JP5954073B2 - 化粧シート及びこの化粧シートを用いた化粧板 - Google Patents
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Description
このように基板の上面に加工適性及び使用適性を有し、成形体に意匠性を付与することができる化粧シートは、例えば、基材、絵柄層、接着層、ポリエステル樹脂層、及び表面保護層をこの順に積層させることにより製造することができる(例えば特許文献1)。
本発明は、前記従来の課題を鑑みてなされたものであって、優れた鏡面性、加工適性及び使用適性を有する化粧シート、及びこの化粧シートを用いた化粧板を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、以下の通りである。
[2]前記化粧シートを有する化粧板。
本発明の化粧シートは、厚さが40μm以上である基材上に、少なくとも、厚さが1〜25μmである接着層、表面保護層、及び厚さが15〜200μmである転写用フィルムをこの順に有し、基材の面のうち接着層とは反対側の面の算術平均表面粗さ(Ra)が15μm以下であり、転写用フィルムの面のうち表面保護層と接する面の算術平均表面粗さ(Ra)が20μm以下であり、表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であるため、加工適性及び使用適性だけでなく、極めて優れた鏡面性を有するものである。
基材としては、厚さが40μm以上であり、基材の裏面の算術平均表面粗さ(Ra)が15μm以下のものを用いる。基材の厚さが40μm未満であると化粧シートとしての強度が低下する。上記観点及びコストを抑える観点から、基材の厚さは40〜650μmが好ましく、40〜500μmがより好ましく、45〜500μmがより好ましく、48〜250μmが更に好ましい。
また、基材の裏面の算術平均表面粗さ(Ra)が15μmを超えると化粧シートの巻き上げの際に、基材の凹凸が転写用フィルムの表面に賦形されて化粧シートの鏡面性が低下してしまう。上記観点から、基材の裏面の算術平均表面粗さ(Ra)は0.5〜13μmが好ましく、0.8〜12μmがより好ましい。
なお、本発明において算術平均表面粗さ(Ra)は、後述の実施例の欄に記載の方法で測定した値を意味し、また、基材の裏面とは、基材の面のうち接着層とは反対側の面を意味する。
このようなプラスチックフィルムやプラスチックシートを基材として用いる場合には、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面又は両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理を施すことが好ましい。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン−紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から好ましい。
また該基材は基材と各層との層間密着性の強化等のためのプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
本発明においては、化粧シートの意匠性を高めることを目的として、基材と接着層との間に着色隠蔽層3及び着色層4の少なくとも1種を設けることが好ましい。着色隠蔽層3は、基材2が着色していたり色ムラがある場合に、意図した色彩を与えて表面の色を整えることができる。着色隠蔽層は、通常基材や下地を隠蔽する目的で、不透明色で形成することが多いが、着色透明色で形成し、基材や下地が持っている模様を活かすこともできる。
着色剤としては、化粧シートの用途や着色層との色の相性等から適宜選択すればよいが、例えばカーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。
この着色隠蔽層3の厚さは、0.5〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましく、1〜6μmが更に好ましい。
図1に示される着色層4は化粧シートに装飾性を与えるものであり、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。模様としては、通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。なお、本発明における着色層としては、模様を形成することなく、対象面の全面に対してインキを印刷した層としてもよい。着色層に用いる絵柄インキとしては、着色隠蔽層3に用いるインキと同様のものを用いることができる。
本発明においては、基材2と表面保護層6との間に接着層5を設ける。なお、基材2と接着層5との間には、前記着色隠蔽層3や着色層4等の接着層5以外の層が存在していてもよい。
本発明においては、接着層5の厚さを1〜25μmとする。接着層の厚さが25μmを超えると接着層の表面を平滑に形成することが困難になり、接着層の厚さが1μm未満であると十分な接着力を得ることができない。上記観点から接着層の厚さは、2.5〜15μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。
