JP5822192B2 - 幾何微細凹凸構造の作製方法 - Google Patents
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Description
前記基板の延伸状態を維持したまま前記基板上に表層を形成する表層形成工程と、
前記基板の延伸状態を解除することにより該基板の表面に幾何微細凹凸構造を形成する
幾何微細凹凸構造形成工程と、
を有することを特徴とする幾何微細凹凸構造の作製方法。
(2) 前記延伸工程において、前記基板の少なくとも一部を固定し、前記基板の露出した部分に応力を加える、(1)記載の幾何微細凹凸構造の作製方法。
(3) 前記延伸工程において、前記基板の周縁部を固定し、前記基板の中央部を押し上げて応力を加える、(1)記載の幾何微細凹凸構造の作製方法。
(4) 前記基板に用いる材料がポリシロキサン系ポリマーである、(1)〜(3)のいずれか記載の幾何微細凹凸構造の作製方法。
延伸工程は、基板面に対して略垂直方向に応力を加えることにより基板を延伸する工程である。一実施形態を図1を用いて説明する。
基板14を、中心を円状にくりぬいた金属製の基板固定盤上部10と基板固定盤下部11の間に挟み、留めねじ13で固定する。これによって、その後の延伸や表層形成は、延伸部位直径Aの円で露出した部分にのみ施される。基板に略垂直方向に応力を加えるための円柱状のピン12を下方より伸張高さHだけ押し上げることにより、基板を延伸する。延伸状態を解除したときには、ピン直径Bの円の部分にジグザグ模様やしわ模様ができやすく、延伸部位直径Aの円からピン直径Bの円を除いた部分には、ストライプ模様ができやすい。
なお、ピンの先端は平らであれば特に形を限定しないが、円であれば、同心円方向に均一に延伸させることができる。
次の表層形成工程では、前記延伸工程で行った状態を維持したまま、前記基板上に表層を形成する。表層とは、基板の一部であってもよいし、別の材料を薄膜として表面に追加して形成するものでもよい。
表層を形成した後、延伸状態を解除する工程で、幾何微細凹凸構造が形成される。延伸状態の解除は、基板面に対し略垂直方向にかけていた応力を排除し、基板を初期状態に戻せばよい。これにより、内部応力が開放され、表面座屈現象が起こり、凹凸構造が得られる。前記図1のようにピンを下方より押し上げていた場合は、延伸工程を行う前の位置までピンを下げることにより応力が排除される。
前記の方法により得られた幾何微細凹凸構造は、従来の方法により得られた周期的な凹凸構造と同様に、無反射基板を作製したり、溝部分に粒子を並べて転写することにより半導体回路作成に応用したり、金属蒸着した溝の部分に検体を入れてセンサーに利用することができる。あるいは、さらに表面修飾を行えば、超撥水性基板やタンパク質忌避界面の構築等にも利用することができる。
厚さ5mmのPDMS基板を図1に示した装置の基板固定盤上部10と基板固定盤下部11との間に固定した。図1中の延伸部位直径Aは1.5cm、ピン直径Bは1mmであった。伸張高さHを1mm、2mm、3mmと変えて延伸させた後、10分間酸素プラズマ処理を行った。延伸状態を解除した後、SEMで凹凸構造を観察した。図2に結果を示す。図2において、(a)〜(c)はピン12の先端があたっていた部分を、(d)はピン12の先端から外れた部分の観察結果である。伸張高さHは(a)が1mm、(b)は2mm、(c)(d)は3mmの場合である。図2からわかるように、伸張高さHが高くなるに従って、ピン12の先端があたっていた部分にできる模様は、ジグザグ模様からしわ模様に変化した。ピン12の先端から外れた部分にできる模様は、ストライプ模様となっていた。
