JP5966445B2 - 固定用樹脂組成物、ロータ、および自動車 - Google Patents
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Description
例えば特許文献2に記載の技術は、永久磁石を収容するための収容孔に連通して設けられたスリットに、樹脂を充填するものである。なお、当該スリットは、ステータに伝わる磁束量を増やすために、永久磁石を収容するための収容孔の周方向に関する両端部分に形成されるものであると記載されている。
特許文献3に記載の技術は、永久磁石に直接コーティングされた接着剤により、永久磁石とロータコアとの接着を行うものである。特許文献4に記載の技術は、接着剤を入れたロータコアのスロット内に永久磁石を挿入した後、上下を逆転させた状態において接着剤の熱硬化を行うものである。特許文献5に記載の技術は、磁石および接着剤を挿入するスロットの内壁または磁石の表面に形成された凹条部または凸条部に、硬化した接着剤を係合させるものである。
なお、樹脂に関する技術としては、例えば特許文献7に記載のものがある。特許文献7に記載の技術は、顆粒状の半導体封止用エポキシ樹脂組成物に関し、その粒度分布を制御するものである。
しかしながら、上記構造は、単に固定部材の弾性率や強度などを高めるだけでは磁石の位置ずれや変形、モーターコアからの磁石の脱離を抑制するには十分ではなかった。
本発明者らは、こうした構造を実現するための設計指針についてさらに鋭意検討した。その結果、本発明者等らが考案した鋼板密着強度という尺度がこうした設計指針として有効であることを見出し、本発明に到達した。
前記穴部内に挿入された磁石と、
前記穴部と前記磁石との離間部に設けられた固定部材と、
を備えるロータを構成する前記固定部材の形成に用いられる固形の固定用樹脂組成物であって、
熱硬化性樹脂(A)と、
硬化剤(B)と、
無機充填材(C)と、
低応力剤と、を含み、
前記低応力剤の含有量が、上記固定用樹脂組成物の合計値100質量%に対して、0.01質量%以上3質量%以下であり、
タブレット状の前記固定用樹脂組成物を、トランスファー成形機を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、120秒で、表面処理されていない素の電磁鋼板上に硬化接着して直径3.6mm、高さ3mmの密着強度試験片を作製し、
ボンドテスタを用いて、25℃、試験速度0.3mm/秒で測定される、前記電磁鋼板に対する前記固定用樹脂組成物の硬化体の鋼板密着強度Aが21MPa以上40MPa以下である、固定用樹脂組成物が提供される。
ロータ100は、ロータコア110と、磁石120と、固定部材130と、を備える。ロータコア110には、孔部150が設けられている。磁石120は、孔部150内に挿入されている。固定部材130は、孔部150と磁石120との離間部140に設けられている。
鋼板密着強度Aは以下の手順で測定する。まずトランスファー成形機を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、120秒間の条件で、タブレット状の固定用樹脂組成物を表面処理されていない素の電磁鋼板上に硬化接着して、直径3.6mm、高さ3mmの密着強度試験片を作製する。次いで、ボンドテスタを用いて、25℃、試験速度0.3mm/秒の条件で密着強度試験片の鋼板密着強度Aを測定する。
本実施形態では、鋼板密着強度測定用の電磁鋼板として、例えば、JFEスチール社製の35JN300などの電磁鋼板で表面処理がされていないものを用いることができる。
また、鋼板密着強度Aが上記上限値以下であることにより、金型からの離型性が優れ、金型が固定用樹脂組成物により汚染するのを抑制することができる。
鋼板密着強度Bが上記範囲内の固定用樹脂組成物を用いることにより、高温で長時間にわたって高速回転させる環境下でも、長期信頼性により一層優れたロータコアを得ることができる。
鋼板密着強度保持率(%)=(鋼板密着強度C/鋼板密着強度A)×100 (1)
鋼板密着強度保持率が上記範囲内の固定用樹脂組成物を用いることにより、高温で長時間にわたって高速回転させる環境下でも、長期信頼性により一層優れたロータコアを得ることができる。
鋼板密着強度保持率(%)=(鋼板密着強度D/鋼板密着強度B)×100 (2)
鋼板密着強度保持率が上記範囲内の固定用樹脂組成物を用いることにより、高温で長時間にわたって高速回転させる環境下でも、長期信頼性により一層優れたロータコアを得ることができる。
(1)無機充填材
(2)無機充填材のシランカップリング処理条件
(3)熱硬化性樹脂、その硬化剤および添加剤の組み合わせ
具体的には、本実施形態の固定用樹脂組成物は、以下のような手順で得ることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
このとき、シリカ粒子をあらかじめ乾燥(例えば105℃、12時間)させ、シリカ粒子表面に付着した水分を除去しておく。
その後、ミキサーからシリカ粒子を取り出してエージング処理をおこない、カップリング反応を促進させる。このとき、エージング処理は、20±5℃の条件下で7日間以上おこなう。
このとき、熱硬化性樹脂および硬化剤に対して、密着付与剤、低応力剤、イオン捕捉剤のうち少なくとも1種以上を添加する。
ただし、本実施形態の固定用樹脂組成物の製法は、上記のような方法には限定されず、種々の条件を適切に調整することにより、本実施形態の固定用樹脂組成物を得ることができる。例えば、上記のようなシリカ粒子を用いなくても、カップリング剤の処理条件を調整することにより、本実施形態の固定用樹脂組成物を得ることができる。
