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JP5821039B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents

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JP5821039B2
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Description

本発明はプラズマ処理装置に関する。
プラズマ処理装置には、基板自体をチャンバ内に収容して処理するものだけでなく、複数の基板を搬送可能なトレイを利用することでバッチ処理を実現しているものもある。基板やトレイの大型化に伴い、プラズマ処理装置、特にチャンバが大型化している。基板やトレイが大型化すると、チャンバ内へ導入及び排出されるガスの流れや圧力の基板やトレイ上における分布に偏りが生じて不均一化し、処理特性(例えばエッチング特性)に分布が生じる。
基板やトレイ上におけるガスの流れや圧力分布の偏りをなくす主な対策としては、以下が知られている。第1の対策は、チャンバの基板やトレイが載置される下部電極の直下に、TMP(ターボ分子ポンプ)を含む排気機構を配置することである(特許文献1)。第2の対策は、複数の排気機構を設けることである(特許文献2)。第3の対策は、下部電極が配置される処理室とは別個の大型の排気室をチャンバ内に設けることである(特許文献3)。
特開平4−53126号 特開2004−47558号 特開平11−40544号
近時、特にLED製造等の分野において、デバイスの低価格化がより一層求められている。しかし、第1の対策は、装置構成の複雑化及び大型化と、それに起因する設置コスト等の高コスト化を伴う。また、第1の対策では、トラブル発生時に排気機構のTMP内に異物が侵入する危険性がある。さらに、第2及び第3の対策も、装置構成の複雑化及び大型化と、それに起因する設置コスト等の高コスト化を伴う。以上のように、第1から第3の対策のいずれについても、装置構成の複雑化及び大型化による高コスト化を避けることができない。
本発明は、簡易な装置構成を有して小型でありながら、基板やトレイである処理対象物上におけるガスの流れや圧力分布の偏りを効果的に低減し得るプラズマ処理装置を提供することを課題とする。
本発明は、上下方向に互いに対向する頂壁及び底壁と、互いに対向する一対の側壁と、プラズマ処理の処理対象の搬入出口が設けられた一端側の端壁と、他端側の開口端とを備える一体構造のチャンバ本体と、前記チャンバ本体に固定されてプラズマを発生させるチャンバ室を画定するように前記開口端を閉鎖する蓋体と、前記チャンバ室の前記端壁側の領域である処理室内において前記底壁に配置された前記処理対象物を保持する処理対象物支持台と、前記処理対象物支持台の上方に設けられてプラズマ発生用のガスを前記チャンバ室内に供給するためのガス供給口と、前記チャンバ室の前記開口端側の領域である排気室において上記底壁に設けられた前記チャンバ室内の前記ガスを排気するための排気口と、前記処理対象物支持台の側部の少なくとも前記端壁及び前記側壁に対向する部位に設けられた第1の凹部と、前記チャンバ本体の前記頂壁に装着され、前記処理対象物支持台を取り囲み、かつ下端が前記チャンバ本体の前記底壁の内面よりも上方に位置すると共に前記第1の凹部の側方に位置しているインナーチャンバとを備えるプラズマ処理装置を提供する。
処理対象物支持台の側部の少なくとも端壁及び側壁に対向する部位に凹部を設けることで、チャンバの外形寸法を拡大することなく、処理対象物支持台の側部と端壁及び側壁との間に円滑にガスが流れる空間を確保できる。その結果、処理対象物(基板やトレイ)上においてガス供給口から排気口に向かうガスの流れやガスの圧力分布に偏りをなくして均一化できる。また、一体構造のチャンバ本体に蓋体を固定した簡易な構成としたことでも、チャンバの外形寸法を必要最小限に抑制できる。つまり、簡易な装置構成を有して小型でありながら、処理対象物上におけるガスの流れや圧力分布の偏りを効果的に低減できる。
前記端壁の内側面の前記搬入出口よりも下方側に設けられた第2の凹部を備えることが好ましい。
この構成により、チャンバの外形寸法を拡大することなく、処理対象物支持台の側部と端壁との間のガスが流れる空間をさらに拡大できる。その結果、処理対象物支持台の側部と端壁との間のガスの流れをより円滑にできる。
前記排気室における前記一対の側壁の内面間の間隔が一定であることが好ましい。
