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JP5821616B2 - 研削異常監視方法および研削異常監視装置 - Google Patents

研削異常監視方法および研削異常監視装置 Download PDF

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JP5821616B2 JP2011280851A JP2011280851A JP5821616B2 JP 5821616 B2 JP5821616 B2 JP 5821616B2 JP 2011280851 A JP2011280851 A JP 2011280851A JP 2011280851 A JP2011280851 A JP 2011280851A JP 5821616 B2 JP5821616 B2 JP 5821616B2
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Description

本発明は、工作物の研削において研削異常の監視を行う方法および研削異常の監視を行う装置に関するものである。
例えば特開平4−176541号公報(特許文献1)には、工作物の研削において異常を判定する方法として、砥石車の砥石車駆動用モータの駆動電力が所定の閾値を超えたときに異常と判定することが記載されている。つまり、砥石車駆動用モータの駆動電力から算出される研削負荷が所定の閾値より大きくなった場合、工作物に加工変質層が発生することから、異常であると判定している。
特開平4−176541号公報
一般的に、研削サイクルは、空研、粗研、仕上げ、スパークアウトの工程で順に行われている。また、粗研では、第一粗研、第二粗研に分けて行う工程もあり、第一粗工程では、主に黒皮を取り除いている。ここで、黒皮とは、一般的に、熱間圧延や冷間圧延の工程後における工作物表面の酸化被膜をいうが、以下の説明では、熱間圧延や冷間圧延のみならず、焼入れ等の熱処理、切削、鋳造、鍛造等の工程後における工作物表面の被膜を含むものとする。そして、第一粗工程とは、砥石車により工作物表面の被膜を研削する工程をいう。工作物と砥石車との接触初期の加工工程である第一粗工程では、工作物と砥石車とが接触してから全面当たりとなるまで、工作物と砥石車との相対移動を定速で、且つ工作物の砥石車による切込量を一定で研削している。そのため、第一粗工程において、研削が進むにつれて工作物と砥石車との単位時間当たりの接触面積が増大するので、研削負荷が増加し、工作物に加工変質層が発生する場合がある。また、研削前の工作物の形状精度にはバラツキがあるため、第一粗工程において、工作物と砥石車との接触面積が大きく変動し、研削負荷も大きく変動して工作物に加工変質層が発生する場合がある。
第一粗工程において工作物に加工変質層が発生しても、その後の第二粗工程や仕上げ工程により加工変質層を取り除くことが可能であれば、正常であると判定してもよい。ところが、従来の研削異常判定方法では、工作物に加工変質層が発生しないように閾値を設定している。そのため、最終加工品が正常であっても第一粗工程で一度閾値を越えてしまうと異常であると判定されてしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、工作物と砥石車との接触初期の加工工程において工作物に加工変質層が発生した場合、研削異常の判定精度を向上することができる研削異常監視方法および研削異常監視装置を提供することを目的とする。
(請求項1)本発明の研削異常監視方法は、工作物と砥石車とを相対移動させることにより前記工作物を研削する研削盤を用いて、研削異常を監視する研削異常監視方法において、前記工作物と前記砥石車との接触初期の加工工程における前記工作物を研削するときの研削残り取代を検出する研削残り取代検出工程と、前記接触初期の加工工程における前記工作物を研削するときの研削負荷を検出する研削負荷検出工程と、前記工作物を研削したときの研削負荷が変化すると前記工作物の加工変質層の厚さが変化する関係に基づいて、検出した前記研削負荷に対応する前記加工変質層の厚さを求め、求めた前記加工変質層の厚さと、検出した前記研削残り取代とを比較して、前記工作物に発生した前記加工変質層を発生後の研削で取り除くことが可能であるか否かで研削異常を判定する研削異常判定工程と、を備える。
(請求項2)前記研削残り取代検出工程は、前記接触初期の加工工程の終了時における前記研削残り取代を検出し、前記研削負荷検出工程は、前記接触初期の加工工程の終了時における前記研削負荷を検出し、前記研削異常判定工程は、検出した前記研削負荷に対応する前記加工変質層の厚さが検出した前記研削残り取代を超えた場合に研削異常であると判定するようにしてもよい。
(請求項3)本発明の研削異常監視方法は、工作物と砥石車とを相対移動させることにより前記工作物を研削する研削盤を用いて、研削異常を監視する研削異常監視方法において、前記工作物と前記砥石車との接触初期の加工工程における前記工作物を研削するときの研削残り取代を検出する研削残り取代検出工程と、前記接触初期の加工工程における前記工作物を研削するときの研削負荷を検出する研削負荷検出工程と、前記工作物を研削したときの研削負荷が変化すると前記工作物の加工変質層の厚さが変化する関係及び前記工作物を研削するときの研削残り取代に基づいて、前記工作物に発生した前記加工変質層を発生後の研削で取り除くことが可能な研削負荷を閾値として前記研削残り取代に応じて設定する閾値設定工程と、検出した前記研削残り取代における前記研削負荷が検出した前記研削残り取代に対応した前記閾値を超えた場合に研削異常であると判定する研削異常判定工程と、を備える
