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JP5830466B2 - 所定の将来の期間内における患者の低血糖現象の発生の可能性を観測するための方法、そのためのシステム及びそのためのコンピュータで実行させるためのプログラム - Google Patents

所定の将来の期間内における患者の低血糖現象の発生の可能性を観測するための方法、そのためのシステム及びそのためのコンピュータで実行させるためのプログラム Download PDF

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JP5830466B2 JP2012528055A JP2012528055A JP5830466B2 JP 5830466 B2 JP5830466 B2 JP 5830466B2 JP 2012528055 A JP2012528055 A JP 2012528055A JP 2012528055 A JP2012528055 A JP 2012528055A JP 5830466 B2 JP5830466 B2 JP 5830466B2
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Description

B.1.糖尿病における低血糖
低血糖:低血糖は、1型糖尿病(T1DM)に共通し[24]、2型糖尿病(T2DM)においては治療強化に伴いより多く見られるようになる[24]。低血糖に関連した自律神経障害(HAAF)は、T1DMにおいて十分に立証され[4]、集中的に治療されたT2DMにおいても観察されている[22]。最先端治療でさえ不完全で、血糖(BG)レベルの急激な低下を引き起こす可能性があり、結果として意識喪失または自己医療を妨げる昏睡を引き起こす重症の神経低糖症として定義される、重症低血糖症(SH)の原因となる可能性がある[24]。SHは、認知機能障害、昏睡、あるいは突然死を引き起こすかもしれない[6、24]。従って、低血糖は最適な糖尿病管理への第一関門であると見なされてきている[3]。
B.2.低血糖の潜在的な予測判断材料
グリコシル化ヘモグロビン(HbA1c)は血糖状態の典型的なマーカーであり、23年前に導入され[1]、糖尿病の合併症と関連し、T1DM及びT2DMにおける平均的な血糖管理の代表的な評価基準として確立された[20、25、27]。しかし、HbA1cの確立に加えて、糖尿病管理及び合併症の研究(DCCT)は、「HbA1cは、血糖症の程度を示す最も完全な表現ではない。HbA1cによって反映されない糖尿病の血糖管理の他の特徴が、合併症のリスクを増大させまたは変更させる可能性がある。例えば、合併症のリスクは、食後の血糖の逸脱の程度により大きく依存しているかもしれない」と結論付けた[26]。従って、最近の研究では、糖尿病の合併症の独立要因として、血糖(BG)の増減の変動にますます注目が集まっている[2]。血糖変動の2つの顕著な症状は、低血糖および食後のグルコース(PPG(食後血糖値))上昇である。
標準偏差(SD)及びその他の変動評価基準
BG変動の従来の統計計算は、BG測定値の標準偏差(SD)を算出することと、他のいくつかの測定値:(i)1965年に導入されたM値[21];(ii)1970年に導入されたMAGE−グルコースの平均変動幅(Mean Amplitude of Glucose Excursions)[23];及び(iii)不安定指数(LI)−最近開発された低血糖および血糖不安定性の測定[19]、を算出することを含む。これらの手法(LIを除く)のほとんどは、低血糖との関連が比較的弱く、高血糖に対する固有の偏りを有し、それはSHの歴史的な低予測性に反映されている[24]。従来の研究において、我々は、低予測性の根拠が臨床上のものではなく、数学的なものであるように思われることを発見した:それは、BG測定スケールが非対称であり、実質的に高血糖に偏っているという事実にある[13]。従って、数値的方法に基づく臨床的結論は、抑えられた低血糖範囲に対して正確ではなく、高血糖側に偏るであろう。
B.3.BGデータのリスク分析
BGスケールの非対称性による数値的問題を是正するため、我々は、BGスケールを対称化する数学的変換を導入した[13]。この変換の分析形式は、一般に認められた臨床的前提に基づくものであり、特定のデータセットに基づくものではなく、10年前に決定されたものであることに注目することは重要である[18]。それはこのアプローチをいかなるデータセットにも拡張可能にする。この変換に基づき、我々は、グルコース変動の範囲と頻度を定量するのに非常に適していることが判明した計算上のリスク空間を定義する、BGデータのリスク分析に関する理論を開発した[12、15、8]。本質的に、リスク空間の分析は、2つのステップ:(i)対称化式の適用[13]、及び(ii)より大きなBGの逸脱に対して低血糖または高血糖に向かって増加する重みを与える二次リスク関数の適用[18]を用いて、最初に各BG測定値をリスク値に変換することを必要とする。つまり、BG測定のスケールは数的に非対称である−高血糖の範囲(180〜600 mg/dl)は低血糖の範囲(20〜70 mg/dl)よりもはるかに大きく、また正常血糖範囲(70〜180 mg/dl)はそのスケール内の中心に置かれていない。我々は、変換f(BG)−一般的な2つのパラメータ分析形式を有するBG範囲[20,600]で定義された連続関数の導入により、この非対称性を修正した[13]:
f(BG,α,β) = [(ln (BG ))α ], α,β > 0
また、それは次の条件を満たす:
A1: f (600,α,β ) = - f (20,α,β)及び
A2: f(180,α,β ) = - f(70,α,β )。
3番目のパラメータgによって乗算して、変換されたBG範囲の最小値および最大値をそれぞれ−√10および√10に固定する。a>0の制限の下で数値的に解かれたとき、これらの等式は以下を与える:α=1.084,β=5.381,γ=1.509。これらのパラメータはサンプル非依存的であり、1997年に固定された[13]。
使用される測定スケールに応じて、f(BG)のパラメータを固定した後、我々は二次関数r(BG)=10f(BG)2を定義する。そしてこれはBGリスク空間を定義する。関数r(BG)は0〜100の範囲にある。その最小値は0でありBG=112.5 mg/dlにおいて得られ、これは安全な正常血糖の測定値である。一方、その最大値はBGスケールの両端(20 mg/dlおよび600 mg/dl)において到達される。従って、r(BG)はあるBGレベルに関連したリスクの評価基準であると解釈することができる。この放物線の左側分岐は低血糖のリスクを定義し、右側分岐は高血糖のリスクを定義する。これらの分岐は、以下の式によって定義される[18]:

rl(BG)=r(BG) f(BG)<0のとき そうでなければ0(左側分岐); (1)
rh(BG)=r(BG) f(BG)>0のとき そうでなければ0(右側分岐)。 (2)
低BG指数(LBGI)は、BGリスク関数rl(BG)の左側分岐に基づき、低血糖の頻度と程度を明らかにする。LBGIは、将来の重大な低血糖の優れた予測判断要因として、多数の研究によりその正当性が立証されてきた[10,11,12,14,15]。LBGIはまた、被験者を低血糖の長期的なリスクについて、LBGIが、1.1未満、1.1〜2.5、2.5〜5.0、5.0を上回る、に対して、それぞれ最小、小、中、高リスクのグループに分類するための手段を与え[15]、低血糖の短期間の予測にも用いられてきた[5、9]。定義により、LBGIは高血糖の発現から独立している。
平均日常リスク範囲(ADRR)は、rl(BG)及びrh(BG)の両方に基づく血糖変動の評価基準であり、これはリスク評価と極度の血糖逸脱の予測の観点から伝統的な評価基準よりも優れていることが示されてきた[16、17]。具体的には、ADRRの4つのカテゴリー:低リスク:ADRR<20、低−中程度のリスク:20<=ADRR<30、中程度−高リスク:30<=ADRR<40、および高リスク:ADRR>40に基づく低血糖のリスクの分類は、最低から最高のリスク・カテゴリーで低血糖のリスクが6倍以上上昇した[17]。
本発明の実施形態の一つの態様は、糖尿病患者の日常の自己監視血糖(SMBG)データから低血糖の可能性を観測するための方法及びシステム(及び関連するコンピュータ・プログラム製品)からなるが、これに限られるものではない。この方法及びシステムは、低BG指数(LBGI)及び平均日常リスク範囲(ADRR)の両方に基づく低BG現象の特定の二変数の確率分布に基づくが、これに限られるものではない。
本発明は、データソース−典型的には、患者の計測器から入手可能なその患者の一連のSMBGデータ−からデータを回収し、所定の継続時間、例えば24〜48時間にわたる将来の低血糖の可能性の観測を可能にする。この観測は、視覚的及び/または数的な出力の表示と、例えば50mg/dl以下の低血糖が起きる可能性が50%であるなど、所定の閾値を交差すると警告するメッセージを可能にする低血糖リスクの軌跡の再構成とを含む。
