<前提技術>
図32は、前提技術における電力変換装置900の構成を示す図である。図33は、前提技術における電力変換装置900の制御の一例を示すブロック図である。図32および図33では、電力変換装置900の一例として、DC−DCコンバータを示して、電力変換装置の制御について説明する。以下の説明では、電圧変換装置900を「DC−DCコンバータ900」という場合がある。
DC−DCコンバータ900は、金属−酸化膜−半導体電界効果型トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor;略称:MOSFET)などの半導体スイッチング素子901,902、入力リアクトル920および平滑コンデンサ930を備えて構成される。DC−DCコンバータ900には、直流電源910が接続されている。以下の説明では、電力変換装置に入力される電圧を「入力電圧Vin」という場合がある。図32では、電力変換装置であるDC−DCコンバータ900に入力される直流電源910の電圧(以下「直流電源電圧」という場合がある)が、入力電圧Vinとなる。
DC−DCコンバータ900において、平滑コンデンサ930の直流電圧Vdcを制御するときのフィードバック制御を示すブロック図は、図33のように表される。
図33に示すように、直流電圧Vdcの制御において、減算器90は、平滑コンデンサ930の目標電圧Vdc*と平滑コンデンサ930の直流電圧Vdcとの差分を取り、得られた値を差分電圧91の値として出力する。減算器90から出力された差分電圧91の値は、フィードバック量として、比例積分(PI)制御器92に与えられる。
PI制御器92は、減算器90から与えられた差分電圧91の値について比例積分(PI)制御を行う。PI制御器92は、PI制御を行うことによって得られた値を、平滑コンデンサ930の目標電流Idc*の値として出力する。出力された平滑コンデンサ930の目標電流Idc*の値は、第1の操作量となる。
DC−DCコンバータ900は、入力側に入力リアクトル920が接続されて構成されており、半導体スイッチング素子902のスイッチング制御によって制御されるのは、入力電流Iinである。そこで、平滑コンデンサ930の目標電流Idc*の値を、実際の制御での操作量となる入力電流目標値Iin*に変換する。
所定の電力における入出力の電流比から求められる変換乗数93(X=Vdc/Vin)を、PI制御器92から出力される目標電流Idc*の値に乗算し、乗算した値を、入力電流目標値Iin*として得る。入力電流目標値Iin*は、第2の操作量となる。入力電流目標値Iin*は、PWM(Pulse Width Modulation)制御器94に与えられる。
PWM制御部94は、入力電流目標値Iin*を用いて、半導体スイッチング素子901,902のゲート信号95を生成し、PWM制御によって、平滑コンデンサ930の直流電圧Vdcの制御を行う。PWM制御部94では、マイナーループとして、入力電流目標値Iin*へのフィードバック制御を実行してもよく、その場合は、より精密な電流制御が可能であるが、ここでは説明を省略する。
変換乗数93を表す式であるX=Vdc/Vinからも判るように、平滑コンデンサ930の目標電圧Vdc*と平滑コンデンサ930の直流電圧Vdcとの差分値である差分電圧91の値に対して得られる入力電流目標値Iin*は、入力電圧Vinである直流電源電圧に反比例する特性となる。
図34は、入力電圧Vinの反比例特性の概念を示すグラフである。図34の横軸は入力電圧Vinの値を示し、縦軸は入力電圧Vinの逆数1/Vinの値を示す。図34に示すように、入力電圧Vinが低下するにつれて、その逆数1/Vinは急増する。したがって、差分電圧91の値に対して得られる入力電流目標値Iin*も急増してしまう。
追従制御における出力電圧の追従性を確保するためには、前述のように演算によって制御することが理論的には正しい。しかし、結果として、入力電流目標値Iin*などの操作量が大きな変動を生じる場合がある。
追従制御において、操作量が大きく変動すると、電圧および電流のリプルを生じることになる。たとえば、コンデンサからの電流を操作量とする制御では、電流の大きな変動によって、コンデンサの発熱が引き起こされ、素子の寿命に影響する。また交流(AC)系統の電流を操作量とする制御では、照明のちらつきなどの家電への影響が懸念される。さらに、急激な変動を繰り返す場合、EMC(Electromagnetic Compatibility)への悪影響が考えられる。そこで、本発明の電力変換装置では、以下に示す各実施の形態の構成を採用している。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態における電力変換装置1000の構成を示す図である。電力変換装置1000は、図1に示すように、交流電源1の交流電力を直流電力に変換して出力するための主回路110と、制御回路10Aとを備えて構成される。主回路110は、電力変換回路に相当し、制御回路10Aは、制御部に相当する。
主回路110は、限流回路としてのリアクトル2と、コンバータ回路100とを備える。コンバータ回路100は、MOSFETなどの半導体スイッチング素子101a,102a,103a,104aと、平滑コンデンサ3とを備える。平滑コンデンサ3は、電圧を平滑化するコンデンサであり、本実施の形態では、コンバータ回路100の出力電圧を平滑化する。
電力変換装置1000は、交流電力を直流電力に変換するAC−DCコンバータである。AC−DCコンバータは交流−直流変換回路に相当し、交流電力は交流入力に相当し、直流電力は直流出力に相当する。本実施の形態の電力変換装置1000では、主回路110に入力される交流電源1からの交流電圧が、入力電圧Vinとなる。
本実施の形態では、コンバータ回路100は、4つの半導体スイッチング素子101a,102a,103a,104aを備える。以下の説明において、4つの半導体スイッチング素子を区別して示す場合には、第1コンバータ用素子101a、第2コンバータ用素子102a、第3コンバータ用素子103aおよび第4コンバータ用素子104aという。
第1および第2コンバータ用素子101a,102aは、直流母線3a,3b間に直列に接続されてブリッジ回路を構成する。第1および第2コンバータ用素子101a,102aと並列して、第3および第4コンバータ用素子103a,104aが直流母線3a,3b間に直列に接続されてブリッジ回路を構成する。これらの2つのブリッジ回路でフルブリッジが構成されている。平滑コンデンサ3は、直流母線3a,3b間に接続されている。
第1〜第4コンバータ用素子101a,102a,103a,104aのそれぞれのソース・ドレイン間には、ダイオード101b,102b,103b,104bが逆並列に接続されている。以下の説明において、ダイオード101b,102b,103b,104bを区別して示す場合には、第1ダイオード101b、第2ダイオード102b、第3ダイオード103bおよび第4ダイオード104bという。第1〜第4ダイオード101b,102b,103b,104bは、第1〜第4コンバータ用素子101a,102a,103a,104aにそれぞれ内蔵された構成であってもよい。
第1〜第4コンバータ用素子101a,102a,103a,104aとしては、MOSFET以外にも、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor;略称:IGBT)などを用いてもよい。IGBTなどを用いた場合も、それぞれダイオード101b,102b,103b,104bを逆並列に接続した構成とする。
交流電源1は、電力変換装置1000の2つの入力端子、すなわち第1の入力端子t1と第2の入力端子t2との間に接続される。第1の入力端子t1は、リアクトル2に接続され、リアクトル2は、第1コンバータ用素子101aと第2コンバータ用素子102aとの接続点に接続されている。また、第3コンバータ用素子103aと第4コンバータ用素子104aとの接続点は、第2の入力端子t2に接続されている。
また、図示は省略するが、電力変換装置1000は、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcを測定する電圧計、入力電圧Vinである交流電源1からの交流電圧を測定する電圧計、および入力電流Iinである交流電源1からの交流電流を測定する電流計を備えている。平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcを測定する電圧計は、第1のセンサに相当し、入力電圧Vinを測定する電圧計は、第2のセンサに相当する。
制御回路10Aは、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcと、入力電圧Vinと、入力電流Iinとに基づいて、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcが一定の目標電圧Vdc*になるように、また、入力電流Iinの力率がほぼ「1」となるように、第1〜第4コンバータ用素子101a,102a,103a,104aに対するゲート信号11を生成して、電力変換装置1000の出力制御を行う。平滑コンデンサ3の目標電圧Vdc*は、予め定められる。
平滑コンデンサ3には、不図示の負荷が接続されている。これによって、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcが目標電圧Vdc*に比べて低くなるため、制御回路10Aは、交流電源1からの交流電力を変換して平滑コンデンサ3に直流電力を供給するように出力制御を行う。
以上のように構成される電力変換装置1000の動作、具体的には平滑コンデンサ3に直流電力を出力する動作について、以下に説明する。
制御回路10Aは、交流電源1の交流電圧Vinの極性が正極性の場合には、第1コンバータ用素子101aをオフし、第2コンバータ用素子102aをオンすることによって、交流入力を短絡し、リアクトル2を励磁する。そして、第1コンバータ用素子101aをオンし、第2コンバータ用素子102aをオフすることによって、リアクトル2のエネルギーを交流電圧Vinに重畳して出力し、平滑コンデンサ3を充電する。
このように第1および第2コンバータ用素子101a,102aをPWM制御することによって、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcおよび入力電流Iinの制御を行うことができる。この場合、第3コンバータ用素子103aをオフ状態とし、第4コンバータ用素子104aをオン状態としている。
交流電源1の交流電圧Vinの極性が負極性の場合には、第3および第4コンバータ用素子103a,104aを用いて、交流電圧Vinの極性が正極性の場合と同様にPWM制御することによって、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcおよび入力電流Iinの制御を行うことができる。この場合、第1コンバータ用素子101aをオフ状態とし、第2コンバータ用素子102aをオン状態としている。
以上のように本実施の形態では、交流電圧Vinが正極性の場合には、第2コンバータ用素子102aをオン状態とし、交流電圧Vinが負極性の場合には、第4コンバータ用素子104aをオン状態としているが、電流はソースからドレインの方向に流れるため、第2および第4コンバータ用素子102a,104aをオフ状態として、逆並列接続されたダイオード102b,104bに電流を流すように制御してもよい。また、力行動作のみの場合は、第1および第3コンバータ用素子101a,103aは、ダイオード101b,103bのみで構成されてもよい。
次に、電力変換装置1000の制御の詳細について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態における電力変換装置1000の制御回路10Aの構成を示すブロック図である。制御回路10Aは、減算器120、比例積分(PI)制御器122、第1乗算器123、第2乗算器127、交流電源同期正弦波生成部128、第3乗算器129、差分器130、比例(P)制御器132およびPWM制御部134を備えて構成される。
制御回路10Aは、図1に示す平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcを目標電圧Vdc*に維持し、また、図1に示す交流電源1の力率がほぼ「1」になるように入力電流Iinを制御する。
具体的には、制御回路10Aにおいて、減算器120は、平滑コンデンサ3の目標電圧Vdc*と平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcとの差分を取り、得られた値を差分電圧121の値として出力する。減算器120から出力された差分電圧121の値は、フィードバック量として、PI制御器122に与えられる。
PI制御器122は、減算器120から与えられた差分電圧121の値について比例積分(PI)制御を行う。PI制御器122は、PI制御によって得られた値を、平滑コンデンサ3の目標電流Idc*の値として出力する。出力された平滑コンデンサ3の目標電流Idc*の値は、第1の操作量となる。
