JP5812403B2 - アルカリ二次電池 - Google Patents
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Description
更に詳細には、本発明は、充放電サイクルを長寿命化し得るアルカリ二次電池に関する。
自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵となるモータ駆動用二次電池の開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、高いエネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。
しかしながら、電気自動車では、ガソリン自動車並みの性能とともに、1充電当たりの航続距離がガソリン自動車に匹敵することが求められており、従来のリチウムイオン二次電池の技術的改善では、目標到達が非常に難しいことが指摘されている。
そこで、リチウムイオン二次電池を凌駕するより高いエネルギー密度化を実現し得る電池として、金属空気電池が注目を浴びている。
例えば、水系電解液を用いた亜鉛空気電池においては、充放電サイクルの寿命が短い原因として、亜鉛の析出時に発生するデンドライトや形態変化が指摘されている。
また、本発明のアルカリ二次電池においては、上記被膜が、酸化インジウム及び酸化鉛のうちの少なくとも一方を含む。
そのため、充放電サイクルを長寿命化し得るアルカリ二次電池を提供することができる。
また、本実施形態のアルカリ二次電池における負極、被膜若しくは電解質又はこれらの任意の組み合わせに係るものが、亜鉛の標準電極電位より貴であり且つ亜鉛の融点より低い融点を有する金属、該金属を含む酸化物、該金属を含む塩若しくは該金属を含むイオン又はこれらの任意の組み合わせに係るものを含む。
このような構成とすることにより、充放電サイクルを長寿命化し得るアルカリ二次電池となる。
イオン交換樹脂を含む被膜の形成方法は従来公知の被膜形成方法を適宜採用することができる。例えば、イオン交換樹脂を分散性の良い溶媒に適当な濃度で分散させたディスパージョンをスピンコーターなどを用いて塗布し、被膜を形成する方法を適用することができる。
このような被膜の厚さは通常、数μmであるが、負極活物質の溶解、析出が繰り返し円滑に且つ効率的に行われればよく、何らこれらの方法や被膜の厚さが限定されるものではない。
イオンの状態とすることで、イオン交換樹脂中をイオンが透過し、負極ないし負極活物質の表面に供給され、水素ガスの発生が抑制される。
なお、負極ないし負極活物質の表面又は内部へ上記金属を含有させる方法については従来公知の含有させる方法を適宜採用することができる。例えば、無電解めっき法を適用することができる。すなわち、上述した1種又は複数種の金属酸化物や金属塩を溶解させた溶液に負極活物質を一定時間浸漬して、このような金属を負極活物質の表面に析出させる方法である。このような金属の析出の形成完了については、表面の色が変化する時点をもって判断することができる。また、別の方法として、1種又は複数種の金属酸化物や金属塩を溶解させた溶液に負極活物質を電極として浸漬し、対極に白金などの適当な金属板を配置し、若しくはこれに更に適当な参照電極を配置して、適宜一定時間ごとに電位を掃引し、このような金属を負極活物質の表面に析出させる方法である。このような金属の析出の形成完了については、電流値の変化が小さくなった時点をもって完了することができる。しかしながら、形成された金属が負極活物質の溶解、析出を妨げることなく、水素過電圧を低下することができればよく、これらの方法に何ら限定されることはない。
このような析出金属の厚さは、イオン交換樹脂を含む被膜と同程度、若しくはそれより薄い厚さで形成されるが、この厚さについても、負極活物質の溶解、析出が繰り返し円滑に且つ効率的に行われればよく、何ら限定されるものではない。
なお、カチオン交換樹脂を含む被膜への上記金属を含む酸化物、塩、イオンなどを含有させる方法については従来公知の含有させる方法を適宜採用することができる。例えば、カチオン交換樹脂を含むディスパージョン溶液として、上記金属を含む酸化物、塩、イオンなどを添加した溶液を用いて、スピンコーターなどを用いて負極ないし負極活物質上に塗布する方法を挙げることができるが、これらの方法に何ら限定されるものではない。
まず、正極を作製した。発泡ニッケルを集電体とし、これにオキシ水酸化ニッケルペーストを定着させ、成型して、本例で用いる正極とした。
