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JP5955653B2 - 焼成物の六価クロム溶出量低減方法及び焼成物の製造方法 - Google Patents

焼成物の六価クロム溶出量低減方法及び焼成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、焼成物の六価クロム溶出量を効果的に低減するための方法、及び六価クロム溶出量が効果的に低減された焼成物を製造するための方法に関する。
従来より、モルタルやコンクリート用の骨材、路盤材、盛土材及び埋め戻し材等の材料として、種々の焼成物が用いられており、さらに粉砕することによってセメント添加材としても利用されている。かかる焼成物を得るには、通常、原料として天然の鉱物が用いられていることもあり、これらの原料の多くには、微量ではあるものの単体のクロムや三価クロム(Cr3+)が不可避的に混入する。
一方、近年、経済成長や都市部への人口集中等に伴い、産業廃棄物や一般廃棄物等が急増している。これら廃棄物等の消費を促進するため、例えば特許文献1には、原料として廃棄物等を使用することができる焼成物が提案されてはいるものの、こうした原料にも単体のクロムや三価クロムが混入している可能性が高い。
特開2004−2155号公報
しかしながら、上記のような焼成物を得るには、必然的に焼成する工程を経るため、その過程で単体のクロムや三価クロムから六価クロム(Cr6+)が生成されるおそれがある。生成した六価クロムは、得られた焼成物から溶出する危険性が高まり、JIS K 0058、環境庁告示第13号法、或いは環境庁告示第46号によっても、その溶出量の基準値が定められている。そのため、路盤材、盛土材及び埋め戻し材等の土工資材やコンクリート用骨材の好適な材料とする上で、かかる危険性を未然に回避することが望まれている。
したがって、本発明の目的は、路盤材、盛土材及び埋め戻し材等の土工資材やコンクリート用骨材の好適な材料となる焼成物を得るにあたって、焼成物から溶出する六価クロムの量を効果的に低減し得る方法を提供することにある。
そこで本発明者は、種々検討したところ、特定の鉱物組成を有する焼成物を得るにあたり、原料を焼成する前に、原料中における特定の金属の質量が特定の関係を満たすよう、原料を調合することによって焼成物から溶出する六価クロムの量を効果的に低減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、原料を焼成することによって、2CaO・SiO2(以下、C2Sと称する)100質量部に対して、2CaO・Al23・SiO2(以下、C2ASと称する)を10〜100質量部含有し、かつ3CaO・Al23(以下、C3Aと称する)の含有量が20質量部以下である焼成物を得るにあたり、
焼成する前の原料中における塩素(Cl)、カリウム(K)及びナトリウム(Na)のモル量が、下記式(1)及び(2)を満たすように、原料を調合することを特徴とする焼成物の六価クロム溶出量低減方法を提供するものである。
Clのモル量/Kのモル量≧0.8・・・(1)
Clのモル量/(Naのモル量+Kのモル量)≦1.0・・・(2)
また、本発明は、原料を焼成する工程を含み、2CaO・SiO2100質量部に対して、2CaO・Al23・SiO2を10〜100質量部含有し、かつ3CaO・Al23の含有量が20質量部以下である焼成物の製造方法であって、
焼成する前の原料中における塩素(Cl)、カリウム(K)及びナトリウム(Na)のモル量が、下記式(1)及び(2)を満たすように、原料を調合することを特徴とする焼成物の製造方法を提供するものである。
Clのモル量/Kのモル量≧0.8・・・(1)
Clのモル量/(Naのモル量+Kのモル量)≦1.0・・・(2)
本発明の焼成物の六価クロム溶出量低減方法によれば、良好な強度発現性及び優れた耐久性を保持し、路盤材、盛土材及び埋め戻し材等の土工資材やコンクリート用骨材の好適な材料となり得る焼成物において、焼成物からの六価クロム溶出量を効果的かつ容易に低減することができる。また、本発明の焼成物の製造方法によれば、路盤材、盛土材及び埋め戻し材等の土工資材やコンクリート用骨材の好適な材料となり、かつ六価クロム溶出量が有効に低減された焼成物を得ることができる。したがって、安全性を確保しつつ、急増する廃棄物等を多量に消費する上でも、非常に有用な方法である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、原料を焼成することによって、2CaO・SiO2100質量部に対して、2CaO・Al23・SiO2を10〜100質量部含有し、かつ3CaO・Al23の含有量が20質量部以下である焼成物を得るにあたり、
特定の条件を満たすように原料を調合することを特徴とする焼成物の六価クロム溶出量低減方法である。
本発明において、得られる焼成物は、2CaO・SiO2100質量部に対して、2CaO・Al23・SiO2を10〜100質量部含有し、かつ3CaO・Al23の含有量が20質量部以下である。