半導体スイッチング素子101a〜104aのスイッチング制御によって制御されるのは、入力電流Iinである。そこで、平滑コンデンサ3の目標電流Idc*の値を、実際の制御での操作量となる入力電流実効値(Root Mean Square value;略称:RMS)目標値IinRMS*に変換する。
理論的には、所定の電力における入出力の電流比から求められる変換乗数(Vdc/VinRMS)を、PI制御器122から出力される目標電流Idc*の値に乗算することによって、第2の操作量として、入力電流RMS目標値IinRMS*を求めることができる。
第1乗算器123は、PI制御器122から出力される目標電流Idc*の値と、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcの値とを乗算し、乗算した値を、出力値124として出力する。出力値124は、第2乗算器127に与えられる。
第2乗算器127は、第1乗算器123から与えられる出力値124と、入力電圧実効値VinRMSの逆数に相当する所定値126とを乗算して、入力電流RMS目標値IinRMS*を生成する。第2乗算器127によって生成された入力電流RMS目標値IinRMS*は、第3乗算器129に与えられる。
ここで、所定値126は、入力電圧実効値VinRMSに基づいて演算する関数F(x)125の出力である。この所定値126を用いた演算は、本実施の形態の電力変換装置1000において特徴的な方法であり、その演算について以下に説明する。
関数F(x)125によって求められる値は、前述のように、入力電圧実効値VinRMSの逆数に相当する値である。しかし、入力電圧実効値VinRMSが比較的小さい値である場合には、第2の操作量である入力電流RMS目標値IinRMS*が大きく変動することを防止するために、関数F(x)125によって求められる値は、入力電圧実効値VinRMSの逆数を直線近似した値とする。
図3は、入力電圧実効値VinRMSの逆数である1/VinRMSと、1/VinRMSの直線近似とを示すグラフである。図3において、横軸は、入力電圧実効値VinRMS[V]を示し、縦軸は、入力電圧実効値VinRMSの逆数1/VinRMS[V−1]を示す。
図3では、入力電圧実効値VinRMSの逆数1/VinRMSを参照符号「140」で示される曲線および記号「〇」で表し、入力電圧実効値VinRMSの逆数1/VinRMSの直線近似を参照符号「141」で示される直線および記号「△」で表す。図3に示す入力電圧実効値VinRMSの逆数1/VinRMSの直線近似141は、入力電圧実効値VinRMSの逆数1/VinRMSを表す曲線140の、入力電圧実効値VinRMSが200V(VinRMS=200V)である点における接線近似である。
図4は、図3に示す入力電圧実効値VinRMSの逆数である1/VinRMS 140とその直線近似141とから決定された関数F(x)125Aを示すグラフである。図4において、横軸は、入力電圧実効値VinRMSであるxの値を示し、縦軸は、関数F(x)の値を示す。
関数F(x)125Aでは、xが200以下である(x≦200)場合は、xの逆数1/xの直線近似を用い、xが200を超える(x>200)場合は、xの逆数1/xを用いる。xが200である(x=200)点は、xの逆数1/xとその直線近似との交点である。制御回路10Aは、このような関数F(x)125Aの入力を入力電圧実効値VinRMSとして、換言すればxを入力電圧実効値VinRMSと置いて、所定値126を求める。
図2に戻って、交流電源同期正弦波生成部128は、交流電源1に同期した周波数および位相を有する正弦波を生成する。交流電源同期正弦波生成部128によって生成される正弦波の振幅は、√2である。交流電源同期正弦波生成部128は、生成した正弦波を第3乗算器129に与える。
第3乗算器129は、第2乗算器127で生成された入力電流RMS目標値IinRMS*と、交流電源同期正弦波生成部128で生成された正弦波(振幅√2)とを乗算して、入力電圧Vinである交流電源1からの交流電圧に同期した正弦波の電流指令値を、入力電流目標値Iin*として生成する。これによって、力率がほぼ「1」となるように制御することができる。第3乗算器129によって生成された入力電流目標値Iin*は、差分器130に与えられる。
差分器130は、第3乗算器129から与えられた入力電流目標値Iin*と、入力電流Iinの値との差分を取り、得られた値を差分電流131の値として出力する。差分器130から出力された差分電流131の値は、フィードバック量として、P制御器132に与えられる。
P制御器132は、差分器130から与えられた差分電流131の値について比例(P)制御を行う。P制御器132は、P制御を行うことによって得られた値を、電力変換装置1000の発生電圧の目標値となる電圧指令値133として出力する。P制御器132から出力された電圧指令値133は、PWM制御部134に与えられる。
PWM制御部134は、P制御器132から与えられる電圧指令値133を用いて、図1に示す第1〜第4コンバータ用素子101a,102a,103a,104aに対するゲート信号11を生成する。PWM制御部134によって生成されたゲート信号11は、第1〜第4コンバータ用素子101a,102a,103a,104aに与えられる。
以上に述べたように、第1の実施の形態における電力変換装置1000では、第1の操作量である平滑コンデンサ3の目標電流Idc*を、第2の操作量である入力電流RMS目標値IinRMS*に変換するための変換乗数は、入力電圧実効値VinRMSの逆数に比例している。この入力電圧実効値VinRMSの逆数の代わりに、別の所定値126が用いられる。すなわち、制御回路10Aは、入力電圧実効値VinRMSの逆数に代えて、所定値126を用いて、第2の操作量である入力電流RMS目標値IinRMS*を算出することが可能に構成される。
これによって、入力電圧実効値VinRMSの値が小さくなるに従って、入力電圧実効値VinRMSの逆数の値が急激に大きくなるという反比例の特性を解消し、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcのフィードバック制御において、第2の操作量である入力電流RMS目標値IinRMS*が大きく変動することを防止することができる。したがって、電流の変動に起因する素子の発熱を防止することができ、急激な操作量の変動によるEMCへの悪影響を抑制することができる。
また、以上のように、電力変換装置1000の出力電圧である平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcのフィードバック制御において、その第2の操作量である入力電流IinRMSの変動を抑えることができることによって、電力変換装置1000の入力側の回路への影響を抑制することができる。
また、本実施の形態の電力変換装置1000は、交流電力を直流電力に変換するAC−DCコンバータであるため、たとえば交流系統に接続される場合には、入力電流IinRMSの変動による照明のちらつきなどの家電機器などへの影響を抑制することが可能である。
また、本実施の形態では、関数F(x)125Aとして、入力電圧実効値VinRMSの逆数を直線近似した値が用いられるので、関数F(x)125Aは、入力電圧実効値VinRMSの逆数と同様に、入力電圧実効値VinRMSに対して負の傾きを有する。したがって、入力電流RMS目標値IinRMS*が大きく変動することを防止しつつ、理論的な特性に近づけることができる。
また、本実施の形態では、入力電圧実効値VinRMSの逆数1/VinRMSの直線近似として、入力電圧実効値VinRMSの逆数の接線近似が用いられるので、入力電圧実効値VinRMSの逆数よりも常に小さい値を所定値126として用いることができる。したがって、所定値126を、制御変動が常に抑制する方向に作用させることができる。
また、本実施の形態では、図4に示すように、関数F(x)125Aとして、入力電圧実効値VinRMSの逆数である1/xを直線近似した値と、入力電圧実効値VinRMSの逆数である1/xとが組み合わせて用いられるので、操作量の変動が問題となる入力電圧実効値VinRMSが小さい値の範囲に絞って対策を講じることができる。
また、入力電圧実効値VinRMSの逆数と、所定値126とのどちらを用いるかは、予め定める切替条件、たとえば入力電圧実効値VinRMSであるxの値が、予め定める値以上か否かに基づいて切替えられる。これによって、逆数と所定値126とを適切に切替えることができるので、適切な制御を行うことができる。
また、入力電圧実効値VinRMSの逆数と、所定値126とのどちらを用いるかは、入力電圧実効値VinRMSであるxの値に基づいて切替えられる。これによって、入力電圧実効値VinRMSの逆数と、所定値126とを、入力電圧実効値VinRMSの変動に応じて切替えることができる。したがって、適切な制御を行うことができる。
また、入力電圧実効値VinRMSの逆数である1/xを直線近似した値と、入力電圧実効値VinRMSの逆数である1/xとのどちらの値に基づいて所定値126を生成するかが、これらの交点によって切り替えられるので、所定値126を、入力電圧実効値VinRMSに対して連続的な値とすることができる。したがって、入力電圧実効値VinRMSの変動に対して急激な演算結果の変動が生じないようにすることができる。
本実施の形態では、電力変換装置1000の力行動作のみについて説明したが、回生動作においても同様に、前述の所定値126を用いた制御演算が可能である。回生動作の場合には、電力変換装置1000は、入力電流RMS目標値IinRMS*が負の値となったとき、力率が「−1」となり、交流電源1側へ電力を出力するように第1〜第4コンバータ用素子101a,102a,103a,104aを制御する。
また、本実施の形態では、電力変換装置1000は、第1および第3コンバータ用素子101a,103aを備えて構成されるが、電力変換装置1000が力行動作のみを行う場合には、第1および第3コンバータ用素子101a,103aを設けず、それぞれダイオード101a,103bのみとしてもよい。
また、電力変換装置1000は、チョッパ制御によって電流制御されるコンバータであれば、本実施の形態で示した回路構成に限るものではない。電力変換装置1000は、セミブリッジレス方式を示しているが、交流入力側にダイオードブリッジを備える構成、またはインタリーブ方式であっても、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、電力変換装置1000が、交流電源1に接続されるAC−DCコンバータとして動作する場合について示したが、同じ回路構成で直流電源に接続されてDC−DCコンバータとして動作する場合であっても、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
具体的には、DC−DCコンバータとして動作する場合、電力変換装置1000は、制御回路10Aによる平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcの制御において、第1の操作量である平滑コンデンサ3の目標電流Idc*を求める。第2の操作量として直流の入力電流Iinの目標値を演算するための変換乗数は、直流の入力電圧である直流電源電圧Vinの逆数に比例するため、電力変換装置1000は、この直流電源電圧Vinの逆数の代わりに、前述の所定値126を用いる。これによって、入力電流Iinの急激な制御変動を抑えることができる。
また、電力変換装置の構成は、本実施の形態の電力変換装置1000の構成に限定されるものではない。出力となる平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcを制御するために入力電流Iinを操作するような電力変換装置であれば、回路構成に依らず、本実施の形態の電力変換装置1000と同様の効果を得ることができる。
また、前述の図4に示した関数F(x)125Aの値は一例であり、これに限定されるものではない。
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、入力電圧実効値VinRMSの逆数を接線近似した所定値を用いて、制御のための演算を行う。本発明の第2の実施の形態では、第1の実施の形態とは異なる所定値を用いて、制御のための演算を行う。
本実施の形態における電力変換装置は、第1の実施の形態とは異なる所定値を用いて制御のための演算を行うこと以外は、第1の実施の形態における電力変換装置1000と同一の構成を有する。すなわち、本実施の形態における電力変換装置の構成は、前述の図1に示す第1の実施の形態における電力変換装置1000の構成と同一であり、本実施の形態における電力変換装置の制御回路の構成は、前述の図2のブロック図に示す第1の実施の形態における電力変換装置1000の制御回路10Aの構成と同一である。
