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JP5959815B2 - 画像処理装置およびその方法 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成に透明色材を使用する際の画像処理に関する。
ディジタルプリンティング技術は、オンデマンド印刷市場や少部数の文書印刷市場において近年確実に、その利用価値を高めている。とくに、電子写真方式を用いたフルカラープリンティングは、生産性、印刷コスト、メンテナンス容易性などの面で他のプリンティング技術よりも優位な位置にあり、急速に、その市場を拡大している。
そのような中で、CMYKの有色トナーを用いる電子写真方式によるフルカラー印刷だけでなく、さらに、特殊なトナーを用いた印刷方式が注目を集めている。例えば、CMYKの有色トナーと透明トナーを用いる印刷方式がある。透明トナーは、特定の色相をもたないほぼ無色透明の色材を用いたトナーである。透明トナーを用いて光沢均一性を向上させたり、光沢差を利用して透かし文字や透かし図形を印刷物に付与することができる。
電子写真方式は、一般に、トナーの総量が多くなると転写不良や定着不良が発生し易くなり、画素単位または小領域単位にトナーの総量に制限を設ける場合が多い。透明トナーを用いる場合もトナーの総量を考慮する必要があり、有色トナーと透明トナーの総量制限に関して種々の技術が提案されている。
例えば特許文献1は、透明トナーを使用する領域においては、有色トナーの総量を低減する技術を開示する。また、例えば特許文献2は、トナーの総量制限の範囲内で色変換を変化させることで、透明トナーの使用領域と非使用領域の間の色差を抑制する技術を開示する。
また、透明トナーを複数回追い刷りすることで、出力物の表面に凹凸を与える印刷方式がある。つまり、有色色材を定着した後の印刷物の表面に透明トナーを重畳する画像形成プロセスを繰り返し、透明の色材を厚く盛って凹凸感を表現し、印刷物の付加価値を高める。
透明トナーを複数回追い刷りする場合、透明色材の使用量が相対的に多い領域(以下、多用領域)と、透明色材の使用量が相対的に少ないか、または非使用の領域(以下、非多用領域)が発生する。多用領域の色再現性と非多用領域の色再現性は明らかに異なり、色再現性は、透明トナーの各追い刷り時におけるトナーの載り量、追い刷り回数、定着条件(熱量、圧力、プロセス速度)、記録紙の種類や坪量など、様々な条件に依存する。とくに多用領域において、多用領域の下層に位置する有色色材は、より潰され広がった状態になる傾向にある。このため、多用領域の濃度は、非多用領域よりも高くなり、色再現性の変化が視覚的に目立つことになる。
なお、特許文献1、2が開示する技術は、透明トナーの追い刷りにおける前述した各種条件や現象を考慮しないため、透明色材の多用領域と非多用領域の色再現性の違いを抑制することはできない。
特開2007-155963号公報 特開2010-194979号公報
本発明は、画像形成に透明色材などを使用する場合の、透明色材などの多用領域と非多用領域における色再現性の違い抑制を目的とする。
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
本発明にかかる画像処理は、第一の色材と第二の色材を用いて記録媒体上に画像を形成するための画像データを生成する際に、前記第一の色材を用いて形成する画像の画像データを入力し、前記第二の色材を用いて形成するパターンの画像データを入力し、入力される前記画像データが表す画像を形成する際の、少なくとも前記第二の色材を用いて前記パターンを形成する画像形成回数を示す前記パターンの形成条件を入力する条件し、前記形成条件に対応する変換テーブルを使用して、前記画像の画像データを前記第一の色材の使用量に相当する画像データに変換し、前記パターンの画像データを前記第二の色材の使用量に相当する画像データに変換することを特徴とする。
本発明によれば、画像形成に透明色材などを使用する場合の、透明色材などの多用領域と非多用領域における色再現性の違いを抑制することができる。
実施例の画像処理装置の構成例を説明するブロック図。 画像処理装置の概観を説明する図。 コントローラ部の画像処理の機能構成例を説明するブロック図。 印刷処理を説明するフローチャート。 透明パターンを指定するUI例を説明する図。 画像に透明パターンを付加した一例を示す図。 透明画像の形成条件を設定するUI例を説明する図。 色分解LUTの作成手順例を説明するフローチャート。
以下、本発明にかかる実施例の画像処理を図面を参照して詳細に説明する。
[装置の構成]
