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JP5825562B2 - モールドプレス成形用光学ガラス - Google Patents

モールドプレス成形用光学ガラス Download PDF

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JP5825562B2 JP2013041468A JP2013041468A JP5825562B2 JP 5825562 B2 JP5825562 B2 JP 5825562B2 JP 2013041468 A JP2013041468 A JP 2013041468A JP 2013041468 A JP2013041468 A JP 2013041468A JP 5825562 B2 JP5825562 B2 JP 5825562B2
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Description

本発明はモールドプレス成形用光学ガラスに関するものである。
CD、MD、DVDその他各種光ディスクシステムの光ピックアップレンズやビデオカメラや一般のカメラの撮影用レンズは、一般に以下のようにして作製する。
まず、溶融ガラスをノズルの先端から滴下して、液滴状ガラスを作製し(液滴成形)、研削、研磨、洗浄してプリフォームガラスを作製する。または、溶融ガラスを急冷鋳造し一旦ガラスインゴットを作製し、研削、研磨、洗浄してプリフォームガラスを作製する。
続いて、プリフォームガラスを加熱して軟化し、精密加工を施した金型によって加圧成形し、金型の表面形状をガラスに転写してレンズを作製する。このような成形方法は一般にモールドプレス成形法と呼ばれている。
モールドプレス成形法を採用する場合、金型の劣化を抑制して、レンズを精密にモールドプレス成型するために、できるだけ低い(少なくとも650℃以下)ガラス転移温度(Tg)を有するガラスが求められており、種々のガラスが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
またプリフォームガラスを作製する際に失透が生じると、モールドプレスレンズとしての基本性能が得られないことから、耐失透性に優れたガラスであることが重要である。
また環境問題への意識の高まりから、ガラス成分に鉛等の有害な物質を使用しない光学ガラスが望まれている。
さらに近年では、各種光ディスクシステムの光ピックアップレンズや、撮影用レンズといった光学レンズには、コスト削減を目的として、レンズを薄くしたり、レンズの枚数を少なくしたりすることが検討されており、これを実現するために高屈折率で低分散(アッベ数の大きい)のガラス材質が求められている。
特開2003−267748号公報 特開2003−248897号公報 特開2006−16295号公報
一般に高屈折率の光学ガラスを作製しようとすると、アッベ数が小さくなる、即ち、高分散になる傾向があり、高屈折率低分散のガラスを作製することは難しいとされている。例えば屈折率が1.80以上でかつアッベ数が41以上の光学ガラスを作製することは困難である。また高屈折率、低分散のガラスを作製しようとすると、耐失透性が悪化する傾向にある。
本発明の目的は、下記(1)〜(4)の要求をすべて満足することが可能なモールドプレス成形用光学ガラスを提供することである。
(1)環境上好ましくない鉛成分、砒素成分及びF成分を含有しない。
(2)ガラス転移温度が650℃以下である。
(3)高屈折率、低分散である。
(4)プリフォーム成形時の耐失透性に優れる。
本発明者等は種々の実験を行った結果、SiO、B、ZnO、ZrO、La、Gd、Nbを主成分とし、これらの成分を適切な割合で含有させること、及びNbの含有量を制御することによって上記目的が達成できることを見いだし、本発明として提案するものである。
即ち、本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、質量%で、SiO 3〜21%、B 6.5〜30%、ZnO 6〜40%、ZrO 2〜10%、La 20〜46%、Gd 0〜16%、Nb 0〜1%未満を含有し、鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まないことを特徴とする。なお本発明において、「鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まない」とは、これらの成分を意図的にガラス中に添加しないという意味であり、不可避的不純物まで完全に排除するということを意味するものではない。より客観的には、不純物を含めたこれらの成分の含有量が、各々0.1質量%以下であるということを意味する。また本発明における「含有する」という用語に関し、「0〜」と規定された成分については、「0%」即ち、全く含まない場合もあり得ることを意味している。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、質量%で、SiO 3〜21%、B 6.5〜30%、ZnO 6〜40%、ZrO 2〜10%、La 30〜46%、Gd 0〜16%、Nb 0〜0.9%を含有し、鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まないことを特徴とする。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、SiO+B+ZnO+Laが60質量%以下であることが好ましい。ここで「SiO+B+ZnO+La」とは、SiO、B、ZnO及びLaから選ばれる1種以上の成分の合量を意味する。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、質量%で、上記基本組成に加えてさらにTa 0〜25%、WO 0〜10%、TiO 0〜20%を含有することが好ましい。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、質量%でさらにLiO 0〜5%を含有することが好ましい。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、LiO+ZnOが8質量%以上であることが好ましい。ここで「LiO+ZnO」とは、LiO及びZnOから選ばれる1種以上の成分の合量を意味する。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、LiO/Taが、質量基準で0.05以下であることが好ましい。ここで「LiO/Ta」とは、LiOの含有量をTaの含有量で除した値を意味する。