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JP5836561B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents

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Description

本発明は、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物を含有する皮膚外用剤に関する。
従来から、4−ビフェニル酢酸等のアリール酢酸系の非ステロイド系抗炎症成分を含有する皮膚外用剤が知られている。例えば、フェニル酢酸誘導体型消炎鎮痛剤、水溶性有機アミン及び低級アルコール等を含有し、pHが7.0〜9.0である消炎鎮痛ゲル軟膏剤(特許文献1)、4−ビフェニル酢酸、アルカリ及び水溶性有機アミンを含み、pHが6〜7である消炎鎮痛用貼付剤(特許文献2)、フェニル酢酸誘導体及びメントール類を含有する消炎鎮痛剤(特許文献3)、及び、非ステロイド系抗炎症剤と清涼化剤を含有する皮膚外用剤(特許文献4)、等が知られている。
そして、日本薬局方外規格2002「フェルビナク」の項にも記載されているように、これら皮膚外用剤では、特に液剤またはゲル剤の形態の皮膚外用剤では、一般にエタノール等の揮発性の低級アルコールが溶媒として用いられていた。
特開昭59−222409号公報 特開昭64−85913号公報 特開2003−286161号公報 特開平11−199522号公報
エタノール等の低級アルコールはアリール酢酸系消炎鎮痛性化合物の良好な溶媒であるが、一般に皮膚に対する刺激が強く、外用剤に用いる点での問題もある。また、このような低級アルコールは揮発性が高く、皮膚への適用時に、アルコールの気化に伴う気化熱によって急激かつ強い冷感(ヒヤッと感)を感じてしまい、冬季等の寒い時期に使用すると不快感を与えるという問題がある。そのため、エタノール等の低級アルコールを含有しない皮膚外用剤、特に液剤またはゲル剤が求められていた。しかし、良好な溶媒であるエタノール等の低級アルコールを用いずに製剤した場合、有効成分化合物の析出が生じる等の問題があり、安定な外用剤を調製することは困難であった。
本発明者らは、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物を含有する製剤を開発するにあたり鋭意研究を重ねた結果、六員環を有する1価のアルコール及びアルキレングリコールを併用することにより、エタノール等の低級アルコールを使用することなく、良好な製剤が得られること見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
1.アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物またはその薬学的に許容される塩、六員環を有する1価のアルコール及びアルキレングリコールを含有し、かつ、低級アルコールを含有しない皮膚外用剤、
2.アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物100質量部に対して、アルキレングリコールが450質量部以上である、前記1に記載の皮膚外用剤、
3.さらにポリアルキレングリコールを含有する、前記1または2に記載の皮膚外用剤、
4.pHが7以下である、前記1〜3のいずれか一つに記載の皮膚外用剤、
5.前記アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物が、4−ビフェニル酢酸である、前記1〜4のいずれか一つに記載の皮膚外用剤、
6.液剤またはゲル剤である、前記1〜5のいずれか一つに記載の皮膚外用剤、
7.塗布用である、前記1〜6のいずれか一つに記載の皮膚外用剤。
本発明により、エタノール等の低級アルコールを含有しない皮膚外用剤を提供することができる。本発明の皮膚外用剤は揮発性の高い低級アルコールを含まないことから、皮膚に対する刺激が緩和され、また、気化熱による急激かつ強い冷感を与えない皮膚外用剤を提供することができる。
発明の実施するための最良の形態
本発明の皮膚外用剤は、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物またはその薬学的に許容される塩、六員環を有する1価のアルコール及びアルキレングリコールを必須成分として含有し、かつ低級アルコールを含有しない皮膚外用剤である。そして、本発明の皮膚外用剤は、上記必須成分のほか、他の薬効成分、添加剤(保湿剤、色素、香料、界面活性剤及び酸化防止剤等)及び他の溶媒等を必要に応じて含有することができる。
本発明において、「低級アルコール」とは、1〜4個の炭素原子を有する1価のアルコールを意味する。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、及びブタノールである。