厚さ5mmのPDMS基板を試験例1と同様の装置に固定し、試験例1と同じピン12で、伸張高さHを1mm、3mmと変えて延伸し、その後それぞれ酸素プラズマ処理時間を1分、10秒で処理した。延伸状態を解除し、ピン12の先端があたっていた部分についてSEMで凹凸構造を観察した。図3に結果を示す。図3において、(a)は伸張高さHが1mm、酸素プラズマ処理時間が1分の場合、(b)は伸張高さHが1mm、酸素プラズマ処理時間が10秒の場合、(c)は伸張高さHが3mm、酸素プラズマ処理時間が1分の場合、(d)は伸張高さHが3mm、酸素プラズマ処理時間が10秒の場合の結果である。図3からわかるように、酸素プラズマ処理時間は模様の種類に影響を与えないが、処理時間が短い方が、模様が細かく密になった。
厚さ5mmのPDMS基板を試験例1と同様の装置に固定し、ピン直径Bが8mmであるピン12を用いて延伸した。伸張高さHを5mm、8mmと変えて延伸し、その後それぞれ10分間酸素プラズマ処理を行った。延伸状態を解除し、ピン12の先端があたっていた部分についてSEMで凹凸構造を観察した。図4に結果を示す。図4において、(a)は伸張高さHが5mmの場合、(b)は伸張高さHが8mmの場合の結果である。図4からわかるように、伸張高さHが高いほど、ピン12の先端があたっていた部分にできる模様は細かく密になった。
厚さ5mmのPDMS基板を試験例1と同様の装置に固定し、試験例1と同じピン12で延伸した。伸張高さH3mmで延伸後、金又は銀を蒸着した。延伸状態を解除し、ピン12の先端があたっていた部分について、SEMで凹凸構造を観察した。図5に結果を示す。図5において(a)は40nmの厚さに銀蒸着を行った場合、(b)は50nmの厚さに金蒸着を行った場合、を示す。同じ延伸工程を経ていても、金蒸着と銀蒸着ではピン12の先端部分のしわ模様の粗さが異なり、銀蒸着の方が模様が細かく密になった。
厚さ5mmのPDMS基板を試験例1と同様の装置に固定し、試験例1と同じピン12で延伸した。伸張高さHを1mmで延伸後、5分間酸素プラズマ処理を行った。延伸状態を解除すると、ピン先端があたっていた部分に波長1μm、振幅200nmの周期微細凹凸構造ができた。これに500nmのポリスチレン粒子を2000rpm、30秒のスピンコーティングで塗布し、SEMで観察したところ、図7に示すように、ポリスチレン粒子は、凹凸構造の溝部分に沿って配列する様子が見られた。500nmのポリスチレン粒子の代わりに、188nmのポリスチレン粒子を5000rpm、60秒スピンコーティングで塗布し、同様にSEMで観察すると、図8に示すようにポリスチレン粒子は2層になって配列していた。
11:基板固定盤下部
12:ピン
13:留めねじ
14:基板
A:延伸部位直径
B:ピン直径
H:伸張高さ
Claims (7)
- 基板面に対して略垂直方向に伸長高さを付して応力を加えることにより基板を延伸する延伸工程と、
前記基板の延伸状態を維持したまま前記基板上に表層を形成する表層形成工程と、
前記基板の延伸状態を解除することにより該基板の表面に幾何微細凹凸構造を形成する幾何微細凹凸構造形成工程と、
を有することを特徴とする幾何微細凹凸構造の作製方法。 - 前記延伸工程において、前記基板の少なくとも一部を固定し、前記基板の露出した部分に応力を加える、請求項1記載の幾何微細凹凸構造の作製方法。
- 前記延伸工程において、前記基板の周縁部を固定し、前記基板の中央部を押し上げて応力を加える、請求項1記載の幾何微細凹凸構造の作製方法。
- 前記基板に用いる材料がポリシロキサン系ポリマーである、請求項1〜3のいずれか一項記載の幾何微細凹凸構造の作製方法。
- 前記表層形成工程では、酸素プラズマ処理により前記基板上に表層を形成する請求項1〜4のいずれか一項記載の幾何微細凹凸構造の作製方法。
- 前記表層形成工程では、金属蒸着により前記基板上に表層を形成する請求項1〜4のいずれか一項記載の幾何微細凹凸構造の作製方法。
- 前記金属蒸着の金属が銀である請求項6記載の幾何微細凹凸構造の作製方法。
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