(請求項4)前記研削異常監視方法は、前記砥石車の研削条件を変更する制御工程、を備え、前記制御工程は、検出した前記研削負荷が前記閾値を超えず、且つ前記閾値に近づくように前記砥石車の研削条件を変更するようにしてもよい。
(請求項5)前記接触初期の加工工程は、前記工作物と前記砥石車との相対移動を定速で、且つ前記工作物の前記砥石車による切込量を一定で行う工程であるようにしてもよい。
(研削異常監視装置)
(請求項6)本発明の研削異常監視装置は、工作物と砥石車とを相対移動させることにより前記工作物を研削する研削盤を用いて、研削異常を監視する研削異常監視装置において、前記工作物と前記砥石車との接触初期の加工工程における前記工作物を研削するときの研削残り取代を検出する研削残り取代検出手段と、前記接触初期の加工工程における前記工作物を研削するときの研削負荷を検出する研削負荷検出手段と、前記工作物を研削したときの研削負荷が変化すると前記工作物の加工変質層の厚さが変化する関係に基づいて、検出した前記研削負荷に対応する前記加工変質層の厚さを求め、求めた前記加工変質層の厚さと、検出した前記研削残り取代とを比較して、前記工作物に発生した前記加工変質層を発生後の研削で取り除くことが可能であるか否かで研削異常を判定する研削異常判定手段と、を備える。
(請求項7)本発明の研削異常監視装置は、工作物と砥石車とを相対移動させることにより前記工作物を研削する研削盤を用いて、研削異常を監視する研削異常監視装置において、前記工作物と前記砥石車との接触初期の加工工程における前記工作物を研削するときの研削残り取代を検出する研削残り取代検出手段と、前記接触初期の加工工程における前記工作物を研削するときの研削負荷を検出する研削負荷検出手段と、前記工作物を研削したときの研削負荷が変化すると前記工作物の加工変質層の厚さが変化する関係及び前記工作物を研削するときの研削残り取代に基づいて、前記工作物に発生した前記加工変質層を発生後の研削で取り除くことが可能な研削負荷を閾値として前記研削残り取代に応じて設定する閾値設定手段と、検出した前記研削残り取代における前記研削負荷が検出した前記研削残り取代に対応した前記閾値を超えた場合に研削異常であると判定する研削異常判定手段と、を備える。
(請求項1)工作物と砥石車との接触初期の加工工程(以下、「第一粗工程」という)において工作物に加工変質層が発生した場合、その後の研削により加工変質層を取り除くことが可能であれば、正常であると判定し、その後の研削により加工変質層を取り除くことが不可能であれば、異常であると判定してもよい。そこで、本発明の研削異常監視方法のように、工作物を研削したときの研削負荷が変化すると工作物の加工変質層の厚さが変化する関係に基づいて、第一粗工程において検出した研削負荷に対応する加工変質層の厚さを求める。そして、求めた加工変質層の厚さと、第一粗工程において検出した研削残り取代とを比較する。これにより、第一粗工程において工作物に加工変質層が発生した場合でも研削異常の判定精度を向上することができ、工作物の研削不良率を低減させることができる。
(請求項2)第一粗工程の終了時の研削残り取代を検出し、第一粗工程の終了時の研削負荷を検出している。これにより、第一粗工程後の粗工程を行う前に研削異常を判定できるので、生産効率を向上させることができる。
(請求項3)工作物を研削したときの研削負荷が変化すると工作物の加工変質層の厚さが変化する関係に基づいて、第一粗工程中における研削残り取代に対する研削負荷についての閾値を設定する。これにより、第一粗工程中において研削異常を判定できるので、生産効率をさらに向上させることができる。
(請求項4)研削異常の判定に際して、研削負荷が閾値を超えなければ、正常であると判定している。そこで、研削負荷が閾値を超えず、且つ閾値に近づくように研削条件を変更しても、正常であると判定できる。そこで、閾値を超えず、且つ閾値に近い条件変更用目標値を設定し、この条件変更用目標値を超えたら条件変更用目標値を下回るように研削条件を変更することで、研削時間、すなわち研削サイクルタイムを短縮できる。
(請求項5)工作物と砥石車との相対移動を定速で、且つ工作物の砥石車による切込量を一定で行う工程においては、研削負荷は大きく変動する。よって、該工程に本発明の研削異常監視方法を適用することにより、研削異常の判定精度を向上することができる。
(請求項6)(請求項7)本発明の研削異常監視装置によれば、上述した研削異常監視方法における効果と同様の効果を奏する。また、研削異常監視方法における他の特徴部分について、本発明の研削異常監視装置に同様に適用できる。そして、同様の効果を奏する。
研削盤の平面図である。 第一実施形態:研削異常監視装置の機能ブロック図である。 第一実施形態:異常監視プログラムのフローチャートである。 研削負荷と加工変質層厚さとの関係のテーブルデータを示す図である。 一般的な研削残り取代に対する研削負荷を示す図である。 表示装置の画面の履歴表示状態を示す。 第二実施形態:研削異常監視装置の機能ブロック図である。 第二実施形態:異常監視プログラムのフローチャートである。 第二実施形態:研削残り取代に対する研削負荷の閾値および条件変更用目標値を示す図である。