関連するアルゴリズムは、2つの操作モードのうちの一つを有することができるが、これに限られるものではない:
モード1−スライドウインドウ:SMBG測定値毎に、アルゴリズムが次の所定期間(例えば24時間)における低血糖のリスク(確率)を評価し、その結果を患者に提示する。
モード2−一日周期:毎晩、その日のSMBGデータの全てが収集された後(例えばその日の最後のSMBG測定値時に)、アルゴリズムが次の所定期間(例えば24時間)における低血糖のリスク(確率)を評価し、その結果を患者に提示する。
計測器の実行はこれら2つの使用モードのいずれを備えていてもよいことを意図する。モード1及び2を結合した実行の可能性としては、アルゴリズムがその日の最後の測定値の近く、即ち夜のある定刻において、次の所定期間(例えば24時間)における低血糖の警告を発する場合であろう。もしこれが患者に予め分かっていれば、患者は就寝時にSMBGの測定値を取るよう促される。これは有効な毎日のプロファイルを取得するのに非常に有益である。時間の閾値(例えば午後9時)はユーザーが選択可能であってよい。
実験的ソフトウエアが(MATLAB(登録商標)を使用して)本方法の一実施形態を例示するために開発されている。このソフトウエアは、様々なBGまたは確率の閾値において、及び患者により記録されたSMBGの頻度と関連づけながら、予測メッセージの頻度を計算することを可能にする。
図1Aは、LBGIおよびADRRによって決まる50mg/dl以下の低血糖の可能性の二変数による密度を示すグラフである。 図1Bは、LBGIおよびADRRによって決まる50mg/dl以下の低血糖の可能性の二変数による密度を示すグラフである。 図2Bは、LBGIおよびADRRがあるカットオフ値を超えるとき、24時間以内に50 mg/dl以下の低血糖が発現する経験的(2A)及び理論的(2B)可能性を示すグラフである。 図2Bは、LBGIおよびADRRがあるカットオフ値を超えるとき、24時間以内に50 mg/dl以下の低血糖が発現する経験的(2A)及び理論的(2B)可能性を示すグラフである。 図3Aは、LBGIおよびADRRのカットオフ値によって決まる、予測告示のパーセント(3A)およびフラグなしの日のパーセント(3B)を示すグラフである。 図3Bは、LBGIおよびADRRのカットオフ値によって決まる、予測告示のパーセント(3A)およびフラグなしの日のパーセント(3B)を示すグラフである。 図4Aは、2人の患者の低血糖のリスクを観測する本方法の動作の例を提供する図である。 図4Bは、2人の患者の低血糖のリスクを観測する本方法の動作の例を提供する図である。 本発明の例示としての実施形態または実施形態の一部を実行するためのコンピュータ・システムの機能ブロック図である。
政府支援
ここに記述されている研究は、国立衛生研究所(NIH)によって与えられた連邦政府補助金番号R01 DK51562により支援された。政府は、本発明に所定の権利を有する。
E.1.理論数学的基礎
本発明の実施形態の一態様は、過去のADRR及びLBGIパターンを用いて、天気予報と同じように、今後1〜2日の間における低血糖の可能性を予想するリスク観測方法及び関連するシステムである。いくつかの例示的な、そしてこれに限定されない発明のステップは、例えば以下の通りである。
1. これから起きる低血糖の可能性をADRR及びLBGIの値にマッピングした二変数分布を作成し、
2. 24時間後に50 mg/dl以下の低血糖発現が51%の予測を達成するように、この分布を最適化し、且つ、
3. 糖尿病の患者の日常のSMBG測定値を用いて、この分布を観測する。
これらを実行するため、本発明の実施形態は、分析のための基礎時間単位としての機能を果たす一連の期間を事前に定義する。1日に3〜4回のSMBG測定値を得る頻度の場合、ADRRを評価する妥当な期間は14日であり、LBGIを評価する妥当な期間は48時間である。従って、毎日そしてSMBG測定値毎に、過去14日間のADRRと過去48時間のLBGIをトレースする。この表現が理論的パラダイム−ランダムプロセス理論−につながり、これは個人の経時的な進展を表現するためによく用いられる。我々のケースの場合、実施形態は、ADRR及びLBGIの値にわたる有限の状態空間でのランダムプロセスを用いてもよく、この状態空間に関連した低血糖のリスクのレベルを横切る患者の推移を表現する。このアプローチは、所定の期間(例えば今後24または48時間)内に起こる低血糖の可能性を推定し、BGレベルやSMBGの頻度に依存する予測の変化を調査する理論的手段を提供するであろう。
このランダムプロセスの状態空間は、LBGI及びADRRにより定義される面、即ち、二変数の座標X={LBGI=x, ADRR=y}の連続した組である。任意の時間tにおいて患者はXt={x1≦LBGI(t)<x2, y1≦ADRR(t)<y2}で定義されるXの特定のサブセットXt内にあり、各サブセットXtは、その翌日における特定の低血糖の可能性に対応する。従って、翌日における低血糖の可能性は以下の形を成す:

P(t) = P(低血糖 | Xt)、そしてこれは患者の状態Xtにより予め決められる (3)
XtとP(t)との間のマッピングの具体的な式は、次のセクションにて示される通り経験的に確立された。その結果、患者の低血糖のリスクの観測は、単にこの患者に関連する経時的なランダムプロセスの軌跡をたどり、式(3)によりこれから起きる低血糖の可能性を判断するだけとなる。
図1Aは、LBGI及びADRRによって決まる50 mg/dl以下の低血糖の可能性を二変数密度のグレースケールでコード化された表現で提示することにより本発明を例示するものであり、翌日における低血糖の可能性が高いものは濃い灰色にコード化されている。例えば、もしある日からその翌日にかけて、ある人が状態{1≦LBGI<2,10≦ADRR<20}から状態{4≦LBGI,40≦ADRR}に推移するならば、彼/彼女の低血糖のリスクは27%増加する(3.5%から30.5%に、即ち10倍の相対的増加となる)。
概して、ある人の経時的な低血糖のリスクの発生は、図1AのLBGI/ADRR状態空間内で展開する軌跡により示され、いずれの時点においても我々は翌日の低血糖の可能性を知ることができる。ある個人の低血糖リスクの軌跡が図1Bに例示される。
E.3.{LBGI,ADRR}の組の今後24時間における低血糖の可能性へのマッピング:
この目的を達成するため、本方法及びシステムは、1型糖尿病のN=222人の被験者のSMBGデータを含む「トレーニング」データ・セットを使用する。これらの被験者は、最長4ヶ月の間SMBGで観測された。トレーニングデータに含まれるこの222人の被験者は、(i)少なくとも30日のSMBGデータを持つ、及び(ii)平均して1日に少なくとも2つのSMBG測定値を持つ(例えば、全ての測定値が1週間に集中していたとしても、30日にわたって60の測定値を持つ人は含まれるであろう)被験者であった。これら被験者の人口統計学上の特徴は表1に示される。
トレーニングデータ・セットは、{LBGI,ADRR}の組の値を、今後24時間にBG測定値≦50 mg/dlで定義される重大な低血糖が起きる可能性へとマッピングするために使用される。このアルゴリズムに含めるため他の変数が考慮されたが、調査の結果、却下された。最終的なアルゴリズムは、以下を計算するためにSMBGデータを用いた:
− 先行する48時間のSMBG測定値から計算されたLBGI、および
− 先行する14日のSMBG測定値から計算されたADRR。
LBGI及びADRR両方のカットオフ値の増加に伴い、≦50mg/dlの低血糖の可能性は均一に増加した(図2A)。このグラフィック表示は、マッピング式(1)を推定するのに用いられる経験的な可能性を提供した。
即ち、式(4)は理論式(3)の同等であり、トレーニングデータから算出されるものである。この場合、状態空間Xの全てのサブセットは、共通の外観:Xt(x,y)={ADRR>x & LBGI>y}を有する。式(4)中のパラメータの値は以下に決定された:
αa =15.1 範囲:[5, 20]
βa =3.13 範囲:[1, 5]
αb =116 範囲:[50, 150]
βb =-5.66 範囲:[-10, 0]
αc =2.9 範囲:[1, 5]
βc =1 範囲:[1, 5]
δc =2.35 範囲:[1, 10]
γc =3.76 範囲:[1, 5]
図2Bは、これらの具体的なパラメータ値を用いて式(2)により定義された確率の3次元グラフを示す。
各パラメータの値は、上述のように、ある範囲内で変動することができ、本方法の異なる実行においては異なる組のパラメータ値を用い得ることに注意すべきである。
E.4.低血糖の検出(フラグを上げる)ルール:
表2は、LBGI及びADRRがある閾値を超えるときに低血糖が起きる条件付き可能性、即ち、LBGI及びADRRがそれらの閾値を超えてから24時間以内に測定値が50 mg/dl以下になる可能性(即ち、図2Aにおいてグラフィックで示されたのと同じ機能)を提示する。
表2から、全ての重大な低血糖発現の50%を予測し、不正確な「フラグ」の数が最小である、即ち、低血糖が予測されたのに現象に遭遇しなかった場合の数が最小である最適なカットオフが決定された。図3Aは予測された低血糖発現のパーセントを示し、一方、図3Bはフラグなしの日数のパーセントを示す。最適な値は2つの図の濃いグレー・ゾーンであり、これはLBGI≧3.5及びADRR≧30のカットオフに相当する。
E.5.差し迫った低血糖の可能性の観測:
図4A及び4Bは、2人の提示された被験者各々の過程X(t)の軌跡によって低血糖の可能性を観測した例を示す図である。任意の時点で、被験者の状態X(t)は、過去48時間にわたって計算されたLBGI値、及び過去14日間から計算されたADRR値から決定される。それから、式(3)を用いてこれから起きる低血糖の可能性が与えられる。この可能性が高い(即ち、事前に設定された閾値を超える)とき、「フラグ」が上げられ、来たる低血糖の現象が警告される。図4Aにおいては「フラグ」が非常に頻繁に上げられていることは明らかである。この患者は頻繁に低血糖を経験したため、図4Aはそのような発現を予測するための本方法の能力を裏付けている。反対に、図4Bにおいては、フラグは1度しか上げられていない。これは、この患者が観察の間、重大な低血糖発現を経験しなかった事実と一致する。
E.6.データ制限:
我々は、これに制限されないアプローチにおいて被験者がテストデータ・セットに含まれる唯一の条件は、調査の間、平均して>=2の測定値/日のSMBG測定値を持つことのみであったことを再び強調する。これは他のアルゴリズムにおいて以前に用いられた最小データ基準に類似する。この基準は毎日2つ以上の測定値があることを暗示するものではないので、様々な検査頻度の状況が以下に調査される。加えて:
− LBGIを計算するのに用いられる測定値の数には制限が課せられない−1日に1つの測定値であっても翌日のための予測が生成される。
− ADRRは、SMBG測定値が3つ以上あった日にのみ計算されたが、過去14日の間に3つ以上の測定値があった日の数は制限されなかった。例えば、もし14日のうち1日しか>=3のSMBG測定値を含む日がなかったとしても、ADRRは計算され、その結果が以下の表に含められる。
F.本方法の検証及び検査頻度、予測範囲、及び血糖閾値の影響の調査
F.1.テストデータ・セット
本方法を検証するため、我々は、4〜6ヶ月間SMBG測定値で観測された1型(N=91)及び2型(N=88)糖尿病のN=179人の被験者のSMBGデータを含む、独立のデータ・セットを用いた。トレーニングデータと同様に、これらの被験者は2つの条件を満たした:(i)少なくとも30日のSMBGデータ、及び(ii)平均して1日に少なくとも2つのSMBG測定値。彼らの特徴は表3に示される。
人口統計学上及び生体測定上の特徴に加え、表3には、調査の平均期間、調査期間中のSMBGの頻度、及び平均BG、70mg/dl及び50mg/dl以下の測定値のパーセント、LBGI、及びADRRのような主要なSMBGのパラメータを含む、多くの調査パラメータが含まれる。
表1及び3から分かるように、テスト・データ中のT1DMの被験者は、トレーニングデータ・セットの被験者と類似しており、一方、T2DMの個人は人口統計学上及び生体測定上の特徴、グルコース変動、及び低血糖の頻度に関して異なっている。この変動は、本予測方法に外的妥当性を付加する。
F.2.全般的な結果:
このデータ・セット中の観察日の総数は30,757日であり、そのうち28,480日は少なくとも一つのSMBG測定値を有した。これら28,480日にはT1DMにおける18,247日の観察と、T2DMにおける10,233日の観察とが含まれた。観察期間中に記録された<=50mg/dlの低血糖発現の日数は、3,148日(T1DMにおいて2,974日、T2DMにおいて174日)であり、これは<=50mg/dlの低血糖の日数の全体的ベースライン頻度が10.2%(あるいは、SMBGの日のみが用いられた場合には11.1%;T1DMにおいて16.3%及びT2DMにおいて1.7%)に達することになる。表4は、検査頻度の制限なしに、このデータ・セットで得られた結果を示す。
表4中の太字で示された数字は、トレーニングデータの分析において用いられる最適化基準を反映する。テストデータ・セットにおいて、低血糖発現が予測されたパーセントは50%を上回っており、トレーニングデータよりもむしろ若干良いことが明らかである。これはフラグが不適切に上げられる日の10.6%と、フラグが上げられる総日数15.9%とを伴う。言い換えれば、フラグは平均して週1回上げられ、不適切なフラグは10日に1度上げられるだろう。フラグが上げられた後の<=50mg/dlの低血糖の可能性は33.3%であり、これはベースライン頻度の3倍高いことになる。
F.3.検査頻度の分析:
表5は、予測の正確さの検査頻度への依存関係を示す。これは、最低2、3、4、5、または6個のSMBG測定値を持つ日のみにフラグを上げることにより実行される。これはもし適切な数の測定値があれば、翌日のためのフラグ(またはフラグがないことの表示)が存在することを前提としている。不十分な数の測定値しかないときには、いずれの予測もできず、アルゴリズムはサイレントのままである(または不十分な測定値であることを示す)。従って、不十分な測定値の日の後に起こるかもしれない低血糖の発現は、予測あるいは誤認警報としてカウントされない。表5の列は、表4のものと同じである;最後の列は、測定値数要件を満たす日の数およびパーセントを示す(例えば、この制限が課されるとき、アルゴリズムは(100−この百分率)の日にはサイレントとなる)。
検査頻度が予測を向上させる一方で、向上のほとんどは非常に高い(従って非現実的な)検査頻度において起きていることは明らかである。しかしながら、「もし毎日3回検査をすれば、≦50の発現の日のうちの54%が24時間前にフラグ警告され、不正確なフラグを含む日は10%未満になる」と言うことはできる。
F.4.フラグ警告の比率の分析:
表6は、調査の間を通してフラグが0から始まり、フラグ警告された日が50%を上回るまでの、いくつかのフラグ警告比率カテゴリにある被験者のパーセントを示す。本方法及びシステムはまた、各フラグ警告カテゴリに対する<=50 mg/dlの低血糖の日の平均%も含む。より高いフラグ警告比率がより高い頻度の低血糖発現と関連していることは明らかである:
表6から、フラグを頻繁に受ける人は、フラグの頻度と同様に、実際に低血糖の高い比率を有していると結論付けることが出来る。従って、もしフラグが意図したように正常に機能し、適切な修正措置を促せば、低血糖の頻度は下がるはずであり、フラグ警告の頻度も同様に下がるはずである。
F.5.個人用フラグ警告の閾値:
さらに、異なる頻度の低血糖の被験者に対して異なる閾値を設定することも考慮できる。例えば、LBGIまたはある閾値未満のSMBG測定値の頻度を、フラグ警告の閾値を2週間毎に自動的に調整するために用いることもできる。代わりに(そしておそらくこちらのほうが良い選択肢である)、被験者毎に閾値を事前設定することもでき、即ち、患者はフラグ警告の頻度をある百分率の日に制限することができ、それはフラグ警告のためのADRR/LBGIの閾値を自動的により高い値にシフトさせるであろう。
表7aは、テストデータ・セット中の全ての被験者に対する、このような状況を示し、ADRR及びLBGIの閾値を現在の値の30及び3.5(表4における)から次第に増加させる。そのような増加は、観察されたフラグ警告の頻度に応じて、または患者の選択によるユーザー起動により、自動的であってもよい。
表7bは、トップ25%のフラグ警告比率の被験者における、30及び3.5の事前設定閾値からのADRR及びLBGI閾値の段階的な増加を示す。これらの被験者に対しては、閾値の増加に伴いフラグ警告比率が著しく減少し得ることが明らかである。これらの被験者の低血糖のベースライン予測がより良いので、フラグ警告比率のある程度の減少は、予測確率を50%以下に落とすことなく実行可能である。
F.6.検査頻度とフラグ警告比率との相関関係
テストデータ・セット中の各被験者に対して、以下の変数を計算する:
− 調査中、一日に上げられたフラグの頻度
− 一日の平均SMBG測定値の数
− <=70mg/dlの測定値のパーセント及び<=50mg/dlの測定値のパーセント。
検査およびフラグ頻度間の相関関係は正であった:R=0.45、p<0.01。しかしながら、この相関関係は完全に低BG発現の頻度により説明されるものである。もっと正確に言えば、検査頻度と70mg/dl以下のBG測定値の百分率との相関関係は類似しており、R=0.4、p<0.01であった。