図1のブロック図により実施例の画像処理装置1000の構成例を説明する。以下では、スキャナ機能、コピー機能、印刷機能、ファクシミリ機能などを有するディジタル複合機(MFP)を画像処理装置1000の例として説明を行う。
画像処理装置1000において、スキャナ部1001は、原稿画像を読み取る。コントローラ部1002は、スキャナ部1001が出力する画像データに各種画像処理を施してメモリ1005に格納する。プリンタ部1003は、操作部1004を介して設定される各種印刷条件と、メモリ1005から読み出した画像データに従い、電子写真方式により記録媒体に可視像を形成する。
また、画像処理装置1000には、LANなどのネットワーク1006を介して、画像データを管理するサーバ1007や、画像処理装置1000に対してプリントの実行を指示するパーソナルコンピュータ(PC)1008などが接続される。つまり、画像処理装置1000のコントローラ部1002は、PC1008の指示に応じて、原稿画像をスキャンしたり、PC1008が出力する画像データやサーバ1007に格納された画像データに基づく画像形成を実行する。
[装置の概観]
図2により画像処理装置1000の概観を説明する。
スキャナ部1001において、鏡面圧板200と原稿台ガラス203の間に載置された原稿204にはランプ205の光が照射される。原稿204からの反射光は、ミラー206、207および208に導かれ、レンズ209によって3ラインの撮像素子(以下、CCD)210上に像を結ぶ。CCD210から出力されるレッド(R)、グリーン(G)およびブルー(B)の三つの画像信号はコントローラ部1002に送られる。なお、ランプ205およびミラー206は速度Vで、ミラー207と208は速度V/2でCCD210の電気的走査(主走査)方向に対して垂直方向に機械的に移動することによって、原稿204の全面が走査(副走査)される。
原稿204の画像は、主走査および副走査ともに例えば600dpiの解像度で読み取られる。コントローラ部1002は、スキャナ部1001から画像信号を入力して、原稿の一頁単位に画像処理を施す。つまり、入力される画像信号を電気的に処理してマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)およびブラック(K)のプロセスカラーの各成分に色分解し、CMYK画像信号をメモリ1005の所定領域に格納する。そして、メモリ1005に格納したCMYK画像信号を面順次にプリンタ部1003に送る。
詳細は後述するが、コントローラ部1002は、透明色材(CL)用の画像を生成する機能を有し、複数の画像信号CL0、CL1、CL2を画素単位に生成してプリンタ部1003に出力する。画像信号CL0は、CMYK色材による画像形成と同時に形成する透明画像T0を表す。また、画像信号CL1は透明画像T0の形成後に追い刷りする透明画像T1を表し、画像信号CL2は透明画像T1の形成後に追い刷りする透明画像T2を表す。言い換えれば、画像信号CL0、CL1、CL2は、透明色材を用いる画像形成の各回における、透明色材の使用量に相当する画像データである。
プリンタ部1003において、コントローラ部1002から入力されるC、M、Y、KまたはCL0画像信号は、レーザドライバ212に送られる。レーザドライバ212は、入力される画像信号に応じて半導体レーザ素子213を変調駆動する。半導体レーザ素子213が出力するレーザ光は、ポリゴンミラー214、f-θレンズ215およびミラー216を経て感光ドラム217上を走査し、感光ドラム217上に主走査および副走査ともに例えば600dpiの静電潜像を形成する。
回転現像器218は、M現像部219、C現像部220、Y現像部221、K現像部222およびCL現像部223から構成され、五つの現像部が交互に感光ドラム217に接して、感光ドラム217上に形成された静電現像を各色のトナーで現像する。転写ドラム224には、記録紙カセット225または226から供給される記録紙が巻き付けられ、感光ドラム217上に形成されたトナー像が記録紙に転写される。
このようにして、M、C、Y、KおよびCLの五色のトナー像が、順次、記録紙に転写された後、記録紙は定着器227を通過して色材が定着される。透明画像T1を形成しない場合、記録紙は装置外へ排出される。透明画像T1を形成する場合、記録紙は紙パスの最初のステージに戻され、透明画像T1の転写と定着が行われる。さらに、透明画像T2を形成する場合、記録紙は再び紙パスの最初のステージに戻され、透明画像T2の転写と定着が行われた後、装置外へ排出される。
[画像処理]
図3のブロック図によりコントローラ部1002の画像処理の機能構成例を説明する。