この構成によっても、排気室においてガス排気口に向かうガスの流れがさらに円滑化されるので、処理対象物上におけるガスの流れや圧力分布の偏りをより効果的に低減できる。
本発明によれば、処理対象物支持台の側部に凹部を設けると共に、一体構造のチャンバ本体に蓋体を固定してチャンバを構成している。これらにより、簡易な装置構成を有して小型でありながら、処理対象物(基板やトレイ)上におけるガスの流れや圧力分布の偏りを効果的に低減し、処理対象物上におけるプラズマ処理の特性を均一化できるプラズマ処理装置を実現できる。
本発明の実施形態に係るドライエッング装置を示す断面図。 図1のII−II線での断面図。 図1のIII−III線での断面図。 処理対象物支持台周辺の拡大断面図。 トレイが基板載置部の上方に位置する状態の模式断面図。 トレイが基板載置部へ降下中の状態の模式断面図。 トレイが基板載置部へ載置された状態の模式断面図。 本発明の実施形態に係るドライエッチング装置の模式的な横断面図。 トレイ及び基板を示す分解斜視図。 比較例に係るプラズマ処理装置の模式的な横断面図。 基板上のエッチングレートの測定位置を示す模式平面図。 段差D1,D2,D3を説明するための模式図。 流速分布のシミュレーション結果を示すグラフ。 圧力分布のシミュレーション結果を示すグラフ。
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1から図3は本発明の実施形態に係るドライエッチング装置1を示す。このドライエッチング装置1は後述するチャンバ室17にトレイと共に搬入される基板を処理対象とするものである。図7を参照すると、トレイ2には7個の基板収容孔2aが厚み方向に貫通するように設けられている。また、基板収容孔2aの孔壁から基板支持部2bが突出している。基板収容孔2aに収容された基板3は、下面の外周縁付近が基板支持部2bによって支持される。
図1から図3を参照すると、ドライエッチング装置1のチャンバ5は一体構造のチャンバ本体6を備える。本実施形態におけるチャンバ本体6は、概ね比較的細長い矩形箱状であり、内面が平坦な底壁7と、この底壁7の上方に間隔を隔てて対向して位置する内面が平坦な頂壁8とを備える。また、チャンバ本体6は、水平方向に間隔を隔てて互いに対向する一対の側壁9,9を備える。さらに、チャンバ本体6は一端に端壁11を備える。この端壁11には、隣接して設けられた搬送室14から基板3(処理対象物)を収容したトレイ2を搬入出するための搬入出口11aが設けられている。搬入出口11aを開閉するゲート13が設けられている。チャンバ本体6の他端(端壁11と反対側の端部)には、壁は設けられておらず開口端12が形成されている。
チャンバ本体6の開口端12は、本実施形態では単なる板状である蓋体16により閉鎖されている。蓋体16はチャンバ本体6に固定されている。蓋体16により開口端12を閉鎖することで、チャンバ本体6の内部にはプラズマを発生させる減圧可能なチャンバ室17が画定されている。
チャンバ本体6の頂壁8には端壁11側の位置に取付孔8aが設けられ、この取付孔8aにインナーチャンバ18が装着されている。インナーチャンバ18は、薄肉の筒状部18aの上端にフランジ状部18bを備え、全体として両端開口の筒状である。インナーチャンバ18は、筒状部18aをチャンバ室17内に差し込んだ状態でフランジ状部18bがチャンバ5の頂壁8に固定されている。
インナーチャンバ18の筒状部18aは、下端がチャンバ本体6の底壁7の内面よりも十分上方に位置する一方、上端の開口が誘電体板19により閉鎖されている。誘電体板19の上方には、上部電極としてのアンテナ(プラズマ源)21が配置されている。アンテナ21は第1の高周波電源22Aに電気的に接続されている。また、誘電体板19の下面にはガス供給口として機能する複数のガスノズル19aが形成されている。これらのガスノズル19aは誘電体板19内に形成された流路を介してプロセスガスのガス源23に接続されている。
チャンバ室17のうち端壁11側の領域である処理室25には、基板3がトレイ2と共に保持される処理対象物支持台26が設けられている。一方、チャンバ室17のうち開口端12(蓋体16で閉鎖されている)側の領域である排気室27では、チャンバ室17内のガスを排気するために底壁7を貫通する排気口7aが設けられている。排気口7aにはTMPを含む排気機構28が接続されている。