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、質量%で、Taを0〜18%含有することが好ましい。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、質量%で、SiO 3〜21%、B 6.5〜30%、ZnO 6〜40%、ZrO 2〜10%、La 30〜46%、Gd 0〜16%を含有し、鉛成分、砒素成分、F成分、及びNbを含まないことを特徴とする(以下、ガラス組成Aという)。なおガラス組成Aにおいて、「鉛成分、砒素成分、F成分及びNbを含まない」とは、これらの成分を意図的にガラス中に添加しないという意味であり、不可避的不純物まで完全に排除するということを意味するものではない。より客観的には、不純物を含めたこれらの成分の含有量が、各々0.1質量%以下であるということを意味する。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、Gd+Ta+WO+TiOが26.5質量%以下であることが好ましい。ここで「Gd+Ta+WO+TiO」とは、Gd、Ta、WO及びTiOから選ばれる1種以上の成分の合量を意味する。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、(SiO+B+ZnO+La)/(Gd+Ta+WO+TiO)が、質量基準で2.5以上であることが好ましい。ここで「(SiO+B+ZnO+La)/(Gd+Ta+WO+TiO)」とは、SiO、B、ZnO及びLaから選ばれる1種以上の成分の合量を、Gd、Ta、WO及びTiOから選ばれる1種以上の成分の合量で除した値を意味する。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、ZnO+ZrO+La+Gd+Ta+WO+TiOが55質量%以上であることが好ましい。ここで「ZnO+ZrO+La+Gd+Ta+WO+TiO」とは、ZnO、ZrO、La、Gd、Ta、WO及びTiOから選ばれる1種以上の成分の合量を意味する。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、質量%で、SiO 3〜21%、B 8〜30%、ZnO 6.5〜40%、ZrO 2〜10%、La 30〜46%、Gd 0〜16%、Nb 0.1〜0.9%を含有し、鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まないことを特徴とする(以下、ガラス組成Bという)。なおガラス組成Bにおいて、「鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まない」とは、これらの成分を意図的にガラス中に添加しないという意味であり、不可避的不純物まで完全に排除するということを意味するものではない。より客観的には、不純物を含めたこれらの成分の含有量が、各々0.1質量%以下であるということを意味する。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、Gd+Ta+WO+TiO+Nbが26.5質量%以下であることが好ましい。ここで「Gd+Ta+WO+TiO+Nb」とは、Gd、Ta、WO、TiO及びNbから選ばれる1種以上の成分の合量を意味する。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、(SiO+B+ZnO+La)/(Gd+Ta+WO+TiO+Nb)が、質量基準で2.5以上であることが好ましい。ここで「(SiO+B+ZnO+La)/(Gd+Ta+WO+TiO+Nb)」とは、SiO、B、ZnO及びLaから選ばれる1種以上の成分の合量を、Gd、Ta、WO、TiO及びNbから選ばれる1種以上の成分の合量で除した値を意味する。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、ZnO+ZrO+La+Gd+Ta+WO+TiO+Nbが55質量%以上であることが好ましい。ここで「ZnO+ZrO+La+Gd+Ta+WO+TiO+Nb」とは、ZnO、ZrO、La、Gd、Ta、WO、TiO及びNbから選ばれる1種以上の成分の合量を意味する。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、質量%で、Taを18〜25%含有することが好ましい。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、質量%で、SiO 3〜21%、B 6.5〜30%、ZnO 6〜40%、ZrO 2〜10%、La 30〜46%、Gd 0〜16%、Nb 0〜0.9%、Ta 18〜25%を含有し、鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まないことを特徴とする(以下、ガラス組成Cという)。なおガラス組成Cにおいて、「鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まない」とは、これらの成分を意図的にガラス中に添加しないという意味であり、不可避的不純物まで完全に排除するということを意味するものではない。より客観的には、不純物を含めたこれらの成分の含有量が、各々0.1質量%以下であるということを意味する。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、Gd+Ta+WO+TiO+Nbが34質量%以下であることが好ましい。ここで「Gd+Ta+WO+TiO+Nb」とは、Gd、Ta、WO、TiO及びNbから選ばれる1種以上の成分の合量を意味する。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、(SiO+B+ZnO+La)/(Gd+Ta+WO+TiO+Nb)が、質量基準で2.0以上であることが好ましい。ここで「(SiO+B+ZnO+La)/(Gd+Ta+WO+TiO+Nb)」とは、SiO、B、ZnO及びLaから選ばれる1種以上の成分の合量を、Gd、Ta、WO、TiO及びNbから選ばれる1種以上の成分の合量で除した値を意味する。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、ZnO+ZrO+La+Gd+Ta+WO+TiO+Nbが75質量%以上であることが好ましい。ここで「ZnO+ZrO+La+Gd+Ta+WO+TiO+Nb」とは、ZnO、ZrO、La、Gd、Ta、WO、TiO及びNbから選ばれる1種以上の成分の合量を意味する。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、(SiO+B)/Taが、質量基準で1.0以下であることが好ましい。