図2に示すように、ロータ100は回転シャフト170に取り付けられている。ロータ100により発生した回転は、回転シャフト170を介して外部に伝達されることとなる。
図2に示すように、ロータコア110は、薄板状の磁性体である電磁鋼板112を複数積層してなる。電磁鋼板112は、例えば鉄または鉄合金等により構成される。
また、図2に示すように、ロータコア110の軸方向における両端には、エンドプレート118aおよびエンドプレート118bが設けられている。すなわち、積層された電磁鋼板112上には、エンドプレート118aが設けられている。また、積層された電磁鋼板112下にはエンドプレート118bが設けられている。エンドプレート118aおよびエンドプレート118bは、例えば溶接等により回転シャフト170に固定される。
また、エンドプレート118aには、例えば電磁鋼板112から突出したカシメ部160や、電磁鋼板112上に突出した固定部材130との干渉を避けるための溝部116が設けられている。なお、電磁鋼板112上に突出した固定部材130とは、固定用樹脂組成物を離間部140へ注入する際に電磁鋼板112上に残存した固定用樹脂組成物が硬化することにより形成される部分である。
図1に示すように、本実施形態のロータ100では、例えば隣接する二つの孔部150からなる複数の孔部群が、回転シャフト170の周縁部に沿って配置されている。複数の孔部群は、例えば互いに離間するように設けられている。一の孔部群を構成する二つの孔部150は、例えば平面視でVの字状に配置される。この場合、一の孔部群を構成する二つの孔部150は、例えば互いに対向するそれぞれの端部が回転シャフト170側に位置するように設けられる。また、一の孔部群を構成する二つの孔部150は、例えば互いに離間するように設けられている。
図6は、図1に示すロータ100を構成するロータコア110の第3変形例を示す平面図である。図6に示すように、平面視でロータコア110の径方向に対して垂直な長方形の形状を有する複数の孔部150が、回転シャフト170の周縁部に沿って配置されていてもよい。
なお、孔部150の配置レイアウトは上述したものに限定されない。
図7に示すように、孔部150は、例えば平面視で矩形である。孔部150は、ロータコア110の外周縁側に位置する側壁151と、ロータコア110の内周縁側に位置する側壁153と、ロータコア110の周方向において互いに対向する側壁155および側壁157と、を有する。側壁151と側壁153は、ロータコア110の径方向において互いに対向している。本実施形態において、一の孔部群を構成し、かつ互いに隣接する二つの孔部150は、それぞれの側壁155が互いに対向するように配置される。
なお、孔部150の形状は、磁石120の形状に対応していれば特に限定されず、例えば楕円形等であってもよい。
固定部材130は、少なくともロータコア110の径方向における孔部150と磁石120との離間部140に設けられている。すなわち、固定部材130は、少なくとも側壁121と側壁151の間または側壁123と側壁153の間のいずれか一方に設けられることとなる。
また、固定部材130は、例えば平面視で矩形である磁石120の少なくとも3辺を覆うように設けられている。すなわち、側壁121、側壁123、側壁125、および側壁127のうちの少なくとも3つが、固定部材130により覆われることとなる。
図7に示すように、離間部140は、例えば側壁121と側壁151との間、側壁123と側壁153との間、側壁125と側壁155との間、および側壁127と側壁157との間に形成される。この場合、磁石120のうち、側壁121、側壁123、側壁125、および側壁127が、固定部材130により覆われることとなる。
本実施形態では、側壁121と側壁151との間隙、および側壁123と側壁153との間隙に、固定部材130が形成される。このため、ロータコア110の径方向において、磁石120の位置が固定されることとなる。これにより、モータの高速回転時に働く遠心力によって磁石120の位置がずれてしまうことを抑制することができる。
図8に示すように、磁石120は、例えば側壁121が側壁151に当接するように固定されてもよい。この場合、離間部140は、側壁123と側壁153との間、側壁125と側壁155との間、および側壁127と側壁157との間に形成されることとなる。したがって、磁石120のうち、側壁123、側壁125および側壁127が、固定部材130により覆われることとなる。この場合においても、ロータコア110の径方向において、磁石120の位置を固定することができる。
孔部150の両端にスリット152を設けることで、磁石120から発生される磁束の磁路を狭くすることができる。すなわち、磁石120の両端部からロータコア110の周方向へ生じる磁束がロータコア110内において短絡することを抑制することができる。これにより、ロータコア110内における短絡を減少させ、ステータに伝わる磁束量を増大させることが可能となる。
スリット152を形成する場合、側壁155および側壁157と、スリット152と、の境界部には、角部が形成される。この場合、モータを駆動する際に磁石120にかかる応力は、当該角部と当接する部分に集中してしまう。