図4をさらに参照すると、処理対象物支持台26は底壁7上に配置されている。処理対象物支持台26のベース31は全体としては短円柱状であり、下端が底壁7の内面に固定されている。ベース31の上端には絶縁板32(本実施形態ではセラミック製)、金属ブロック33(本実施形態ではアルミニウム製)、及びステージ34(本実施形態ではセラミック製)が積層されている。金属ブロック33は第2の高周波電源22Bに電気的に接続され、下部電極として機能する。絶縁板32、金属ブロック33、及びステージ34は筒状のカバー35(本実施形態ではアルミニウム製)に収容されており、最上層であるステージ34はカバー35の上端から外部に露出している。カバー35の上端にはステージ34の外周を取り囲むガイドリング36が固定されている。
ステージ34の上面34aには、トレイ2の基板収容孔2aと対応する平面視で島状に隆起した7個の基板載置部34bが設けられている。図5Aから図5Cに示すように、基板3を収容したトレイ2は上方からステージ34に向けて降下し、ステージ34の上面34aにトレイ2の下面が支持されると共に、個々の基板載置部34bが対応する基板収容孔2aにトレイ2の下面側から進入する。基板載置部34bの上端面は基板収容孔2aの基板支持部2bから受け渡された基板3が載置される基板載置面34cとして機能する。つまり、図5Cに示すように、基板載置面34cに載置された基板3の下面は、トレイ2側の基板支持部2bからは浮き上がっている。
図4にのみ概念的に示すように、ステージ34には、基板載置部34bの上端面(基板載置面34c)付近に、基板3を静電吸着するための静電吸着用電極38が備えられている。この静電吸着用電極38には、駆動電源39が電気的に接続されている。また、ステージ34の冷却装置41が設けられている。この冷却装置41は、金属ブロック33内に形成された冷媒流路33aと、温調された冷媒を冷媒流路33a中で循環させる冷媒循環装置42とを備える。さらに、個々の基板載置部34bの基板載置面34cには、伝熱ガス(例えばHe)の供給孔34dが設けられている。これらの供給孔34dは共通の伝熱ガス源43に接続されている。さらにまた、ステージ34、金属ブロック33、及び絶縁板32を貫通するリフトピン44が設けられている。このリフトピン44は、ベース31と底壁7を貫通する駆動ロッド45、駆動ロッド45を昇降させる駆動源46、及び駆動ロッド45が底壁7を貫通する部分を囲むベローズ47を含む昇降機構48によって昇降駆動される。このリフトピン44はトレイ2の下面に当接してトレイ2をステージ34の上面34aに対して昇降させる。
図1から図4を参照すると、処理対象物支持台26のベース31は単なる円柱状ではなく、側部31aに一定の深さと幅を有する凹部(第1の凹部)51を設けている。この凹部51は円筒面である側部31aを一周するように設けている。凹部51を設けていることで、ベース31は底壁7に固定された下側大径部31bと、絶縁板32、金属ブロック33、及びステージ34がその上に積層された上側大径部31cを備えている。
図1及び図2を参照すると、チャンバ本体6の端壁11の内側面は半円筒状である。より具体的には、チャンバ本体6の端壁11の内側面は平面視で処理対象物支持台26のベース31の周囲に一定間隔をあけて配置された半円弧状である。端壁11には前述のように搬入出口11aが設けられているが、この搬入出口11aよりも下方側の部分において端壁11の内側面に一定の深さと幅を有する凹部(第2の凹部)52が設けられている。
図1において符号aで示す処理対象物支持台26と端壁11の内側面の間隔は、ドライエッチング装置1の小型化の観点からは狭く設定することが好ましい。また、図1において符号bで示す端壁11の厚みは、特に搬入出口11aが設けられている上方側では強度確保のために十分な厚さに設定する必要がある。チャンバ本体6の外形寸法をドライエッチング装置1の小型化の観点から一定とした場合、端壁11の厚みが厚いほど処理対象物支持台26と端壁11の内側面の間隔aは狭くなる。一方、ガスノズル19aからチャンバ室17(処理室25)に供給されて排気口7aによってチャンバ室17(排気室27)から排出されるプロセスガスの流れの円滑性を考慮すると、処理対象物支持台26と端壁11の内側面との間にある程度の大きさの空間が形成されていることが好ましい。
本実施形態では、まず処理対象物支持台26のベース31の側部31aに凹部51を設けることで、チャンバ本体6の外形寸法を拡大することで間隔aを拡げることなく、処理対象物支持台26と端壁11の内側面との間にプロセスガスが流れる十分な空間を確保している。また、処理対象物支持台26のベース31だけでなく、端壁11の内側面のうち搬入出口11aよりも下方側にも凹部52を設けることで、強度確保が必要な搬入出口11aの部分における端壁11の厚みbを低減することなく、処理対象物支持台26と端壁11の内側面との間にプロセスガスが流れる十分な空間を確保している。
