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JP5973883B2 - 基板保持装置および研磨装置 - Google Patents

基板保持装置および研磨装置 Download PDF

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JP5973883B2 JP2012250928A JP2012250928A JP5973883B2 JP 5973883 B2 JP5973883 B2 JP 5973883B2 JP 2012250928 A JP2012250928 A JP 2012250928A JP 2012250928 A JP2012250928 A JP 2012250928A JP 5973883 B2 JP5973883 B2 JP 5973883B2
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Description

本発明は、研磨対象物である基板を保持して研磨パッド(研磨面)に押圧する基板保持装置に係り、特に、半導体ウエハ等の基板を研磨して平坦化する研磨装置において基板を保持する基板保持装置に関するものである。また、本発明は、かかる基板装置を備えた研磨装置に関するものである。
近年、半導体デバイスの高集積化・高密度化に伴い、回路の配線がますます微細化し、多層配線の層数も増加している。回路の微細化を図りながら多層配線を実現しようとすると、下側の層の表面凹凸を踏襲しながら段差がより大きくなるので、配線層数が増加するに従って、薄膜形成における段差形状に対する膜被覆性(ステップカバレッジ)が悪くなる。したがって、多層配線するためには、このステップカバレッジを改善し、然るべき過程で平坦化処理しなければならない。また光リソグラフィの微細化とともに焦点深度が浅くなるため、半導体デバイスの表面の凹凸段差が焦点深度以下に収まるように半導体デバイス表面を平坦化処理する必要がある。
従って、半導体デバイスの製造工程においては、半導体デバイス表面の平坦化技術がますます重要になっている。この平坦化技術のうち、最も重要な技術は、化学的機械研磨(CMP(Chemical Mechanical Polishing))である。この化学的機械的研磨は、研磨装置を用いて、シリカ(SiO)等の砥粒を含んだ研磨液を研磨パッドの研磨面上に供給しつつ半導体ウエハなどの基板を研磨面に摺接させて研磨を行うものである。
この種の研磨装置は、研磨パッドからなる研磨面を有する研磨テーブルと、半導体ウエハなどの基板を保持するためのトップリング又は研磨ヘッド等と称される基板保持装置とを備えている。このような研磨装置を用いて基板の研磨を行う場合には、基板保持装置により基板を保持しつつ、この基板を研磨パッドの研磨面に対して所定の圧力で押圧する。このとき、研磨テーブルと基板保持装置とを相対運動させることにより基板が研磨面に摺接し、基板の表面が平坦かつ鏡面に研磨される。
このような研磨装置において、研磨中の基板と研磨パッドの研磨面との間の相対的な押圧力が基板の全面に亘って均一でない場合には、基板の各部分に印加される押圧力に応じて研磨不足や過研磨が生じてしまう。そのため、基板保持装置の基板の保持面をゴム等の弾性膜からなるメンブレンで形成し、メンブレンの裏面側に圧力流体が供給される複数の圧力室を形成し、圧力室に空気圧等の流体圧を加え、基板に印加する押圧力を全面に亘って均一化することも行われている。
上述の研磨装置において、樹脂製の研磨パッドを用いて研磨を行った場合、ドレッシングや研磨時間の経過とともに研磨パッドが摩耗する。この場合において、トップリングに保持された半導体ウエハの面圧分布が変化しないようにするためには、研磨時のトップリングと研磨パッドとの距離を一定に保つ必要がある。
製品処理時は、ある基準高さから予めパットサーチと称する研磨パッドとの接触位置(高さ)までサーボモータで移動し位置決め制御状態で研磨する。
この接触位置を求めるパッドサーチ作業は、例えば、研磨パッドが弾性体でありかつ凹凸があるため、測長器などで単純に距離を測定し接触位置を求めると誤差が大きいことがある。そのため、トップリングを上昇位置から下降させ、研磨テーブル側との接触力を検出し接触位置を求める作業を行っている。接触力は、トップリングを昇降させる位置決め機構のサーボモータ出力トルク(出力電流)をモニタリングしている。予め設定したモータトルク制限しきい値になる位置(高さ)をトップリングの研磨位置(高さ)とし記憶させる。製品処理では、この記憶した位置(高さ)に毎回サーボモータで位置決めし研磨を行っている。