以下の説明では、本実施の形態における電力変換装置についても、「電力変換装置1000」と記載する。本実施の形態における関数F(x)125について、以下に説明する。
第1の実施の形態において、図4に示す関数F(x)125Aによって求められる値は、前述のように入力電圧実効値VinRMSの逆数に相当する値である。本実施の形態では、入力電圧実効値VinRMSが比較的小さい値である場合に、第2の操作量である入力電流RMS目標値IinRMS*が大きく変動することを防止するために、交流電源1が交流100V系のときには、入力電圧実効値VinRMSの逆数よりも小さい固定値である、予め定める定数を関数F(x)125の出力とする。
図5は、入力電圧実効値VinRMSの逆数1/VinRMS 140と固定値とから決定された関数F(x)125Bを示すグラフである。図5において、横軸は、入力電圧実効値VinRMSであるxの値を示し、縦軸は関数F(x)の値を示す。
関数F(x)125Bでは、入力電圧実効値VinRMSが交流100V系となるxが150以下(x≦150)の場合は固定値を用い、xが150を超える(x>150)場合は交流200V系と判断して、xの逆数である1/xを用いる。固定値は、図5に示す例では、0.005である。
このような関数F(x)125Bの入力を入力電圧実効値VinRMSとして、すなわちxを入力電圧実効値VinRMSと置いて、所定値126が求められる。
これによって、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、入力電圧実効値VinRMSの逆数である1/VinRMSの値が急激に大きくなるという反比例の特性を解消し、フィードバック制御において、第2の操作量である入力電流RMS目標値IinRMS*が大きく変動することを防止することができる。したがって、電流の変動による素子発熱を防止し、操作量の急激な変動によるEMCへの悪影響を抑制することができる。
また、本実施の形態では、xが所定値以下の場合には、関数F(x)として、入力電圧実効値VinRMSの逆数の代わりに、固定値が用いられる。これによって、入力電流RMS目標値IinRMS*が大きく変動することを、比較的単純な方法で、より確実に防止することができる。
また、本実施の形態では、関数F(x)125Bで固定値を用いるか否かの判定は、入力電圧実効値VinRMSであるxの値に基づいて行われる。これによって、入力電圧実効値VinRMSの逆数である1/xが比較的大きい値となる条件下において、所定値126として出力される値を切り替えることができる。
以上に述べた本実施の形態では、入力電圧実効値VinRMSに基づいて、固定値を用いるか否かの判定を行っているが、これに限定されない。たとえば、入力電圧実効値VinRMSの逆数の演算結果に対して、固定値に基づいて上限を設けてもよい。これによって、本実施の形態と同様に、固定値を用いて、入力電流RMS目標値IinRMS*の変動を抑制することができる。
<第3の実施の形態>
図6は、本発明の第3の実施の形態における電力変換装置2000の構成を示す図である。本実施の形態の電力変換装置2000は、前述の図1に示す第1の実施の形態の電力変換装置1000と構成が類似しているので、同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
図6に示すように、本実施の形態の電力変換装置2000は、交流電源1の交流電力を直流電力に変換して出力する主回路110Aと、制御回路10Bとを備えて構成される。主回路110Aは、限流回路を構成するリアクトル2と、インバータ回路200と、コンバータ回路300と、平滑コンデンサ3とを備える。平滑コンデンサ3は、他のコンデンサに相当する。
交流電源1は、電力変換装置2000の第1の入力端子t1と第2の入力端子t2との間に接続される。第1の入力端子t1は、リアクトル2に接続される。リアクトル2は、単相インバータで構成されたインバータ回路200に直列に接続される。
インバータ回路200は、リアクトル2に接続される2つの半導体スイッチング素子、すなわち第1および第2インバータ用素子201a,202aと、コンバータ回路300に接続される2つの半導体スイッチング素子、すなわち第3および第4インバータ用素子203a,204aと、直流電圧源205とを備える。直流電圧源205は、コンデンサで構成される。
第1〜第4インバータ用素子201a〜204aのそれぞれのソース・ドレイン間には、ダイオード201b〜204bが逆並列に接続されている。以下の説明において、ダイオード201b〜204bを区別して示す場合には、第1ダイオード201b、第2ダイオード202b、第3ダイオード203bおよび第4ダイオード204bという。第1〜第4ダイオード201b〜204bは、第1〜第4インバータ用素子201a〜204aにそれぞれ内蔵された構成であってもよい。
コンバータ回路300は、前段および後段の2つのブリッジ回路を有する。前段側の交流端子は、インバータ回路200の交流出力線に接続される。後段側の交流端子は、第2の入力端子t2に接続される。コンバータ回路300は、コンバータ回路300の直流母線3a,3b間に接続された平滑コンデンサ3に直流電力を出力する。平滑コンデンサ3は、コンバータ回路300から出力される直流出力を平滑化するように、コンバータ回路300の直流母線3a,3b間に接続される。
コンバータ回路300は、直流母線3a,3b間に直列に接続される2つの半導体スイッチング素子、すなわち第1および第2コンバータ用素子301a,302aと、同じく直流母線3a,3b間に直列に接続される2つの半導体スイッチング素子、すなわち第3および第4コンバータ用素子303a,304aとを備える。
第1〜第4コンバータ用素子301a〜304aのそれぞれのソース・ドレイン間には、ダイオード301b〜304bが逆並列に接続されている。以下の説明において、ダイオード301b〜304bを区別して示す場合には、第1ダイオード301b、第2ダイオード302b、第3ダイオード303bおよび第4ダイオード304bという。第1〜第4ダイオード301b〜304bは、第1〜第4コンバータ用素子301a〜304aにそれぞれ内蔵された構成であってもよい。
インバータ回路200の交流出力線には、コンバータ回路300の第1コンバータ用素子301aのソースと第2コンバータ用素子302aのドレインとの接続点が接続されている。また、第3コンバータ用素子303aのソースと第4コンバータ用素子304aのドレインとの接続点は、第2の入力端子t2を介して交流電源1に接続されている。
半導体スイッチング素子201a〜204a,301a〜304aとしては、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)以外にも、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などを用いてもよい。IGBTなどを用いた場合も、それぞれダイオード201b〜204b,301b〜304bを逆並列に接続した構成とする。
また、リアクトル2は、インバータ回路200とコンバータ回路300との間に直列接続してもよいし、コンバータ回路300と第2の入力端子t2との間に直列接続してもよい。また、コンバータ回路300は、半導体スイッチング素子301a〜304aに代えて、機械式スイッチを備えてもよい。
また、図示は省略するが、電力変換装置2000は、インバータ回路200の直流電圧源205の直流電圧Vsubを測定する電圧計、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcを測定する電圧計、入力電圧Vinである交流電源1からの交流電圧を測定する電圧計、および入力電流Iinである交流電源1からの交流電流を測定する電流計を備えている。直流電圧源205の直流電圧Vsubを測定する電圧計は、第1のセンサに相当し、入力電流Iinを測定する電流計は、第2のセンサに相当する。
制御回路10Bは、インバータ回路200の直流電圧源205の直流電圧Vsubと、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcと、電力変換装置2000の第1および第2の入力端子t1,t2間に印加される入力電圧Vinと、第1および第2の入力端子t1,t2に流れる入力電流Iinとに基づいて、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcが一定の目標電圧Vdc*になるように、インバータ回路200およびコンバータ回路300内の半導体スイッチング素子201a〜204a,301a〜304aに与えるゲート信号12,13を生成して、インバータ回路200およびコンバータ回路300の出力制御を行う。平滑コンデンサ3の目標電圧Vdc*は、予め定められる。
平滑コンデンサ3には、図示しない負荷が接続されている。これによって、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcが目標電圧Vdc*に比べて低くなるため、制御回路10Bは、交流電源1からの交流電力を変換して平滑コンデンサ3に直流電力を供給するようにインバータ回路200およびコンバータ回路300の出力制御を行う。
このように構成される電力変換装置2000の力行動作、すなわち平滑コンデンサ3に直流電力を出力する動作について、図7〜図12に基づいて説明する。
図7、図8、図11および図12は、本発明の第3の実施の形態における電力変換装置2000の力行動作を説明するための主回路110Aの電流経路を示す図である。図7、図8、図11および図12では、電流が流れる経路を太線で示している。図9は、本発明の第3の実施の形態における電力変換装置2000の昇圧時の各部の波形とインバータ回路200の直流電圧源205の充放電状態とを示す図である。図10は、本発明の第3の実施の形態における電力変換装置2000の降圧時の各部の波形とインバータ回路200の直流電圧源205の充放電状態とを示す図である。
ここで、電力変換装置2000の出力段である平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcが、交流電源1からの入力電圧Vinのピーク電圧Vpよりも高い場合を「昇圧」といい、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcが、交流電源1からの入力電圧Vinのピーク電圧Vpよりも低い場合を「降圧」という。
図9および図10では、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcが一定の目標電圧Vdc*に制御されている状態を示している。
交流電源1からの入力電圧Vinは、図9(a)および図10(a)に示すように正弦波形となる。インバータ回路200は、交流電源1からの入力力率がほぼ「1」になるように、PWM制御による高周波スイッチングによって、入力電流Iinを制御して出力し、交流側の発生電圧を交流電源1の出力である入力電圧Vinに重畳する。
交流電源1の電圧位相をθとし、まず、入力電圧Vinが正極性である0≦θ<πの場合について説明する。
インバータ回路200では、第1および第4インバータ用素子201a,204aがオン状態であり、第2および第3インバータ用素子202a,203aがオフ状態の場合には、直流電圧源205を充電するように電流が流れる。第2および第3インバータ用素子202a,203aがオン状態であり、第1および第4インバータ用素子201a,204aがオフ状態の場合には、直流電圧源205を放電するように電流が流れる。
また、第1および第3インバータ用素子201a,203aがオン状態であり、第2および第4インバータ用素子202a,204aがオフ状態である場合、および第2および第4インバータ用素子202a,204aがオン状態であり、第1および第3インバータ用素子201a,203aがオフ状態である場合には、直流電圧源205をスルーして電流が流れる。
制御回路10Bは、このような4種の制御の組み合わせによって、第1〜第4インバータ用素子201a〜204aを制御して、インバータ回路200をPWM動作させる。これによって、直流電圧源205を充放電させ、交流電源1からの入力力率がほぼ「1」になるように電流制御を行う。
各半導体スイッチング素子201a〜204aに流れる電流が、ソースからドレインへ流れる場合は、その半導体スイッチング素子201a〜204aをオフして、逆並列接続されたダイオード201b〜204bに電流を流すように制御してもよい。
図7に示すように、交流電源1からの電流は、リアクトル2で限流され、インバータ回路200に入力される。インバータ回路200の出力は、コンバータ回路300内の第1ダイオード301bを介して平滑コンデンサ3を充電し、第4ダイオード304bを経て交流電源1に戻る。
制御回路10Bは、前述の4種の制御の組み合わせによって、インバータ回路200をPWM動作させる。これによって、直流電圧源205を放電、あるいは充電するように電流制御を行う。