検査頻度とフラグ警告のための低血糖の発生との相対的な重要性を評価するため、フラグ頻度を従属変数とし、検査頻度、BGs<=70mg/dl、及びBGs<=50mg/dlを予測要因とする線形回帰を行なう。回帰は、低BG測定値の百分率がフラグ頻度の主要な予測要因であり、フラグ警告の頻度の分散の80%を超えるものを説明することを示す(R−二乗=81%)。方程式に加えられたとき、検査頻度は、R−二乗を82%に増加させ、即ちフラグ警告の1%未満を説明し、重要ではない。
従って、重要な結論を下すことができる:一見、フラグ警告の頻度は検査頻度と相関があるが、より頻繁な検査は、完全に、より頻繁な低血糖によって後押しされている。当然のことながら、アルゴリズムの設計により、より頻繁な低血糖は、より頻繁なフラグ警告を結果としてもたらすであろう。従って、フラグ警告の頻度は検査の頻度とは直接関係はない。いかなる見掛け上の関係も調節され、完全に低血糖発現の頻度により決定される。
F.7. 48時間予測範囲の分析
事前に設定されたADRR/LBGI閾値である30及び3.5に戻り、予測範囲への影響を調査する。具体的に言うと、予測範囲を24時間から48時間後に増加させる。表8は、表2の結果と類似した48時間の場合の結果を示す。フラグが上げられる百分率は変わらないものの、その他の数字は全て有利に影響を受けていることが明らかである。特に、予測比率が10%増加し、48時間以内のその後の低血糖の可能性が著しく向上した。
F.8. 70mg/dlのBG予測目標の分析
最後に、予測目標を50mg/dlから70mg/dlに再定義し、軽い低血糖の予測比率がどのようになるのかを見た。そうするに当たって、我々は2つのフラグ警告の選択肢を有する:
第一に、上記50mg/dlの予測に用いたフラグの正確な設定を用いることができる。表9aは、これらの結果を24時間及び48時間予測範囲の両方で示す。観察期間中に記録された<=70mg/dlの低血糖発現の日数は、7,569日(T1DMにおいて7,569日、T2DMにおいて891日)であり、<=70mg/dlの低血糖の日数の全体的ベースライン頻度が29.7%(T1DMにおいて41.5%及びT2DMにおいて8.7%)に達することになる。従って、フラグの後に、<=70mg/dlの低血糖が起きる可能性は本質的に2倍になる。
第二に、特にBG<=70mg/dlを予測するために、トレーニングデータを用いてADRR及びLBGI閾値を最適化すると、閾値ADRR>20及びLBGI>2.5に至る。図9bに見られるように、この特定の最適化では、予測された低血糖のパーセントは、50%を上回るまで上がり、不正確なフラグの比率が低く、24時間以内に起きる低血糖の可能性は60%近くなり、48時間以内では75%になる。
要約すると、本発明の態様は、222人のT1DMの個人のSMBGデータを含む大きなトレーニングデータ・セット上に開発され、それからN=179人の個人:T1DMがN=91人、及びT2DMがN=88人の独立したテストデータ・セット(表1及び3)においてテストされたSMBGから低血糖の可能性を観測するための方法及びシステム(及び関連するコンピュータ・プログラム製品)を提供するが、これに限られない。
多くの考慮された変数のうち、LBGI(48時間で計算された)及びADRR(14日で計算された)が低血糖発現の予測のための最も良い組み合わせであるように思われる。値の組{LBGI,ADRR}によるその後の重大な低血糖の可能性は、図2A及び2Bに与えられる。これは図1Bに示されるように重大な低血糖の可能性を経時的に観測することを可能にする。アルゴリズムの調査を通して以下の結果を得た:
− 最適なカットオフはLBGI≧3.5及びADRR≧30であり、これはその後24時間に50mg/dl以下の低血糖が発現する50%を上回る予測を達成した(表4)、即ち、このカットオフにより50mg/dl以下の低血糖発現のうちの半分以上が最長24時間前までに「フラグ警告」される。
− 低血糖予測の正確さは、検査頻度と共に増加する(表5)。
− 低血糖をまれにしか経験しない、ほとんどのT2DM患者及び一部のT1DM患者にはフラグが全く出されないであろう(表6)。
− 一般的に、フラグ警告の頻度は、ほぼ完全に低血糖発現の頻度により予め決められ、検査の頻度には依存しない。
− 非常に高い低血糖の比率を持つ患者には、自動的にまたはユーザーにより、フラグ警告の頻度を減らすことができる(表7A及び7B)。
− 予測範囲は24から48時間に増やすことができ、それは結果を大幅に向上させるであろう(表8)。
− <=70mg/dlの低血糖発現は、パラメータを変えることなくアルゴリズムにより合理的に良く予測される(表9A)、またはこの特定のBG目標のために予測を最適化することもできる(表9B)。
本発明の実施形態の態様は、視覚的および数的な提示と、将来、所定の閾値を横切ることを警告するメッセージを可能にする低血糖リスク・プロファイルの構築を含む、観測のための方法及びシステム(及び関連するコンピュータ・プログラム製品)を提供するが、これに限られない。従って、本システム及び方法は、以下のSMBGに関連する適用を持ち得る:
− 日常のSMBGデータから、これから起きる低血糖のリスクを予測する。
− ユーザー(患者または医療提供者)にこれから低血糖が起きる可能性が高まっていることを警告する。
− これから起きる低血糖現象のための警告に、その大きさ(例えば、50mg/dl以下または70mg/dl以下)あるいは予報の時間枠(例えば、次の24時間または次の48時間)の観点から、カスタマイズを提供する。
低血糖のリスク観測情報は、医師、医療提供専門家、及び糖尿病患者による使用を意図している。テストデータにおいて、24時間以内にこれから起きる50mg/dlの低血糖発現の50%を上回るものが予測された。
血糖自己監視装置は、糖尿病における観察的実践を可能にし、患者が血糖管理を維持することを可能にする主なフィードバックとして機能する日常のSMBGデータを提供する。本発明の一実施形態の態様は、以下のSMBGに関連する適用を持つ多くの製品及びサービスに使用可能であるが、これに限定されない:
− これから起きる低血糖のリスクをSMBGデータから観測する。
− ユーザー(患者または医療提供者)に対しこれから起きる低血糖の可能性が高まっていることについて警告を発する。
− これから起きる低血糖現象のための警告に、その大きさ(例えば、50mg/dl以下または70mg/dl以下)あるいは予報の時間枠(例えば、次の24時間または次の48時間)の観点から、カスタマイズを提供する。
低血糖のリスク観測情報は、医師、医療提供専門家、及び糖尿病患者による使用を意図している。
本方法及びシステムの利点はテストデータにあるがこれに限定されず、24時間以内に起きる<=50mg/dlの低血糖現象の50%を上回るものが予測され、これは他のいかなる方法においても達成されていない。
図5は、本発明の一例としての実施形態または実施形態の一部を実行するためのコンピュータ・システム1400の機能ブロック図である。例えば、本発明の実施形態の方法またはシステムは、ハードウエア、ソフトウエアまたはそれらの組み合わせを用いて実行でき、一つかそれ以上のコンピュータ・システムまたは適切なメモリおよび処理能力を装備したパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)等の他の処理システムで実行してもよい。一つの例示的な実施形態においては、本発明は、図14に図示されるように汎用コンピュータ上で動作するソフトウエア中で実行された。コンピュータ・システム1400は、プロセッサ1404のような一つかそれ以上のプロセッサを含んでもよい。プロセッサ1404は、通信基盤1406(例えば、通信バス、クロスオーバー・バー、またはネットワーク)に接続される。コンピュータ・システム1400は、グラフィックス、テキスト、及び/または他のデータを通信基盤1406から(または図示しないフレーム・バッファから)転送し、ディスプレイ・ユニット1430上に表示するためのディスプレイ・インターフェイス1402を含んでもよい。ディスプレイ・ユニット1430は、デジタル及び/またはアナログであってもよい。
コンピュータ・システム1400は、好ましくはランダム・アクセス・メモリ(RAM)であるメインメモリ1408を含んでもよく、二次メモリ1410を含んでもよい。二次メモリ1410は、例えば、ハードディスク・ドライブ1412及び/またはフロッピー(登録商標)ディスク・ドライブ、磁気テープ・ドライブ、光ディスク・ドライブ、フラッシュ・メモリ等に相当するリムーバブル記憶装置ドライブ1414を含んでもよい。リムーバブル記憶装置ドライブ1414は、周知の方法でリムーバブル記憶装置ユニット1418から読み込み、及び/またはリムーバブル記憶装置ユニット1418に書き出す。リムーバブル記憶装置ユニット1418は、リムーバブル記憶装置ドライブ1414に読み込まれ、書き出されるフロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、光ディスク等を示す。理解されるように、リムーバブル記憶装置1418は、その中にコンピュータ・ソフトウエア及び/またはデータを記憶したコンピュータで利用可能な記憶媒体を含む。
