以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成システムの概略を示した正面図である。図1を参照して、本実施の形態に係る画像形成システム100の画像形成装置1について説明する。
画像形成システム100は、画像形成装置1と、画像形成装置1に取り付けられる搬送装置50とを備えている。
画像形成装置1は、たとえば、スキャナ機能、ファクシミリ機能、およびプリンタ機能を有する複合機である。画像形成装置1は、原稿の画像を読み取る画像読取装置2と、画像読取装置2により読み取られた画像データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成部3とを備えている。
画像形成部3は、感光体ドラム4a〜4dと、帯電器5a〜5dと、露光装置6と、現像装置7a〜7dと、クリーナ装置8a〜8dと、中間転写ローラ9a〜9dを有する中間転写ベルト装置9と、2次転写装置10と、定着装置11と、給紙トレイ12と、胴内排紙部13と、用紙搬送装置14と、トナーボトル15a〜15dとを含んでいる。
画像形成部3は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像と、単色(たとえば、ブラック)を用いたモノクロ画像とを形成可能に構成されている。
具体的には、ブラックを形成する画像ステーションが、感光体ドラム4aと、帯電器5aと、現像装置7aと、クリーナ装置8aと、中間転写ローラ9aとにより構成されている。また、シアンを形成する画像ステーションが、感光体ドラム4bと、帯電器5bと、現像装置7bと、クリーナ装置8bと、中間転写ローラ9bとにより構成されている。
また、マゼンタを形成する画像ステーションが、感光体ドラム4cと、帯電器5cと、現像装置7cと、クリーナ装置8cと、中間転写ローラ9cとにより構成されている。また、イエローを形成する画像ステーションが、感光体ドラム4dと、帯電器5dと、現像装置7dと、クリーナ装置8dと、中間転写ローラ9dとにより構成されている。
感光体ドラム4a〜4dは、表面に光感光層を有する。帯電器5a〜5dは、感光体ドラム4a〜4dの表面を所定の電位に均一に帯電させるために設けられている。帯電器5a〜5dは、接触型であるローラ型やブラシ型の帯電器であってもよいし、チャージャー型の帯電器であってもよい。
露光装置6は、たとえば、レーザダイオードおよび反射ミラーを有するレーザスキャニングユニット(LSU)であり、帯電された感光体ドラム4a〜4dの表面を画像データに応じて露光して、その表面に画像データに応じた静電潜像を形成する。
現像装置7a〜7dは、感光体ドラム4a〜4d上に形成された静電潜像をK、C、M、Yのトナーにより現像する。なお、K、C、M、Yのトナーは、それぞれ、トナーボトル15a〜15dから供給される。このトナーボトル15a〜15dは、交換可能に取り付けられている。クリーナ装置8a〜8dは、現像および画像転写後に感光体ドラム4a〜4dの表面に残留したトナーを除去および回収する。
中間転写ベルト装置9は、感光体ドラム4a〜4dの上方に配置されており、中間転写ベルト9eと、中間転写ベルト駆動ローラ9fと、従動ローラ9gと、テンションローラ9hと、中間転写ベルトクリーニング装置9iとを含んでいる。
中間転写ベルト9eは、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端ベルト状に形成されている。中間転写ローラ9a〜9d、中間転写ベルト駆動ローラ9f、従動ローラ9g、およびテンションローラ9hは、中間転写ベルト9eを張架して支持し、中間転写ベルト9eを周回方向Cに移動させる。
中間転写ローラ9a〜9dは、中間転写ベルト9eの内側に回転可能に支持され、中間転写ベルト9eを介して感光体ドラム4a〜4dに圧接されている。
中間転写ベルト9eは、感光体ドラム4a〜4dに接触するように設けられている。中間転写ベルト9eには、感光体ドラム4a〜4dの表面のトナー像が順次重ねて転写されることにより、カラーのトナー像(各色のトナー像)が形成される。