前記熱硬化型接着剤としては、熱によって化学反応が生じて架橋する性質を有する組成物を含むものが好ましく、例えば、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエ−テルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等を挙げることができ、これらの中では2液硬化型ウレタン系接着剤が好適である。2液硬化型ウレタン系接着剤を用いることにより、より強力な接着強度が得られ、可撓性に優れた化粧シートが提供できる。ここで、2液硬化型ウレタン系接着剤を構成するウレタン系樹脂は、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンである。
前記イソシアネートは、ポリウレタンの製造に通常用いられるものを本発明においても用いることができる。イソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアネートオクタン、1,3,6−トリイソシアネートヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアネートメチルオクタン等の脂肪族ポリイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、1,3,5−トリイソシアネートシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアネートシクロヘキサン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン等の脂環族ポリイソシアネート、1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネート又はその混合物、1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼン等の芳香脂肪族ポリイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネートの誘導体等が用いられる。これらのポリイソシアネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのポリイソシアネートのうち、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネート誘導体等が好ましく用いられる。これらのポリイソシアネートは、安全性、衛生性及び耐候性に優れたものである。
熱硬化型接着剤により接着層を形成する場合、例えば、上述した塗布剤(接着剤)を着色隠蔽層上に塗布し、接着層を形成した後、貼り合せる基材を積層して30〜120℃で数時間〜数日間エージングして接着剤を硬化させることにより形成することができる。
本発明においては、各層間の密着性を向上させること、及び化粧シートに十分な耐候性を付与することを目的として、任意の層間にプライマー層を設けてもよい。
プライマー層の形成に用いられるインキとしては、バインダーに必要に応じて、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。該バインダーに制限はなく、例えば、エステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン−アクリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ニトロセルロース樹脂等を挙げることができ、これらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。プライマー層の塗布方法に制限はなく、例えば、1種又は2種以上の樹脂を溶剤等を用いて塗料組成物又はインキ組成物とし、ロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いて形成することができる。
これらの紫外線吸収剤としては、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等を好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステル、及びトリアジン系、具体的には、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノール、1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリ[[3,5−ビス−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]等が挙げられる。
また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
基材2には、各種の被着材との接着性を向上させる目的で裏面に裏面プライマー層8を設けてもよい。裏面プライマー層8の形成に用いられる材料としては特に限定されず、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。なお、裏面プライマー層8に用いられる材料は被着材によって、適宜選択される。
本発明において、表面保護層6は電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化したものである。なお、電離放射線硬化性樹脂組成物とは、電磁波又は荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線等を照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物を指す。
この表面保護層は、化粧シートに耐汚染性、耐擦傷性、耐水性、耐薬品性、耐候性等の使用適性を用途に応じて付与する。