上記C2Sは、水硬性を有しており、コンクリートや路盤等中で緩和に反応を進行させ、これらコンクリートや路盤等を緻密化して強度を高めることができる。また、上記C2ASは、水硬性を有しないものの、炭酸化によって緻密化するため、コンクリートの中性化を抑制したり、路盤等の強度を高めたりする効果を発揮することができる。
焼成物中におけるC2ASの含有量は、C2S100質量部に対して、10〜100質量部であって、好ましくは20〜90質量部であり、より好ましくは25〜80質量部である。C2S100質量部に対し、C2ASの含有量が10質量部未満であると、焼成物の吸水率が増大するおそれがあるとともに、冷却の際に焼成物が粉状化する現象(ダスティング)が生じるおそれがあり、また焼成する際に焼成温度を上げてもフリーライム量が低下しにくい傾向にある。一方、100質量部を超えると、焼成可能な温度範囲が限られ、製造の管理が困難となるおそれがある。
上記C3Aは、焼成物の吸水率を低下させる観点、及び骨材や路盤材等として用いた際に膨張破壊が発生するのを防止して、コンクリートや路盤等の耐久性が低下するのを抑制する観点から、その含有量を減じるのがよい。具体的には、本発明の焼成物中におけるC3Aの含有量は、C2S100質量部骨材や路盤材等として用いた際に膨張破壊に対して、20質量部以下であって、好ましくは0〜10質量部である。
このような組成の焼成物を製造するための原料としては、一般のポルトランドセメントクリンカー原料、すなわち、石灰石、生石灰、消石灰等のCaO原料、珪石、粘土等のSiO2原料、粘土等のAl23原料、鉄滓、鉄ケーキ等のFe23原料を使用することができる。
また、本発明においては、焼成物の原料として、産業廃棄物、一般廃棄物、汚染物及び建設発生土から選ばれる1種以上を用いることもでき、廃棄物の有効利用を促進させることができるので、天然資源や環境保護の面からも好ましい。ここで、産業廃棄物としては、例えば石炭灰;生コンスラッジ;下水汚泥、浄水汚泥、建設汚泥、製鉄汚泥等の各種汚泥;ボーリング廃土、各種焼却灰、鋳物砂、ロックウール、廃ガラス、高炉2次灰、建設廃材、コンクリート廃材などが挙げられる。一般廃棄物としては、例えば下水汚泥乾粉、都市ごみ焼却灰、貝殻等が挙げられる。汚染物としては、重金属汚染土壌、有機物汚染土壌、フッ素汚染土壌等が挙げられる。建設発生土としては、建設現場や工事現場等から発生する土壌や残土、さらには廃土壌等が挙げられる。なお、原料としてこれらの廃棄物等を用いる場合、必要に応じて上記CaO原料、SiO2原料、Al23原料、Fe23原料を添加することができる。
なお、焼成物の原料組成によっては、特に、上記産業廃棄物、一般廃棄物、汚染物及び建設発生土から選ばれる1種以上(以下、廃棄物原料と称する)を原料として用いた場合、4CaO・Al23・Fe23(以下、C4AFと称する)が生成することがあるが、本発明の焼成物においては、好ましくはC2ASの一部、より好ましくはC2AS中の70質量%以下がC4AFで置換されてもよい。C4AFがこの範囲を超えて置換されると、焼成の温度範囲が狭くなって製造の管理が困難となるおそれがある。
また、焼成中における急激な溶融を回避する観点から、C2S100質量部に対するC2ASとC4AFとの合計含有量は、好ましくは100質量部以下である。
本発明の焼成物の鉱物組成(C4AF、C3A、C2AS、C2S)は、使用原料や焼成物中のCaO、SiO2、Al23、Fe23の各含有量(重量%)から、次式により求めることができる。
4AF=3.04×Fe23
3A=1.61×CaO−3.00×SiO2−2.26×Fe23
2AS=−1.63×CaO+3.04×SiO2+2.69×Al23+0.57×Fe23
2S=1.02×CaO+0.95×SiO2−1.69×Al23−0.36×Fe23
本発明では焼成物を得るにあたり、上記原料を調合し、焼成する。原料を調合する際、焼成する前の原料中における塩素(Cl)、カリウム(K)及びナトリウム(Na)のモル量が、下記式(1)及び(2)を満たすように調合する。これによって、得られる焼成物から溶出する六価クロムの量を効果的に低減することができる。
Clのモル量/Kのモル量≧0.8・・・(1)
Clのモル量/(Naのモル量+Kのモル量)≦1.0・・・(2)
式(1)におけるClのモル量/Kのモル量(モル比)は、六価クロムの量をより効果的に低減する観点から、0.8以上であって、好ましくは1.0以上である。かかるモル比が0.8未満であると、六価クロムの溶出量を十分に低減できないおそれがある。
式(2)におけるClのモル量/(Naのモル量+Kのモル量)(モル比)は、1.0以下であって、好ましくは0.8以下である。かかるモル比が1.0を超えると、液相が生じやすくなって焼成温度が低下する可能性があるため、焼成物中に必要以上にClが残存したり、焼成時における排ガス中の塩化水素濃度が上昇したりするおそれがある。