感光体ドラム4a〜4dから中間転写ベルト9eへのトナー像の転写は、中間転写ベルト9eの内側(裏面)に圧接されている中間転写ローラ9a〜9dによって行われる。中間転写ローラ9a〜9dは、たとえば、直径8〜10mmのステンレスなどの金属軸と、金属軸を覆う導電性の弾性材(たとえば、EPDM、発泡ウレタン等)とを有する。中間転写ローラ9a〜9dには、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(一)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されており、その導電性の弾性材により高電圧が中間転写ベルト9eに対して均一に印加される。
2次転写装置10は、中間転写ベルト9eと接触する転写ローラ10aを有する。転写ローラ10aは、中間転写ベルト駆動ローラ9fと隣接するように、中間転写ベルト9eの外側に配置されている。中間転写ベルト9eと転写ローラ10aとは、相互に圧接されてニップ域を形成する。また、2次転写装置10の転写ローラ10aには、中間転写ベルト9e上の各色のトナー像を用紙に転写させるための電圧(たとえば、トナーの帯電極性(一)とは逆極性(+)の高電圧)が印加される。さらに、そのニップ域を定常的に得るために、転写ローラ10aおよび中間転写ベルト駆動ローラ9fのいずれか一方を硬質材料(金属製ローラ等)とし、他方を軟質材料(弾性ゴムローラや発泡性樹脂ローラ等)としている。
上述のように、感光体ドラム4a〜4dの表面のトナー像は、中間転写ベルト9eで積層され、画像データに応じたカラーのトナー像となる。このように積層された各色のトナー像は、中間転写ベルト9eとともに搬送され、2次転写装置10によって用紙上に転写される。
また、2次転写装置10によって中間転写ベルト9e上のトナー像が用紙上に完全に転写されず、中間転写ベルト9e上にトナーが残留することがあり、この残留トナーが次工程でトナーの混色を発生させる原因となる。このため、中間転写ベルトクリーニング装置9iによって残留トナーを除去および回収する。
たとえば、中間転写ベルトクリーニング装置9iは、従動ローラ9g側に押圧された状態で中間転写ベルト9eに接触するクリーニングブレードを有しており、このクリーニングブレードにより残留トナーが除去および回収される。
定着装置11は、用紙を挟み込んで搬送するヒートローラ11aおよび加圧ローラ11bを有する。ヒートローラ11aは、所定の定着温度となるように温度制御され、加圧ローラ11bとともに用紙を熱圧着することにより、用紙に転写されたトナー像を溶融、混合、圧接し、用紙に対して熱定着させる機能を有している。また、定着装置11には、ヒートローラ11aを外部から加熱するための外部加熱ベルト11cが設けられている。
給紙トレイ12は、用紙を格納しておくためのトレイである。胴内排紙部13は、搬送装置50が取り外されている場合に、印刷済みの用紙をフェイスダウンで載置するための排紙トレイである。この胴内排紙部13は、画像読取装置2と画像形成部3との間に設けられており、搬送装置50を着脱可能に構成されている。
用紙搬送装置14は、用紙を給紙トレイ12から2次転写装置10や定着装置11を経由させて胴内排紙部13に送るために設けられている。用紙搬送装置14では、給紙トレイ12から用紙搬送路Sに沿って、ピックアップローラ14a、サバキローラ14b、分離ローラ14c、搬送ローラ対14d、レジスト前ローラ対14e、レジストローラ対14f、および排出ローラ対14gが配置されている。
ピックアップローラ14aは、給紙トレイ12の近傍に設けられており、給紙トレイ12から用紙を1枚ずつ用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。サバキローラ14bは、分離ローラ14cとの間に用紙を通過させることにより、用紙を1枚ずつ分離して用紙搬送路Sへと搬送する。