本発明で用いることができるアリール酢酸系消炎鎮痛性化合物は、消炎鎮痛作用を奏する化合物であれば特に制限はないが、例えば、インドメタシン等のインドール酢酸系、ジクロフェナク、イブフェナク、アルクフェナク、メチアジン酸、アンフェナク及び4−ビフェニル酢酸等のフェニル酢酸系、スリンダクなどのインデニル酢酸系、トルメチン等のピロール酢酸系、及びナブメトンなどのナフチル酢酸系等が挙げられる。また、本発明では前記アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物の薬学的に許容される塩を使用することもできる。薬学的に許容される塩としては、例えば、前記化合物のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩等が挙げられる。なお、本明細書において、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物及びその薬学的に許容される塩を、「アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物」、と称することがある。本発明の皮膚外用剤では、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物の1種のみを使用でき、また、2種以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。好ましいアリール酢酸系消炎鎮痛性化合物は、本発明の皮膚外用剤として安定性により優れる点から4−ビフェニル酢酸である。
本発明の皮膚外用剤におけるアリール酢酸系消炎鎮痛性化合物の含有量は、ヒトの皮膚に適用した場合に消炎鎮痛作用を奏する量である限り、特に制限はなく、皮膚外用剤の剤型及び使用目的等に応じて、適宜、選択することができる。本発明の皮膚外用剤に占めるアリール酢酸系消炎鎮痛性化合物の量としては、例えば、0.1〜20質量%、または0.5〜15質量%、または1〜10質量%である。
本発明の皮膚外用剤では、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物が、アルキレングリコール及び六員環を有する1価のアルコールに溶解されている。
本発明で用いることができるアルキレングリコールには、特に制限はないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、イソプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール及びへキシレングリコール等が挙げられる。これらは1種のみを使用でき、または2種以上を組み合わせて使用することもできる。アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物を溶解するという点から、プロピレングリコール及び1,3−ブチレングリコールが好ましい。本発明の皮膚外用剤では、100質量部のアリール酢酸系消炎鎮痛性化合物に対して、例えば、450質量部以上、または450〜50000質量部、または450〜10000質量部のアルキレングリコールが用いられる。また、本発明の皮膚外用剤では、皮膚外用剤100質量%において、アルキレングリコールが5質量%以上、または10〜50質量%、または15〜50質量%である。
本発明の皮膚外用剤ではアルキレングリコールに加えて六員環を有する1価のアルコールが使用される。アルキレングリコールと六員環を有する1価のアルコールとの混合物はアリール酢酸系消炎鎮痛性化合物に対する優れた溶解性を示し、低級アルコールを溶媒として用いることが不要となる。そのため、本発明の皮膚外用剤は、急激かつ強い冷感を生じることなく消炎鎮痛作用を奏することができる。
本発明において、「六員環を有する1価のアルコール」とは、分子内に炭素六員環(シクロヘキサン環またはベンゼン環)と一つの水酸基とを有する化合物を意味する。このような化合物としては、例えば、l−メントール、シンナミルアルコール、ベンジルアルコール及びβ−フェニルエチルアルコールが挙げられる。アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物の溶解性をより高めることができる点から、特にl−メントールが好ましい。本発明の皮膚外用剤では、100質量部のアルキレングリコールに対して、例えば、3〜50質量部、または6〜25質量部の六員環を有する1価のアルコールが用いられる。
また、本発明の皮膚外用剤では、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物の溶解性をより高めるという点から、他の溶媒を含有することができる。そのような溶媒としては、ポリアルキレングリコールを挙げることができる。
ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリブチレングリコール等が挙げられる。これらは1種のみを使用でき、または2種以上を組み合わせて使用することもできる。ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールが好ましい。ポリアルキレングリコールの分子量(重合度)には特に制限はないが、例えば、分子量が150〜3000、または150〜1000、または150〜500のポリアルキレングリコールを用いることができる。本発明の皮膚外用剤においてポリアルキレングリコールが使用される場合、その使用量は、100質量部のアルキレングリコールに対して、例えば30〜1000質量部、または100〜400質量部、または150〜400質量部である。また、ポリアルキレングリコールが使用される場合、アルキレングリコールとポリアルキレングリコールの総量100質量部に対して、例えば、3〜50質量部、または6〜25質量部の六員環を有する1価のアルコールが用いられる。
本発明の皮膚外用剤は、上記必須成分を含有していれば、その剤型は特に制限されず、例えば、液剤(ローション剤及び乳剤等)、軟膏剤、クリーム剤、硬膏剤、ゲル剤及びエアゾール剤等の形態とすることができる。好ましい剤型はゲル剤または液剤である。
本発明の皮膚外用剤を液剤として調製する場合、通常の液剤の調製方法により調製することができる。例えば、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物をアルキレングリコール及び六員環を有する1価のアルコールに添加し、必要に応じて加熱し、溶解することによって調製することができる。また、調製の際、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物に加え、他の薬効成分、添加剤(保湿剤、色素、香料、界面活性剤及び酸化防止剤等)及び他の溶媒(例えば、ポリアルキレングリコール)等を任意に用いることができる。
他の薬効成分としては、例えば、ノナン酸バニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプシコシド、カプサイシン、カプサイシノイド、ジヒドロキシカプサイシン及びカプサンチン等のカプサイシン類似体、トウガラシエキス、トウガラシチンキ及びトウガラシ末などのトウガラシ由来物質等の血行促進剤、リモネン、テルピノレン、メンタン及びテルピネンなどのp−メンタン、及びそれから誘導される単環式モノテルペン系炭化水素化合物等のテルペン系炭化水素化合物、イソプレゴール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、1−(2−ヒドロキジフェニル)−4−(3−ニトロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロキシピリミジン−2−オン、エチルメンタンカルボキサミド、p−メンタン−3,8−ジオール、3,8−ジヒドロキシ−p−メンタン−3−9−ジオール及びトリアルキル置換シクロヘキサンカルボキシアマイド等のメントール類縁化合物等の清涼感等を付与する清涼化剤、塩酸プロカイン及びリドカインなどの局所麻酔剤、ペニシリン類、セファロスポリン類、アミノグリコシド類及びマクロライド類などの抗生物質、グリセオフルビン及びアンホテリシンBなどの抗真菌剤、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、ピロキシカム及びサリチル酸メチルなどのアリール酢酸系以外の非ステロイド系鎮痛消炎剤、ヒドロコルチゾン及びブレドニゾロンなどのステロイド系消炎剤、クロルフェニラミン及びオキサトミドなどの抗アレルギー・抗ヒスタミン剤、クロニジン及びカプトプリルなどの抗高血圧剤、ニトログリセリン及び硝酸イソソルビットなどの冠血管拡張剤、ニフェジピン及びニカルジピンなどのカルシウム拮抗剤、ピンドロール及びプロプラノールなどのβブロッカー、デオフィリン及びハイドロサイアザイドなどの降圧利尿剤、塩酸ドパミン及びジキタリスなどの強心剤、バルプロ酸ナトリウム及びフェニトインなどの抗てんかん剤、スコポラミンなどの抗めまい剤、ハロペリドールなどの抗精神病剤、塩酸フルラゼパム及びフェノバルビタールなどの睡眠調整剤、5−フルオロウラシル、マイトマイシンC及びブレオマイシンなどの抗悪性腫瘍剤、エストラジオール及びインスリンなどのホルモン剤、及び、ビタミンEなどのビタミン類等を挙げることができる。
他の添加剤としては、ソルビトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム及び乳酸ナトリウムなどの保湿剤、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート)、グリセリン脂肪酸エステル(例えば、グリセリルモノステアレート、イソオクタン酸グリセリン、グリセリルモノミリステアレート)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(例えば、ジグリセリルモノオレエート、テトラグリセリルモノステアレート)、プロピレングリコール脂肪酸エステル(例えば、プロピレングリコールモノステアレート)及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(例えば、ポリオキシエチレン(5)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油)などの界面活性剤、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、クエン酸及び塩酸などのpH調整剤、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム及びトウモロコシデンプンなどの粉末類等を挙げることができる。