交流電源1からの電圧Vinのゼロクロス位相を中央とし、短絡位相をθ1として、±θ1の位相範囲(以下「短絡期間T」という場合がある)では、図9に示すように、制御回路10Bは、コンバータ回路300の制御において、短絡用スイッチとなる第2コンバータ用素子302aをオン状態として平滑コンデンサ3をバイパスさせる。このとき、コンバータ回路300内の第1、第3および第4コンバータ用素子301a,303a,304aをオフさせる。
交流電源1からの電流は、リアクトル2で限流され、インバータ回路200に入力されて直流電圧源205を充電した後、コンバータ回路300内の第2コンバータ用素子302aおよび第4ダイオード304bを経て交流電源1に戻る。
制御回路10は、前述の4種の制御の組み合わせのうち、直流電圧源105を充電する制御とスルーさせる制御との組み合わせによって、インバータ回路200をPWM動作させて、直流電圧源105を構成するコンデンサを充電する電流制御を行う。
次に、入力電圧Vinが負極性であるπ≦θ<2πの場合について説明する。インバータ回路200では、第2および第3インバータ用素子202a,203aがオン状態であり、第1および第4インバータ用素子201a,204aがオフ状態である場合には、直流電圧源205を充電するように電流が流れる。第1および第4インバータ用素子201a,204aがオン状態であり、第2および第3インバータ用素子202a,203aがオフ状態である場合には、直流電圧源205を放電するように電流が流れる。
また、第1および第3インバータ用素子201a,203aがオン状態であり、第2および第4インバータ用素子202a,204aがオフ状態である場合、ならびに第2および第4インバータ用素子202a,204aがオン状態であり、第1および第3インバータ用素子201a,203aがオフ状態である場合には、直流電圧源205をスルーして電流が流れる。
制御回路10Bは、このような4種の制御の組み合わせによって、第1〜第4インバータ用素子201a〜204aを制御して、インバータ回路200をPWM動作させる。これによって、直流電圧源205を充放電させ、電流制御を行う。
図11に示すように、交流電源1からの電流は、コンバータ回路300内の第3ダイオード303bを通り、平滑コンデンサ3を充電し、第2ダイオード302bを経て、インバータ回路200に入力される。インバータ回路200の出力は、リアクトル2を経て、交流電源1に戻る。
制御回路10Bは、前述の4種の制御の組み合わせによって、インバータ回路200をPWM動作させる。これによって、直流電圧源205を放電、あるいは充電して電流制御を行う。
短絡期間Tでは、図12に示すように、制御回路10Bは、コンバータ回路300の制御において短絡用スイッチとなる第4コンバータ用素子304aをオン状態として、平滑コンデンサ3をバイパスさせる。
このとき、コンバータ回路300内の他の半導体スイッチング素子、すなわち第1、第2および第3コンバータ用素子301a,302a,303aをオフさせる。交流電源1からの電流は、コンバータ回路300の第4コンバータ用素子304aおよび第2ダイオード302bを経て、インバータ回路200に入力され、直流電圧源205を充電して、リアクトル2を経て交流電源1に戻る。
制御回路10Bは、前述の4種の制御の組み合わせのうち、直流電圧源205を充電する制御とスルーさせる制御との組み合わせによって、インバータ回路200をPWM動作させる。これによって、直流電圧源205を充電させ、電流制御を行う。
以上の説明では、コンバータ回路300の制御において、制御回路10Bが第2および第4コンバータ用素子302a,304aを短絡用スイッチとして動作させる場合のみオンさせる例を示したが、ダイオード301b〜304bに電流を流す場合は、これらのダイオード301b〜304bがそれぞれ逆並列接続されている半導体スイッチング素子301a〜304aをオンさせて、半導体スイッチング素子301a〜304a側に電流を流してもよい。
すなわち、入力電圧Vinが正極および負極のいずれの極性においても、短絡期間Tにおいて2つの半導体スイッチング素子302a,304aを短絡用スイッチとしてオンさせてもよく、また、他の2つの半導体スイッチング素子301a,303aを短絡用スイッチとしてオンさせてもよい。
このような動作によって、電力変換装置2000の昇圧時には、図9に示すように、インバータ回路200は、短絡期間Tにおいて電圧「−Vin」を出力して交流電源1によって直流電圧源205を充電する。その後、θ1≦θ<π−θ1の期間において直流電圧源205を放電するとき、交流電源1の入力電圧Vinにインバータ回路200の出力電圧である「Vdc*−Vin」を加算する。これによって、交流電源1のピーク電圧より高い目標電圧Vdc*となるように、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcが制御される。
また、電力変換装置2000の降圧時には、図10に示すように、インバータ回路200は、短絡期間Tにおいて電圧「−Vin」を出力して交流電源1によって直流電圧源205を充電し、その後、交流電源1からの入力電圧Vinにインバータ回路200の出力電圧を加算する。これによって、交流電源1のピーク電圧より低い目標電圧Vdc*となるように、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcが制御される。
交流電源1からの入力電圧Vinが平滑コンデンサ3の目標電圧Vdc*と等しくなるときの位相をθ2(0<θ2<π/2)とすると、位相範囲がθ1≦θ<θ2およびπ−θ2≦θ<π−θ1である場合は、インバータ回路200は、電圧「Vdc*−Vin」を出力して直流電圧源205を放電する。位相範囲がθ2≦θ<π−θ2である場合は、インバータ回路200は、電圧「Vin−Vdc*」を出力して直流電圧源205を充電する。
以上のように、制御回路10Bは、交流電源1の電圧位相θのゼロクロス位相(θ=0、π)を中央とする±θ1の位相範囲で、コンバータ回路300の制御を切り替え、ゼロクロス位相を中央とする±θ1の位相範囲である短絡期間Tでのみ、短絡用スイッチとなる第2および第4コンバータ用素子302a,304aをオン状態として、平滑コンデンサ3をバイパスさせる。
短絡期間Tの位相範囲では、制御回路10Bは、インバータ回路200から入力電圧Vinの逆極性にほぼ等しい電圧を発生させつつ、入力力率がほぼ「1」になるように入力電流Iinを制御して、インバータ回路200の出力を制御する。これによって、直流電圧源205が充電される。
一方、短絡期間T以外の位相範囲では、制御回路10Bは、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcを目標電圧Vdc*に維持し、また入力力率がほぼ「1」になるように入力電流Iinを制御して、インバータ回路200の出力を制御する。この場合、入力電圧Vinの絶対値が平滑コンデンサ3の目標電圧Vdc*以下であれば、直流電圧源205は放電され、入力電圧Vinの絶対値が目標電圧Vdc*を超えると、直流電圧源205は充電される。
短絡期間Tは、ゼロクロス位相(θ=0、π)が短絡期間Tの中央となるものとして説明したが、ゼロクロス位相を含む位相範囲で、いずれかに偏るように短絡期間Tを設定してもよい。
また、短絡期間Tの位相範囲は、インバータ回路200の直流電圧源205の充電と放電のエネルギーが等しくなるように決定できる。
すなわち、インバータ回路200の直流電圧源205の充放電エネルギーが等しいとすると、平滑コンデンサ3の目標電圧Vdc*がピーク電圧Vpよりも小さい(Vdc*<Vp)場合の降圧時には、以下の式(1)が成り立つ。ただし、Vpは、入力電圧Vinのピーク電圧であり、Ipは、入力電流Iinのピーク電流である。
ここで、Vin=Vp・sinθ、Iin=Ip・sinθとすると、Vdc*は以下の式(2)で定義される。
式(2)から、平滑コンデンサ3の目標電圧Vdc*の下限値は、θ1が0となる場合に得られ、その値は(π/4)Vpとなる。
このように、平滑コンデンサ3の目標電圧Vdc*は、短絡期間Tの位相範囲を決定するθ1によって決まるので、θ1を変化させることで制御することができる。
そして、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcは、目標電圧Vdc*に追従するように制御される。
次に、インバータ回路200の直流電圧源205の電圧条件について説明する。
直流電圧源205の直流電圧Vsubを、昇圧時では、位相範囲0≦θ<θ1およびθ1≦θ<π/2、また降圧時では、位相範囲0≦θ<θ1、θ1≦θ<θ2およびθ2≦θ<π/2のそれぞれにおけるインバータ回路200の所望の発生電圧の大きさ以上に設定する。これによって、インバータ回路200は、前述の所望の制御を信頼性良く行うことができる。すなわち、直流電圧源205の直流電圧Vsubは、以下の式(3)〜式(5)を満たす必要がある。
PWM制御されるインバータ回路200では、直流電圧源205の直流電圧Vsubが大きくなると損失が増大するため、直流電圧源205の直流電圧Vsubは、前述の式(3)、式(4)および式(5)を満たした上で、できるだけ小さく設定することが望ましい。
そして、ゼロクロス位相を中央として±θ1の位相範囲のみを、平滑コンデンサ3をバイパスする短絡期間Tとすることによって、インバータ回路200は、短絡期間Tでも、それ以外の期間でも入力力率がほぼ「1」になるように電流Iinを制御し、かつ平滑コンデンサ3に所望の電圧の直流電力を出力することができる。
また、電流Iinが、入力力率が「1」になるように制御されている前提のもと、位相範囲0≦θ<θ1、θ1≦θ<θ2およびθ2≦θ<π/2の直流電圧Vsubのリプルを定式化し、位相範囲0〜π/2での直流電圧Vsubの変化量をΔVsubとしたとき、位相範囲0〜π/2の間で直流電圧VsubをΔVsubの分、変化させるための直流電圧源電流をIsubとすると、短絡位相θ1は以下の式(6)のように表すことができる。
所定の入力電圧Vin、直流電圧Vdc、直流電圧Vsub、電流Iinで動作している場合、式(6)から求まる位相θ1を操作することによって、直流電圧源電流Isubを制御することができる。すなわち、位相θ1を操作することによって、直流電圧Vsubを制御することが可能である。
次に、電力変換装置2000の回生動作、すなわち、平滑コンデンサ3の電力を交流電源1に出力する動作について、図13〜図16を用いて説明する。図13〜図16は、本発明の第3の実施の形態における電力変換装置2000の回生動作を説明するための主回路110Aの電流経路を示す図である。
交流電源1の電圧位相をθとし、まず、電圧Vinが正極性である0≦θ<πの場合について説明する。
インバータ回路200では、第1および第4インバータ用素子201a,204aがオン状態であり、第2および第3インバータ用素子202a,203aがオフ状態である場合には、直流電圧源205を放電するように電流が流れる。また、第2および第3インバータ用素子202a,203aがオン状態であり、第1および第4インバータ用素子201a,204aがオフ状態である場合には、直流電圧源205を充電するように電流が流れる。
また、第1および第3インバータ用素子201a,203aがオン状態であり、第2および第4インバータ用素子202a,204aがオフ状態である場合、ならびに第2および第4インバータ用素子202a,204aがオン状態であり、第1および第3インバータ用素子201a,203aがオフ状態である場合には、直流電圧源205をスルーして電流が流れる。
制御回路10Bは、このような4種の制御の組み合わせによって、半導体スイッチング素子201a〜204aを制御して、インバータ回路200をPWM動作させる。これによって、直流電圧源205を充放電させ、インバータ回路200の交流側の発生電圧を、交流電源1の出力である電圧Vinに重畳し、交流電源1の力率がほぼ「−1」になるように電流Iinを制御する。
インバータ回路200の半導体スイッチング素子であるインバータ用素子201a〜204aに流れる電流が、ソースからドレインに流れる場合は、その半導体スイッチング素子201a〜204aをオフして、それぞれに逆並列接続されたダイオード201b〜204b側に電流を流してもよい。
図13に示すように、コンバータ回路300では、半導体スイッチング素子301a,304aをオン状態とすると、平滑コンデンサ3の正極からの電流は、コンバータ回路300の半導体スイッチング素子301aを通り、インバータ回路200に入力される。インバータ回路200からの電流は、リアクトル2を経て、第1の入力端子t1から交流電源1に回生され、さらに第2の入力端子t2からコンバータ回路300の半導体スイッチング素子である第4コンバータ用素子304aを経て、平滑コンデンサ3の負極に戻る。
制御回路10Bは、前述の4種の制御の組み合わせによって、インバータ回路200をPWM動作させる。これによって、直流電圧源205を充電、あるいは放電させて電流制御を行う。直流電圧源205は、平滑コンデンサ3からのエネルギーで充電され、放電される場合には、直流電圧源205からのエネルギーは、平滑コンデンサ3からのエネルギーと共に交流電源1へ回生される。
