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JP5821892B2 - 多芯ケーブル及びその製造方法 - Google Patents

多芯ケーブル及びその製造方法 Download PDF

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JP5821892B2 JP2013095058A JP2013095058A JP5821892B2 JP 5821892 B2 JP5821892 B2 JP 5821892B2 JP 2013095058 A JP2013095058 A JP 2013095058A JP 2013095058 A JP2013095058 A JP 2013095058A JP 5821892 B2 JP5821892 B2 JP 5821892B2
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Description

本発明は、複数本の細径ケーブルを集合して一体化させた多芯ケーブル及びその製造方法に関する。
1本または複数本の絶縁電線の周りをシールド層およびシースで被覆することで形成されるシールド付多芯ケーブルとして、シールド層が、Snメッキ軟銅線からなる外径が0.12mmの素線を6本撚り合わせて編組したものから構成されている多芯ケーブルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−197036号公報
上記のケーブルでは、径の小さい素線を筒状に編組したシールド層を用いることにより、シールド層の耐屈曲性や引張強度等の機械的強度が高められている。
近年、多芯ケーブルとして、さらなる屈曲性や捻回性などの機械的信頼性が要求されている。
そこで、本発明は、屈曲性や捻回性などの機械的信頼性が向上した多芯ケーブル及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の多芯ケーブルは、
細径ケーブルが複数本集合され、これらの細径ケーブルの周囲にシールド層が被せられ、前記シールド層の周囲に外被が被せられた多芯ケーブルであって、
前記シールド層は、2本または3本の素線が撚り合わされた撚線を複数本編組することにより形成され、
前記素線の撚りピッチは前記撚線の外径の20倍以上50倍以下である。
また、上記の目的を達成するために、本願発明の実施形態に係る多芯ケーブルの製造方法は、
細径ケーブルを複数本集合し、
2本または3本の素線が撚り合わされた撚線であって前記素線の撚りピッチは前記撚線の外径の20倍以上50倍以下である前記撚線を複数本用意し、
複数本の前記撚線を集合した複数本の前記細径ケーブルの周囲に編組することによりシールド層を形成し、
樹脂からなる外被を前記シールド層の周囲に被せる。
本発明によれば、多芯ケーブルの屈曲性や捻回性などの機械的信頼性を向上させることができる。
図1の多芯ケーブルの断面図である。 図1の多芯ケーブル内に設けられるシールド層を構成する撚線の概略側面図である。 捻回屈曲試験の様子を示す図である。
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本願発明の実施形態に係る多芯ケーブルは、
(1)細径ケーブルが複数本集合され、これらの細径ケーブルの周囲にシールド層が被せられ、前記シールド層の周囲に外被が被せられた多芯ケーブルであって、
前記シールド層は、2本または3本の素線が撚り合わされた撚線を複数本編組することにより形成され、
前記素線の撚りピッチは前記撚線の外径の20倍以上50倍以下である。
シールド層を編組する際の素線浮きを防止しつつ、多芯ケーブルの屈曲性や捻回性などの機械的信頼性を向上させることができる。
(2)前記素線の撚りピッチは前記撚線の外径の25倍以上50倍以下であることが好ましい。
屈曲性および捻回性について特に優れた耐性を有した多芯ケーブルを提供することができる。
(3)前記素線の径が0.05m以下であることが好ましい。
多芯ケーブル11を屈曲させた時の素線の歪みが小さくなり、シールド層の断線が抑制できる。
(4)前記素線が銀メッキ銅銀合金線であることが好ましい。
屈曲性や捻回性などが向上した多芯ケーブルのシールド層として用いることが好適である。
また、本願発明の実施形態に係る多芯ケーブルの製造方法は、
(5)細径ケーブルを複数本集合し、
2本または3本の素線が撚り合わされた撚線であって前記素線の撚りピッチは前記撚線の外径の20倍以上50倍以下である前記撚線を複数本用意し、
複数本の前記撚線を集合した複数本の前記細径ケーブルの周囲に編組することによりシールド層を形成し、
樹脂からなる外被を前記シールド層の周囲に被せる。
屈曲性および捩回性について優れた耐性を有する多芯ケーブルを製造することができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、本発明に係る多芯ケーブル及びその製造方法の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る多芯ケーブル11は、複数本(本例では10本)の多芯集合ユニット21を有し、これらの多芯集合ユニット21は、撚り合わされて配列されて束ねられている。これらの多芯集合ユニット21は、複数本(例えば、16本)の細径ケーブル12を撚り合わせたものであり、外径が例えば1.65mmである。細径ケーブル12は、その長さ方向に垂直な断面において中心層に6本の細径ケーブル12、外層に10本の細径ケーブル12が同心円状に配置されたものである。これらの複数本の多芯集合ユニット21は、その外周に樹脂テープ22が緩く巻かれて束ねられている。多芯ケーブル11は、束ねられた多芯集合ユニット21の外周側がシールド層23によって覆われており、さらに、このシールド層23の外周側が外被24によって覆われている。
細径ケーブル12は、外径が例えば0.35mmの同軸電線または絶縁電線である。同軸電線は中心導体の周囲に絶縁体が被覆され、その周囲に外部導体が層状に配置され、その周囲が絶縁体で覆われたものである。外部導体は多数本の金属細線が螺旋状に巻かれたり、金属テープが巻かれたりしたものである。絶縁電線は導体が絶縁体で被覆されたものである。同軸電線の場合、AWG(American Wire Gauge)の規格によるAWG40程度のものが用いられ、絶縁電線の場合、AWG32程度のものが用いられる。
樹脂テープ22としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートが用いられる。この樹脂テープ22が巻かれた状態での複数本の多芯集合ユニット21の束の外径は例えば5.4mmである。
シールド層23は、図2に示す撚線23aを複数本用いて編組したものであり、外径は例えば5.9mm程度である。撚線23aは、銀メッキ銅銀合金線である素線23bが少なくとも2本撚り合わされたものである。2本もしくは3本の素線23bが撚り合わされて撚線23aを形成することが好ましい。素線23bは、その外径が従来の多芯ケーブルのシールド層に用いられる素線(素線径:0.12mm)よりも小さく、例えば0.05mm以下であるのが好ましい。また、素線23bは、その撚りピッチPが撚線23aの外径Dの20倍以上50倍以下、好ましくは25倍以上50倍以下となるように撚り合わされている。ここで、撚りピッチPとは、撚線23aの軸方向に沿って素線23bが一回転する間に進む距離のことを示す。撚線23aの外径Dは、少なくとも2本の素線23bが撚り合わされたときの外径を示す。素線23bの撚りピッチPが撚線23aの外径Dの20倍未満であるとシールド層23の屈曲性の向上が見込めない。撚りピッチPが外径Dの25倍以上であると屈曲性がさらに向上する。素線23bの撚りピッチPが撚線23aの外径Dの50倍よりも大きいと編組時に素線が浮き上がって良品率が極端に悪くなる。