代替の実施形態において、二次メモリ1410は、コンピュータ・プログラムまたは他の命令がコンピュータ・システム1400に読み込まれるのを可能にする他の手段を含んでもよい。そのような手段は、例えば、リムーバブル記憶装置ユニット1422及びインターフェイス1420を含んでもよい。そのようなリムーバブル記憶装置ユニット/インターフェイスの例は、プログラム・カートリッジ及びカートリッジ・インターフェイス(ビデオゲーム装置において見られるような)、リムーバブル・メモリチップ(ROM、PROM、EPROMまたはEEPROMのような)及び関連するソケット、およびソフトウエアやデータがリムーバブル記憶装置ユニット1422からコンピュータ・システム1400に送信されることを可能にする他のリムーバブル記憶装置ユニット1422及びインターフェイス1420を含む。
コンピュータ・システム1400は、さらに通信インターフェイス1424を含んでもよい。通信インターフェイス1424は、ソフトウエアやデータがコンピュータ・システム1400と外部装置との間で転送されるのを可能にする。通信インターフェイス1424の例は、モデム、ネットワーク・インターフェイス(例えば、イーサネット(登録商標)・カード)、通信ポート(例えば、シリアルまたはパラレル等)、PCMCIAスロット及びカード、モデム等を含んでもよい。通信インターフェイス1424を介して転送されるソフトウエア及びデータは、通信インターフェイス1424によって受信され得る電子の、電磁気の、光の、または他の信号でありうる信号1428の形をとる。信号1428は、通信経路(即ち、チャネル)1426を介して通信インターフェイス1424に提供される。チャネル1426(またはここに開示されるいかなる他の通信手段またはチャネル)は、信号1428を伝え、ワイヤまたはケーブル、光ファイバ、Bluetooth(登録商標)、電話線、携帯電話リンク、RFリンク、赤外線リンク、無線リンクまたは接続および他の通信チャネルを用いて実行されてもよい。
本文中において、「コンピュータ・プログラム媒体」および「コンピュータで利用可能な媒体」の用語は、概して様々なソフトウエア、ファームウエア、ディスク、ドライブ、リムーバブル記憶装置ドライブ1414、ハードディスク・ドライブ1412にインストールされたハードディスク、および信号1428のようなメディアまたは媒体を参照するのに用いられる。これらのコンピュータ・プログラム製品(「コンピュータ・プログラム媒体」および「コンピュータで利用可能な媒体」)は、ソフトウエアをコンピュータ・システム1400に提供するための手段である。コンピュータ・プログラム製品は、コンピュータ・プログラムロジックをその上に有するコンピュータで利用可能な媒体を含んでもよい。本発明は、そのようなコンピュータ・プログラム製品を含む。「コンピュータ・プログラム製品」および「コンピュータで利用可能な媒体」は、コンピュータロジックを有するいかなるコンピュータ読み取り可能な媒体であってもよい。
コンピュータ・プログラム(コンピュータ制御ロジックまたはコンピュータ・プログラムロジックとも呼ばれる)は、メインメモリ1408及び/または二次メモリ1410に記憶される。コンピュータ・プログラムは通信インターフェイス1424を介して受け取られてもよい。そのようなコンピュータ・プログラムは、実行されたとき、コンピュータ・システム1400がここに説明される本発明の特徴を実行することを可能にする。具体的には、コンピュータ・プログラムは、実行されたとき、プロセッサ1404が本発明の機能を実行することを可能にする。従って、そのようなコンピュータ・プログラムがコンピュータ・システム1400の制御装置を表す。
本発明がソフトウエアを用いて実行される実施形態において、ソフトウエアは、コンピュータ・プログラム製品中に記憶され、リムーバブル記憶装置ドライブ1414、ハード・ドライブ1412または通信インターフェイス1424を用いてコンピュータ・システム1400に読み込まれてもよい。制御ロジック(ソフトウエアまたはコンピュータ・プログラムロジック)は、プロセッサ1404に実行されるとき、ここに記述された本発明の機能をプロセッサ1404に実行させる。
別の実施形態では、本発明は、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)のようなハードウエア・コンポーネントを使用して、主にハードウエア中で実行される。ここに記述された機能を実行するためハードウエア状態のマシンを実行することは、関連する技術分野の当業者にとって明白であろう。
さらに別の実施形態では、本発明はハードウエアとソフトウエア両方の組み合わせを用いて実行される。
本発明の一例としてのソフトウエア実施形態では、上述した方法は、SPSS制御言語またはC++プログラミング言語で実行されてもよいが、他の様々なプログラム、コンピュータ・シミュレーションおよびコンピュータ利用設計、コンピュータ・シミュレーション環境、MATLAB(登録商標)、または他のいかなるソフトウエア・プラットフォームまたはプログラム、ウインドウズ・インターフェイス、またはオペレーティング・システム(または他のオペレーティング・システム)または当業者に既知または利用可能な他のプログラムで実行されてもよい。
参考文献
以下に挙げられ、本文書全体にわたって挙げられた、次の特許、出願および刊行物は、それらの内容全体が参照によってここに組み込まれる。
ここに開示された発明の様々な実施形態の装置、システム、方法、及びコンピュータ・プログラム製品は、ここにその内容全体が参照によって組み込まれる次の参照文献、出願、刊行物および特許に開示された態様を利用してもよい。
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さらに、ここに開示された発明の様々な実施形態の装置、システム、構成、コンピュータ・プログラム製品および方法は、ここにその内容全体が参照によって組み込まれる次の参照文献、出願、刊行物および特許に開示された態様を利用してもよい。
a. PCT/US2008/082063, entitled “Model Predictive Control Based Method for Closed-Loop Control of Insulin Delivery in Diabetes Using Continuous Glucose Sensing”, filed October 31, 2008
b. PCT/US2008/069416, entitled “Method, System and Computer Program Product for Evaluation of Insulin Sensitivity, Insulin/Carbohydrate Ratio, and Insulin Correction Factors in Diabetes from Self-Monitoring Data” filed 7/8/08 claiming priority to 60/958,767 filed 7/9/07.
c. PCT/US2008/067725, entitled “Method, System and Computer Simulation Environment for Testing of Monitoring and Control Strategies in Diabetes,” filed June 20, 2008;
d. PCT/US2008/067723, entitled “LQG Artificial Pancreas Control System and Related Method.”.
e. PCT/US2007/085588 not yet published filed November 27, 2007, entitled “Method, System, and Computer Program Product for the Detection of Physical Activity by Changes in Heart Rate, Assessment of Fast Changing Metabolic States, and Applications of Closed and Open Control Loop in Diabetes.”
f. U.S. Serial No. 11/943,226, filed November 20, 2007, entitled “Systems, Methods and Computer Program Codes for Recognition of Patterns of Hyperglycemia and Hypoglycemia, Increased Glucose Variability, and Ineffective Self-Monitoring in Diabetes.” .