原料中におけるK及びNaは、通常不可避的に原料に混入することから、上記式(1)及び(2)を満たすように原料を調合するには、原料にClを添加する。かかるClを添加する際に用いるCl源としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の有機塩素化合物、又はこれらを含む廃プラスチック;塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の無機塩素化合物、又はこれらが混入している廃棄物が挙げられる。なかでも、塩素の揮発を促進させる観点から、塩化カルシウム、ポリ塩化ビニルが好ましい。
本発明においては、原料として、さらに硫黄を添加するのが好ましい。硫黄は原料中に存在するKやNa等のアルカリ金属と化合物を形成しやすいため、六価クロムがこれらアルカリ金属と化合物を形成するのを回避することができ、より効果的に六価クロムの溶出量を低減することが可能である。かかる硫黄を添加する際に用いる硫黄源としては、硫黄自身の揮発を防止する観点から、石膏、硫化鉄等のアルカリ金属以外の金属との化合物が好ましく、さらにCaO源としても用い得る観点から、石膏がより好ましい。
上記Cl源等を添加して原料を調合するに際し、必要に応じて、これらの混合を兼ねて解砕、粉砕等を行って調合してもよく、或いは解砕機又は粉砕機と混合機とを組み合わせて、2段階の処理を行って調合してもよい。後述するロータリーキルンを用いて焼成する場合は、ロータリーキルン内で原料が回転混合されるので、所望のCaO原料、SiO2原料、Al23原料、Fe23原料及び廃棄物等の一部やCl源等を、そのままロータリーキルンの原料入口側に投入してもよい。また、可燃性の原料の場合は、原料出口側から空気圧送により投入したり、バーナー燃料の一部として投入してもよい。
焼成する際の焼成温度は、1200〜1350℃が好ましく、1250〜1350℃がより好ましい。かかる焼成温度が1200℃未満であると、KやNa等のアルカリ金属が十分に揮発せず、六価クロム溶出量の低減効果が低下するおそれがあり、またフリーライム量が増大して、得られる土工資材等において膨張破壊が発生する可能性がある。一方、1350℃を超えると、融液が増大して焼成が困難となるおそれがあり、また添加した硫黄まで必要以上に揮発して、所望の六価クロム溶出量の低減効果が十分に得られない可能性がある。
原料の焼成(加熱)時間は、KやNa等のアルカリ金属の十分な揮発量を得る観点から、好ましくは15分間以上であり、より好ましくは30分間以上である。加熱時間の上限は特に限定されないが、経済上の観点から、好ましくは180分間以下であり、より好ましくは120分間以下である。
焼成(加熱)手段としては、連続式とバッチ式のいずれも用いることができる。連続式の焼成(加熱)手段の例としては、ロータリーキルン等が挙げられる。バッチ式の焼成(加熱)手段の例としては、焼却炉、電気炉、マイクロ波加熱装置等が挙げられる。
なかでも、処理の効率を高める観点から、連続式の焼成(加熱)手段が好ましく、さらにKやNa等のアルカリ金属の揮発に適する加熱温度及び原料の滞留時間を容易に与える観点から、ロータリーキルンがより好ましい。ロータリーキルン等のように原料が転動する場合には、アルカリ金属とCl源との接触率が大きくなり熱伝導率も向上するため、静置した条件下で加熱する場合よりも、原料の滞留時間を短縮することができる。
なお、揮発量を得るため、フリーライム量を減らすため、又は吸水率を低下させるために行う焼き締めは、焼成において運転が可能な限り、高温或いは長時間焼成することによって行う。
[還元雰囲気下での焼成]
還元雰囲気下での焼成について、内部燃焼型の装置(内燃式ロータリーキルン等)を用い、向流タイプ(原料出口側で燃焼するもの)を選択した場合を例に解説するが、本焼成形態に限られるものではない。
さらに、六価クロム溶出量の低減効果を高める観点から、還元雰囲気下で焼成を行ってもよい。具体的には、例えば、上記使用原料を焼成する際に、可燃性物質を燃焼する方法が挙げられる。可燃性物質を燃焼することによって、原料の周辺を還元雰囲気に保つことができ、かつ原料を焼成する工程において、六価クロムが生成していても、三価クロムに還元される。
かかる可燃性物質としては、例えば、石炭、コークス、活性炭、廃木材、廃プラスチック、重油スラッジ、都市ゴミ等の廃棄物を圧縮及び/又は固形化した廃棄物固形塊等が挙げられる。
還元雰囲気下で焼成を行うにあたり、可燃性物質を供給する方法としては、使用原料に予め混合してもよく、焼成に使用する装置として、ロータリーキルンを使用する場合、使用原料の入口側、出口側又はロータリーキルンの途中から可燃性物質を供給してもよい。
可燃性物質を原料に予め混合する場合、得られる焼成物中に可燃性物質が未燃焼状態で残存しない範囲であれば、可燃性物質の混合量は多い程好ましく、可燃性物質の粒径も大きい程好ましい。
可燃性物質をロータリーキルンの使用原料の入口側、又はロータリーキルンの途中で供給する場合の詳細については以下のとおりである。
この場合、可燃性物質は還元雰囲気を長時間維持することができるものが好ましい。具体的には、例えば、ロータリーキルンの主燃料に比べて、燃焼速度の遅いもの、又は主燃料と同様の燃焼速度を有し、主燃料よりも粗い粒である可燃性物質が挙げられる。具体的には、石油コークス、石炭コークス、無煙炭等が挙げられる。燃焼速度が遅い程、可燃性物質を細かくできるので好ましい。