搬送ローラ対14dおよびレジスト前ローラ対14eは、用紙の搬送を促進補助するための小型のローラである。なお、図1では、簡略化のために、搬送ローラ対14dを1個だけ示したが、実際には、搬送ローラ対14dは、用紙搬送路Sに沿って複数箇所に設けられている。
レジスト前ローラ対14eは、レジストローラ対14fの用紙搬送方向上流側の直近に設けられており、用紙をレジストローラ対14fへと搬送する。レジストローラ対14fは、レジスト前ローラ対14eから搬送されてきた用紙を一旦停止させて、用紙の先端を揃え、中間転写ベルト9eと転写ローラ10aとの間のニップ域で中間転写ベルト9e上のカラーのトナー像が用紙に転写されるように、中間転写ベルト9eの回転にあわせて、用紙をタイミングよく搬送する。
たとえば、レジストローラ対14fは、中間転写ベルト9eと転写ローラ10aとの間のニップ域で中間転写ベルト9e上のカラーのトナ一像の先端が用紙における画像形成範囲の先端に合うように、用紙を搬送する。
トナー像が転写された用紙は、ヒートローラ11aおよび加圧ローラ11bにより、トナー像が用紙に定着されながら搬送される。各色のトナー像が定着された用紙は、排出ローラ対14gによって胴内排紙部13または搬送装置50に排出される。
なお、4つの画像形成ステーションのうち少なくとも一つを用いて、モノクロ画像を形成し、モノクロ画像を中間転写ベルト装置9の中間転写ベルト9eに転写することも可能である。このモノクロ画像も、カラー画像と同様に、中間転写ベルト9eから用紙に転写され、用紙上に定着される。
また、用紙の表(オモテ)面だけではなく、両面の画像形成を行う場合は、用紙の表面の画像を定着装置11により定着した後に、用紙を用紙搬送路Sの排出ローラ対14gにより搬送する途中で、排出ローラ対14gを停止させてから逆回転させ、搬送ローラ14hにより用紙を表裏反転経路Srに通して、用紙の表裏を反転させてから、用紙を再びレジストローラ対14fへと導き、用紙の表面と同様に、用紙の裏面にトナー像を転写して定着し、用紙を胴内排紙部13または搬送装置50に排出する。
画像読取装置2は、画像読取部20と、画像読取部20に対して開閉可能に取り付けられた原稿送り装置30とを含んでいる。
画像読取部20は、原稿固定方式による読み取りと、原稿移動方式による読み取りとを行うことが可能なように構成されている。画像読取部20は、原稿台ガラス21と、原稿読取ガラス22と、光源ユニット23と、ミラーユニット24と、撮像部25とを有する。
原稿台ガラス21は、原稿の最大サイズよりも大きい透明なガラス板である。原稿読取ガラス22は、主走査方向(紙面に対する垂直方向)に延びる透明なガラス板である。原稿台ガラス21および原稿読取ガラス22は、光源ユニット23から出射された光を透過するとともに、原稿で反射された光を透過するように構成されている。
光源ユニット23は、原稿へ向けて光を照射する光源23aと、原稿からの反射光をミラーユニット24へ導くミラー23bとを有する。光源ユニット23は、副走査方向Y1に移動可能なように構成されている。光源23aは、主走査方向において間隔を隔てて配置される複数のLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)により構成されている。
ミラーユニット24は、ミラー24aおよび24bを有する。ミラーユニット24は、光源ユニット23の移動速度の1/2の移動速度で、副走査方向Y1に移動可能なように構成されている。ミラー24aは、光源ユニット23のミラー23bからの反射光をミラー24bへと導くために設けられている。ミラー24bは、ミラー24aからの反射光を撮像部25へと導くために設けられている。
撮像部25は、集光レンズやCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)などを有する。撮像部25は、ミラーユニット24のミラー24bからの反射光を、集光レンズを介してCCDの受光面に結像することにより、原稿の画像を撮像するように構成されている。