パッドサーチ時のモータトルク制限値は、予め求めておく必要がある。モータ機差の影響を排除するために研磨テーブル上にロードセルを設置し、トップリング昇降機構を上昇位置から下降させたときのモータトルク制限値と実測接触力とから、接触力が基準範囲になるモータトルク制限値を求めて設定している。
特開2008−207320号公報
上述した研磨装置においては、トップリングを上下に駆動する上下動機構の損失トルクが立上初期に対して運転履歴により減少する。トップリングが研磨パッドの表面に接触する位置を上下動機構のモータトルクに制限値を設定して割り出すシステムのため、機構内の損失トルクの変化はトップリングを研磨パッドの表面に押付ける推力に影響する。機構内の損失トルクが減少すると、その分だけトップリングを研磨パッドの表面に押付ける推力は増加し、トップリングを研磨パッドに強く押付けることとなる。その結果、基板処理枚数やリテーナリング摩耗量などで予め設定した時期にパッドサーチ作業を実施すると押し過ぎることになる。そのため、研磨パッドの表面と基板を押圧するメンブレンとの隙間が一定に保持することができなくなる。従って、研磨プロセス条件が変わり、基板の被研磨面の面内均一性の劣化などプロセス性能に悪影響を及ぼすことが判明した。
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、トップリングを上下に駆動する機構の損失トルクの経時変化分を検出し、この損失トルクの経時変化分を用いてパッドサーチ時の基準となるトルク制限値を補正することにより、パッドサーチ時に研磨パッドの表面の高さを正確に把握することができる基板保持装置および研磨装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明の基板保持装置は、研磨対象物である基板を保持して研磨パッドに押圧する基板保持装置において、基板を保持して研磨パッドに押圧するトップリングと、前記トップリングを上下動させる上下動機構と、前記上下動機構により前記トップリングを下降させている時又は上昇させている時の上下動機構のトルクを検出するトルク検出手段と、前記トップリングを下降させてトップリングを前記研磨パッドの表面に接触させるパッドサーチ時においてトップリングが研磨パッドの表面に接触する時の前記上下動機構のトルクをトルク制限値として予め設定してある制御部とを備え、前記制御部は、前記上下動機構により前記トップリングを昇降させた時に前記トルク検出手段により検出したトルクから求めた値を予め基準値として設定し、前記基準値設定後の前記トップリング昇降時に前記トルク検出手段により検出されたトルクと予め設定された前記基準値とからトルク補正量を算出し、該トルク補正量を用いて前記トルク制限値を補正することを特徴とする。
本発明によれば、トップリングを下降させてトップリングを研磨パッドの表面に接触させるパッドサーチ時においてトップリングが研磨パッドの表面に接触する時の上下動機構のトルクをトルク制限値として予め設定しておき、パッドサーチ時や基板処理時においてトップリングを下降させている時又は上昇させている時の上下動機構のトルクを検出し、検出されたトルクと、先に実施したパッドサーチ時や基板研磨処理時等における上下動機構のトルクから決定した基準値とからトルク補正量を算出し、このトルク補正量を用いて前記予め設定したトルク制限値を補正する。
このように、本発明によれば、先に実施したパッドサーチ時や基板処理時におけるトップリングの上下動機構のトルクを検出しておき、このトルクを基準値として設定し、その後に実施するパッドサーチ時や基板処理時におけるトップリングの上下動機構のトルクを検出し、この検出されたトルクと基準値とを比較することにより、上下動機構の損失トルクの経時変化分を検出する。そして、この損失トルクの経時変化分をトルク補正量とし、このトルク補正量を用いてパッドサーチ時のトルク制限値を補正する。従って、トップリングの上下動機構の損失トルクの経時変化があっても、パッドサーチ時に装置の立上初期と同様な研磨パッドの押付け力(推力)により研磨パッドの表面の高さを正確に把握することができる。
本発明の好ましい態様は、前記基準値は、先に実施したパッドサーチ時における上下動機構のトルクから求めることを特徴とする。
本発明によれば、先に実施したパッドサーチ時において、トップリングを下降させている時又は上昇させている時の上下動機構のトルクを検出し、この検出したトルクを基準値として設定する。
本発明の好ましい態様は、前記基準値は、先に実施した基板研磨処理時における上下動機構のトルクから求めることを特徴とする。
本発明によれば、先に実施した基板研磨処理時において、トップリングを下降させている時又は上昇させている時の上下動機構のトルクを検出し、この検出したトルクを基準値として設定する。