画像データ入力部101は、スキャナ部1001から受信した画像信号に下地処理、ガンマ補正などの各種画像処理を施し、処理後の画像データを頁単位にメモリ1005の所定領域に格納する。また、PC1008から印刷ジョブを受信した場合は、印刷ジョブに含まれる画像データを頁単位にメモリ1005の所定領域に格納する。なお、入力画像データは赤(R)、緑(G)、青(B)の三色、各色256階調の信号が代表的であるが、それに限定されるわけではない。
透明パターン指定部102は、ユーザから透明画像の形成パターンの指定を受け付けるユーザインタフェイス(UI)である。透明パターン指定部102として、例えば操作部1004のタッチパネルに表示したUI、または、PC1008上で稼働するプリンタドライバなどのソフトウェアが提供するUIを利用することができる。
以下では、透明トナーを複数回追い刷りして、印刷物の表面(印刷物のカラー画像領域または紙面)に凹凸を与える例を説明する。例えば、ユーザは、印刷物の表面の凹凸としてテクスチャ、特定パターン、文字、図形などのパターンを表現するように指定する。あるいは、画像データ入力部101が入力する画像データに応じたパターンを指定することもできる。
透明画像生成部103は、透明パターン指定部102によって指定された透明パターンの情報を入力する。そして、入力した透明パターンの情報に従い、透明トナーによって形成すべき画像を表すビットマップ形式の画像データCLを生成し、CLデータをメモリ1005の所定領域に格納する。
形成条件設定部104は、透明画像の形成に関わる各種条件を設定する。各種条件には、透明画像の形成回数、透明トナーの定着条件(熱量、圧力、印刷速度)、記録媒体の特性(種類、坪量)などがあり、これら条件のすべて、または、その一部を設定し、設定した形成条件をメモリ1005の所定領域に格納する。形成条件設定部104として、操作部1004のUI、または、PC1008上で稼働するプリンタドライバなどのソフトウェアが提供するUIを利用することができる。また、定着条件は、画像処理装置100の内部設定値、記録モード、センサ情報などから取得してもよい。記録媒体の特性には、種類と坪量だけではなく、例えば紙厚(紙の厚さ)、表面平滑度など、透明画像の形成に影響を及ぼすパラメータを含めることができる。
なお、透明パターンの指定は、原稿画像のスキャン前や画像の印刷指示時に行えばよい。勿論、透明パターンの指定、透明画像の生成、形成条件の設定を予め行ってメモリ1005に格納しておき、ユーザに所望する透明パターンと形成条件を選択させ、選択された透明パターンに対応する透明画像と選択された形成条件を利用してもよい。
コントローラ部1002の制御により画像形成プロセスが開始されると、色変換部105は、メモリ1005から形成条件を入力し、画素単位にRGBデータとCLデータを入力する。そして、スキャナ201のデバイス色空間や標準的なRGB色空間(例えばsRGB)のRGBデータを、プリンタ部1003のデバイス色空間のCMYKデータに変換する。さらに、入力した形成条件に基づき、CLデータを透明画像の形成用のCL0、CL1、CL2データに変換する。
階調補正部106は、印刷物において適切な階調特性が得られるように、色変換部105から出力されるCMYKデータおよびCL0、CL1、CL2データに階調補正を施す。中間調処理部107は、階調補正部106から出力されるCMYKデータおよびCL0、CL1、CL2データにディザ法や誤差拡散法などの疑似中間調処理が施して、CMYKデータおよびCL0、CL1、CL2データの階調数を低減する。
プリンタ部1003は、中間調処理部107から入力される画像データに基づき、CMYKの有色色材を用いたフルカラー画像と、透明色材を用いた透明画像を記録媒体上に形成した印刷物を生成する。
[印刷処理]
図4のフローチャートにより印刷処理を説明する。なお、図4に示す処理は、コントローラ部1002の制御によって実行される。
コントローラ部1002は、透明パターン指定部102により透明パターンの指定を受け付け(S401)、透明画像生成部103により透明画像のCLデータを生成する(S402)。また、形成条件設定部104により透明画像の形成条件を設定する(S403)。
次に、コントローラ部1002は、画像データ入力部101により印刷すべき画像データを入力し(S404)、画像形成プロセスを開始する。
画像形成プロセスが開始されると、面順次に、色変換部105は上述した色変換処理を実行し(S405)、階調補正部106は上述した階調補正処理を実行し(S406)、中間調処理部107は上述した疑似中間調処理を実行する(S407)。コントローラ部1002は、色変換処理、階調補正処理、疑似中間調処理が施された画像データを画素単位にプリンタ部1003に出力する(S408)。
次に、コントローラ部1002は、各色成分および各透明成分の画像形成プロセスが終了したか否かを判定し(S409)、画像形成プロセスが未了の色成分または透明成分がある場合は処理をステップS405に戻す。