可燃性物質の平均粒径は、好ましくは0.5〜20mmであり、より好ましくは1〜5mmである。かかる平均粒径が0.5mm未満であると、燃焼中のごく初期段階で燃えきってしまうおそれがあるため、還元雰囲気を長時間維持できなくなる場合がある。また平均粒径が20mmを超えると、得られる焼成物に未燃焼状態の可燃性物質が多量に残存するため、供給した可燃性物質が無駄となるおそれがあるとともに、残存する未燃炭素がAE剤を吸着することで、例えば、焼成物をコンクリート用骨材として用いる場合において、モルタルコンクリートの空気連行性が悪化する、或いは締め固めした場合に未燃炭素が表面に現れ、モルタルコンクリートの外観が悪化する等の問題が生じるおそれがある。
可燃性物質の量は、得られる焼成物1000kgあたり、好ましくは5〜40kgであり、より好ましくは10〜40kgであり、さらに好ましくは12〜40kgである。かかる量が5kg未満であると、還元効果が小さい場合がある。また、かかる量が40kgを超えると、得られる焼成物に未燃焼状態の可燃性物質が多量に残存し、焼成物をコンクリート用骨材として用いる場合において、モルタルコンクリートの空気連行性や外観が悪化する場合がある。
なお、還元雰囲気下で焼成を行うにあたり、可燃性物質は、ロータリーキルンの途中で供給する場合には、ロータリーキルン内で最も高温となる位置から、使用原料の入口側までの途中で供給することが好ましい。
可燃性物質を燃焼する際の、炉内の酸素(O2)濃度は、可燃性物質をすぐに消失させないという観点から、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
還元雰囲気下で焼成を行うにあたり、使用原料の出口側から可燃性物質を供給する場合について述べる。
可燃性物質は、空気を用いて使用原料の出口側から炉内に向かって容易に圧送することができる。また、ロータリーキルンの出口側に専用の投入口を設けてもよい。さらに、粗い可燃性物質(平均粒径が1〜10mm程度のもの)を主バーナーの燃料の一部として落下させてもよい。
可燃性物質は、使用原料の入口側、又はロータリーキルンの途中で供給する場合よりも強い還元状態にできるものが好ましい。具体的には、例えば、ロータリーキルンの主燃料に比べて、燃焼速度が速い可燃性物質が挙げられる。燃焼速度が速い可燃性物質としては、例えば、上述した廃棄物固形塊等が挙げられる。
この場合における可燃性物質の平均粒径は、好ましくは0.1〜10mmであり、より好ましくは1〜5mmである。かかる平均粒径が0.1mm未満であると、焼成中のごく初期段階で燃えきってしまうため、還元雰囲気を維持できなくなる場合がある。また、かかる平均粒径が10mmを超えると、得られた焼成物に未燃焼状態の可燃性物質が多量に残存して供給した可燃性物質が無駄となり、また焼成物をコンクリート骨材として用いる場合において、モルタルコンクリートの空気連行性や外観が悪化する場合がある。なお、還元雰囲気を維持できる時間は、可燃性物質の平均粒径により調整することができる。
可燃性物質の熱量は、主バーナーに用いられる燃料全体の熱量に対して、通常2〜40%となるように使用することができる。可燃性物質の熱量が2%未満であると、還元効果が小さい場合がある。可燃性物質の熱量が40%を超えると、得られた焼成物中に未燃焼状態の可燃性物質が多量に残存して供給した可燃性物質が無駄となり、焼成物をコンクリート骨材として用いる場合において、モルタルコンクリートの空気連行性や外観が悪化する場合がある。
上記可燃性物質を使用原料の入口側又はロータリーキルンの途中で供給する場合と比べて、使用原料の出口側から供給する場合は、ロータリーキルン内で還元雰囲気となるのは炉内の一部であるため、還元雰囲気を長時間維持するとともに、還元反応速度が高まる高い温度域で還元雰囲気となるように、可燃性物質の供給位置(落下位置)をロータリーキルン内で最高温度となる位置よりも使用原料の入口側に調整することが好ましい。供給位置は、好ましくは、通常キルンの内径をDとして、キルンの出口から4Dの地点より奥が好ましい。また、主バーナー等の設定条件により、キルン内の最高温度となる位置がより出口側になった場合には、キルンの出口から3Dの地点より、奥が好ましい。供給位置(落下位置)は、可燃性物質の投入口の角度、投入口の位置、可燃性物質を投入する速度、可燃性物質の粒度及び密度で調整することが好ましい。
