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JP5837437B2 - 非水系二次電池用セパレータおよび非水系二次電池 - Google Patents

非水系二次電池用セパレータおよび非水系二次電池 Download PDF

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Description

本発明は非水系二次電池用セパレータおよび非水系二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池に代表されるような非水系二次電池は、ノートパソコン、携帯電話、デジタルカメラ、カムコーダなどの携帯用電子機器の電源として広く用いられている。更に近年においてこれらの電池は高エネルギー密度を有するという特徴から自動車などへの適用も検討されている。
携帯用電子機器の小型化・軽量化に伴い、非水系二次電池の外装の簡素化がなされてきている。当初は外装としてステンレス製の電池缶が用いられていたが、アルミ缶製の外装が開発され、さらには現在ではアルミラミネートパック製のソフトパック外装も開発されている。アルミラミネート製のソフトパック外装の場合、外装が柔らかいため、充放電に伴って電極とセパレータとの間に隙間が形成される場合があり、サイクル寿命が悪くなるという技術的課題がある。この課題を解決するという観点から、電極とセパレータを接着する技術が重要であり、多くの技術的提案がなされている。
その1つの提案として、従来のセパレータであるポリオレフィン微多孔膜にポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層(以下、接着性多孔質層ともいう)を成形したセパレータを用いる技術が知られている(例えば特許文献1参照)。接着性多孔質層は、電解液を含んだ状態で電極に重ねて熱プレスすると、電極とセパレータを良好に接合させることができ、接着剤として機能し得る。そのため、ソフトパック電池のサイクル寿命を改善することができる。
また、従来の金属缶外装を用いて電池を作製する場合、電極とセパレータを重ね合わせた状態で捲回して電池素子を作製し、この素子を電解液と共に金属缶外装内に封入して、電池を作製する。一方、上述した特許文献1のようなセパレータを用いてソフトパック電池を作製する場合は、上記の金属缶外装の電池と同様にして電池素子を作製し、これを電解液と共にソフトパック外装内に封入して、最後に熱プレス工程を加えて、電池を作製する。よって、上記のような接着性多孔質層を有したセパレータを用いる場合、上記の金属缶外装の電池と同様にして電池素子を作製できるため、従来の金属缶外装電池の製造工程に対し大幅な変更を加える必要がない、というメリットもある。
例えば、特許文献1では十分な接着性の確保とイオン透過性の両立という観点からポリフッ化ビニリデン系樹脂層の多孔構造と厚みに着眼した技術提案がなされている。
別の提案として、網目状支持体を内包し、電解液に膨潤し該電解液を保持する有機高分子からなる多孔膜からなるセパレータを用いる技術が知られている(特許文献2及び3参照)。また、特許文献4〜6では、電極との接着性の改善等の観点から、2種類のポリフッ化ビニリデン系樹脂を組み合わせて接着性多孔質層を形成する技術が開示されている。
特開2003−086162号公報 国際公開第01/067536号パンフレット 国際公開第04/019433号パンフレット 特開2005−019157号公報 特開2004−111160号公報 特開2005−056800号公報
ところで、一般的な非水系二次電池の正極あるいは負極は、集電体と、この集電体上に形成された電極活物質およびバインダー樹脂を含む活物質層から構成されている。そして、上述した接着性多孔質層は、熱プレスによって電極と接合させた場合、電極中のバインダー樹脂に対して接着する。そのため、より良好な接着性を確保するためには、電極内のバインダー樹脂の量は多い方が好ましい。
しかしながら、電池のエネルギー密度をより高めるためには、電極中の活物質の含有量を高める必要があり、バインダー樹脂の含有量は少ない方が好ましい。そのため、従来技術において十分な接着性を確保するためには、より高い温度や高い圧力といった厳しい条件で熱プレスを行う必要があった。そして、従来技術においては、そのような厳しい条件で熱プレスした場合、ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる接着性多孔質層の多孔構造が潰れてしまう問題があった。そのため、熱プレス工程後のイオン透過性が十分でなくなり、良好な電池特性を得るのが困難であった。
また、従来は電極に用いるバインダー樹脂はポリフッ化ビニリデン系樹脂が一般的だったのに対し、近年はスチレン−ブタジエンゴムを適用する場合も増えてきている。このようなスチレン−ブタジエンゴムを用いた電極に対しては、従来の接着性多孔質層を備えたセパレータでは、イオン透過性と接着性を両立して十分な電池特性を得ることが難しかった。
例えば、特許文献1の構成ではポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層の空孔率が50〜90%と非常に高い空孔率となっているが、このような構成は前述のような接着工程の厳しい接着条件に対して力学物性が不十分であるという課題がある。さらに表面構造は孔径0.05〜10μmの孔が点在している構成であるが、このような不均一な表面構造では、電極との接着性、イオン透過性、および電池のサイクル特性を両立させることが難しくなってきているのが現状である。
また、特許文献2と3では、網目状支持体として耐熱性ポリマーからなる不織布を使用し、電解液に膨潤し、かつ電解液を保持する有機高分子としてポリフッ化ビニリデンを主体に使用したセパレータが記載されているが、接着性についての議論はない。