ここで「(SiO+B)/(Ta」とは、SiO及びBから選ばれる1種以上の成分の合量を、Taの含有量で除した値を意味する。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、(LiO+Gd)/Taが、質量基準で2.5以下であることが好ましい。ここで「(LiO+Gd)/(Ta」とは、LiO及びGdから選ばれる1種以上の成分の合量を、Taの含有量で除した値を意味する。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、質量%で、SiO 3〜21%、B 6.5〜30%、ZnO 6〜40%、ZrO 4〜10%、La 20〜30%、Gd 4〜16%、Nb 0〜1%未満を含有し、鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まないことを特徴とする(以下、ガラス組成Dという)。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、質量%で、Ta 6〜25%、WO 0〜3%、TiO 0〜20%を含有することが好ましい。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、質量%で、La+Gdが45質量%以下であることが好ましい。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、(SiO+La+Gd)/(ZnO+LiO)が、質量基準で2.9以下であることが好ましい。
本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、ガラス転移温度が低く、低温でプレス成形成可能であるため、金型の劣化を抑制することができる。
また有害成分である鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まないため、環境上好ましいガラスである。
また高屈折率(具体的には屈折率(nd)が1.80以上、特に1.85以上)であり、且つ低分散(具体的にはアッベ数が39以上、好ましくは40以上、特に41以上)のガラスを作製できる。さらに屈折率が従来のガラスと同等である場合には、より低分散のガラスを作製可能であり、或いはアッベ数が従来のガラスと同等である場合には、より高屈折率のガラスを作製することが可能である。このため、レンズの薄肉化やレンズ枚数の削減が可能になり、光学デバイスの部品コストを低減することが可能になる。
またプリフォーム成形時に透明性を阻害する失透が生じないため、モールドプレスレンズとしての使用に問題が生じない。
それゆえ本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、CD、MD、DVDその他各種光ディスクシステムの光ピックアップレンズ、ビデオカメラや一般のカメラの撮影用レンズ等といった光学レンズとして好適である。
本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、質量%で、SiO 3〜21%、B 6.5〜30%、ZnO 6〜40%、ZrO 2〜10%、La 20〜46%、Gd 0〜16%、Nb 0〜1%未満を基本組成として含有する。また鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まないものである。
上記成分のうち、ZnO、ZrO、La、Gd、Nbはガラスの屈折率を高める効果がある。これらの成分のうち、ZnO、ZrO、La、Gdは基本的にアッベ数を大きく低下させないものであり、特にZnO、ZrO、Laはアッベ数を殆ど低下させないという特徴がある。またSiO及びBはアッベ数を高める効果があり、特にBはアッベ数を高める効果が大きい。なおNbは、アッベ数を大きく低下させるものであり、多量に含有させると本発明の課題達成を困難にするため、その使用は最小限に留める必要がある。
以下に、各成分の含有量を上記のように特定した理由を詳述する。なお、特に断りが無い場合、以下の「%」は「質量%」を意味する。
SiOは、ガラスの骨格を構成する成分であり、失透性を抑制するとともに耐候性を向上させる効果がある。またアッベ数を高める効果がある。SiOが多くなると屈折率が低下したり、軟化点が高くなったりする傾向があり、その上限は21%以下、好ましくは20%以下、16%以下、10%以下に制限される。一方、SiOが少なくなるとガラスが不安定になって失透性が悪化や分相するとともに耐酸性や耐水性等の耐候性が悪化したりする傾向があり、その下限は3%以上、好ましくは3.5%以上に制限される。従ってSiOの範囲は3〜21%であり、例えば3〜20%、3.5〜16%、特に3.5〜10%であることが好ましい。なお、特にLaが少ない場合(例えばガラス組成D)は、耐失透性を向上させるために5%以上、さらには6%以上とすることが好ましい。
は、ガラスの骨格を構成する成分であり、アッベ数を最も高める成分でもある。Bが多くなるとガラス成形時にBとLaで形成される失透物が生成しやすい傾向がある。さらに屈折率が低下するとともに耐候性が悪化するため、その上限は30%以下、好ましくは25%以下、20%以下、18%以下、15%以下、13%以下に制限される。一方、Bが少ないと、41以上のアッベ数を得にくい傾向があり、その下限は6.5%以上、好ましくは7%以上、8%以上、9%以上に制限される。従ってBの範囲は6.5〜30%であり、例えば7〜25%、7〜20%、7〜18%、特に8〜13%であることが好ましい。またNbを含有する場合には、アッベ数の低下を補うために8〜30%、特に8〜20%、さらには9〜18%であることが好ましい。
ZnOは屈折率を高める成分であり、またガラス粘度を低下させることから、ガラス転移温度を低下でき、さらに金型と融着し難いガラスを得ることができる。また多量に添加してもアッベ数を殆ど低下させない成分である。さらに耐候性を向上させる効果もある。また、アルカリ土類金属成分(MgO、CaO、SrO、BaO)に比べ失透傾向が強くないため、多量に含有させても均質なガラスを得ることができる。ZnOの含有量が多くなりすぎると逆に耐候性が悪くなることから、その上限は40%以下、好ましくは30%以下、25%以下、21%以下に制限される。一方、少なすぎるとガラス転移温度の低いガラスを得ることが困難になる。また金型と融着し易くなることから、その下限は6%以上、好ましくは6.5%以上、7.5%以上、10%以上、15%以上に制限される。従ってZnOの範囲は6〜40%であり、例えば6.5〜40%、7.5〜30%、10〜25%、特に10〜21%であることが好ましい。またNbを含有する場合には、高アッベ数確保のために6.5%以上、特に6.5〜40%、10〜40%、さらには15〜30%であることが好ましい。