本発明の皮膚外用剤をゲル剤として調製する場合、前記液剤調製時の成分に加えてカルボキシビニルポリマー、グリセリンモノオレエート及びヒドロキシプロピルセルロース等のゲル化剤を用いることによってゲル剤を調製することができる。例えば、前記のようにして調製された液剤の溶液にゲル化剤を添加してゲル化させることによって調製することができる。
また、軟膏剤の場合、基剤として、界面活性剤及び水溶性高分子化合物などを配合することができる。具体的には、例えばカルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリアクリル酸等の水溶性高分子化合物、及びラノリンアルコール、硬化油、レシチン、プラスチベース、流動パラフィン、ミツロウ、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びシリコン油等を配合することができる。軟膏剤として調製する場合、常法によって製造し得、例えば前記液剤調製時の成分を上記溶剤に順次添加し、適宜時間混練することによって調製することができる。
本発明の皮膚外用剤は、塗布すること等によって皮膚に適用することができる。本発明の皮膚外用剤が適用されるヒトの皮膚は弱酸性(pH4.5〜6程度)であることを考慮すると、本発明の皮膚外用剤のpHは7以下、例えばpHが4.5〜6.5、またはpHが5〜6であることが好ましい。また、本発明の皮膚外用剤に酸または塩基を添加して、外用剤のpHを調整することもできる。アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物は、pHが7以下の酸性条件では溶媒に対する溶解性が低く、通常、時間経過とともに溶液から該化合物が析出されるという問題があるが、本発明の皮膚外用剤においては、pHを7以下の酸性条件としても該化合物の析出が見られず非常に安定である。
以下実施例により、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
皮膚外用剤の調製
下記の表1及び表2に示す割合で各成分を混合し、4−ビフェニル酢酸を溶解して、液剤(実施例1〜18及び比較例1〜8)を調製した。また、表3に示す割合で各成分を混合し、4−ビフェニル酢酸を溶解して、ゲル剤(実施例19〜26)を調製した。
4−ビフェニル酢酸は和光純薬工業株式会社製を、エタノールはコニシ株式会社製を、プロピレングリコールは株式会社ADEKA製を、1,3−ブチレングリコールは協和発酵ケミカル株式会社製を、グリセリンは阪本薬品工業株式会社製を、l−メントールは長岡実業株式会社製を、水酸化ナトリウムは旭硝子株式会社製を、ポリエチレングリコール200及びポリエチレングリコール400は三洋化成工業株式会社製を、ポリプロピレングリコール400は純正化学株式会社製を、ヒドロキシプロピルセルロースは信越化学工業株式会社製を使用した。
各例のpHは株式会社堀場製作所製のpHメーターF−52を用いて取扱説明書に従って測定した。
なお、各表中の各成分の数値は質量部である。
Figure 0005836561
Figure 0005836561
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溶解性の評価
各例について、4−ビフェニル酢酸の溶解性について評価した。
評価は、表1〜3に示す割合で各成分を混合し、45℃で4−ビフェニル酢酸を溶解して液剤またはゲル剤を調製した。その後、20℃で2時間及び12時間静置後の各剤の状態を目視で観察することによって行なった。各剤の溶液が透明である場合を○とし、析出物が確認された場合を×として、結果を表1〜3に示した。
アルキレングリコール(プロピレングリコールまたは1,3−ブチレングリコール)またはl−メントールの一方のみを用いた比較例4〜6では2時間後に析出物が観察され、安定性に劣るものであった。これに対し、アルキレングリコールとl−メントールとを併用した実施例1〜4では、エタノールを用いた比較例1〜3と同様に、2時間後に析出物は観察されず、安定な製剤であった。
また、アルキレングリコール(プロピレングリコールまたは1,3−ブチレングリコール)、l−メントール及びポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール)を用いた実施例5〜26においては、2時間後及び12時間後に析出物は観察されず、安定な製剤であった。
