JP5821892B2 - 多芯ケーブル及びその製造方法 - Google Patents
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Description
近年、多芯ケーブルとして、さらなる屈曲性や捻回性などの機械的信頼性が要求されている。
細径ケーブルが複数本集合され、これらの細径ケーブルの周囲にシールド層が被せられ、前記シールド層の周囲に外被が被せられた多芯ケーブルであって、
前記シールド層は、2本または3本の素線が撚り合わされた撚線を複数本編組することにより形成され、
前記素線の撚りピッチは前記撚線の外径の20倍以上50倍以下である。
細径ケーブルを複数本集合し、
2本または3本の素線が撚り合わされた撚線であって前記素線の撚りピッチは前記撚線の外径の20倍以上50倍以下である前記撚線を複数本用意し、
複数本の前記撚線を集合した複数本の前記細径ケーブルの周囲に編組することによりシールド層を形成し、
樹脂からなる外被を前記シールド層の周囲に被せる。
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本願発明の実施形態に係る多芯ケーブルは、
(1)細径ケーブルが複数本集合され、これらの細径ケーブルの周囲にシールド層が被せられ、前記シールド層の周囲に外被が被せられた多芯ケーブルであって、
前記シールド層は、2本または3本の素線が撚り合わされた撚線を複数本編組することにより形成され、
前記素線の撚りピッチは前記撚線の外径の20倍以上50倍以下である。
シールド層を編組する際の素線浮きを防止しつつ、多芯ケーブルの屈曲性や捻回性などの機械的信頼性を向上させることができる。
屈曲性および捻回性について特に優れた耐性を有した多芯ケーブルを提供することができる。
多芯ケーブル11を屈曲させた時の素線の歪みが小さくなり、シールド層の断線が抑制できる。
屈曲性や捻回性などが向上した多芯ケーブルのシールド層として用いることが好適である。
(5)細径ケーブルを複数本集合し、
2本または3本の素線が撚り合わされた撚線であって前記素線の撚りピッチは前記撚線の外径の20倍以上50倍以下である前記撚線を複数本用意し、
複数本の前記撚線を集合した複数本の前記細径ケーブルの周囲に編組することによりシールド層を形成し、
樹脂からなる外被を前記シールド層の周囲に被せる。
屈曲性および捩回性について優れた耐性を有する多芯ケーブルを製造することができる。
以下、本発明に係る多芯ケーブル及びその製造方法の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
まず、複数本の細径ケーブル12を撚り合わせて集合させ、多芯集合ユニット21を形成する。次に、複数本の多芯集合ユニット21を撚り合わせて集合させる。
(1)捻回屈曲試験方法
図3に示すように、多芯ケーブル11を一対のマンドレル31の間に通し、多芯ケーブル11を自重(約1kg)で垂れ下がらせ、多芯ケーブル11の上端をチャック33で把持し、チャック33を多芯ケーブル11の軸回りに左右へ360°捻りながら、マンドレル31同士の間を中心とした円周に沿ってチャック33を振り子状に振ることにより、多芯ケーブル11をそれぞれのマンドレル31側へ180°屈曲させた。マンドレルの径は25mmとした。この捻回屈曲試験を合計30万回行い、シールド層23を構成する線の断線の有無を調べた。
(実施例1)
実施例1においては、銀メッキ銅銀合金線からなる外径0.05mmの2本の素線を撚り合わせて形成された撚線を編組してシールド層を形成した。素線の撚りピッチは撚線径の20倍とし、編組密度は95%以上とした。編組密度とは、シールド層の内面の面積に対してシールド層を構成する撚線が覆っている部分の面積の割合を示す。編組密度は、編組角度と撚線の持ち数および打ち数とで決まる。実施例1においては編組構成の持ち数は12本とし、打ち数は24本とした。
中心導体のサイズがAWG42の同軸電線(外径0.35mm)を16本撚り合わせてユニットとし、10本のユニットを撚り合わせてフッ素樹脂テープで抑え巻きした。この上に上記のシールド層を被せ、その上にポリ塩化ビニル(PVC)チューブを被せて多芯ケーブルとした。
(実施例2)