本変形例によれば、スリット152内にスリット充填用樹脂部材132を形成することで、モータを駆動する際に磁石120にかかる応力の集中を緩和することができる。このため、モータ駆動時に磁石120に対して大きな応力が働くことを抑制できる。したがって、磁石120の破損等が発生することを防止することが可能となる。
次に、本実施形態に係る固定用樹脂組成物について、詳細に説明する。
本実施形態に係る固定用樹脂組成物は、例えば粉末状、顆粒状、またはタブレット状等である。このため、後述するように、例えば溶融させた固定用樹脂組成物を離間部140内に注入することにより、離間部140内に固定用樹脂組成物が充填される。
本実施形態に係る固定用樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(A)と、硬化剤(B)と、無機充填材(C)と、を含む。以下、各成分について説明する。
熱硬化性樹脂(A)は、特に制限されるものではないが、例えばエポキシ樹脂(A1)、フェノール樹脂、オキセタン樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、またはマレイミド樹脂等が用いられる。中でも、硬化性、保存性、硬化物の耐熱性、耐湿性、および耐薬品性に優れるエポキシ樹脂(A1)が好適に用いられる。
エポキシ樹脂(A1)としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、ジアミノジフェニルメタン型グリシジルアミン、アミノフェノール型グリシジルアミンのような芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂;トリフェノールプロパン型エポキシ樹脂;アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂;トリアジン核含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂;ナフトール型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂;フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレンおよび/またはビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、またはビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンオキシド、アリサイクリックジエポキシ−アジペイド等の脂環式エポキシ等の脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用しても良い。
硬化剤(B)は、熱硬化性樹脂(A)に好ましい態様として含まれるエポキシ樹脂(A1)を三次元架橋させるために用いられるものである。硬化剤(B)としては、特に限定されないが、例えばナフテン酸コバルト等のナフテン酸塩、またはフェノール樹脂等を用いることができる。フェノール樹脂系硬化剤は、一分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造を特に限定するものではない。
フェノール樹脂系硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等のノボラック型樹脂;トリフェノールメタン型フェノール樹脂等の多官能型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物;下記式(12A)で表されるフェノール樹脂等が挙げられる。
(式(12A)中、2つのYは、それぞれ互いに独立して、下記式(12B)または下記式(12C)で表されるヒドロキシフェニル基を表し、Xは、下記式(12D)または下記式(12E)で表されるヒドロキシフェニレン基を表す。)
無機充填材(C)としては、固定用樹脂組成物の技術分野で一般的に用いられる無機充填材を使用することができる。
無機充填材(C)としては、例えば溶融破砕シリカ及び溶融球状シリカ等の溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、カオリン、タルク、クレイ、マイカ、ロックウール、ウォラストナイト、ガラスパウダー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスファイバー、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミ、カーボンブラック、グラファイト、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、セルロース、アラミド、木材、フェノール樹脂成形材料やエポキシ樹脂成形材料の硬化物を粉砕した粉砕粉等が挙げられる。この中でも、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ等のシリカが好ましく、溶融球状シリカがより好ましい。また、この中でも、コストの面では炭酸カルシウムが好ましい。無機充填材(C)としては、一種で使用しても良いし、または二種以上を併用してもよい。
また、樹脂成分との親和性が高まるため、固定用樹脂組成物を用いて形成される固定部材の強度を向上させることができる。
無機充填材(C)の表面処理に用いられる第1カップリング剤としては、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等の1級アミノシランを用いることができる。このような無機充填材(C)の表面処理に使用する第1カップリング剤の種類を適宜選択し、または第1カップリング剤の配合量を適宜調整することにより、固定用樹脂組成物の流動性および固定部材の強度等を制御することができる。