g. PCT International Application Serial No. PCT/US2005/013792, filed April 21, 2005, entitled “Method, System, and Computer Program Product for Evaluation of the Accuracy of Blood Glucose Monitoring Sensors/Devices;”
h. U.S. Patent Application No. 11/578,831, filed October 18, 2006 entitled “Method, System and Computer Program Product for Evaluating the Accuracy of Blood Glucose Monitoring Sensors/Devices;”
i. PCT International Application Serial No. PCT/US01/09884, filed March 29 2001, entitled “Method, System, and Computer Program Product for Evaluation of Glycemic Control in Diabetes Self-Monitoring Data;”
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k. U.S. Patent Application No. 11/305,946 filed December 19, 2005 entitled “Method, System, and Computer Program Product for the Evaluation of Glycemic Control in Diabetes from Self-Monitoring Data” (Publication No. 2006/0094947);
l. PCT International Application Serial No. PCT/US2003/025053, filed August 8, 2003, entitled “Method, System, and Computer Program Product for the Processing of Self-Monitoring Blood Glucose (SMBG) Data to Enhance Diabetic Self-Management;”
m. PCT International Application Serial No. PCT/US2003/025053 filed 8/8/03; and U.S. Patent Application No. 10/524,094 filed February 9, 2005 entitled “Managing and Processing Self-Monitoring Blood Glucose” (Publication No. 2005/214892);.
n. PCT International Application Serial No PCT/US2006/033724, filed August 29, 2006, entitled “Method for Improvising Accuracy of Continuous Glucose Sensors and a Continuous Glucose Sensor Using the Same;”
o. PCT International Application No. PCT/US2007/000370, filed January 5, 2007, entitled “Method, System and Computer Program Product for Evaluation of Blood Glucose Variability in Diabetes from Self-Monitoring Data;”
p. PCT International Patent Application No. PCT/US2007/082744, filed October 26, 2007, entitled “For Method, System and Computer Program Product for Real-Time Detection of Sensitivity Decline in Analyte Sensors” and U.S. Patent Application No. 11/925,689, filed October 26, 2007, entitled “For Method, System and Computer Program Product for Real-Time Detection of Sensitivity Decline in Analyte Sensors;”
q. PCT International Application No. PCT/US00/22886, filed August 21, 2000, entitled “Method and Apparatus for Predicting the Risk of Hypoglycemia;”
8. U.S. Patent No. 6,923,763 B1, issued August 2, 2005, entitled “Method and Apparatus for Predicting the Risk of Hypoglycemia.”
付属書類A
方法論:SMBGからの低血糖の可能性の観測
概要:
最初の調査企画書において説明されたように、本調査の目標の一つは、予め指定された時間枠内での低血糖現象の可能性の観点から低血糖のリスクを予報するアルゴリズムを開発することであった。(別の目標は、グルコース変動の観測システムを開発することであり、それは以前に達成され、Lifescanに報告された。)アプローチは、例えば、全ての予め蓄積されたデータを用い、以前に開発されたアルゴリズム2、3、及び4のある構成要素、特に、低血糖指数(LBGI)及び平均日常リスク範囲(ADRR)を参照してもよい。入手可能なデータは、トレーニングおよびテストデータ・セットに分けられる。トレーニングデータはアルゴリズムの作成に用いられ、その後で全てのアルゴリズムのパラメータが固定された。それから、独立した検査がテストデータを用いて行われ、それが結果の信頼性を確実にした。
従って、本調査からの例示的な全体的成果物は、過去のADRR及びLBGIのパターンを用いて、天気予報と同じように、今後数日間における低血糖の可能性を予想するリスク観測方法である。このリスク観測方法は、今後24時間に50 mg/dl以下の低血糖発現が51%の予測を達成する最適な式を決定するために特に最適化された。それから、SMBG頻度、低血糖予測の頻度の被験者母集団の分析、及び予測期間(例えば24対48時間)の継続時間の影響の分析を含む、多くの状況が検討された。データ及び結果の記載は以下のページに含まれる:
データ:
過去の調査から、トレーニング及びテストデータ・セット用に、二つのデータ・セットが選択された:
トレーニングデータは、N=222人の1型の被験者およびSMBGユーザー・データベースから得られた糖尿病のSMBGデータを含むLifescanにより提供されたデータ・セットを含んだ。これらの被験者はSMBGにより最長4ヶ月まで測定された。トレーニングデータに含まれるこの222人の被験者は、(i)少なくとも30日のSMBGデータを持つ、及び(ii)平均して1日に少なくとも2つのSMBG測定値を持つ(例えば、全ての測定値が1週間に集中していたとしても、30日にわたって60個の測定値を持つ人は含まれるであろう)被験者であった。これら被験者の人口統計学上の特徴は表1に示される。
テストデータは、4〜6ヶ月間SMBG測定値で観測された1型(N=91)及び2型(N=88)糖尿病のN=179人の被験者のSMBGデータを含む、Lifescanの段階2の調査の間にUVAで集められたデータを含んだ。トレーニングデータと同様に、
これらの被験者は2つの条件を満たした:(i)少なくとも30日のSMBGデータを持ち、及び(ii)平均して1日に少なくとも2つのSMBG測定値を持った。彼らの人口統計学上の特徴は表1に示される。
人口統計学上及び生体測定上の特徴に加え、表1には、調査の平均期間、調査期間中のSMBGの頻度、及び平均BG、70mg/dl及び50mg/dl以下の測定値のパーセント、LBGI、及びADRRのような主要なSMBGのパラメータを含む、多くの調査パラメータが含まれる。
方法論またはアルゴリズム7の簡単な説明
トレーニングデータ・セットは、今後24時間に低血糖が起きる可能性を推定する低血糖指数(LBGI)及び平均日常リスク範囲(ADRR)を用いたアルゴリズムを作成するのに用いられた。このアルゴリズムに含めるため他の変数が考慮されたが、調査の結果、却下された。最終的なアルゴリズムは、以下を計算するためにSMBGデータを用いた:
− 先行する48時間のSMBG測定値から計算されたLBGI、および
− 先行する14日のSMBG測定値から計算されたADRR。
LBGI及びADRRのいくつかのカットオフ・ポイントが調査された。LBGI及びADRR両方のカットオフ値の増加に伴い、<=50mg/dlの低血糖の可能性は均一に増加した。最終的に、LBGI≧3.5及びADRR≧30のカットオフが、最小限の不正確なフラグの数を伴い、即ち、低血糖が予測されたのに現象に遭遇しなかった場合の数が最小で、予測される低血糖発現を50%の百分率にさせ、最適と思われると決定された。
実施形態において、アルゴリズムは2つの操作モードのうちの一つを持つことができる:
モード1−スライドウインドウ:SMBG測定値毎に、アルゴリズムが次の24時間における低血糖のリスク(確率)を評価し、その結果を患者に提示する。
モード2−一日サイクル:毎晩、その日のSMBGデータの全てが収集された後(例えばその日の最後のSMBG測定値時に)、アルゴリズムが次の24時間における低血糖のリスク(確率)を評価し、その結果を患者に提示する。
計測器の実行はこれら2つの使用モードのいずれを備えていてもよいと予期されている。しかしながら、モード1が用いられるとき、測定値毎にADRRを更新することはできず(なぜなら、これは毎日のリスク範囲であるからである)、従って、LBGIの変化のみが測定値毎の予測を更新するのに用いられ得る。混同を避けるため、またオーバーラップしない時間窓で操作をするため、以下の検査においては、我々はアルゴリズム7のモード2を用いる。
モード1及び2を結合する可能な実装としては、方法論またはアルゴリズムがその日の最後の測定値の近くで、即ち夜のある定刻において、次の24時間における低血糖の警告を発する場合であろう。もしこれが患者に予め分かっていれば、患者は就寝時に測定をするよう促され、これは有効な毎日のプロファイルを取得するのに非常に有益である。時間の閾値(例えば午後9時)はユーザーが選択可能であってもよい。
アルゴリズム7の全てのパラメータは、トレーニングデータを用いて最適化され、それから固定された。以下のページにおいて、我々は、独立したテストデータ・セット上の方法論またはアルゴリズム7の検査からの結果を提示する。
結果
データ制限:実施形態において、被験者がテストデータ・セットに含まれる唯一の条件は、調査の間、平均して>=2の測定値/日のSMBG測定値を持つことのみであったことを我々は再び強調する。これは他のアルゴリズムにおいて以前に用いられた最小データ基準に類似する。この基準は毎日2つ以上の測定値があることを暗示するものではないので、様々な検査頻度の状況が以下に調査される。加えて:
− LBGIを計算するのに用いられる測定値の数には制限が課せられない−1日に1つの測定値であっても翌日のための予測が生成される。
− ADRRは、SMBG測定値が3つ以上あった日にのみ計算されたが、過去14日の間に3つ以上の測定値があった日の数は制限されなかった。例えば、もし14日のうち1日しか>=3のSMBG測定値を含む日がなかったとしても、ADRRは計算され、その結果が以下の表に含められる。
全般的な結果:
このデータ・セット中の観察日の総数は30,757日であり、そのうち28,480日は少なくとも一つのSMBG測定値を有した。これら28,480日にはT1DMにおける18,247日の観察と、T2DMにおける10,233日の観察とが含まれた。観察期間中に記録された<=50mg/dlの低血糖発現の日数は、3,148日(T1DMにおいて2,974日、T2DMにおいて174日)であり、これは<=50mg/dlの低血糖の日数の全体的ベースライン頻度が10.2%(あるいは、SMBGの日のみが用いられた場合には11.1%;T1DMにおいて16.3%及びT2DMにおいて1.7%)に達することになる。表4は、検査頻度の制限なしに、このデータ・セットで得られた結果を示す。表2は、検査頻度の制限なしに、このデータ・セットで得られた結果を示す。
表2中の太字で示された数字は、トレーニングデータの分析において用いられる最適化基準を反映する。テストデータ・セットにおいて、低血糖発現が予測されたパーセントは50%を上回っており、トレーニングデータよりもむしろ若干良いことが明らかである。これはフラグが不適切に上げられる日の10.6%と、フラグが上げられる総日数15.9%とを伴う。言い換えれば、フラグは平均して週1回上げられ、不適切なフラグは10日に1度上げられるだろう。フラグが上げられた後の<=50mg/dlの低血糖の可能性は33.3%であり、これはベースライン頻度の3倍高いことになる。
検査頻度の分析:
表3は、予測の正確さの検査頻度への依存関係を示す。これは、最低2、3、4、5、または6個のSMBG測定値を持つ日のみにフラグを上げることにより実行される。これはもし適切な数の測定値があれば、翌日のためのフラグ(またはフラグがないことの表示)が存在することを前提としている。不十分な数の測定値しかないときには、いずれの予測もできず、アルゴリズムはサイレントのままである(または不十分な測定値であることを示す)。従って、不十分な測定値の日の後に起こるかもしれない低血糖の発現は、予測として、あるいは誤認警報であるとしてカウントされない。表3の列は、表2のものと同じである;最後の列は、測定値数要件を満たす日の数およびパーセントを示す(例えば、この制限が課されるとき、アルゴリズムは(100−この百分率)の日にはサイレントとなる)。
検査頻度が予測を向上させる一方で、向上のほとんどは非常に高い(従って非現実的な)検査頻度において起きていることは明らかである。しかしながら、「もし毎日3回検査をすれば、<=50の発現の日のうちの54%が24時間前にフラグ警告され、不正確なフラグを含む日は10%未満になる」と言うことはできる。
フラグ警告の比率の分析:
表4は、調査の間を通してフラグが0から始まり、フラグ警告された日が50%を上回るまでの、いくつかのフラグ警告比率カテゴリにある被験者のパーセントを示す。また、各フラグ警告カテゴリに対する<=50 mg/dlの低血糖の日の平均%も含む。より高いフラグ警告比率がより高い頻度の低血糖発現と関連していることは明らかである:
表4から、フラグを頻繁に受ける人は、フラグの頻度と同様に、実際に低血糖の高い比率を有していると結論付けることが出来る。従って、もしフラグが意図したように正常に機能し、適切な修正措置を促せば、低血糖の頻度は下がるはずであり、フラグ警告の頻度も同様に下がるはずである。
個人用フラグ警告の閾値:
さらに、異なる頻度の低血糖の被験者に対して異なる閾値を設定することも考慮できる。例えば、LBGIまたはある閾値未満のSMBG測定値の頻度を、フラグ警告の閾値を2週間毎に自動的に調整するために用いることもできる。代わりに(そしておそらくこちらのほうが良い選択肢である)、被験者毎に閾値を事前設定することもでき、即ち、患者はフラグ警告の頻度をある百分率の日に制限することができ、それはフラグ警告のためのADRR/LBGIの閾値を自動的により高い値にシフトさせるであろう。
表5aは、テストデータ・セット中の全ての被験者に対する、このような状況を示し、ADRR及びLBGIの閾値を現在の値の30及び3.5(表2における)から次第に増加させる。そのような増加は、観察されたフラグ警告の頻度に応じて、または患者の選択によるユーザー起動により、自動的であってもよい。
表5bは、トップ25%のフラグ警告比率の被験者における、30及び3.5の事前設定閾値からのADRR及びLBGI閾値の段階的な増加を示す。これらの被験者に対しては、閾値の増加に伴いフラグ警告比率が著しく減少し得ることが明らかである。これらの被験者の低血糖のベースライン予測がより良いので、フラグ警告比率のある程度の減少は、予測確率を50%以下に落とすことなく実行可能である。
検査頻度とフラグ警告比率との相関関係
テストデータ・セット中の各被験者に対して、以下の変数を計算する:
− 調査中、一日に上げられたフラグの頻度
− 一日の平均SMBG測定値の数
− <=70mg/dlの測定値のパーセント及び<=50mg/dlの測定値のパーセント。
検査およびフラグ頻度間の相関関係は正であった:R=0.45、p<0.01。しかしながら、この相関関係は低BG発現の頻度により完全に説明されるものである。もっと正確に言えば、検査頻度と70mg/dl以下のBG測定値の百分率との相関関係は類似しており、R=0.4、p<0.01であった。
検査頻度とフラグ警告のための低血糖の発生との相対的な重要性を評価するため、フラグ頻度を従属変数とし、検査頻度、BGs<=70mg/dl、及びBGs<=50mg/dlを予測要因とする線形回帰を行なう。回帰は、低BG測定値の百分率がフラグ頻度の主要な予測要因であり、フラグ警告の頻度の分散の80%を超えるものを説明することを示す(R−二乗=81%)。方程式に加えられたとき、検査頻度は、R−二乗を82%に増加させ、即ちフラグ警告の1%未満を説明し、重要ではない。
従って、重要な結論を下すことができる:一見、フラグ警告の頻度は検査頻度と相関があるが、より頻繁な検査は、完全に、より頻繁な低血糖によって後押しされている。当然のことながら、アルゴリズムの設計により、より頻繁な低血糖は、より頻繁なフラグ警告を結果としてもたらすであろう。従って、フラグ警告の頻度は検査の頻度とは直接関係はない。いかなる見掛け上の関係も調節され、完全に低血糖発現の頻度により決定される。
48時間予測範囲の分析:
事前に設定されたADRR/LBGI閾値である30及び3.5に戻り、予測範囲への影響を調査する。具体的に言うと、予測範囲を24時間から48時間後に増加させる。表6は、表2の結果と類似した48時間の場合の結果を示す。フラグが上げられる百分率は変わらないものの、その他の数字は全て有利に影響を受けていることが明らかである。特に、予測比率が10%増加し、48時間以内のその後の低血糖の可能性が著しく向上した。
70mg/dlのBG予測目標の分析
最後に、予測目標を50mg/dlから70mg/dlに再定義し、軽い低血糖の予測比率がどのようになるのかを見た。そうするに当たって、我々は2つのフラグ警告の選択肢を持つ:
第一に、上記50mg/dlの予測に用いたフラグの正確な設定を用いることができる。表7aは、これらの結果を24時間及び48時間予測範囲の両方で示す。観察期間中に記録された<=70mg/dlの低血糖発現の日数は、7,569日(T1DMにおいて7,569日、T2DMにおいて891日)であり、<=70mg/dlの低血糖の日数の全体的ベースライン頻度が29.7%(T1DMにおいて41.5%及びT2DMにおいて8.7%)に達することになる。従って、フラグの後に、<=70mg/dlの低血糖が起きる可能性は本質的に2倍になる。