(1.研削盤の機械構成)
研削盤1の一例として、主軸台トラバース型内面研削盤を例に挙げ、図1を参照して説明する。そして、当該研削盤1の研削対象の工作物Wを軸受の外輪とし、当該研削盤1を用いて当該軸受の外輪の内周軌道面を研削する場合を例に挙げて説明する。そして、ここでは、同種の工作物Wを複数個研削する場合、すなわち量産製品としての工作物Wを製造する場合を対象として説明する。
図1に示すように、研削盤1は、ベッド10と、テーブル20と、主軸台30と、砥石支持装置40と、近接スイッチ50と、接触検知センサ80と、砥石車成形装置(図示せず)と、制御装置60と、定寸装置90とから構成される。
ベッド10は、ほぼ矩形状からなり、床上に配置される。ただし、ベッド10の形状は矩形状に限定されるものではない。このベッド10の上面には、一対のZ軸ガイドレール11a,11bが、図1の左右方向(Z軸方向)に延びるように、且つ、相互に平行に形成されている。一対のZ軸ガイドレール11a,11bは、テーブル20が摺動可能なレールである。さらに、ベッド10には、一対のZ軸ガイドレール11a,11bの間に、テーブル20を図1の左右方向に駆動するための、Z軸ボールねじ11cが配置され、このZ軸ボールねじ11cを回転駆動するZ軸モータ11dが配置されている。
さらに、ベッド10の上面には、砥石台41が摺動可能な一対のX軸ガイドレール12a,12bが、図1の上下方向(X軸方向)に延びるように、且つ、相互に平行に形成されている。さらに、ベッド10には、一対のX軸ガイドレール12a,12bの間に、砥石台41を図1の上下方向に駆動するための、X軸ボールねじ12cが配置され、このX軸ボールねじ12cを回転駆動するX軸モータ12dが配置されている。
テーブル20は、長手矩形の平板状に形成されており、ベッド10の上面のうち、一対のZ軸ガイドレール11a,11b上を摺動可能に配置されている。テーブル20は、Z軸ボールねじ11cのナット部材に連結されており、Z軸モータ11dの駆動により一対のZ軸ガイドレール11a,11bに沿って移動する。このZ軸モータ11dはエンコーダを有しており、エンコーダによりZ軸モータ11dの回転角を検出することができる。
主軸台30は、テーブル20の上面に設けられ、工作物Wを回転可能に支持する。具体的には、主軸台30は、主軸台本体31と、マグネットチャック32と、シュー33と、主軸モータ34とを備えている。主軸台本体31は、テーブル20の上面のうち、図1の左側に固定されている。この主軸台本体31には、Z軸周りに回転可能にマグネットチャック32が設けられている。マグネットチャック32は、工作物Wである軸受を磁力により吸着して保持する。シュー33、マグネットチャック32は、主軸台30に設けられ、シュー33によって工作物Wの側面を支持することにより、工作物Wの位置決めを行う。そして、マグネットチャック32は、主軸モータ34により主軸台本体31に対して回転駆動される。この主軸モータ34はエンコーダを有しており、エンコーダにより主軸モータ34の回転角を検出することができる。
砥石支持装置40は、砥石台41と、砥石車駆動用モータ42と、砥石車43とを備えている。砥石台41は、ベッド10の上面のうち、一対のX軸ガイドレール12a,12b上を摺動可能に配置されている。そして、砥石台41は、X軸ボールねじ12cのナット部材に連結されており、X軸モータ12dの駆動により一対のX軸ガイドレール12a,12bに沿って移動する。
そして、この砥石台41のうち主軸台30側のX軸方向端面には、砥石車駆動用モータ42が固定されている。この砥石車駆動用モータ42の先端には、工作物Wである軸受外輪の内周軌道面を研削する砥石車43が設けられている。つまり、砥石車43は、砥石台41に対して、Z軸周りに回転可能に取り付けられている。
近接スイッチ50は、ベッド10の上面に設けられ、砥石車43により工作物Wである軸受外輪の研削サイクル開始および研削サイクル終了を検出するスイッチである。つまり、近接スイッチ50は、近接スイッチ50に砥石台41が接近して、近接スイッチ50と砥石台41とのZ軸方向離間距離が設定値以下になると研削サイクル開始と判断する。一方、近接スイッチ50は、近接スイッチ50から砥石台41が遠ざかり、近接スイッチ50と砥石台41とのZ軸方向離間距離が設定値を超えた場合に研削サイクル終了と判断する。
接触検知センサ80は、主軸台本体31の側面に設けられ、砥石車43により工作物Wである軸受外輪の研削開始を検出するセンサである。つまり、接触検知センサ80は、工作物Wに砥石車43が接触すると該接触を検知して研削開始と判断する。接触検知センサ80としては、例えばAEセンサが用いられる。
なお、後述する第二実施形態において、接触検知センサ80は、研削負荷データの収集開始の判定に用いている。接触検知センサ80に代えて、砥石台41のX軸位置およびテーブル20のZ軸位置に基づいて研削負荷データの収集開始の判定を行うこともできる。
砥石車成形装置(図示せず)は、例えば主軸台30やベッド10に設けられ、砥石車43の外周面を成形するドレッサーである。この砥石車成形装置によりドレッシングされた砥石車43は、切れ味の良好な状態となり、かつ、所望形状に形成される。