次いで、得られた混合物をミキサーから取り出し、エージング処理を行い、カップリング反応を促進させる。エージング処理は、例えば、20±5℃の条件下で、7日間以上放置することにより行われる。このような条件でおこなうことにより、シリカ粒子の表面にカップリング剤を均一に結合させることができる。その後、ふるいにかけ、粗大粒子を除去することにより、シランカップリング処理が施された無機充填材(C)が得られる。
このような表面処理シリカ粒子を用いることにより、シリカ粒子と樹脂成分との界面接着強度を向上させることができる。さらには、固定部材中のマイクロクラックの発生を抑制することができる。
本実施形態に係る固定用樹脂組成物は、硬化促進剤(D)を含んでもよい。硬化促進剤(D)は、エポキシ樹脂のエポキシ基とフェノール樹脂系硬化剤(B)の水酸基との反応を促進するものであればよく、一般に使用される硬化促進剤(D)を用いることができる。
これらのうち、硬化性の観点からはリン原子含有化合物が好ましく、流動性と硬化性のバランスの観点からは、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等の潜伏性を有する硬化促進剤がより好ましい。流動性という点を考慮するとテトラ置換ホスホニウム化合物が特に好ましく、また耐半田性の観点では、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物が特に好ましく、また潜伏的硬化性という点を考慮すると、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物が特に好ましい。また、連続成形性の観点では、テトラ置換ホスホニウム化合物が好ましい。また、コスト面を考えると、有機ホスフィン、窒素原子含有化合物も好適に用いられる。
一般式(1)で表される化合物において、合成時の収得率と硬化促進効果のバランスに優れるという観点では、リン原子に結合するR1、R2、R3及びR4がフェニル基であり、かつAHはヒドロキシル基を芳香環に有する化合物、すなわちフェノール化合物であり、かつAは該フェノール化合物のアニオンであるのが好ましい。なお、フェノール化合物とは、単環のフェノール、クレゾール、カテコール、レゾルシンや縮合多環式のナフトール、ジヒドロキシナフタレン、複数の芳香環を備える(多環式の)ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、フェニルフェノール、フェノールノボラック等を概念に含むものであり、中でも水酸基を2個有するフェノール化合物が好ましく用いられる。
プロトン供与体としては、例えば、カテコール、ピロガロール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,2'−ビフェノール、1,1'−ビ−2−ナフトール、サリチル酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、クロラニル酸、タンニン酸、2−ヒドロキシベンジルアルコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−プロパンジオール及びグリセリン等が挙げられる。これらの中でも、原料入手の容易さと硬化促進効果のバランスという観点では、カテコール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレンがより好ましい。
第2カップリング剤としては、特に限定されるものではないが、例えばエポキシシラン、アミノシラン、ウレイドシラン、メルカプトシランなどが挙げられる。また、第2カップリング剤は、前述の化合物(E)と併用することで、固定用樹脂組成物の溶融粘度を下げ、流動性を向上させるという化合物(E)の効果を高めることもできるものである。
また、本実施形態に係る無機難燃剤(G)の含有量は、少ない方が好ましく、とくに0.2質量%以下が好ましい。通常、半導体封止材用途は、UL規格を満たすために難燃剤の添加は必須であるが、難燃剤の添加量が高すぎると、熱硬化性樹脂の硬化反応を阻害してしまい、固定部材の鋼板密着強度が低下する場合がある。そのため、本実施形態では、無機難燃剤(G)はなるべく添加しない方が好ましい。
本実施形態に係るイオン性不純物としては、特に限定されるものではないが、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲンイオンなど、より具体的にはナトリウムイオン、塩素イオンなどが挙げられる。ナトリウムイオンの濃度は、本実施形態に係る固定用樹脂組成物に対して、好ましくは100ppm以下であり、より好ましくは70ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下である。また、塩素イオンの濃度は、本実施形態に係る固定用樹脂組成物に対して、好ましくは100ppm以下であり、より好ましくは50ppm以下であり、さらに好ましくは30ppm以下である。上記の範囲とすることにより、電磁鋼板や磁石の腐食を抑制することができる。
本実施形態においては、例えば純度の高いエポキシ樹脂を使用することにより、イオン性不純物を低減することができる。以上により、耐久性に優れたロータが得られる。