画像読取部20では、原稿固定方式による読取時に、光源ユニット23およびミラーユニット24を副走査方向Y1に移動させながら、光源23aから光が出射される。このとき、光源23aから出射される光は、原稿台ガラス21を介して原稿台ガラス21上に載置される原稿に照射される。そして、原稿からの反射光は、原稿台ガラス21、光源ユニット23のミラー23b、および、ミラーユニット24のミラー24aおよび24bを介して撮像部25に入射される。これにより、画像読取部20は、原稿台ガラス21上に固定的に配置された原稿の画像を読み取ることが可能である。
また、画像読取部20では、原稿移動方式による読取時に、光源ユニット23を読取位置(図2に示す位置)に停止させた状態で、光源23aから光が出射される。このとき、光源23aから出射される光は、原稿読取ガラス22を介して、原稿送り装置30により原稿読取ガラス22上を搬送方向Y1に搬送される原稿に照射される。そして、原稿からの反射光は、原稿読取ガラス22、光源ユニット23のミラー23b、および、ミラーユニット24のミラー24aおよび24bを介して撮像部25に入射される。これにより、画像読取部20は、原稿送り装置30により原稿読取ガラス22上を搬送される原稿の画像を読み取ることが可能である。
原稿送り装置30は、原稿が載置される原稿トレイ31と、原稿が排出される排紙トレイ32と、原稿トレイ31に載置される原稿を排紙トレイ32へ搬送するための搬送路33aと、読取位置を通過した原稿を読取位置よりも上流側へと戻すための搬送路33bとを含んでいる。
原稿トレイ31には、原稿がフェイスアップで載置されている。原稿トレイ31の近傍には、ピックアップローラ34が設けられている。ピックアップローラ34は、原稿トレイ31に載置された原稿を上から順に原稿送り装置30の内部に取り込むために設けられている。
ピックアップローラ34の近傍には、サバキローラ35aおよび分離ローラ35bが設けられている。サバキローラ35aおよび分離ローラ35bは、複数の原稿が重なった状態で搬送路33aへ搬送されること(重送)を防止するために設けられている。
排紙トレイ32は、原稿トレイ31の下方に配置され、原稿がフェイスダウンで排出される。搬送路33aは、正面から見てU字状に形成されている。搬送路33aには、搬送ローラ対36と排出ローラ対37とが設けられている。
原稿送り装置30では、ピックアップローラ34により、原稿トレイ31に載置される原稿が原稿送り装置30の内部に取り込まれる。そして、取り込まれた原稿がサバキローラ35aおよび分離ローラ35bにより分離される。これにより、搬送路33aに原稿が1枚ずつ搬送される。そして、搬送ローラ対36により原稿が搬送路33aを搬送される。この搬送路33aを搬送される原稿が読取位置を通過する際に、画像読取部20により原稿の表面の画像が読み取られる。
そして、原稿の表面のみが読み取られる場合には、排出ローラ対37により原稿が排紙トレイ32へ排出される。その一方、原稿の両面が読み取られる場合には、原稿が搬送路33bを介して読取位置の上流側へ搬送される。これにより、画像読取部20により原稿の裏面の画像が読み取られる。なお、この場合には、両面の画像が読み取られた原稿が再び搬送路33bを介して読取位置の上流側へ搬送される。その後、排出ローラ対37により原稿が排紙トレイ32へ排出される。これにより、原稿がフェイスダウンで排出される。その結果、原稿トレイ31に複数の原稿が載置され、複数の原稿が連続的に読み取られて排紙トレイ32に排出された場合にも、複数の原稿の順番に対する面の向きが反転するのを防止することができる。
図2Aは、図1に示した画像形成システムにおいて搬送装置の装置本体が収納位置に位置する状態を示した斜視図であり、図2Bは、図1に示した画像形成システムにおいて搬送装置の装置本体が引出位置に位置する状態を示した斜視図である。図3Aは、図2Aに示した搬送装置の装置本体と離間機構部との位置関係を説明するための図であり、図3Bは、図2Bに示した搬送装置の装置本体と離間機構部との位置関係を説明するための図である。図4Aは、図3Aに示した搬送装置の離間機構部をダクトの内側から見た斜視図であり、図4Bは、図3Bに示した搬送装置の離間機構部をダクトの内側から見た斜視図である。図5Aは、図3Aに示した搬送装置の離間機構部と排出ローラ対との位置関係を説明するための図であり、図5Bは、図3Bに示した搬送装置の離間機構部と排出ローラ対との位置関係を説明するための図である。図2A〜図5Bを参照して、本実施の形態に係る画像形成システム100の搬送装置50について説明する。なお、図5Aおよび図5Bでは、図面の見やすさを考慮して、離間機構部54のうち突部545のみを示した。