定寸装置90は、テーブル20の上面に設けられ、砥石車43により工作物Wである軸受外輪の内周軌道面を研削しているときの研削送り位置における工作物Wの内径を測定する装置である。この定寸装置90は、装置本体から延びるL字状のアーム91が図略の駆動装置により図1の左右方向および上下方向に移動可能に構成され、アーム91の先端に装着されたプローブ92が軸受外輪の内周軌道面に常に当接可能に構成されている。
制御装置60は、各モータを制御して、工作物WをZ軸周りに回転させ、砥石車43を回転させる。また、制御装置60は、工作物Wと砥石車43との接触初期の加工工程、すなわち第一粗工程において、研削異常を監視する研削異常監視装置70を備えている。ただし、研削異常監視装置70は、制御装置60の内部に備えるものに限られず、外部装置として適用することもできる。なお、第二実施形態において、制御装置60は、工作物Wと砥石車43とをZ軸方向およびX軸方向の相対移動することにより工作物Wである軸受外輪の内周軌道面の研削の適応制御を行う。詳細は後述する。
(2.研削異常の説明)
次に、研削異常監視装置70により監視する研削異常について説明する。研削異常としては、研削負荷が所定値より大きくなった場合に発生する研削焼け(加工変質層)がある。この加工変質層の厚さaは、例えば、図4に示すように、研削負荷PがPからP1と大きくなるにつれてanからa1と厚くなる関係にある。
ここで、工作物Wの研削残り取代Rと研削負荷Pとの一般的な関係の概略を図5を参照して説明する。工作物Wと砥石車43との接触検知によって第一粗工程が開始される。このときの研削残り取代をRo、研削負荷をPoとする。第一粗工程では、工作物Wと砥石車43とが接触してから全面当たりとなるまで、工作物Wと砥石車43との相対移動を定速で、且つ工作物Wの砥石車43による切込量を一定で研削する。そのため、第一粗工程において、研削が進むにつれて工作物Wと砥石車43との単位時間当たりの接触面積が増大するので、研削負荷Pが増加し、研削残り取代RがRpに達する第一粗工程の終了時において、最大の研削負荷Ppとなる。
そして、粗工程が開始されると、研削負荷Pは下降し、所定の研削負荷Paに達したところで維持される。研削残り取代RがReに達すると粗工程が終了して仕上げ工程が開始され、研削負荷Pが徐々に下降する。そして、研削残り取代Rが0に達すると仕上げ工程が終了する。
本実施形態の研削異常監視装置70では、第一粗工程の終了時において工作物Wに発生した加工変質層をその後の研削により取り除くことが可能であるか否かを判定する。すなわち、加工変質層の発生が許容される第一粗工程において、図4に示す研削負荷Pと加工変質層の厚さaとの関係に基づいて、第一粗工程の終了時において検出した最大の研削負荷Ppに対応する加工変質層の厚さを求める。そして、求めた加工変質層の厚さと、第一粗工程の終了時において検出した研削残り取代Rpとを比較する。求めた加工変質層の厚さが、検出した研削残り取代Rpを超えていないときは、その後の研削により加工変質層を取り除くことが可能となるので、従来は異常であると判定されていたものが正常であると判定されることになる。また、求めた加工変質層の厚さが、検出した研削残り取代Rpを超えているときは、その後の研削により加工変質層を取り除くことが不可能となるので、異常であると判定されることになる。よって、研削異常の判定精度を向上することができ、工作物Wの研削不良率を低減させることができる。
(3.研削異常監視装置の構成)
次に、研削異常監視装置70について、図2の機能ブロック図を参照して説明する。ここで研削異常監視装置70を説明するに当たり、図2には、上述した研削盤1の一部構成についても記載する。ここで、図2において、図1の研削盤1の構成と同一構成については、同一符号を付す。そして、砥石車駆動用モータ42には、当該砥石車駆動用モータ42の駆動電力を計測するモータ電力計42aが取り付けられている。なお、モータ電力計42aに代えて、砥石車駆動用モータ42のモータアンプにより直接電力値を収集してもよい。
研削異常監視装置70は、研削残り取代測定部71と、研削負荷算出部72と、データ記憶部73と、第一粗工程終了通知部74と、異常判定部75と、出力部76とを備えて構成される。
研削残り取代測定部71は、第一粗工程終了時において、定寸装置90から読み込んだ工作物Wを砥石車43により研削するときの研削送り位置における工作物Wの内径に基づいて、研削残り取代Rを算出する。
研削負荷算出部72は、第一粗工程終了時において、モータ電力計42aから取り込んだ砥石車駆動用モータ42の駆動電力に基づいて、工作物Wを砥石車43により研削することにより発生する研削負荷(以下、実測の研削負荷Prnとする)を算出する。研削負荷Prnは、砥石車駆動用モータ42の駆動電力が大きくなれば大きくなる関係を有している。なお、研削負荷Prnの算出方法として、本実施形態においては、砥石車駆動用モータ42の駆動電力を用いるが、この他に以下により研削負荷Prnを算出することもできる。例えば、研削負荷Prnは、砥石車駆動用モータ42の電流値、砥石車43と工作物Wとの相対移動を行うX軸モータ12dの電流値、電力値、工作物Wを回転可能に駆動する主軸モータ34の電流値、電力値、砥石車43または工作物Wの支持部分のたわみ変形量などにより算出できる。
また、研削負荷Prnは、工作物Wにおける研削部位の変形量、すなわち砥石車43に押し付けられることにより生じる工作物Wのたわみ変位量に基づいて算出できる。当該たわみ変位量は、研削負荷Prnに応じたものとなるためである。工作物Wにおける研削部位のたわみ変位量は、例えば、変位センサにより計測する。