また、特許文献4〜6の構成では、接着性多孔質層の表面が緻密膜であり、同層の内部ではこれよりも大きな粗大孔が形成された、いわゆるフィンガースキン構造となっている。この構造の場合、接着性多孔質層の表面が緻密なので電極との接着性は確保できるが、表面部分でのイオンの移動が困難であり、また、多孔質層全体として不均一な孔構造であるためイオンの移動も不均一となり、電池の性能が十分に得られない場合がある。
このような背景から、本発明は従来のものに比べて電極との接着性に優れ、電極と接着した後にも十分なイオン透過性を確保でき、さらに、熱プレスにも十分に耐え得る力学的物性と均一な多孔質構造を有する接着性多孔質層を備えた非水系二次電池用セパレータを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用する。
1. 不織布基材と、この基材の少なくとも表面に形成され、かつポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備えた非水系二次電池用セパレータであって、前記接着性多孔質層は、(1)フッ化ビニリデンおよびヘキサフロロプロピレンを共重合成分として含み、かつ、ヘキサフロロプロピレンの含有量が1.5mol%以下であるポリフッ化ビニリデン系樹脂Aと、(2)フッ化ビニリデンおよびヘキサフロロプロピレンを共重合成分として含み、かつ、ヘキサフロロプロピレンの含有量が1.5mol%超であるポリフッ化ビニリデン系樹脂Bと、を含み、前記セパレータは、空孔率が50〜70%であり、前記接着性多孔質層は、平均孔径が1〜200nmであることを特徴とする非水系二次電池用セパレータ。
2. 前記接着性多孔質層は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂Aが15〜85重量部とポリフッ化ビニリデン系樹脂Bが85〜15重量部とからなることを特徴とする上記1に記載の非水系二次電池用セパレータ。
3. 前記接着性多孔質層の重量が3〜10g/mであることを特徴とする上記1または2いずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
4. 上記1〜3のいずれかに記載のセパレータを用いた非水系二次電池。
5. 電極とセパレータが接着されており、アルミラミネートフィルム外装となっていることを特徴とする上記4記載の非水系二次電池。
本発明によれば、従来のものに比べて電極との接着性に優れ、電極と接着した後にも十分なイオン透過性を確保でき、さらに、熱プレスにも十分に耐え得る力学的物性と均一な多孔質構造を有する接着性多孔質層を備えた非水系二次電池用セパレータを提供することができる。このような本発明のセパレータを用いれば、エネルギー密度が高く、高性能なアルミラミネートパック外装の非水系二次電池を提供することが可能となる。
本発明の非水系二次電池用セパレータは、不織布基材と、この基材の少なくとも表面に形成され、かつポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備えた非水系二次電池用セパレータであって、前記接着性多孔質層は、(1)フッ化ビニリデンおよびヘキサフロロプロピレンを共重合成分として含み、かつ、ヘキサフロロプロピレンの含有量が1.5mol%以下であるポリフッ化ビニリデン系樹脂Aと、(2)フッ化ビニリデンおよびヘキサフロロプロピレンを共重合成分として含み、かつ、ヘキサフロロプロピレンの含有量が1.5mol%超であるポリフッ化ビニリデン系樹脂Bと、を含み、前記セパレータは、空孔率が50〜70%であり、前記接着性多孔質層は、平均孔径が1〜200nmであることを特徴とする。以下、本発明について詳細に説明する。なお、以下において数値範囲で「〜」と示したものは、上限値および下限値を含む数値範囲であることを意味する。
[不織布基材]
本発明において、不織布基材を構成する材料はポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート等のポリエステル系材料、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系材料、ポリフェニレンスルフィド、芳香族ポリアミドやポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、及びポリエーテルイミド等の耐熱性高分子、あるいはこれらの混合物を使用することができる。特に、不織布としてはポリエステル系材料を主成分としたものが好ましい。ここで主成分とは、不織布基材においてポリエステル系材料が50重量%以上を占めることを意味し、残部としてポリオレフィン系材料等を混合して含ませることができる。中でも、ポリエチレンテレフタラート、またはポリエチレンテレフタラートとポリオレフィン系材料の混合が好適である。
本発明においては、不織布基材として、不織布基材に機能層を積層した複合不織布基材を採用することもできる。このような複合不織布基材は、機能層によってさらなる機能付加が可能となる点で好ましい。機能層としては、例えば耐熱性を付与するという観点では、耐熱性樹脂からなる多孔質層や、耐熱性樹脂および無機フィラーからなる多孔質層を用いることができる。耐熱性樹脂としては、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、およびポリエーテルイミドから選ばれる1種または2種以上の耐熱性高分子が挙げられる。無機フィラーとしては、アルミナ等の金属酸化物や、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等を好適に使用できる。なお、複合化の手法としては、多孔性シートに機能層をコーティングする方法、接着剤で接合する方法、熱圧着する方法等が挙げられる。