さらに、還元雰囲気下で焼成を行う他の方法としては、使用原料に炎を直接接触させる方法が挙げられる。具体的には、内部燃焼型の装置(内燃式ロータリーキルン等)において、焼成(加熱)中の使用原料とバーナーの炎が直接接するように焼成する(以下、「炎膜焼成」ともいう。)。内燃式ロータリーキルンを用いて炎膜焼成を行う方法としては、(a)加熱用主バーナーを下部に設置して、炎が使用原料等をなめるように焼成(加熱)する、(b)燃料量や空気速度を調整することで炎を発散させて、炎が使用原料等をなめるように焼成(加熱)する、(c)主バーナーの角度を下に向けることで炎を長くして、炎が使用原料をなめるように焼成(加熱)する等の方法が挙げられる。また、加熱用主バーナー以外に炎膜焼成用の補助バーナーを設置してもよい。各条件の調整によって、使用原料等と炎の接触時間が長くなる程、還元効果が向上する。また、使用原料にクロムが含まれていても、六価クロムの生成を防止することができ、かつ使用原料を焼成する工程において、六価クロムが生成していても、三価クロムに還元される。
炎膜焼成を行う際の酸素濃度は、より多くの炎膜を発生させる観点から、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3%以下である。
さらに、上述した可燃性物質の燃焼及び/又は炎膜焼成を併用してもよい。
また、焼成(加熱)する際の雰囲気を調整することによって、還元雰囲気下としてもよい。例えば、還元雰囲気下で使用原料を焼成する他の方法として、焼成に用いる燃料を理論空気量よりも少ない空気量で燃焼する方法が挙げられる。
具体的には、内部燃焼型の装置(内燃式ロータリーキルン等)において、炉内の空気比(理論空気量に対する供給空気量の割合)を0.8〜1.0とし、炉内の酸素濃度を1質量%以下、又は一酸化炭素濃度を0.1〜1.0質量%にして、上記燃料を燃焼する。空気比が0.8未満、又は一酸化炭素濃度が1.0質量%を超えると、焼成に必要な燃焼が困難となるおそれがある。空気比が1.0を超える場合、酸素濃度が1質量%を超える場合、又は一酸化炭素濃度が0.1質量%未満である場合、還元効果が小さくなるおそれがある。
加熱(焼成)に用いる燃料としては、主燃料(バーナーの燃料)として、重油、微粉炭、再生油、LPG、NPG、及び可燃性物質等が挙げられ、空間中で燃焼するように粒度を調整したものが用いられる。
さらに、六価クロム溶出量の低減効果を高める観点から、上記還元雰囲気下で焼成を行うほか、高温焼成物へ可燃性物質を投入してもよい。具体的には、例えば、熱風炉や単なる容器への充填・静置による高温保持工程を設けたり、エアークエンチングクーラー、ロータリークーラーでの冷却工程に可燃性物質を混合する。なかでも、酸素に接することが少なく、可燃物の混合度合いが高い観点から、ロータリー型の装置を用いることが好ましい。可燃性物質の投入方法は特に制限されないが、焼成に使用する装置として、ロータリーキルンを使用する場合、その落ち口に落下させて投入することができる。
可燃性物質を投入する際の焼成物の温度は、高温である程効果が高く、好ましくは800℃以上であり、より好ましくは1000℃以上である。可燃性物質を投入してからの冷却時間は、長い程効果が高く、投入から600℃まで低下するのに好ましくは1分以上であり、より好ましくは3分以上である。また、可燃性物質の投入量は、主燃料(バーナーの燃料)の熱量に対して2〜20%まで使用することができる。投入量が多すぎると、可燃性物質が多量に残存するおそれがあり、また投入量が少なすぎると、還元効果が小さくなるおそれがある。
還元時間が短く還元温度が低いので、可燃性物質としては、より強い還元状態にできるものが好ましい。例えば、石炭、コークス、活性炭、廃木材、廃プラスチック、重油スラッジ、都市ゴミ等の廃棄物を圧縮及び/または固形化した廃棄物固形塊等が挙げられ、中でも燃焼速度が速い可燃性物質である廃木材、廃プラスチック、重油スラッジ、及び都市ゴミ等の廃棄物を圧縮及び/又は固形化した廃棄物固形塊等が好ましい。
可燃性物質の平均粒径は、好ましくは0.1〜10mmであり、より好ましくは1〜5mmである。可燃性物質の平均粒径が10mmを超えると、冷却後の焼成物中に可燃性物質が大量に残存してしまうおそれがある。また、かかる平均粒径が0.1mm未満であると、還元低減効果が小さくなると共に、投入する際に冷却空気の風速等によって飛散してしまうおそれがある。
上述した条件を、6価クロムの低減効果が大きく、空気の風速等によって可燃性物質が飛散することを防ぎ、かつ、可燃物が残存しないように調整すればよい。
可燃性物質を供給する位置は、還元状態が炉内の一部のため、還元状態を長く維持する観点、及びより揮発される高温で還元状態となる観点から、使用原料が焼成工程から出てきらすぐに混合するのが好ましい。
[焼成物の溶融]
また、原料を焼成する工程を経た後、得られた焼成物をさらに加熱して溶融することにより、溶融物を得てもよい。焼成物から溶融物にすることで、焼成物に含まれる六価クロムがガラス中に封じ込まれ、土工資材等に使用した場合に、六価クロムの溶出量をより効果的に低減することができる。焼成物をさらに加熱して溶融させた後、冷却して粒状の溶融物とする。得られた粒状の溶融物は、吸水率が低く、高強度であることから、コンクリート用骨材として好適に用いることができる。なお、溶融物の冷却は、急冷でも徐冷でもよい。また、焼成物からのアルカリの溶出が多い(pHが高い)場合もあるが、鉱物のガラス化やフリーライム量(f.CaO)の低減によりアルカリの溶出がさらに減少(pHが減少)し、環境への負荷も低減させることもできる。
