JP5827167B2 - アレーアンテナ - Google Patents
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Description
[時分割多重アダプティブアレーアンテナの概要]
図1に示すように、アダプティブアレーアンテナ1は、複数のアンテナ(アンテナ素子)2を備え、各アンテナ2の重み付けを伝播環境に応じてアダプティブ制御することにより、目的の希望波の到来方向に指向性を向けたり、不要な電波の到来方向にヌル点を向けて除去したりすることで、高い通信特性を持つアンテナとして機能する。本例のアダプティブアレーアンテナ1は、複数のアンテナ2で1つの受信回路3を共用し、受信信号を時間単位で区切ることにより、1つの伝送路で通信する時分割多重式でもある。
次に、TDM-AAAにおいて受信波の到来方向により受信電力Pが変化することを説明する。単一の受信回路3における受信信号ベクトルX(t)は、次式(11)〜(19)により表される。なお、次式においては、スイッチ切換周波数1/TSの高調波成分を表す整数をnとし、Tを転置とする。
スイッチ切換順序の変更は、数学的な観点からすると、前述の式(1)においてベクトルF(Δt)の要素を置換することと等価である。いま、p,u~pを、−μからμの範囲の整数とし、ベクトルu≡[−μ,…,p,…,μ]Tと、これを並べ替えたベクトルu~≡[u~−μ,…,u~p,…,u~μ]Tとを考える。このとき、uからu~への置換を表すK次正方行例をVとし、Vの第l行及び第m列の要素をvl,mとすると、vl,m及びu~は、次式(23),(24)のように表される。なお、前述のu~は、uの上に~が付された記号とする。
前述したように、受信信号の位相変化がなるべく小さくなるようにスイッチ切換順序を最適化すれば、受信電力Pの向上が可能と考えられる。そこで、ここからは、最適なスイッチ切換順序の決定方法を示す。
ここで、図6(a),(b)に、例えばアンテナ本数13素子、電波到来方向70°のときの各アンテナ2の相関ベクトルrxrの位相関係を示す。これを前提にし、図7(a)に示すように、例えばアンテナ「♯1」をスイッチ切換順序1番とし、位相が最も近いアンテナを順に選択していくと、このときのスイッチ切換順序は受信電力Pが最大となる順序となる。
ステップ101において、相関ベクトル算出部17は、スイッチ切換順序をアンテナ番号順として信号を受信し、相関ベクトルrxrを算出する。相関ベクトル算出部17は、求めた相関ベクトルrxrの値を、スイッチ切換順序設定部18に出力する。
ステップ104において、スイッチ切換順序設定部18は、位相差が最小であるアンテナ2を次に切り換えるアンテナ2として選択する。本例の図8の例では、♯3のアンテナ2が次に切り換えるアンテナ2として選択される。
アンテナ2の配列形状は、図10(a)に示すような直線状をとしてもよいし、図10(b)に示すような点対称配置の一例として円形状としてもよい。ちなみに、本例で言うアンテナ番号順とは、これら図に示す並び方向順のことである。図11に示すように、アンテナ2の配列形状を円形状とした場合(同図の実線)、直線形状の場合(同図の一点鎖線)に比べて、受信電力Pの均一化に効果が高くなる。これは、アンテナ2が配置される面内で、均一に電波を受信できるからと考えられる。
続いて、計算機シミュレーションにより本例の技術の評価を行う。本例の場合、計算負荷軽減のため、回路構成を図1から図12のように変更し、シミュレーションを実施する。ここでは、ダウンコンバート用のコンバータ10,12を削除する。このため、各アンテナ2における受信信号は、電波の到来角度による所定の位相差を有するベースバンド信号とする。スイッチ6での波形変化とフィルタ4,8での帯域制限は、行列ΨSΓ−Vの乗算に置き換える。また、A/Dコンバータ14でのサンプリング時に発生するエイリアシングによる波形変化はΓ+の乗算に置き換えることとする。さらに、時分割処理で発生する各アンテナ2の受信信号のサンプルタイミングの差異はないとする。熱雑音については、アンプ部でそれぞれ無相関のホワイトガウシアンノイズが付加されることとする。