本発明において、不織布基材は、膜厚は5〜30μmの範囲が好適であり、10〜20μmがより好ましい。膜厚が5μmより薄いと十分な力学物性を得ることが困難となりハンドリング上の課題が生じる。膜厚が30μmより厚いと内部抵抗が高くなったりして電池性能の観点から好ましくない。イオン透過性の指標であるガーレ値(JIS P8117)は0〜500秒/100ccの範囲が好適である。500秒/100ccより大きいとイオン透過性が不十分で十分な電池特性が得られないことがある。また、突刺強度は50g以上のものが内部短絡防止、製造歩留まりの観点から適切である。
[ポリフッ化ビニリデン系樹脂]
本発明では、接着性多孔質層が、(1)フッ化ビニリデンおよびヘキサフロロプロピレンを共重合成分として含み、かつ、ヘキサフロロプロピレンの含有量が1.5mol%以下であるポリフッ化ビニリデン系樹脂Aと、(2)フッ化ビニリデンおよびヘキサフロロプロピレンを共重合成分として含み、かつ、ヘキサフロロプロピレンの含有量が1.5mol%超であるポリフッ化ビニリデン系樹脂Bと、を含むことが重要である。これら2種類のポリフッ化ビニリデン系樹脂を混合することによって、おのおの1種類のポリフッ化ビニリデン系樹脂を適用した場合に比べて、電極との接着性が格段に向上する。
フッ化ビニリデンおよびヘキサフロロプロピレンを共重合成分として含むポリフッ化ビニリデン系樹脂において、ヘキサフロロプロピレンの共重合割合を増加させると電解液に膨潤しやすくなるから、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂Bを用いた方が電極との接着性は向上する可能性が高い。しかしながら、ポリフッ化ビニリデン系樹脂Bのみを適用した場合、電極との接着性は必ずしも高いものではなく、ヘキサフロロプロピレンの共重合割合を増加させるとむしろ接着性が低下する傾向も見受けられる。
ここで、セパレータの表面に存在する接着性多孔質層は電極と接着する層であるが、この接着性多孔質層の表面には、接着機能を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる部分と、空孔の部分と、が存在する。ヘキサフロロプロピレン共重合割合が高いポリフッ化ビニリデン系樹脂Bのみで接着性多孔質層を形成した場合、空孔率が高く孔径も大きなモロホロジーが得られやすい。このように空孔率が高く孔径も大きな多孔質構造であると、ポリフッ化ビニリデン系樹脂部分の面積が減少し、かつ、接着箇所がまばらになる。これが、ポリフッ化ビニリデン系樹脂Bのみでは十分な電極との接着機能が得られないことの要因であると考えられる。
逆にポリフッ化ビニリデン系樹脂Aのようにヘキサフロロプロピレンの共重合割合を少ない樹脂のみを用いた場合、イオン透過性を阻害しない程度で、空孔率や孔径が小さな多孔質構造を得ることができる。このような多孔質構造であれば、表面モロホロジーの観点からは電極との接着性が高くなるとも考えられる。しかしながら、この場合、ヘキサフロロプロピレンの共重合割合が少ないため電解液に対する膨潤性が乏しく、高い接着性を得ることは困難である。
そこで、本発明の場合は、ヘキサフロロプロピレンを1.5mol%超含む共重合割合が高いポリフッ化ビニリデン樹脂Bを含ませることで、電解液への膨潤性を確保することができる。そして、ヘキサフロロプロピレンが1.5mol%以下含まれる共重合割合が低いポリフッ化ビニリデン系樹脂Aを含ませることで、電極との接着に好適な表面モロホロジーを得ることが可能となる。そのような理由で、上述したポリフッ化ビニリデン系樹脂Aおよびポリフッ化ビニリデン系樹脂Bを混合して用いると、電極との接着性に相乗効果を生み、接着性を格段に高くすることが可能となる。
また、本発明では、ポリフッ化ビニリデン系樹脂Aはヘキサフロロプロピレンが1.5mol%以下含まれる必要がある。ポリフッ化ビニリデン系樹脂Aのヘキサフロロプロピレンの共重合割合が1.5mol%超となってしまうと、前述の表面モロホロジーを好適なものにすることが困難となり、十分な電極との接着性が得られない。なお、ポリフッ化ビニリデン系樹脂Aは、ヘキサフロロプロピレンの含有量が0%の場合、すなわちフッ化ビニリデン単独のホモポリマーであってもよい。
また、本発明では、ポリフッ化ビニリデン系樹脂Bはヘキサフロロプロピレンが1.5mol%超含まれる必要がある。より好ましい範囲としては1.5〜50.0mol%である。ポリフッ化ビニリデン系樹脂Aのヘキサフロロプロピレンの共重合割合が1.5mol%より小さくなってしまうと、電解液に対する膨潤性が乏しく、高い接着性を得ることは困難である。ヘキサフロロプロピレンが50.0mol%超含まれる場合は、高接着性を発現させる表面モロホロジーを形成するために、ポリフッ化ビニリデン系樹脂Aの混合比が多いほうが好ましい。
本発明において、接着性多孔質層は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂Aが15〜85重量部とポリフッ化ビニリデン系樹脂Bが85〜15重量部とからなることが好ましい。ポリフッ化ビニリデン系樹脂Aが15重量部より少ないと、上述した好適な表面モロホロジーが得られ難い傾向にあり、電極との接着性が十分に得られない場合がある。また、ポリフッ化ビニリデン系樹脂Bが15重量部より少ないと、上述した電解液へ膨潤性が低下し、電極との接着性が十分に得られない場合がある。
本発明において、ポリフッ化ビニリデン系樹脂A,Bとしては、重量平均分子量が20万〜300万のものを好適に用いることができる。重量平均分子量が20万未満であると、電極との接着工程である熱プレスに耐えるだけの力学強度が得られない場合がある。また、重量平均分子量が300万を超えると、塗工液の粘度が高くなりすぎ成形性が著しく低下するので好ましくない。