また、研削負荷Prnは、工作物Wの研削部位の温度により算出できる。当該温度は、研削負荷Prnに応じたものとなるためである。ただし、工作物Wにおける砥石車43に接触している点、すなわち研削点の温度を計測することは容易でない。そこで、工作物Wの研削部位(内周面または外周面)のうち研削点(砥石車43との接触点)からずれた位相の部位の温度を計測する。工作物Wの研削部位の温度は、研削点と研削点からずれた位相では異なるが、研削点からずれた位相の温度は、研削点の温度に応じた値となる。従って、研削点からずれた位相であっても十分に計測できる。そして、工作物Wの研削部位のうち研削点からずれた位相の温度の計測は、当該部位に接触させる接触式温度センサまたは当該部位に非接触とする非接触式温度センサにより計測する。
データ記憶部73は、作業者によって予め実測された研削負荷(以下、テーブルデータ設定用の研削負荷Pdnとする)と加工変質層の厚さaとの関係のテーブルデータ(図4参照)を記憶する。
第一粗工程終了通知部74は、研削プログラムに指令されている第一粗工程における所定の切込量の研削が完了した信号を制御装置60から入力したら、第一粗工程の終了通知を研削残り取代測定部71および研削負荷算出部72に通知する。
異常判定部75は、データ記憶部73から読込んだテーブルデータにより、研削負荷算出部72により算出される第一粗工程終了時の研削負荷Ppに対応する加工変質層の厚さapを決定する。そして、第一粗工程終了時の加工変質層の厚さapが第一粗工程終了時の研削残り取代Rpを超えた場合に、研削異常であると判定する。
出力部76は、研削異常であると判定された場合に、研削異常に関する情報について、表示装置81の画面への表示処理、印刷装置82による印字処理、記憶装置83への記憶処理、または通信装置84により外部装置への通信出力などを行う。出力の選択は、作業者により行われる。これにより、研削異常に関する情報について、作業者によって選択された出力形態により、作業者は確実に研削異常を把握することができる。
(4.研削異常監視装置による処理)
次に、研削異常監視装置70による研削異常監視プログラムの実行について、図3を参照して説明する。研削異常監視プログラムは、第一粗工程終了時の加工変質層の厚さapと、第一粗工程終了時の研削残り取代Rpとに基づいて、研削異常が発生したか否かを判定する。以下に詳細に説明する。
図3に示すように、加工変質層に関するデータとして研削負荷Pdnと加工変質層の厚さaとの関係のテーブルデータ(図4参照)が既に記憶されているか否かを判定する(ステップS1)。まだ記憶されていなければ、加工変質層に関するデータを読込む(ステップS2)。
加工変質層に関するデータが記憶されていれば、研削サイクルを開始する(ステップS3)。研削サイクルが開始されることで、図2に示すように、制御装置60が各モータを駆動し、砥石車43により工作物Wである軸受外輪の内周軌道面を研削し始める。より詳細には、研削サイクル開始後、図1に示すように、砥石車43が工作物Wである軸受外輪の径方向内側に進入可能となる位置に向かって、砥石台41を基準位置(図示せず)からX軸方向へ移動させる。その後、テーブル20をZ軸方向に移動させることにより、砥石車43が工作物Wである軸受外輪の径方向内側に進入する。そして、砥石車43が工作物Wである軸受外輪の内周軌道面に向かってX軸方向に移動し、研削を開始する。工作物Wの研削は、第一粗工程で黒皮を研削してから第二粗工程を行い、仕上工程を行う。研削が終了すると、研削開始までとは逆の順序で動作し、基準位置に戻り、研削サイクルを終了する。
近接スイッチ50がON状態、すなわち研削サイクルが開始されたら、接触検知センサ80が工作物Wと砥石車43との接触を検知して第一粗工程が開始されたか否かを判定する(ステップS4)。そして、第一粗工程開始後(ステップS5)、第一粗工程が終了した旨の通知の有無を判定する(ステップS6)。具体的には、図2に示す第一粗工程終了通知部74が、制御装置60から第一粗工程における所定の切込量の研削が完了した信号を入力したら、第一粗工程の終了通知を研削残り取代測定部71および研削負荷算出部72に通知する。
そして、第一粗工程が終了した旨の通知が有ったら、第一粗工程終了時における研削残り取代Rpを測定すると共に研削負荷Ppを算出する(ステップS7)。そして、算出した研削負荷Ppにより発生する加工変質層の厚さapを加工変質層データから読込む(ステップS8)。具体的には、図2に示すデータ記憶部73に記憶された研削負荷Pdnと加工変質層の厚さaとの関係に基づいて、研削負荷算出部72で算出した研削負荷Ppに対する加工変質層の厚さapを読込む。
そして、第一粗工程終了時における研削異常判定を行う。つまり、第一粗工程終了時における研削残り取代Rpが加工変質層の厚さaを超えたか否かを判定する(ステップS9)。そして、第一粗工程終了時における研削残り取代Rpが加工変質層の厚さaを超えていない場合には、正常と判定し(ステップS10)、当該工作物Wの研削サイクルが終了するまで研削サイクルを実行する(ステップS11)。