外被24は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)などの弾性を有する軟質合成樹脂から形成されている。このように構成された多芯ケーブル11の外径は例えば8.3mm程度である。
次に、本実施形態の多芯ケーブル11の製造方法について説明する。
まず、複数本の細径ケーブル12を撚り合わせて集合させ、多芯集合ユニット21を形成する。次に、複数本の多芯集合ユニット21を撚り合わせて集合させる。
次に、寄せ集めた複数本の多芯集合ユニット21の周囲に、樹脂テープ22を巻き付け、多芯集合ユニット21を束ねる。この樹脂テープ22は、寄せ集めた多芯集合ユニット21の一端側から巻き始め、他端側へ向かって螺旋状に巻き付ける。樹脂テープ22を巻き付けると、複数本の多芯集合ユニット21は、束ねられた状態に維持される。
次に、図2に示すように、例えば外径0.05mmの少なくとも2本の素線23bを撚り合わせて撚線23aを形成する。このとき、素線23bの撚りピッチPは撚線23aの外径Dの20倍以上50倍以下となるように撚り合わせる。そして、この撚線23aを多芯集合ユニット21の外周に編組していくことで、シールド層23を形成する。
その後、シールド層23を被せた多芯集合ユニット21の束の外周に外被となる樹脂を押出被覆することで、外被24を形成する。このようにして、多芯集合ユニット21の束にシールド層23と外被24とが順に被せられた多芯ケーブル11が完成する。
上記実施形態に係る多芯ケーブル11によれば、シールド層23が少なくとも2本の素線23bが撚り合わされて形成された撚線23aを編組したものであるため、従来よりも素線径を小さくすることができる。これにより、多芯ケーブル11を屈曲させた時の素線23bの歪みが小さくなり、かつシールド層23を構成する線が撚線であるので屈曲や曲げに対する耐久性が向上する。これにより、シールド層23の断線が抑制できる。また、素線23bの撚りピッチPは撚線23aの外径Dの20倍以上50倍以下であるので、編組時の素線浮きを防止しつつ、多芯ケーブル11の屈曲性や捻回性などの機械的信頼性を向上させることができる。
下記実施例1〜4及び比較例1〜3の多芯ケーブルを用意し、それぞれの多芯ケーブルについての捻回屈曲試験を行った。
(1)捻回屈曲試験方法
図3に示すように、多芯ケーブル11を一対のマンドレル31の間に通し、多芯ケーブル11を自重(約1kg)で垂れ下がらせ、多芯ケーブル11の上端をチャック33で把持し、チャック33を多芯ケーブル11の軸回りに左右へ360°捻りながら、マンドレル31同士の間を中心とした円周に沿ってチャック33を振り子状に振ることにより、多芯ケーブル11をそれぞれのマンドレル31側へ180°屈曲させた。マンドレルの径は25mmとした。この捻回屈曲試験を合計30万回行い、シールド層23を構成する線の断線の有無を調べた。
(2)試験試料
(実施例1)
実施例1においては、銀メッキ銅銀合金線からなる外径0.05mmの2本の素線を撚り合わせて形成された撚線を編組してシールド層を形成した。素線の撚りピッチは撚線径の20倍とし、編組密度は95%以上とした。編組密度とは、シールド層の内面の面積に対してシールド層を構成する撚線が覆っている部分の面積の割合を示す。編組密度は、編組角度と撚線の持ち数および打ち数とで決まる。実施例1においては編組構成の持ち数は12本とし、打ち数は24本とした。
中心導体のサイズがAWG42の同軸電線(外径0.35mm)を16本撚り合わせてユニットとし、10本のユニットを撚り合わせてフッ素樹脂テープで抑え巻きした。この上に上記のシールド層を被せ、その上にポリ塩化ビニル(PVC)チューブを被せて多芯ケーブルとした。
(実施例2)
実施例2においては、銀メッキ銅銀合金線からなる外径0.05mmの2本の素線を撚り合わせて形成された撚線を編組してシールド層を形成した。素線の撚りピッチは撚線径の25倍とし、編組密度は95%以上とした。実施例1と同様に、実施例2の編組構成の持ち数は12本とし、打ち数は24本とした。シールド層以外のケーブル構造は実施例1と同様とした。
(実施例3)
実施例3においては、銀メッキ銅銀合金線からなる外径0.05mmの2本の素線を撚り合わせて形成された撚線を編組してシールド層を形成した。素線の撚りピッチは撚線径の50倍とし、編組密度は95%以上とした。実施例1と同様に、実施例3の編組構成の持ち数は12本とし、打ち数は24本とした。シールド層以外のケーブル構造は実施例1と同様とした。
(実施例4)
実施例4においては、銀メッキ銅銀合金線からなる外径0.03mmの2本の素線を撚り合わせて形成された撚線を編組してシールド層を形成した。素線の撚りピッチは撚線径の25倍とし、編組密度は95%以上とした。編組構成の持ち数は18本とし、打ち数は24本とした。シールド層以外のケーブル構造は実施例1と同様とした。
(比較例1)
比較例1においては、銀メッキ銅銀合金線からなる外径0.08mmの単線の素線を編組してシールド層を形成した。同様に、比較例1の編組構成は、持ち数12本、打ち数24本であり、編組密度は95%以上とした。シールド層以外のケーブル構造は実施例1と同様とした。
(比較例2)
比較例2においては、銀メッキ銅銀合金線からなる外径0.05mmの2本の素線を撚り合わせて形成された撚線を編組してシールド層を形成した。素線の撚りピッチは撚線径の15倍とした。また、比較例2の編組構成は、持ち数12本、打ち数24本であり、編組密度は95%以上とした。シールド層以外のケーブル構造は実施例1と同様とした。
(比較例3)
比較例3においては、銀メッキ銅銀合金線からなる外径0.05mmの2本の素線を撚り合わせて形成された撚線を編組してシールド層を形成した。素線の撚りピッチは撚線径の60倍とした。また、比較例3の編組構成は、持ち数12本、打ち数24本であり、編組密度は95%以上とした。シールド層以外のケーブル構造は実施例1と同様とした。
なお、実施例1〜4、比較例1〜3のいずれも編組密度は95%以上であるため、シールド層のシールド特性は同等である。
(3)試験結果
実施例1〜4では、30万回の屈曲試験後にシールド層の断線はなかった。特に、実施例2〜4では、40万回の屈曲試験後にもシールド層の断線はなかった。これに対して、比較例1〜3では、30万回の屈曲試験後にシールド層に断線が生じた。また、比較例3においては、素線浮きが発生し、外観も不良であった。この結果、実施例1〜4、特に実施例2〜4が比較例1〜3よりも屈曲性および捻回性について優れた耐性を有していることが確認できた。
以上、本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。
11:多芯ケーブル
12:細径ケーブル
13:接続部材
21:多芯集合ユニット
22:樹脂テープ
23:シールド層
23a:撚線
23b:素線
24:外被
P:撚りピッチ
D:撚線の外径