また、本発明においては、ポリフッ化ビニリデン系樹脂A,Bとして、フッ化ビニリデンおよびヘキサフロロプロピレンのみからなる共重合体を用いることが好ましいが、これら以外の他のモノマー成分を含んだ共重合体を用いることもできる。このような他のモノマー成分としては、例えばテトラフロロエチレン、トリフロロエチレン、トリクロロエチレンあるいはフッ化ビニル等の一種類又は二種類以上を挙げることができる。
上記のような比較的分子量の高いポリフッ化ビニリデン系樹脂は、好ましくは乳化重合あるいは懸濁重合、特に好ましくは懸濁重合により得ることができる。
[接着性多孔質層]
本発明において、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層の多孔構造は重要な技術要素であり、その平均孔径は1〜200nmである。ここで、接着性多孔質層とは、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含んで構成されており、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっている層を意味する。このような接着性多孔質層は、不織布の少なくとも表面に形成されている、すなわち、接着性多孔質層は不織布の片面または両面に形成されているか、あるいは、さらに不織布の内部にも含まれて全体として不織布を内包した状態で形成されていてもよい。また、平均孔径は、多孔質層の表面を走査型電子顕微鏡により、倍率30000倍で撮影して得た写真から無作為に開孔20箇所を選んで直径を測定し、直径の平均値を求めて平均孔径とした。孔の形状は円形に限らず、楕円形や異形になることもありうる。この場合の孔の直径とは、該楕円形の長軸方向の長さと短軸方向の長さの平均をその孔径として算出する。また、孔の形状が円形でも楕円形でもないときには円または楕円に近似して直径を算出する。
接着性多孔質層の平均孔径は、1〜200nmの範囲である必要があり、20〜200nmであればより好ましい。平均孔径が200nmより大きくなると、孔の不均一性が増大し、接着点がまばらになるため、十分なサイクル特性を得るだけの接着性を確保することが困難となる。また、イオンの移動も不均一となる傾向にあり、そのような観点からも十分なサイクル特性を得ることが難しくなり、さらに負荷特性も悪くなる。また、平均孔径は均一性という観点では出来るだけ小さいことが好ましいが、1nmより小さい多孔構造を形成することは現実的に困難である。また、接着性多孔質層に電解液を含浸させた場合、該ポリフッ化ビニリデン系樹脂は膨潤するが、平均孔径が小さすぎると、膨潤により孔が閉塞し、イオン透過性が阻害されてしまう観点からも好ましくない。
本発明における接着性多孔質層の多孔構造は、非水系二次電池用セパレータとして適当な空孔率を有しているにも関わらす、従来のものに比べその平均孔径が非常に小さいことが特徴的である。これは微細な多孔構造が発達していて、均一であることを意味する。このような多孔構造は前述したようにセパレータ電極界面におけるイオンの移動の均一性が良好であるため、均一な電極反応を可能とし、電池の負荷特性、サイクル特性を向上させる効果がある。また、接着に寄与する該ポリフッ化ビニリデン系樹脂部の面内分布の均一性も高いため良好な電極との接着が達成される。
さらに本発明のセパレータは不織布基材と接着性多孔質層との界面におけるイオン移動も良好にする。一般的に、積層型セパレータは層界面のイオン移動が目詰まりにより好ましくなく、そのため良好な電池特性を得るのが難しいことがある。しかし、本発明における接着性多孔質層は、微細な多孔構造が発達しており、均一でかつその孔の数が多い。また、不織布基材を使用するため目詰まりによるイオン移動抑制は発生しない。そのため、不織布基材の孔と接着性多孔質層の孔を良好に接続できる確率が高くなるから、目詰まりによる性能低下を著しく抑制することが可能となる。
なお、接着性多孔質層には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、無機物あるいは有機物からなるフィラーやその他添加物を混入することも可能である。このようなフィラーを混入させることで、セパレータの滑り性や耐熱性を改善させることが可能となる。無機フィラーとしては、例えばアルミナ等の金属酸化物や、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等を用いることができる。有機フィラーとしては例えばアクリル樹脂等を用いることができる。
[非水系二次電池用セパレータ]
本発明の非水系二次電池用セパレータは、上述したように、不織布基材と、この基材の少なくとも表面に形成され、かつポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備えている。ここで、接着性多孔質層は、電解液を含んだ状態で熱プレスによって電極と接着する接着層であるため、セパレータの最外層として存在する必要がある。当然、正極および負極の両方とセパレータを接着させた方がサイクル寿命の観点から好ましいので、不織布基材の両面に接着性多孔質層を形成した方が好ましく、さらに不織布基材を接着性多孔質層中に完全に内包させた方が好ましい。
本発明の非水系二次電池用セパレータの空孔率は50〜70%の範囲である必要があり、55〜70%の範囲であればより好ましい。空孔率が70%を超えると、電極と接着させるプレス工程に耐える力学物性を得るのが難しくなる。また、空孔率が70%より高いと表面開孔率が高くなり、接着機能を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂が占める面積が減るため、十分な接着力を確保することが困難となり好ましくない。空孔率が50%より低くなると、イオン透過性が著しく低下し、十分な電池特性を得るのが困難となるため好ましくない。