一方、ステップS9において、第一粗工程終了時における研削残り取代Rpが研削残り取代Rpを超えている場合には、研削異常と判定し、図2の出力部76により、表示装置81に異常内容を表示し、記憶装置83に異常内容を記憶する(ステップS12)。そして、研削サイクルを停止する(ステップS13)。
一方、ステップS11において、当該工作物Wの研削サイクルが終了したら、次の工作物Wが有るか否かを判定し(ステップS14)、次の工作物Wが有れば、該工作物Wの設置の段取りを行い(ステップS15)、ステップS3から処理を繰り返す。一方、次の工作物Wがなければ、研削サイクルを停止する(ステップS13)。
(5.表示装置の画面の履歴表示状態)
次に、図6を参照して、表示装置81の画面の履歴表示状態について説明する。図3の研削異常監視プログラムの実行により、研削異常が発生した場合には(図3のステップS10)、異常内容が記憶装置83に記憶される。なお、記憶装置83には、異常内容の他、正常内容についても記憶しても良い。そして、多数の工作物Wの研削が行われた場合、記憶装置83には、過去の異常履歴が記憶される。また、研削異常として記憶されていない工作物Wは、正常であることが分かる。また、記憶装置83に正常内容が記憶されている場合には、直接的に正常である工作物Wを把握できる。
そうすると、図6に示すように、表示装置81の画面には、全ての工作物Wについて、正常であるか研削異常であるかが表示される。このように、研削異常に関する情報の過去の履歴を記憶することで、研削異常の傾向を把握できる。そこで、研削異常の傾向を用いることで、今後の研削を行う際に、研削異常の発生の前兆を予測できる。その結果、今後の研削について、適切な対策を決定できる。
以上説明したように、本実施形態の研削異常監視方法によれば、第一粗工程の終了時の研削残り取代Rpを検出し、第一粗工程の終了時の研削負荷Ppを検出している。これにより、第一粗工程後の粗工程を行う前に研削異常を判定できるので、生産効率を向上させることができる。
なお、上述の実施形態では、第一粗工程の終了時の研削負荷Ppが最大値となることを前提に、第一粗工程の終了時の加工変質層の厚さapと、第一粗工程の終了時の研削残り取代Rpとを比較する構成とした。これに代えて、第一粗工程中において最大となる研削負荷を検出し、該研削負荷に対応する加工変質層の厚さと、該研削負荷検出時の研削残り取代もしくは第一粗工程の終了時の研削残り取代Rpとを比較する構成としてもよい。
また、研削前の工作物Wの寸法を予め測定し、既知である第一粗工程における切込量および加工品の寸法から第一粗工程の終了時の研削残り取代Rpを求めておく。そして、求めた研削残り取代Rpと第一粗工程の終了時の加工変質層の厚さapとを比較する構成としてもよい。また、求めた研削残り取代Rpが多い場合は少ない場合と比較して、第一粗工程の研削負荷を高めに設定することが可能であり、生産効率を向上させることができる。
<第二実施形態>
次に、第二実施形態の研削異常監視装置について説明する。上述した研削異常監視装置70は、第一粗工程の終了時において発生する研削異常を監視することとした。しかし、研削前の工作物Wの形状精度にはバラツキがあるため、第一粗工程において、工作物Wと砥石車43との接触面積が大きく変動し、研削負荷も大きく変動して工作物Wに加工変質層が発生する場合がある。そこで、本実施形態では、第一粗工程中において研削残り取代に対する研削負荷の閾値を設定し、第一粗工程中において発生する研削異常を監視することとした。以下に詳細に説明する。
(1.閾値の説明)
研削異常監視装置170に設定される閾値P(R)について説明する。従来の研削異常監視装置では、工作物Wに加工変質層が発生しない研削負荷を閾値として設定しているが、本実施形態の研削異常監視装置170では、第一粗工程において工作物Wに発生した加工変質層をその後の研削により取り除くことが可能な研削負荷Pdnを閾値P(R)として設定する。すなわち、第一粗工程中において、図4に示す研削負荷Pdnと加工変質層の厚さaとの関係に基づいて、研削残り取代に対する研削負荷Pdnである閾値P(R)を設定する。この閾値P(R)は、例えば、図9に示すように、研削残り取代がRoからRpと小さくなるにつれてPpからPoと小さくなる関係にある。
この閾値P(R)を設定することにより、第一粗工程において工作物Wに加工変質層が発生しても、その後の研削により加工変質層を取り除くことが可能となるので、従来は異常であると判定されていたものが正常であると判定されることになる。また、研削負荷Prnが閾値P(R)より大きくなった場合は、その後の研削により加工変質層を取り除くことが不可能となるので、異常であると判定されることになる。よって、工作物Wの研削不良率を低減させることができると共に、研削異常の判定精度を向上することができる。
(2.研削異常監視装置の構成)
本実施形態における研削異常監視装置170について図7を参照して説明する。本実施形態の研削異常監視装置170は、研削残り取代測定部171と、研削負荷算出部172と、データ記憶部73(第一実施形態と同様)と、閾値設定部174と、異常判定部75(第一実施形態と同様)と、出力部76(第一実施形態と同様)とを備えて構成される。
研削残り取代測定部171は、第一粗工程中において、定寸装置90から読み込んだ工作物Wを砥石車43により研削するときの研削送り位置における工作物Wの内径に基づいて、研削残り取代Rを算出する。