焼成物を溶融するには、エネルギーコストの観点から、焼成工程によって得られた高温の状態の焼成物(例えば、キルンから出てきた直後の焼成物)を直接溶融することが好ましい。
溶融に供する焼成物の粒度は、特に制限されないが、溶融時間の短縮化の観点から、焼成物を直径40mm以下に粗粉砕するのが好ましく、20mm以下に粗粉砕するのがより好ましい。
溶融温度を低下させる観点から、予め焼成物にSi源、Fe源又はAl源を添加した後に溶融するとよく、なかでも溶融物の流動性の観点から、Si源を添加するのが好ましい。
添加することのできるSi源としては、珪石、粘土、石炭灰、鉄鋼スラグ、建設発生土等のSiO2原料や廃棄物、Fe源としては、鉄滓、鉄ケーキ等のFe23原料や廃棄物、Al源としては、アルミドロス、赤泥等のAl23原料や廃棄物が挙げられる。
添加するSi源等の量は、コンクリート用骨材の粗骨材として用いる場合、セメントペーストとの接着性を高める観点から、水硬率(HM=CaO質量%/(SiO2質量%+Al23質量%+Fe23質量%)が1.0以上の組成となる量とすることが好ましい。また、コンクリート用骨材の細骨材や土工資材として用いる場合は、粗骨材として用いる場合に比べ、より多くの量のSi源やFe源を添加することができるが、経済性および溶融物の流動性の観点から、水硬率(HM=CaO質量%/(SiO2質量%+Al23質量%+Fe23質量%)が0.5以上の組成となる量とすることが好ましい。
溶融温度は、Si源等を添加しない場合、六価クロム溶出量や吸水率の低減効果の観点から、焼成温度より50℃以上高くするのが好ましく、100℃以上高くするのがより好ましい。また、Si源等を添加する場合、六価クロム溶出量や吸水率の低減効果の観点から、1300℃以上とするのが好ましく、1350℃以上とするのがより好ましい。
溶融炉としては、コークスベッド炉、旋回溶融炉、表面溶融炉、ロータリーキルン等の既存の溶融炉を利用すればよい。なお、ロータリーキルンが溶融炉の場合、溶融前の温度域を通過する際に焼成を兼ねることもできる。
[薬剤の添加]
またさらに、六価クロム溶出量の低減効果を高める観点から、上記方法のほか、薬剤を用いてもよい。かかる薬剤としては、例えば、還元剤が挙げられる。これを用いることにより、六価クロムを三価クロムに還元してアルカリ性で水酸化物として不溶化することができる。かかる還元剤としては、具体的には、亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩、硫酸鉄(II)、塩化鉄(II)などの鉄(II)塩、チオ硫酸ナトリウム、鉄粉等が挙げられる。焼成工程を経た後の焼成物にこれらの還元剤を添加し、混合すればよい。
他の薬剤としては、例えば、吸着剤が挙げられる。これを用いることによって、六価クロムを吸着して不溶化し、六価クロムの溶出を抑制することができる。かかる吸着剤としては、具体的には、ゼオライト、シュベルマナイトや粘土鉱物、Mg−Al系やMg−Fe系などのハイドロタルサイト化合物のような層状複水酸化物、Ca−Al系水酸化物やエトリンガイトやモノサルフェートなどのCa−Al系化合物、酸化鉄(ヘマタイト)や酸化ビスマスなどの含水酸化物、水酸化マグネシウムや軽焼マグネシウム、焼成ドロマイトなど酸化マグネシウムなどのマグネシウム化合物、硫化鉄や鉄粉やシュベルマナイトやFe(OH)2などの鉄化合物、酸化ケイ素や酸化アルミニウムや酸化鉄などの1種または2種以上の混合物又は焼成物、セリウムや希土類元素を含む化合物が挙げられる。
これら薬剤の投入量は、焼成物100kg当たりの金属塩の量が、好ましくは0.01〜10kg、より好ましくは0.1〜7kg、さらに好ましくは0.2〜5kgとなるように、水溶液の濃度や水溶液の噴霧量、水溶液中への焼成物の投入量を調整する。薬剤の投入量が少なすぎると、六価クロム溶出量を低減する効果が低下するおそれがあり、薬剤の投入量が多すぎると、六価クロム溶出量を低減する効果が飽和するため、コスト高になるおそれがある。
投入するにあたり、薬剤を粉状、スラリー又は水溶液としたものを、混合、噴霧、或いは水没すればよい。この際における温度は、好ましくは800℃以下であり、より好ましくは600℃以下であり、さらに好ましくは400℃以下である。水没による薬剤の投入の際における温度は、好ましくは100℃以上であり、より好ましくは150℃以上である。薬剤を投入する際における温度を100℃以上とすることで、得られる焼成物を気孔がある骨材に用いる場合、内部までよく吸水し、薬剤が浸透し、また表面にも付着するので効果的である。薬剤を投入する際の温度が高すぎると、焼成物にクラック等が生じ、微粒化したり、強度の低下が生じたりするおそれがある。
またさらに、六価クロム溶出量の低減効果を高める観点から、上記方法のほか、水洗を行ってもよい。かかる水洗とは、具体的には、
1)容器内、或いはベルトコンベア上の焼成物にスプリンクラー等により液体を散布する方法、
2)焼成物を容器に供給して液体に浸漬したり、液体を供給したりして入れ替える方法、
3)焼成物を液体中に浸漬しながら入れ替える方法(トロンメルなど)、