実施例2においては、銀メッキ銅銀合金線からなる外径0.05mmの2本の素線を撚り合わせて形成された撚線を編組してシールド層を形成した。素線の撚りピッチは撚線径の25倍とし、編組密度は95%以上とした。実施例1と同様に、実施例2の編組構成の持ち数は12本とし、打ち数は24本とした。シールド層以外のケーブル構造は実施例1と同様とした。
(実施例3)
実施例3においては、銀メッキ銅銀合金線からなる外径0.05mmの2本の素線を撚り合わせて形成された撚線を編組してシールド層を形成した。素線の撚りピッチは撚線径の50倍とし、編組密度は95%以上とした。実施例1と同様に、実施例3の編組構成の持ち数は12本とし、打ち数は24本とした。シールド層以外のケーブル構造は実施例1と同様とした。
(実施例4)
実施例4においては、銀メッキ銅銀合金線からなる外径0.03mmの2本の素線を撚り合わせて形成された撚線を編組してシールド層を形成した。素線の撚りピッチは撚線径の25倍とし、編組密度は95%以上とした。編組構成の持ち数は18本とし、打ち数は24本とした。シールド層以外のケーブル構造は実施例1と同様とした。
(比較例1)
比較例1においては、銀メッキ銅銀合金線からなる外径0.08mmの単線の素線を編組してシールド層を形成した。同様に、比較例1の編組構成は、持ち数12本、打ち数24本であり、編組密度は95%以上とした。シールド層以外のケーブル構造は実施例1と同様とした。
(比較例2)
比較例2においては、銀メッキ銅銀合金線からなる外径0.05mmの2本の素線を撚り合わせて形成された撚線を編組してシールド層を形成した。素線の撚りピッチは撚線径の15倍とした。また、比較例2の編組構成は、持ち数12本、打ち数24本であり、編組密度は95%以上とした。シールド層以外のケーブル構造は実施例1と同様とした。
(比較例3)
比較例3においては、銀メッキ銅銀合金線からなる外径0.05mmの2本の素線を撚り合わせて形成された撚線を編組してシールド層を形成した。素線の撚りピッチは撚線径の60倍とした。また、比較例3の編組構成は、持ち数12本、打ち数24本であり、編組密度は95%以上とした。シールド層以外のケーブル構造は実施例1と同様とした。
なお、実施例1〜4、比較例1〜3のいずれも編組密度は95%以上であるため、シールド層のシールド特性は同等である。
実施例1〜4では、30万回の屈曲試験後にシールド層の断線はなかった。特に、実施例2〜4では、40万回の屈曲試験後にもシールド層の断線はなかった。これに対して、比較例1〜3では、30万回の屈曲試験後にシールド層に断線が生じた。また、比較例3においては、素線浮きが発生し、外観も不良であった。この結果、実施例1〜4、特に実施例2〜4が比較例1〜3よりも屈曲性および捻回性について優れた耐性を有していることが確認できた。
12:細径ケーブル
13:接続部材
21:多芯集合ユニット
22:樹脂テープ
23:シールド層
23a:撚線
23b:素線
24:外被
P:撚りピッチ
D:撚線の外径
Claims (3)
- 細径ケーブルが複数本集合され、これらの細径ケーブルの周囲に樹脂テープが巻かれ、当該樹脂テープの外周にシールド層が被せられ、前記シールド層の周囲に外被が被せられた多芯ケーブルであって、
前記シールド層は、2本または3本の素線が撚り合わされた撚線が複数本編組されているものであり、
前記素線が銀メッキ銅銀合金線であり、その外径が0.03mm以上0.05mm以下であり、
前記素線の撚りピッチは前記撚線の外径の20倍以上50倍以下である、多芯ケーブル。 - 前記素線の撚りピッチは前記撚線の外径の25倍以上50倍以下である、請求項1に記載の多芯ケーブル。
- 細径ケーブルを複数本集合し、
2本または3本の素線であって銀メッキ銅銀合金線でありその外径が0.03mm以上0.05mm以下である前記素線が撚り合わされた撚線であって前記素線の撚りピッチは前記撚線の外径の20倍以上50倍以下である前記撚線を複数本用意し、
集合した複数本の前記細径ケーブルの周囲に樹脂テープを巻き、当該樹脂テープの外周に複数本の前記撚線を編組することによりシールド層を形成し、
樹脂からなる外被を前記シールド層の周囲に被せる、多芯ケーブルの製造方法。
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