搬送装置50は、図2Aに示すように、画像形成装置1の胴内排紙部13に配置されている。この搬送装置50は、装置本体51と、装置本体51を水平方向(X1およびX2方向)に移動させるための一対のスライドレール52(図2B参照)と、定着装置11とトナーボトル15aとの間に設けられるダクト53(図1参照)と、ダクト53の内部に設けられた離間機構部54(図3A参照)とを含んでいる。
装置本体51は、一対のスライドレール52に載置されており、胴内排紙部13に収納された収納位置(図2A参照)と、胴内排紙部13から引き出された引出位置(図2B参照)との間を水平方向(X1およびX2方向)に移動可能に構成されている。すなわち、装置本体51は、画像形成装置1の前面側に引き出し可能に構成されている。なお、搬送装置50には、画像形成装置1の前面側に、装置本体51が収納位置に位置する状態で開閉可能な蓋部材55が設けられている。
装置本体51は、画像形成装置1から供給される用紙を搬送する複数の搬送ローラ対51a(図1参照)と、画像形成装置1から供給される用紙に対して後処理を施す後処理部51b(図1参照)とを有する。
搬送ローラ対51aは、画像形成装置1の排出ローラ対14gにより画像形成装置1から排出される用紙を後処理部51bに搬送するとともに、後処理部51bにより後処理が施された用紙を画像形成装置1の側方に設けられた排紙トレイ(図示省略)に排出するように構成されている。後処理部51bは、たとえば、穿孔処理または綴じ処理などの後処理を用紙に対して施すために設けられている。
また、装置本体51には、前面51cの内側にピン51d(図3Aおよび図3B参照)が設けられている。
一対のスライドレール52は、一方が搬送装置50の側板56(図2B参照)に取り付けられ、他方がダクト53(図3B参照)に取り付けられている。スライドレール52は、たとえば、三段引きのスライドレールである。
ダクト53は、定着装置11において発生する熱がトナーボトル15a〜15dに伝わるのを抑制するために設けられている。ダクト53は、水平方向(X1およびX2方向)に延びるように筒状に形成されている。ダクト53は、断面視凹状に形成された板部材531および532により構成されている。
板部材531には、離間機構部54をガイドするための溝部531a〜531c(図3Aおよび図3B参照)が形成されている。すなわち、ダクト53の側面に溝部531a〜531cが形成されている。板部材532は、X1方向側の端部にダクト53の内側に向かって立ち上がるように形成された立ち上がり部532aを有する。
立ち上がり部532aには、装置本体51が収納位置(図3A参照)に位置する場合に、装置本体51のピン51dが挿入(配置)される孔部532bが形成されている。また、立ち上がり部532aは、図3Bに示すように、装置本体51が収納位置に位置せず、孔部532bにピン51dが挿入されていない場合に、離間機構部54の当接面541a(図4Aおよび図4B参照)と当接するように構成されている。そして、装置本体51のピン51dと、ダクト53の孔部532bと、離間機構部54の当接面541aとは、正面から見て対応する位置(重なる位置)に配置されている。
離間機構部54は、装置本体51が収納位置から引出位置に移動されるときに、画像形成部3の排出ローラ対14g(図5Aおよび図5B参照)を離間させるように構成されている。この離間機構部54は、たとえば、横方向(X1およびX2方向)への移動を略縦方向(D1およびD2方向)への移動に変換するリンク機構である。