ZrOは屈折率を高める成分であるとともにアッベ数を低下させない成分である。また、中間酸化物としてガラスの骨格を形成するため、耐失透性(B及びLaで形成される失透物の抑制)を改善したり、化学的耐久性を向上させたりする効果もある。ただしZrOの含有量が多くなるとガラス転移温度が上昇し、プレス成形性が悪化すると同時にZrOを主成分とする失透が析出する。ZrOの含有量は2〜10%、好ましくは3〜8%、より好ましくは4〜8%である。なお、Laが少ない場合(例えばガラス組成D)は、屈折率を向上させるために、ZrOは4%以上とすることが好ましい。
Laは、アッベ数を低下させることなく屈折率を高める効果がある。Laの含有量が少ないと充分に高い屈折率を得にくい傾向があることから、その下限は20%以上、25%以上、30%以上、好ましくは31%以上、32%以上に制限される。一方、Laが多いと失透性が悪くなる傾向がある。なお、Laが多くなるとガラス成形時にBとLaで形成される失透物が生成しやすい傾向がある。このため、その上限は46%以下、好ましくは45%以下、42%以下、40%以下、37%以下、30%以下に制限される。従ってLaの範囲は20〜46%であり、例えば30〜45%、31〜42%、32〜40%、特に32〜37%であることが好ましい。
なお、高屈折率及び低分散の特性よりも耐失透性を優先する場合は、Laの範囲は30%以下とすることが好ましく、28%以下とすることがより好ましい。
Gdは屈折率を高める成分である。また耐失透性(B及びLaで形成される失透物の抑制)を向上する効果があり、作業温度範囲を拡大することができる成分である。その一方で、多量に含有するとガラスの分相傾向が強くなり、均質なガラスを得にくくなる。またBとLaを含む組成系ではLa、Ta及びBで形成される失透物が表面に析出(表面失透)しやすくなり、液相温度が上昇する。またアッベ数が低下する。ただしGdは、他のアッベ数を低下させる成分(例えば、Ta、WO、TiO等)に比べると、アッベ数の低下割合は低いといえる。Gdの含有量は0〜16%、好ましくは4〜16%、より好ましくは5〜12.5%、さらに好ましくは5〜12%である。なお、Laが少ない場合(例えばガラス組成D)は、屈折率を向上させるために、Gdは4%以上とすることが好ましい。
鉛成分(PbO)、砒素成分(As)、及びF成分(F)は、環境上の理由から、実質的なガラスへの導入は避けるべきである。それゆえ本発明ではこれらの成分は含有しない。
Nbはガラスの屈折率を高める効果が大きい成分である。またTaを多量に含むガラスにおいては、Nbは耐失透性(La、Ta及びBで形成される失透物の抑制)を改善する働きがある。しかしながら少量の添加でアッベ数を著しく低下させてしまう。さらに紫外域での吸収が大きく、また透過率曲線における吸収端を長波長側にシフトさせ短波長領域の透過率を低下させるため、390〜440nmでの透過率が減少し、短波長用レンズとしての使用に支障をきたす。それゆえNbの含有量は0〜1%未満、好ましくは0〜0.9%に制限され、特に分散をできるかぎり低くしたい場合には含有しないことが望ましい。ただし低分散であることよりも高屈折率にすることを優先する場合はNbを積極的に含有させてもよい。この場合のNbの含有量は0.1〜1%未満、好ましくは0.1〜0.9%である。
上記組成を有する本発明のモールドプレス成形用光学ガラスにおいて、低分散、高屈折率のガラスを得るには、SiOとBの含有量の合量を適切に調整することが好ましい。具体的にはこれらの合量が12〜33%、12〜25%、特に14〜22%であることが好ましい。これらの成分の合量が少ないと低分散を維持することが難しくなり、多くなりすぎると高屈折率のガラスになりにくい。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、上記成分に加えて、さらにTa、WO及びTiOを含有することができる。これらの成分は、ガラスの屈折率を高める効果があるが、Gdに比べるとアッベ数を低下させる割合が大きく、他の成分とのバランスを十分に考慮して使用する必要がある。またLiOを含有することができる。LiOのようなアルカリ金属酸化物(R’O)は軟化点を低下させるための成分である。
Taは、屈折率、化学的耐久性と耐失透性(B及びLaで形成される失透物の抑制)を高める効果がある。Taの含有量は0〜25%であり、好ましくは0〜18%、8〜18%、10〜18%、10〜16.5%、特に10〜15%である。また低分散であることよりも高屈折率にすることを優先する場合、特にアッベ数νdが41に満たなくてもよい場合は、Taを18%以上含有させればよい(例えば、ガラス組成C)。この場合、Taの含有量は18〜25%、特に18〜22%であることが好ましい。Taが多くなりすぎるとアッベ数が低下してしまい、所望の光学特性を得ることが困難となる。また、La、Ta、Gd及びBで形成される失透物が析出し、液相温度が上昇しやすくなる。さらにコストも高くなる。一方で、8%以上含有させれば1.85以上の屈折率(nd)を容易に得ることが可能になり、18%以上含有させれば1.875以上の屈折率(nd)を容易に得ることができる。なお、特にLaが少ない場合(例えばガラス組成D)は、屈折率を向上させるために、Taは6〜25%とすることが好ましく、10〜22%とすることがより好ましい。
WOは屈折率を高める効果を有する。また、中間酸化物としてガラスの骨格を形成するため、耐失透性(B及びLaで形成される失透物の抑制)を向上する効果もある。WOの含有量は10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、特に1%以下であることが好ましい。WOが多すぎるとアッベ数が低下してしまい、所望の光学特性を得ることが困難となる。また、Nbと同様に、透過率における吸収端を長波長側にシフトさせ、短波長領域の透過率を低下させる。なお、特にLaが少ない場合(例えば、ガラス組成D)は、アッベ数低下を抑制しつつ屈折率を向上させるために、WOは0〜3%とすることが好ましい。
TiOはガラスの屈折率を高める成分である。また耐失透性(B及びLaで形成される失透物の抑制)を向上する効果もある。TiOは20%まで添加することができるが、多すぎるとアッベ数を低下させてしまう。さらに、紫外域での吸収が大きく、また吸収端を長波長側にシフトさせ短波長領域の透過率を低下させるため、390〜440nmでの透過率が減少し、短波長用レンズとしての使用に支障をきたしたりする。それゆえTiOの含有量は、好ましくは5%以下、特に2.5%以下にすることが好ましい。