本発明の非水系二次電池用セパレータのガーレ値は800秒/100cc以下の範囲が好適であり、より好ましくは100秒/100cc以下である。ガーレ値が800秒/100ccより高いと十分な電池性能が得られないことがある。
該ポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量は3.0〜10.0g/mの範囲が好適である。3.0g/mより少ないと電極との接着性が十分でなくなることがある。また、10.0g/mより多いとイオンの透過性を阻害し電池の負荷特性が低下する傾向にあるので好ましくない。
非水系二次電池用セパレータの膜厚は、機械強度とエネルギー密度の観点から、5〜35μmが好ましい。接着性多孔質層の片面の膜厚としては、接着性と良好なイオン透過性を確保するという観点から、0.5〜5μmの範囲であることが好ましい。接着性多孔質層におけるポリフッ化ビニリデン系樹脂のフィブリル径は、サイクル特性の観点から、10〜1000nmの範囲であることが好ましい。非水系二次電池用セパレータの膜抵抗は、十分な電池の負荷特性を確保するという観点から、1〜10ohm・cmの範囲であることが好ましい。ここで膜抵抗とはセパレータに電解液を含浸させたときの抵抗値であり、交流法にて測定される。当然、電解液の種類、温度によって異なるが、上記の数値は電解液として1M LiBF プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート(1/1重量比)を用い、20℃にて測定した数値である。
[非水系二次電池用セパレータの製造方法]
上述した本発明の非水系二次電池用セパレータは、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層を形成し、さらにこれと不織布基材を複合化する必要があるが、例えば、これは以下のような方法によって達成される。
具体的に、まずポリフッ化ビニリデン系樹脂を溶媒に溶解して、塗工液を作製する。この塗工液を不織布基材上へ塗工し、適切な凝固液に浸漬する。これにより、相分離現象を誘発しながら、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を固化させる。この工程でポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる層は多孔構造となっている。その後、水洗することで凝固液を除去し、乾燥することで接着性多孔質層を不織布基材上に一体的に形成することができる。
上記の塗工液としては、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を溶解する良溶媒を用いることができる。このような良溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミドなどの極性アミド溶媒を好適に用いることができる。良好な多孔構造を形成するという観点においては、上記の良溶媒に加えて、相分離を誘発させる相分離剤を混合させる方が好ましい。このような相分離剤としては、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、あるいはトリプロピレングリコールなどが挙げられる。このような相分離剤は、塗工に適切な粘度が確保できる範囲で添加することが好ましい。また、接着性多孔質層にフィラーやその他添加物を混入させる場合は、上記塗工液中に混合あるいは溶解させればよい。
塗工液の組成は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が3〜15重量%の濃度で含まれていることが好ましい。溶媒としては、用いる溶媒の種類にもよるが、適切な多孔構造を形成する観点から、良溶媒を60重量%以上、相分離剤を10〜40重量%含む混合溶媒を用いることが好ましい。相分離剤の量が多いと孔が大きくなりすぎたり、塗工液がゲル化して流動性を失ったりという問題が生じる。また、相分離剤の量が少ないとフィンガースキン構造をとりやすく好ましくない。
凝固液は、本発明のような多孔構造を形成するためには、前記の溶媒、相分離剤、水から構成されるものを適用するのが好適である。溶媒と相分離剤の混合比はポリフッ化ビニリデン系樹脂の溶解に用いた混合溶媒の混合比に合わせた方が生産上好ましい。水の濃度は多孔構造の制御に重要な因子であり、相分離剤の種類、塗工液の構成にもよるが、概ね水の濃度は40〜80重量%であることが適切である。なお、水の濃度が高すぎるとフィンガースキン構造を形成しやすくなり不適切である。また水の濃度が低すぎると凝固が遅くなって孔が形成され難くなる。
凝固液の温度も多孔構造形成に重要な因子の1つである。本発明の場合、凝固液の温度は20〜50℃の範囲が好適である。凝固液の温度が低すぎるとフィンガースキン構造となり易く、温度が高いと孔が大きくなる傾向があり、それを踏まえて本発明の多孔構造を得るためには適正化しなければならない。
不織布基材への塗工液の塗工は、マイヤーバー、ダイコーター、リバースロールコーター、グラビアコーターなどの従来の塗工方式を適用可能である。接着性多孔質層を不織布基材の両面に形成する場合、塗工液を片面ずつ塗工してから凝固、水洗および乾燥することも可能だが、塗工液を両面同時に不織布基材上に塗工してから凝固、水洗および乾燥する方が、生産性の観点から好適である。
なお、本発明のセパレータは、上述した湿式塗工法以外に、乾式塗工法でも製造することができる。ここで、乾式塗工法とは、ポリフッ化ビニリデン系樹脂と溶媒を含んだ塗工液を不織布基材上に塗工し、これを乾燥することで溶媒を揮発除去することにより、多孔膜を得る方法をいう。ただし、乾式塗工法の場合、湿式塗工法と比べて塗工膜が緻密膜になり易く、塗工液にフィラー等を添加しなければ多孔質層を得ることは殆ど不可能である。また、このようなフィラー等を添加したとしても、良好な多孔質構造は得られ難い。よって、このような観点からすれば、本発明では湿式塗工法を用いることが好ましい。