[透明パターンの指定]
図5により透明パターンを指定するUI例を説明する。
図5に示すUIは、図形パターン指定部501、特定文字列指定部502、任意文字列指定部503、日付指定部504、大きさ指定部505、傾き指定部506、厚さ指定部507を備える。なお、各指定部に付随するチェックボックスをチェックするか否かにより、当該指定部の有効無効(透明パターンの指定に使用するしない)を設定することができる。
ユーザは、図形パターン指定部501のドロップダウンメニューから予め登録された図形パターンを選択する。また、特定文字列指定部502のドロップダウンメニューから予め登録された装飾用などの特定文字列(例えば「Hello」「Happy New Year」など)を選択する。また、ユーザは、図形パターン指定部501、特定文字列指定部502の「登録」ボタンを押すことで、新たな図形パターンや特定文字列を登録する。
ユーザは、任意文字列指定部503の「入力」ボタンを押してソフトウェアキーボードをUIに表示し、ソフトウェアキーボードを用いて任意の文字列を入力する。入力された文字列は、任意文字列指定部503のテキストボックスに表示される。
日付指定部504のテキストボックスには画像処理装置1000の内蔵時計の日付が表示される。ユーザは、日付指定部504の「入力」ボタンを操作して任意の日付を指定することも可能である。
図5に示す例では、図形パターン指定部501と任意文字列指定部503が有効に設定されている。従って、図形パターン指定部501における選択に対応する図形と、任意文字列指定部503における入力に対応する文字列がプレビュー部513に表示されている。
大きさ指定部505、傾き指定部506、厚さ指定部507は、透明パターンを構成する部品それぞれの特性を指定するための指定部である。つまり、ユーザは、プレビュー部513に表示された透明パターンを表す画像全体、または、透明パターンの構成部品に対応する各画像をポインティングデバイスやタッチパネル操作により選択する。そして、選択した画像の大きさ、傾き、厚さを各指定部のドロップダウンメニューによって指定する。
また、ポインティングデバイスやタッチパネル操作により、プレビュー部513に表示された透明パターンの構成部品を選択し、その位置を移動する、大きさや傾きを変更することが可能である。
また、ユーザが「画像表示」ボタン514を押すと、スキャナ部1001が読み取った原稿画像や印刷すべき画像データが表す画像をプレビュー部513に表示される。ユーザは、ポインティングデバイスやタッチパネル操作によりプレビュー部513に直接パターンを描いて、透明パターンを指定することも可能である。ユーザが「OK」ボタン515を押すと透明パターンの指定が終了する。
図6により画像に透明パターンを付加した一例を示す。原画像601には、文字列602、図形603と図形604が含まれている。画像605は、スキャナ部1001により原画像601を読み取り、読み取った画像をプリンタ部1003で印刷(複写)した上に透明パターンを付加した画像である。
画像605における文字列606は、文字列602の画像を透明色材により覆った凸状の文字列である。図形607は、図形603の画像を透明色材により覆った上、所定の間隔で形成された凹部607dを有する。図形608は、図形604の画像のエッジ部を縁取りする透明色材の凸部を備える。
[透明画像の生成]
透明画像生成部103は、指定された透明パターンを示す情報に従いビットマップ形式の透明画像を生成する。透明パターンがパターンの有無を示す二値の場合、CLデータは各画素1ビットであり、例えば、透明画像を形成しない画素に‘0’、透明画像を形成する画素に‘1’を割り当てる。また、透明パターンを多値にして、透明パターンに厚さの情報を与えることができる。この場合、CLデータを例えば各画素2ビットにして、透明画像を形成しない画素に‘00’、薄い透明画像を形成する画素に‘01’、中間的な厚さの透明画像を形成する画素に‘10’、厚い透明画像を形成する画素に‘11’を割り当てる。例えば、薄い透明画像は図6に示す凹部607dに対応する。
なお、透明画像生成部103は、プリンタ部1003が使用可能な記録媒体の各サイズに対応するサイズの透明画像を生成する。あるいは、あるサイズ(例えばA4版用)の透明画像を生成し、印刷に使用する記録媒体のサイズに応じて透明画像を拡大または縮小してもよい。
[透明画像の形成条件の設定]
図7により透明画像の形成条件を設定するUI例を説明する。
図7に示すUIは、透明画像の形成回数設定部701、定着条件(熱量)設定部702、定着条件(圧力)設定部703、定着条件(プロセス速度)設定部704、紙の種類設定部705、紙の坪量設定部706を備える。