次いで、負極を作製した。負極活物質としての亜鉛板(厚さ:1mm、亜鉛の融点:419.5℃)を所定の大きさに切り出し、表面をエタノールで洗浄して、本例で用いる負極とした。
次いで、負極活物質上に被膜を形成した。得られた負極の表面上にイオン交換樹脂であるNAFIONを含むNAFIONディスパージョン(デュポン社製)を約500μL滴下し、適当な回転速度のスピンコートにより負極活物質上に被膜を形成した。乾燥後のNAFION被膜の厚さは約4mmであった。
更に、4Nの水酸化カリウム(KOH)水溶液に1L当たり0.02gの酸化鉛(鉛の融点:327.46℃)を溶解させ、本例で用いる電解質とした。
なお、Hg/HgO電極を参照電極とした。
しかる後、これらを用いて、図1に示すような本例の試験セルを作製した。
参考例1−1における被膜を形成せず、参考例1−1の電解質に代えて4Nの水酸化カリウム(KOH)水溶液を、本例で用いる電解質としたこと以外は、参考例1−1と同様の操作を繰り返し、図1に示すような本例の試験セルを作製した。
参考例1−1の電解質に代えて4Nの水酸化カリウム(KOH)水溶液を、本例で用いる電解質としたこと以外は、参考例1−1と同様の操作を繰り返し、図1に示すような本例の試験セルを作製した。
得られた結果を図2に示す。すなわち、図2は、参考例1−1、比較例1−1及び比較例1−2の各サイクルごとの充放電効率の結果を示した図である。図2中の曲線2−1は参考例1−1の充放電効率のサイクルによる変化を、曲線2−2は比較例1−1の充放電効率のサイクルによる変化を、曲線2−3は比較例1−2の充放電効率のサイクルによる変化を示したものである。
図2より明らかなように、参考例1−1は、比較例1−1及び比較例1−2に比べて全てのサイクルにおいて充放電効率が100%に最も近く、安定的で優れた結果を示した。
まず、正極を作製した。発泡ニッケルを集電体とし、これにオキシ水酸化ニッケルペーストを定着させ、成型して、本例で用いる正極とした。
次いで、負極を作製した。負極活物質としての亜鉛板(厚さ:1mm、亜鉛の融点:419.5℃)を所定の大きさに切り出し、表面をエタノールで洗浄して、本例で用いる負極とした。
次いで、負極活物質上に被膜を形成した。得られた負極の表面上にイオン交換樹脂であるNAFIONを含むNAFIONディスパージョン(デュポン社製)を約500μL滴下し、適当な回転速度のスピンコートにより負極活物質上に被膜を形成した。乾燥後のNAFION被膜の厚さは約4mmであった。
更に、4Nの水酸化カリウム(KOH)水溶液に1L当たり0.0002gの酸化鉛(鉛の融点:327.46℃)を溶解させ、本例で用いる電解質とした。
なお、Hg/HgO電極を参照電極とした。
しかる後、これらを用いて、図1に示すような本例の試験セルを作製した。
参考例2−1の電解質に代えて4Nの水酸化カリウム(KOH)水溶液に1L当たり0.02gの酸化鉛(鉛の融点:327.46℃)を溶解させた電解質としたこと以外は、参考例2−1と同様の操作を繰り返し、図1に示すような本例の試験セルを作製した。なお、本例は、参考例1−1と同一である。
参考例2−1の電解質に代えて4Nの水酸化カリウム(KOH)水溶液に1L当たり0.2gの酸化鉛(鉛の融点:327.46℃)を溶解させた電解質としたこと以外は、参考例2−1と同様の操作を繰り返し、図1に示すような本例の試験セルを作製した。
参考例1−1の電解質に代えて4Nの水酸化カリウム(KOH)水溶液を、本例で用いる電解質としたこと以外は、参考例1−1と同様の操作を繰り返し、図1に示すような本例の試験セルを作製した。なお、本例は比較例1−2と同一である。
得られた結果を図3に示す。すなわち、図3は、参考例2−1〜参考例2−3及び比較例2−1の各サイクルごとの充放電効率の結果を示した図である。図3中の曲線3−1は参考例2−1の充放電効率のサイクルによる変化を、曲線3−2は参考例2−2の充放電効率のサイクルによる変化を、曲線3−3は参考例2−3の充放電効率のサイクルによる変化を、曲線3−4は比較例2−1の充放電効率のサイクルによる変化を示したものである。
図3より明らかなように、参考例2−1〜参考例2−3は比較例2−1に比べて優れた充放電効率のサイクル安定性を示した。
まず、正極を作製した。発泡ニッケルを集電体とし、これにオキシ水酸化ニッケルペーストを定着させ、成型して、本例で用いる正極とした。
次いで、負極を作製した。負極活物質としての亜鉛板(厚さ:1mm、亜鉛の融点:419.5℃)を所定の大きさに切り出し、表面をエタノールで洗浄した。次いで、4Nの水酸化カリウム(KOH)水溶液に1L当たり2gの酸化鉛を溶解した溶液を調製し、外溶液にエタノールで洗浄した亜鉛板を2時間浸漬し、亜鉛板表面に鉛層を形成して、本例で用いる負極とした。