等により洗浄する方法である。洗浄液は、単なる水であってもよく、又は上記薬剤の水溶液であってもよい。洗浄後の液は、再利用してもよく、また水処理した後、廃棄してもよい。洗浄時間、洗浄回数、洗浄液の量は特に限定されず、六価クロム溶出量が基準値を満たすまで実施すればよい。
なお、排ガス中に揮発したアルカリ金属塩は、冷却されて固体になった後、集塵機またはスクラバー等で回収することができる。また、キルンにプレヒーターが取り付けられている場合は、揮発したアルカリ金属塩を高濃度で含む排ガスの一部を抽気して、冷却することにより、固体となったアルカリ塩を回収することもできる。回収したアルカリ金属塩は、必要に応じて水洗又は吸着等の処理を経ることにより、さらなる減容化処置をすることができる。
このようにして得られる焼成物や溶融物中におけるフリーライム量は、好ましくは1.0質量%以下であり、より好ましくは0.8質量%以下である。焼成物や溶融物中にフリーライムが多く存在すると骨材や路盤材等として用いた際に膨張破壊が発生するおそれがあるが、本発明において得られる焼成物や溶融物は、これを有効に防止することができる。
得られる焼成物や溶融物の吸水率は、好ましくは5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは2%以下である。吸水率が5%以下であると、六価クロムが鉱物中に封じ込められて、その溶出量が低減する。また、高強度な粒状物が焼成物又は溶融物として得られるので、コンクリート用骨材として好適に使用できる。なお、吸水率とは、「JIS A 1110(粗骨材の密度及び吸水率試験方法)」に準じて測定される値を意味する。
また、得られる焼成物や溶融物の絶乾密度は、好ましくは2.0〜3.0g/cm3であり、より好ましくは2.3〜3.0g/cm3であり、さらに好ましくは2.5〜3.0g/cm3である。焼成物や溶融物の絶乾密度が2.0g/cm3未満であると、例えばコンクリートの骨材として用いた場合、コンクリートの強度低下のおそれがある。
なお、得られる焼成物や溶融物の粒度は、用途に応じて、また締め固め性等を考慮して、ふるい分け等により調整して用いればよい。なかでも、上記土木・港湾材料として好適に用いる観点から、好ましくは0.1〜100mmであり、特に粗骨材として使用する場合には、ふるい分け等により、例えば粒度を5mm以上に調整して用いるのがよい。
本発明の焼成物及び溶融物は、コンクリート用の骨材、或いは路盤材、埋め戻し材等の土木資材として用いることができる。コンクリート用の骨材としては、細骨材、粗骨材のいずれにも使用することができる。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜9、比較例1〜5]
表1に示す組成の原料を用い、焼成する前の原料中の含有量が表3に示す量となるよう、表2に示す割合で調合し、混合物を得た。なお、原料に塩素は含まれていなかった。石灰石としては市販の石灰石微粉末(ブレーン比表面積3350cm2/g)を用い、CaCl2及びCaSO4としては試薬を用いた。生コンスラッジ、下水汚泥焼却灰、建設発生土は予めディスクミルにより粉砕した。工業原料としては、市販の珪石微粉末(#200)、アルミナ粉末(試薬)、酸化鉄粉末(試薬)を用いた。また、比較例2及び3の原料には、原料100質量部に対し、Na2SO4試薬を1.5質量部添加した。
次いで、得られた混合物を直径1cm程度に手造粒し、箱型電気炉を用い、大気中にて焼成した。具体的には、電気炉内の温度が800℃に到達した時点で混合物を投入し、45分間で表3に示す温度まで昇温し、その温度で15分間保持し、焼成物を得た。得られた焼成物の鉱物組成(C2S、C2AS、C4AF、C3A)を使用原料中のCaO、SiO2、Al23、Fe23の各含有量(質量%)から上述の式により算出し、表2に示した。
また、SO3、K2O、Na2Oの各量を、蛍光X線分析法(XRF)で測定し、Cl量は湿式法を用いて測定して、揮発率(質量%)を求めた。フリーライム(f.CaO)量は、セメント協会標準試験方法I−01−1997に準じて求めた。吸水率(%)は、JIS A 1110に準じて求めた。六価クロム溶出量は、JIS K 0058−1に準じて(有姿、水固形分比10)求めた。
結果を表3に示す。
Figure 0005955653
Figure 0005955653
Figure 0005955653
Cl/K≧0.8、及びCl/(Na+K)≦1.0の要件を満たした実施例1〜9の焼成物は、六価クロム溶出量が0.05mg/L以下であった。なかでも、K2O量が0.1%以下と低く、SO3量が0.6%以上と高い実施例3〜4は、六価クロム溶出量が0.01mg/Lと低い値であった。実施例8よりSO3量を高めた実施例9は、吸水率が実施例8より高いことから、ガラス化効果による六価クロム不溶化効果は小さいにもかかわらず、六価クロム溶出量は実施例8と同じ0.03mg/Lであり、六価クロム溶出量の低減効果があることがわかる。