第二に、特にBG<=70mg/dlを予測するために、トレーニングデータを用いてADRR及びLBGI閾値を最適化すると、閾値ADRR>20及びLBGI>2.5に至る。図7bに見られるように、この特定の最適化では、予測された低血糖のパーセントは、50%を上回るまで上がり、不正確なフラグの比率が低く、24時間以内に起きる低血糖の可能性は60%近くなり、48時間以内では75%になる。
要約
提案された方法は、222人のT1DMの個人のSMBGデータを含む大きなトレーニングデータ・セット上に開発され、それからN=179人の個人:T1DMがN=91人、及びT2DMがN=88人の、独立したテストデータ・セット(表1)においてテストされた、SMBGから低血糖の可能性を観測する実施形態を提供するが、これに限られない。多くの考慮された変数のうち、LBGI及びADRRが低血糖発現の予測のための最も良い組み合わせであるように思われる。LBGI及びADRRのカットオフの様々な組み合わせが調査され、これはLBG>=3.5及びADRR>=30の最適なカットオフへと至り、これはその後の24時間に50mg/dl以下の低血糖が発現する50%を上回る予測を達成した(表2)、即ち、低血糖発現の50%を上回るものが24時間前に「フラグ警告」を受けた。
さらに:
○ 低血糖予測の正確さは、検査頻度と共に増加する(表3)。
低血糖をまれにしか経験しない、ほとんどのT2DM患者及び一部のT1DM患者にはフラグが全く出されないであろう(表4)。
○ 一般的に、フラグ警告の頻度は、ほぼ完全に低血糖発現の頻度により予め決められており、検査の頻度には依存しない。
○ 非常に高い低血糖の比率を持つ人には、自動的にまたはユーザーにより、フラグ警告の頻度を減らすことができる(表5A及び5B)。
○ 予測範囲は24から48時間に増やすことができ、それは結果を大幅に向上させるであろう(表6)。
○ <=70mg/dlの低血糖発現は、パラメータを変えることなくアルゴリズムにより合理的に良く予測される(表7A)、またはこの特定のBG目標のために予測を最適化することもできる(表7B)。

Claims (43)

  1. 所定の将来の期間内における患者の低血糖現象の発生の可能性を観測するための方法であって、
    これから起きる低血糖の可能性を、血糖変動性を測定する関数と低血糖(BG)を測定する関数との値に合同でマッピングする二変数分布をプロセッサ内に作成し、前記関数の各々は前記患者から得られた自己監視血糖(SMBG)測定値に基づくものであり、
    所定の将来の期間内に発生する所定のBG値以下の低血糖現象の所定の百分率の予測を達成するため、前記プロセッサ内で前記二変数分布を最適化し、
    前記患者からの日常のSMBG測定値を用いて、経時的に、最適化された前記分布を前記プロセッサ内で観測し、且つ
    前記患者から得られたSMBGデータに基づいて、前記最適化された分布が前記所定の将来の期間内に前記患者の低血糖現象が発生する特定の可能性を示すとき、前記プロセッサを介して前記患者にメッセージを出力することを含む方法。
  2. 前記血糖変動性を測定する関数は、平均日常リスク範囲(ADRR)である請求項1の方法。
  3. 前記低血糖を測定する関数は、低血糖指数(LBGI)である請求項1の方法。

  4. 前記最適化は、前記患者の低血糖現象の全ての発生の所定の最小百分率を予測するのに効果的な前記関数の閾値を決定することを含む請求項1の方法。
  5. 前記百分率は50%である請求項6の方法。
  6. 低血糖現象は、BG<=50mg/dlであると決定される請求項6の方法。
  7. 前記所定の将来の期間は、前記観測から24時間の期間である請求項6の方法。
  8. 前記低血糖を測定する関数は、低血糖指数(LBGI)である請求項3の方法。
  9. α =15.1 範囲:[5, 20]
    β =3.13 範囲:[1, 5]
    α =116 範囲:[50, 150]
    β =-5.66 範囲:[-10, 0]
    α =2.9 範囲:[1, 5]
    β =1 範囲:[1, 5]
    δ =2.35 範囲:[1, 10]
    γ =3.76 範囲:[1, 5]
    である請求項12の方法。
  10. 前記マッピングは、1型糖尿病の被験者の母集団から得られたトレーニングデータ・セットの結果に基づく請求項13の方法。
  11. 前記マッピングは、{LBGI,ADRR}の座標の組を、前記観測から24時間にBG<=50mg/dlとして定義される低血糖が起きる可能性にマッピングする請求項14の方法。
  12. LBGIは、先行する48時間におけるSMBG測定値から計算される請求項15の方法。
  13. ADRRは、先行する14日間におけるSMBG測定値から計算される請求項16の方法。

  14. 所定の将来の期間内における患者の低血糖現象の発生の可能性を観測するためのシステムであって、
    プロセッサと、
    記憶媒体と、
    前記記憶媒体に記憶された二変数分布であって、前記二変数分布はこれから起きる低血糖の可能性を、血糖変動性を測定する関数と低血糖(BG)を測定する関数との値に合同でマッピングし、前記関数の各々は前記患者から得られた自己監視血糖(SMBG)測定値に基づくものであり、前記二変数分布は所定の将来の期間内に所定のBG値以下の低血糖現象が発生する所定の百分率の予測を可能にする二変数分布と、を含み、
    前記プロセッサは、前記患者からの日常のSMBG測定値を用いて、経時的に、最適化された分布を観測するよう適合され、及び
    前記プロセッサは、前記患者から得られたSMBGデータに基づいて、前記最適化された分布が前記所定の将来の期間内に前記患者の低血糖現象が発生する特定の可能性を示すとき、前記患者にメッセージを出力するように適合されたシステム。
  15. 前記血糖変動性を測定する関数は、平均日常リスク範囲(ADRR)である請求項19のシステム。

  16. 前記低血糖を測定する関数は、低血糖指数(LBGI)である、請求項19のシステム。

  17. 前記最適化は、前記患者の低血糖現象の全ての発生の所定の最小百分率を予測するのに効果的な前記関数の閾値を決定することを含む請求項19のシステム。
  18. 前記百分率は50%である請求項24のシステム。
  19. 低血糖現象は、BG<=50mg/dlであると決定される請求項24のシステム。
  20. 前記所定の将来の期間は、前記観測から24時間の期間である請求項24のシステム。
  21. 前記低血糖を測定する関数は、低血糖指数(LBGI)である請求項21のシステム。

  22. 請求項30のシステムであって、
    α =15.1 範囲:[5, 20]
    β =3.13 範囲:[1, 5]
    α =116 範囲:[50, 150]
    β =-5.66 範囲:[-10, 0]
    α =2.9 範囲:[1, 5]
    β =1 範囲:[1, 5]
    δ =2.35 範囲:[1, 10]
    γ =3.76 範囲:[1, 5]
    であるシステム。
  23. 前記マッピングは、1型糖尿病の被験者の母集団から得られたトレーニングデータ・セットの結果に基づく請求項31のシステム。
  24. 前記マッピングは、{LBGI,ADRR}の座標の組を、前記観測から24時間にBG<=50mg/dlとして定義される低血糖が起きる可能性にマッピングする請求項32のシステム。
  25. LBGIは、先行する48時間におけるSMBG測定値から計算される請求項33のシステム。
  26. ADRRは、先行する14日間におけるSMBG測定値から計算される請求項34のシステム。

  27. 前記患者から得られたSMBGデータは、個別のSMBG測定値である請求項1の方法。
  28. 前記患者から得られたSMBGデータは、所定の周期で患者から収集された全てのSMBGデータである請求項1の方法。
  29. 前記患者から得られたSMBGデータは、個別のSMBG測定値である請求項19のシステム。
  30. 前記患者から得られたSMBGデータは所定の周期で患者から収集された全てのSMBGデータである、請求項19のシステム。
  31. 所定の将来の期間内における患者の低血糖現象の発生の可能性を観測するためコンピュータで実行させるためのプログラムあって、前記プログラムは、
    二変数分布を記憶媒体内に作成し、前記二変数分布はこれから起きる低血糖の可能性を、血糖変動性を測定する関数と低血糖(BG)を測定する関数との値に合同でマッピングし、前記関数の各々は前記患者から得られた自己監視血糖(SMBG)測定値に基づくものであり、前記二変数分布は所定の将来の期間内に所定のBG値以下の低血糖現象が発生する所定の百分率の予測を可能にし、
    前記患者からの日常のSMBG測定値を用いて、経時的に、最適化された分布を観測し、且つ
    前記患者から得られたSMBGデータに基づいて、前記最適化された分布が前記所定の将来の期間内に前記患者の低血糖現象が発生する特定の可能性を示すとき、前記患者にメッセージを出力することをコンピュータに実行させるためのプログラム
  32. 前記患者から得られたSMBGデータは、個別のSMBG測定値である請求項41のプログラム
  33. 前記患者から得られたSMBGデータは、所定の周期で患者から収集された全てのSMBGデータである請求項41のプログラム
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