気と連通していることを特徴とする包装材。
  2. 前記内袋が、少なくとも基層とヒートシール層とを有する二枚の積層体の縁部が接合されている三方袋である請求項1記載の包装材。
  3. 前記内袋が、ピロー型袋である請求項1記載の包装材。
  4. 前記内袋と前記外袋との接合部が、前記内袋及び外袋の縁部である請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装材。
  5. 前記空気通路は、前記内袋と前記外袋との接合部における部分的な未接合部である請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装材。
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