また、本発明のセパレータは、接着性多孔質層と不織布基材を別個に作製しておき、これらのシートを重ね合わせて、熱圧着や接着剤により複合化する方法等によっても製造できる。接着性多孔質層を独立したシートとして得る方法としては、塗工液を剥離シート上に塗工し、上述した湿式塗工法あるいは乾式塗工法を用いて接着性多孔質層を形成し、接着性多孔質層のみを剥離する方法等が挙げられる。
[非水系二次電池]
本発明の非水系二次電池は、上述した本発明のセパレータを用いたことを特徴とする。
本発明において、非水系二次電池は、正極および負極の間にセパレータが配置され、これらの電池素子が電解液と共に外装内に封入された構成となっている。非水系二次電池としてはリチウムイオン二次電池が好適である。
正極としては、正極活物質、バインダー樹脂および導電助剤からなる電極層を、正極集電体上に形成した構成を採用できる。正極活物質としては、例えばコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、スピネル構造のマンガン酸リチウム、あるいはオリビン構造のリン酸鉄リチウムなどが挙げられる。本発明では、セパレータの接着性多孔質層を正極側に配置した場合、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が耐酸化性に優れるため、4.2V以上の高電圧で作動可能なLiMn1/2Ni1/2、LiCo1/3Mn1/3Ni1/3といった正極活物質を適用しやすくなるという利点もある。バインダー樹脂としては例えばポリフッ化ビニリデン系樹脂などが挙げられる。導電助剤としては例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛粉末などが挙げられる。集電体としては例えば厚さ5〜20μmのアルミ箔などが挙げられる。
負極としては、負極活物質、およびバインダー樹脂からなる電極層を、負極集電体上に形成した構成を採用でき、必要に応じて電極層中に導電助剤を添加してもよい。負極活物質としては、例えばリチウムを電気化学的に吸蔵することができる炭素材料や、シリコンあるいは錫などのリチウムと合金化する材料などを用いることができる。バインダー樹脂としては、例えばポリフッ化ビニリデン系樹脂やスチレン−ブタジエンゴムなどが挙げられる。本発明の非水系二次電池用セパレータの場合、接着性が良好であるため、負極バインダーとしてポリフッ化ビニリデン系樹脂だけでなくスチレン−ブタジエンゴムを用いた場合でも十分な接着性を確保できる。また、導電助剤としては例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛粉末などが挙げられる。集電体としては例えば厚さ5〜20μmの銅箔などが挙げられる。また、上記の負極に代えて、金属リチウム箔を負極として用いることも可能である。
電解液は、リチウム塩を適切な溶媒に溶かした構成となっている。リチウム塩としては、例えばLiPF、LiBF、LiClOなどが挙げられる。溶媒としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フロロエチレンカーボネート、ジフロロエチレンカーボネート等の環状カーボネートや、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびそのフッ素置換体等の鎖状カーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル、あるいは、これらの混合溶媒を好適に用いることができる。特に、環状カーボネート/鎖状カーボネート=20〜40/80〜60重量比の溶媒に、リチウム塩を0.5〜1.5M溶解したものが好適である。なお、従来の接着性多孔質層を備えたセパレータにおいては、使用する電解液の種類によって電極に対する接着性を発揮し難い場合もあったが、本発明のセパレータによれば、電解液の種類によらず良好な接着性を発揮し得る点にも大きな利点がある。
本発明の非水系二次電池用セパレータは金属缶外装の電池にも適用可能であるが、電極との接着性が良好であるためアルミラミネートフィルム外装のソフトパック電池に好適に用いられる。このような電池を作製する方法は、前記正極および負極をセパレータを介して接合させ、これに電解液を含浸させアルミラミネートフィルム内に封入する。それを熱プレスすることで、非水系二次電池を得ることができる。このような本発明の構成であれば、電極とセパレータを良好に接着でき、サイクル寿命に優れた非水系二次電池を得ることができる。また、電極とセパレータの接着性が良好なため、安全性にも優れた電池となる。電極とセパレータの接合方法は電極とセパレータを積層させていくスタック方式、電極とセパレータを一緒に捲回する方式などがあり、本発明はいずれにも適用可能である。
以下、本発明を実施例により説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[測定方法]
(ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層の平均孔径)
多孔質層の表面を走査型電子顕微鏡(キーエンス株式会社:商品名「VE8800」)により、倍率30000倍で撮影して得た写真から、無作為に開孔20箇所を選んで直径を測定し、すべての直径の平均値を求めて平均孔径とした。
(膜厚)
接触式の厚み計(LITEMATIC ミツトヨ社製)を用いて測定した。測定端子は直径5mmの円柱状のものを用い、測定中には7gの荷重が印加されるように調整して行った。
(目付)
サンプルを10cm×10cmに切り出し、その重量を測定した。重量を面積で割ることで目付を求めた。
(ポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量)