LiOは、R’Oのなかでも最も軟化点を低下させる効果が大きい。しかし、LiOは分相性が強いため、添加量が多いとBとLaを主成分とする失透が析出し、液相温度が高くなって作業性を悪化させる傾向がある。またLiOが多いと、プレス成形の際に発生する揮発物が増加したり、金型と融着しやすくなったりして、プレス成形が困難になる。それゆえその含有量は、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、さらには1.5%以下に制限される。またTaを18〜25%含有するガラス(例えばガラス組成C)の場合、1%以下に制限することが好ましい。
上記組成を有する本発明のモールドプレス成形用光学ガラスにおいて、低分散(アッベ数が高い)のガラス、特にアッベ数(νd)が41以上のガラスを得るためには、アッベ数を低下させる成分であるGd、Ta、WO、TiOの含有量の合量を制限すればよく、またNbを含む組成においてはGd、Ta、WO、TiO、Nbの含有量の合量を制限すればよい。具体的にはTaを0〜18%含有するガラス(例えばガラス組成Aやガラス組成B)の場合、これらの成分の合量は何れも26.5%以下、特に5〜26.5%、さらには10〜26.5%に調整することが好ましい。またTaを18〜25%含有するガラス(例えばガラス組成C)の場合、34%以下、特に12.5〜34%、さらには17〜34%に調整することが好ましい。これらの成分の合量が多くなりすぎると、低分散のガラスを得ることが困難になる可能性が高い。なおこれらの成分の合量が少なすぎる場合、高屈折率のガラスを得ることが難しくなる可能性がある。
同様に低分散のガラスを得るためには、アッベ数を高める、或いはアッベ数を大きく低下させない成分であるLa、SiO、B、ZnOの含有量の合量を一定値以上にすればよく、具体的には60%以上、特に60〜90%、さらには70〜90%に調整することが好ましい。このようにすれば、Taの含有量が18%以下の場合、アッベ数(νd)が41以上のガラスを容易に得ることができ、またTaの含有量が18〜25%以下の場合にはアッベ数(νd)が39以上のガラスを容易に得ることができる。れらの成分の合量が少なすぎると、低分散のガラスを得ることが困難になる可能性が高い。なおこれらの成分の合量が多すぎる場合、高屈折率のガラスを得ることが難しくなる
可能性がある。
同様に低分散のガラスを得るためには、アッベ数を高める、或いはアッベ数を大きく低下させない成分(La、SiO、B、ZnO)と、アッベ数を低下させる成分(Gd、Ta、WO、TiO、Nb)のバランスをとることが重要になる。具体的には(SiO+B+ZnO+La)/(Gd+Ta+WO+TiO)の比を、またNbを含む組成においては(SiO+B+ZnO+La)/(Gd+Ta+WO+TiO+Nb)の比を一定範囲にすればよい。具体的にはTaを0〜18%含有するガラス(例えばガラス組成Aやガラス組成B)では、何れの場合も具体的には質量基準で2.5〜4.0、特に2.6〜3.5に調整することにより、アッベ数(νd)が41以上のガラスを容易に得ることできる。またTaを18〜25%含有するガラス(例えばガラス組成C)の場合、2.0〜3.5、特に2.1〜3に調整することにより、アッベ数(νd)が39以上のガラスを容易に得ることできる。この値が小さすぎるとアッベ数が低下しやすく、逆に大きすぎると高屈折率のガラスを得ることが難しくなる可能性がある。
また上記組成を有する本発明のモールドプレス成形用光学ガラスにおいて、高屈折率のガラス、特に屈折率(nd)が1.85以上のガラスを得るためには、屈折率を高める成分であるZnO、ZrO、La、Gd、Ta、WO、TiOの含有量の合量を一定値以上にすればよく、またNbを含む組成においては、ZnO、ZrO、La、Gd、Ta、WO、TiO、Nbの合量を一定値以上にすればよい。具体的にはTaを0〜18%含有するガラス(例えばガラス組成Aやガラス組成B)の場合、これらの成分の合量は何れの場合も具体的には55%以上、特に55〜89%、さらには60〜87%に調整することが好ましい。またTaを18〜25%含有するガラス(例えばガラス組成C)の場合は、75%以上、特に76〜90%、さらには77〜88%に調整することが好ましい。これらの成分の合量が少なすぎると、高屈折率のガラスを得ることが難しくなる可能性が高い。なおこれらの成分の合量が多すぎる場合、低分散のガラスを得ることが難しくなる可能性がある。
また上記組成を有する本発明のモールドプレス成形用光学ガラスにおいて、低い転移温度、具体的には650℃以下の転移温度を達成するためには、軟化点を低下させる効果のあるZnOとLiOの含有量の合量を一定値以上にすることが好ましく、具体的には8%以上、特に8〜40%、さらには10〜30%とすることが好ましい。ZnOとLiO合量が少なすぎると、転移温度(Tg)が上昇し、低温でモールドプレスすることが難しくなる可能性がある。一方、多すぎる場合には、プリフォームガラスの溶融、成形工程中にB,Laを主成分とする失透が析出し易くなり、液相温度が上がって作業範囲が狭くなり量産化し難くなる傾向がある。
また上記組成を有する本発明のモールドプレス成形用光学ガラスにおいて、高屈折率のガラス、特に屈折率(nd)が1.875以上のガラスを得るためには、屈折率を低下させる成分であるSiOやBに対して、屈折率を高める成分であるTaの割合を相対的に高めればよい。具体的には(SiO+B)/Taが質量基準で1.0以下、特に0.95以下となるように調整することが好ましい。
また上記組成を有する本発明のモールドプレス成形用光学ガラスにおいて、高屈折率、特に屈折率(nd)が1.875以上で、且つ低い液相温度を得るためには、屈折率を高めるが液相温度も上昇させてしまう成分であるLaやGdに対して、屈折率を高め、液相温度をあまり上昇させない成分であるTaの割合を相対的に高めればよい。具体的には(LiO+Gd)/Taが、質量基準で2.5以下、特に2.4以下となるように調整することが好ましい。
また上記組成を有する本発明のモールドプレス成形用光学ガラスにおいて、高屈折率で、且つ低い液相温度を得るためには、液相温度を上昇させる成分であるLiOに対して、屈折率を高め、液相温度をあまり上昇させない成分であるTaの割合を相対的に高めればよい。具体的にはLiO/Taが質量基準で0.05以下となるように調整することが好ましい。
また本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、上記成分以外にも種々の成分を添加可能である。例えばAl、CaO、BaO、SrO、NaO、KO、Y、Yb、清澄剤等、本発明のガラスの特性を損なわない範囲で添加可能である。