本実施形態に係る固定用樹脂組成物の製造方法は、特に制限されないが、例えば次のように行われる。まず、熱硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)及び無機充填材(C)、ならびに好ましくはその他の添加剤などを、所定量配合する。次いで、配合したものを、たとえばミキサー、ジェットミル、ボールミルなどを用いて常温で均一に粉砕、混合する。次いで、加熱ロール、ニーダー又は押出機などの混練機を用いて、90〜120℃程度まで固定用樹脂組成物を加温しながら溶融し混練を行う。次いで、混練後の固定用樹脂組成物を冷却、粉砕し、顆粒又は粉末状の固形の固定用樹脂組成物を得る。これらの製造工程における条件を適宜調整することにより、所望の分散度や流動性などを有する固定用樹脂組成物を得ることができる。
本実施形態に係る固定用樹脂組成物の粉末又は顆粒の粒度は、例えば5mm以下が好ましい。5mm以下とすることにより、打錠時に充填不良をおこし、タブレットの質量のバラツキが大きくなることを抑制することができる。
また、本実施形態においては、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤の軟化点を上げることにより、上記ガラス転移温度(Tg)を増加させることができる。
また、本実施の形態においては、例えば、充填材の表面にカップリング剤を処理することにより、上記曲げ強度を増加することができる。
また、本実施の形態においては、例えば、低応力剤の添加量を増やす、充填材の配合量を減らすなどにより、上記曲げ弾性率を低減することができる。
また、本実施の形態においては、例えば、充填材の配合量を増やすことにより、上記線膨張係数(α1)を低減することができる。
また、本実施の形態においては、例えば、充填材の配合量を増やすことにより、上記線膨張係数(α2)を低減することができる。
本実施形態に係るロータ100の製造方法は、例えば次のように行われる。まず、回転シャフト170が貫通する貫通孔の周縁部に沿って配置されている複数の穴部150が設けられたロータコア110を準備する。次いで、孔部150に磁石120を挿入する。次いで、孔部150と磁石120との離間部140に固定用樹脂組成物を充填する。次いで、固定用樹脂組成物を硬化して、固定部材130を得る。次いで、ロータコア110が有する貫通孔に回転シャフト170を挿入するとともに、ロータコアに回転シャフト170を固設する。これにより、本実施形態に係るロータ100が得られる。
本実施形態では、離間部140に固定用樹脂組成物を充填する手法として、インサート成形を用いることが好ましい。以下、詳述する。
固定部材130の形成方法の一例としては、タブレット状の固定用樹脂組成物を用い、インサート成形を行う方法を用いることができる。このインサート成形には、インサート成形装置を用いる。この成形装置は、タブレット状の固定用樹脂組成物が供給されるポット210および溶融状態の固定用樹脂組成物を移動させる流路220を有する上型200と、下型(図示せず)と、これらの上型200及び下型を加熱する加熱手段と、溶融状態の固定用樹脂組成物を押し出す押出機構と、を備える。インサート成形装置は、例えば、ロータコアなどを搬送する搬送機能を備えてもよい。
また、図10に示すように、ポット210は、二つの別々の流路220を有してもよい。この場合、一のポット210に接続する二つの流路220は、Y字状に配置される。これにより、一つのポット210から、二つの孔部150に、本実施形態に係る固定用樹脂組成物を充填できる。なお、一つのポット210は、一つの孔部150に固定用樹脂組成物を充填する一つの流路のみを有してもよく、三つ以上の孔部150に固定用樹脂組成物を充填する三つ以上の流路を有してもよい。一つのポット210が複数の流路220を有する場合、複数の流路220は互いに独立してもよく、互いに連続していてもよい。
まず、ロータコア110をオーブン又は熱盤上などで予熱後、不図示の成形装置の下型に固定する。つづいて、ロータコア110の孔部150中に、磁石120を挿入する。つづいて、下型を上昇させ、ロータコア110の上面に上型200を押しつける。これにより、上型200と下型とで、ロータコア110の上面および下面を挟み込む。このとき、上型200中の流路220の先端部が、孔部150と磁石120との離間部140上に配置される。また、ロータコア110は、成形装置の下型と上型200からの熱伝導により加熱されることとなる。成形装置の下型および上型200は、ロータコア110が固定用樹脂組成物の成形、硬化に適した温度となるよう、例えば150℃〜200℃程度に温調されている。この状態でタブレット状の固定用樹脂組成物を上型200のポット210内に供給する。上型200のポット210内に供給されたタブレット状の固定用樹脂組成物は、ポット210内で加熱され溶融状態となる。
このとき、固定用樹脂組成物を硬化する際の温度条件は、例えば150℃〜200℃とすることができる。また、硬化時間は、例えば30秒〜180秒とすることができる。これにより、孔部150の内部に挿入された磁石120が固定部材130により固定される。この後、ロータコア110の上面から上型200を離間する。次いで、ロータコア110の貫通孔に回転シャフト170を挿入するとともに、ロータコア110にシャフト170を固設する。
以上により、本実施形態に係るロータ100が得られる。