次いで、鉛層を形成した負極上に被膜を形成した。得られた負極の表面上にイオン交換樹脂であるNAFIONを含むNAFIONディスパージョン(デュポン社製)を約500μL滴下し、適当な回転速度のスピンコートにより負極上に被膜を形成した。乾燥後のNAFION被膜の厚さは約4mmであった。
更に、4Nの水酸化カリウム(KOH)水溶液を、本例で用いる電解質とした。
なお、Hg/HgO電極を参照電極とした。
しかる後、これらを用いて、図1に示すような本例の試験セルを作製した。
得られた結果を図4に示す。すなわち、図4は、参考例3−1の各サイクルごとの充放電効率の結果を示した図である。図4中の曲線4−1は参考例3−1の充放電効率のサイクルによる変化を示したものである。
図4より明らかなように、参考例3−1は優れた充放電効率を示した。
まず、正極を作製した。発泡ニッケルを集電体とし、これにオキシ水酸化ニッケルペーストを定着させ、成型して、本例で用いる正極とした。
次いで、負極を作製した。負極活物質としての亜鉛板(厚さ:1mm、亜鉛の融点:419.5℃)を所定の大きさに切り出し、表面をエタノールで洗浄して、本例で用いる負極とした。
次いで、負極活物質上に被膜を形成した。イオン交換樹脂であるNAFIONを含むNAFIONディスパージョン(デュポン社製)を2mLと10mgの酸化鉛とを混合し、得られた混合物を負極の表面上に滴下し、適当な回転速度のスピンコートにより負極上に被膜を形成した。乾燥後のNAFION被膜の厚さは約4mmであった。
更に、4Nの水酸化カリウム(KOH)水溶液を、本例で用いる電解質とした。
なお、Hg/HgO電極を参照電極とした。
しかる後、これらを用いて、図1に示すような本例の試験セルを作製した。
まず、正極を作製した。発泡ニッケルを集電体とし、これにオキシ水酸化ニッケルペーストを定着させ、成型して、本例で用いる正極とした。
次いで、負極を作製した。負極活物質としての亜鉛板(厚さ:1mm、亜鉛の融点:419.5℃)を所定の大きさに切り出し、表面をエタノールで洗浄して、本例で用いる負極とした。
次いで、負極活物質上に被膜を形成した。イオン交換樹脂であるNAFIONを含むNAFIONディスパージョン(デュポン社製)を2mLと10mgの酸化インジウムとを混合し、得られた混合物を負極の表面上に滴下し、適当な回転速度のスピンコートにより負極上に被膜を形成した。乾燥後のNAFION被膜の厚さは約4mmであった。
更に、4Nの水酸化カリウム(KOH)水溶液を、本例で用いる電解質とした。
なお、Hg/HgO電極を参照電極とした。
しかる後、これらを用いて、図1に示すような本例の試験セルを作製した。
得られた結果を図5に示す。すなわち、図5は、実施例4−1及び実施例4−2の各サイクルごとの充放電効率の結果を示した図である。図4中の曲線5−1は実施例4−1の充放電効率のサイクルによる変化を、曲線5−2は実施例4−2の充放電効率のサイクルによる変化を示したものである。
図5より明らかなように、実施例4−1及び実施例4−2は優れた充放電効率を示した。
また、イオン交換樹脂としてカチオン交換樹脂、スルホン酸基やリン酸基、カルボン酸記を有するものを適用すると、充放電サイクルを長寿命化し得るものと推測される。
更に、亜鉛の標準電極電位より貴であり且つ亜鉛の融点より低い融点を有する金属としてインジウムやビスマス、タリウム、鉛などを適用したため、充放電サイクルを長寿命化し得たと推察できる。
2 負極
3 被膜
4 電解質
10 参照電極
11 躯体
12 底部ホルダー
13 蓋
Claims (3)
- 正極と、
亜鉛及び亜鉛化合物の少なくとも一方を負極活物質として含む負極と、
上記負極ないし負極活物質上に形成されたイオン交換樹脂を含む被膜と、
アルカリ水溶液を電解液として含む電解質と
を有し、
上記被膜が、酸化インジウム及び酸化鉛のうちの少なくとも一方を含む
ことを特徴とするアルカリ二次電池。 - 上記イオン交換樹脂がカチオン交換樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ二次電池。
- 上記イオン交換樹脂がスルホン酸基、リン酸基及びカルボン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ二次電池。
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