Alは、SiOやBと共にガラスの骨格を構成することが可能な成分である。また耐候性を向上させる効果があり、特にガラス中の成分が水へ選択的に溶出することを抑制する効果が顕著である。その含有量は10%以下、特に5%以下であることが好ましい。なお、Alが多いとガラスが失透し易くなる。また溶融性が悪化して脈理や泡がガラス中に残り、レンズ用ガラスとしての要求品位を満たさなくなる可能性がある。
CaO、BaO、SrOといったアルカリ土類金属酸化物(RO)は融剤として作用するとともに、アッベ数を低下させずに屈折率を高める効果がある。CaO、BaO及びSrOは、合量で20%以下であることが望ましい。なおROが多くなりすぎると、プリフォームガラスの溶融、成形工程中にB及びLaを主成分とする失透が析出し易くなり、液相温度が上がって作業範囲が狭くなりやすい。その結果、量産化し難くなる傾向がある。さらにRO成分が多すぎると逆に耐候性が悪化しやすくなり、ガラス成分の研磨洗浄水や各種洗浄溶液中への溶出が増大したり、高温多湿状態でのガラス表面の変質が顕著になったりする。
CaOは、アッベ数を低下させることなく屈折率を高める成分である。CaOの含有量は0〜10%、さらに0〜5%であることが好ましい。
BaOは、屈折率を高める成分である。またCaOに比べると高温多湿状態でのガラス表面からの析出量が少ない。BaOの含有量は20%以下、特に10%以下、さらには5%以下であることが好ましい。
SrOは、屈折率を高める成分である。またCaOに比べると高温多湿状態でのガラス表面からの析出量が少ない。従ってSrOを積極的に使用することにより、耐候性に優れた製品を得ることができる。その含有量は20%以下、特に10%以下、さらには5%以下であることが好ましい。
なお、CaO、BaO、またはSrO以外にも、屈折率を高めるためにRO成分としてMgOを添加してもよい。MgOを添加する場合、その含有量は10%以下、特に5%以下であることが好ましい。MgOが多くなると失透し易くなる。
NaOは、LiO同様に軟化点を低下させる効果を有するが、その含有量が多いと溶融時にBとNaOで形成される揮発物が多くなり、脈理の生成を助長してしまう。また、添加量が多いとBとLaを主成分とする失透が析出し、液相温度が高くなる。さらに、プレス成形の際に発生する揮発物が増加したり、金型と融着しやすくなったりして、プレス成形を困難にする。NaOの含有量は10%以下、特に5%以下であることが好ましい。
OもLiO同様に軟化点を低下させる効果を有する。KOを添加する場合、その含有量は0〜10%、特に0〜5%であることが好ましい。KOが多くなると耐候性が悪化する。また、添加量が多いとBとLaを主成分とする失透が析出し、液相温度が高くなる。さらに、プレス成形の際に発生する揮発物が増加したり、金型と融着しやすくなったりして、プレス成形を困難にする。
及びYbは、アッベ数を低下することなく屈折率を高める成分である。このためLaとの置換により耐失透性を改善することができる。また、適量添加することによって、B−ZnO−La系ガラスに起こりやすい分相を抑制する効果がある。Y及びYbの含有量は各々15%以下、特に各々8%以下であることが好ましい。YやYbが多すぎると失透性が高くなり、作業温度範囲が狭くなる。またガラス中に脈理が発生しやすくなる。
清澄剤として例えばSbを添加することができる。ただし、ガラスに対する過度の着色を避けるため、Sbの含有量は1%以下とすることが望ましい。
上記の組成範囲にあって、既述の4種の好ましい組成範囲(ガラス組成A、ガラス組成B、ガラス組成C、及びガラス組成D)が例示される。ガラス組成Aは、屈折率がやや低いものの、最も低分散なガラス(屈折率nd=1.85〜1.87、アッベ数νd=41〜43)を達成し易い組成である。ガラス組成Cは、分散はやや高いものの、屈折率が最も高いガラス(屈折率nd=1.875〜1.895、アッベ数νd=39〜40)を達成し易い組成である。ガラス組成Bは、ガラス組成A及びCの中間の光学特性を有するガラス(屈折率nd=1.855〜1.875、アッベ数νd=40〜42)を達成し易い組成である。ガラス組成Dは、屈折率またはアッベ数のいずれかが若干低いものの(屈折率nd=1.844〜1.859、アッベ数νd=40〜41)、比較的、液相温度が低く、耐失透性に優れている。
ガラス組成Aは、上述の通り、質量%で、SiO 3〜21%、B 6.5〜30%、ZnO 6〜40%、ZrO 2〜10%、La 30〜46%、Gd 0〜16%を含有し、鉛成分、砒素成分、F成分、及びNbを含まないことを特徴とする。
ガラス組成Aのより好ましい範囲は、質量%で、SiO 3.5〜21.0%、B 9〜15%、ZnO 15〜21%、LiO 0.1〜2.0%、TiO 0〜2.5%、ZrO 3〜8% La 32〜40% Gd 5〜12.5%、Ta 10〜18% WO 0〜4%を含有し、鉛成分、砒素成分、F成分、Nbを含まない。
ガラス組成Aのさらに好ましい組成範囲は、次の通りである。質量%で、SiO 3.5〜21.0%、B 9〜15%、ZnO 15〜21%、LiO 0.1〜2.0%、TiO 0〜2.5%、ZrO 3〜8% La 32〜40% Gd 5〜12%、Ta 10〜15% WO 0〜3%を含有し、鉛成分、砒素成分、F成分、Nbを含まない。
さらにガラス組成Aにおいて、(SiO+B+ZnO+La)/(Gd+Ta+WO+TiO)の比を2.6以上、或いはWOを2%以下にすれば、41以上のアッベ数νdを確保することが極めて容易となる。
ガラス組成Bは、上述の通り、質量%で、SiO 3〜21%、B 8〜30%、ZnO 6.5〜40%、ZrO 2〜10%、La 30〜46%、Gd 0〜16%、Nb 0.1〜0.9%を含有し、鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まないことを特徴とする。
ガラス組成Bのより好ましい範囲は、質量%で、SiO 3〜10%、B 8〜20%、ZnO 10〜40%、ZrO 2〜10%、La 30〜45%、Gd 0〜16%、Nb 0.1〜0.9%、Ta 8〜18% WO 0〜5%、TiO 0〜2.5%、LiO 0〜3%、CaO 0〜5%、BaO 0〜5%、SrO 0〜5%、MgO 0〜5%、NaO 0〜5%、KO 0〜5%を含有し、鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まない。
ガラス組成Bのさらに好ましい範囲は、質量%で、SiO 3.5〜10%、B 9〜15%、ZnO 15〜21%、ZrO 3〜8%、La 32〜40%、Gd 5〜12%、Nb 0.1〜0.9%、Ta 10〜15% WO 0〜3%、TiO 0〜2.5%、LiO 0〜3%、CaO 0〜5%、BaO 0〜5%、SrO 0〜5%、MgO 0〜5%、NaO 0〜5%、KO 0〜5%を含有し、鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まない。