交流電源1の電圧位相θのゼロクロス位相を中央とする±θ1の位相範囲である短絡期間Tでは、図14に示すように、制御回路10Bは、コンバータ回路300の短絡用スイッチとなる半導体スイッチング素子である第4コンバータ用素子304aをオン状態として平滑コンデンサ3をバイパスさせる。
インバータ回路200からの電流は、リアクトル2を経て、第1の入力端子t1から交流電源1に回生され、さらに第2の入力端子t2からコンバータ回路300の半導体スイッチング素子である第4コンバータ用素子304a、第2ダイオード302bを経て、インバータ回路200に戻る。
制御回路10Bは、直流電圧源205を放電する制御とスルーさせる制御との組み合わせによって、インバータ回路200をPWM動作させる。これによって、直流電圧源205を放電させ、電流制御を行う。
次に、電圧Vinが負極性であるπ≦θ<2πの場合について説明する。インバータ回路200では、第2および第3インバータ用素子202a,203aがオン状態であり、第1および第4インバータ用素子201a,204aがオフ状態である場合には、直流電圧源205を放電するように電流が流れる。第1および第4インバータ用素子201a,204aがオン状態であり、第2および第3インバータ用素子202a,203aがオフ状態である場合には、直流電圧源205を充電するように電流が流れる。
また、第1および第3インバータ用素子201a,203aがオン状態であり、第2および第4インバータ用素子202a,204aがオフ状態である場合、ならびに第2および第4インバータ用素子202a,204aがオン状態であり、第1および第3インバータ用素子201a,203aがオフ状態である場合には、直流電圧源205をスルーして電流が流れる。
制御回路10Bは、このような4種の制御の組み合わせによって、インバータ回路200の半導体スイッチング素子である第1〜第4インバータ用素子201a〜204aを制御して、インバータ回路200をPWM動作させる。これによって、直流電圧源205を充放電させ、インバータ回路200の交流側の発生電圧を交流電源1の出力である電圧Vinに重畳し、交流電源1の力率がほぼ「−1」になるように入力電流Iinを制御する。
図15に示すように、コンバータ回路300では、第2および第3コンバータ用素子302a,303aをオン状態とすると、平滑コンデンサ3の正極からの電流は、コンバータ回路300の第3コンバータ用素子303aを経て、第2の入力端子t2から交流電源1に回生され、さらに第1の入力端子t1からリアクトル2を経て、インバータ回路200に入力される。インバータ回路200からの電流は、コンバータ回路300の第2コンバータ用素子302aを経て、平滑コンデンサ3の負極に戻る。
制御回路10Bは、前述の4種の制御の組み合わせによって、インバータ回路200をPWM動作させる。これによって、直流電圧源205を充電、あるいは放電させて、電流制御を行う。
直流電圧源205は、平滑コンデンサ3からのエネルギーで充電される。放電される場合には、直流電圧源205からのエネルギーは、平滑コンデンサ3からのエネルギーと共に交流電源1へ回生される。
交流電源1の電圧位相θのゼロクロス位相を中央とする±θ1の位相範囲である短絡期間Tでは、図16に示すように、制御回路10Bは、コンバータ回路300の短絡用スイッチとなる第2コンバータ用素子302aをオン状態として平滑コンデンサ3をバイパスさせる。
インバータ回路200からの電流は、コンバータ回路300の第2コンバータ用素子302aおよび第4ダイオード304bを経て、第2の入力端子t2から交流電源1に回生され、さらに第1の入力端子t1からリアクトル2を経て、インバータ回路200に戻る。
制御回路10Bは、直流電圧源205を放電する制御とスルーさせる制御との組み合わせによって、インバータ回路200をPWM動作させる。これによって、直流電圧源205を放電させ、電流制御を行う。
制御回路10Bは、コンバータ回路300の制御において、入力電圧Vinが正極および負極のいずれの極性においても、短絡期間Tにおいて2つの半導体スイッチング素子、たとえば第2および第4コンバータ用素子302a,304aを短絡用スイッチとしてオンさせてもよく、また、他の2つの半導体スイッチング素子である第1および第3コンバータ用素子301a,303aを短絡用スイッチとしてオンさせてもよい。
以上に説明したように、回生動作では力行動作と同様に、制御回路10Bは、交流電源1の電圧位相θのゼロクロス位相(θ=0、π)±θ1で、コンバータ回路300の制御を切り替え、ゼロクロス位相を中央とする±θ1の位相範囲である短絡期間Tでのみ平滑コンデンサ3をバイパスさせる。
短絡期間Tの位相範囲では、制御回路10Bは、インバータ回路200から入力電圧Vinの逆極性にほぼ等しい電圧を発生させつつ、入力力率がほぼ「−1」になるように入力電流Iinを制御して、インバータ回路200を出力制御し、直流電圧源205は放電される。
短絡期間T以外の位相範囲では、制御回路10Bは、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcを目標電圧Vdc*に維持し、また入力力率がほぼ「−1」になるように入力電流Iinを制御して、インバータ回路200の出力制御を行う。
この場合、入力電圧Vinの絶対値が平滑コンデンサ3の目標電圧Vdc*以下の場合、直流電圧源205は充電され、入力電圧Vinの絶対値が目標電圧Vdc*を超えると、直流電圧源205は放電される。
短絡期間Tは、ゼロクロス位相(θ=0、π)が短絡期間Tの中央となるものとして説明したが、ゼロクロス位相を含む位相範囲で、いずれかに偏るように短絡期間Tを設定してもよい。
また、力行動作にて示した短絡位相θ1を求める式(6)は、回生動作では式(7)のように表すことができる。
次に、コンバータ回路300およびインバータ回路200の制御の詳細について、図17および図18に基づいて説明する。図17および図18は、本発明の第3の実施の形態における電力変換装置2000の制御回路10Bの構成を示すブロック図である。さらに具体的には、図17は、制御回路10Bによるコンバータ回路300の出力制御に関係する部分の構成を示すブロック図であり、図18は、制御回路10Bによるインバータ回路200の出力制御に関係する部分の構成を示すブロック図である。
コンバータ回路300の出力制御を行う場合の制御回路10Bは、差分器150、比例積分(PI)制御器151、乗算器152、短絡位相演算器156、力行・回生選択器157、三角波生成部159およびPWM制御部160を備えて構成される。
図17に示すコンバータ回路300の出力制御において、制御回路10Bは、インバータ回路200の直流電圧源205の直流電圧Vsubを電圧指令値Vsub*に追従させる制御を行う。
具体的には、まず、制御回路10Bにおいて、差分器150は、設定された電圧指令値Vsub*と検出された直流電圧Vsubとの差分を取り、得られた値を差分電圧ΔVsubの値として出力する。差分器150から出力された差分電圧ΔVsubの値は、フィードバック量として、PI制御器151に与えられる。
PI制御器151は、差分器150から与えられた差分電圧ΔVsubの値について比例積分(PI)制御を行う。PI制御器151は、PI制御によって得られた値を、直流電源電流目標値Isub*として出力する。出力された直流電源電流目標値Isub*は、第1の操作量となる。
理論的には、力行動作であれば式(6)、回生動作であれば式(7)の直流電圧源電流Isubとして直流電源電流目標値Isub*を代入して、第2の操作量となる短絡位相目標値θ1*を求め、直流電圧Vsubを制御することができる。ここで、式(6)、式(7)の直流電圧源電流Isubの項に注目すると、電流Iinのピーク電流Ip(=√2×IinRMS)の逆数が乗算されている。
電力変換装置2000の出力電力が低下した場合、電流IinRMSは0アンペア(A)まで低下することもあり、電流IinRMSの減少に伴って、ピーク電流Ipの逆数は無限大の値まで急激に増加する。これによって、直流電源電流目標値Isub*の変化に対して短絡位相θ1が急激に変動し、制御変動を生じてしまう。この制御変動を生じないように、本実施の形態の電力変換装置2000では、ピーク電流Ipの逆数に相当する所定値を用いて、第2の操作量となる位相目標値θ1*を求める。
乗算器152は、PI制御器151から出力される直流電源電流目標値Isub*と、Ip(=√2×IinRMS)の逆数に相当する所定値154とを乗算し、その出力155を短絡位相演算器156に与える。短絡位相演算器156は、乗算器152から与えられる出力155と、後述する力行・回生選択器157から与えられる信号とに基づいて、短絡位相目標値θ1*を求める。
ここで、所定値154は、ピーク電流Ipに基づいて演算する関数F(x)153の出力である。この所定値154を用いた演算は、本実施の形態の電力変換装置2000において特徴的な方法であり、その演算について以下に説明する。
関数F(x)153によって求められる値は、前述のように、ピーク電流Ipの逆数に相当する値である。しかし、ピーク電流Ipが比較的小さい値である場合には、第2の操作量である短絡位相目標値θ1*が大きく変動することを防止するために、ピーク電流Ipの逆数を直線近似した値とする。
図19および図20を用いて、本発明の第3の実施の形態における電力変換装置2000の制御回路10Bの制御演算について説明する。図19は、ピーク電流Ipの逆数である1/Ipと、1/Ipの直線近似とを示すグラフである。図19において、横軸は、ピーク電流Ip[A]を示し、縦軸は、ピーク電流Ipの逆数1/Ip[A−1]を示す。
図19では、ピーク電流Ipの逆数1/Ipを参照符号「145」で示される曲線および記号「〇」で表し、ピーク電流Ipの逆数1/Ipの直線近似を参照符号「146」で示される直線および記号「△」で表す。図19に示すピーク電流Ipの逆数1/Ipの直線近似146は、ピーク電流Ipの逆数1/Ipを表す曲線145の、ピーク電流Ipが4アンペア[A](Ip=4A)である点における接線近似である。
図20は、図19に示すピーク電流Ipの逆数1/Ip 145とその直線近似146とから決定された関数F(x)153を示すグラフである。図20において、横軸は、ピーク電流Ipであるxの値を示し、縦軸は、関数F(x)の値を示す。
関数F(x)153では、xが4以下である(x≦4)場合は、xの逆数1/xの直線近似を用い、xが4を超える(x>4)場合は、xの逆数1/xを用いる。xが4である(x=4)点は、xの逆数1/xとその直線近似との交点である。制御回路10Bは、このような関数F(x)153の入力をピーク電流Ipとして、換言すればxをピーク電流Ipと置いて、所定値154を求める。
図17に戻って、力行・回生選択器157は、式(6)および式(7)のどちらで短絡位相目標値θ1*を演算するかを選択し、その選択結果を表す信号を短絡位相演算器156に与える。
また、短絡位相演算器156で求められた短絡位相目標値θ1*は、PWM制御部160に与えられる。PWM制御部160では、コンバータ回路300の半導体スイッチング素子である第1〜第4コンバータ用素子301a〜304aに対するゲート信号13を生成する。
PWM制御部160では、三角波生成部159において生成された交流電源1の周波数の2倍の周期に同期した三角波(以下「交流電源周期三角波」という場合がある)をキャリア波として用いて比較演算し、交流電源1の交流電圧Vinがゼロクロスする位相をほぼ中央として動作するゲート信号13を生成する。ゲート信号13は、交流電源1の周波数の2倍の低周波スイッチング信号となる。
したがって、このゲート信号13によってコンバータ回路300の交流端子間を短絡する短絡期間Tも制御される。具体的には、力行動作時には、直流電圧Vsubが低下すると、短絡期間Tは長くなるように制御され、直流電圧Vsubが増加すると、短絡期間Tは短くなるように制御される。また、回生動作時には、直流電圧Vsubが低下すると、短絡期間Tは短くなるように制御され、直流電圧Vsubが増加すると短絡期間Tは長くなるように制御される。
インバータ回路200の出力制御を行う場合の制御回路10Bは、減算器120、比例積分(PI)制御器122、第1乗算器123、第2乗算器127、交流電源同期正弦波生成部128、第3乗算器129、差分器130、比例(P)制御器132およびPWM制御部135を備えて構成される。
図18に示すインバータ回路200の出力制御において、制御回路10Bは、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcを目標電圧Vdc*に維持し、交流電源1の力率が、力行動作時にはほぼ「1」になるように、また回生動作時にはほぼ「−1」になるように入力電流Iinを制御する。
図18に示す制御回路10Bによるインバータ回路200の直流電圧Vdcの制御に関する構成は、前述の図2に示す制御回路10Aによるコンバータ回路100の直流電圧Vdcの制御に関する構成と類似する。したがって、図2と同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
