JP5803564B2 - 車両の操舵支援装置及び操舵支援方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載されている操舵支援装置は、現在及び将来予測される障害物へ接触する可能性を、障害物と自車両との間の相対運動を考慮して設定することにより、障害物の回避に最適な走行経路を自車両が走行するための技術である。ここで、障害物の回避に最適な走行経路を自車両が走行するためには、操舵輪にトルクを出力する操舵制御を行う。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、操舵操作に対する運転者の意図の反映度合いが低下することを抑制可能な、車両の操舵支援装置及び操舵支援方法を提供することを課題とする。
そして、走行路上において、目標点に自車両が到達した時点における、自車両の車幅方向右側及び車幅方向左側のうち少なくとも一方に存在する障害物と自車両との間の車幅方向の距離である余裕代を算出する。さらに、算出した余裕代が大きいほど、操舵支援トルクを小さく算出する。
ここで、目標操舵角は、検出した走行路において、自車両が、予め設定した時間経過後及び予め設定した距離到達後のうち少なくとも一方に通過すると予測される目標経路上の点である目標点に到達するために必要な、操舵輪の回転角度である。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1は、本実施形態の操舵支援装置1の構成を示すブロック図である。
図1中に示すように、本実施形態の操舵支援装置1は、目標操舵角算出装置2と、操舵角センサ4と、余裕代算出部6と、操舵角偏差算出部8と、操舵支援トルク算出部10と、操舵角速度センサ12と、トルク指令減衰回路14と、EPS16を備える。
目標操舵角算出装置2は、撮像回路18と、画像処理回路20と、目標経路算出回路22と、目標操舵角算出回路24を備える。
画像処理回路20は、撮像回路18が出力した情報信号に基づき、撮像回路18が取得した画像に対するエッジ検出等を行い、さらに、オブジェクトの認識を行うことにより、路上のうち、自車両が走行可能な領域を検出する。そして、画像処理回路20は、検出した領域を含む情報信号を、目標経路算出回路22及び余裕代算出部6へ出力する。
目標経路算出回路22は、画像処理回路20が出力した情報信号に基づき、画像処理回路20が検出した領域において、自車両が辿るべき(走行するべき)目標経路(走行路)を算出する。そして、目標経路算出回路22は、算出した目標経路を含む情報信号を、目標操舵角算出回路24及び余裕代算出部6へ出力する。
次に、走行路上における自車両の現在位置と、現在位置における操舵輪の回転角度から、設定した目標点に到達するために必要な操舵角を算出する。そして、算出した操舵角を、目標操舵角θ*とする。
ここで、本実施形態では、一例として、予め、目標操舵角算出回路24に、車両運動モデルを記憶させておき、この車両運動モデルを、目標操舵角θ*の算出に用いる場合を説明する。これにより、本実施形態の操舵支援装置1では、車両運動モデルを目標操舵角θ*の算出に用いない場合と比較して、より正確な目標操舵角θ*の算出が可能となる。
以上により、目標操舵角算出装置2は、目標操舵角θ*を算出し、この算出した目標操舵角θ*を含む情報信号を、操舵角偏差算出部8へ出力する。
余裕代算出部6は、自車両の走行路上において、自車両の現在位置からt秒後に通過すると予測される目標経路上の点を、目標点として設定する。なお、目標点の設定は、例えば、上述した目標操舵角θ*の算出と同様の手順で行う。
また、図2中では、障害物Bとして、路上に存在する二台の他車両(小型車両B1、大型車両B2)と、走行路の側壁(車幅方向右側の側壁B3、車幅方向左側の側壁B4)を示している。
すなわち、本実施形態では、余裕代算出部6は、自車両の走行路上の目標点に自車両が到達した時点における、障害物と自車両との間の距離である余裕代として、自車両Vの車幅方向右側における余裕代と、自車両の車幅方向左側における余裕代を算出する。
ここで、操舵角偏差δθを算出する際には、現在操舵角θから目標操舵角θ*を減算する。したがって、操舵角偏差δθは、以下の式(1)により算出される。
δθ=θ−θ* … (1)
操舵支援トルク算出部10は、余裕代算出部6及び操舵角偏差算出部8が出力した情報信号に基づき、トルク指令信号を算出する。そして、操舵支援トルク算出部10は、算出したトルク指令信号を含む情報信号を、トルク指令減衰回路14へ出力する。