本発明の好ましい態様は、前記基準値は、上限値と下限値とをもつ所定の幅があるしきい値の中心値であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記しきい値の中心値は、前記トップリングが等速で下降又は上昇している時の平均トルクであることを特徴とする。
本発明によれば、トップリングが等速で移動しているときの上下動機構の平均トルクは、加速度が零の安定した状態のときのトルクであるため、上下動機構のメカロス(機械的損失)と重力負荷(質量)の和である。下降時のトルクは、メカロス−重力負荷となり、上昇時のトルクは、メカロス+重力負荷相当となる。重力負荷は一定値として扱えるから、上昇あるいは下降時のトルクをモニタリングすることでメカロスの経時変化を検出することができる。従って、基準値は、はじめにトルク制限値を求める作業を実施したときの上下動機構の下降時あるいは上昇時の等速時平均トルクとするとよい。基準値=「しきい値の中心値」を誤差の少ない正確な値とすることができる。尚、このときに下降時平均トルクを使用した場合には、以降は下降時の平均トルクをモニタリングしメカロスの経時変化を求める。
本発明の好ましい態様は、前記トルク補正量は、前記トルク検出手段により検出されたトルクと前記基準値との差分であることを特徴とする。
本発明によれば、トルク検出手段により検出されたトルクが予め設定された基準値より下がった場合には、差分をパッドサーチ時のトルク制限値から減算する。減算する理由は、上下動機構の機械的損失が減少したために、トップリング移動時の必要トルクも減少したので、パッドサーチ時のトルク制限値が同一のままの場合には、トップリングを研磨パッドの表面に押付ける推力が増加してしまうためである。逆に、トルク検出手段により検出されたトルクが予め設定された基準値より大きくなった場合には、前記差分をパッドサーチ時のトルク制限値に加算する。
本発明の好ましい態様は、前記トルク検出手段は、前記トップリングが等速で下降又は上昇している時のトルクを検出することを特徴とする。
本発明によれば、トップリングが等速で移動している時の上下動機構のトルクは、加速度が零の安定した状態のときのトルクであるため、トルク検出手段は誤差のない正確なトルクを検出できる。
本発明の研磨装置は、研磨パッドを有した研磨テーブルと、上記基板保持装置とを備えている。
本発明は、トップリングによるパッドサーチ時においてトップリングが研磨パッドの表面に接触したことを検知するためのトルク制限値を補正する機能を備えているため、トップリングの上下動機構の損失トルクの経時変化分を補正することができる。従って、トップリングの上下動機構の損失トルクの経時変化があっても、パッドサーチ時に装置の立上初期と同様な研磨パッドの押付け力(推力)により研磨パッドの表面の高さを正確に把握することができる。その結果、研磨プロセス上重要な研磨パッドの表面とトップリングのメンブレン間の隙間を再現性よく制御できるCMP装置を提供することができる。
図1は、本発明に係る研磨装置の全体構成を示す模式図である。
以下、本発明に係る基板保持装置および研磨装置の実施形態について図1を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る研磨装置の全体構成を示す模式図である。図1に示すように、研磨装置は、研磨テーブル100と、研磨対象物である半導体ウエハ等の基板を保持して研磨テーブル上の研磨パッドに押圧する基板保持装置を構成するトップリング1とを備えている。
研磨テーブル100は、テーブル軸100aを介してその下方に配置される研磨テーブル回転モータ(図示せず)に連結されており、そのテーブル軸100a周りに回転可能になっている。研磨テーブル100の上面には研磨パッド101が貼付されており、研磨パッド101の表面101aが半導体ウエハなどの基板を研磨する研磨面を構成している。研磨テーブル100の上方には研磨液供給ノズル102が設置されており、この研磨液供給ノズル102によって研磨テーブル100上の研磨パッド101に研磨液が供給されるようになっている。
図1に示すように、トップリング1は、基板Wを保持して研磨パッド101の表面(研磨面)101aに押圧するトップリング本体(キャリアとも称する)2と、研磨パッド101を直接押圧するリテーナリング3とから基本的に構成されている。トップリング本体(キャリア)2は概略円盤状の部材からなり、リテーナリング3はトップリング本体2の外周部に取り付けられている。トップリング本体2は、エンジニアリングプラスティック(例えば、PEEK)などの樹脂により形成されている。トップリング本体2の下面には、基板の裏面に当接する弾性膜(メンブレン)4が取り付けられており、メンブレン(弾性膜)4の上面とトップリング本体(キャリア)2の下面との間に複数の圧力室が形成されている。弾性膜(メンブレン)4は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴム、シリコンゴム等の強度および耐久性に優れたゴム材によって形成されている。