制御回路10Bは、比例制御器132で比例制御した出力を、電力変換装置2000の発生電圧の目標値となる電圧指令値133とし、この電圧指令値133を用いて、PWM制御部135によって、インバータ回路200の半導体スイッチング素子である第1〜第4インバータ用素子201a〜204aに対するゲート信号12を生成する。
制御回路10Bは、回生の場合には、入力電流RMS目標値IinRMS*が負の値となり、力率が「−1」となって交流電源1側へ電力を出力するように、インバータ回路200の半導体スイッチング素子である第1〜第4インバータ用素子201a〜204aを制御する。
以上のように本発明の第3の実施の形態によれば、インバータ回路200のような単相インバータを備えた電力変換装置2000のVsub制御において、ピーク電流Ipの逆数の値が急激に大きくなるという反比例の特性を解消し、フィードバック制御において、第2の操作量である短絡位相目標値θ1*が大きく変動することを防止することができる。これによって、制御の安定性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様に、インバータ回路200のような単相インバータを備えた電力変換装置2000による平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcの制御においても、入力電圧実効値VinRMSの逆数の値が急激に大きくなるという反比例の特性を解消することができる。これによって、フィードバック制御において、第2の操作量である入力電流RMS目標値IinRMS*が大きく変動することを防止することができる。したがって、電流の変動による素子の発熱を防止し、操作量の急激な変動によるEMCへの悪影響を抑制することができる。
本実施の形態では、ピーク電流Ipの逆数の値に相当する所定値154を求めて制御変動を抑制したが、式(6)および式(7)から、直流電圧源電流Isubは、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcの逆数も乗算されて短絡位相θ1が得られている。
つまり、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcが低下したときに、その直流電圧Vdcの逆数の値が急増しないように、その直流電圧Vdcの逆数に相当する所定値154を用いて短絡位相θ1を演算することによって、制御の変動を抑制することができる。このように、ピーク電流Ipの逆数だけでなく、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcの逆数についても所定値を用いた場合においても、同様の効果が得られる。
また、電力変換装置2000としては、力行動作と回生動作とを行うものについて示したが、力行動作のみ、または回生動作のみを行うものであってもよい。また、力行動作のみを行う場合には、コンバータ回路300の半導体スイッチング素子である第1および第3コンバータ素子301a、303aは設けず、第1および第3ダイオード301b、303bのみとしてもよい。また、電力変換装置2000の入力にダイオードブリッジを設けない構成としているが、ダイオードブリッジを設けた構成であっても同様の効果を得ることができる。
また、インバータ回路200の構成は、本実施の形態で示した構成に限るものではなく、複数の半導体スイッチング素子と直流電圧源とで構成される単相インバータを1つ以上直列接続して構成されるものであってもよい。
また、図20で示した関数F(x)153の値は、本実施の形態での例であり、これに限るものではない。
<第4の実施の形態>
図21は、本発明の第4の実施の形態における電力変換装置3000の構成を示す図である。本実施の形態の電力変換装置3000は、前述の図1に示す第1の実施の形態の電力変換装置1000と構成が類似しているので、同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
図21に示すように、本実施の形態の電力変換装置3000は、交流電源1の交流電力を直流電力に変換して出力する主回路110Bと、制御回路10Cとを備えて構成される。主回路110Bは、交流電源1からの入力である交流電圧を整流するダイオードブリッジ4と、限流回路を構成するリアクトル2と、ハーフブリッジ型のインバータ回路400と、コンバータ回路500と、出力電圧を平滑する平滑コンデンサ3とを備える。平滑コンデンサ3は、他のコンデンサに相当する。
交流電源1は、電力変換装置3000の第1の入力端子t1と第2の入力端子t2との間に接続される。第1の入力端子t1および第2の入力端子t2は、ダイオードブリッジ4に接続される。ダイオードブリッジ4の一方の出力端子は、リアクトル2に接続される。リアクトル2は、ハーフブリッジ型のインバータ回路400に直列に接続される。
インバータ回路400は、MOSFETなどの2個の半導体スイッチング素子401a,402aと、直流コンデンサ403とによって構成されるハーフブリッジ型のインバータである。半導体スイッチング素子401aがインバータ回路400の正電位側の半導体スイッチング素子であり、半導体スイッチング素子402aがインバータ回路400の負電位側の半導体スイッチング素子である。半導体スイッチング素子401aと半導体スイッチング素子402aとは、直列に接続され、その接続点(交流側端子)がリアクトル2に接続されている。
また、半導体スイッチング素子401aのドレインと、半導体スイッチング素子402aのソースには、それぞれ直流コンデンサ403の正極および負極が接続されている。半導体スイッチング素子401a,402aのそれぞれのソース・ドレイン間には、ダイオード401b,402bが逆並列に接続されている。以下の説明において、ダイオード401b,402bを区別して示す場合には、第1ダイオード401b、第2ダイオード402bという。第1ダイオード401bおよび第2ダイオード402bは、半導体スイッチング素子401a,402aにそれぞれ内蔵された構成であってもよい。また、半導体スイッチング素子401aを省略して、第1ダイオード401bのみで構成してもよい。
コンバータ回路500は、MOSFETなどの2個の半導体スイッチング素子501a,502aによって構成される。半導体スイッチング素子501aは、インバータ回路400の正電位側の半導体スイッチング素子401aと平滑コンデンサ3の正極側の直流母線3aとの間に接続されている。半導体スイッチング素子502aは、インバータ回路400の負電位側の半導体スイッチング素子402aと平滑コンデンサ3の負極側の直流母線3bとの間に接続されている。平滑コンデンサ3の負極側の直流母線3bは、ダイオードブリッジ4の他方の出力端子に直接接続されている。
半導体スイッチング素子501a,502aのそれぞれのソース・ドレイン間には、ダイオード501b,502bが逆並列に接続されている。以下の説明において、ダイオード501b,502bを区別して示す場合には、第1ダイオード501b、第2ダイオード502bという。第1ダイオード501bおよび第2ダイオード502bは、半導体スイッチング素子501a,502aにそれぞれ内蔵された構成であってもよい。また、半導体スイッチング素子501aを省略して、第1ダイオード501bのみで構成してもよい。
半導体スイッチング素子401a,402a,501a,502aは、MOSFET以外にも、IGBTなどを用いてもよく、その場合も、それぞれダイオード401b,402b,501b,502bを逆並列に接続した構成とする。
また、図示は省略するが、電力変換装置3000は、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vsubを測定する電圧計、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcを測定する電圧計、入力電圧Vinである交流電源1からの交流電圧Vinを測定する電圧計、および入力電流Iinである交流電源1からの交流電流Iinを測定する電流計を備えている。直流コンデンサ403の直流電圧Vsubを測定する電圧計は、第1のセンサに相当し、入力電流Iinである交流電流Iinを測定する電流計は、第2のセンサに相当する。
制御回路10Cは、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vsubと、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcと、電力変換装置4000の入力端子t1,t2間に印加される交流の入力電圧Vinと、交流電流Iinとに基づいて、インバータ回路400およびコンバータ回路400の出力制御を行う。具体的には、制御回路10Cは、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcが一定の目標電圧Vdc*になるように、また、交流電源1からの交流電流Iinの力率がほぼ「1」となるように、さらに直流コンデンサ403の直流電圧Vsubが一定の目標電圧(電圧指令値Vsub*)となるように、インバータ回路400の半導体スイッチング素子401a,402aと、コンバータ回路500の半導体スイッチング素子501a,502aに与えるゲート信号14、15を生成して、インバータ回路400およびコンバータ回路400の出力制御を行う。
さらに具体的には、制御回路10Cは、直流コンデンサ403の直流電圧Vsubが直流コンデンサ403の電圧指令値Vsub*に追従するように、半導体スイッチング素子502aのオン・オフを制御すると共に、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcが平滑コンデンサ3の目標電圧Vdc*に追従し、交流電源1からの入力力率を調整し、入力力率が改善するように、半導体スイッチング素子401a,402aのオン・オフを制御する。
平滑コンデンサ3には、不図示の負荷が接続されている。通常時には、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcは、目標電圧Vdc*に比べて低く、制御回路10は、交流電源1からの交流電力を変換して平滑コンデンサ3に直流電力を供給するように、インバータ回路400およびコンバータ回路500の出力制御を行う。
このように構成される電力変換装置3000の動作、すなわち平滑コンデンサ3に直流電力を出力する動作について、図22〜図25を用いて説明する。
図22〜図25は、本発明の第4の実施の形態における電力変換装置3000の動作を説明するための主回路110Bの電流経路を示す図である。図22〜図25では、電流が流れる経路を太線で示している。図26は、本発明の第4の実施の形態における電力変換装置3000の各部の波形とインバータ回路400の直流コンデンサ403の充放電状態とを示す図である。図26(a)は、交流電圧Vinの電圧波形を示す。図26(b)は、半導体スイッチング素子502aのオン・オフの状態を示す。図26(c)は、直流コンデンサ403の充放電の状態を示す。
出力段の平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcは、交流電源1の交流電圧Vinのピーク電圧Vpより高く、図26では、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcが一定の目標電圧Vdc*に制御されている状態を示す。
このように制御回路10Cは、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcの目標電圧Vdc*を、直流コンデンサ403の直流電圧Vsubより常に高く設定している。このように設定することによって、インバータ回路400の直流コンデンサ403から、平滑コンデンサ3への電力流出を防ぎ、電力変換装置の安定した制御を行うことができる。
交流電源1から出力される交流電圧Vinは、ダイオードブリッジ4で全波整流されるため、交流電源1の交流周期の2倍周期で動作する。インバータ回路400は、交流電源1からの入力力率がほぼ「1」になるように、PWM制御によって交流電流Iinを制御して出力し、交流側の発生電圧を交流電源1から出力される交流電圧Vinに重畳する。以下の説明では、交流電源1からの入力力率がほぼ「1」になるように交流電流Iinを制御することを、単に「電流制御」という。
交流電源1の電圧位相をθとし、まず、交流電圧Vinが正極性である0≦θ<πの場合について説明する。交流電圧Vinが負極性であるπ≦θ<2πの場合も、交流入力はダイオードブリッジ4で整流されるため、制御回路10Cは、前述の0≦θ<πの場合と同様の制御を実行する。
半導体スイッチング素子402a,502aがオン状態、半導体スイッチング素子401a,501aがオフ状態の場合には、図22に示すように、交流電流Iinは、直流コンデンサ403をスルーするように流れる。