さらにガラス組成Bにおいて、WOを1%以下に限定すれば、41以上のアッベ数νdを確保することが可能になる。
ガラス組成Cは、上述の通り、質量%で、SiO 3〜21%、B 6.5〜30%、ZnO 6〜40%、ZrO 2〜10%、La 30〜46%、Gd 0〜16%、Nb 0〜0.9%、Ta 18〜25%を含有し、鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まないことを特徴とする。
ガラス組成Cのより好ましい範囲は、質量%で、SiO 3〜10%、B 7〜18%、ZnO 6〜40%、ZrO 2〜10%、La 30〜40%、Gd 0〜16%、Nb 0.1〜0.9%、Ta 17.5〜25% WO 0〜5%、TiO 0〜2.5%、LiO 0〜3%、CaO 0〜5%、BaO 0〜5%、SrO 0〜5%、MgO 0〜5%、NaO 0〜5%、KO 0〜5%含有し、鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まない。
ガラス組成Cのさらに好ましい範囲は、質量%で、SiO 3.5〜10%、B 8〜13%、ZnO 10〜21%、ZrO 3〜8%、La 32〜37%、Gd 5〜12%、Nb 0〜0.9%、Ta 18〜22% WO 0〜3%、TiO 0〜2.5%、LiO 0〜1%、CaO 0〜5%、BaO 0〜5%、SrO 0〜5%、MgO 0〜5%、NaO 0〜5%、KO 0〜5%含有し、鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まない。
ガラス組成Dは、上述の通り、質量%で、SiO 3〜21%、B 6.5〜30%、ZnO 6〜40%、ZrO 4〜10%、La 20〜30%、Gd 4〜16%、Nb 0〜1%未満を含有し、鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まない。
ガラス組成Dのより好ましい範囲は、質量%で、SiO 3〜21%、B 6.5〜30%、ZnO 6〜40%、ZrO 4〜10%、La 20〜30%、Gd 4〜16%、Nb 0〜1%未満、Ta 6〜25%、WO 0〜3%、TiO 0〜20%を含有し、鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まない。
なお、ガラス組成Dにおいて、La+Gdを45質量%以下、好ましくは42質量%以下に限定すれば、より耐失透性に優れたガラスを得ることが可能となる。
また、ガラス組成Dにおいて、(SiO+La+Gd)/(ZnO+LiO)の比を、質量基準で2.9以下、好ましくは2.6以下、より好ましくは2.5以下とすることにより、ガラス転移温度の低いガラスが得られやすくなる。
本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、1.80以上の屈折率(nd)、39以上のアッベ数(νd)を有するガラスを得ることができる。特に1.80以上の屈折率(nd)、40以上のアッベ数(νd)を有するガラス、さらには1.85〜1.95の屈折率(nd)、41〜45のアッベ数(νd)を有するガラスを得ることができ、色分散が少なく、高機能で小型の光学素子用の光学レンズとして使用することができる。また、本発明のモールドプレス成形用光学ガラスは、ガラス転移温度が650℃以下、特に640℃以下、さらには630℃以下とすることが可能である。ガラスの軟化点が低くなると、低温でのプレス成形が可能となり、金型の酸化、ガラス成分の揮発による金型の汚染やガラスと金型との融着を抑えることができる。
次に、本発明のガラスを用いて光ピックアップレンズや撮影用レンズ等を製造する方法を述べる。
まず、所望の組成になるようにガラス原料を調合した後、ガラス溶融炉中で溶融する。
次に、溶融ガラスをノズルの先端から滴下し一旦液滴状ガラスを作製し、プリフォームガラスを得る。または溶融ガラスを急冷鋳造し一旦ガラスブロックを作製し、研削、研磨、洗浄してプリフォームガラスを得る。
続いて、精密加工を施した金型中にプリフォームガラスに入れて軟化状態となるまで加熱しながら加圧成形し、金型の表面形状をガラスに転写させる。この成形方法はモールドプレス成形法と呼ばれ、広く用いられている。このようにして光ピックアップレンズや撮影用レンズを得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
表1〜5、7、8は本発明のガラス組成Aの実施例(試料No.1〜28、43)、及び本発明のガラス組成Bの実施例(試料No.32〜42)を、表9,10は本発明のガラス組成Cの実施例(試料No.44〜55)を、表11〜14は本発明のガラス組成Dの実施例(試料No.56〜75)を、表6は比較例(試料No.29〜31)をそれぞれ示している。
各試料は次のようにして調製した。
まず、表に示す組成になるようにガラス原料を調合し、白金ルツボを用いて1300℃〜1450℃で3時間溶融した。溶融後、融液をカーボン板上に流し出し、更にアニール後、各測定に適した試料を作製した。
得られた試料について、屈折率(nd)、アッベ数(νd)、ガラス転移温度(Tg)、液相温度及び表面失透温度を測定した。また試料No.7、14、30、44、57〜60については、さらに金型融着性を評価した。それらの結果を各表に示す。
なお、屈折率(nd)は、ヘリウムランプのd線(587.6nm)に対する測定値で示した。
アッベ数(νd)は上記したd線の屈折率と水素ランプのF線(486.1nm)、同じく水素ランプのC線(656.3nm)の屈折率の値を用い、アッベ数(νd)=[(nd−1)/(nF−nC)]式から算出した。
ガラス転移温度(Tg)は、熱膨張測定装置(dilato meter)にて測定される値によって評価した。
耐失透性は、液相温度及び表面失透温度から判断した。液相温度は、電気炉で1350℃−18時間の条件でガラスを溶融後、温度勾配を有する電気炉で5分間保持した後、空気中で放冷し、光学顕微鏡で失透の析出位置を求めることで測定した。表面失透温度は、電気炉で1350℃−30分の条件でガラスを溶融後、温度勾配を有する電気炉で5分間保持した後、空気中で放冷し、光学顕微鏡で失透の析出位置を求めることで測定した。上記の液相温度及び表面失透温度の評価において、液相温度は、溶融されたガラスが成形されるまでの間、長期に炉内に滞在することにより失透の発現程度を評価することに対し、表面失透温度は、成形後のガラス表面に表面失透が発現する程度を評価したものである。なお液相温度が1200℃以下であれば、液相粘度は100.5以上が達成されやすく、液滴成形を行っても失透が生じるおそれがなくなる。また表面失透温度が1300℃以下であれば、耐失透性が良好であると判断できる。