ここで、操舵支援トルク算出部10は、トルク指令値Toを算出する際に、以下に説明する処理を行う。
そして、操舵支援トルク算出部10は、選択した距離(drまたはdl)が長いほど、トルク指令値Toが小さくなるように、トルク指令値Toの算出に用いるバネ係数K(c)を演算する。
すなわち、操舵支援トルク算出部10は、トルク指令値Toを、図3中に示す、バネ係数K(c)と余裕代との関係と、以下に示す式(2)を用いて算出する。ここで、余裕代は、障害物Bと自車両Vとの間の余裕代である。なお、図3は、バネ係数K(c)と余裕代との関係を示す図である。
To=K(c)×(θ−θ*) … (2)
すなわち、操舵支援トルク算出部10は、余裕代算出部6が算出した余裕代が大きいほど、操舵支援トルクが小さくなるように、トルク指令値Toを算出する。
トルク指令減衰回路14は、操舵支援トルク算出部10及び操舵角速度センサ12が出力した情報信号に基づき、減衰指令信号を算出する。
なお、本実施形態では、一例として、トルク減衰指令値Tを、以下に示す式(3)を用いて算出する場合について説明する。
T=(θ−θ*)×θ’+To … (3)
トルク減衰指令値Tを算出したトルク指令減衰回路14は、この算出したトルク減衰指令値Tを含む指令信号を、EPS16へ出力する。
EPS16は、操舵輪へ操舵支援トルクを出力可能な電動モータを有する。したがって、EPS16は、例えば、公知の電動パワーステアリング(Electric Power Steering)を用いて形成する。
なお、EPS16が行なう電動モータの制御は、一般的に、電動モータへ供給する電流を制御して行う。したがって、本実施形態においても、電動モータへ供給する電流を制御して電動モータの制御を行い、トルク減衰指令値Tに相当する操舵支援トルクを、操舵輪へ出力する。
図4は、本実施形態の操舵支援装置1が行う処理を示すフローチャートである。
図4中に示すフローチャートは、自車両Vが走行しており、自車両Vの運転者が、操舵支援装置1を作動させるスイッチを操作(ON)した状態からスタートする(図4中に示す「START」)。
ステップS110では、操舵支援トルク算出部10により、上述した右側距離dr及び左側距離dlのうち、短い距離を選択する。これにより、ステップS110では、操舵支援トルク算出部10により、トルク減衰指令値Tの算出に用いる余裕代を決定(ステップS110に示す「余裕代の決定 min(dr,dl)」)する。ステップS110において、余裕代を決定すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS112へ移行する。
ステップS114では、操舵角速度センサ12により、操舵角速度θ’を検出(ステップS114に示す「操舵角速度検出」)する。そして、操舵角速度θ’を検出した操舵角速度センサ12は、検出した操舵角速度θ’を含む情報信号を、トルク指令減衰回路14へ出力する。ステップS114において、操舵角速度θ’を検出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS116へ移行する。
ステップS116において、トルク減衰指令値Tを含む指令信号をEPS16へ出力すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS118へ移行する。
ここで、操舵支援トルク算出部10は、余裕代算出部6が算出した余裕代(右側距離drまたは左側距離dl)が大きいほど、操舵支援トルク(トルク指令値To)を小さい値に算出している。
これにより、運転者の意図する走行経路が、設定した走行経路から逸脱する経路である場合において、余裕代が大きいほど、小さく算出した操舵支援トルクが操舵輪へ出力されることとなる。
ステップS118においてEPS16を制御し、トルク指令減衰回路14が算出したトルク減衰指令値Tに応じた操舵支援トルクを、操舵輪へ出力すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS100の処理に復帰(図5中に示す「RETURN」)する。
次に、図1から図4を参照して、本実施形態の操舵支援装置1が行なう動作の一例について説明する。
上述したように、自車両Vの走行時に、運転者が操舵支援装置1を作動させると、操舵支援装置1が、目標操舵角θ*の算出、現在操舵角θの検出、操舵角偏差δθの算出を行う。そして、自車両Vが、例えば、小型車両B1と側壁B3との間を走行する状況(図2参照)等において、操舵支援装置1が、右側距離dr及び左側距離dlの算出を行う。