また、半導体スイッチング素子401a,502aがオン状態、半導体スイッチング素子402a,501aがオフ状態の場合には、図23に示すように、交流電流Iinは、直流コンデンサ403を充電するように流れる。
また、半導体スイッチング素子402a,501aがオン状態、半導体スイッチング素子401a,502aがオフ状態の場合には、図24に示すように、交流電流Iinは、直流コンデンサ403を放電するように流れる。
また、半導体スイッチング素子401a,501aがオン状態、半導体スイッチング素子402a,502aがオフ状態の場合には、図25に示すように、交流電流Iinは、直流コンデンサ403をスルーするように流れる。
制御回路10Cは、このような4種の半導体スイッチング素子の制御の組み合わせによって、半導体スイッチング素子401a,402a,501a,502aを制御して、インバータ回路400をPWM制御する。これによって、直流コンデンサ403を充放電させ、電流制御を行う。
半導体スイッチング素子401a,501aに流れる電流が、ソースからドレインへ流れる場合は、その半導体スイッチング素子をオフして、逆並列接続されたダイオード401b,501bに電流を流すように制御してもよい。
図26に示すように、交流電源1の交流電圧Vinのゼロクロス位相(θ=0、π)を中央とした±θ1(以下、θ1を「短絡位相」と称する)の位相範囲(短絡期間)では、半導体スイッチング素子502aをオン状態(オンに固定)、半導体スイッチング素子501aをオフ状態(オフに固定)として、平滑コンデンサ3をバイパスさせる。
この場合、図22に示すように、交流電源1からの交流電流Iinは、リアクトル2で限流されてインバータ回路400に入力され、半導体スイッチング素子502aを通り、交流電源1に戻る。この場合、図22の動作モードによって、リアクトル2が励磁されるが、図23の動作モードによって、リアクトル2の励磁がリセットされる。
また、図22の動作モードの場合は、直流コンデンサ403をスルーし、図23の動作モードの場合は、直流コンデンサ403が充電される。したがって、図22の動作モードと図23の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、直流コンデンサ403を充電させ、かつ電流制御を行うことができる。
次に、図24に示すように、交流電源1の交流電圧Vinのゼロクロス位相を中央とした±θ1以外の位相範囲では、半導体スイッチング素子502aをオフ状態、半導体スイッチング素子501aをオン状態として、平滑コンデンサ3に直流電力を出力する。
この場合、図24に示すように、交流電源1からの交流電流Iinは、リアクトル2で限流されてインバータ回路400に入力され、半導体スイッチング素子501aを通り、平滑コンデンサ3を充電して、交流電源1に戻る。
この場合、インバータ回路400は、電圧(Vdc*−Vin)を出力し、図24の動作モードと図25の動作モードとを繰り返す。これによって、交流電源1にインバータ回路400の出力電圧(Vdc*−Vin)を加算して、交流電源1のピーク電圧より高い目標電圧Vdc*に達するように、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcを制御する。
インバータ回路400では、図24の動作モードによってリアクトル2が励磁され、図25の動作モードによってリアクトル2の励磁がリセットされる。
また、図24の動作モードの場合、直流コンデンサ403が放電され、図25の動作モードの場合、直流コンデンサ403をスルーする。したがって、図24の動作モードと図25の動作モードとを組み合わせて、インバータ回路400をPWM制御することによって、電流制御を行うことができる。
以上に説明したように、交流電源1の交流電圧Vinの電圧位相θのゼロクロス位相(θ=0、π)±θ1の位相で、半導体スイッチング素子501aと半導体スイッチング素子502aとの制御を切り替え、このゼロクロス位相を中央とする±θ1の位相範囲でのみ、半導体スイッチング素子502aをオン状態、半導体スイッチング素子501aをオフ状態として、平滑コンデンサ3をバイパスさせる。
この場合、制御回路10Cは、インバータ回路400が交流電圧Vinの逆極性にほぼ等しい電圧を発生するように制御しつつ、入力力率がほぼ「1」になるように交流電流Iinを制御して出力し、直流コンデンサ403を充電する。
一方、このゼロクロス位相を中央とする±θ1以外の位相範囲では、制御回路10Cは、半導体スイッチング素子501aをオン状態、半導体スイッチング素子502aをオフ状態として、インバータ回路400が平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcを目標電圧Vdc*に維持するように制御しつつ、入力力率がほぼ「1」になるように交流電流Iinを制御して出力する。
この場合、インバータ回路400は、平滑コンデンサ3の直流電圧と交流電源の差電圧(Vdc*−Vin)を発生し、直流コンデンサ403は放電される。
半導体スイッチング素子502aがオンとなる短絡期間は、ゼロクロス位相(θ=0、π)が短絡期間の中央となるものとして説明したが、ゼロクロス位相を含む位相範囲で、いずれかに偏るように短絡期間を設定してもよい。
また、インバータ回路400の直流コンデンサ403の充電と放電のエネルギーが等しくなるように半導体スイッチング素子502aのオン期間を設定し、短絡位相θ1を決定することができる。
すなわち、インバータ回路400の直流コンデンサ403の充電と放電のエネルギーが等しいとすると、以下の式(8)が成り立つ。ただし、Vpは、入力電圧Vinのピーク電圧であり、Ipは、入力電流Iinのピーク電流である。
ここで、Vin=Vp・sinθ、Iin=Ip・sinθとすると、Vdc*は前述の式(2)で定義される。
式(2)から、目標電圧Vdc*の下限値は、θ1が0となる場合に得られ、値は(π/4)Vpとなる。ただし、回路の構成上、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcがピーク電圧Vp以下となると、短絡電流を生じるため、目標電圧Vdc*がピーク電圧Vp以下となるような短絡位相θ1を設定すると、高力率制御が不可能となる。
このように、平滑コンデンサ3の目標電圧Vdc*は、短絡位相θ1によって決まり、短絡位相θ1を変化させて制御できる。そして、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcは、目標電圧Vdc*に追従するように制御される。
また、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vsubを、0≦θ<θ1およびθ1≦θ<π/2の各位相範囲におけるインバータ回路400の所望の発生電圧の大きさ以上に設定する。
この場合、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcが目標電圧Vdc*に維持することができ、また、入力力率がほぼ「1」になるように交流電流Iinを制御するインバータ回路400の電流制御を、交流電源1の全位相において、信頼性良く行うことができる。
直流コンデンサ403の直流電圧Vsubは、前述の式(3)および式(4)を満たす必要がある。
直流コンデンサ403の直流電圧Vsubは、交流電源1からの交流電圧Vinのピーク電圧Vp以下に設定する。
PWM制御を行うインバータ回路400では、直流コンデンサ403の直流電圧Vsubが大きくなると損失が増大するため、直流コンデンサ403の直流電圧Vsubは、前述の式(3)および式(4)を満たした上で、できるだけ小さく設定することが望ましい。
そして、ゼロクロス位相を中央として±θ1の短絡期間のみで、半導体スイッチング素子502aをオン状態とし、平滑コンデンサ3をバイパスする期間とする。これによって、制御回路10Cは、インバータ回路400を制御し、半導体スイッチング素子502aがオンの期間でも、オフの期間でも入力力率がほぼ「1」になるように、交流電流Iinを制御し、かつ平滑コンデンサ3に所望の電圧の直流電力を出力することができる。
すなわち、制御回路10Cは、交流電源1の交流電圧の所定の位相範囲で、短絡位相θ1を決定し、半導体スイッチング素子502aがオンとなる短絡期間を調整し、直流コンデンサ403の直流電圧Vsubを所定の電圧に調整することができる。このような制御を行うことによって、直流コンデンサ403に外部電源を用いずに、自立動作が可能となる。
また、交流電流Iinが入力力率1に制御されている前提のもと、位相範囲0≦θ<θ1およびθ1≦θ<π/2の直流電圧Vsubのリプルを定式化し、位相範囲0〜π/2での直流電圧Vsubの変化量をΔVsubとしたとき、位相範囲0〜π/2の間で直流電圧VsubをΔVsub変化させるための直流コンデンサ403の電流をIsubとすると、短絡位相θ1は、前述の式(6)のように表すことができる。
所定の入力電圧Vin、直流電圧Vdc、直流電圧Vsub、入力電流Iinで動作している場合、式(6)によって求められる短絡位相θ1を操作することによって、電流Isubを制御することができ、すなわち短絡位相θ1を操作することによって、直流電圧Vsubを制御することが可能である。
半導体スイッチング素子401aと半導体スイッチング素子402aとは、相補的に動作させる。すなわち、半導体スイッチング素子402aがオン状態の場合には、半導体スイッチング素子401aはオフ状態とし、半導体スイッチング素子402aがオフ状態の場合には、半導体スイッチング素子401aはオン状態とする。ただし、半導体スイッチング素子401aは、常にソースからドレインに電流が流れるため、半導体スイッチング素子401aをオフして、逆並列接続されたダイオード401bに電流を流すように制御してもよい。
次に、コンバータ回路500およびインバータ回路400の制御の詳細について、図27および図28に基づいて説明する。図27および図28は、本発明の第4の実施の形態における電力変換装置3000の制御回路10Cの構成を示すブロック図である。さらに具体的には、図27は、制御回路10Cによるコンバータ回路500の出力制御に関係する部分の構成を示すブロック図であり、図28は、制御回路10Cによるインバータ回路400の出力制御に関係する部分の構成を示すブロック図である。
コンバータ回路500の出力制御を行う場合の制御回路10Cは、差分器150、比例積分(PI)制御器151、乗算器152、短絡位相演算器156、三角波生成部159およびPWM制御部161を備えて構成される。
図27に示すコンバータ回路500の出力制御において、制御回路10Cは、インバータ回路400の直流コンデンサ403の直流電圧Vsubを電圧指令値Vsub*に追従させる制御を行う。
図27に示す制御回路10Cのうち、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcを制御するためのコンバータ回路500の出力制御に関する構成は、前述の図17に示す制御回路10Bのうち、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcを制御するためのコンバータ回路300の出力制御に関する構成と類似する。したがって、図17と同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。また、短絡位相θ1を求める式は、第3の実施の形態の力行動作での式(6)と同じであるため、第3の実施の形態と同様にして、Ip(=√2×IinRMS)の逆数に相当する所定値154を求め、短絡位相目標値θ1*を得る。
制御回路10Cは、短絡位相演算器156によって生成された短絡位相目標値θ1*をPWM制御部161に与えて、コンバータ回路500の半導体スイッチング素子501a、502aに対するゲート信号15を生成する。
このPWM制御部161では、三角波生成部159において生成された交流電源1の周波数の2倍の周期に同期した三角波(交流電源周期三角波)をキャリア波として用いて比較演算し、交流電源1の電圧Vinがゼロクロスする位相をほぼ中央として動作するゲート信号15を生成する。ゲート信号15は交流電源1の周波数の2倍の低周波スイッチング信号となる。
インバータ回路400の出力制御を行う場合の制御回路10Cは、減算器120、比例積分(PI)制御器122、第1乗算器123、第2乗算器127、交流電源同期正弦波生成部128、第3乗算器129、差分器130、比例(P)制御器132およびPWM制御部136を備えて構成される。
図28に示すインバータ回路400の出力制御において、制御回路10Cは、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcを目標電圧Vdc*に維持し、また交流電源1の力率がほぼ「1」になるように、入力電流Iinを制御する。