金型との融着性は次のようにして評価した。まずガラス原料を調合し、白金坩堝を用いて1300〜1500℃で3〜5時間溶融した後、ガラス融液をカーボン台上に流し出してアニールし、直径5mm、高さ5mmの円柱状の試料に加工した。次に、WC金型上に試料を静置し、N雰囲気中で800℃まで加熱し、15分間保持した。加熱後に試料を除去し、試料が接触していた金型表面の直径5mmの円内を観察し、融着の有無を評価した。
本発明のモールドプレス用光学ガラスは、ガラス転移温度が低く、またプリフォーム成形時の耐失透性に優れている。しかも屈折率とアッベ数が高い値を示すため、CD、MD、DVDその他各種光ディスクシステムの光ピックアップレンズやビデオカメラや一般のカメラの撮影用レンズを高性能化することができる。
またモールドプレス以外の成形方法で成形されるガラス硝材として使用することも可能
である。

Claims (21)

  1. 質量%で、SiO 3〜15.0%、B 6.5〜18%、SiO+B 22%以下、ZnO 6〜40%、ZrO 2〜10%、La 20〜46%、Gd 3〜16%、Nb 0〜1%未満、Ta 6〜25%、WO 0〜10%、TiO 0〜20%、LiO 0.1%以上、Sb 1%以下(ただし、Ga 0.1〜10%である場合を除く)を含有し、LiO/Taが、質量基準で0.05以下であり、鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まず、屈折率が1.80以上であることを特徴とするモールドプレス成形用光学ガラス。
  2. 質量%で、SiO 3〜15.0%、B 6.5〜18%、ZnO 6〜40%、ZrO 2〜10%、La 30〜46%、Gd 3〜16%、Nb 0〜0.9%を含有し、鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まないことを特徴とする請求項1に記載のモールドプレス成形用光学ガラス。
  3. アッベ数が39以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のモールドプレス成形用光学ガラス。
  4. 液相温度が1200℃以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のモールドプレス成形用光学ガラス。
  5. CaO+BaO+SrOが20%以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のモールドプレス成形用光学ガラス。
  6. CaO 10%以下、SrO 20%以下、BaO 20%以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のモールドプレス成形用光学ガラス。
  7. NaO 10%以下、KO 10%以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のモールドプレス成形用光学ガラス。
  8. 15%以下、Yb 15%以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のモールドプレス成形用光学ガラス。
  9. SiO+B+ZnO+Laが60質量%以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のモールドプレス成形用光学ガラス。
  10. 質量%で、さらにLiO 0.1〜5%を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のモールドプレス成形用光学ガラス。
  11. LiO+ZnOが8質量%以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のモールドプレス成形用光学ガラス。
  12. 質量%で、Taを6〜18%含有することを特徴とする請求項1〜11のモールドプレス成形用光学ガラス。
  13. 質量%で、SiO 3〜15.0%、B 6.5〜18%、ZnO 6〜40%、ZrO 2〜10%、La 30〜46%、Gd 3〜16%を含有し、鉛成分、砒素成分、F成分、及びNbを含まないことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のモールドプレス成形用光学ガラス。
  14. Gd+Ta+WO+TiOが26.5質量%以下であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のモールドプレス成形用光学ガラス。
  15. ZnO+ZrO+La+Gd+Ta+WO+TiOが55質量%以上であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のモールドプレス成形用光学ガラス。
  16. 質量%で、SiO 3〜15.0%、B 8〜18%、ZnO 6.5〜40%、ZrO 2〜10%、La 30〜46%、Gd 3〜16%、Nb 0.1〜0.9%を含有し、鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まないことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のモールドプレス成形用光学ガラス。
  17. Gd+Ta+WO+TiO+Nbが26.5質量%以下であることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載のモールドプレス成形用光学ガラス。
  18. (LiO+Gd)/Taが、質量基準で2.5以下であることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載のモールドプレス成形用光学ガラス。
  19. 質量%で、SiO 3〜15.0%、B 6.5〜18%、ZnO 6〜40%、ZrO 4〜10%、La 20〜30%、Gd 4〜16%、Nb 0〜1%未満を含有し、鉛成分、砒素成分、及びF成分を含まないことを特徴とする請求項1に記載のモールドプレス成形用光学ガラス。
  20. 質量%で、Ta 6〜25%、WO 0〜3%、TiO 0〜20%を含有することを特徴とする請求項19に記載のモールドプレス成形用光学ガラス。
  21. 質量%で、La+Gdが45質量%以下であることを特徴とする請求項19または20に記載のモールドプレス成形用光学ガラス。
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