また、4−ビフェニル酢酸を3質量部、プロピレングリコールを12質量部およびl−メントールを2質量部配合した組成物(アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物:アルキレングリコール=100:400、アルキレングリコール:六員環を有する1価のアルコール=100:17)、4−ビフェニル酢酸を3質量部、プロピレングリコールを30質量部およびl−メントールを1質量部配合した組成物(アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物:アルキレングリコール=100:1000、アルキレングリコール:六員環を有する1価のアルコール=100:3.3)、ならびに4−ビフェニル酢酸を3質量部、プロピレングリコールを30質量部およびl−メントールを15質量部配合した組成物(アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物:アルキレングリコール=100:1000、アルキレングリコール:六員環を有する1価のアルコール=100:50)を調製したところ、同様に4−ビフェニル酢酸の析出を抑えることができたが、実施例1〜4の方が、その効果についてはより優れていた。
また、実施例7、12、14、16および18(アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物:アルキレングリコール=100:470〜570、ポリアルキレングリコールおよびアルキレングリコールの総量:六員環を有する1価のアルコール=100:6.4〜13.6、アルキレングリコール:ポリアルキレングリコール=100:176〜214)については、より優れた安定性を示した。
この他にも、4−ビフェニル酢酸100質量部に対して、プロピレングリコールを1000質量部、プロピレングリコール100質量部に対して、ポリエチレングリコール400を100質量部、150質量部、200質量部および400質量部、かつポリエチレングリコール400およびプロピレングリコール又は1,3−ブチレングリコールの総量100質量部に対して、l−メントールを6.4質量部配合した組成物を調製したが、同様に優れた安定性を示した。
さらに、実施例1および7において、4−ビフェニル酢酸に代えてインドメタシンまたはジクロフェナクを用いても同様に析出を抑えることができたが、4−ビフェニル酢酸が、その効果についてより顕著であった。
使用感の評価
実施例1〜26及び比較例1〜3の液剤及びゲル剤を皮膚に塗布し、塗布時の冷感について評価した。塗布時に冷感がなかった場合を○とし、冷感があった場合を×として、結果を表1〜3に示した。エタノールを用いた比較例1〜3では塗布時に強い冷感(ヒヤッと感)があったが、実施例1〜26では冷感を感じることなく使用感に優れていた。
また、実施例1〜26のpHは4.1〜5.5とヒトの皮膚のpHに近い値であり、かゆみや発赤等を生じることはなく、良好な使用感であった。
処方例1〜14および19〜34:液剤
処方例1〜14および19〜34に記載の処方例に従い、常法通り調製して液剤を得た。各液剤は、塩酸または水酸化ナトリウムにて表4〜7に記載のpHに調整した。
処方例15および16:ゲル剤
処方例15および16に従い、常法通り調製してゲル剤を調製した。各ゲル剤は、塩酸または水酸化ナトリウムにて表5に記載のpHに調整した。
処方例17:軟膏剤
処方例17に従い、常法通り調製して軟膏剤を得た。軟膏剤は、塩酸または水酸化ナトリウムにて表5に記載のpHに調整した。
処方例18:エアゾール剤
処方例18に従い、常法通り調製してエアゾール剤を得た。エアゾール剤は、塩酸または水酸化ナトリウムにて表5に記載のpHに調整した。
Figure 0005836561
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Claims (5)

  1. アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物またはその薬学的に許容される塩、l-メントール及びアルキレングリコールを含有し、かつ、低級アルコールを含有せず、pHが4.5〜6であり、アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物またはその薬学的に許容される塩100質量部に対して、アルキレングリコールが450質量部以上である、溶液である液剤である皮膚外用剤。
  2. さらにポリアルキレングリコールを含有する、請求項1に記載の皮膚外用剤。
  3. アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物またはその薬学的に許容される塩100質量部に対して、アルキレングリコールが470〜570質量部であり、
    ポリアルキレングリコールおよびアルキレングリコールの総量100質量部に対して、l-メントールが6.4〜13.6質量部であり、
    アルキレングリコール100質量部に対して、ポリアルキレングリコールが176〜214質量部である、請求項2に記載の皮膚外用剤。
  4. 前記アリール酢酸系消炎鎮痛性化合物が、4−ビフェニル酢酸である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
  5. 塗布用である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
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