ユーザは、形成回数設定部701により透明色材を用いる画像形成回数を設定することができる。一回はCL0データを用いる透明画像の形成、二回はCL0、CL1データを用いる透明画像の形成(追い刷り一回)、三回はCL0、CL1、CL2データを用いる透明画像の形成(追い刷り二回)に対応する。なお、零回を設定すると、CMYK色材による画像形成だけが実行され、透明画像は形成されない。
ユーザは、定着条件(熱量)設定部702により、定着における熱量を設定することができる。また、定着条件(圧力)設定部703により、定着における圧力を設定することができる。なお、設定は、例えば強め、通常、弱めの三段階から選択する。
ユーザは、さらに定着条件(プロセス速度)設定部704により、プロセス速度(記録媒体の搬送速度)を設定することができる。なお、設定は、例えば速い、通常、遅いの三段階から選択する。
ユーザは、紙の種類設定部705により、記録媒体の種類を設定することができる。記録媒体の種類としては、例えば普通紙、マット紙、グロス紙、特殊紙などを選択することができる。また、紙の坪量設定部706により、記録媒体の坪量を設定することができる。秤量は、例えば64-105g/m2、105-157g/m2、150-209g/m2、209g/m2超などを選択することができる。
なお、図7に示す形成条件は一例であり、この他にも、紙の厚さ、画像形成時の環境温度や湿度など、透明画像の形成に関わる条件であれば、それを形成条件に加えることができる。また、図7に示す形成条件がすべて揃う必要はなく、一部の条件のみを設定してもよい。
形成条件に基づくパラメータとそれらの数を多くするほど、透明画像の形成条件を詳細に設定することができ、本発明の効果をより高めることが可能である。が、パラメータとそれらの数がを多くなるほど色変換部105に用意する色変換テーブルが増加する。つまり、効果と色変換テーブルの準備に必要な負荷のバランスを取って、設定可能な形成条件を設ければよい。
[色変換部]
以下では、説明を簡単にするために、形成条件設定部104により設定された形成条件が透明画像の形成回数Nと定着条件(熱量)Qの二種類とする。
色変換部105は、メモリ1005に格納された色分解ルックアップテーブル(LUT)と補間演算を使用して、下式により、RGBCLデータをCMYKCL0CL1CL2データに変換する。
D_C = LUTC(R, G, B, CL, N, Q) …(1)
D_M = LUTM(R, G, B, CL, N, Q) …(2)
D_Y = LUTY(R, G, B, CL, N, Q) …(3)
D_K = LUTK(R, G, B, CL, N, Q) …(4)
D_CL0 = LUTCL0(R, G, B, CL, N, Q) …(5)
D_CL1 = LUTCL1(R, G, B, CL, N, Q) …(6)
D_CL2 = LUTCL2(R, G, B, CL, N, Q) …(7)
式(1)-(7)の右辺に定義される関数が色分解LUT、変換LUTの内容に相当する。つまり、有色色材用の色分解LUTおよび透明色材用の変換LUTは、RGBCLの四入力値、透明画像の形成回数N、定着条件(熱量)Qから有色色材の4プレーンと透明色材の3プレーンの出力値の何れかを得る六入力一出力の構成である。なお、透明色材用の変換LUTにRGB値を入力するのは、色材の総使用量が制限値を超えないようにするためである。透明色材用の変換LUTは、予め作成されてメモリ1005に格納されている。
また、N=0の場合、色変換部105は、予め設計されてメモリ1005に格納されている、透明画像を形成しない場合に用いる、三入力一出力の構成の色分解LUT(以下、基準LUT)を用い、式(5)-(7)に相当する変換処理は行わない。同様に、N=1の場合は式(6)(7)に相当する変換処理を行わず、N=2の場合は式(7)に相当する変換処理を行わない。
上記では、六入力一出力の色分解LUTを七つ用いて色変換処理を行う例を説明した。しかし、下式のように、透明画像の形成回数Nと定着条件(熱量)Qの組み合わせごとに、四入力一出力の色分解LUT、変換LUTを利用してもよい。
D_C = LUTNQC(R, G, B, CL) …(8)
D_M = LUTNQM(R, G, B, CL) …(9)
D_Y = LUTNQY(R, G, B, CL) …(10)
D_K = LUTNQK(R, G, B, CL) …(11)
D_CL0 = LUTNQCL0(R, G, B, CL) …(12)
D_CL1 = LUTNQCL1(R, G, B, CL) …(13)
D_CL2 = LUTNQCL2(R, G, B, CL) …(14)