セパレータの目付から基材の目付を差し引くことでポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量を求めた。
(空孔率)
非水系二次電池用セパレータ及び基材の空孔率は、下記式1から求めた。
ε={1−Ws/(ds・t)}×100… (式1)
ここで、ε:空孔率(%)、Ws:目付(g/m)、ds:真密度(g/cm)、t:膜厚(μm)である。
具体的に、例えばPET不織布基材とポリフッ化ビニリデン系樹脂のみからなる多孔質層とを積層させた複合セパレータについては、当該複合セパレータの空孔率ε(%)は以下の式2から算出した。
ε={1−(Wa/1.38+Wb/1.78)/t}×100 … (式2)
ここで、WaはPET不織布基材の目付(g/m)、Wbはポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量(g/m)、tは膜厚(μm)である。ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層の空孔率を算出する場合は、Wa=0(g/m)であり、tはポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層の厚み、すなわちセパレータの膜厚から基材の膜厚を引いた値とすればよい。
(ガーレ値)
JIS P8117に従い、ガーレ式デンソメータ(G−B2C 東洋精機社製)にて測定した。
[実施例1]
ポリフッ化ビニリデン系樹脂Aとして、クレハ化学社製のKFポリマー #9300(フッ化ビニリデン/ヘキサフロロプロピレン=98.9/1.1mol% 重量平均分子量195万)を用いた。ポリフッ化ビニリデン系樹脂Bとして、ARKEM社製のKYNAR 2801(フッ化ビニリデン/ヘキサフロロプロピレン=95.2/4.8mol% 重量平均分子量47万)を用いた。ポリフッ化ビニリデン系樹脂A/ポリフッ化ビニリデン系樹脂Bを80/20重量比として、該ポリフッ化ビニリデン系樹脂を5重量%でジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=7/3重量比である混合溶媒に溶解し、塗工液を作製した。これを繊度0.2dtexの配向結晶化させたポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維に繊度0.06dtexバインダー用PET短繊維をブレンドし、湿式抄造法により製膜、カレンダーロール掛けした不織布状シート(平均膜厚16μm、目付7g/m)の両面に等量塗工し、水/ジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=57/30/13重量比の凝固液(40℃)に浸漬することで固化させた。これを水洗、乾燥することで本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。このセパレータは、ポリエステルからなる不織布基材が、ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層中に内包された構造となっていた。
このセパレータについて、接着性多孔質層を構成する樹脂A,B中のヘキサフロロプロピレン(HFP)の含有量、両樹脂の混合比、セパレータの膜厚および目付け、接着性多孔質層の平均孔径、セパレータの空孔率、接着性多孔質層(PVDF樹脂)の重量、セパレータのガーレ値の測定結果を表1に示す。なお、以下の実施例および比較例のセパレータについても同様に表1にまとめて示す。
[実施例2]
ポリフッ化ビニリデン系樹脂A/ポリフッ化ビニリデン系樹脂Bを60/40重量比とした以外は実施例1と同様にして、本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。
[実施例3]
ポリフッ化ビニリデン系樹脂A/ポリフッ化ビニリデン系樹脂Bを40/60重量比とした以外は実施例1と同様にして、本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。
[実施例4]
ポリフッ化ビニリデン系樹脂A/ポリフッ化ビニリデン系樹脂Bを20/80重量比とした以外は実施例1と同様にして、本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。
[実施例5]
該ポリフッ化ビニリデン系樹脂を7.5重量%でジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=7/3重量比である混合溶媒に溶解し、塗工液を作製した以外は、実施例4と同様にして、本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。
[実施例6]
該ポリフッ化ビニリデン系樹脂を10重量%でジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=7/3重量比である混合溶媒に溶解し、塗工液を作製した以外は、実施例4と同様にして、本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。
[実施例7]
ポリフッ化ビニリデン系樹脂A/ポリフッ化ビニリデン系樹脂Bを90/10重量比とした以外は実施例1と同様にして、本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。
[比較例1]
共重合組成がフッ化ビニリデン/ヘキサフロロプロピレン=98.0/2.0mol%となるようなポリフッ化ビニリデン系樹脂を懸濁重合にて作製した。これをポリフッ化ビニリデン系樹脂Aとして用いた以外は実施例2と同様にして、非水系二次電池用セパレータを得た。
[比較例2]