一方、CaCl2を添加していない比較例4では、六価クロム溶出量が0.16mg/Lと高い値を示した。また、Cl/(Na+K)>1.0である比較例5は、低温で溶融し焼成温度を上げることができなかった。
他方、C2S100質量部に対するC2ASの含有量が10質量部に満たない比較例2は、f.CaO量が1.5%となり、膨張破壊してしまった。また、C2S100質量部に対するC2ASとC4AFの含有量が100質量部を超える比較例3は、急激に溶融し焼成温度を上げることができなかった。C2S100質量部に対するC2ASの含有量が20質量部を超える比較例1は、吸水率が他よりも高い6%であった。
[実施例10〜11]
上記実施例2で得られた焼成物に対して溶融処理を行い、溶融物を製造した。実施例10では、実施例2で得られた焼成物を1450℃で1時間加熱した。実施例11では、実施例2で得られた焼成物0.8質量部を直径2mm以下に粗粉砕し、珪石粉末0.2質量部を加え(水硬率0.8)、1350℃で1時間加熱した。
pHは、六価クロム溶出量の測定に用いた浸漬水をガラス電極のpH計にて求めた。
実施例2で得られた焼成物も含め、結果を表4に示す。
Figure 0005955653
表4の結果により、得られた焼成物を溶融した実施例10では、f.CaOが検出されなくなり、pHも減少したことがわかる。また、六価クロム溶出量は半減し、吸水率も1.0%まで減少していることから、優れた性能のコンクリート用骨材として有用であることがわかる。
さらにSi源を加えた実施例11では、溶融温度を低下させることができ、さらに六価クロム溶出量、吸水率、及びpHのいずれをもより低減できることがわかる。
以上のように、本発明の焼成方法によって得られた焼成物及び溶融物は、安全かつ良好な品質の土工資材あるいは骨材として用いることが可能であることは明らかである。

Claims (12)

  1. 原料を焼成することによって、2CaO・SiO2100質量部に対して、2CaO・Al23・SiO2を10〜100質量部含有し、3CaO・Al23の含有量が20質量部以下であり、かつ2CaO・Al23・SiO2と4CaO・Al23・Fe23の合計含有量が100質量部以下である焼成物を得るにあたり、
    焼成する前の原料中における塩素(Cl)、カリウム(K)及びナトリウム(Na)のモル量が、下記式(1)及び(2)を満たすように塩化カルシウム及び石膏を添加して、原料を調合することを特徴とする焼成物の六価クロム溶出量低減方法。
    Clのモル量/Kのモル量≧1.0・・・(1)
    Clのモル量/(Naのモル量+Kのモル量)≦0.8・・・(2)
  2. 焼成物の吸水率が、5%以下である請求項1に記載の焼成物の六価クロム溶出量低減方法。
  3. 原料が、産業廃棄物、一般廃棄物、汚染物及び建設発生土から選ばれる1種以上である請求項1又は2に記載の焼成物の六価クロム溶出量低減方法。
  4. 焼成する温度が、1200〜1350℃である請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼成物の六価クロム溶出量低減方法。
  5. 焼成物中におけるフリーライム量が、1質量%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の焼成物の六価クロム溶出量低減方法。
  6. 原料を還元雰囲気下で焼成する請求項1〜5のいずれか1項に記載の焼成物の六価クロム溶出量低減方法。
  7. 原料を焼成する工程を経た後、得られた焼成物をさらに溶融する請求項1〜6のいずれか1項に記載の焼成物の六価クロム溶出量低減方法。
  8. 原料を焼成する工程を経た後、得られた焼成物にさらに薬剤を添加して六価クロムの不溶化処理を行う請求項1〜7のいずれか1項に記載の焼成物の六価クロム溶出量低減方法。
  9. 原料を焼成する工程を含み、2CaO・SiO2100質量部に対して、2CaO・Al23・SiO2を10〜100質量部含有し3CaO・Al23の含有量が20質量部以下であり、かつ2CaO・Al 2 3 ・SiO 2 と4CaO・Al 2 3 ・Fe 2 3 の合計含有量が100質量部以下である焼成物の製造方法であって、
    焼成する前の原料中における塩素(Cl)、カリウム(K)及びナトリウム(Na)のモル量が、下記式(1)及び(2)を満たすように塩化カルシウム及び石膏を添加して、原料を調合することを特徴とする焼成物の製造方法。
    Clのモル量/Kのモル量≧1.0・・・(1)
    Clのモル量/(Naのモル量+Kのモル量)≦0.8・・・(2)
  10. 原料を還元雰囲気下で焼成する請求項9に記載の焼成物の製造方法。
  11. 請求項9又は10に記載の製造方法により得られた焼成物を溶融した後、冷却することを特徴とする、六価クロムがガラス中に封じ込まれてなる粒状の溶融物の製造方法。
  12. 原料を焼成する工程を経た後、得られた焼成物に薬剤を添加して六価クロムの不溶化処理を行う請求項9又は10に記載の焼成物の製造方法。
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