インサート成形方法では、ロータコア110の上面と上型200とが密着された状態で、上型200の流路220を通って、ロータコア110の孔部150に固定用樹脂組成物が充填される。このため、ロータコア110の上面と上型200との間に樹脂が充填されず、上型200と上面との着脱が容易となる。
一方、トランスファー成形方法では、半導体チップと金型との間のキャビティに樹脂が充填されるので、成形品から金型をうまく脱型する必要がある。このため、半導体チップを封止する樹脂には、金型と成形品との離型性が特に要求されることになる。
以下、参考形態の例を付記する。
1.穴部が設けられたロータコアと、
前記穴部内に挿入された磁石と、
前記穴部と前記磁石との離間部に設けられた固定部材と、
を備えるロータを構成する前記固定部材の形成に用いられる固定用樹脂組成物であって、
熱硬化性樹脂(A)と、
硬化剤(B)と、
無機充填材(C)と、を含み、
タブレット状の前記固定用樹脂組成物を、トランスファー成形機を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、120秒で、表面処理されていない素の電磁鋼板上に硬化接着して直径3.6mm、高さ3mmの密着強度試験片を作製し、
ボンドテスタを用いて、25℃、試験速度0.3mm/秒で測定される、前記電磁鋼板に対する前記固定用樹脂組成物の硬化体の鋼板密着強度Aが5MPa以上40MPa以下である、固定用樹脂組成物。
2.1.に記載の固定用樹脂組成物において、
150℃、試験速度0.3mm/秒で測定される、前記電磁鋼板に対する前記固定用樹脂組成物の前記硬化体の鋼板密着強度Bが4MPa以上30MPa以下である、固定用樹脂組成物。
3.1.または2.に記載の固定用樹脂組成物において、
前記試験サンプルを−40℃で3時間保持し、その後、150℃で3時間保持する冷熱サイクルを1サイクルとして、合計10サイクルおこなった後、
25℃、試験速度0.3mm/秒で測定される、前記電磁鋼板に対する前記固定用樹脂組成物の前記硬化体の鋼板密着強度を鋼板密着強度Cとしたとき、
下記(1)式で算出される鋼板密着強度保持率が、60%以上100%以下である、固定用樹脂組成物。
鋼板密着強度保持率(%)=(鋼板密着強度C/鋼板密着強度A)×100 (1)
4.1.乃至3.いずれか一つに記載の固定用樹脂組成物において、
前記無機充填材(C)の含有量が、前記固定用樹脂組成物の合計値100質量%に対して、50質量%以上である、固定用樹脂組成物。
5.1.乃至4.いずれか一つに記載の固定用樹脂組成物において、
前記無機充填材(C)は、第1カップリング剤による表面処理が施されている固定用樹脂組成物。
6.5.に記載の固定用樹脂組成物において、
前記第1カップリング剤は、1級アミノシランを含む固定用樹脂組成物。
7.1.乃至6.いずれか一つに記載の固定用樹脂組成物において、
エポキシシラン、アミノシラン、ウレイドシラン、メルカプトシランからなる群から選択される少なくとも一種の第2カップリング剤を含む固定用樹脂組成物。
8.1.乃至7.いずれか一つに記載の固定用樹脂組成物において、
前記熱硬化性樹脂(A)が、エポキシ樹脂を含む、固定用樹脂組成物。
9.1.乃至8.いずれか一つに記載の固定用樹脂組成物において、
前記硬化剤(B)が、ノボラック型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトール型フェノール樹脂、及びヒドロキシベンズアルデヒドとホルムアルデヒドとフェノールの反応生成物を主とするフェノール樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含む、固定用樹脂組成物。
10.1.乃至9.いずれか一つに記載の固定用樹脂組成物において、
粉末状、顆粒状、又はタブレット状である、固定用樹脂組成物。
11.1.乃至10.いずれか一つに記載の固定用樹脂組成物を用いて形成されるロータ。
12.11.に記載のロータを搭載した自動車。
(熱硬化性樹脂(A))
エポキシ樹脂1:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製:EOCN−1020−55、150℃におけるICI粘度1.2dPa・sec)
エポキシ樹脂2:フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、NC3000、エポキシ当量276g/eq、軟化点58℃、150℃におけるICI粘度1.1dPa・sec)
エポキシ樹脂3:ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学社製、YX4000K、エポキシ当量185、融点107℃、150℃におけるICI粘度0.1dPa・s)
フェノール樹脂系硬化剤1:ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト社製、PR−HF−3、150℃におけるICI粘度は1.1dPa・s)
フェノール樹脂系硬化剤2:ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト製、PR−51470、175℃におけるICI粘度は6.0dPa・s)
フェノール樹脂系硬化剤3:フェノール樹脂(水酸基当量:135、150℃におけるICI粘度は4.7dPa・s、合成方法は後述する)
球状シリカ1(電気化学工業社製、FB−950、平均粒径D50:23μm、最大粒径Dmax:71μm)
球状シリカ2(電気化学工業社製、FB−35、平均粒径D50:10μm、最大粒径Dmax:71μm)