トップリング1は、トップリングシャフト11に接続されており、このトップリングシャフト11は、上下動機構24によりトップリングヘッド10に対して上下動するようになっている。このトップリングシャフト11の上下動により、トップリングヘッド10に対してトップリング1の全体を上下動させ位置決めするようになっている。なお、トップリングシャフト11の上端にはロータリージョイント25が取り付けられている。
上記研磨パッド101としては種々のものがあり、例えば、ダウケミカル社製のSUBA800、IC−1000、IC−1000/SUBA400(二層クロス)、フジミインコーポレイテッド社製のSurfin xxx−5、Surfin 000等がある。SUBA800、Surfin xxx−5、Surfin 000は繊維をウレタン樹脂で固めた不織布であり、IC−1000は硬質の発泡ポリウレタン(単層)である。発泡ポリウレタンは、ポーラス(多孔質状)になっており、その表面に多数の微細なへこみまたは孔を有している。
トップリングシャフト11およびトップリング1を上下動させる上下動機構24は、軸受26を介してトップリングシャフト11を回転可能に支持するブリッジ28と、ブリッジ28に取り付けられたボールねじ32と、支柱30により支持された支持台29と、支持台29上に設けられたACサーボモータ38とを備えている。ボールねじ32とACサーボモータ38とは減速機39を介して連結されている。ACサーボモータ38を支持する支持台29は、支柱30を介してトップリングヘッド10に固定されている。
ボールねじ32は、減速機39に連結されたねじ軸32aと、このねじ軸32aが螺合するナット32bとを備えている。トップリングシャフト11は、ブリッジ28と一体となって上下動するようになっている。したがって、ACサーボモータ38を駆動すると、ボールねじ32を介してブリッジ28が上下動し、これによりトップリングシャフト11およびトップリング1が上下動する。ACサーボモータ38は、制御部40に接続されている。
また、トップリングシャフト11はキー(図示せず)を介して回転筒12に連結されている。この回転筒12はその外周部にタイミングプーリ13を備えている。トップリングヘッド10にはトップリング用モータ14が固定されており、上記タイミングプーリ13は、タイミングベルト15を介してトップリング用モータ14に設けられたタイミングプーリ16に接続されている。したがって、トップリング用モータ14を回転駆動することによってタイミングプーリ16、タイミングベルト15、およびタイミングプーリ13を介して回転筒12およびトップリングシャフト11が一体に回転し、トップリング1が回転する。なお、トップリングヘッド10は、フレーム(図示せず)に回転可能に支持されたトップリングヘッドシャフト17によって支持されている。
図1に示す研磨装置を用いて基板Wの研磨を行う場合、ドレッシングやパッド交換などにより、研磨パッド101の厚さが常に変化する。弾性膜(メンブレン)4を膨らまして基板Wを研磨パッド101に押圧する研磨装置においては、弾性膜(メンブレン)4と基板Wの距離によって基板外周部における弾性膜の接触範囲と面圧分布が変化する。この場合において、研磨の進行に伴い基板Wの面圧分布が変化しないようにするためには、研磨時のトップリング1と研磨パッド101の表面(研磨面)101aとの距離を一定に維持する必要がある。このように、トップリング1と研磨パッド101の表面(研磨面)101aとの距離を一定にするためには、例えば、研磨パッド101を交換して、研磨パッド101のドレッサによる初期目立てを行った後に、研磨パッド101の表面の高さ(位置)を検知してトップリング1の下降位置を調整する必要がある。この研磨パッド101の表面の高さ(位置)を検知する工程をトップリングによるパッドサーチという。
トップリングによるパッドサーチは、トップリング1の下面(又は基板Wの下面)を研磨パッド101の表面(研磨面)に接触させたときのトップリング1の高さ位置を検知することにより行われる。すなわち、トップリングによるパッドサーチ時には、ACサーボモータ38を駆動して、エンコーダにより回転数を積算しながらトップリング1を下降させる。トップリング1の下面が研磨パッド101の表面に接触すると、ACサーボモータ38に対する負荷が増し、ACサーボモータ38に流れる電流が大きくなる。したがって、トルク検出手段によりACサーボモータ38に流れる電流からトルクを検出し、トルクが大きくなったときに、トップリング1の下面が研磨パッド101の表面に接触したと判断する。トップリング1の下面が研磨パッド101の表面に接触したと判断されると、制御部40は、サーボモータ38のエンコーダの積算値からトップリング1の下降距離(位置)を算出し、この下降距離を記憶する。このトップリング1の下降距離から研磨パッド101の表面の高さを得て、制御部40は、この研磨パッド101の表面の高さから研磨時のトップリング1の研磨時設定位置を算出する。