表面保護層に用いる電離放射線硬化性樹脂組成物としては、従来公知の化合物を適宜使用することができる。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、なかでも多官能(メタ)アクリレートが好ましい。多官能(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。
具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート等が挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、又は、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
本発明において用いる電離放射線硬化性樹脂としては、多官能ウレタンアクリレートオリゴマーが好ましく、2官能ウレタンアクリレートオリゴマーがより好ましい。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤等を用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は溶剤の使用量を低減することが可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等を好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステル等が挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコール等が、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物等が用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラック等の公知の着色用顔料等が用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
皮膜補強剤としては、例えばポリエステル系樹脂(昭和インク工業(株)製「皮膜補強剤」)が用いられる。
シリコーン(メタ)アクリレートは、ポリシロキサンからなるシリコーンオイルのうち、(メタ)アクリル基を導入した変性シリコーンオイルの中の一つである。変性シリコーンオイルの構造は、置換される(メタ)アクリル基の結合位置によって、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型に大別されるが、(メタ)アクリル基の結合位置には、特に制限はない。また、(メタ)アクリル基の置換数にも、特に制限はないが、シリコーンメタクリレートとシリコーンアクリレートとを組み合わせて用いることが好ましい。
このようなシリコーンメタクリレートとしては、鏡面性や光沢感を向上させる観点から、メタクリル基を1つ又は2つ有する1又は2官能シリコーンメタクリレートが好ましく、分子量1,000〜6,000、より好ましくは3,000〜6,000、官能基当量(分子量/官能基数)500〜3,000、より好ましくは1,500〜3,000のものが挙げられる。
また、シリコーンアクリレートとしては、アクリル基を複数、好ましくは4つ以上を、更に好ましくは4〜6つ有する多官能シリコーンアクリレートが好ましく、分子量3,000〜100,000、より好ましくは10,000〜30,000、官能基当量(分子量/官能基数)750〜25,000、より好ましくは3,000〜6,000の条件を有するものが挙げられる。
上記1又は2官能シリコーンメタクリレートの含有量は、鏡面性、光沢感を向上させる観点から、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1.5〜20質量部、より好ましくは2〜4質量部である。また、上記多官能シリコーンアクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部である。
また、シリコーンメタクリレートとシリコーンアクリレートとの含有量の比は、1:1〜1:5、より好ましくは1:2〜1:3(いずれも質量比)である。
本発明においては、前記の電離放射線硬化成分である重合性モノマーや重合性オリゴマー及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、電離放射線硬化性樹脂組成物からなる塗布液を調製する。この塗布液の粘度は、後述の塗布方式により、塗布面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
本発明においては、このようにして調製された塗布液を、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗布し、未硬化樹脂層を形成させる。
本発明において硬化後の表面保護層の厚さは、耐傷性、鏡面性の観点から、2〜20μmが好ましく、3〜15μmがより好ましく、5〜10μmが更に好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜70kGy(1〜7Mrad)の範囲で選定される。
更に、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能等を付与することもできる。