トリフェニルホスフィン(ケイ・アイ化成社製、PP−360)
シランカップリング剤1:γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE−903)
シランカップリング剤2:フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製、CF4083)
シランカップリング剤3:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(チッソ社製、GPS−M)
シランカップリング剤4:γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
離型剤:カルナバワックス(日興ファイン社製、ニッコウカルナバ)
イオン捕捉剤:ハイドロタルサイト(協和化学工業社製、商品名DHT−4H)
着色剤:カーボンブラック(三菱化学社製、MA600)
トリアゾール:3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−チオール
低応力剤:シリコーンレジン(信越化学工業社製、KMP−596)
難燃剤:水酸化アルミニウム(住友化学社製、CL−303、平均粒径D50:3.5μm)
セパラブルフラスコに撹拌装置、温度計、還流冷却器、窒素導入口を装着し、1,3−ジヒドロキシベンゼン(東京化成工業社製、「レゾルシノール」、融点111℃、分子量110、純度99.4%)360質量部、フェノール(関東化学社製特級試薬、「フェノール」、融点41℃、分子量94、純度99.3%)235質量部、あらかじめ粒状に砕いた4,4'−ビスクロロメチルビフェニル(和光純薬工業社製、「4,4'−ビスクロロメチルビフェニル」、融点126℃、純度95%、分子量251)251質量部を、セパラブルフラスコに秤量し、窒素置換しながら加熱し、フェノールの溶融の開始に併せて攪拌を開始した。
(式(12A)中、2つのYは、それぞれ互いに独立して、下記式(12B)または下記式(12C)で表されるヒドロキシフェニル基を表し、Xは、下記式(12D)または下記式(12E)で表されるヒドロキシフェニレン基を表す。)
実施例1では、無機充填材(C)のシランカップリング処理は、次のように行った。
まず、球状シリカ1および球状シリカ2を105℃で12時間それぞれ乾燥した。
次いで、球状シリカ1を60重量部と、球状シリカ2を20重量部と、をミキサーに投入し、10分間攪拌した。次いで、球状シリカ1と球状シリカ2の混合物にシランカップリング剤1を0.3重量部噴霧しながら、当該混合物を20分間攪拌した。この際、シランカップリング剤1を噴霧した時間は、10分間程度であった。また、ミキサー内の湿度は50%以下であった。その後、60分間攪拌を続けることで、シリカとシランカップリング剤1とを混合した。
次いで、ミキサーから取り出し、20±5℃の条件下で7日間エージング処理を行った。次いで、200meshのふるいにかけ、粗大粒子を除去した。これにより、シランカップリング処理が施された無機充填材(C)が得られた。なお。ミキサーには、リボンブレンダーを用いた。また、リボンブレンダーの回転数は、30rpmであった。実施例2、4、比較例3では、球状シリカ1、球状シリカ2、シランカップリング剤1を表1に示す配合量に変えた以外は実施例1と同様の方法により、シランカップリング処理が施された無機充填材(C)を得た。
得られた固定用樹脂組成物について、以下に示す測定および評価を行った。評価結果は表2に示す。
成形後、金型が開いた際の金型からの離型性を評価した。○は離型性良好を示し、△は金型付着がわずかに見られたことを示す。
タブレット状の上記固定用樹脂組成物を、トランスファー成形機を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、120秒間の条件で、表面処理されていない素の電磁鋼板(JFE社製、35JN300で、表面処理がされていないもの)上に硬化接着して直径3.6mm、高さ3mmの密着強度試験片を作製した。
次いで、万能型ボンドテスタ(DAGE社製、DAGE4000)を用いて、上記電磁鋼板に対する固定用樹脂組成物の硬化体の鋼板密着強度Aを測定した。このとき、テストヘッドの高さは電磁鋼板上から125μm、テストヘッドの速度(試験速度)は0.3mm/秒とし、密着強度試験片を25℃のヒートステージ上に10秒間放置した後、測定を開始した。
ヒートステージの温度を150℃に変化した以外は鋼板密着強度Aと同様の方法で測定した。
上記密着強度試験片を−40℃で3時間保持し、その後、150℃で3時間保持する冷熱サイクルを1サイクルとして、合計10サイクルおこなった後の25℃での鋼板密着強度Cを測定し、次式より鋼板密着強度保持率1を算出した。
鋼板密着強度保持率(%)=(鋼板密着強度C/鋼板密着強度A)×100 (1)
密着強度試験片を−40℃で3時間保持し、その後、150℃で3時間保持する冷熱サイクルを1サイクルとして、合計10サイクルおこなった後の150℃での鋼板密着強度Dを測定し、次式より鋼板密着強度保持率2を算出した。
鋼板密着強度保持率(%)=(鋼板密着強度D/鋼板密着強度B)×100 (2)
冷熱サイクル後の鋼板密着強度CおよびDは、繰り返し使用に伴うロータコアの耐久性を表す指標となる。鋼板密着強度CおよびDが大きい固定部材を用いた場合、良好な耐久性を有するロータコアを得ることができる。