図1に示すような研磨装置においては、トップリング1を上下に駆動する上下動機構24の損失トルクが立上初期に対して運転を継続していくことにより減少する。この場合、トップリング1が研磨パッド101の表面に接触する位置を上下動機構24のモータトルクに制限値を設定して割り出すようにしているため、機構内の損失トルクの経時変化分を適宜パッドサーチ時のモータトルク制限値にフィードバックする必要がある。
そこで、本発明は、ACサーボモータ38の制御部40は、上下動機構24によりトップリング1を下降させている時又は上昇させている時の上下動機構24のトルクを検出するトルク検出手段(図示せず)を備えている。図1に示すように、ACサーボモータ38の制御部40において、モータ電流モニター出力からトルク出力を求め、求めたトルク出力からトルク補正量を算出し、トルク制限値を更新するようにしている。以下、このトルク制限値の補正方法について説明する。
1)通常運転時のトップリングの昇降動作時における等速移動中の電流モニター値から補正する方法
トップリングの昇降動作時における等速移動時のモータ電流モニター出力から等速時トルクを求める。この値を上昇移動時と下降移動時とを別々に(あるいは、片方のみ)データ蓄積し、モニター値が予め設定した基準値のしきい値を超えた場合には、下記の2つの方法がある。ここで、しきい値は、上限値と下限値とをもつ所定の幅がある値であり、上限値と下限値との中間が中心値(=基準値)である。
第1の方法では、アラームを発報する。オペレータが確認し、パッドサーチ時のトルク制限値を更新する。この場合、更新するために、前述した研磨テーブル面にロードセルを配置しトルク制限値を求める作業を実施する。
第2の方法では、基準値との差分を演算し、パッドサーチ時のトルク制限値を更新する。更新履歴を残す(上位の制御部へも伝送する)。
モニター値が予め設定したしきい値より下がった場合には、モニター値としきい値の中心値(=基準値)との差分ΔT分をパッドサーチ時のトルク制限値から減算する。減算する理由は、上下動機構の機械的損失が減少したために、等速移動時の必要トルクも減少したので、パッドサーチ時のトルク制限値が同一のままの場合には、トップリングを研磨パッドの表面に押付ける推力が増加してしまうためである。
モニター値が予め設定したしきい値より大きくなった場合には、モニター値としきい値の中心値(=基準値)との差分ΔT分をパッドサーチ時のトルク制限値に加算する。
2)パッドサーチするときのトップリングの下降動作時における等速移動中の平均電流モニター値から補正する方法
パッドサーチ時のトップリングの下降動作時における等速移動中の平均電流モニター値から平均トルクを演算し、この平均トルクが予め設定したしきい値を超えている場合には、平均トルクとしきい値の中心値(=基準値)との差分に基づきトルク制限値を更新する。更新履歴を残す(上位の制御部へも伝送する)。
平均トルクが予め設定したしきい値より下がった場合には、平均トルクとしきい値の中心値(=基準値)との差分ΔT分をパッドサーチ時のトルク制限値から減算する。減算する理由は、上下動機構の機械的損失が減少したために等速移動時の必要トルクも減少したので、パッドサーチ時のトルク制限値が同一のままの場合には、トップリングを研磨パッドの表面に押付ける推力が増加してしまうためである。
平均トルクが予め設定したしきい値より大きくなった場合には、平均トルクとしきい値の中心値(=基準値)との差分ΔT分をパッドサーチ時のトルク制限値に加算する。
尚、前記しきい値の中心値(=基準値)は、前回実施したパッドサーチ時の下降動作時における等速移動中の平均トルクとしてもよい。
上昇動作時のしきい値の中心値(=基準値)は、同じく前回実施したパッドサーチ時の上昇動作時における等速移動中の平均トルクとしてもよい。
上記1)および2)の補正方法において、通常運転時とは、通常の基板研磨処理をしている状態を云う。パッドサーチ時とは、装置の立上初期や研磨パッドを交換した後に実施するパッドサーチをしている状態を云い、これ以外に、通常運転(研磨)を始めて処理枚数によってトップリングのリテーナ減耗量が変わるので、このリテーナリングの減耗量や基板処理枚数によって途中で追加実施するパッドサーチをしている状態を云う。
トップリングの上下動機構における機械的損失をどのようにしてできるだけ正確に検出するかと考えたとき、パッドサーチのとき精度を上げるために回数を増やすとロスタイムが増える。1)の補正方法のように、通常運転時の動作中にモニタリングし、変化の様子も監視し、パッドサーチを実施する前の10枚分の基板処理動作から補正値を算出するなどすれば、ロスタイムを増やさずかつ精度もよい補正(トルク制限値の変更)ができる、というメリットがある。