余裕代を決定した操舵支援トルク算出部10は、トルク指令値Toを算出し、この算出したトルク指令値Toを含む情報信号を、トルク指令減衰回路14へ出力する。
また、操舵角速度センサ12が、操舵角速度θ’を検出し、この検出した操舵角速度θ’を含む情報信号を、トルク指令減衰回路14へ出力する。
指令信号の入力を受けたEPS16は、トルク指令減衰回路14が算出したトルク減衰指令値Tに相当する操舵支援トルクを操舵輪へ出力するように、EPS16を制御する。これにより、運転者が操舵輪を操舵する操舵トルクに対して、操舵支援トルクが干渉する。
このため、例えば、小型車両B1と側壁B3との間が広い場合では、小型車両B1と側壁B3との間が狭い場合と比較して、操舵トルクに対して操舵支援トルクが干渉する割合が低下する。
これにより、運転者の意図する走行経路が、設定した走行経路から逸脱する経路である場合であっても、余裕代の大きさに応じて、操舵操作に対する運転者の意図の反映度合いを変化させることが可能となる。
同様に、ステップS104は、操舵角偏差算出ステップに対応する。また、ステップS106からS110は、余裕代算出ステップに対応する。また、ステップS112は、操舵支援トルク算出ステップに対応する。また、ステップS118は、操舵支援トルク出力ステップに対応する。
(1)操舵支援トルク算出部10が、余裕代算出部6が算出した余裕代が大きいほど、操舵支援トルク(トルク指令値To)を小さい値に算出する。
このため、運転者の意図する走行経路が設定した走行経路から逸脱する経路である場合において、余裕代算出部6が算出した余裕代が大きいほど、運転者が操舵輪を操舵する操舵トルクに対して、操舵支援トルクが干渉する割合が低下することとなる。
その結果、運転者の意図する走行経路が設定した走行経路から逸脱する経路である場合であっても、余裕代算出部6が算出した余裕代の大きさに応じて、操舵操作に対する運転者の意図の反映度合いが低下することを抑制可能となる。
その結果、全体的な余裕代が大きい場合であっても、自車両Vが側壁等の障害物に接近する傾向が増加している状況では、障害物へ接触・到達する可能性が増加していることを、操舵支援トルクの大きさの変化により、運転者へ伝達することが可能となる。
その結果、時間の経過に伴って変化する状況の変化(例えば、余裕代の大きさの変化)を、操舵支援トルクの大きさの変化により、運転者へ伝達することが可能となる。
このため、運転者の意図する走行経路が設定した走行経路から逸脱する経路である場合において、余裕代算出部6が算出した余裕代が大きいほど、運転者が操舵輪を操舵する操舵トルクに対して、操舵支援トルクが干渉する割合が低下することとなる。
その結果、運転者の意図する走行経路が設定した走行経路から逸脱する経路である場合であっても、余裕代算出部6が算出した余裕代の大きさに応じて、操舵操作に対する運転者の意図の反映度合いが低下することを抑制可能となる。
(1)本実施形態の操舵支援装置1では、余裕代算出部6の構成を、余裕代として、右側距離drと左側距離dlを算出する構成としたが、余裕代算出部6の構成は、これに限定するものではない。
すなわち、例えば、操舵支援装置1の構成を、自車両Vの車両前後方向の前面に配置して、自車両Vの車両前後方向前方に対してレーザーを照射する複数のレーザーセンサを備えた構成とする。そして、複数のレーザーセンサにより、それぞれ、レーザーの照射と、レーザーの照射後に走行経路上の障害物等により反射されたレーザーの受信を行い、レーザーを照射及び受信した時間と、レーザーを受信した方向を含む情報信号を、余裕代算出部6へ出力する。
また、上式(6)で算出する「Cright」は、図5中に示すように、自車両Vの車幅方向右側に障害物Bである壁B3が存在し、この壁B3にi番目のレーザーセンサが照射したレーザーが反射している場合の、障害物Bと自車両Vとの余裕代である。なお、以降の説明では、余裕代Crightを、「Cr」と記載する場合がある。
なお、予め設定した照射範囲とは、例えば、自車両Vの車幅方向中心から車両前後方向前方へ向けて延在し、且つ車幅方向と直交する軸を基準として、左右60[°]とする。
図6中に示すフローチャートは、自車両Vが走行しており、自車両Vの運転者によって、操舵支援装置1を作動させるスイッチが操作(ON)された状態からスタートする(図6中に示す「START」)。