離間機構部54は、図4Aおよび図4Bに示すように、可動部材541および542と、突部543〜545(図3Aおよび図3B参照)と、連結部546と、ねじりコイルばね547とを有する。
可動部材541および542は、ダクト53の内側面に配置されている。具体的には、可動部材541および542は、板部材531に沿うように配置されている。可動部材541および542は、可動部材541のX2方向側の端部において連結部546により連結されている。これにより、可動部材541および542は、連動するように構成されている。可動部材541には、装置本体51が収納位置(図3A参照)に位置するときに、ピン51dが当接されるとともに、装置本体51が収納位置に位置しないときに、立ち上がり部532aと当接する当接面541aがX1方向側の端部に形成されている。
突部543〜545は、側方に突出するように形成されており、それぞれ、ダクト53の溝部531a〜531cに挿入されている。突部543は可動部材541に形成され、突部544は連結部546に形成され、突部545は可動部材542に形成されている。
ねじりコイルばね547は、コイル部の内部に可動部材542の軸部542aが配置されている。また、ねじりコイルばね547は、一方端が可動部材542の係合部542bに係合され、他方端がダクト53に取り付けられている。これにより、ねじりコイルばね547は、突部543および544がX1方向に移動し、突部545がD1方向に移動するように、可動部材541および542を付勢するように構成されている。
画像形成部3の排出ローラ対14gは、図5Aおよび図5Bに示すように、対向配置される駆動ローラ141gおよび従動ローラ142gを有する。なお、排出ローラ対14gは、本発明の「搬送ローラ対」の一例である。また、駆動ローラ141gおよび従動ローラ142gは、それぞれ、本発明の「第1ローラ」および「第2ローラ」の一例である。
従動ローラ142gは、画像形成部3に設けられた保持部材16に保持されている。この保持部材16は、回動軸16aを中心にしてR1方向およびR2方向に回動可能に構成されるとともに、ばね部材(図示省略)によりR2方向に付勢されている。このため、従動ローラ142gは、駆動ローラ141gと接触する接触位置(図5A参照)と、駆動ローラ141gと離間する離間位置との間を移動可能に構成されている。また、保持部材16には、離間機構部54の突部545と係合される爪部材16bが取り付けられている。
次に、図1〜図5Bを参照して、本実施の形態に係る画像形成システム100における搬送装置50の装置本体51の引き出し時の動作について説明する。
まず、図2Aに示すように、装置本体51が収納位置に収納されている場合には、図3Aに示すように、装置本体51のピン51dがダクト53の孔部532bに挿入されている。このとき、ピン51dにより離間機構部54の当接面541aがねじりコイルばね547(図4A参照)の付勢力に抗してX2方向に押されている。これにより、突部543が溝部531aのX2方向側の端部に配置され、突部544が溝部531bのX2方向側の端部に配置され、突部545が溝部531cのD2方向側の端部に配置される。
このとき、離間機構部54の突部545が溝部531cのD2方向側に配置されることにより、図5Aに示すように、突部545が保持部材16の爪部材16bと離間している。そして、ばね部材(図示省略)により保持部材16がR2方向に付勢されていることから、従動ローラ142gが駆動ローラ141gと接触する接触位置に位置している。したがって、装置本体51が収納位置に収納されている場合には、排出ローラ対14gにより用紙を挟持することができるので、画像形成装置1(図1参照)から搬送装置50に用紙を供給することが可能である。
そして、図2Bに示すように、装置本体51が胴内排紙部13から引き出された場合には、図3Bに示すように、装置本体51のピン51dがX1方向に移動することにより、ピン51dが孔部532bから抜かれる(ピン51dが孔部532bに配置されなくなる)。このとき、ねじりコイルばね547(図4B参照)の付勢力により、離間機構部54の当接面541aが立ち上がり部532aと当接するまでX1方向に移動する。これにより、突部543が溝部531aに沿ってX1方向に移動され、突部544が溝部531bに沿ってX1方向に移動され、突部545が溝部531cに沿ってD1方向に移動される。