逆に、2)の補正方法のように、パッドサーチ時のトップリングの下降動作時における等速移動中のトルクから機械的損失を見積り、トルク制限値を更新して、研磨パッドに対していつも安定した軸推力でトップリングが接触した位置を研磨パッド表面の高さとする、という方法はシステムがシンプルでよい。パッドサーチという機能ソフトの中で完結できる、というメリットを生かした方法である。
また、上記1)および2)の補正方法において、トップリングが等速状態のトルクを検出したが、これは、機械的損失成分を検出する場合には、できるだけ安定した状態でかつ加速度が零の状態がよいからである。加速度が零でない場合には、ある質量をある速度状態へ変えるためのエネルギーを供給(正負あり)しているので、その成分も含まれることになる。ただし、この成分は、比較的短い時間の成分であるから、トップリングは必ずしも等速状態でなくともよい。
尚、トップリングの上下動機構は、サーボモータを用いた推力源に限らず、例えばリニアモータでトップリングシャフトを昇降するなど他の推力源であってもよい。推力源が電磁モータであれば、電流モニター値からトルク(推力)を求めて利用する。油圧シリンダなど圧力を利用する場合には、圧力モニター値から推力を求め、損失トルクの経時変化をモニターし補正に利用できる。
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
1 トップリング
2 トップリング本体
3 リテーナリング
4 弾性膜(メンブレン)
10 トップリングヘッド
11 トップリングシャフト
12 回転筒
13 タイミングプーリ
14 トップリング用モータ
15 タイミングベルト
16 タイミングプーリ
17 トップリングヘッドシャフト
24 上下動機構
25 ロータリージョイント
26 軸受
28 ブリッジ
29 支持台
30 支柱
32 ボールネジ
32a ねじ軸
32b ナット
38 ACサーボモータ
39 減速機
40 制御部
100 研磨テーブル
100a テーブル軸
101 研磨パッド
102 研磨液供給ノズル
W 基板

Claims (8)

  1. 研磨対象物である基板を保持して研磨パッドに押圧する基板保持装置において、
    基板を保持して研磨パッドに押圧するトップリングと、
    前記トップリングを上下動させる上下動機構と、
    前記上下動機構により前記トップリングを下降させている時又は上昇させている時の上下動機構のトルクを検出するトルク検出手段と、
    前記トップリングを下降させてトップリングを前記研磨パッドの表面に接触させるパッドサーチ時においてトップリングが研磨パッドの表面に接触する時の前記上下動機構のトルクをトルク制限値として予め設定してある制御部とを備え、
    前記制御部は、前記上下動機構により前記トップリングを昇降させた時に前記トルク検出手段により検出したトルクから求めた値を予め基準値として設定し、前記基準値設定後の前記トップリング昇降時に前記トルク検出手段により検出されたトルクと予め設定された前記基準値とからトルク補正量を算出し、該トルク補正量を用いて前記トルク制限値を補正することを特徴とする基板保持装置。
  2. 前記基準値は、先に実施したパッドサーチ時における上下動機構のトルクから求めることを特徴とする請求項1に記載の基板保持装置。
  3. 前記基準値は、先に実施した基板研磨処理時における上下動機構のトルクから求めることを特徴とする請求項1に記載の基板保持装置。
  4. 前記基準値は、上限値と下限値とをもつ所定の幅があるしきい値の中心値であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板保持装置。
  5. 前記しきい値の中心値は、前記トップリングが等速で下降又は上昇している時の平均トルクであることを特徴とする請求項4に記載の基板保持装置。
  6. 前記トルク補正量は、前記トルク検出手段により検出されたトルクと前記基準値との差分であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板保持装置。
  7. 前記トルク検出手段は、前記トップリングが等速で下降又は上昇している時のトルクを検出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の基板保持装置。
  8. 研磨パッドを有した研磨テーブルと、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の基板保持装置とを備えた研磨装置。
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