図6に最も明瞭に示すように、チャンバ本体6の側壁9,9の内側面は互いに並行であり、チャンバ室17の処理室25と排気室27はいずれも平面視での幅Wa,Wbが一定である。つまり、処理対象物支持台26から排気口7aに到るまでのチャンバ室17の幅Wa,Wbが一定である。
次に、本実施形態のドライエッチング装置1の動作を説明する。
まず、トレイ2の基板収容孔2aに基板3がそれぞれ収容される。トレイ2の基板支持部2bで支持された基板3は、基板収容孔2aによりトレイ2の下面から露出している。基板3を収容済みのトレイ2は、図示しない搬送ロボットにより搬入出口11aからチャンバ室17(処理室25)内に搬入され、先端がステージ34の上面34aよりも十分に上方に位置する位置まで突出したリフトピン44に受け渡される。
続いて、リフトピン44が降下することで、トレイ2は、外周がガイドリング36により案内されつつステージ34に向けて降下する。前述のようにトレイ2がステージ34の上面34aに配置されると基板3はトレイ2の基板支持部2bから受け渡されて基板載置部34bの上端面(基板載置面34c)に載置される。
次に、静電吸着用電極38に対して駆動電源39から直流電圧が印加され、基板載置部34bの基板載置面34cに基板3がそれぞれ静電吸着される。続いて、供給孔34dを通って伝熱ガス源43から伝熱ガスが供給される。その後、ガス源23からのプロセスガスがガスノズル19aを通ってチャンバ2内に供給され、排気機構28によりチャンバ室17内は所定圧力に維持されるように制御される。続いて、高周波電源22Aからアンテナ21に高周波電圧を印加してチャンバ室17(処理室25)にプラズマを発生させると共に、高周波電源22Bにより処理対象物支持台26側の金属ブロック33にバイアスパワーを供給する。プロセスガスが誘導結合によりプラズマ化して基板3がエッチングされる。エッチング中は、冷媒循環装置42によって冷媒流路33a中で冷媒を循環させて金属ブロック33を冷却し、それによってステージ34が備える基板載置部27A〜27Cの基板載置面34cに保持された基板3を冷却する。基板3と基板載置面34cとの間には伝熱ガスが供給されており、熱伝導性が良好であるので基板3を高効率で冷却しかつ高精度で温度制御できる。
前述のように処理対象物支持台26のベース31の側部31aと端壁11の内側面とに凹部51,52を設けることで、チャンバ本体6の外形寸法を拡大することなく、処理対象物支持台26と端壁11の内側面との間にプロセスガスが流れる十分な空間を確保している。そのため、ガスノズル19aからチャンバ室17内に供給されたプロセスガスは図6において破線の矢印で示すように平面視で概ね一様に処理室25から排気室27に流れて排気口7aから排気される。その結果、トレイ2と共に処理対象物支持台26に配置された個々の基板5間及び個々の基板5の異なる位置間でのプロセスガスの流れやプロセスガスの圧力分布に偏りをなくして均一化できる。このように流れや圧力分布が均一化されることで、個々の基板5間及び個々の基板5の異なる位置間でのドライエッチング特性を均一化できる。
また、前述のようにチャンバ室17の処理室25と排気室27はいずれも平面視での幅Wa,Wbが一定であるので、いわば処理室25から排気室27へ流れ排気口7aから排出される空気の流れの流路の流路幅が一定である。この点でもプロセスガスの流れが概ね一様となり、個々の基板5間及び個々の基板5の異なる位置間でのプロセスガスの流れやプロセスガスの圧力分布を均一化できる。
さらに、前述ようにチャンバ5は一体構造のチャンバ本体6に蓋体16を固定した簡易な構成としたことでも、チャンバ5の外形施寸法を必要最小限に抑制できる。
以上のように、本実施形態のドライエッチング装置1は、簡易な装置構成を有して小型でありながら、個々の基板5間及び個々の基板5の異なる位置間でのガスの流れや圧力分布の偏りを効果的に低減し、エッチング特性の均一化を図ることができる。
本実施形態では、処理対象物支持台26のベース31と端壁11の内側面の両方に凹部51,52を設けている。しかし、処理対象物支持台26のベース31にのみ凹部51を設けた構成でも処理対象物支持台26と端壁11の内側面との間にプロセスガスが流れる空間を確保する効果がある。また、本実施形態では、ベース31の側部31aの全周に凹部51を設けているが、側部31aの少なくとも端壁11に対向する部位と、側壁9,9と対向する部位に凹部を設ければ、処理対象物支持台26と端壁11の内側面との間にプロセスガスが流れる空間を確保する効果がある。また、本発明はトレイに収容して基板を搬送するものに限定されず、トレイを使用することなく基板を搬入出する通常のプラズマ処理装置にも適用できる。さらに、本発明は、実施形態のようなICP型のドライエッチング装置に限定されず、平行平板型のドライエッチング装置にも適用可能であり、例えばCVC装置のような他のプラズマ処理装置にも適用できる。