LUTNQは形成回数Nと定着条件(熱量)Qの組み合わせに対応する色分解テーブルである。なお、透明色材用の変換LUTNQにRGB値を入力するのは、色材の総使用量が制限値を超えないようにするためである。透明色材用の変換LUTNQは、予め作成されてメモリ1005に格納されている。
また、N=0の場合は基準LUTを用い、式(12)-(14)に相当する変換処理は不要である。同様に、N=1の場合は式(13)(14)に相当する変換処理は不要であり、N=2の場合は式(14)に相当する変換処理は不要である。
[色分解LUTの作成手順]
図8のフローチャートにより色分解LUTの作成手順例を説明する。この作成手順は、コントローラ部1002が実行する処理であり、式(8)-(11)の形式の色分解LUTを作成する例を説明する。また、透明画像の形成条件について、形成回数Nと定着条件(熱量)Q以外は一般的な値(通常)に設定されているものとする。
コントローラ部1002は、定着器227の定着条件(熱量)Qを通常に設定し(S801)、基準LUTを色変換部105に設定する(S802)。
次に、コントローラ部1002は、メモリ1005に格納された色票データを色変換部105に入力し(S803)、画像形成プロセスを開始する。プリンタ部1003は、色票データに対応する、色が異なる複数の色票を含むカラーチャートを印刷する(S804)。なお、色票データは、例えば、RGBそれぞれ九値に対応する729色分のデータを含む。
次に、コントローラ部1002は、スキャナ部1001によってカラーチャートの各色票のRGBデータ(デバイスRGB値)を取得(測定)する。そして、カラーチャートの各色票の測色値を演算して、測色値を基準測色値としてメモリ1005の所定領域に格納する(S805)。なお、測色値の演算は、例えば、デバイスRGB値をsRGB空間のsRGB値に変換し、sRGB値をCIELab空間のLab値(測色値)に変換すればよい。
次に、コントローラ部1002は、透明画像の形成条件を設定する(S806)。つまり、定着条件(熱量)Qを強め、通常、弱めの何れかに設定し、形成回数Nを1-3の何れかに設定する。そしてメモリ1005に格納された色票データと、色票上に透明色材を重ねるためのCLデータ(=‘11’)を色変換部105に入力し(S807)、画像形成プロセスを開始する。プリンタ部1003は、色票データに対応する、透明色材が一回、二回または三回重畳された、色が異なる複数の色票を含むカラーチャートを印刷する(S808)。
次に、コントローラ部1002は、スキャナ部1001によってカラーチャートの各色票のRGBデータを取得(測定)して、カラーチャートの各色票の測色値を演算して、測色値をメモリ1005の所定領域に格納する(S809)。そして、透明画像の形成条件の組み合わせに対応するカラーチャートの印刷と測定が終了したか否かを判定し(S810)、未了であれば処理をステップS806に戻す。
カラーチャートの印刷と測定が終了すると、コントローラ部1002は、色票の基準測色値と、透明色材を重畳した色票の測色値が一致するように、基準LUTの出力値を補正した色分解LUTNQXを作成する(S811)。なお、色分解LUTの作成には周知の方法を用いればよく、LUTNQXにおける「X」はC、M、Y、Kの何れかである。そして、作成した色分解LUTNQXをメモリ1005の所定領域に格納する(S812)。
このように、コントローラ部1002は、透明画像の形成条件に応じた色分解テーブルを作成し、当該色分解テーブルを使用して画像形成プロセスを実行する。従って、画像形成に透明色材を使用する場合の、透明色材の多用領域と非多用領域における色再現性の違いを、透明画像の形成条件に応じた色分解テーブルを用いて抑制することができる。
[変形例]
上記の実施例によれば、原稿画像を複写する場合に複写画像に透明画像を重ねることができる。勿論、PC1008から受信した印刷ジョブに含まれる電子文書を印刷する場合も、文書画像に透明画像を重ねることができる。その際、画像データ入力部101は、ページ記述言語などで記述された画像データ(PDLデータ)をラスタ画像にレンダリングする、所謂RIP (raster image processing)を実行する。
また、透明パターンや透明画像の形成条件は、PC1008上で稼働するプリンタドライバが提供するUIを介して指定、設定しても構わない。この場合、図5や図7に示すUIがプリンタドライバが提供する設定画面として表示される。
