JP5820283B2 - 固体潤滑組成物及びこれを用いた潤滑剤組成物 - Google Patents
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最近では、温暖化など、地球規模での環境問題に対処するため、炭酸ガス排出量の低減を目的として、自動車の燃費向上に対する要求が高くなっており、エンジンや動力伝達機構などの効率向上が可能な潤滑剤の開発が求められている。
本発明は、従来の潤滑技術や潤滑剤における上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、極めて優れた摩擦低減特性を示し、例えば、自動車用のエンジンオイルやトランスミッションオイルに適用することによって、大幅な燃費向上効果を発揮する固体潤滑組成物と、これを含む潤滑剤組成物を提供することにある。
そして、本発明の潤滑添加剤は、基油1L中に、本発明の上記固体潤滑組成物を15〜1000gの割合で含有していることを特徴としている。
なお、上記フッ素系固体潤滑材の平均粒径としては、上記したように0.1〜6μmのものを用いることが必要であるが、0.1〜2μmの範囲内であることがより望ましい。これは、0.1μm未満は製造が難しく、6μmを超えると潤滑効果が低くなることによる。
これらについても、単独あるいは2種以上を混合して使用することができるが、これらの中では、二硫化モリブデンや二硫化タングステンを単独あるいは混合して用いることが望ましい。二硫化タングステンを単独、あるいは二硫化モリブデンと混合して用いることが特に望ましい。
例えば、基油に混合することによって潤滑油として使用することができる。また、このとき、基油を増稠剤で固化させればグリースとして使用することができる。
このような潤滑油の基油としては、鉱油、合成油、油脂及びこれらの混合物など、潤滑油組成物の基油として通常使用されるものであれば、特に限定されることなく使用することができる。なお、これらは単独でも、2種以上を混合したものでも使用することができる。
一方、合成油としては、例えば、ポリ−α−オレフィン、ポリ−α−オレフィンの水素化物、イソブテンオリゴマー、イソブテンオリゴマーの水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル、ポリオールエステル、ポリブテン、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等を挙げることができる。これらの中では、ポリ−α−オレフインや、その水素化物を用いることが好ましい。
例えば、腐食防止剤としては、ベンゾトリアゾールやその誘導体、ジチオリン酸亜鉛など、防錆剤としては、カルボン酸、リン酸塩、アルコール、スルホネート、エステルなどを挙げることができる。
〔固体潤滑剤組成物の調製〕
(1)発明例1〜9
フッ素系固体潤滑材として、株式会社喜多村製のポリフルオロエチレン(PTFE、平均粒径:0.3μm及び5μm)、六方晶系固体潤滑材として、日本潤滑材株式会社製の二硫化タングステン(WS2、平均粒径:0.2μm)及び株式会社ダイゾーが販売している二硫化モリブデン(MoS2、平均粒径:0.2μm)、硬質粒子として、株式会社ニューメタルスエンドケミカルスコーポレーションが販売しているナノダイヤ(平均粒径:0.04μm)をそれぞれ表1に示すような割合(質量%)に混合して、発明例1〜9の固体潤滑組成物を得た。
上記フッ素系固体潤滑材、六方晶系固体潤滑材及び硬質粒子のうち、表1に併せて示すように、それぞれ1種を除いた2成分系の組成物を調整し、比較例1〜3の固体潤滑組成物とした。
潤滑油基油として、ポリ−α−オレフィン(PAO)を使用し、この基油100mLに、上記により調製した発明例1〜9、比較例1〜3の固体潤滑組成物をそれぞれ0.385g添加(基油1Lに対しては、3.85g)し、よく攪拌することによって、それぞれ発明例及び比較例の潤滑油を得た。
摩擦係数試験装置(CSM社製トライボメーター)を使用した。
そして、基材(S45C材製、20mm×20mm×2mm厚)のラップ研磨面に、マイクロピペットにより、上記により調製した潤滑油をそれぞれ10μL滴下し、SUJ2材から成る9mm径の鋼球を相手材として、半径1.5mm、摩擦速度8.85mm/s、荷重5N、測定環境130℃、基材温度80℃の条件化で、それぞれ摩擦係数を測定した。その結果を表1に合わせて示す。
◎:900秒経過した時の摩擦係数が0.1以下のもの
○:900秒経過した時の摩擦係数が0.1を超え、0.3以下のもの
×:120秒以内に摩擦係数が0.5以上のもの
富士重工業株式会社製スバルステーションワゴンの燃費を調査したところ、納車時から100km走行したときの平均燃費は6.9km/Lであった。
トヨタ自動車工業株式会社製プリウスの燃費を調査したところ、納車時から100km走行したときの平均燃費は19.5km/Lであった。
Claims (6)
- 平均粒径0.1〜6μmのフッ素系固体潤滑材と、平均粒径0.1〜6μmの六方晶固体潤滑材と、平均粒径0.02〜0.1μmのナノダイヤから成ることを特徴とする固体潤滑組成物。
- フッ素系固体潤滑材がポリテトラフルオロエチレン、六方晶固体潤滑材が二硫化モリブデン及び/又は二硫化タングステンであることを特徴とする請求項1に記載の固体潤滑組成物。
- 質量比で、フッ素系固体潤滑材を9〜90%、六方晶固体潤滑材を9〜90%、ナノダイヤを0.1〜9%含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の固体潤滑組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の固体潤滑組成物を含有することを特徴とする潤滑剤組成物。
- 基油1Lに対して、請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の固体潤滑組成物を0.5〜30gの割合で含有することを特徴とする潤滑油。
- 基油1Lに対して、請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の固体潤滑組成物を15〜1000gの割合で含有することを特徴とする潤滑添加剤。
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