ステップS206では、余裕代算出部6により、自車両Vの車幅方向右側における障害物Bと自車両Vとの余裕代Crを算出(ステップS206に示す「右側余裕代Crの算出」)する。そして、右側余裕代Crを算出した余裕代算出部6は、算出した右側余裕代Crを含む情報信号を、操舵支援トルク算出部10へ出力する。ステップS206において、右側余裕代Crを算出すると、操舵支援装置1が行う処理は、ステップS208へ移行する。
なお、ステップS206の処理とステップS208の処理は、逆の順番(ステップS204→ステップS208→ステップS206→ステップS210)で行ってもよい。
ステップS212〜S218の処理は、上述したステップS112〜S118の処理と同様であるため、その説明を省略する。
2 目標操舵角算出装置
4 操舵角センサ
6 余裕代算出部
8 操舵角偏差算出部
10 操舵支援トルク算出部
12 操舵角速度センサ
14 トルク指令減衰回路
16 EPS
18 撮像回路
20 画像処理回路
22 目標経路算出回路
24 目標操舵角算出回路
V 自車両
B 障害物
Claims (4)
- 自車両が走行する走行路を検出する走行路検出部と、
前記走行路検出部が検出した走行路上において、前記自車両が、現在位置と前記現在位置における操舵輪の回転角度とから、予め設定した時間経過後及び予め設定した距離到達後のうち少なくとも一方に通過すると予測される目標経路上の点である目標点に到達するために必要な前記操舵輪の回転角度である目標操舵角を算出する目標操舵角算出部と、
前記操舵輪の現在の回転角度である現在操舵角を検出する現在操舵角検出部と、
前記目標操舵角算出部が算出した前記目標操舵角と前記現在操舵角検出部が検出した前記現在操舵角との差分である操舵角偏差を算出する操舵角偏差算出部と、
前記操舵角偏差算出部が算出した操舵角偏差を縮小させるための操舵支援トルクを算出する操舵支援トルク算出部と、
前記操舵支援トルク算出部が算出した前記操舵支援トルクを前記操舵輪へ出力する操舵支援トルク出力部と、
前記走行路検出部が検出した走行路において前記自車両の車幅方向右側及び車幅方向左側のうち少なくとも一方に存在する障害物を検出する障害物検出部と、
前記走行路検出部が検出した走行路上において、前記目標点に前記自車両が到達した時点における、前記障害物検出部が検出した障害物と前記自車両との間の前記車幅方向の距離である余裕代を算出する余裕代算出部と、を備え、
前記操舵支援トルク算出部は、前記余裕代算出部が算出した余裕代が大きいほど、前記操舵支援トルクを小さく算出することを特徴とする車両の操舵支援装置。 - 前記余裕代算出部は、前記自車両の車幅方向右側における余裕代と、前記自車両の車幅方向左側における余裕代と、を算出し、
前記操舵支援トルク算出部は、前記余裕代算出部が算出した前記車幅方向右側における余裕代及び前記車幅方向左側における余裕代のうち小さい余裕代を用いて、前記操舵支援トルクを算出することを特徴とする請求項1に記載した車両の操舵支援装置。 - 前記操舵支援トルク算出部は、予め設定したトルク算出用時間間隔で前記操舵支援トルクを算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載した車両の操舵支援装置。
- 自車両が走行する走行路を検出し、前記検出した走行路上において、前記自車両が、現在位置と前記現在位置における操舵輪の回転角度とから、予め設定した時間経過後及び予め設定した距離到達後のうち少なくとも一方に通過すると予測される目標経路上の点である目標点に到達するために必要な前記操舵輪の回転角度である目標操舵角を算出する目標操舵角算出ステップと、
前記目標操舵角算出ステップで算出した目標操舵角と前記操舵輪の現在の回転角度である現在操舵角との差分である操舵角偏差を算出する操舵角偏差算出ステップと、
前記操舵角偏差算出ステップで算出した操舵角偏差を縮小させるための操舵支援トルクを算出する操舵支援トルク算出ステップと、
前記操舵支援トルク算出ステップで算出した前記操舵支援トルクを前記操舵輪へ出力する操舵支援トルク出力ステップと、
前記走行路上において、前記目標点に前記自車両が到達した時点における、前記自車両の車幅方向右側及び車幅方向左側のうち少なくとも一方に存在する障害物と自車両との間の前記車幅方向の距離である余裕代を算出する余裕代算出ステップと、を有し、
前記操舵支援トルク算出ステップでは、前記余裕代算出ステップで算出した余裕代が大きいほど、前記操舵支援トルクを小さく算出することを特徴とする車両の操舵支援方法。
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