表2からも分かるように、実施例1〜4の硬化物は、いずれも比較例1〜3の硬化物と比べて高い鋼板密着強度CおよびDを有していた。実際に、実施例1〜4の硬化物を固定部材に用いたロータコアは比較例1〜3の硬化物を用いた場合に比べて、高温での長期信頼性に優れていた。
具体的に、実施例1では、粘度が異なる複数の樹脂を併用して用いている点、無機充填材(C)のシランカップリング処理を最適化した点、難燃剤を使用していない点、等の技術的な工夫を行っている。
実施例2では、粘度が異なる複数の樹脂を併用して用いている点、無機充填材(C)のシランカップリング処理を最適化した点、難燃剤を使用していない点、ワックスを添加していない点、等の技術的な工夫を行っている。
実施例3では、新規の硬化剤を用いている点、粘度が異なる複数の樹脂を併用して用いている点、難燃剤を使用していない点、ワックスを添加していない点、等の技術的な工夫を行っている。
実施例4では、粘度が異なる複数の樹脂を併用して用いている点、無機充填材(C)のシランカップリング処理を最適化した点、難燃剤を使用していない点、等の技術的な工夫を行っている
110 ロータコア
112 電磁鋼板
116 溝部
118a エンドプレート
118b エンドプレート
120 磁石
121 側壁
123 側壁
125 側壁
127 側壁
130 固定部材
132 スリット充填部材
140 離間部
150 孔部
151 側壁
152 スリット
153 側壁
154a 孔部
154b 孔部
155 側壁
156 孔部
157 側壁
160 カシメ部
170 回転シャフト
200 上型
210 ポット
220 流路
Claims (13)
- 穴部が設けられたロータコアと、
前記穴部内に挿入された磁石と、
前記穴部と前記磁石との離間部に設けられた固定部材と、
を備えるロータを構成する前記固定部材の形成に用いられる固形の固定用樹脂組成物であって、
熱硬化性樹脂(A)と、
硬化剤(B)と、
無機充填材(C)と、
低応力剤と、を含み、
前記低応力剤の含有量が、上記固定用樹脂組成物の合計値100質量%に対して、0.01質量%以上3質量%以下であり、
タブレット状の前記固定用樹脂組成物を、トランスファー成形機を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、120秒で、表面処理されていない素の電磁鋼板上に硬化接着して直径3.6mm、高さ3mmの密着強度試験片を作製し、
ボンドテスタを用いて、25℃、試験速度0.3mm/秒で測定される、前記電磁鋼板に対する前記固定用樹脂組成物の硬化体の鋼板密着強度Aが21MPa以上40MPa以下である、固定用樹脂組成物。 - 請求項1に記載の固定用樹脂組成物において、
150℃、試験速度0.3mm/秒で測定される、前記電磁鋼板に対する前記固定用樹脂組成物の前記硬化体の鋼板密着強度Bが4MPa以上30MPa以下である、固定用樹脂組成物。 - 請求項1または2に記載の固定用樹脂組成物において、
前記試験サンプルを−40℃で3時間保持し、その後、150℃で3時間保持する冷熱サイクルを1サイクルとして、合計10サイクルおこなった後、
25℃、試験速度0.3mm/秒で測定される、前記電磁鋼板に対する前記固定用樹脂組成物の前記硬化体の鋼板密着強度を鋼板密着強度Cとしたとき、
下記(1)式で算出される鋼板密着強度保持率が、60%以上100%以下である、固定用樹脂組成物。
鋼板密着強度保持率(%)=(鋼板密着強度C/鋼板密着強度A)×100 (1) - 請求項1乃至3いずれか一項に記載の固定用樹脂組成物において、
前記無機充填材(C)の含有量が、前記固定用樹脂組成物の合計値100質量%に対して、50質量%以上である、固定用樹脂組成物。 - 請求項1乃至4いずれか一項に記載の固定用樹脂組成物において、
前記無機充填材(C)は、第1カップリング剤による表面処理が施されている固定用樹脂組成物。 - 請求項5に記載の固定用樹脂組成物において、
前記第1カップリング剤は、1級アミノシランを含む固定用樹脂組成物。 - 請求項1乃至6いずれか一項に記載の固定用樹脂組成物において、
エポキシシラン、アミノシラン、ウレイドシラン、メルカプトシランからなる群から選択される少なくとも一種の第2カップリング剤を含む固定用樹脂組成物。 - 請求項1乃至7いずれか一項に記載の固定用樹脂組成物において、
前記熱硬化性樹脂(A)が、エポキシ樹脂を含む、固定用樹脂組成物。 - 請求項1乃至8いずれか一項に記載の固定用樹脂組成物において、
前記硬化剤(B)が、ノボラック型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトール型フェノール樹脂、及びヒドロキシベンズアルデヒドとホルムアルデヒドとフェノールの反応生成物を主とするフェノール樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含む、固定用樹脂組成物。 - 請求項1乃至9いずれか一項に記載の固定用樹脂組成物において、
前記低応力剤が、ポリブタジエン化合物、アクリロニトリルブタジエン共重合化合物またはシリコーン化合物である、固定用樹脂組成物。 - 請求項1乃至10いずれか一項に記載の固定用樹脂組成物において、
粉末状、顆粒状、又はタブレット状である、固定用樹脂組成物。 - 請求項1乃至11いずれか一項に記載の固定用樹脂組成物を用いて形成されるロータ。
- 請求項12に記載のロータを搭載した自動車。
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