転写用フィルムは、厚さが15〜200μmであり、転写用フィルムの面のうち表面保護層と接する面の算術平均表面粗さ(Ra)が20μm以下であるものであれば特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。厚さが15μm未満であると、転写用フィルムにカールや皺が発生しやすくなり、剥離後の鏡面性が悪化する。厚さが200μmを超えると施工時の剥離性、加工適正、コストが悪化し、更に環境配慮の点で好ましくない。上記観点から、転写用フィルムの厚さは、18〜195μmが好ましく、22〜190μmがより好ましい。
また、転写用フィルムの面のうち表面保護層と接する面の算術平均表面粗さ(Ra)が20μmを超えると、化粧シートの表面が平滑ではなくなる。上記観点から、表面保護層と接する面の算術平均表面粗さ(Ra)は、0.02〜15μmが好ましく、0.05〜12μmがより好ましい。
転写用フィルムは、用途に応じて適宜選択できる。化粧板の切削性や鏡面性に対しては、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく、ラッピング適性に対しては2軸延伸ポリプロピレンフィルムが好ましい。
転写用フィルムに対しては、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、必要に応じて一方の面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理を施すことができる。
前記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン−紫外線処理法等が挙げられる。
前記凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、転写用フィルムの種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から好ましい。
本発明においては、転写用フィルムが保護フィルム(マスキングフィルム)としての役割を担っているため、材料削減と工程簡略化によりコスト削減と環境配慮を図ることができる。また、表面保護層をコーティングした平滑性を有する転写用フィルムを設けることにより、基材の表面性(表面の凹凸)に影響されない鏡面性に優れた化粧シートを製造することができる。
なお、転写用フィルムを剥がして転写を行う工程は、(i)基材2と転写用フィルムとを貼り合わせた後、すなわち、転写用フィルムを他の層と積層して化粧シートとした後に行ってもよく、(ii)保護フィルム(マスキングフィルム)としての役割をもたせるために、化粧シートを後述の基板11に貼り合わせた後に行ってもよく、また、(iii)施工後、使用直前に行ってもよく、特に限定されない。
また、本発明の化粧シートとしては、総厚が120〜650μmであることが好ましく、180〜500μmであることがより好ましく、180〜250μmであることが更に好ましい。
本発明の化粧板は、本発明の化粧シートを有するものであり、前記本発明の化粧シートを各種基板に貼着することにより製造することができる。具体的には、図2に示すように、基板11に基板用接着層10を介して化粧シート1を貼着するものである。前記化粧板用の基板11としては、木材単板、木材合板、パーチクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質板、石膏板、石膏スラグ板等の石膏系板、珪酸カルシウム板、石綿スレート板、軽量発泡コンクリート板、中空押出セメント板等のセメント板、パルプセメント板、石綿セメント板、木片セメント板等の繊維セメント板、陶器、磁器、せっ器、土器、硝子、琺瑯等のセラミックス板、鉄板、亜鉛メッキ鋼板、ポリ塩化ビニルゾル塗布鋼板、アルミニウム板、銅板等の金属板、ポリオレフィン樹脂板、アクリル樹脂板、ABS板、ポリカーボネート板等の熱可塑性樹脂板、フェノール樹脂板、尿素樹脂板、不飽和ポリエステル樹脂板、ポリウレタン樹脂板、エポキシ樹脂板、メラミン樹脂板等の熱硬化型樹脂板、フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の樹脂を、硝子繊維不織布、布帛、紙、その他の各種繊維質基材に含浸硬化して複合化したいわゆるFRP板等の樹脂板が挙げられる。また、化粧板用の基材としては、上記各種基材の2種以上を接着剤、熱融着等の公知の手段により積層した複合基材を用いてもよい。
化粧シートの基板上への貼着は、通常、本発明の化粧シートの裏面に基板用接着層を形成し、基板を貼着するか基板の上に接着剤を塗布し、化粧シートを貼着する等の方法による。
<実施例1>
実施例1の化粧シートを下記(a)〜(c)の工程に従って作製した。
(a)基材としてのポリオレフィン樹脂シート(ポリプロピレン樹脂(PP)シート:厚み150μm、裏面の算術平均表面粗さ10μm)上に、ウレタン樹脂を主体とし、着色顔料として酸化チタンを含有するインキを、乾燥後の塗布量が2g/m3となるようにグラビア印刷することにより着色隠蔽層及び着色層をそれぞれ形成した。
(b)転写用フィルムとしてのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム:東洋紡(株)製、商品名「A4100」、厚さ50μm、算術平均表面粗さ0.1μm)上に電離放射線硬化性樹脂組成物(2官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量:3,000)を乾燥後の厚さが5μmとなるように塗布し、165kV、5Mradにて硬化を行い表面保護層を形成した(硬化後の表面保護層の厚さ:5μm)。