図28に示す制御回路10Cのうち、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcを制御するためのインバータ回路200の出力制御に関する構成は、前述の図2に示す制御回路10Aのうち、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcを制御するためのコンバータ回路100の出力制御に関する構成、および前述の図18に示す制御回路10Bのうち、平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcを制御するためのインバータ回路200の出力制御に関する構成と類似する。したがって、図2および図18と同一の構成については同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
制御回路10Cは、比例制御器132で比例制御した出力を電力変換装置3000の発生電圧の目標値となる電圧指令値133とし、この電圧指令値133を用いて、PWM制御部136により半導体スイッチング素子401a、402aに対するゲート信号14を生成する。
以上に説明した第4の実施の形態では、インバータ回路400のようなハーフブリッジ型のインバータを備えた電力変換装置3000のVsub制御において、Ipの逆数の値が急激に大きくなるという反比例の特性を解消し、フィードバック制御において第2の操作量である短絡位相目標値θ1*が大きく変動することを防止する。これによって、制御の安定性を向上させることができる。
また、第1〜第3の実施の形態と同様に、インバータ回路400のようなハーフブリッジ型のインバータを備えた電力変換装置3000による平滑コンデンサ3の直流電圧Vdcの制御においても、入力電圧実効値VinRMSの逆数の値が急激に大きくなるという反比例の特性を解消し、フィードバック制御において第2の操作量であるIinRMS*が大きく変動することを防止することができる。これによって、電流の変動による素子発熱を防止し、急激な操作量変動によるEMCへの悪影響を抑制することができる。
本実施の形態では、電力変換装置3000は力行動作を行うものについて示したが、回生動作を行う構成であっても同様の効果を得ることができる。回生動作を行う場合は、電力変換装置3000はダイオードブリッジ4を備えず、直流母線3aおよび3bの間にインバータ回路400およびコンバータ回路500をもう一組並列に備え、各インバータ回路の交流端子にリアクトル2を直列に挿入した交流母線を接続する構成となる。
<第5の実施の形態>
図29は、本発明の第5の実施の形態における電力変換装置4000の構成を示す図である。図29に示すように、電力変換装置4000は、直流入力を受けて直流電力を出力する主回路110Cと、制御回路10Dとを備えている。主回路110Cは、平滑コンデンサ5と、フルブリッジインバータを構成するMOSFETなどの半導体スイッチング素子601a〜604aと、半導体スイッチング素子601a〜604aのそれぞれのソース・ドレイン間に逆並列に接続されたダイオード601b〜604bと、絶縁トランス7と、ダイオードブリッジ8と、限流回路を構成するリアクトル9とを備えている。
入力端子t1と入力端子t2の間には、平滑コンデンサ5と、直列に接続された半導体スイッチング素子601aと602aと、同じく直列に接続された半導体スイッチング素子603aと604aとが接続される。半導体スイッチング素子601aと602aの接続点、および半導体スイッチング素子603aと604aの接続点は、それぞれ絶縁トランス7の1次側に接続される。絶縁トランス7の2次側はダイオードブリッジ8に接続され、ダイオードブリッジ7の一方の出力端子はリアクトル9に接続され、リアクトル9は出力端子t5に接続される。また、ダイオードブリッジ8の他方の出力端子は、出力端子t6に接続される。
半導体スイッチング素子601a,602a,603a,604aは、MOSFET以外にも、IGBTなどを用いてもよく、その場合も、それぞれダイオードを逆並列に接続した構成とする。
また、リアクトル9は、ダイオードブリッジ8と出力端子t6の間に直列接続されてもよい。また、半導体スイッチング素子601a,602a,603a,604aに代えて、機械式スイッチを用いてもよい。
また、図示は省略するが、電力変換装置4000は、平滑コンデンサ5の直流電圧Vdc2を測定する電圧計、出力端子t5と出力端子t6との間の出力電圧Voutを測定する電圧計、および出力電流Ioutを測定する電流計を備えている。平滑コンデンサ5の直流電圧Vdc2を測定する電圧計は、第1のセンサに相当し、出力端子t5と出力端子t6との間の出力電圧Voutを測定する電圧計は、第2のセンサに相当する。
制御回路10Dは、平滑コンデンサ5の直流電圧Vdc2と、出力電圧Voutと、出力電流Ioutとに基づいて、平滑コンデンサ5の直流電圧Vdc2が一定の目標電圧Vdc2*になるように、半導体スイッチング素子601a,602a,603a,604aに与えるゲート信号16を生成して出力制御を行う。
入力端子t3と入力端子t4との間には、図示しない別の電力変換装置などが接続される。また出力端子t5と出力端子t6との間には図示しない負荷が接続される。
このように構成される電力変換装置4000の動作について、図30を用いて説明する。図30は、本発明の第5の実施の形態における電力変換装置4000の各部の波形を示す図である。図30(a)は、半導体スイッチング素子601aと半導体スイッチング素子604aのオン・オフ状態を示す。図30(b)は、半導体スイッチング素子602aと半導体スイッチング素子603aのオン・オフ状態を示す。図30(c)は、絶縁トランス7の2次側端子間電圧を示す。
図30に示すように、電力変換装置4000では、半導体スイッチング素子601aと半導体スイッチング素子604aとがオンとなったとき、また半導体スイッチング素子602aと半導体スイッチング素子603aとがオンとなったときに、絶縁トランス7の2次側端子間に電圧を生じ、平滑コンデンサ5の電力が絶縁トランス7の2次側へ出力される動作となる。
電力変換装置4000の出力制御について、絶縁トランス7の2次側へ電圧を生じたときにリアクトル9が励磁され、それ以外の期間においてリアクトル9の励磁がリセットされる。これによって、リアクトル9の励磁期間、すなわち半導体スイッチング素子のオン期間を調整するようにPWM制御することによって、出力電流Ioutを制御することができる。
次に、電力変換装置4000の制御の詳細について図31に基づいて説明する。図31は、本発明の第5の実施の形態における電力変換装置4000の制御回路10Dの構成を示すブロック図である。制御回路10Dは、減算器170、第1乗算器172、第1比例積分(PI)制御器174、第2乗算器175、第3乗算器179、差分器180、第2PI制御器182およびPWM制御部184を備えて構成される。
制御回路10Dは、平滑コンデンサ5の直流電圧Vdc2を目標電圧Vdc2*に維持し、また、出力電流Ioutを制御する。
制御回路10Dにおいて、減算器170は、平滑コンデンサ5の目標電圧Vdc2*と直流電圧Vdc2との差分を取り、得られた値を差分電圧171の値として出力する。減算器170から出力された差分電圧171の値は、第1乗算器172に与えられる。
第1乗算器172は、減算器170から与えられる差分電圧171の値と「−1」とを乗じて極性を反転させた値173を生成する。第1乗算器172によって生成された値173は、フィードバック量として、第1PI制御器174に与えられる。
第1PI制御器174は、第1乗算器172から与えられた値について比例積分(PI)制御を行う。第1PI制御器174は、PI制御によって得られた値を、平滑コンデンサ5から出力する方向の電流目標値Idc2*として出力する。出力された電流目標値Idc2*は、第1の操作量となる。ここで、入力端子t3,t4からの電力供給分については、電力変換装置4000による平滑コンデンサ5の直流電圧Vdc2の制御に対する外乱と捉え、第1PI制御器174の積分制御によって補償する。
半導体スイッチング素子601a〜604aのスイッチング制御によって制御されるのは、出力電流Ioutである。そこで、電流目標値Idc2*を実際の制御での操作量となる出力電流目標値Iout*に変換する。
理論的には、所定の電力における入出力の電流比から求められる変換乗数(Vdc2/Vout)を電流目標値Idc2*に乗算することによって、第2の操作量として、出力電流目標値Iout*を求めることができる。
制御回路10Dにおいて、第2乗算器175は、第1PI制御器174から出力された電流目標値Idc2*と、平滑コンデンサ5の直流電圧Vdc2とを乗算し、乗算した値を、出力値176として出力する。出力値176は、第3乗算器179に与えられる。
第3乗算器179は、第2乗算器175から与えられる出力値176と、出力電圧Voutの逆数に相当する所定値178とを乗算することによって、出力電流目標値Iout*を生成する。第3乗算器179によって生成された出力電流目標値Iout*は、差分器180に与えられる。
ここで、所定値178は、出力電圧Voutに基づいて演算する関数F(x)177の出力である。この所定値178を用いた演算は、電力変換装置4000において特徴的な方法であり、その演算について以下に説明する。
関数F(x)177によって求められる値は、前述のように、出力電圧Voutの逆数に相当する値である。しかし、出力電圧Voutが比較的小さい値である場合には、第2の操作量である出力電流Ioutが大きく変動することを防止するために、関数F(X)177によって求められる値は、出力電圧Voutの逆数を接線近似した値とする。
出力電圧Voutの逆数である1/Voutとその接線近似から決定した関数F(x)177を、前述の第1の実施の形態で示した図4において参照符号「125A」で示す。関数F(x)177(125A)では、xが200以下である(x≦200)場合は、xの逆数1/xの接線近似を用い、xが200を超える(x>200)場合は、xの逆数1/xを用いる。xが200である(x=200)点は、xの逆数1/xとその接線近似との交点である。制御回路10Dは、このような関数F(x)177(125A)の入力を出力電圧Voutとして、換言すればxを出力電圧Voutと置いて、所定値178を求める。
図31に戻って、差分器180は、第3乗算器179から与えられる出力電流目標値Iout*と、出力電流Ioutとの差分を取り、得られた値を差分電流181の値として出力する。差分器180から出力された差分電流181の値は、フィードバック量として、第2PI制御器182に与えられる。
第2PI制御器182は、差分器180から与えられた差分電流181の値について比例積分(PI)制御を行う。第2PI制御器182は、PI制御を行うことによって得られた値を、電力変換装置4000の発生電圧の目標値となる電圧指令値183として出力する。第2PI制御器182から出力された電圧指令値183は、PWM制御部184に与えられる。
PWM制御部184は、第2PI制御器182から与えられる電圧指令値183を用いて、図29に示す半導体スイッチング素子601a〜604aに対するゲート信号16を生成する。PWM制御部184によって生成されたゲート信号16は、半導体スイッチング素子601a〜604aに与えられる。
以上に説明した第5の実施の形態では、DC−DCコンバータである電力変換装置4000の出力電流Ioutの制御において、出力電圧Voutの逆数の値が急激に大きくなるという反比例の特性を解消し、フィードバック制御において第2の操作量である出力電流目標値Iout*が大きく変動することを防止する。これによって、電流の変動による素子の発熱を防止し、急激な操作量の変動によるEMCへの悪影響を抑制することができる。
本実施の形態では、半導体スイッチング素子601a〜604aで構成されるフルブリッジインバータの制御について、半導体スイッチング素子601aと半導体スイッチング素子604a、および半導体スイッチング素子602aと半導体スイッチング素子603aを交互にオン・オフするハードスイッチング方式を示したが、位相シフト制御によるソフトスイッチング方式でスイッチング制御されるものであってもよい。
また、電力変換装置4000の主回路110Cとして、絶縁型のフルブリッジインバータによって構成される場合について説明したが、他のDC−DCコンバータの回路構成であってもよく、非絶縁であってもよい。入力端子間の電圧を制御するために、出力電流を操作するというように、制御目標と操作量とが、電力変換装置の入力と出力とに分かれているものであれば、同様の制御を適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
また、前述の実施の形態では、電力変換装置4000が力行動作を行う場合の構成について説明したが、回生動作を行う構成であっても、力行動作を行う場合と同様の効果を得ることができる。回生動作を行う場合は、電力変換装置4000のダイオードブリッジ7を構成するダイオードを、半導体スイッチング素子に置き換えた構成となる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせることが可能である。また、各実施の形態の任意の構成要素を適宜、変更または省略することが可能である。