Claims (3)

  1. 細径ケーブルが複数本集合され、これらの細径ケーブルの周囲に樹脂テープが巻かれ、当該樹脂テープの外周にシールド層が被せられ、前記シールド層の周囲に外被が被せられた多芯ケーブルであって、
    前記シールド層は、2本または3本の素線が撚り合わされた撚線複数本編組されているものであり
    前記素線が銀メッキ銅銀合金線であり、その外径が0.03mm以上0.05mm以下であり、
    前記素線の撚りピッチは前記撚線の外径の20倍以上50倍以下である、多芯ケーブル。
  2. 前記素線の撚りピッチは前記撚線の外径の25倍以上50倍以下である、請求項1に記載の多芯ケーブル。
  3. 細径ケーブルを複数本集合し、
    2本または3本の素線であって銀メッキ銅銀合金線でありその外径が0.03mm以上0.05mm以下である前記素線が撚り合わされた撚線であって前記素線の撚りピッチは前記撚線の外径の20倍以上50倍以下である前記撚線を複数本用意し、
    合した複数本の前記細径ケーブルの周囲に樹脂テープを巻き、当該樹脂テープの外周に複数本の前記撚線を編組することによりシールド層を形成し、
    樹脂からなる外被を前記シールド層の周囲に被せる、多芯ケーブルの製造方法。
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