上記では、第一の色材であるCMYKの有色色材に加えて、第二の色材である透明色材を利用する画像形成を説明した。しかし、第二の色材として、特殊な色の色材(例えば特色色材)を利用する画像形成においても、本発明を適用することができる。例えば、特色色材として蛍光色やオレンジ色の色材を用いて追い刷りを行う印刷においても、特色色材の使用量が相対的に多い多用領域と、特色色材の使用量が相対的に少ないか、非使用の非多用領域における色再現性の違いを抑制することができる。なお、特殊な色の色材として、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのプロセスカラーの色材うち、二色以上の色材を混色して得られる色(例えばレッド、グリーン、ブルー)よりも彩度が高い色の色材を用いることができる。
[その他の実施例]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

Claims (10)

  1. 第一の色材と第二の色材を用いて記録媒体上に画像を形成するための画像データを生成する画像処理装置であって、
    前記第一の色材を用いて形成する画像の画像データを入力する画像の入力手段と、
    前記第二の色材を用いて形成するパターンの画像データを入力するパターンの入力手段と、
    前記画像の入力手段によって入力される画像データが表す画像を形成する際の、少なくとも前記第二の色材を用いて前記パターンを形成する画像形成回数を示す前記パターンの形成条件を入力する条件の入力手段と、
    前記形成条件に対応する変換テーブルを使用して、前記画像の画像データを前記第一の色材の使用量に相当する画像データに変換し、前記パターンの画像データを前記第二の色材の使用量に相当する画像データに変換する変換手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記第一の色材は有色色材であり、前記第二の色材はほぼ無色透明の透明色材であることを特徴とする請求項1に記載された画像処理装置。
  3. 前記第一の色材はプロセスカラーの色材であり、前記第二の色材は特色の色材または前記プロセスカラーの二色以上の色材を混色して得られる色よりも彩度が高い色の色材であることを特徴とする請求項1に記載された画像処理装置。
  4. 前記変換手段は、前記形成条件および前記画像の画像データに対応する変換テーブルを用いて、前記画像の画像データおよび前記パターンの画像データに基づき前記画像の画像データを色分解することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載された画像処理装置。
  5. 前記形成条件は、さらに、前記第二の色材の定着条件、前記記録媒体の特性の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載された画像処理装置。
  6. 前記変換手段は、前記形成条件および前記パターンの画像データに対応する変換テーブルを用いて、前記画像の画像データおよび前記パターンの画像データに基づき前記パターンの画像データを、前記第二の色材を用いる画像形成回数に対応する各画像形成回における前記第二の色材の使用量に相当する画像データに変換することを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載された画像処理装置。
  7. さらに、前記変換手段が出力する画像データを、前記第一の色材と前記第二の色材を用いる画像形成プロセスを行う画像形成装置に出力する出力手段を有することを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載された画像処理装置。
  8. 前記パターンは、印刷物の表面の凹凸を表すことを特徴とする請求項1から請求項7の何れか一項に記載された画像処理装置。
  9. 第一の色材と第二の色材を用いて記録媒体上に画像を形成するための画像データを生成する画像処理装置の画像処理方法であって、
    画像の入力手段が、前記第一の色材を用いて形成する画像の画像データを入力し、
    パターンの入力手段が、前記第二の色材を用いて形成するパターンの画像データを入力し、
    条件の入力手段が、前記入力される画像データが表す画像を形成する際の、少なくとも前記第二の色材を用いて前記パターンを形成する画像形成回数を示す前記パターンの形成条件を入力し、
    変換手段が、前記形成条件に対応する変換テーブルを使用して、前記画像の画像データを前記第一の色材の使用量に相当する画像データに変換し、前記パターンの画像データを前記第二の色材の使用量に相当する画像データに変換することを特徴とする画像処理方法。
  10. コンピュータを請求項1から請求項8の何れか一項に記載された画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
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