このとき、離間機構部54の突部545が溝部531cに沿ってD2方向に移動されることにより、図5Bに示すように、保持部材16の爪部材16bに突部545が係合される。このため、保持部材16がばね部材(図示省略)の付勢力に抗してR1方向に回動されるので、従動ローラ142gが接触位置から離間位置に移動される。
本実施の形態では、上記のように、装置本体51が胴内排紙部13から引き出されるときに、排出ローラ対14gを離間させる離間機構部54を設ける。このように構成することによって、紙づまりが発生した場合に、ジャム処理を行うために、装置本体51が胴内排紙部13から引き出されるときに、離間機構部54により排出ローラ対14gが離間するので、つまった用紙が排出ローラ対により挟持されている場合に比べて、つまった用紙が破れるのを抑制することができる。これにより、ジャム処理が困難になるのを抑制することができる。
たとえば、搬送装置の搬送ローラ対により用紙が挟持されたり、搬送装置の搬送路に用紙が引っかかったりしている状態で、搬送装置の装置本体が引き出された場合には、画像形成装置の排出ローラ対により用紙が挟持されていると、その引き出し動作によって用紙に力が加えられるので、用紙が破れやすくなるが、本実施の形態では、装置本体51が引き出されるときに、排出ローラ対14gが離間することにより、つまった用紙に力が加わりにくいので、用紙が破れにくくなる。そして、装置本体51の搬送ローラ対51aにより用紙が挟持されたり、装置本体51の搬送路に用紙が引っかかったりしている場合には、その用紙を装置本体51とともに引き出しやすくすることができる。
また、本実施の形態では、離間機構部54がダクト53の内部に配置されることによって、離間機構部54を設けることに起因して搬送装置50が大型化するのを抑制することができる。
また、本実施の形態では、装置本体51の収納位置からの引き出し動作に連動して、離間機構部54が排出ローラ対14gを離間させることによって、装置本体51が引き出されるときに、容易に、排出ローラ対14gを離間させることができる。
また、本実施の形態では、離間機構部54が横方向(X1およびX2方向)への移動を略縦方向(D1およびD2方向)への移動に変換することによって、装置本体51の収納位置からの引き出し動作に連動して、従動ローラ142gを保持する保持部材16を回動させることができる。
なお、今回開示した実施の形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、本実施の形態では、搬送装置50に後処理部51bが設けられる例を示したが、これに限らず、搬送装置に後処理部が設けられておらず、搬送装置が画像形成装置1から供給される用紙を中継搬送するように構成されていてもよい。この場合には、搬送装置の下流側に後処理装置(図示省略)が別個に設けられていてもよい。
また、本実施の形態では、後処理部51bにより後処理が施された用紙を画像形成装置1の側方に設けられた排紙トレイ(図示省略)に排出する例を示したが、これに限らず、搬送装置50の下流側に後処理装置(図示省略)を設け、後処理部51bにより後処理が施された用紙を後処理装置に中継搬送するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、装置本体51が収納位置に位置せず、孔部532bにピン51dが挿入されていない場合に、離間機構部54の当接面541aが立ち上がり部532aに当接する例を示したが、これに限らず、装置本体51が収納位置に位置せず、孔部532bにピン51dが挿入されていない場合に、離間機構部54の当接面541aが立ち上がり部532aと離間していてもよい。
また、本実施の形態では、回動可能な保持部材16により従動ローラ142gが保持される例を示したが、これに限らず、回動可能な保持部材により駆動ローラが保持されていてもよい。