ポリフッ化ビニリデン系樹脂A/ポリフッ化ビニリデン系樹脂Bを100/0重量比として塗工液を作製した。得られた塗工液を20℃にて24時間放置した。放置前後で塗工液の粘度をB型粘度計で測定したところ、放置後粘度の放置前粘度に対する比は、2.24であった。ここで測定温度は20℃とし、せん断速度は2.64s−1とした。この塗工液を使用した。それ以外は実施例1と同様にして、非水系二次電池用セパレータを得た。なお、使用した塗工液の保存安定性が悪く、均一に塗工することが困難であった。
[比較例3]
ポリフッ化ビニリデン系樹脂A/ポリフッ化ビニリデン系樹脂Bを0/100重量比とした以外は実施例1と同様にして、非水系二次電池用セパレータを得た。
Figure 0005837437
[非水系二次電池の作製]
(負極の作製)
負極活物質である人造黒鉛300g、バインダーであるスチレン−ブタジエン共重合体の変性体を40重量%含む水溶性分散液7.5g、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース3g、適量の水を双腕式混合機にて攪拌し、負極用スラリーを作製した。この負極用スラリーを負極集電体である厚さ10μmの銅箔に塗布し、得られた塗膜を乾燥し、プレスして負極活物質層を有する負極を作製した。
(正極の作製)
正極活物質であるコバルト酸リチウム粉末を89.5g、導電助剤のアセチレンブラック4.5g、バインダーであるポリフッ化ビニリデン(KFポリマー W#1100 クレハ化学社製)を6重量%となるようにNMPに溶解した溶液をポリフッ化ビニリデンの重量が6重量%となるように双腕式混合機にて攪拌し、正極用スラリーを作製した。この正極用スラリーを正極集電体である厚さ20μmのアルミ箔に塗布し、得られた塗膜を乾燥し、プレスして正極活物質層を有する正極を作製した。
(電池の作製)
上記のように作製した正極と負極にリードタブを溶接し、上記の実施例および比較例で作製したセパレータを正負極間に介してこれらを接合させ、電解液をしみ込ませてアルミパック中に真空シーラーを用いて封入した。ここで、電解液は1M LiPF エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(3/7重量比)を用いた。これを熱プレス機により電極1cm当たり20kgの荷重をかけ、90℃、2分の熱プレスを行うことで電池を作製した。
[電解液を含浸させたときのセパレータの抵抗測定]
電解液に1M LiBF プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート=1/1重量比を用い、この電解液を上記の実施例および比較例で作製したセパレータに含浸させた。これをリードタブ付きのアルミ箔電極に挟みアルミパックに封入して試験セルを作製した。この試験セルの抵抗を交流インピーダンス法(測定周波数:100kHz)により20℃にて測定した。結果を表2にまとめて示す。
[電極との接着性テスト]
上記のようにして作製した非水系二次電池について、熱プレス後の電池を解体し剥離強度を測定することで、接着性を評価した。結果を表2にまとめて示す。なお、表2では、実施例1のセパレータについての正極と負極に対する剥離強度の平均値を100として、各セパレータについての正極と負極に対する剥離強度の平均値を相対的に評価した値を示した。
[電池サイクル試験]
上記のようにして作製した非水系二次電池について、25℃にてサイクル試験を実施した。充電条件は1C、4.2Vの定電流定電圧充電、放電条件は1C、2.75Vカットオフの定電流放電とした。ここでサイクル特性の指標は100サイクル後の容量維持率とした。結果を表2にまとめて示す。
[電池の負荷特性試験]
上記のようにして作製した非水系二次電池について、25℃にて0.2Cの放電容量を基準にした2Cの相対放電容量を測定した。結果を表2にまとめて示す。なお、電池の負荷特性試験の結果は、接着後のイオン透過性の指標にもなる。
Figure 0005837437
本発明の非水系二次電池セパレータは非水系二次電池に好適に用いることができ、特に電極との接合が重要なアルミラミネート外装の非水系二次電池に好適である。

Claims (4)

  1. 不織布基材と、この基材の少なくとも表面に形成され、かつポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備えた非水系二次電池用セパレータであって、
    前記接着性多孔質層は、
    (1)フッ化ビニリデンおよびヘキサフロロプロピレンを共重合成分として含み、かつ、ヘキサフロロプロピレンの含有量が1.5mol%以下であるポリフッ化ビニリデン系樹脂Aと、
    (2)フッ化ビニリデンおよびヘキサフロロプロピレンを共重合成分として含み、かつ、ヘキサフロロプロピレンの含有量が1.5mol%超であるポリフッ化ビニリデン系樹脂Bと、を含み、
    前記接着性多孔質層は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂Aを15〜85重量部含み、ポリフッ化ビニリデン系樹脂Bを85〜15重量部含み、
    前記セパレータは、空孔率が50〜70%であり、前記接着性多孔質層は、平均孔径が47〜150nmであることを特徴とする非水系二次電池用セパレータ。
  2. 前記接着性多孔質層の重量が3〜10g/m であることを特徴とする請求項1記載の非水系二次電池用セパレータ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のセパレータを用いた非水系二次電池。
  4. 電極とセパレータが接着されており、アルミラミネートフィルム外装となっていることを特徴とする請求項3記載の非水系二次電池。
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