(1)時分割多重アダプティブアレーアンテナ1において、スイッチ6の切換順序を単なるアンテナ番号順ではなく、ある特定の指向性を有する順番に設定可能とした。このため、時分割多重アダプティブアレーアンテナ1を、所望の指向性に設定することができる。よって、例えば希望波を感度よく受信したり、指向性を妨害波の方向に向かせたりするなど、必要とする指向性に適宜設定することができる。また、切換順序を1番に設定したアンテナから固定の一方向(位相の進む方向又は遅れる方向)を、スイッチ切換順序に設定する。よって、スイッチ切換順序は1通り求めれば済むので、スイッチ切換順序の演算を簡素化することもできる。
(3)アンテナ2の配置を図10(b)に示す円形配置とすれば、アンテナ2が配置される面内で受信電力Pが均一(等方的)になり易い。よって、全方向に対して受信電力Pがなるべく均一になるので、どの方向からの電波も感度よく受信することができるようになる。
・スイッチ切換順序は、相関ベクトルrxrを使用する方式に限定されない。例えば、ステップ101の処理を、電波到来方向推定の処理に置き換え、推定した方向から算出したモードベクトルa(θ)を使用して、スイッチ切換順序を設定してもよい。
・全方向に対する受信電力Pの均一化は、アンテナ2の配列を円形状とすることにより実現することに限定されない。例えば、アンテナ2の配列が直線形状となっていても、全方向に対する受信電力Pの均一化するスイッチ切換順序に設定することで実現してもよい。
・受信回路3は、直交ダウンコンバータ12,12ではなく、通常のコンバータにて信号をダウンコンバートする回路でもよい。
・アンテナ素子数Kは、任意の奇数に限らず、任意の偶数であってもよい。
・第2バンドパスフィルタ8の周波数帯域幅は、例えば第1バンドパスフィルタ4の周波数帯域に係数のKを乗算した値でもよい。
・スイッチ切換順序の設定は、いつ実施されてもよい。
・アダプティブアレーアンテナ1は、車両や電子キーの受信機として使用されることに限定されず、他の機器や装置に適宜応用可能である。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
Claims (7)
- 複数のアンテナと共用の1つの受信回路との間に、複数のスイッチを有するスイッチ回路を接続し、前記アンテナを前記スイッチによって選択的に前記受信回路に接続することにより、当該スイッチによる時分割多重によって電波を受信する時分割多重のアレーアンテナにおいて、
電波受信時の各アンテナの位相を算出し、前記スイッチの切換順序を、前記位相が進む方向又は遅れる方向の固定の一方向に設定することにより、どのアンテナを切換順序1番としても受信電力を同様とするスイッチ切換順序設定手段を備えた
ことを特徴とするアレーアンテナ。 - 前記スイッチ切換順序設定手段は、前記スイッチ切換順序を変更する前の順序において相関ベクトルを求め、前記相関ベクトルを基に前記スイッチ切換順序を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載のアレーアンテナ。 - 前記スイッチ切換順序設定手段は、前記スイッチ切換順序を変更する前の順序において受信信号の到来方向推定を行い、その推定した方向から算出されたモードベクトルを基に前記スイッチ切換順序を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載のアレーアンテナ。 - 複数の前記アンテナの配置が点対称となっている
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のアレーアンテナ。 - アダプティブ制御によって信号を処理するアダプティブ方式である
ことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のアレーアンテナ。 - 前記アンテナの配列形状を円形状とすることにより、全方向に対して受信電力が均一となり得る順序に設定されている
ことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載のアレーアンテナ。 - 前記スイッチ切換順序設定手段は、まず、全方向に対して受信電力が均一となったスイッチ切換順序で電波を受信し、この受信信号を基に、必要とする最終的なスイッチ切換順序を設定する
ことを特徴とする請求項6に記載のアレーアンテナ。
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