本発明の効果を確認するための実験を行った。実験では、実施形態のドライエッチング装置1のように、処理対象物支持台26と端壁11に凹部51,52が形成され、かつチャンバ室17の処理室25と排気室27はいずれも平面視での幅Wa,Wbが一定のものを使用した(実験例)。また、比較のために、図8に示すように、処理対象物支持台26と端壁11に凹部を設けておらず、かつチャンバ室17の処理室25の幅が排気室27に向けて幅が漸次狭まっているものを使用した(比較例)。
図9に示すように、トレイ2(直径340mmで材質はSiC)に7枚の基板3を収容して、実験に供した。7枚の基板3はNo.1〜7で識別するものとする。中央にNo.1の基板3が位置し、その周囲をNo.2〜No.7の基板3が等角度間隔で取り囲んでいる。また、No.2とNo.7が搬入出口11a側に位置し、No.4とNo.5の基板3が排気口7a側に位置している。
No.1〜7の基板3はいずれも、直径4inchで材質がサファイアである。図10を参照すると、材質がサファイアの基板3の上に、GaN層100を5.0μmの厚みで形成し、その上に部分的にフォトレジスト101を3.0μmの厚みで形成した。GaN層101はMOCVDで成膜したので、基板3全体が凸方向に、最大100μm程度の反りがあった。
ガス源23から供給するプロセスガスはCl2とArの混合ガス(Cl2/Ar=100/50sccm、0.6Pa)を使用した、高周波電源22Aからアンテナ21に供給する高周波電力を1500W、高周波電力22Bから処理対象物支持台26(下部電極としての金属ブロック33)に供給する直流電力1500Wとした。静電吸着用電極38には2000Vの電圧を印加した。冷却装置41により冷媒として供給するHeの供給圧は2000Paとした。絶縁板(石英天板)の温度は100℃、インナーチャンバ18の温度は100℃、処理対象物支持台(下部電極)26の温度は15℃であった。プラズマ処理を行う時間(エッチング時間)は2分間とした。
図10を参照すると、前述の条件で実験例と実施例についてプラズマ処理を行い、エッチング前のフォトレジスト初期段差D1、エッチング終了後でフォトレジスト101を剥離する前のエッチング段差D2、及びフォトレジスト101を剥離した後の剥離後段差D3を測定した。測定には、表面段差測定器(KLAテンコール P−10)を使用した。より具体的には、実験例と比較例の両方について、No.1の基板3(トレイ2の中央に位置する)、No.2の基板3(トレイ2の排気口7a、つまりTMP側に位置する)、及びNo.5の基板3(トレイ2の搬入出口11a側に位置する)について、段差D1〜D3を測定した。より具体的には、No.1,2,5のそれぞれについて、5個の測定位置(P1〜P5)で段差D1〜D3を測定した。測定位置P3は基板3の中央に位置し、その周囲を4個の測定位置P1,P2,P4,P5が等角度で間隔で取り囲んでいる。また、測定位置P1,P2,P4,P5は基板3の端面から5mm離れている。
実験例及び比較例について、No.1,2,5の基板3の測定位置P1〜P3の測定結果に基づいてGaNエッチングレート(nm/min)、基板内均一性(±%)、及びトレイ内均一性(±%)の計算結果を後掲の表1と表2に示す。GaNエッチングレート(nm/min)は剥離後段差をエッチング時間で除したものである。基板内均一性(±%)は個々の基板3のGaNエッチングレート(nm/min)の最大値からGaNエッチングレート(nm/min)の最小値で引いた差を100を乗じ、さらに2で除した値である。トレイ内均一性(±%)はNo.1,2,5の基板3のGaNエッチングレート(nm/min)の平均の最大値からNo.1,2,5の基板3のGaNエッチングレート(nm/min)の平均値の最小値で引いた差を100を乗じ、さらに2で除した値である。
Figure 0005821039
Figure 0005821039