(c)上記(b)で得られた表面保護層の表面にコロナ処理を施し、この処理面に2液硬化型接着剤(大日精化工業(株)製、商品名「E295NT」)を硬化後の厚さが5μmとなるように塗布した後、この接着層と上記(a)の着色層とが接するようにラミネートすることにより化粧シートを作成した。
<測定方法>
算術平均表面粗さ(Ra)
JIS B0601:2001に準拠し、(株)小坂研究所製の高精度表面粗さ計「SE‐3FAT」を使用して、針の半径2μm、荷重30mgで拡大倍率20万倍、カットオフ0.08mmの条件下でチャートを描かせ、表面粗さ曲線からその中心線方向に測定長さLの部分を抜き取った。この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向とY軸として、粗さ曲線をY=f(x)で表わした時、次の式で与えられた値をnm単位で表わした。また、この測定は、基準長を1.25mmとして4個測定し、平均値で表わした。
基板(厚さ:3mm,中密度繊維板(MDF),JIS A 5905に準じたもの)の一方の面に、エチレン−酢酸ビニル系接着剤(水性エマルジョンタイプ,中央理化(株)製、商品名「BA−20」)を塗布量が60g/m2(wet)となるよう塗布し、これを介して前記化粧シートの基材と基板とを接着することにより化粧板を作製した。
得られた化粧シート及び化粧板について、下記の各種評価を行った。結果を表1に示
す。
各層の厚さ、及び特性を表1のとおり変更したこと以外は実施例1と同様にして化粧シート及び化粧板を作製した。得られた化粧シート及び化粧板について、下記の各種評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例12>
転写用フィルムを2軸延伸ポリプロピレンフィルム[OPPフィルム:三井化学東セロ株式会社製、商品名:「U−1」、厚さ20μm、算術平均表面粗さ10μm]へ変更したこと以外は実施例1と同様にして化粧シート及び化粧板を作製した。得られた化粧シート及び化粧板について、下記の各種評価を行った。結果を表1に示す。
各実施例で得られた化粧シートについて、以下の方法で評価した。
(1)化粧シートでの鏡面性、化粧板での鏡面性
各化粧シート及び化粧板を3波長域発光型蛍光灯(パナソニック(株)製:商品名「FPL27EX−N」)の下に置き、目視により表面の写り込み像を以下の基準で評価した。
◎ :明確に像が映り込んでいる
○ :明確ではないが像が映り込んでいる
○△:写り込んだ像が多少荒れているが、実用上問題ない程度である
× :写り込んだ像の荒れが著しい
溶融装置(ノードソン(株)製「MC−12」)を用いて、115℃の温度で溶融したポリウレタン系ホットメルト接着剤(日立化成ポリマー(株)製「ハイボン4836」)が80μm厚となるように3R形状のMDF(厚さ3mm、JIS A 5905に準じたもの)に塗布し、基板用接着層を形成した。次いで、プロフィールラミネーターPL−300−PUR(株式会社丸仲鐵工所製PURラッピング機)で供給した前記化粧シートの基材とMDFとを前記基板用接着層を介して接着し、ラッピング加工を行い表面の状態を以下の基準で評価した。
○ :ベース基材、表面保護層の割れ、転写用フィルムの浮きが全くない。
○△:ベース基材、表面保護層の割れ、転写用フィルムの浮きが多少あるが、実使用上
問題ない。
× :ベース基材、表面保護層の割れ、転写用フィルムの浮きが発生
得られた化粧板を積層面側からルーター切削加工を行い、バリの評価を以下の基準で行った。
◎ :バリの発生が全くない。
○ :バリが僅かにあるが、実使用上問題ない。
△ :バリが一部あるが、実使用上問題ない。
× :バリが多く発生している。
表面保護層をクロスカットし、ニチバン製セロテープ(登録商標)を貼付して急激に剥離する操作を1回行った。塗膜の剥離の有無について肉眼観察により確認し、下記の基準で評価した。
○ :塗膜の剥離は全くなかった。
○△:極軽微塗膜の剥離が確認されるが、実使用上問題ない。
△ :塗膜の剥離が確認された。
一方、本発明において規定する厚さ、特性を満たさない比較例1〜5の化粧シート及び化粧板は、鏡面性、使用適性、加工適性のいずれかが低いものとなっている。
2 基材
3 着色隠蔽層
4 着色層
5 接着層
6 表面保護層
7 転写用フィルム
8 裏面プライマー層
10 基板用接着層
11 基板
Claims (6)
- 厚さが40μm以上である基材上に、少なくとも、厚さが1〜25μmである接着層、表面保護層、及び厚さが15〜200μmである転写用フィルムをこの順に有し、基材の面のうち接着層とは反対側の面の算術平均表面粗さ(Ra)が15μm以下であり、転写用フィルムの面のうち表面保護層と接する面の算術平均表面粗さ(Ra)が20μm以下であり、表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である化粧シート。
- 基材と接着層との間に着色隠蔽層及び着色層の少なくとも1種を有する、請求項1に記載の化粧シート。
- 前記接着層が熱硬化型接着剤により形成されている、請求項1又は2に記載の化粧シート。
- 転写用フィルムがポリエチレンテレフタレート系フィルム又は2軸延伸ポリプロピレンフィルムである、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
- 前記電離放射線硬化性樹脂が2官能ウレタンアクリレートオリゴマーである、請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シートを有する化粧板。
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