研削負荷算出部172は、第一粗工程中において、モータ電力計42aから取り込んだ砥石車駆動用モータ42の駆動電力に基づいて、工作物Wを砥石車43により研削することにより発生する研削負荷Prnを算出する。なお、このときの研削負荷Prnは、第一実施形態と同様である。
閾値設定部174は、データ記憶部73に記憶された研削負荷Pdnと加工変質層の厚さaとの関係に基づいて、研削残り取代測定部171により算出される第一粗工程中の研削残り取代Rに対する研削負荷Pdnである閾値P(R)を設定する。
(3.研削異常監視装置による処理)
研削異常監視装置170による処理について図8を参照して説明する。閾値設定用データとして研削負荷Pdnと加工変質層の厚さaとの関係のテーブルデータ(図4参照)が既に記憶されているか否かを判定する(ステップS21)。まだ記憶されていなければ、閾値設定用データを読込む(ステップS22)。
閾値設定用データが記憶されていれば、研削サイクルを開始する(ステップS23)。研削サイクルが開始されることで、図7に示すように、制御装置60が各モータを駆動し、砥石車43により工作物Wである軸受外輪の内周軌道面を研削し始める。
研削サイクルが開始された後には、工作物Wを砥石車43により研削するときの研削残り取代Rsを測定する(ステップS24)。具体的には、図7に示す研削残り取代測定部171が定寸装置90から読み込んだ工作物Wを砥石車43により研削するときの研削送り位置における工作物Wの内径に基づいて、研削残り取代Rsを測定する。
そして、閾値設定用データから各研削残り取代Rnに対する閾値P(R)を図4より選択し、各研削残り取代Rnでの研削負荷(以下、条件変更用目標値設定用のPsnとする)を閾値P(R)より所定量小さい値で設定する(ステップS25)。具体的には、図7に示すデータ記憶部73に記憶された研削負荷Pdnと加工変質層の厚さaとの関係に基づいて、研削残り取代測定部171により測定される各研削残り取代Rnに対する閾値P(X)を選択し、各研削残り取代Rnでの研削負荷Psnを閾値P(R)より所定量小さい値で設定する。
近接スイッチ50がON状態、すなわち研削サイクルが開始されたら、接触検知センサ80が工作物Wと砥石車43との接触を検知したか否かの判定を開始する(ステップS26)。
そして、接触検知センサ80が工作物Wと砥石車43との接触を検知、すなわち第一粗工程が開始されると(ステップS26:Yes)、研削残り取代RnがRpになったか否かを判定する(ステップS27)。
そして、研削残り取代RnがRpでない場合、すなわち第一粗工程が終了していない場合には、研削残り取代Rnでの閾値P(R)を閾値設定用データから読込む(ステップS28)。具体的には、図7に示すデータ記憶部73に記憶された研削負荷Pdnと加工変質層の厚さaとの関係に基づいて、研削残り取代測定部171により測定される研削残り取代Rnに対する閾値P(R)を読込む。
そして、閾値P(R)の読込直後から、研削異常判定を行う(ステップS29)。つまり、研削残り取代Rnに対する研削負荷Prnが閾値P(R)を超えず、且つ閾値P(R)より小さい研削負荷Psnになるように砥石車43の研削条件、例えば砥石車43の研削送り速度、回転速度、工作物Wの回転速度等を変更する適応制御を行う。粗工程の現時点における研削負荷Prnが閾値P(R)を超えたら研削異常の判定を行う。
具体的には、図9に示すように、閾値P(R)を超えず、且つ閾値P(R)に近い研削負荷Psnである条件変更用目標値Q(R)を設定し、この条件変更用目標値Q(R)となるように研削条件を変更する。そして、研削残り取代Rnに対する研削負荷Prnが、閾値P(R)を超えていない場合には、正常と判定し(ステップS30)、ステップS27に戻って上述の処理を行う。
一方、ステップS29において、研削残り取代Rnに対する研削負荷Prnが、閾値P(R)を超えている場合には、研削異常と判定し、図7の出力部76により、表示装置81に異常内容を表示し、記憶装置83に異常内容を記憶する(ステップS33)。そして、研削サイクルを停止する(ステップS34)。
一方、ステップS27において、研削残り取代RnがRpになった場合、すなわち第一粗工程が終了した場合には、第二粗工程、さらに仕上げ工程へと進む(ステップS31)。
そして、近接スイッチ50がOFF状態、すなわち研削サイクルが終了したら(ステップS32)、次の工作物Wが有るか否かを判定し(ステップS35)、次の工作物Wが有れば、該工作物Wの設置の段取りを行い(ステップS36)、ステップS23から処理を繰り返す。一方、次の工作物Wがなければ、研削サイクルを停止する(ステップS34)。
以上説明したように、第一粗工程において、研削負荷Pdnと加工変質層の厚さaとの関係に基づいて、研削残り取代Rnに対する研削負荷Pdnである閾値P(R)を設定しており、この研削異常監視装置170によっても、第一実施形態の研削異常監視装置70と同様の効果を得ることができる。
なお、研削サイクルの負荷データの収集開始および収集終了の判定は、上記実施形態において接触検知センサ80を用いたが、この接触検知センサ80を用いずに、砥石台41およびテーブル20が予め設定されたX軸位置およびZ軸位置に移動してきたことにより行うこともできる。
1:研削盤
10:ベッド、 11a,11b:Z軸ガイドレール、11c:Z軸ボールねじ
11d:Z軸モータ、12a,12b:X軸ガイドレール、 12c:X軸ボールねじ
12d:X軸モータ
20:テーブル
30:主軸台、 31:主軸台本体、 32:マグネットチャック