表1(実験例)と表2(比較例)を比較すると、比較例では搬入出口11a側の基板3(No.2)のGaNエッチングレートの平均値480(nm/min)で他の基板3(No.1,5)と比較して低い(No.1は514nm/minでNo.5は507nm/min)。これに対して、実験例ではNo.2のGaNエッチングレートの平均値495(nm/min)で他の基板3(No.1,5)と同程度である(No.1は489nm/minでNo.5は490nm/min)。つまり、本発明の構造を採用したことで、搬入出口11a側の基板3(No.2)のGaNエッチングレートが低かったことが改善され、その結果トレイ内均一性が改善された。具体的には、本実験の場合には、比較例では約3.3(%)であったトレイ内均一性が約0.6(%)まで改善されている。
エッチング中の基板3上におけるプロセスガスの流速と、同じく圧力については3次元シミュレーションによる解析を行った。シミュレーションの条件は前述の実験の場合と同様である。なお、シミュレーションではあるが、本発明を実施した場合の例は前述の実験の場合との整合性を考慮して「実験例」とする。流速についてのシミュレーション結果を図11に示し、圧力についてのシミュレーション結果を図12に示す。
図11を参照すると、比較例では排気口7a側で流速が速く、搬入出口11a側で流速が遅い。これに対し、実験例では排気口7a側の流速が下がる一方、搬入出口11a側では流速が上がることで、比較例と比べると流速分布の均一性が大幅に改善されている。
図12を参照すると、比較例ではトレイ2内の領域において、多少の圧力勾配がある。これに対し、実験例ではトレイ2内の領域における圧力が比較例と比べて均一化され、圧力勾配がより小さくなっている。
以上のように、実験及びシミュレーションの結果からも、本発明を採用することによりエッチング処理(プラズマ処理)の均一性、流速の均一性、及び圧力の均一性が改善されることが確認できた。
1 ドライエッチング装置
2 トレイ
2a 基板収容孔
2b 基板支持部
3 基板
5 チャンバ
6 チャンバ本体
7 底壁
7a 排気口
8 頂壁
8a 取付孔
9 側壁
11 端壁
11a 搬入出口
11b 凹部
12 開口端
13 ゲート
14 搬送室
16 蓋体
17 チャンバ室
18 インナーチャンバ
18a 筒状部
18b フランジ状部
19 誘電体板
19a ガスノズル
21 アンテナ
22A,22B 高周波電源
23 ガス源
25 処理室
26 処理対象物支持台
27 排気室
28 排気機構
31 ベース
31a 側部
31b 下側大径部
31c 上側大径部
32 絶縁板
33 金属ブロック
33a 冷媒流路
34 ステージ
34a 上面
34b 基板載置部
34c 基板載置面
34d 供給孔
35 カバー
36 ガイドリング
38 静電吸着用電極
39 駆動電源
41 冷却装置
42 冷媒循環装置
43 伝熱ガス源
44 リフトピン
45 駆動ロッド
46 駆動源
47 ベローズ
48 昇降機構
51,52 凹部
100 GaN層
101 フォトレジスト

Claims (3)

  1. 上下方向に互いに対向する頂壁及び底壁と、互いに対向する一対の側壁と、プラズマ処理の処理対象の搬入出口が設けられた一端側の端壁と、他端側の開口端とを備える一体構造のチャンバ本体と、
    前記チャンバ本体に固定されてプラズマを発生させるチャンバ室を画定するように前記開口端を閉鎖する蓋体と、
    前記チャンバ室の前記端壁側の領域である処理室内において前記底壁に配置された前記処理対象物を保持する処理対象物支持台と、
    前記処理対象物支持台の上方に設けられてプラズマ発生用のガスを前記チャンバ室内に供給するためのガス供給口と、
    前記チャンバ室の前記開口端側の領域である排気室において上記底壁に設けられた前記チャンバ室内の前記ガスを排気するための排気口と、
    前記処理対象物支持台の側部の少なくとも前記端壁及び前記側壁に対向する部位に設けられた第1の凹部と、
    前記チャンバ本体の前記頂壁に装着され、前記処理対象物支持台を取り囲み、かつ下端が前記チャンバ本体の前記底壁の内面よりも上方に位置すると共に前記第1の凹部の側方に位置しているインナーチャンバと
    を備えるプラズマ処理装置。
  2. 前記端壁の内側面の前記搬入出口よりも下方側に設けられた第2の凹部を備える、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記排気室における前記一対の側壁の内面間の間隔が一定であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のプラズマ処理装置。
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