33:シュー、 34:主軸モータ
40:砥石支持装置、41:砥石台、 42:砥石車駆動用モータ
42a:モータ電力計、 43:砥石車
50:近接スイッチ、 60:制御装置、 80:接触検知センサ、 90:定寸装置
70:研削異常監視装置、 71:研削残り取代測定部、 72:研削負荷算出部
73:データ記憶部、 74:第一粗工程終了通知部、 75:異常判定部
76:出力部
170:研削異常監視装置、 171:研削残り取代測定部、 172:研削負荷算出部
174:閾値設定部

Claims (7)

  1. 工作物と砥石車とを相対移動させることにより前記工作物を研削する研削盤を用いて、研削異常を監視する研削異常監視方法において、
    前記工作物と前記砥石車との接触初期の加工工程における前記工作物を研削するときの研削残り取代を検出する研削残り取代検出工程と、
    前記接触初期の加工工程における前記工作物を研削するときの研削負荷を検出する研削負荷検出工程と、
    前記工作物を研削したときの研削負荷が変化すると前記工作物の加工変質層の厚さが変化する関係に基づいて、検出した前記研削負荷に対応する前記加工変質層の厚さを求め、求めた前記加工変質層の厚さと、検出した前記研削残り取代とを比較して、前記工作物に発生した前記加工変質層を発生後の研削で取り除くことが可能であるか否かで研削異常を判定する研削異常判定工程と、
    を備える研削異常監視方法。
  2. 請求項1において、
    前記研削残り取代検出工程は、前記接触初期の加工工程の終了時における前記研削残り取代を検出し、
    前記研削負荷検出工程は、前記接触初期の加工工程の終了時における前記研削負荷を検出し、
    前記研削異常判定工程は、検出した前記研削負荷に対応する前記加工変質層の厚さが検出した前記研削残り取代を超えた場合に研削異常であると判定する研削異常監視方法。
  3. 工作物と砥石車とを相対移動させることにより前記工作物を研削する研削盤を用いて、研削異常を監視する研削異常監視方法において、
    前記工作物と前記砥石車との接触初期の加工工程における前記工作物を研削するときの研削残り取代を検出する研削残り取代検出工程と、
    前記接触初期の加工工程における前記工作物を研削するときの研削負荷を検出する研削負荷検出工程と、
    前記工作物を研削したときの研削負荷が変化すると前記工作物の加工変質層の厚さが変化する関係及び前記工作物を研削するときの研削残り取代に基づいて、前記工作物に発生した前記加工変質層を発生後の研削で取り除くことが可能な研削負荷を閾値として前記研削残り取代に応じて設定する閾値設定工程と、
    検出した前記研削残り取代における前記研削負荷が検出した前記研削残り取代に対応した前記閾値を超えた場合に研削異常であると判定する研削異常判定工程と、
    を備える研削異常監視方法。
  4. 請求項3において、
    前記研削異常監視方法は、
    前記砥石車の研削条件を変更する制御工程、
    を備え、
    前記制御工程は、検出した前記研削負荷が前記閾値を超えず、且つ前記閾値に近づくように前記砥石車の研削条件を変更する研削異常監視方法。
  5. 請求項1〜4の何れか一項において、
    前記接触初期の加工工程は、前記工作物と前記砥石車との相対移動を定速で、且つ前記工作物の前記砥石車による切込量を一定で行う工程である研削異常監視方法。
  6. 工作物と砥石車とを相対移動させることにより前記工作物を研削する研削盤を用いて、研削異常を監視する研削異常監視装置において、
    前記工作物と前記砥石車との接触初期の加工工程における前記工作物を研削するときの研削残り取代を検出する研削残り取代検出手段と、
    前記接触初期の加工工程における前記工作物を研削するときの研削負荷を検出する研削負荷検出手段と、
    前記工作物を研削したときの研削負荷が変化すると前記工作物の加工変質層の厚さが変化する関係に基づいて、検出した前記研削負荷に対応する前記加工変質層の厚さを求め、求めた前記加工変質層の厚さと、検出した前記研削残り取代とを比較して、前記工作物に発生した前記加工変質層を発生後の研削で取り除くことが可能であるか否かで研削異常を判定する研削異常判定手段と、
    を備える研削異常監視装置。
  7. 工作物と砥石車とを相対移動させることにより前記工作物を研削する研削盤を用いて、研削異常を監視する研削異常監視装置において、
    前記工作物と前記砥石車との接触初期の加工工程における前記工作物を研削するときの研削残り取代を検出する研削残り取代検出手段と、
    前記接触初期の加工工程における前記工作物を研削するときの研削負荷を検出する研削負荷検出手段と、
    前記工作物を研削したときの研削負荷が変化すると前記工作物の加工変質層の厚さが変化する関係及び前記工作物を研削するときの研削残り取代に基づいて、前記工作物に発生した前記加工変質層を発生後の研削で取り除くことが可能な研削負荷を閾値として前記研削残り取代に応じて設定する閾値設定手段と、
    検出した前記研削残り取代における前記研削負荷が検出した前記研削残り取代に対応した前記閾値を超えた場合に研削異常であると判定する研削異常判定手段と、
    を備える研削異常監視装置。
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